JP2001285071A - Ad変換装置 - Google Patents
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Abstract
変換回路の高性能化には、多数の(>10)単一磁束量
子を積分回路に短時間の内に帰還する必要がある。また
帰還用ジョセフソン接合の臨界電流を加工寸法上許容で
きる範囲まで小さくする必要がある。 【解決手段】 第1積分器と、第1積分器と並列に配置
された第2積分器と、第1及び第2積分器の後に配置さ
れた最終積分器と、最終積分器の後に配置された信号標
本化用比較器と、第1積分器への信号帰還回路と、第2
積分器への信号帰還回路と、最終積分器への信号帰還回
路とからなり、前記積分器で積分された入力信号を、前
記信号標本化用比較器によって標本化し、その標本化さ
れた信号を前記信号帰還回路で帰還させることで、2次
のΣ−Δ型AD変調を行うことを特徴とする。
Description
をデジタル符号に変換する超電導AD(アナログ・デジ
タル)変換装置に関する。
回路技術の一つとして、超電導回路技術を用いた単一磁
束量子(SFQ)Σ‐Δ型回路構成方式が考案されてい
る(以下単に「Σ‐Δ型AD変換回路」という。)。こ
のΣ‐Δ型AD変換回路では、抵抗素子とインダクタン
ス素子を用いて構成した積分器に蓄積された磁束を、ジ
ョセフソン素子で構成された比較器により減少させるこ
とにより、Σ‐Δ型のAD変換を実現している。
流の一部が前記比較器に入力され、同時に所望のサンプ
リング間隔で単一磁束量子信号(以下「SFQ」とい
う。)が別の信号線を介して比較回路に重畳される。こ
の時2つの信号の和の電流が比較器のジョセフソン接合
の臨界電流Icを超えると、比較器の出力にSFQが一つ
出力され、積分器中を流れる電流により誘起された磁束
からΦ0なる磁束が減算される。ただし、Φ0は単一磁
束量子(2.07 × 10-15 Wb)である。このように積分さ
れた信号を減算(差分)することでΣ‐Δ変調が実現さ
れる。出力信号はΣ‐Δ変調されたSFQパルス列とな
る。
われるもので被測定信号がサンプリングされる際に混入
する量子化ノイズの周波数分布が正弦三角関数になって
いる。ところで、この量子化ノイズの周波数分布を1次
ではなく、2次以上の正弦三角関数とすることで更に信
号対雑音比を改善するΣ‐Δ型AD変換方式がこの他に
考案されている(高次Σ‐Δ型AD変換方式)。
(2次型の場合)継続接続されており、被測定信号源側
から見て後段の積分器とそれに続くジョセフソン接合は
前述の1次のΣ‐Δ型AD変換器を構成している。
の積分器の間に前段の積分器へSFQを帰還させるため
の帰還用ジョセフソン接合が設けられており、比較器の
出力に対応して1つまたは複数個のSFQを帰還させる
構造を有している。この方式の2次Σ‐Δ型AD変換器
では、1次型において行われる積分・差分操作が2回に
わたって行われるため量子化ノイズの周波数分布が正弦
三角関数の2乗に従うようになり、更に信号対雑音比が
改善することが出来る。
よれば、例えば2次Σ‐Δ型AD変換回路では、前述の
1SFQの帰還に加えて、前段積分器と後段積分器の間
に両積分器に流れる電流量の比に応じた個数のSFQを
帰還する必要があり、実用的な多くの回路の場合、この
値は10〜100SFQ程度である。
が終了するまで次のサンプリングを待機させる必要があ
る為、AD変換時のサンプリング間隔を増大させ、測定
帯域の狭帯域化を招いてしまう(一般的に、ADのサン
プリング周期をfsとすると、測定帯域は1/2fsとな
る。)。
て10倍以上の電流が印加される場合があり、前述の帰
還用ジョセフソン接合の臨界電流はこの値以上に設定す
ることが必要になる。この場合、帰還回路へSFQを伝
達するジョセフソン伝送線路中のインダクタンスの設計
値が、微細加工上許容される限度を超えて小さくなって
しまうという問題点があった。
換装置において、多数のSFQが帰還される間の待ち時
間を短縮したうえで、大きなフィードバック利得を発生
させ、しかも帰還用ジョセフソン接合の臨界電流の問題
を解決する、新規の回路構成を提供せんとするものであ
る。
に係る発明は、第1積分器と、第1積分器と並列に配置
された第2積分器と、第1積分器、及び第2積分器の後
に配置された最終積分器と、該最終積分器の後に配置さ
れた信号標本化用比較器と、前記第1積分器への信号帰
還回路と、前記第2積分器への信号帰還回路と、前記最
終積分器への信号帰還回路と、からなり、前記積分器で
積分された入力信号を、前記信号標本化用比較器によっ
て標本化し、その標本化された信号を前記信号帰還回路
で帰還させることで、2次のΣ−Δ型AD変調を行うこ
とを特徴とする。
求項1に記載されたAD変換装置において、前記最終積
分器の前段に配置される並列に分割された第1積分器、
及び第2積分器以外に、更に1つ以上の並列に配置され
た積分器を備え、その各々に信号帰還回路を備えること
を特徴とする。
発明は、請求項1に記載されたAD変換装置を帰還ルー
プ内に少なくとも1つ含むことを特徴とする。
求項1に記載されたAD変換装置が単一磁束量子回路で
構成されていることを特徴とする。
乃至図5に従って説明する。
路構成図である。
器(2)及び第2積分器(3)に信号が入力される。こ
の各々の積分器中で入力信号の積分が行われる。積分さ
れた信号は最終積分器(4)に入力され2回目の積分操
作が行われる。
化用比較器(以下単に「比較器」という。)(5)に入
力される。標本化された信号は出力信号(9)として出
力されると同時に、最終積分器への信号帰還回路
(6)、第1積分器への信号帰還回路(7)及び第2積
分器への信号帰還回路(8)に伝達され、各々の帰還回
路は対応する積分器への信号帰還を行う。
的な回路図である。
を示す。図2中では直流バイアス電源は矢印で示されて
いる。また、ジョセフソン接合は「×」で示されてい
る。図2中でジョセフソン接合JCe及びJex(xは
数)と記載されたすべての接合の臨界電流の典型的な値
は100 μAにセットされている。この値には±30%のマー
ジンが存在する。
接地されていないジョセフソン接合の臨界電流の典型的
な値は500 μAにセットされている。その他のジョセフ
ソン接合の臨界電流の典型的な値は200 μAにセットさ
れている。この値には±30%のマージンが存在する。L1
及びL2と記載されたインダクタンスの値は50 pHであ
る。L3と記載されたインダクタンスの値は10 pHであ
る。
pHである。この値は両インダクタンス前後のジョセフ
ソン接合の臨界電流Icとの積L・IcがΦ0<L・Ic〜1.5
Φ0の関係を保持する範囲で変動しても良い。その他の
接地されたジョセフソン接合を連結するインダクタンス
の典型的な値は5 pHである。この値は記載されたインダ
クタンス前後のジョセフソン接合の臨界電流Icとの積L
・Icが〜0.5Φ0<Φ0の関係を保持する範囲で変動し
ても良い。
接地されていないジョセフソン接合を連結するインダク
タンスの典型的な値は1pHである。この値は前述の接地
されていないジョセフソン接合を連結する2つのインダ
クタンスの和をL'とした時、臨界電流Icとの積L'・Icが
L'・Ic 〜0.5Φ0<Φ0の関係を保持する範囲で変動し
ても良い。
7はそれぞれ相互的に結合されている。また、R1及びR2
と記載された抵抗の値は5 mΩであり、R3と記載された
抵抗の値は1 mΩである。バイアス電流の典型的な値は1
60μA である。この値は回路作製時の素子特性のばらつ
きにより、±50%の範囲で調整される。図2のクロック
信号発生源CLK1はオン時には300μA、オフ時には0
Aの信号を交互に発生する。 典型的なクロック周波数は
10 GHz〜20 GHzである。より具体的には、例えばクロッ
ク周波数10 GHzの場合、時刻0から25 psまでの時間を
オン、時刻25psから100 psまでの時間をオフといった動
作を100 ps時間毎に繰り返す。
μA、オフ時には0 Aの信号を交互に発生するが、CLK
1とは信号オン時の位相が異なる。より具体的には、例
えばクロック周波数10GHzの場合、時刻0 psから5
0 psまでの時間をオフ、時刻50psから75psまでの時間を
オン、時刻75 psから100 psまでの時間をオフといった
動作を100 ps時間毎に繰り返す。
クロック周波数を持つ信号を供給する。より具体的に
は、例えばクロック周波数50GHzの場合(CLK
1,CLK2の5倍)、時刻0から10 psまでの時間を
オン、時刻10 psから20 psまでの時間をオフという動作
を20 ps時間毎に繰り返す。
発生回路(17)の説明を行う。外部クロック信号源C
LK1がオンになり、J1のへの印加電流がJ1の臨界
電流を超えるとJ1が連続的にSFQパルスを発生す
る。SFQパルスの最大発生周期はJ1の臨界電流Icと
常伝導抵抗Rnの積を、磁束量子Φ0で割った値となる。
典型的にはこの値は100 GHzから200 GHz程度の値とな
り、以下の回路動作に対して十分な速度を有する。発生
した一連のSFQのうち先頭のSFQはJS1をスイッ
チし、JS1−L8−JS2のループに1SFQが捕獲
される。
ジョセフソン接合Je1を通って回路外に排出される。
CLK1がオフし、続いてCLK2がオンすると、J1
の場合と同様にJ2からSFQパルス列が発生する。こ
の一連のSFQのうち先頭のSFQはJS2をスイッチ
し、1SFQをJ3方向に放出する。2番目以降のSF
Qパルスはエスケープ用ジョセフソン接合Je2を通っ
て回路外に排出される。この一連の動作により1クロッ
クサイクルあたり1SFQパルスが回路中に入力され
る。入力されたSFQパルスはJ3をスイッチし、続い
てJ4及びJ5をスイッチして2つのSFQに分割され
た後、ジョセフソン伝送線路(JTL)を介して、信号
標本化用比較器(14)、第1積分器への信号帰還回路
(15)及び第2積分器への(16)にそれぞれ入力さ
れる。
2)及び(13)の説明を行う。
分器(11)及び第二積分器(12)に被測定信号が入
力される。被測定信号の周波数は100 MHzを想定してい
る。この入力信号は第1積分器(11)、及び第2積分
器(12)のインダクタンスL1及びL2を流れる電流
量として積分される。電流Iと磁束Φの間にはΦ=LI
なる関係が存在するので、これは磁束量が積分される事
に等しい。この積分された電流は帰還回路(15)及び
(16)中のゲートジョセフソン接合JG1及びJG2
を通過し、最終積分器(13)に入力される。
JG1,JG2の臨界電流を超えることが無いように、
入力信号は制限されている。最終積分器(13)に入力
された信号はインダクタンスL3を流れる電流(磁束)
として積分される。このニ重積分された信号は信号標本
化用比較器(14)に入力される。
信号帰還回路(14)の動作について説明する。前述の
積分器(11)、(12)及び(13)によりニ重積分
された信号は信号標本化用比較器(14)中の比較用ジ
ョセフソン接合JCに入力される。この比較用ジョセフ
ソン接合JCにはこの他に、前述のクロック用磁束量子
パルス発生回路(17)で生成されたSFQパルス(サ
ンプリングパルス)がエスケープ用ジョセフソン接合J
Ceを介して入力される。前述の入力信号とサンプリン
グパルスによりJCに誘起される電流の和がJCの臨界
電流を超える場合JCがスイッチし、1つのSFQパル
スをJ6方向に放出する。
束から1SFQが減算される。このSFQはJ6をスイ
ッチし、続いてJ8をスイッチして2つのSFQに分割
される。このうち一つ目のSFQはJ7をスイッチした
後、JTLを介してOUT端子に1SFQを出力信号と
して出力する。もう一方のSFQはJ9をスイッチした
後JS3をスイッチし、JS3−L4−JS4で構成さ
れるループに保持される。
のクロック用磁束量子パルス発生回路(17)で生成さ
れたSFQパルスが入射され、あるクロック時にSFQ
がセットされた場合、その次のクロックでJS4がスイ
ッチされ、保持していたSFQが消去されるようになっ
ている。もしあるクロック時にSFQがセットされなっ
かた場合、その次のクロックによるSFQはエスケープ
用ジョセフソン接合Je4をスイッチし、回路外に排出さ
れる。
と、第2積分器への信号帰還回路(16)の動作につい
て説明する。この二つの信号帰還回路は、その一部分を
共有している。
L6及びL7を介して、J10−L5−J11−L6か
らなる超電導ループ中に巡回電流を発生する。しかし、
この巡回電流のみではジョセフソン接合J10、J11
の臨界電流を超えることはないようにL6、L7の結合
度が設定されている。またCLK3によるクロック信号
電流は、前述のループに時計方向のみの電流を発生する
ように設定されている。
UT出力と同時に出力されるSFQはJS3−L4−J
S4に保持される。この時インダクタンスL4はL5と
結合している為、ループJ10−L5−J11−L6に
時計周りの電流を誘起する。この電流に前述のCLK3
による誘起電流が重畳された場合にJ10、続いてJ1
1がスイッチしてSFQがJG1及びJG2方向へ入射
される。この入射はCLK3電流がオンであり、かつル
ープJS3−L4−JS4にSFQが保持されている時
間にわたって継続される。
L6に誘起する電流は、ループJS3−L4−JS4に
よる誘起電流との和がこのSFQが1つだけ入射される
時間だけJ10の臨界電流を超えるように、ピークを持
った波形を有している。SFQがループJS3−L4−
JS4に保持される時間は近似的にサンプリング間隔に
等しいので、CLK3の周波数が、CLK1及びCLK
2の周波数の5倍に設定されている場合、1SFQ出力
に対応して5SFQが発生することになる。これらのS
FQは分岐J12でそれぞれ2SFQに増幅されて帰還
用ゲートジョセフソン接合JG1及びJG2から第1積
分器(11)及び第2積分器(12)に帰還される。こ
れらのSFQは積分器からそれぞれ5SFQの磁束を減
算する。
す。また、図4に、本発明における実施例に使用される
積分ループ中のSFQパルス信号の周期変化の積分量の
グラフを示す。
入力した場合に出力端子OUTから出力される、デジタル
SFQパルス列、 図5(b)にその周波数スペクトラムを
示す。
は第1積分器、第2積分器の合計として10SFQであ
り、最終積分器に対しては1SFQである。本構成で使
用されたLR受動積分器で、積分される入力信号のうち
9割以上が抵抗部に分流されることを考えると、第1積
分器、第2積分器の合計帰還量として10SFQ、電流
量に換算して(5Φ0/L1)+(5Φ0/L2)が必要
である。この帰還量を1つのゲートジョセフソン接合で
実現した場合、その臨界電流は倍の1mAに設定する必要
がある。そうすると、帰還用回路の接地されていないイ
ンダクタンスの設定値が0.5 pHとなり、製造上のばらつ
き等を考慮すれば現実的な設計値を逸脱してしまう。
SFQを帰還させる場合には、帰還の最中は次のサンプ
リング操作を行うことができず、サンプリング時間の低
下を招いてしまう。本発明においては明らかにこれらの
問題点が解決されており、多数の(>10)単一磁束量
子を積分回路に短時間の内に帰還させ、更に帰還用ジョ
セフソン接合の臨界電流を小さく押さえて回路のインダ
クタンス設計を容易にする新規の回路構成を提供するこ
とが可能である。
前記記述の第1、第2積分器に加え、更に第3積分器等
を追加して並列化を高め、帰還量の増加あるいは帰還用
ジョセフソン接合の臨界電流の減少を図ることができ
る。
ような、更に高次のΣ−ΔAD変換器を構成することも
可能である。
く、情報担体はSFQに限らず超短パルス電気信号の適
用が可能である。
によれば、2次Σ−Δ型AD変換器の初段の積分器を2
並列に分割することにより、初段への信号帰還用素子の
臨界電流を減少させ、かつ信号帰還量を減少させること
無く信号帰還時間を短縮し、結果として高分解能の超電
導Σ−ΔAD変換回路を実現する事が可能になる。
単一磁束量子回路を採用した場合の回路図である。
帰還信号、及び第2積分器への信号帰還信号のタイムチ
ャートである。
中のSFQパルス信号の周期変化の積分量を示すグラフ
である。
スペクトラムである。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1積分器と、 第1積分器と並列に配置された第2積分器と、 第1積分器、及び第2積分器の後に配置された最終積分
器と、 該最終積分器の後に配置された信号標本化用比較器と、 前記第1積分器への信号帰還回路と、 前記第2積分器への信号帰還回路と、 前記最終積分器への信号帰還回路と、からなり、 前記積分器で積分された入力信号を、前記信号標本化用
比較器によって標本化し、その標本化された信号を前記
信号帰還回路で帰還させることで、2次のΣ−Δ型AD
変調を行うことを特徴とするAD変換装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載されたAD変換装置にお
いて、 前記最終積分器の前段に配置される並列に分割された第
1積分器、及び第2積分器以外に、更に1つ以上の並列
に配置された積分器を備え、その各々に信号帰還回路を
備えることを特徴とするAD変換装置。 - 【請求項3】 請求項1に記載されたAD変換装置を帰
還ループ内に少なくとも1つ含むことを特徴とする3次
以上のAD変換装置。 - 【請求項4】 請求項1に記載されたAD変換装置が単
一磁束量子回路で構成されていることを特徴とするAD
変換装置。
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JP2000095824A JP3837274B2 (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | Ad変換装置 |
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CN106797210A (zh) * | 2014-08-11 | 2017-05-31 | 西恩特罗皮系统有限公司 | 分布式噪声整形装置 |
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CN106797210B (zh) * | 2014-08-11 | 2020-08-18 | 西恩特罗皮系统有限公司 | 分布式噪声整形装置 |
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