JP2001283157A - 単語認識方法および単語認識プログラム - Google Patents

単語認識方法および単語認識プログラム

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JP2001283157A JP2001017074A JP2001017074A JP2001283157A JP 2001283157 A JP2001283157 A JP 2001283157A JP 2001017074 A JP2001017074 A JP 2001017074A JP 2001017074 A JP2001017074 A JP 2001017074A JP 2001283157 A JP2001283157 A JP 2001283157A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単語の文字数が一定でない場合においても精度
良く単語認識が行える。 【解決手段】文字認識結果を用いた単語認識において、
認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに認
識処理を行い、あらかじめ認識すべき単語の候補が格納
されている単語辞書内の各単語の各文字を条件として文
字認識結果として得られた特徴が出現する確率を求め、
この求めた確率を文字認識結果として得られた特徴が出
現する確率で除算し、単語辞書内の各単語の各文字に対
してそれぞれ求めた上記各除算結果を全ての文字につい
て乗算し、この乗算結果に基づき上記単語の認識結果を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、被読取
物上に記載された複数の文字からなる単語を光学的に読
取る光学的文字読取装置などにおいて単語認識を行う単
語認識方法、および、その単語認識処理を行わせるため
の単語認識プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、たとえば、光学的文字読取装置
において、被読取物上に記載された文字を読取る場合、
個々の文字認識精度が低くても、単語の知識を用いるこ
とで精度良く読取ることができる。従来、その実施方法
として種々の方法が提案されている。
【0003】たとえば、特開平10−177624号公
報に開示されるものは、文字認識の結果として距離(そ
の値が小さいほど認識結果が信頼できるもの)を用い、
その距離の和をもって単語の評価値としている。
【0004】また、たとえば、特開平8−167008
号公報に開示されるものは、文字認識の段階で各文字の
候補を絞り、絞られた候補と各単語との照合を行い、一
致する文字数をもって単語の評価値としている。
【0005】さらに、たとえば、電子通信学会論文誌Vo
l.52-C,No.6,June1969,P.305-312に開示されるものは、
単語の評価値として事後確率(a posterior
iProbability)を用いている。
【0006】この事後確率について説明する。
【0007】ある事象(b)が起こる確率はP(b)と
表現する。
【0008】ある事象(a)の次にある事象(b)が起
きる確率はP(b|a)と表現し、する。事象(b)が
事象(a)に関係なく起きる場合は、P(b|a)はP
(b)と同じである。これに対して事象(a)の次に事
象(a)の影響を受けて事象(b)が起きる確率を事後
確率といいP(b|a)と表現する。
【0009】しかしながら、従来の方法のいずれも、単
語の文字数が一定であるときにのみ意味のあるものであ
り、文字数が一定でない場合には用いることができない
か、用いても不具合が発生する。すなわち、特開平10
−177624号公報に開示されるものは、文字数が少
ないほど評価値は小さくなるため、文字数の少ない単語
が選ばれやすくなっている。
【0010】また、特開平8−167008号公報、電
子通信学会論文誌に開示されるものは、文字数が一定で
あることが前提となっており、文字数が一定でないとき
には用いることができない。
【0011】さらに、従来の単語認識の評価関数におい
ては、単語切出しの曖昧さ、文字接触、ノイズ混入、文
字切出しの曖昧さは考慮されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、単
語の文字数が一定でない場合においても精度良く単語認
識が行える単語認識方法および単語認識プログラムを提
供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、単語切出しが確実でない
場合にも精度良く単語認識が行える単語認識方法および
単語認識プログラムを提供することを目的とする。
【0014】また、本発明は、文字接触やノイズ混入が
ある場合にも精度良く単語認識が行える単語認識方法お
よび単語認識プログラムを提供することを目的とする。
【0015】さらに、本発明は、文字切出しが確実でな
い場合にも精度良く単語認識が行える単語認識方法およ
び単語認識プログラムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の単語認識方法
は、認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごと
に認識処理を行うことにより文字認識結果を得る文字認
識処理ステップと、あらかじめ認識すべき単語の候補が
格納されている単語辞書内の各単語の各文字を条件とし
て上記文字認識処理ステップにより文字認識結果として
得られた特徴が出現する確率を求める確率算出ステップ
と、この確率算出ステップにより求めた確率と上記文字
認識処理ステップにより文字認識結果として得られた特
徴が出現する確率との間で所定の第1の演算を行う第1
の演算ステップと、上記単語辞書内の各単語の各文字に
対してそれぞれ求めた上記第1の演算による各演算結果
の間で所定の第2の演算を行う第2の演算ステップと、
この第2の演算ステップによる第2の演算の結果に基づ
き上記単語の認識結果を得る単語認識処理ステップとを
具備している。
【0017】また、本発明の単語認識方法は、認識すべ
き単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切出す切出
しステップと、この切出しステップによる文字切出しに
よって、文字間が接しているかあるいは文字間が離れて
いるかを考慮した複数種類の切出し結果を求めるステッ
プと、このステップにより求めた全ての切出し結果の各
文字に対してそれぞれ認識処理を行う文字認識処理ステ
ップと、あらかじめ認識すべき単語の候補が格納されて
いる単語辞書内の各単語の各文字を条件として上記文字
認識処理ステップにより文字認識結果として得られた特
徴が出現する確率を求める確率算出ステップと、この確
率算出ステップにより求めた確率と上記文字認識処理ス
テップにより文字認識結果として得られた特徴が出現す
る確率との間で所定の第1の演算を行う第1の演算ステ
ップと、上記単語辞書内の各単語の各文字に対してそれ
ぞれ求めた上記第1の演算による各演算結果の間で所定
の第2の演算を行う第2の演算ステップと、この第2の
演算ステップによる第2の演算の結果に基づき上記単語
の認識結果を得る単語認識処理ステップとを具備してい
る。
【0018】また、本発明の記憶媒体は、コンピュータ
に単語認識処理を行わせるための単語認識プログラムを
記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、上
記単語認識プログラムは、認識すべき単語に対応した入
力文字列を各文字ごとに認識処理を行う文字認識処理ス
テップと、あらかじめ認識すべき単語の候補が格納され
ている単語辞書内の各単語の各文字を条件として上記文
字認識処理ステップにより文字認識結果として得られた
特徴が出現する確率を求める確率算出ステップと、この
確率算出ステップにより求めた確率と上記文字認識処理
ステップにより文字認識結果として得られた特徴が出現
する確率との間で所定の第1の演算を行う第1の演算ス
テップと、上記単語辞書内の各単語の各文字に対してそ
れぞれ求めた上記第1の演算による各演算結果の間で所
定の第2の演算を行う第2の演算ステップと、この第2
の演算ステップによる第2の演算の結果に基づき上記単
語の認識結果を得る単語認識処理ステップとを有する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0020】図1は、本発明の実施の形態に係る単語認
識方法を実現するための単語認識システムの構成を概略
的に示すものである。
【0021】図1において、この単語認識システムは、
CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)1、
入力装置2、画像入力手段としてのスキャナ3、表示装
置4、記憶手段としての第1メモリ5、記憶手段として
の第2メモリ6、および、読取装置7などによって構成
されている。
【0022】CPU1は、第2メモリ6に格納されたオ
ペレーティングシステムプログラム、および、第2メモ
リ6に格納されたアプリケーションプログラム(単語認
識プログラムなど)を実行することにより、後で詳細を
説明するような単語認識処理などを行うものである。
【0023】入力装置2は、たとえば、キーボードやマ
ウスなどからなり、利用者が各種操作を行ったり、各種
データを入力するために使用される。
【0024】スキャナ3は、被読取物上に記載された単
語の各文字を光学的な走査により読取って入力するもの
である。上記被読取物としてはたとえば宛名が記載され
ている郵便物Pであり、上記宛名の記載方法として、図
2に示すように、1番下の行から順にしかも右側から順
に郵便番号、州名、都市名、ストリート名、ストリート
番号の順に記載されるようになっている。
【0025】表示装置4は、たとえば、ディスプレイ装
置やプリンタなどからなり、各種データを出力するもの
である。
【0026】第1メモリ5は、たとえば、RAM(ラン
ダム・アクセス・メモリ)により構成されていて、CP
U1の作業用メモリとして使用され、処理中の各種デー
タなどを一時記憶するものである。
【0027】第2メモリ6は、たとえば、ハードディス
ク装置により構成されていて、CPU1を動作させるた
めの各種プログラムなどを記憶するものである。第2メ
モリ6には、入力装置2、スキャナ3、表示装置4、第
1メモリ5、第2メモリ6、読取装置7などを動作させ
るためのオペレーティングシステムプログラム、単語認
識プログラムおよび単語を構成する文字の認識用の文字
辞書9、単語認識用の単語辞書10、単語を構成する文
字の出現確率を記憶している確率テーブル11などが記
憶されている。上記単語辞書10としては、あらかじめ
認識すべき単語の候補が複数格納されているものであ
り、単語認識システムが設置されている地域たとえば州
における都市名が登録されている都市名辞書となってい
る。
【0028】読取装置7は、たとえば、CD−ROMド
ライブ装置などからなり、記憶媒体としてのCD−RO
M8に格納(記憶)されている単語認識プログラムおよ
び単語認識用の単語辞書10などを読取るものである。
読取装置7により読取られた単語認識プログラム、文字
辞書9、単語辞書10、確率テーブル11は、第2メモ
リ6に格納(記憶)される。
【0029】次に、単語認識方法の概略について、図3
に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0030】まず、スキャナ3により郵便物Pの画像を
取り込む(読取る)画像取り込み処理が行われる(ST
1)。この画像取り込み処理により取り込んだ画像によ
り宛名の記載されている領域を検出する領域検出処理が
行われる(ST2)。この領域検出処理により検出した
宛名の記載領域から都市名に対応する単語の1文字ずつ
の矩形領域の文字パターンを、垂直射影や水平射影を用
いて切出す切出し処理が行われる(ST3)。この切出
し処理により切出された単語の1文字ずつの文字パター
ンと文字辞書9に記憶されている文字パターンとを比較
して得られる類似度により文字の認識候補を得る文字認
識処理が行われる(ST4)。この文字認識処理により
得られる単語の1文字ずつの認識結果と単語辞書10に
記憶されている都市名の各文字と確率テーブル11とを
用いて、単語辞書10の各都市名ごとの事後確率を算出
し、事後確率の一番大きなものを単語として認識する単
語認識処理が行われる(ST5)。上記各処理はCPU
1により制御されている。
【0031】上記ステップ3により文字パターンの切出
し処理が行われる際に、1文字ずつの文字パターンと文
字パターンのすき間の大きさにより、単語の切れ目を判
断するものであっても良い。また、そのすき間の大きさ
により、文字の接触、文字の分離を判断するものであっ
ても良い。
【0032】本発明の実施の形態に係る単語認識方法
は、このようなシステム構成において実現されるもので
あるが、まず概要について説明する。
【0033】1.概要 たとえば、光学的文字読取装置による文字読取りを考え
る。文字認識の性能が高く、ほとんど読み間違えないの
ならば問題はないが、たとえば、手書文字の認識ではそ
こまでの性能を得るのが難しい。そこで、単語の知識を
用いることで認識精度を高める。具体的には、単語の辞
書の中から正しいと考えられる単語を選び出す。そのた
めに、各単語ごとに何らかの評価値を計算し、最も高い
(低い)評価値をとった単語を認識結果とすることにな
る。評価関数として、従来は前述したような各種のもの
が考えられているが、前述したような各種問題がある。
【0034】そこで、本実施の形態では、評価関数とし
て前述した各種問題を考慮した事後確率を用いる。これ
により、文字数の違い、単語切出しの曖昧さ、文字接
触、ノイズ、文字分離までを全て確率の計算により1つ
の評価関数に自然に組込むことができる。
【0035】次に、本発明で用いるベイズ推定(Bay
es Estimation)の一般論について説明す
る。
【0036】2.ベイズ推定の一般論 入力パターン(入力文字列)をxとする。認識処理と
は、xに対しある処理を行い、分類結果が得られるもの
である。これを分解して考えてみると、以下の2つのプ
ロセスに分けることができる。
【0037】(1) xについて何らかの特徴量を得る特徴
抽出処理Rをかけることで、「特徴」r(=R(x))
を得る。
【0038】(2) 「特徴」rを見てそこに何らかの評価
法を用い、分類結果ki を得る。
【0039】分類結果ki が「認識結果」である。単語
認識においては、「特徴」の1つとして文字認識の「認
識結果」が使われるので注意が必要である。今後、用語
としての「特徴」と「認識結果」を区別して用いる。
【0040】ベイズ推定は、2番目のプロセスにおける
評価法として用いられる。事後確率P(ki |r)が最
大となるカテゴリki を認識結果とする。事後確率P
(ki|r)を直接計算するのが困難、もしくは不可能
である場合、ベイズの定理、
【数1】
【0041】を用いて間接的に計算する。分母のP
(r)はiによらない定数であるため、分子のP(r|
ki )P(ki )を計算することで、事後確率P(ki
|r)の大小を評価することができる。
【0042】次に、以後の説明の理解を容易にするた
め、文字数が一定であった場合の単語認識におけるベイ
ズ推定について説明する。この場合のベイズ推定は、英
語などの、単語を分けて書く言語において有用である。
【0043】3.文字数一定の場合のベイズ推定 3.1.定式化 文字の切出し、単語の切出しが完全に成功しており、ま
た文字間のノイズの混入もなく、文字数が確定している
と仮定する。次のように定義する。
【0044】
【数2】 このとき、ベイズ推定によって書かれている単語を推定
することを考える。
【0045】
【数3】 P(r|ki )は次のように表わされる。
【0046】
【数4】
【0047】P(ki )は統計的に求まっているものと
する。たとえば、郵便物の宛名読取りの場合、宛先の統
計だけでなく、書状内での位置、行内での位置などに依
存することも考えられる。
【0048】なお、P(r|ki )は積で表わされてい
るが、これに限らず、たとえば、対数をとり、加算に変
換することも可能である。以下の説明においても同じこ
とが言える。
【0049】3.2.実用に向けた近似 特徴ri として何を用いるかにより、認識の性能に大き
な違いがでる。
【0050】3.2.1. 1位候補を用いた場合 文字特徴ri として「1位候補の文字」を用いることを
考えてみる。次のように定義する。
【0051】・文字集合C={ci } 例 ci :数字、ci :アルファベット大文字小文字な
ど ・文字特徴集合E={ei } ei =(1位候補がci ) ・ri ∈E たとえば、文字集合Cとして、「アルファベット大文字
小文字+数字」を想定すると、特徴ei の種類も文字c
i の種類もn(C)=n(E)=62通りであるため、
(ei ,cj )の組合わせは「62」の二乗通りであ
り、「62」の二乗通りのP(ei |cj )をあらかじ
め用意しておくことで、上記式(3)は計算される。具
体的には、たとえば、P(ei |″A″)を求めるに
は、″A″のサンプルをたくさん特徴抽出処理Rに流
し、各特徴ei の出現頻度を調べればよい。
【0052】3.2.2.近似 ここで、次のような近似を用いることも考えられる。
【0053】
【数5】
【0054】
【数6】
【0055】上記式(4)、式(5)は、どの文字ci
でも、1位候補がその文字自体になる確率は等しくpで
あり、それ以外の文字になる確率は等しくqである、と
いう近似である。このとき、 が成り立っている。
【0056】この近似は、1位候補を並べた文字列を仮
の認識結果とし、その文字列と各ワードwaが何文字一
致しているかを見るマッチングと対応している。aの数
の文字が一致したとき(a個の文字が一致したとき))、
【数7】 と表わされ、簡便である。
【0057】3.3.具体例 たとえば、図2に示すような、英語で書かれた郵便物P
の宛名読取りにおいて、都市名を読むことを考える。図
4は、上述した切出し処理により切出された都市名が書
かれていると考えられる部分に対応する文字パターンの
切出し処理結果であり、4つの文字であることが検出さ
れている。単語辞書10としては文字数ごとの都市名
(単語)の候補が格納されており、たとえば、4つの文
字からなる都市名(単語)の候補が、図5により示され
ている。この場合、4つの文字数の都市名として、「M
AIR」(k1)、「SORD」(k2)、「ABL
A」(k3)、「HAMA」(k4)、「HEWN」
(k5)の5つが格納されている。
【0058】図4の各文字パターンに対して上述した文
字認識処理により文字認識を行う。この各文字パターン
ごとの文字認識結果を基に、図5の各都市名ごとの事後
確率を計算する。
【0059】計算に用いる特徴(=文字認識結果)は様
々であるが、ここでは1位候補の文字を用いた例を示
す。この場合、図4の各文字パターンに対して、文字認
識結果が左の文字から順に「H、A、I、A」となって
いる。実際に書かれている文字列が「MAIR」(k
1)であったとき、図4の文字認識結果「H、A、I、
A」が生じる確率P(r|k1 )は、上記式(3)よ
り、
【数8】
【0060】である。3.2.1節で述べたように、あ
らかじめ右辺の各項の値は求めておき、確率テーブル1
1として用意しておく。もしくは、3.2.2節で述べ
た近似を用いれば、たとえば、p=0.5、n(E)=
26のときは、q=0.02であるから、 P(r|k1 )=q・p・p・q=0.0001 式(9) が算出される。
【0061】すなわち、実際に書かれている文字列が
「MAIR」(k1)であったとき、図4の文字認識結
果「H、A、I、A」が生じる確率P(r|k1 )
は、「0.0001」となる。
【0062】同様にして P(r|k2 )=q・q・q・q=0.00000016 P(r|k3 )=q・q・q・p=0.000004 P(r|k4 )=p・p・q・p=0.0025 P(r|k5 )=p・q・q・q=0.000004 式(10) すなわち、実際に書かれている文字列「SORD」(k
2)であったとき、図4の文字認識結果「H、A、I、
A」が生じる確率P(r|k2 )は、「0.0000
0016」となる。
【0063】実際に書かれている文字列「ABLA」
(k3)であったとき、図4の文字認識結果「H、A、
I、A」が生じる確率P(r|k3 )は、「0.00
0004」となる。
【0064】実際に書かれている文字列「HAMA」
(k4)であったとき、図4の文字認識結果「H、A、
I、A」が生じる確率(r|k2 )は、「0.000
00016」となる。
【0065】実際に書かれている文字列「HEWN」
(k5)であったとき、図4の文字認識結果「H、A、
I、A」が生じる確率P(r|k5 )は、「0.00
0004」となる。
【0066】P(k1 )〜P(k5 )を等しいと見なせ
ば、上記式(2)より事後確率P(ki |r)の大小は
P(r|ki )と同じである。したがって、上記式
(9)、式(10)の大小を比較すればよく、最も大き
いのはP(r|k4 )であるので、図2に書かれている
都市名は「HAMA」であると推定される。
【0067】ここで、確率テーブル11の説明をしてお
く。 図6は、3.2.2節で述べた近似を確率テーブルの形
で表したものである。文字種は、アルファベットの大文
字26種であるとする。 縦軸が実際に書かれている文字であり、横軸がその文字
認識結果である。 例えば、確率テーブル11において、縦軸の”M”と横
軸”H”の交点は、実際に書かれている文字が”M”で
あったときに文字認識結果が”H”となる確率P(”
H”|”M”)である。 3.2.2節の近似では、文字認識結果が実際に書かれ
ている文字自体になる確率を等しくpとしているため、
確率テーブル11の左上から右下にかけての対角線上は
全て等しくなる。図6では確率は0.5である。
【0068】また、3.2.2節の近似では、文字認識
結果が実際に書かれている文字と異なる確率を等しくq
としているため、確率テーブル11の左上から右下にか
けての対角線上以外の部分は、全て等しくなる。図6で
は確率は0.02である。
【0069】3.2.2節の近似を用いた結果、図4の
文字認識結果と図5の単語辞書10の各都市名の間で一
致している文字数が多い都市名が選ばれることになって
いる。3.2.2節の近似を用いず、3.2.1節で述
べたように、あらかじめ各P(ei |cj )を求めて、
それを計算に用いた場合、一致した文字数が多ければよ
いとは限らない。
【0070】たとえば、上記式(8)の第1項は、
「H」と「M」は形状が似ていることから比較的大きい
値であり、
【数9】
【0071】とする。また、第4項も同様であり、
【数10】
【0072】であるとする。確率テーブル11は図7の
ようになる。他の文字に関しては、3.2.2節の近似
が成り立つとする。このとき、
【数11】
【0073】であり、P(r|k1 )が最も大きな値と
なり、図2の郵便物Pに書かれていると推定される都市
名は「MAIR」となる。
【0074】次に、本発明の第1の実施の形態として
の、文字数が一定でない場合の単語認識におけるベイズ
推定について説明する。この場合のベイズ推定は、日本
語などの、単語を分けて書かない言語において有用であ
る。また、単語を分けて書く言語においても、単語辞書
に複数単語からなる文字列がある場合は有用である。
【0075】4.文字数が一定でない場合のベイズ推定 実際には、複数単語の文字列がカテゴリに含まれる場合
(例:NORTH YORK)もあるが、3節で述べた
方法では1単語の文字列と2単語の文字列での比較はで
きない。また、単語を分けて書かない言語(日本語な
ど)では文字数が一定とならず、3節の方法は使えな
い。そこで、本節では文字数が一定とは限らない場合に
対応した単語認識方法を説明する。
【0076】4.1.定式化 入力パターンxを、1単語ではなく、複数単語とし、3
節と同様にベイズ推定を行う。この場合、3節の定義を
次のように追加変更する。
【0077】変更 ・入力パターンxを複数単語とする。
【0078】・L:入力パターンx内の全文字数 ・カテゴリ集合K={ki }
【数12】
【0079】追加
【数13】
【0080】このとき、ベイズ推定を用いると、事後確
率P(ki |r)は、上記式(2)と同じである。
【0081】
【数14】 P(r|ki )は次のように表わされる。
【0082】
【数15】
【0083】P(ki )は、3節と同様に求まっている
ものとする。n(K)は、3節よりも増えるため、単純
にはP(ki )は3節よりも小さな値となることに注意
する。
【0084】4.2.実用に向けた近似 4.2.1.文字列のない部分に対する近似と文字数正
規化(Normalization) 上記式(13)の第1項を次のように近似する。
【0085】
【数16】 1行目の近似は、「入力パターンxの全文字のうち文字
列wbが当てはまっていない部分への、wbによる影響
を無視する」というものである。2行目は、「各rk が
独立である」というものである。実際にはそうではな
く、粗い近似ではあるが、非常に有効である。
【0086】同様に、上記式(13)の第3項も近似す
ると、上記式(13)は次のようになる。
【0087】
【数17】
【0088】ここで、P(ki |r)/P(ki )とい
う値を考える。これは、ki である確率が、特徴rを知
ることでどれほど増減したかを示す値である。
【0089】
【数18】
【0090】上記式(16)の2行目の分母で用いてい
る近似は、上記式(14)と同様である。
【0091】この結果は非常に重要である。上記式(1
6)の右辺には、全文字のうち文字列wbが当てはまっ
ていない部分に関する記述はない。すなわち、上記式
(16)は、入力パターンxが何であるかに無関係であ
る。このことから、文字列wbの位置、長さは気にせず
に上記式(16)を計算し、P(ki )をかけること
で、P(ki |r)を計算できることがわかる。
【0092】上記式(16)の分子を見ると、上記式
(3)、つまり文字数を一定とした場合のP(r|ki
)と同じ式になっている。これは、上記式(16)は
分母によって文字数の正規化を行っているといえる。
【0093】4.2.2. 1位候補を用いた場合 ここで、特徴として3.2.1節のように「1位候補の
文字」を用いたとする。すると、P(rk )の近似とし
て次のものが考えられる。
【0094】
【数19】
【0095】実際には、各文字の生起確率を考慮する必
要があり、それを無視したものである。このとき、3.
2.2節の近似も用いて上記式(16)を近似すると、
次の式となる。
【0096】
【数20】 n(E)Ljにより正規化がなされている。
【0097】4.3.具体例 たとえば、郵便物の宛名読取りにおいて、都市名を読む
ことを考える。
【0098】・単語を分けて書く言語(英語など)であ
り、複数単語の都市名が存在するとき ・単語を分けて書かない言語(日本語など)のとき 以上のとき、各候補の文字数は一定にはならない。例と
して、図8に示すような、英語で書かれた郵便物Pの宛
名読取りにおいて、都市名を読むことを考える。図9
は、上述した切出し処理により切出された都市名が書か
れていると考えられる部分に対応する文字パターンの切
出し処理結果であり、2文字単語の後、スペースが空い
て、その後に3文字の単語が存在することが検出されて
いる。単語辞書10としては、図10に示すように、図
9に当てはまる文字数、単語数を持つ都市名が全て格納
されている。この場合、都市名として、「COH」(k
1)、「LE ITH」(k2)、「OTH」(k
3)、「SK」(k4)、「STLIN」(k5)の5
つが格納されている。
【0099】図9の各文字パターンに対して上述した文
字認識処理により文字認識を行う。この各文字パターン
ごとの文字認識結果を基に、図10の各都市名ごとの事
後確率を計算する。
【0100】計算に用いる特徴(=文字認識結果)は様
々であるが、ここでは1位候補の文字を用いた例を示
す。この場合、図9の各文字パターンに対して、文字認
識結果が左の文字から順に「S、K、C、T、H」とな
っている。文字認識結果が「S、K、C、T、H」であ
ったとき、実際には、右の3文字に「COH」が書かれ
ているという確率P(ki |r)は、4.2.1節で述
べた近似を用いると、上記式(16)により、
【数21】
【0101】から計算できる。さらに、3.2.2節、
4.2.2節で述べた近似を用いれば、たとえば、p=
0.5、n(E)=26のときは、q=0.02である
から、
【数22】
【0102】同様にして
【数23】
【0103】ただし、k3 は右3文字が「OTH」であ
り、k4 は左2文字が「SK」であるとしたものであ
る。
【0104】P(k1 )〜P(k5 )を等しいと見なせ
ば、事後確率P(ki |r)の大小は上記式(20)、
式(21)の大小を比較すればよく、最も大きいのはP
(k4 |r)であるので、図8に書かれている都市名は
「SK」であると推定される。
【0105】3.2.2節の近似を用いず、3.2.1
節で述べたように、あらかじめ各P(ei |cj )を求
めて、それを計算に用いた場合の例もあげておく。
【0106】「C」と「L」、「T」と「I」、「H」
と「N」の形状が似ていることから、
【数24】
【0107】であるとし、他の文字に関しては、3.
2.2節の近似が成り立つとする。確率テーブル11は
図11のようになる。このとき、
【数25】
【0108】であり、P(k5 |r)/P(k5 )が最
も大きな値となり、図8に書かれていると推定される都
市名は「ST LIN」となる。
【0109】このように、第1の実施の形態では、認識
すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに認識処
理を行い、あらかじめ認識すべき単語の候補が格納され
ている単語辞書内の各単語の各文字を条件として文字認
識結果として得られた特徴が出現する確率を求め、この
求めた確率を文字認識結果として得られた特徴が出現す
る確率で除算し、単語辞書内の各単語の各文字に対して
それぞれ求めた上記各除算結果を全ての文字について乗
算し、この乗算結果に基づき上記単語の認識結果を得る
ものである。
【0110】すなわち、文字認識結果を用いた単語認識
において、単語の文字数が一定とは限らない場合にも用
いることのできる、事後確率を基にした評価関数を用い
ることにより、単語の文字数が一定でない場合において
も精度良く単語認識が行える。
【0111】次に、本発明の第2の実施の形態として
の、単語切出しが曖昧であるとき、その曖昧さまで事後
確率の計算に含めたベイズ推定について説明する。この
場合のベイズ推定は、単語切れ目の誤検出が無視できな
いときに有用となる。
【0112】5.単語切出しの統合 単語を分けて書く言語(英語など)においては、4節ま
でで述べた方法では、単語が必ず正しく切出されている
という前提があり、これが満たされず文字数に変化があ
ると対応できない。そこで、本節では、単語切出しの結
果を絶対とせず、確率として扱うことで、単語切出しの
曖昧さを単語認識におけるベイズ推定に統合する。4節
との大きな違いは、単語切出しの結果として得られる文
字間の特徴を考慮していることである。
【0113】5.1.定式化 ここでも文字の切出しは完全に成功しており、ノイズの
混入もないとする。4節の定義を基に次のように追加変
更する。
【0114】変更 ・入力パターンxを行とする。
【0115】・L:入力行x内の全文字数 ・カテゴリ集合K={ki }
【数26】
【0116】追加
【数27】
【0117】変更 ・特徴r=(rc ,rs ) rc :文字特徴、rs :文字間特徴 追加
【数28】 このとき、事後確率P(ki |r)は以下の式で表わさ
れる。
【0118】
【数29】
【0119】ここで、P(rs |ki )とP(rc |k
i )が独立であると仮定すると(これは文字特徴抽出と
文字間特徴抽出が独立であることを意味する)、P(r
c |rs ,ki )=P(rc |ki )であるから、上記
式(23)は以下のようになる。
【0120】
【数30】 P(rc |ki )は、上記式(13)とほぼ同様であ
る。
【0121】
【数31】 P(rs |ki )は次のように表わされる。
【0122】
【数32】
【0123】P(ki )は、4節までと同様に求まって
いるものとする。ただし、一般にn(K)は4節のとき
よりも大幅に増えることに注意する。
【0124】5.2.実用に向けた近似 5.2.1.文字列のない部分に対する近似と文字数正
規化 4.2.1節と同様の近似を上記式(25)に用いると
次のようになる。
【0125】
【数33】 同様に、上記式(26)は次のように近似される。
【0126】
【数34】
【0127】4.2.1節と同様、P(ki |r)/P
(ki )という値を考えると、以下のように変形され
る。
【0128】
【数35】
【0129】上記式(29)の1行目は、上記式(2
4)による。2行目は、
【数36】
【0130】という近似を用いている。上記式(29)
は、「ki である確率の、『特徴』を知ることによる変
化」はrc とrs で独立に扱えることを示している。以
下にそれぞれを計算する。
【0131】
【数37】
【0132】
【数38】
【0133】上記式(30)、式(31)の2行目の分
母で用いている近似は、上記式(14)と同様である。
なお、式(31)の3行目において、rs0,rsLは必ず
行先頭、最後尾《次節5.2.2の例ではd3 》である
ので、P(rs0)=P(rsL)=1である。
【0134】以上より、
【数39】
【0135】上記式(16)と同様、上記式(32)も
文字列wcの当てはまらない部分に関する記述はない。
すなわち、この場合も「分母による正規化」の考え方が
できる。
【0136】5.2.2.文字間特徴rs の一例 例として次のように定義する。
【0137】・文字間特徴集合D={d0 ,d1 ,d2
(,d3 )} d0 :文字間が広い d1 :文字間が狭い d2 :接触している (d3 :行の先頭または最後尾であり、必ず単語切れ目
である) ・rs ∈D このとき、
【数40】
【0138】をあらかじめ求めておくことで、上記式
(32)の第2項分子
【数41】 を求めることができる。ただし、P(d3 |s2 )=1
である。
【0139】また、
【数42】
【0140】を求めておくことで、上記式(32)の第
2項分母P(rsk)を求めることができる。
【0141】5.3.具体例 4.3節と同様に、英語の郵便物の宛名読取りにおい
て、都市名を読むことを考える。
【0142】たとえば、図12に示すような、英語で書
かれた郵便物Pの宛名読取りにおいて、都市名を読むこ
とを考える。図13は、上述した切出し処理により切出
された都市名が書かれていると考えられる部分に対応す
る文字パターンの切出し処理結果であり、全部で5文字
であることが検出されている。1−2文字目は接触して
おり、2−3文字目の間は広く、3−4文字目の間、4
−5文字目の間は狭いことが検出されている。図14
(a)から(c)は単語辞書10の内容であり、全ての
都市名が格納されている。この場合、都市名として、図
14(a)に示す、「ST LIN」、図14(b)に
示す、「SLIM」、図14(c)に示す、「SIM」
の3つが格納されている。各都市名の下に記載された記
号(s0 ,s1 )は単語切れ目か否かを示すものであ
り、s0 は単語切れ目、s1 は単語切れ目でないとこ
ろ、である。
【0143】図15は、カテゴリの集合を図示したもの
である。カテゴリには位置情報が含まれるため、単語辞
書10とは異なる。カテゴリk1 は図14(a)の単語
から作られ、カテゴリk2 ,k3 は図14(b)の単語
から作られ、カテゴリk4 ,k5 ,k6 は図14(c)
の単語から作られている。カテゴリk1 は「STLI
N」、カテゴリk2は「SLIM 」、カテゴリk3 は
「 SLIM」、カテゴリk4 は「SIM 」、カテ
ゴリk5 は「 SIM 」、カテゴリk6 は「SIM」
となっている。
【0144】図13の各文字パターンに対して上述した
文字認識処理により文字認識を行う。この文字認識結果
が図15の各カテゴリの事後確率の計算に用いられる。
計算に用いる特徴(=文字認識結果)は様々であるが、
ここでは1位候補の文字を用いた例を示す。
【0145】この場合、図13の各文字パターンに対し
て文字認識結果が左の文字から順に「S、S、L、I、
M」となっている。
【0146】文字間の特徴も様々なものが考えられる
が、ここでは5.2.2節で述べた例を用いる。図13
には各文字間の特徴を示している。1−2文字目の間は
接触しているため、文字間の特徴はd2 である。2−3
文字目の間は広いため、文字間の特徴はd0 である。3
−4文字目の間、4−5文字目の間は狭いため、文字間
の特徴はd1 である。
【0147】5.2.1節で述べた近似を用いると、カ
テゴリk1 の生起確率の、文字認識結果「S、S、L、
I、M」を知ることによる変化P(k1 |rc )/P
(k1)は、上記式(30)により、
【数43】
【0148】である。カテゴリk1 の生起確率の、図1
3の文字間特徴を知ることによる変化P(k1 |rs )
/P(k1 )は、上記式(31)により、
【数44】 である。
【0149】上記式(33)の計算をするために、3.
2.2節、4.2.2節で述べた近似を用いれば、たと
えば、p=0.5、n(E)=26のときは、q=0.
02であるから、上記式(33)は次のように計算され
る。
【0150】
【数45】
【0151】上記式(34)の計算をするために、あら
かじめ
【数46】 を求めておく必要がある。例として、下記表1、表2の
値が得られたとする。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】上記表1は
【数47】
【0155】の値、表2はP(dk |sl)の値を表に
したものである。この場合、
【数48】
【0156】の関係にあることに注意する。実際に上記
式(34)の計算に必要なのは、P(dk |sl )/P
(dk )であるので、それを計算したものが下記表3で
ある。
【0157】
【表3】 上記表3の値を基にして、上記式(34)は次のように
計算される。
【0158】
【数49】
【0159】上記式(29)より、カテゴリk1 の生起
確率の、文字認識結果「S、S、L、I、M」および図
13の文字間特徴を知ることによる変化P(k1 |r)
/P(k1 )は、上記式(35)、式(36)の積で表
わされるので、次のようになる。
【0160】
【数50】
【0161】同様に、k2 〜k6 についても、P(ki
|rc )/P(ki )、P(ki |rs )/P(ki
)、P(ki |r)/P(ki )を求めると、以下の
ようになる。
【0162】
【数51】
【0163】
【数52】
【0164】
【数53】
【0165】上記式(37)、式(40)の中で最大な
のはカテゴリk1 である。したがって、推定結果は「S
T LIN」となる。
【0166】文字間の特徴を用いない4節の方法では、
上記式(35)、式(38)の中で最大であるカテゴリ
k3 が推定結果となるが、文字間の特徴まで統合するこ
とで、総合的に最もマッチしていると考えられるカテゴ
リk1 が選ばれていることがわかる。
【0167】このように、第2の実施の形態では、認識
すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切出
し、この文字切出しによって文字間の特徴を抽出すると
ともに、上記文字切出しによって得られる各文字に対し
てそれぞれ認識処理を行い、あらかじめ認識すべき単語
と単語の文字間の特徴の候補が格納されている単語辞書
内の各単語の各文字および文字間の特徴を条件として文
字認識結果として得られた特徴が出現する確率を求め、
この求めた確率を文字認識結果として得られた特徴が出
現する確率で除算し、単語辞書内の各単語の各文字およ
び文字間の特徴に対してそれぞれ求めた上記各演算結果
を全ての文字および文字間について乗算し、この乗算結
果に基づき上記単語の認識結果を得るものである。
【0168】すなわち、文字認識結果を用いた単語認識
において、少なくとも単語切出しの曖昧さをも考慮し
た、事後確率を基にした評価関数を用いることにより、
単語切出しが確実でない場合にも精度良く単語認識が行
える。
【0169】次に、本発明の第3の実施の形態として
の、文字接触、ノイズ混入のあるときのベイズ推定につ
いて説明する。この場合のベイズ推定は、文字接触、ノ
イズ混入が無視できないときに有用となる。
【0170】6.文字接触、ノイズ混入の統合 5節までで述べた方法では、文字が必ず正しく切出され
ているという前提があり、これが満たされずに文字接触
があると対応できない。また、ノイズの混入にも対応で
きない。そこで、本節では、カテゴリを変更することに
より、文字接触、ノイズの混入に対応したベイズ推定を
行う。
【0171】6.1.定式化 5節の定義を基に、次のように定義を追加変更する。
【0172】変更 ・カテゴリK={ki }
【数54】
【0173】追加
【数55】
【0174】・a0 :作用なし 該当2文字間に何もしない。
【0175】・a1 :接触 該当2文字を接触させる。この作用により、該当2文字
は1つの非文字に変換される。
【0176】例 「ONTARIO」の「T」と「A」
とを接触→ON#RIO(#は接触による非文字) ・a2 :ノイズ混入 該当2文字間にノイズ(非文字)を挿入する。
【0177】例 「ONT」の「N」と「T」との間に
ノイズを挿入→ON*T(*はノイズによる非文字) ただし、l=0,Lj のときは、それぞれ文字列wcの
左端、右端にノイズがあるとする。また、本定義では、
ノイズが2文字以上連続して混入することはないと仮定
している。
【0178】・非文字γ∈C 文字接触、ノイズ混入を考慮することによる非文字を同
一視してγとし、文字集合Cに含める。
【0179】このとき、事後確率P(ki |r)は上記
式(23)、式(24)と同様である。
【0180】
【数56】 P(rc |ki )もほぼ上記式(25)と同様である。
【0181】
【数57】 P(rs |ki )もほぼ上記式(26)と同様である。
【0182】
【数58】
【0183】6.2. P(ki )について P(wc)がわかっているものとする。ここで、P(w
c)は、実際には、たとえば、郵便物Pの宛名読取りで
あれば、書状内での位置、行内での位置などの影響を受
けるが、それらの期待値として与えられるものとする。
このとき、P(wd)とP(wc)は次のような関係に
あると考えられる。
【0184】
【数59】
【0185】すなわち、文字接触とノイズ混入は、接触
確率P(a1 )、ノイズ混入確率P(a2 )を与えるこ
とで、5節までの枠組みに統合できる。ただし、上記式
(44)で
【数60】
【0186】は両端のノイズの有無に関する項であり、
一般に文字間と両端ではノイズの存在する確率が異なる
ため、ノイズ混入確率P(a2 )とは別に値を定めるも
のとする。
【0187】P(wc)とP(wc,h)や、P(w
d)とP(wd,h)の関係は、先ほども述べたような
影響(書状内での位置など)をどうモデル化し、近似す
るかによるため、ここでは触れない。
【0188】6.3.非文字γについて 文字特徴として、3.2.1節のように、「1位候補の
文字」を用いた場合を考える。非文字γを特徴抽出した
とき、出現する1位候補の文字はどれも同様に確からし
いと考えられる。そこで、次のように非文字を扱う。
【0189】
【数61】
【0190】6.4.具体例 5.3節と同様に、たとえば、図16に示すような、英
語の郵便物Pの宛名読取りにおいて、都市名を読むこと
を考える。
【0191】本節の特徴を分かりやすくするため、単語
切出しが完全に成功しており、また、カテゴリに複数単
語からなる文字列が存在しないという前提を設ける。図
17は上述した切出し処理により切出された都市名が書
かれていると考えられる部分に対応する文字パターンの
切出し処理結果であり、全部で5文字であることが検出
されている。単語辞書10としては、図18に示すよう
に、都市名が全て格納されている。この場合、都市名と
して、「SISTAL」、「PETAR」、「STA
L」の3つが格納されている。
【0192】図19は、カテゴリ集合を図示したもので
あり、単語辞書10を基に作られる派生文字列のうち、
5文字であるものが列挙されている。全ての5文字の派
生文字列を列挙すると、たとえば、「PETAR」より
派生する「P#A*R」なども含まれなければならない
が、6.2節に述べた接触確率P(a1 )、ノイズ混入
確率P(a2 )がある程度以上小さい場合は無視するこ
とができる。本例では無視することにする。
【0193】カテゴリk1 〜k5 は、「SISTAL」
の単語から作られ、カテゴリk6 は、「PETAR」の
単語であり,カテゴリk7 〜k11は「STAL」の単語
から作られている。カテゴリk1 は「#STAL」、カ
テゴリk2は「S#TAL」、カテゴリk3 は「SI#
AL」、カテゴリk4 は「SIS#L」、カテゴリk5
は「SIST#」、カテゴリk6 は「PETAR」、カ
テゴリk7 は「*STAL」、カテゴリk8は「S*T
AL」、カテゴリk9 は「ST*AL」、カテゴリk10
は「STA*L」、カテゴリk11 は「STAL*」と
なっている。
【0194】図17の各文字パターンに対して上述した
文字認識処理により文字認識を行う。この各文字パター
ンごとの文字認識結果を基に、図19に示す各カテゴリ
ごとの事後確率を計算する。
【0195】計算に用いる特徴(=文字認識結果)は様
々であるが、ここでは1位候補の文字を用いた例を示
す。この場合、図17の各文字パターンに対して、文字
認識結果が左の文字から順に「S、E、T、A、L」と
なっている。これにより、図19に示すカテゴリk2
(S#TAL)の生起確率の、文字認識結果を知ること
による変化P(k2 |r)/P(k2 )は、上記式(1
6)より、
【数62】
【0196】である。さらに、3.2節、4.2.2節
で述べた近似を用いれば、たとえば、p=0.5、n
(E)=26のときは、q=0.02であるから、上記
式(46)は次のように計算される。
【0197】
【数63】
【0198】計算過程を見ると、結局、非文字以外の4
文字について計算していることと等価になっている。同
様にして、他のカテゴリについても計算される。ここで
は代表として、大きな値を示すと容易に推察されるk6
,k7 ,k8 について計算する。
【0199】
【数64】
【0200】これらの比較に際し、5節まではP(ki
)を等しいと見なしていたが、本節では6.2節で述
べたように、文字接触、ノイズ混入を考慮することによ
って、P(ki )に変化が生じている。そこで、変化が
生じる前のP(ki )を、全て等しいと見なしてP(k
i )=P0 とおくことにする。P0 は、上記式(44)
におけるP(wc)であると考えることができる。ま
た、変化が生じた後のP(ki )は、上記式(44)に
おけるP(wd)と考えられる。したがって、変化が生
じた後のP(ki )は次のようになる。
【0201】
【数65】
【0202】ここで、接触確率P(a1 )=0.05、
文字間ノイズ混入確率P(a2 )=0.002、両端ノ
イズ混入確率P′(a2 )=0.06とすると、たとえ
ば、P(k2 )は次のように計算される。
【0203】
【数66】
【0204】計算中、文字間において文字接触もノイズ
混入もない確率P(a0 )=1−P(a1 )−P(a2
)=0.948、両端においてノイズ混入のない確率
P′(a0 )=1−P′(a2 )=0.94を用いてい
る。
【0205】同様にして、P(k6 ),P(k7 ),P
(k8 )を計算すると、
【数67】
【0206】上記式(50)、式(51)を上記式(4
7)、式(48)に用いて変形すると、以下のようにな
る。
【0207】
【数68】
【0208】参考までに他のカテゴリについて同様な計
算をすると、以下のようになる。
【0209】
【数69】
【0210】以上より、事後確率が最も大きいのはカテ
ゴリk2 であり、図16に書かれている都市名は「SI
STAL」で、「I」と「S」とが接触していると推定
される。
【0211】このように、第3の実施の形態は、単語辞
書内の各単語の各文字には、文字に加えて非文字の情報
を含ませ、かつ、非文字の情報を含む文字の単語の出現
確率は、非文字の情報を含まない文字の単語の出現確率
を基に設定することにより、文字認識結果を用いた単語
認識において、文字接触やノイズ混入をも考慮した、事
後確率を基にした評価関数を用いて単語認識を行うこと
ができ、これにより、文字接触やノイズ混入がある場合
にも精度良く単語認識が行える。
【0212】次に、本発明の第4の実施の形態として
の、文字の切出しが一意に定まらないときのベイズ推定
について説明する。この場合のベイズ推定は、漢字や仮
名など、分離のある文字では有用である。また、英語に
おける筆記体など、実際の文字どうしの切れ目以外にも
多くの切れ目の候補を出さざるを得ない場合にも有用で
ある。
【0213】7.文字切出しの統合 6節までで述べてきた方法では、文字自体が分離するこ
とはないという前提があった。しかし、漢字や仮名な
ど、文字自体が2つ以上に分離する場合もある。たとえ
ば、『明』という漢字は、文字切出しを行うと、へんと
つくりが別々に文字候補として切出される。このとき、
2つの文字候補を結合するべきか、別々にするべきか、
により、複数の文字切出し候補が現われる。
【0214】このような文字の分離には、6節までの方
法では対応できない。また、逆に文字接触が多く、それ
を切る処理をしている場合、実際に接触しているところ
だけでなく、文字自体を切ってしまうこともある。後で
詳しく述べるが、認識の戦略として文字自体の切断をあ
る程度許容する方が、性能がよい。この場合も同様に、
6節までの方法では対応できない。そこで、本節では、
文字の分離による複数の文字切出し候補に対応したベイ
ズ推定を行う。
【0215】7.1.文字切出しについて 文字が接触することのある対象における文字切出しにお
いては、文字接触を切る処理が行われる。この処理にお
いて、「文字の切れ目でない箇所」が切れ目候補に挙が
る場合と、「文字の切れ目」が切れ目候補に挙がらない
場合を比べると、後者の方が認識に悪影響を与える。理
由は次の通りである。
【0216】・「文字の切れ目でない箇所」が切れ目候
補に挙がる場合 「切れ目候補で切った場合」と「切らない場合」を試す
ことができるので、切り過ぎたことで正しい文字切出し
がなくなるわけではない。
【0217】・「文字の切れ目」が切れ目候補に挙がら
ない場合 正しい文字切出しを得る手段はない。
【0218】このため、文字切出しにおいて、文字の切
れ目以外にも多くの切れ目候補を挙げておくことは有用
である。しかし、「切れ目候補で切った場合」と「切ら
ない場合」を試すということは、複数の文字切出しパタ
ーン候補があることになる。6節までで述べてきた方法
では、異なる文字切出しパターン候補間の比較はできな
い。そこで、以下に説明する方法でこれを解決する。
【0219】7.2.定式化 6節の定義を基に、次のように定義を追加変更する。
【0220】変更 ・切れ目状態の集合S={s0 ,s1 ,s2 (,s3
)} s0 :単語切れ目である、s1 :文字切れ目である、s
2 :文字切れ目ではない、(s3 :行先頭または最後
尾) 5節以降で定義していた『切れ目である』は「単語切れ
目である」の意味であり、s0 にあたる。『切れ目でな
い』はs1 とs2 に分かれたことになる。
【0221】・L:切れ目候補で分割された部分(これ
を「セル」と呼ぶことにする)の個数 追加
【数70】
【0222】変更 ・カテゴリK={ki }
【数71】
【0223】追加
【数72】
【0224】変更
【数73】
【0225】このとき、事後確率P(ki |r)は、や
はり上記式(23)、式(24)と同様である。
【0226】
【数74】 P(rc |ki )は次のように表わされる。
【0227】
【数75】 P(rs |ki )は次のように表わされる。
【0228】
【数76】
【0229】P(ki )は、本節ではカテゴリki にm
jkが含まれているため、その影響を考慮する必要があ
る。個々の文字の当てはまるユニットの形状、ユニット
に当てはまっている文字、近傍ユニット間の形状バラン
スなどが影響すると考えられるが、そのモデル化につい
てはここでは触れない。
【0230】7.3.実用に向けた近似 7.3.1.文字列のない部分に対する近似と文字数正
規化 4.2.1節と同様の近似を上記式(54)に用いる
と、次のようになる。
【0231】
【数77】
【0232】実際には、rcn1n3とrcn1n2,rcn2cn3と
の間には何らかの相関があると考えられるため、この近
似は4.2.1節のときよりもさらに粗いものである。
【0233】また、上記式(55)も同様に近似すると
次のようになる。
【0234】
【数78】
【0235】さらに、5.2.1節と同様に、P(ki
|r)/P(ki )を計算すると次のようになる。
【0236】
【数79】
【0237】上記式(32)と同様、上記式(58)も
派生文字列wdの当てはまっていない部分に関する記述
はなく、「分母による正規化」の考え方ができる。
【0238】7.3.2.切れ目と文字間特徴rs につ
いて 6節までと違い、本節では切れ目状態としてs2 (文字
切れ目でない)があるので、文字間特徴集合として5.
2.2節と同様にDを用いた場合、
【数80】
【0239】を求めておけばよいことになる。ここで注
意しなければならないのは、これらは全て7.1節で述
べたように、「切れ目候補」として挙がった部分におけ
る話であることである。s2 (文字切れ目でない)は、
「切れ目候補として挙がったが切れ目ではない」という
意味であり、
【数81】 を求める際に気をつける必要がある。
【0240】
【数82】 を求める際も同様である。
【0241】7.4.具体例 6.4節と同様に、英語の郵便物の宛名読取りにおい
て、都市名を読むことを考える。
【0242】本節の特徴を分かりやすくするため、単語
切出しが完全に成功しており、カテゴリに複数の単語か
らなる文字列が存在せず、ノイズの混入もなく、文字切
出しによって全ての文字切れ目が検出されている(すな
わち、6節のようにノイズ、接触文字に関するカテゴリ
が必要ない)とする。
【0243】図20は、都市名が書かれていると考えら
れる部分であり、5つのセルがある。図21(a)〜図
21(d)は、考えられる文字切出しパターン候補であ
る。本例では、簡単のため、セル2と3、セル4と5の
間は必ず切れることがあらかじめ分かっているとした
(切れない確率がごく小さいため、無視したと考えても
よい)。
【0244】すると、切れ目候補はセル1と2、セル3
と4の間であり、考えられる文字切出しパターン候補を
列挙すると、図21(a)〜図21(d)のようにな
る。図22は単語辞書10の内容であり、全ての都市名
が格納されている。本例では、都市名は3候補ある。
【0245】この場合、都市名として、「BAYG
E」、「RAGE」、「ROE」の3つが格納されてい
る。
【0246】図23(a)〜図23(d)は、カテゴリ
集合を図示したものである。単語切出しが完全に成功し
ているという前提なので、「BAYGE」は図21
(a)、「RAGE」は図21(b)、図21(c)、
「ROE」は図21dにのみ当てはまる。
【0247】図23(a)に示すカテゴリk1におい
て、セル1−2間、セル3−4の間は共に、「文字の切
れ目」(S1)となっている。
【0248】図23(b)に示すカテゴリk2におい
て、セル1−2間は、「文字の切れ目」(S1)とな
り、セル3−4の間は「文字の切れ目でない」(S2)
となっている。
【0249】図23(c)に示すカテゴリk3におい
て、セル1−2間は、「文字の切れ目でない」(S2)
となり、セル3−4の間は「文字の切れ目」(S1)と
なっている。
【0250】図23(d)に示すカテゴリk4におい
て、セル1−2間、セル3−4の間は共に、「文字の切
れ目でない」(S2)となっている。
【0251】図21(a)〜図21(d)に現れる各ユ
ニットを文字認識にかけ、その文字認識結果が図23
(a)〜図23(d)のカテゴリの事後確率の計算に用
いられる。計算に用いる特徴(=文字認識結果)は様々
であるが、ここでは1位候補の文字を用いた例を示す。
【0252】図24は、各ユニットの認識結果を示して
いる。たとえば、セル1と2とを結合したユニットは、
認識結果の1位が「R」であったことを示す。
【0253】文字間特徴も様々なものが考えられるが、
ここでは5.2.2節で述べた例を簡略化して、次のよ
うなものを用いる。
【0254】・文字間特徴集合D′={d′1 ,d′2
} d′1 :接触していない d′2 :接触している 図25は、セル1−2間、3−4間の文字間特徴を示し
ている。1−2間は接触しておらず、3−4間は接触し
ている。
【0255】7.3.1節で述べた近似を用いると、カ
テゴリk1 (BAYGE)の生起確率の、図24の認識
結果を知ることによる変化P(k1 |rc )/P(k1
)は、上記式(58)より、
【数83】
【0256】である。カテゴリk1 の生起確率の、図2
5の文字間特徴を知ることによる変化P(k1 |rs )
/P(k1 )は、上記式(58)より、
【数84】 である。
【0257】上記式(59)の計算をするために、3.
2.2節、4.2.2節で述べた近似を用いれば、たと
えば、p=0.5、n(E)=26のときは、q=0.
02であるから、上記式(59)は次のように計算され
る。
【0258】
【数85】
【0259】上記式(60)の計算をするために、あら
かじめ
【数86】 を求めておく必要がある。例として下記表4、表5の値
が得られたとする。
【0260】
【表4】
【0261】
【表5】
【0262】上記表4は
【数87】
【0263】の値、表5はP(d'k |sl )の値を表
にしたものである。この場合、
【数88】
【0264】の関係にあることに注意する。実際に上記
式(60)の計算に必要なのは、P(d'k |sl )/P
(d'k )であるので、それを計算したものが下記表6
である。
【0265】
【表6】 上記表6の値を基にして、上記式(60)は次のように
計算される。
【0266】
【数89】
【0267】上記式(60)より、カテゴリk1 の生起
確率の、図24の文字認識結果および図25の文字間特
徴を知ることによる変化P(k1 |r)/P(k1 )
は、上記式(61)、式(62)の積で表わされるの
で、次のようになる。
【0268】
【数90】
【0269】同様に、k2 〜k4 についても、P(ki
|rc )/P(ki )、P(ki |rs )/P(ki
)、P(ki よr)/P(ki )を求めると、以下の
ようになる。
【0270】
【数91】
【0271】
【数92】
【0272】
【数93】
【0273】これらの比較に際し、5節まではP(ki
)を等しいと見なしていたが、本節では文字の形状を
考慮にいれる。
【0274】図21(d)は各ユニットの幅が揃ってい
る。図21(a)はそれに次いで揃っている。しかし、
図21(b)、図21(c)は不揃いである。
【0275】この揃っているかどうかの度合いを何らか
の方法でモデル化してP(ki )に反映させれば、より
正確な単語認識が可能になるが、ここではその方法は問
わない。
【0276】本例では、その結果として、
【数94】
【0277】になったとする。比例定数をP1 とし、上
記式(63)、式(66)に上記式(67)を用いて変
形すると、以下のようになる。
【0278】
【数95】
【0279】以上より、事後確率が最も大きいのはカテ
ゴリk1 であり、図16に書かれている都市名は「BA
YGE」であると推定される。
【0280】図24の文字認識による結果が最も大きい
のは、上記式(61)、式(64)よりカテゴリk3 で
あり、図25の文字間特徴による結果が最も大きいの
は、上記式(62)、式(65)よりカテゴリk2 であ
り、文字形状のバランスの評価が最も高いのはカテゴリ
k4 であるが、全てを統合した推定を行うことで、カテ
ゴリk1 を選ぶことができている。
【0281】このように、第4の実施の形態では、認識
すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切出す
とともに、この文字切出しによって文字間の接離を考慮
した複数種類の切出し結果を求め、この求めた全ての切
出し結果の各文字に対してそれぞれ認識処理を行い、あ
らかじめ認識すべき単語と単語の文字間の特徴の候補が
格納されている単語辞書内の各単語の各文字および文字
間の特徴を条件として文字認識結果として得られた特徴
が出現する確率を求め、この求めた確率を文字認識結果
として得られた特徴が出現する確率で除算し、単語辞書
内の各単語の各文字および文字間の特徴に対してそれぞ
れ求めた上記各演算結果を全ての文字および文字間につ
いて乗算し、この乗算結果に基づき上記単語の認識結果
を得るものである。
【0282】すなわち、文字認識結果を用いた単語認識
において、少なくとも文字切出しの曖昧さをも考慮し
た、事後確率を基にした評価関数を用いることにより、
文字切出しが確実でない場合にも精度良く単語認識が行
える。
【0283】本発明によれば、文字認識結果を用いた単
語認識において、単語の文字数が一定とは限らない場合
にも用いることのできる事後確率を基にした評価関数を
用いることにより、単語の文字数が一定でない場合にお
いても精度良く単語認識が行える。
【0284】また、本発明によれば、文字認識結果を用
いた単語認識において、少なくとも単語切出しの曖昧さ
をも考慮した事後確率を基にした評価関数を用いること
により、単語切出しが確実でない場合にも精度良く単語
認識が行える。
【0285】また、本発明によれば、文字認識結果を用
いた単語認識において、少なくとも文字接触をも考慮し
た事後確率を基にした評価関数を用いることにより、文
字接触がある場合にも精度良く単語認識が行える。
【0286】また、本発明によれば、文字認識結果を用
いた単語認識において、少なくともノイズ混入をも考慮
した事後確率を基にした評価関数を用いることにより、
ノイズ混入がある場合にも精度良く単語認識が行える。
【0287】さらに、本発明によれば、文字認識結果を
用いた単語認識において、少なくとも文字切出しの曖昧
さをも考慮した事後確率を基にした評価関数を用いるこ
とにより、文字切出しが確実でない場合にも精度良く単
語認識が行える。
【0288】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、単語の文字数が一定でない場合においても精度良く
単語認識が行える単語認識方法および単語認識プログラ
ムを提供できる。
【0289】また、この発明によれば、単語切出しが確
実でない場合にも精度良く単語認識が行える単語認識方
法および単語認識プログラムを提供できる。
【0290】また、この発明によれば、文字接触やノイ
ズ混入がある場合にも精度良く単語認識が行える単語認
識方法および単語認識プログラムを提供できる。
【0291】さらに、この発明によれば、文字切出しが
確実でない場合にも精度良く単語認識が行える単語認識
方法および単語認識プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る単語認識方
法を実現するための単語認識システムの構成を概略的に
示すブロック図。
【図2】図2は、宛名が記載されている郵便物の記載例
を示す図。
【図3】図3は、単語認識方法の概略を説明するフロー
チャート。
【図4】図4は、都市名として切出された文字パターン
を示す図
【図5】図5は、単語辞書の内容を示す図。
【図6】図6は、確率テーブルの内容を示す図。
【図7】図7は、確率テーブルの内容を示す図。
【図8】図8は、宛名が記載されている郵便物の記載例
を示す図。
【図9】図9は、都市名として切出された文字パターン
を示す図
【図10】図10は、単語辞書の内容を示す図。
【図11】図11は、確率テーブルの内容を示す図。
【図12】図11は、宛名が記載されている郵便物の記
載例を示す図。
【図13】図13は、都市名として切出された文字パタ
ーンを示す図
【図14】図14は、単語辞書の内容を示す図
【図15】図15は、図14の単語辞書に対するカテゴ
リの集合を示す図。
【図16】図16は、宛名が記載されている郵便物の記
載例を示す図。
【図17】図17は、都市名として切出された文字パタ
ーンを示す図
【図18】図18は、単語辞書の内容を示す図。
【図19】図19は、図18の単語辞書に対するカテゴ
リの集合を示す図。
【図20】図20は、都市名として切り出されセルを示
す図。
【図21】図21は、文字切出しパターン候補を示す
図。
【図22】図22は、単語辞書の内容を示す図。
【図23】図23は、図22の単語辞書に対するカテゴ
リの集合を示す図。
【図24】図24は、文字切出しパターン候補に対する
各ユニットの認識結果を示す図。
【図25】図25は、文字間特徴を示す図。
【符号の説明】
1…CPU 2…入力装置 3…スキャナ 4…表示装置 5…第1のメモリ 6…第2のメモリ 7…読取装置 8…ROM 9…文字辞書 10…単語辞書 11…確率テーブル

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 認識すべき単語に対応した入力文字列を
    各文字ごとに認識処理を行うことにより文字認識結果を
    得る文字認識処理ステップと、 あらかじめ認識すべき単語の候補が格納されている単語
    辞書内の各単語の各文字を条件として上記文字認識処理
    ステップにより文字認識結果として得られた特徴が出現
    する確率を求める確率算出ステップと、 この確率算出ステップにより求めた確率と上記文字認識
    処理ステップにより文字認識結果として得られた特徴が
    出現する確率との間で所定の第1の演算を行う第1の演
    算ステップと、 上記単語辞書内の各単語の各文字に対してそれぞれ求め
    た上記第1の演算による各演算結果の間で所定の第2の
    演算を行う第2の演算ステップと、 この第2の演算ステップによる第2の演算の結果に基づ
    き上記単語の認識結果を得る単語認識処理ステップと、 を具備したことを特徴とする単語認識方法。
  2. 【請求項2】 上記文字認識処理ステップが、 認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切
    出すステップと、 この文字切出しによって文字間の特徴を抽出するステッ
    プと、 上記文字切出しによって得られる各文字に対してそれぞ
    れ認識処理を行うステップとからなり、 上記確率算出ステップが、あらかじめ認識すべき単語と
    単語の文字間の特徴の候補が格納されている単語辞書内
    の各単語の各文字および文字間の特徴を条件として文字
    認識結果として得られた特徴により、出現する確率を求
    めるものであることを特徴とする請求項1記載の単語認
    識方法。
  3. 【請求項3】 上記単語辞書内の各単語の各文字には、
    文字に加えて非文字の情報を含ませたことを特徴とする
    請求項1記載の単語認識方法。
  4. 【請求項4】 上記非文字の情報を含む単語が出現する
    確率は、非文字の情報を含まない単語が出現する確率を
    基に設定されることを特徴とする請求項3記載の単語認
    識方法。
  5. 【請求項5】 認識すべき単語に対応した入力文字列を
    各文字ごとに切出す切出しステップと、 この切出しステップによる文字切出しによって、文字間
    が接しているかあるいは文字間が離れているかを考慮し
    た複数種類の切出し結果を求めるステップと、このステ
    ップにより求めた全ての切出し結果の各文字に対してそ
    れぞれ認識処理を行う文字認識処理ステップと、 あらかじめ認識すべき単語の候補が格納されている単語
    辞書内の各単語の各文字を条件として上記文字認識処理
    ステップにより文字認識結果として得られた特徴が出現
    する確率を求める確率算出ステップと、 この確率算出ステップにより求めた確率と上記文字認識
    処理ステップにより文字認識結果として得られた特徴が
    出現する確率との間で所定の第1の演算を行う第1の演
    算ステップと、 上記単語辞書内の各単語の各文字に対してそれぞれ求め
    た上記第1の演算による各演算結果の間で所定の第2の
    演算を行う第2の演算ステップと、 この第2の演算ステップによる第2の演算の結果に基づ
    き上記単語の認識結果を得る単語認識処理ステップと、 を具備したことを特徴とする単語認識方法。
  6. 【請求項6】 上記文字認識処理ステップが、 上記文字切出しのステップによる文字切出しによって文
    字間が接しているかあるいは文字間が離れているかを考
    慮した複数種類の切出し結果を求めるステップと、 このステップにより求めた全ての切出し結果に対してそ
    れぞれ文字間の特徴を抽出するステップと、 上記求めた全ての切出し結果の各文字に対してそれぞれ
    認識処理を行うステップとからなり、 上記確率算出ステップが、あらかじめ認識すべき単語と
    単語の文字間の特徴の候補が格納されている単語辞書内
    の各単語の各文字および文字間の特徴を条件として文字
    認識結果として得られた特徴が出現する確率を求めるも
    のであることを特徴とする請求項5に記載の単語認識方
    法。
  7. 【請求項7】 コンピュータに単語認識処理を行わせる
    ための単語認識プログラムであって、 上記単語認識プログラムは、 認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに認
    識処理を行う文字認識処理ステップと、 あらかじめ認識すべき単語の候補が格納されている単語
    辞書内の各単語の各文字を条件として上記文字認識処理
    ステップにより文字認識結果として得られた特徴が出現
    する確率を求める確率算出ステップと、 この確率算出ステップにより求めた確率と上記文字認識
    処理ステップにより文字認識結果として得られた特徴が
    出現する確率との間で所定の第1の演算を行う第1の演
    算ステップと、 上記単語辞書内の各単語の各文字に対してそれぞれ求め
    た上記第1の演算による各演算結果の間で所定の第2の
    演算を行う第2の演算ステップと、 この第2の演算ステップによる第2の演算の結果に基づ
    き上記単語の認識結果を得る単語認識処理ステップと、 を有することを特徴とする単語認識プログラム。
  8. 【請求項8】 上記文字認識処理ステップが、 認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切
    出すステップと、 この文字切出しによって文字間の特徴を抽出するステッ
    プと、 上記文字切出しによって得られる各文字に対してそれぞ
    れ認識処理を行うステップとからなり、 上記確率算出ステップが、あらかじめ認識すべき単語と
    単語の文字間の特徴の候補が格納されている単語辞書内
    の各単語の各文字および文字間の特徴を条件として文字
    認識結果として得られた特徴により、出現する確率を求
    めるものであることを特徴とする請求項7に記載の単語
    認識プログラム。
  9. 【請求項9】 上記文字認識処理ステップが、 認識すべき単語に対応した入力文字列を各文字ごとに切
    出すステップと、 この文字切出しによって文字間の特徴を抽出するステッ
    プと、 上記文字切出しによって得られる各文字に対してそれぞ
    れ認識処理を行うステップと、 からなることを特徴とする請求項7に記載の単語認識プ
    ログラム。
  10. 【請求項10】 上記文字間の特徴を抽出するステップ
    が、 上記文字切出しステップによる文字切出しによって文字
    間が接しているかあるいは文字間が離れているかを考慮
    した複数種類の切出し結果を求めるステップと、 このステップにより求めた全ての切出し結果に対してそ
    れぞれ文字間の特徴を抽出するステップと、 からなることを特徴とする請求項8に記載の単語認識プ
    ログラム。
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