JP2001283228A - データ解析方法並びに輪郭抽出方法、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

データ解析方法並びに輪郭抽出方法、画像形成方法及び画像形成装置

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JP2001283228A
JP2001283228A JP2000094491A JP2000094491A JP2001283228A JP 2001283228 A JP2001283228 A JP 2001283228A JP 2000094491 A JP2000094491 A JP 2000094491A JP 2000094491 A JP2000094491 A JP 2000094491A JP 2001283228 A JP2001283228 A JP 2001283228A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物体内部の画像を投影する際、アーチファク
トのない画像を高速で得ること。 【解決手段】 3次元空間に連続的に分布する値を離散
的にサンプリングすることにより得られたサンプリング
値のデータ集合に対し、前記3次元空間を分割した各微
小空間に割り当てられた不透明度のデータ集合を取得
し、前記各微小空間に割り当てられた不透明度に基づ
き、レイキャスティングによって画像を形成する画像形
成方法であって、前記レイキャスティングにおけるレイ
の経路上、かつ前記各微小空間の少なくとも2点Pm、
Pnに対応する前記サンプリング値Vm、Vnに基づ
き、前記各微小空間に割り当てられる不透明度αmnを
算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3次元空間上の離
散サンプリングされたデータ集合のデータ解析方法に係
わり、さらに、該データ解析方法を利用してアーチファ
クト(擬像)の少ない3次元物体の輪郭抽出及び画像形
成を可能にする輪郭抽出方法、画像形成方法及び画像形
成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータを用いた画像処理技
術の進展に伴い、3次元物体の内部を可視化する技術が
注目されている。特に、医療分野では、生体内部を可視
化することにより病巣を早期に発見することができる、
CT(Computed Tomography)装置もしくはMRI(Mag
netic Resonance Imaging)装置による医療診断が広く
行われている。
【0003】また、物体内部の3次元画像を得る方法と
して、ボリュームレンダリングという方法が知られてい
る。このボリュームレンダリングでは、3次元のボクセ
ル(微小体積要素)空間に対して光(レイ)を照射する
ことにより投影面に画像が投影される。この操作をレイ
キャスティングと称する。このレイキャスティングで
は、レイの経路に沿って一定間隔でサンプリングし、各
サンプリング点のボクセルからボクセル値を取得する。
【0004】投影面に投影された画像は、各ボクセルを
通過したレイがボクセル固有のボクセル値に対応する不
透明度αに応じて減衰あるいは反射された結果を示す。
尚、ボクセル値は、CT画像の場合、CT値と称され
る。
【0005】不透明度αはレイの透過度を示す値であ
り、0.0(透過)〜1.0(遮断)の範囲で設定され
ており、各ボクセル値に対応して割り当てられる。この
ボクセル値に対応する不透明度αを可変することによ
り、ボクセル空間内の特定のボクセルが不透明になり、
物体の任意領域を抽出して可視化することができる。例
えば、生体内部の骨、臓器、血管などの対象物は、それ
ぞれある範囲のボクセル値を有しており、例えば、CT
画像では、骨の場合、500〜1000の値、臓器の場
合、0〜500の値をボクセル値として有する。
【0006】したがって、生体内部の任意の対象物を抽
出して可視化する場合、ボクセル値に対応する不透明度
αを可変させて設定し、目的とする対象物のボクセル値
に対応した不透明度を1.0に近い値に設定すること
で、対象物が不透明となって抽出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ボリュームレンダリングでは、以下に掲げるような問題
があり、その改善が望まれていた。すなわち、物体の内
部の任意の領域を抽出する場合、連続するボクセル値の
サンプリングデータから所望の範囲のボクセル値を選択
する必要がある。
【0008】図7はボクセル値Vに応じた不透明度αを
得るためのフィルタの設定を示す特性図である。図にお
いて、縦軸は不透明度αを示し、横軸はボクセル値Vを
示す。連続するボクセル値のうち、対象物のボクセル値
がV3を中心にV2からV4に亘って存在する場合、図
7のフィルタによりボクセル値V2〜V4の範囲を選択
することにより、不透明度α2、α3、α4を取得して
物体内部を可視化する。
【0009】図9は図7のフィルタの設定でレイキャス
ティングを行った様子を示す図である。レイ1は不透明
であることを示す不透明度α2、α3、α4を検出し、
レイ2は不透明度α1、α2、α4を検出し、レイ3は
不透明度α2、α3を検出する。
【0010】レイキャスティングでは離散的なサンプリ
ングを行うので、サンプリングの間隔が広がったり、ボ
クセル値や不透明度の変化が急激である場合、データの
性質が投影画像に正しく反映されなくなる。このような
状態で、物体内部を可視化した場合、いわゆるアーチフ
ァクト(擬像)が発生してしまう。特に、生体を可視化
した場合、このアーチファクトは、縞状の骨、断片的な
毛細血管として現れてしまう。
【0011】図8は特定のボクセル値V近傍の不透明度
αだけを得るためのフィルタの設定を示す特性図であ
る。このフィルタは、図7のフィルタに比べて先鋭な形
状を有し、ボクセル値V3近傍の不透明度αだけを抽出
する。選択されたボクセル値V2〜V3の範囲内では、
ボクセル値V3に対応する1つの不透明度α3だけが存
在する。
【0012】図10は図8のフィルタの設定でレイキャ
スティングを行った様子を示す図である。レイ1および
レイ3は不透明であることを示す不透明度α3を検出す
るが、レイ2は不透明であることを示す不透明度を検出
しない。
【0013】対象物のボクセル値は本来連続であるの
で、レイキャスティングの各サンプリングの間にも、ボ
クセル値は存在する筈である。しかし、ボクセル値は離
散的にサンプリングされているので、レイ2ではボクセ
ル値V3に対応する領域でサンプリングが行われず、レ
イ1からレイ3の間でレイキャスティングの結果がα
3、0、α3と不連続な値になる。これがアーチファク
トとなって現れる。
【0014】このようなアーチファクトは、サンプリン
グ間隔を狭くする、いわゆるオーバーサンプリングによ
り解消することが可能である。しかし、オーバーサンプ
リングを行うことは、データ処理量の増加に繋がり、物
体内部の3次元画像を種々の方向から観察しようとする
場合、この動きにリアルタイムで追従させることは困難
である。
【0015】そこで、本発明は、上記事情を考慮してな
されたものであり、物体内部の画像を投影する際、アー
チファクトのない物体の輪郭を高速に得ることができる
輪郭抽出方法、画像形成方法および画像形成装置、並び
にそれらに供するデータ解析方法を提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載のデータ解析方法は、3次
元空間に連続的に分布する値を離散的にサンプリングす
ることにより得られたサンプリング値のデータ集合に対
し、前記3次元空間を分割した各微小空間に割り当てら
れた解析用代表値のデータ集合を取得し、前記各微小空
間に割り当てられた解析用代表値に基づき、データ解析
を行うデータ解析方法であって、前記各微小空間の境界
上の2点とそれらを結ぶ経路を規定し、該2点に対応す
るサンプリング値と経路の長さに基づき、前記解析用代
表値を算出するものである。
【0017】請求項2に記載の輪郭抽出方法は、3次元
空間に連続的に分布する値を離散的にサンプリングする
ことにより得られたサンプリング値のデータ集合に対
し、前記3次元空間を分割した各微小空間に割り当てら
れた解析用代表値のデータ集合を取得し、隣接する前記
各微小空間に割り当てられた解析用代表値の連続性に基
づいて解析対象の空間的な連続性または輪郭を抽出する
輪郭抽出方法であって、前記各微小空間の境界上の2点
とそれらを結ぶ経路を規定し、該2点に対応するサンプ
リング値と経路の長さに基づき、前記解析用代表値を算
出することを特徴とする輪郭抽出方法。
【0018】請求項3に記載の画像形成方法は、3次元
空間に連続的に分布する値を離散的にサンプリングする
ことにより得られたサンプリング値のデータ集合に対
し、前記3次元空間を分割した各微小空間に割り当てら
れた不透明度のデータ集合を取得し、前記各微小空間に
割り当てられた不透明度に基づき、レイキャスティング
によって画像を形成する画像形成方法であって、前記レ
イキャスティングにおけるレイの経路上、かつ前記各微
小空間の少なくとも2点に対応する前記サンプリング値
に基づき、前記各微小空間に割り当てられる前記不透明
度を算出するものである。
【0019】請求項4に記載の画像形成方法は、さら
に、前記各微小空間の境界上の2点に対応する前記サン
プリング値に基づき、前記不透明度を算出するものであ
り、請求項5に記載の画像形成方法は、前記各微小空間
の境界上の2点間の距離に基づき、前記不透明度を算出
するものである。
【0020】請求項6に記載の画像形成方法は、前記算
出された不透明度を、前記サンプリング値に対するテー
ブルとして保持するものである。
【0021】請求項7に記載の画像形成装置は、レイキ
ャスティングによって画像を形成する画像形成装置にお
いて、前記レイキャスティングにおけるレイの方向を設
定するレイ方向設定手段と、該設定されたレイの方向に
沿って該レイの経路上にある微小空間を検出する微小空
間検出手段と、前記レイの経路上、かつ前記微小空間の
境界上の2点に対応するサンプリング値を検出するサン
プリング値検出手段と、該検出されたサンプリング値と
不透明度との関係を設定する設定手段と、該設定された
サンプリング値と不透明度との関係に基づき、予め前記
2点に対するサンプリング値と、前記微小空間に割り当
てられる1つの不透明度との対応が記述されたテーブル
を作成するテーブル作成手段と、該作成されたテーブル
に基づき、前記サンプリング値検出手段によって検出さ
れる2点に対応するサンプリング値から1つの不透明度
を取得する不透明度取得手段と、該取得した不透明度に
基づき、前記レイキャスティングによって画像を形成す
る画像形成手段と、を備えたものである。
【0022】請求項8に記載の画像形成装置は、前記テ
ーブル作成手段が、前記設定されたサンプリング値と不
透明度との関係、および前記レイの方向によって決まる
微小空間の境界上の2点間の距離に基づき、前記テーブ
ルを作成するものである。
【0023】以下、本発明の原理について説明する。先
ず、請求項1及び請求項2に関して説明する。図11は
解析対象と微小空間を表す図、図12は従来技術で解析
用代表値を算出した結果を示す図、図13は従来技術で
輪郭抽出した結果を示す図である。対象物体の連続性を
認識して輪郭を解析するため(図11参照)、3次元空
間に連続的に分布する値を離散的にサンプリングするこ
とにより得られたサンプリング値のデータ集合に対し、
3次元空間を分割した各微小空間に割り当てられた解析
用代表値のデータ集合を取得する(図12参照)。この
場合、代表値をサンプリング値から1対1対応で導出す
ると、アーチファクト(擬像)が発生したり、連続であ
るはずの場所に隙間が生じたりする。そのため、解析対
象の輪郭や空間的な連続性を正しく得ることができない
(図13参照)。そこで、各微小空間の境界上の2点と
それらを結ぶ経路を規定し、該2点に対応するサンプリ
ング値と経路の長さに基づき、解析用代表値を算出す
る。
【0024】次に、請求項3乃至請求項8に関して説明
する。図14は従来の方法に基づくボクセル値と不透明
度との関係を示す図である。図15は本発明に基づくボ
クセル値と不透明度との関係を示す図である。
【0025】3次元ボクセル空間の座標Pを(X、Y、
Z)とし、任意のボクセルの位置を座標Pnで表す。従
来の方法では、図14に示すように、ボクセルの不透明
度は、ボクセル内の代表点である位置Pnにおけるボク
セル値Vnと1対1に対応する不透明度αnとして得ら
れる。
【0026】一方、本発明では、図15に示すように、
ボクセルの不透明度は、ボクセルの境界上の2つの位置
Pm,Pnにおけるそれぞれのボクセル値Vm,Vnと
2対1に対応する不透明度αmnとして得られる。尚、
ボクセルの不透明度は、3つ以上の位置におけるボクセ
ル値と多対1に対応する不透明度として得られるもので
もよい。
【0027】3次元ボクセル空間にレイを照射して投影
画像を得る場合、レイの強さRは各ボクセルを通過する
毎にRout=Rin×(1−α)で減衰する。
【0028】図16はレイキャスティングの手順を示す
図である。各ボクセルの間隔A(図16参照)でサンプ
リングを行うレイキャスティングでは、位置Pm〜Pn
にかけてのボクセルの不透明度の変化は検出されない。
一方、位置Pm〜Pnのボクセルを細かくk等分した間
隔B(図16参照)でサンプリングを行うレイキャステ
ィングでは、分割された位置Pmnkのボクセル値Vm
kが適当な補間処理によって算出さ、Vmkに対して変
化する不透明度αmnkが対応する。
【0029】図18はボクセル値と不透明度との関係を
示すグラフである。図18には、ボクセル値Vm〜Vn
にかけて連続する不透明度αmnkが示されている。図
18のように、ボクセル値Vmkと不透明度αmnkと
の関係が設定されている場合、位置Pm〜Pnにかけて
のレイの強さの減衰は、次式で計算される。
【0030】 Rout=Rin{(1−αmn1)(1−αmn2)(1−αmn3)…(1−αmnk)}1/k
【0031】したがって、位置Pm〜Pnにかけての不
透明度は、 1−{(1−αmn1)(1−αmn2)(1−αmn3)…(1−αmnk)}1/k …(1) となる。
【0032】図17は本発明のレイキャスティングの手
順を示す図である。本発明は、上記式(1)の演算がボ
クセルの代表点である位置Pnに依存しないことに着目
し、2つのボクセルに存在するボクセル値Vm,Vn間
で上記式(1)の演算を前もって行い、参照テーブル
(LUT)に記憶させておくことにより、この演算をレ
イキャスティングの度に実行することなく、位置Pm,
Pn間のボクセルの不透明度の変化を検出しようとする
ものである。
【0033】このように、本発明は、位置Pm〜Pn間
のボクセルの不透明度を、従来のように、サンプリング
間隔を狭くし、毎回、各サンプリング点の不透明度の積
を演算するのではなく、予め参照テーブルに記憶された
ボクセル値Vmとボクセル値Vnとの関係から即座に得
るようにしたものである。
【0034】また、レイの経路上の各ボクセルの不透明
度は、レイが各ボクセルと交わるボクセル境界上の入射
位置Pm(始点)と射出位置Pn(終点)の2点のボク
セル値から参照テーブルに基づいて得られる。また、各
ボクセルの境界上の2点のボクセル値、つまり2点のボ
クセル値の変位の他に、さらに2点間の距離を考慮して
不透明度を取得するようにしてもよい。
【0035】なお、本発明において、対応するサンプリ
ング値が厳密に存在しない場合があるが、この場合、近
傍の値に基づいて補間された値(補間値)、若しくは近
傍の値(近傍値)をサンプリング値として用いる。従っ
て、本発明における「サンプリング値」は、補間値若し
くは近傍値を含むものとする。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。請求項1及び請求項2に係わる発明は、3
次元空間に連続的に分布する値を離散的にサンプリング
することにより得られたサンプリング値のデータ集合に
対し、前記3次元空間を分割した各微小空間に割り当て
られた解析用代表値のデータ集合を取得し、この代表値
に基づいてデータ解析若しくは輪郭抽出する場合に適用
される。また、請求項3乃至請求項8に係わる発明は、
3次元空間に連続的に分布する値を離散的にサンプリン
グすることにより得られた3次元ボクセル空間にレイを
照射することにより投影面に画像を形成する場合に適用
される。
【0037】図1及び図2は請求項1及び請求項2に係
わり、図1は本発明により解析用代表値を算出した結果
を示す図であり、図2は本発明により輪郭抽出した結果
を示す図である。以下、解析用代表値を算出する手順及
び解析用代表値に基づいて輪郭抽出する手順について説
明する。
【0038】先ず、3次元空間に連続的に分布する値を
離散的にサンプリングすることにより得られたサンプリ
ング値のデータ集合に対し、前記3次元空間を分割した
各微小空間に割り当てられた解析用代表値を、前記各微
小空間の境界上の2点とそれらを結ぶ経路を規定し、該
2点に対応するサンプリング値と経路の長さに基づき、
算出する。例えば、ボリュームレンダリングを行う場合
であれば、不透明度を利用することができる。
【0039】次に、しきい値Sを設定する。各微小空間
に対し、割り当てられた代表値がしきい値以上のときに
は、”1”を対応付け、しきい値より小さいときは”
0”を対応付ける。図1はしきい値を”10”に設定し
た場合を示している。この結果、隣接する微小空間V
1、V2の値がともに”1”のとき、V1とV2は空間
的に連続しているものとみなす。また、値が”1”であ
る任意の微小空間Vi、Vjにおいて、Viから出発し
て隣接する連続な微小空間を通ってVjにたどり着くこ
とができるとき、Vi、Vjは空間的に連続していると
見なす。
【0040】空間的に連続である微小空間の集合におい
て、値0をもつ微小空間に隣接する微小空間の集合は、
輪郭とみなす。図2に図1で算出した代表値に基づいて
輪郭抽出した結果を示す。
【0041】図3乃至図6は請求項3乃至請求項8に係
わる。図3は3次元ボクセル空間100を示す図であ
る。図3に示すように、3次元画像を生成するための入
力データとして、ボクセルVにより構築される3次元ボ
クセル空間100を得る。
【0042】各ボクセルには、濃淡情報を有するボクセ
ル値が設定されている。ボクセル値は、断層画像がCT
画像である場合、CT値と称される。CT値はX線の吸
収率を表す値であり、水分基準値として、例えば、生体
内部の各組織はそれぞれ所定範囲のCT値を有する。
【0043】次に、生成する画像の投影方向に基づき、
レイキャスティングのレイの方向を設定する。このレイ
キャスティングでは、レイの経路上にある3次元ボクセ
ル空間100内の各ボクセルに対してサンプリングを行
う。
【0044】さらに、抽出したい組織のボクセル値に基
づき、ボクセル値と不透明度との関係を設定する。サン
プリングが行われたボクセルに対して、そのボクセルに
対応するボクセル値を取得し、取得したボクセル値に対
するレイの透過度を示す不透明度を取得する。
【0045】レイキャスティングでは、レイがボクセル
空間内の各ボクセルを通過する際、各ボクセルを通過す
る光は、各ボクセルの不透明度に応じて減衰および反射
される。例えば、生体内部の内臓の断層画像を積み重ね
たボクセル空間から3次元画像を生成する場合、この内
臓のCT値の範囲に「1.0」に近い不透明度を割り当
てる。この内臓以外のボクセルでは、不透明度は「0」
となり、レイは内臓に対応するボクセルだけで減衰およ
び反射されることにより、生体の内臓領域が抽出され
る。
【0046】さらに、図4及び図5を参照して、不透明
度の割り当てについて示す。図3に示すように、レイが
3次元ボクセル空間100を通過する場合、レイは経路
上にあるボクセルに対して、入射と射出を繰り返す。図
4はボクセル値Vm、Vnと不透明度αmnとの関係を
示す図である。図3に示すように、レイの経路上でボク
セルとの境界上のボクセル値がVm,Vnであるとき、
ボクセル値Vmを始点、ボクセル値Vnを終点とし、こ
れらボクセル値間の不透明度αをボクセル値Vm,Vn
の関数として割り当てる。2つのボクセル値Vm,Vn
の関数として割り当てられる不透明度αmnを、前述し
た図16、図18のボクセル値と不透明度との関係に基
づいて設定し、図5に示す参照テーブル(LUT)とし
て保持しておく。図5は2つのボクセル値Vm,Vnと
不透明度αmnとの関係を示すテーブルである。
【0047】不透明度αは値0〜1.0の範囲であり、
値0の場合、レイは完全に透過し、値1.0の場合、レ
イは完全に遮断される。図5に示す参照テーブルでは、
ボクセル値Vm,Vnはそれぞれ所定ステップ数からな
る値Vmin〜Vmaxの範囲の値を有し、対応する不
透明度αは所定ステップ数の2乗に相当する数の値を有
する。
【0048】従来の不透明度の割り当ては、ボクセル内
の1点を基にしているので、レイキャスティングのサン
プリング間隔によっては、不透明度の変化に正しく追従
できず、データ本来の持つ性質を正しく投影画像に反映
することができなかった。これに対し、不透明度の変化
に追従させるためには、サンプリング間隔を狭くしなけ
ればならず、データの処理量の増加に繋がるおそれがあ
った。
【0049】これに対し、上述したように、本実施の形
態では、ボクセル境界上の2点のボクセル値、つまり2
点間のボクセル値の変位から不透明度を得ることによ
り、不透明度の変化を正しく結果に反映させることがで
きる。また、2点のボクセル値と不透明度との関係は、
事前に設定可能であるので、サンプリング点を増加させ
る場合に比べてデータ処理量が増えることはない。
【0050】なお、上記実施の形態では、各ボクセル境
界上のレイの入射点(始点)と射出点(終点)の2点を
設定し、これらの2点におけるボクセル値から不透明度
を得る場合を示したが、レイの通過経路に沿って、3点
以上の位置を設定し、これら3点以上の位置のボクセル
値を入力とするスプライン関数に基づいて不透明度を得
るようにしてもよい。
【0051】図6は本実施の形態の画像形成方法が適用
される画像形成装置の構成を示す図である。この画像形
成装置200は、レイキャスティングのレイの方向を設
定するレイ方向設定部201、設定されたレイの方向に
沿って各レイの経路上にあるボクセルを検出するボクセ
ル検出部203、レイの経路上かつボクセル境界上の2
点のボクセル値を検出するボクセル値検出部205、ボ
クセルを選択するためにボクセル値と不透明度との関係
を設定するボクセル値/不透明度関係設定部207、設
定されたボクセル値と不透明度との関係に基づき、2点
のボクセル値に対する1つの不透明度が記述された参照
テーブルを作成するボクセル値/不透明度テーブル作成
部209、検出された複数のボクセル値から前述した参
照テーブルを基に1つの不透明度を得るボクセル値/不
透明度変換部211、変換された不透明度に基づいてレ
イキャスティングにより投影画像を形成する画像形成部
213を有する。投影画像は外部の表示装置215に表
示される。
【0052】また、ボクセル検出部203は、3次元ボ
クセル空間100に対し、設定されたレイ方向で各レイ
の経路上を特定の間隔でサンプリングすることにより、
各ボクセルを取得する。ボクセル値検出部205は、サ
ンプリングにより取得した各ボクセルに対して、ボクセ
ルの境界上でレイがボクセルに入射する始点、および射
出する終点における2つの位置でのボクセル値Vm、V
nを取得する。
【0053】ボクセル値/不透明度テーブル作成部20
9は、2つのボクセル値Vm,Vnに対し、2値の間を
十分に細かい間隔でk等分する。k等分された各値は、
Vmn0、Vmn1、Vmn2、……というボクセル値
となる。ボクセル値/不透明度関係設定部207は、各
ボクセル値Vmn0、Vmn1、Vmn2、……に対応
する不透明度αmn0、αmn1、αmn2、……を設
定する。2つのボクセル値Vm,Vnに対応する不透明
度は、演算式1−{(1−αmn0)(1−αmn1)
(1−αmn2)…}1/k を実行することにより得られ
る。
【0054】全ての可能な2つのボクセル値の組み合わ
せに対して上記演算式を実行し、結果を参照テーブルと
して保存する。
【0055】ボクセル値/不透明度変換部211は、ボ
クセル値検出部205で取得した2つのボクセル値か
ら、ボクセル値/不透明度テーブル作成部209で作成
された参照テーブルを基に不透明度を取得する。
【0056】画像形成部213は取得した不透明度に基
づき、レイキャスティングを行って投影画像を形成し、
表示装置215に投影画像を表示する。
【0057】このように、各ボクセルの不透明度を、各
ボクセルの境界上の2点のボクセル値から割り当てるこ
とにより、データの処理量を増やすことなく、アーチフ
ァクトのない投影画像を高速に得ることが可能となる。
【0058】なお、上記実施の形態では、各ボクセルの
境界上の2点のボクセル値、つまり2点のボクセル値の
変位から不透明度を取得していたが、さらに2点間の距
離を考慮して不透明度を取得するようにしてもよい。
【0059】また、上記実施の形態では、3次元ボクセ
ル空間に対してレイキャスティングを行って画像を形成
する場合を示したが、本発明はこれに限定されることな
く、例えば、観測対象を3次元空間として温度などの物
理量を測定し、測定された温度分布を色で表現する場合
などにも適用可能である。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、各ボクセルの不透明度
を、レイの経路上かつ各ボクセル境界上に2点のボクセ
ル値から割り当てることにより、不透明度の変化に正し
く追従させることができる。しかも、事前に作成したテ
ーブルを参照することにより、オーバーサンプリングに
よって、データの処理量を増やすことなく、アーチファ
クトのない画像を高速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解析用代表値を算出した結果を示す図である。
【図2】算出された解析用代表値に基づき輪郭抽出した
結果を示す図である。
【図3】3次元ボクセル空間100を示す図である。
【図4】ボクセル値Vm、Vnと不透明度αmnとの関
係を示す図である。
【図5】2つのボクセル値Vm,Vnと不透明度αmn
との関係を示すテーブルである。
【図6】本実施形態の画像形成方法が適用される画像形
成装置の構成を示す図である。
【図7】ボクセル値Vに応じた不透明度αを得るための
フィルタの設定を示す特性図である。
【図8】特定のボクセル値V近傍の不透明度αだけを得
るためのフィルタの設定を示す特性図である。
【図9】図7のフィルタの設定でレイキャスティングを
行った様子を示す図である。
【図10】図8のフィルタの設定でレイキャスティング
を行った様子を示す図である。
【図11】解析対象と微小空間を表す図である。
【図12】従来技術で解析用代表値を算出した結果を示
す図である。
【図13】従来技術で算出された解析用代表値に基づい
て輪郭抽出した結果を示す図である。
【図14】従来の方法に基づくボクセル値と不透明度と
の関係を示す図である。
【図15】本発明に基づくボクセル値と不透明度との関
係を示す図である。
【図16】レイキャスティングの手順を示す図である。
【図17】本発明のレイキャスティングの手順を示す図
である。
【図18】ボクセル値と不透明度との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
100 ボクセル空間 200 画像形成装置 201 レイ方向設定部 203 ボクセル検出部 205 ボクセル値検出部 207 ボクセル値/不透明度関係設定部 209 ボクセル値/不透明度テーブル作成部 211 ボクセル値/不透明度変換部 213 画像形成部 215 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 修 東京都中野区新井町2丁目7番地2 ラフ ィーネメゾン中野B1 株式会社ザイオソ フトウェア内 Fターム(参考) 4C096 AB11 AB27 AD12 AD14 DA01 DA30 DC19 5B057 AA07 BA07 CA08 CA13 CB08 CH07 CH08 DC16 5B069 AA10 DD06 5L096 AA09 BA06 CA27 FA06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元空間に連続的に分布する値を離散
    的にサンプリングすることにより得られたサンプリング
    値のデータ集合に対し、前記3次元空間を分割した各微
    小空間に割り当てられた解析用代表値のデータ集合を取
    得し、前記各微小空間に割り当てられた解析用代表値に
    基づき、データ解析を行うデータ解析方法であって、 前記各微小空間の境界上の2点とそれらを結ぶ経路を規
    定し、該2点に対応するサンプリング値と経路の長さに
    基づき、前記解析用代表値を算出することを特徴とする
    データ解析方法。
  2. 【請求項2】 3次元空間に連続的に分布する値を離散
    的にサンプリングすることにより得られたサンプリング
    値のデータ集合に対し、前記3次元空間を分割した各微
    小空間に割り当てられた解析用代表値のデータ集合を取
    得し、隣接する前記各微小空間に割り当てられた解析用
    代表値の連続性に基づいて解析対象の空間的な連続性ま
    たは輪郭を抽出する輪郭抽出方法であって、 前記各微小空間の境界上の2点とそれらを結ぶ経路を規
    定し、該2点に対応するサンプリング値と経路の長さに
    基づき、前記解析用代表値を算出することを特徴とする
    輪郭抽出方法。
  3. 【請求項3】 3次元空間に連続的に分布する値を離散
    的にサンプリングすることにより得られたサンプリング
    値のデータ集合に対し、前記3次元空間を分割した各微
    小空間に割り当てられた不透明度のデータ集合を取得
    し、前記各微小空間に割り当てられた不透明度に基づ
    き、レイキャスティングによって画像を形成する画像形
    成方法であって、 前記レイキャスティングにおけるレイの経路上、かつ前
    記各微小空間の少なくとも2点に対応する前記サンプリ
    ング値に基づき、前記各微小空間に割り当てられる前記
    不透明度を算出することを特徴とする画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記各微小空間の境界上の2点に対応す
    る前記サンプリング値に基づき、前記不透明度を算出す
    ることを特徴とする請求項3記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 さらに、前記各微小空間の境界上の2点
    間の距離に基づき、前記不透明度を算出することを特徴
    とする請求項4記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 前記算出された不透明度を、前記サンプ
    リング値に対するテーブルとして保持することを特徴と
    する請求項3乃至5の何れか1項に記載の画像形成方
    法。
  7. 【請求項7】 レイキャスティングによって画像を形成
    する画像形成装置において、 前記レイキャスティングにおけるレイの方向を設定する
    レイ方向設定手段と、 該設定されたレイの方向に沿って該レイの経路上にある
    微小空間を検出する微小空間検出手段と、 前記レイの経路上、かつ前記微小空間の境界上の2点に
    対応するサンプリング値を検出するサンプリング値検出
    手段と、 該検出されたサンプリング値と不透明度との関係を設定
    する設定手段と、 該設定されたサンプリング値と不透明度との関係に基づ
    き、予め前記2点に対するサンプリング値と、前記微小
    空間に割り当てられる1つの不透明度との対応が記述さ
    れたテーブルを作成するテーブル作成手段と、 該作成されたテーブルに基づき、前記サンプリング値検
    出手段によって検出される2点に対応するサンプリング
    値から1つの不透明度を取得する不透明度取得手段と、 該取得した不透明度に基づき、前記レイキャスティング
    によって画像を形成する画像形成手段と、を備えたこと
    を特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 前記テーブル作成手段が、前記設定され
    たサンプリング値と不透明度との関係、および前記レイ
    の方向によって決まる微小空間の境界上の2点間の距離
    に基づき、前記テーブルを作成することを特徴とする請
    求項7記載の画像形成装置。
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