JP2001277158A - 脚式移動ロボットの動作制御システム及び動作制御方法 - Google Patents
脚式移動ロボットの動作制御システム及び動作制御方法Info
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Abstract
標軌道を、ロボットの次の動作遷移が効率的に行われる
ように設定する。 【解決手段】 移動量が最小となるZMP目標軌道を辿
る場合、ZMP位置は安定領域の中心よりも進行方向寄
りの場所にZMP位置が設定される。通常の2足歩行で
は、ZMP位置は安定領域の中心よりも前方寄りの場所
に設定され、ZMP位置の移動距離は最小となり、次の
動作遷移が円滑になり、より速く移動することができ
る。また、ロボットの重心位置Gは進行方向寄りに移動
するので、より大きな加速度を発生させることができ、
敏捷な動作が実現可能となる。
Description
の可動脚を備えた脚式移動ロボットの動作制御システム
及び動作制御方法に係り、特に、可動脚を用いた歩行そ
の他の脚式移動作業を効率的に行うための脚式移動ロボ
ットの動作制御システム及び動作制御方法に関する。
oment Point)を歩行の安定度判別の規範として用いて
可動脚による脚式移動作業を行う脚式移動ロボットの動
作制御システム及び動作制御方法に係り、特に、ZMP
の位置設定を効果的に制御することでロボットの動作遷
移を円滑且つ安定的に実行するための脚式移動ロボット
の動作制御システム及び動作制御方法に関する。
間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボッ
ト」という。ロボットの語源は、スラブ語のROBOT
A(奴隷機械)に由来すると言われている。わが国では、
ロボットが普及し始めたのは1960年代末からである
が、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人
化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなど
の産業用ロボット(industrial robot)であった。
所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、
部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間で
のみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業
空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を
自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行
したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わ
る種々の幅広いサービスを提供することができる。なか
でも脚式の移動ロボットは、クローラ式やタイヤ式のロ
ボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなる
が、階段や梯子の昇降や障害物の乗り越えや、整地・不
整地の区別を問わない柔軟な歩行・走行動作を実現でき
るという点で優れている。
動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボ
ット、あるいは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物
の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた
「人間形」若しくは「人間型」のロボット(human
oid robot)など、脚式移動ロボットに関する
研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきてい
る。
ロボットを研究・開発する意義を、例えば以下の2つの
視点から把握することができよう。
ち、人間の下肢及び/又は上肢に似た構造のロボットを
作り、その制御方法を考案して、人間の歩行動作をシミ
ュレートするというプロセスを通じて、歩行を始めとす
る人間の自然な動作のメカニズムを工学的に解明するこ
とができる。このような研究成果は、人間工学、リハビ
リテーション工学、あるいはスポーツ科学など、人間の
運動メカニズムを扱う他のさまざまな研究分野の進展に
大いに還元することができるであろう。
を支援する、すなわち住環境その他の日常生活上の様々
な場面における人的活動の支援を行う実用ロボットの開
発である。この種のロボットは、人間の生活環境のさま
ざまな局面において、人間から教わりながら個々に個性
の相違する人間又は環境への適応方法を学習し、機能面
でさらに成長していく必要がある。このとき、ロボット
が「人間形」すなわち人間と同じ形又は同じ構造をして
いる方が、人間とロボットとのスムースなコミュニケー
ションを行う上で有効に機能するものと考えられる。
がら部屋を通り抜ける方法を実地においてロボットに教
示するような場合、クローラ式や4足式ロボットのよう
に教える相手が自分と全く違う構造をしているよりも、
同じような格好をしている2足歩行ロボットの方が、ユ
ーザ(作業員)ははるかに教え易く、またロボットにと
っても教わり易い筈である(例えば、高西著「2足歩行
ロボットのコントロール」(自動車技術会関東支部<高
塑>No.25,1996APRIL)を参照のこ
と)。
2足による直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや
行動様式に合わせて形成されている。言い換えれば、人
間の住空間は、車輪その他の駆動装置を移動手段とした
現状の機械システムが移動するのにはあまりに多くの障
壁が存在する。機械システムすなわちロボットが様々な
人的作業を支援又は代行し、さらに人間の住空間に深く
浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間
のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式
移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でも
ある。人間型の形態を有していることは、ロボットが人
間の住環境との親和性を高める上で必須であると言え
る。
ボットに関する姿勢制御や安定歩行に関する技術は既に
数多提案されている。ここで言う安定な「歩行」とは、
「転倒することなく、脚を使って移動すること」と定義
することができる。
倒を回避する上で非常に重要である。何故ならば、転倒
は、ロボットが実行中の作業を中断することを意味し、
且つ、転倒状態から起き上がって作業を再開するために
相当の労力や時間が払われるからである。また、何より
も、転倒によって、ロボット本体自体、あるいは転倒す
るロボットと衝突する相手側の物体にも、致命的な損傷
を与えてしまう危険があるからである。したがって、脚
式移動ロボットの設計・開発において、姿勢安定制御や
歩行時の転倒防止は最も重要な課題の1つである。
じる加速度によって、歩行系から路面には重力と慣性
力、並びにこれらのモーメントが作用する。いわゆる
「ダランベールの原理」によると、それらは路面から歩
行系への反作用としての床反力、床反力モーメントとバ
ランスする。力学的推論の帰結として、足底接地点と路
面の形成する支持多角形の辺上あるいはその内側にピッ
チ及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわち
「ZMP(Zero Moment Point)」が存在する。
の転倒防止に関する提案の多くは、このZMPを歩行の
安定度判別の規範として用いている。ZMP規範に基づ
く2足歩行パターン生成は、足底着地点を予め設定で
き、路面形状に応じた足先の運動学的拘束条件を考慮し
易いなどの利点がある。
は、脚式移動ロボットの歩行制御装置について開示して
いる。同公報に記載の歩行制御装置は、ZMP(Zero M
oment Point)すなわち歩行するときの床反力によるモ
ーメントがゼロとなる床面上の点を目標値に一致させる
ように制御するものである。
載の脚式移動ロボットは、ZMPが支持多面体(多角
形)内部、又は、着地、離床時にZMPが支持多面体
(多角形)の端部から少なくとも所定の余裕を有する位
置にあるように構成した。この結果、外乱などを受けて
も所定距離だけZMPの余裕があり、歩行の安定性の向
上を図ることができる。
は、脚式移動ロボットの歩き速度をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、予め設定された歩行パ
ターン・データを用い、ZMPを目標位置に一致させる
ように脚部関節を駆動するとともに、上体の傾斜を検出
して、その検出値に応じて設定された歩行パターン・デ
ータの吐き出し速度を変更するようにしている。この結
果、予期しない凹凸を踏んでロボットが例えば前傾する
ときは吐き出し速度を速めることで姿勢を回復できる。
またZMPが目標位置に制御できるので、両脚支持期に
おいて吐き出し速度を変更しても支障がない。
は、脚式移動ロボットの着地位置をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、ZMP目標位置と実測
位置とのずれを検出して、それを解消する様に脚部の一
方または双方を駆動するか、又は、ZMP目標位置まわ
りにモーメントを検出してそれが零になる様に脚部を駆
動することで安定歩行を行うようになっている。
は、脚式移動ロボットの傾斜姿勢をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、ZMP目標位置まわり
のモーメントを検出し、モーメントが生じているとき
は、それが零になるように脚部を駆動することで安定歩
行を行うようになっている。
ZMPの位置は、指令値として任意に設定することがで
きる。すなわち、支持多角形(上述)として定義される
安定領域の内部にZMPを位置設定することで、歩行の
安定性を向上させることができる。
れも、安定領域内のどの場所にZMP位置を設定すべき
かを、明確には開示していない。例えば、歩行の安定性
を優先してZMPの位置設定を行った場合、歩行期間中
にZMP位置がとる軌跡が長い距離となってしまい、動
作が非効率的となり、また早い動きを表現することがで
きない。すなわち、次の(又は近未来的な)動作や姿勢
を考慮してZMPの位置設定を行うことができない場合
がある。
きいので、ZMPの位置設定はさほど問題にはならな
い。言い換えれば、4足脚式ロボットの場合、歩行の安
定性と動作遷移の効率化の双方を要求することができ
た。
ように2足歩行型の場合、歩行その他の脚式動作中の支
持多角形は極端に狭くなるので、次の動作への効率的な
遷移を重視してZMPを位置設定すると、歩行時の姿勢
安定性を充分に確保することができず、転倒などの事態
を将来しかねない。ロボットが転倒すると、ロボットや
衝突する相手側の物体に致命的な損傷を与える危険性が
ある。
場所に設定することによって、比較的少ない演算処理で
歩行動作を適度に安定化させることができる。
く拘束のない「遊脚期」、完全に拘束される「立脚
期」、これらの中間の「着地期」からなる歩行周期を交
互に繰り返すことによって、歩行動作を実現するのが一
般的である。
される安定領域内に適当にZMPを設定して前方歩行し
た場合において、左右それぞれの脚部が立脚及び遊脚を
交互に繰り返す間にZMPが移動する様子を示してい
る。また、図19には、左右それぞれの脚部が立脚及び
遊脚を交互に繰り返す間にZMPが安定領域内で適当な
軌跡で移動する様子を示している。図19に示すZMP
軌跡は必ずしも最短の経路を辿るとは限らない。
る安定領域内の適当な位置にZMPを設定して2足の脚
式ロボットが左右方向に歩行した場合において、歩行周
期の間にZMPが移動する様子を示している。この場
合、左右の脚部が交互に立脚となる期間中、ZMP位置
は大きく移動し、ZMP軌跡の距離は長くなる。
かるように、支持多角形で定義される安定領域内の適当
な場所にZMP位置を設定した場合、ある状態から次の
状態に動作遷移する期間中におけるZMPの移動距離が
長くなってしまい、その分だけ動作完了までに時間がか
かってしまい、より速く移動することに支障が生じる可
能性がある。
置を設定して2足脚式ロボットが前進歩行する場合に
は、脚式移動ロボットの重心位置Gは、例えば図21に
示すよう略中央付近に設定される可能性がある。このよ
うな場合、後足が後方に向かって床面を蹴り出す力や、
進行方向すなわち前方に印加される加速力の成分は低く
なってしまうので、より速く移動を開始するために必要
なより大きな加速度を発生させるには不利な状態にあ
る。
位置を設定して2足脚式ロボットが横方向に歩行する場
合には、脚式移動ロボットの重心位置Gは、例えば図2
2に示すよう略中央付近に設定される。このような場
合、蹴り出し力の方向は重力方向とほぼ一致してしま
い、分力としての横方向加速度はほとんどゼロになって
しまうので、より速く移動を開始するために必要なより
大きな加速度を発生させるには不利な状態にある。
ものであり、その目的は、可動脚を用いた歩行その他の
脚式移動作業を効果的に行うことができる、優れた脚式
移動ロボット及びその制御方法を提供することにある。
定度判別の規範として用いて効率的な脚式移動作業を行
うことができる、優れた脚式移動ロボットの動作制御シ
ステム及び動作制御方法を提供することにある。
又はZMP目標軌道設定を効果的に制御することでロボ
ットの動作遷移を円滑且つ安定的に実行することができ
る、優れた脚式移動ロボットの動作制御システム及び動
作制御方法を提供することにある。
業中における次の動作・姿勢への効率的な遷移を考慮し
てZMPの位置設定又はZMP目標軌道設定を行うこと
ができる、優れた脚式移動ロボットの動作制御システム
及び動作制御方法を提供することにある。
酌してなされたものであり、少なくとも複数本の可動脚
を備えた脚式移動ロボットのための動作制御システム又
は動作制御方法であって、所定動作実行中の各時刻毎の
ZMP安定領域を算出する安定領域算出手段又はステッ
プと、各時刻毎のZMP安定領域内の所定位置に設定し
た目標ZMP位置からなるZMP目標軌道を算出するZ
MP目標軌道算出手段又はステップと、を具備し、ZM
P目標軌道に従って前記の所定動作の実行を制御するこ
とを特徴とする動作制御システム又は動作制御方法であ
る。
プは、各可動脚の足底接地点支持多角形に基づいて前記
ZMP安定領域を算出することができる。
テップは、各ZMP安定領域間のZMP移動量が最小と
なるZMP目標軌道を算出するようにしてもよい。
テップは、各ZMP安定領域の略中心を基準として設定
した目標ZMP位置を連結してなるZMP目標軌道を算
出するようにしてもよい。
テップは、各ZMP安定領域の略中心よりも次の進行方
向寄りに設定した目標ZMP位置を連結してなるZMP
目標軌道を算出するようにしてもよい。
テップは、各ZMP安定領域の略中心に設定した目標Z
MP位置を連結してなるZMP目標軌道を算出するよう
にしてもよい。
ム又は動作制御方法は、さらに、算出された目標ZMP
軌道を実現する前記脚式移動ロボットの運動パターンを
生成する運動パターン生成手段を備えてもよい。
動パターンが前記脚式移動ロボットの仕様を満足するか
否かを判断する仕様判断手段と、否定的な仕様判断結果
に応答して、該仕様の不足量に基づいて目標ZMP軌道
を修正する目標ZMP軌道修正手段と、を備えること
で、実現可能で且つ効率的な目標ZMP軌道を探索する
ことができる。
ーンに基づいて実現される実現ZMP軌道を算出する実
現ZMP算出手段と、目標ZMP軌道と実現ZMP軌道
間のZMP誤差を算出するZMP誤差算出手段と、ZM
P誤差が所定値を越えたことに応答して、該ZMP誤差
に基づいて目標ZMP軌道を修正する目標ZMP軌道修
正手段と、を備えることで、実現可能で且つ効率的な目
標ZMP軌道を探索することができる。
として用いて脚式移動ロボットの効率的な動作制御を行
うようになっている。
置の移動量が最小となるようなZMP目標軌道を利用し
て、脚式移動ロボットの歩行その他の動作パターンを生
成することができる。
最小となるZMP目標軌道を辿る場合、ZMP位置は、
足底接地点からなる支持多角形で定まる安定領域の中心
よりも進行方向寄りの場所に設定される傾向をとる。
脚を交互に繰り返して通常の2足歩行を実行する場合、
ZMP位置は、常に安定領域の中心よりも前方寄りの場
所に設定される。したがって、歩行期間中におけるZM
P位置の移動距離は最小となり、その分だけ動作完了ま
での所要時間が短縮化され、より速く移動することが可
能となる。また、ZMP位置を安定領域の中心よりも進
行方向すなわち前方寄りの場所に設定するためには、脚
式移動ロボットの重心位置Gは必然的に進行方向寄りに
移動するので、より大きな加速度を発生させることが比
較的容易となり、動作遷移が効率化するとともに、敏捷
な動作が実現可能となる。
ても、ZMP位置は、安定領域の中心よりも進行方向す
なわち他方の足底寄りの場所に設定される。したがっ
て、ZMP位置の移動距離は最小となり、その分だけ動
作完了までの所要時間が短縮化され、素早い動作を実現
することが可能となる。また、横方向に歩行中の脚式移
動ロボットの重心位置Gが他方の足側寄りに移動してい
るので、一方の足が外側に向かって床面を蹴り出す力
や、進行方向すなわち横方向に印加される加速力の成分
は必然的に大きくなる。この結果、より速く移動を開始
するときや移動方向を変更するときに必要なより大きな
加速度を発生させることが比較的容易となり、動作遷移
が効率化するとともに、敏捷な動作が実現可能となる。
るZMP目標軌道を利用することによって、次の動作や
姿勢へ円滑且つ安定的に遷移することができるような、
効果的なZMP位置設定を行うことができる。
の動作遷移の効率よりも歩行安定性を優先して、安定余
裕が最大となる場所にZMP位置が設定されるようなZ
MP目標軌道を算出することもできる。
後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳
細な説明によって明らかになるであろう。
の実施例を詳解する。
る「人間形」又は「人間型」の脚式移動ロボット100
が直立している様子を前方及び後方の各々から眺望した
様子を示している。図示の通り、脚式移動ロボット10
0は、脚式移動を行う左右2足の下肢と、体幹部と、左
右の上肢と、頭部とで構成される。
脛部と、足首と、足平とで構成され、股関節によって体
幹部の略最下端にて連結されている。また、左右各々の
上肢は、上腕と、肘関節と、前腕とで構成され、肩関節
によって体幹部上方の左右各側縁にて連結されている。
また、頭部は、首関節によって体幹部の略最上端中央に
連結されている。
は見えていない制御部が配備されている。この制御部
は、脚式移動ロボット100を構成する各関節アクチュ
エータの駆動制御や各センサ(後述)などからの外部入
力を処理するコントローラ(主制御部)や、電源回路そ
の他の周辺機器類を搭載した筐体である。制御部は、そ
の他、遠隔操作用の通信インターフェースや通信装置を
含んでいてもよい。
ト100が具備する関節自由度構成を模式的に示してい
る。図示の通り、脚式移動ロボット100は、2本の腕
部と頭部1を含む上体と、移動動作を実現する2本の脚
部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結する体幹部とで
構成される。
2と、首関節ピッチ軸3と、首関節ロール軸4という3
自由度を有している。
関節ロール軸9と、上腕ヨー軸10と、肘関節ピッチ軸
11と、前腕ヨー軸12と、手首関節ピッチ軸13と、
手首関節ロール軸14と、手部15とで構成される。手
部15は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由
度構造体である。但し、手部15の動作自体は、ロボッ
ト100の姿勢安定制御や歩行動作制御に対する寄与や
影響が少ないので、本明細書ではゼロ自由度と仮定す
る。したがって、左右の各腕部は7自由度を有するとす
る。
ロール軸6と、体幹ヨー軸7という3自由度を有する。
股関節ヨー軸16と、股関節ピッチ軸17と、股関節ロ
ール軸18と、膝関節ピッチ軸19と、足首関節ピッチ
軸20と、関節ロール軸21と、足部(足底又は足平)
22とで構成される。股関節ピッチ軸17と股関節ロー
ル軸18の交点は、本実施例に係るロボット100の股
関節位置を定義するものとする。人体の足部(足底)2
2は、実際には多関節・多自由度の足底を含んだ構造体
であるが、本実施例に係る脚式移動ロボット100の足
底はゼロ自由度とする。したがって、左右の各脚部は6
自由度で構成される。
動ロボット100全体としては、合計で3+7×2+3
+6×2=32自由度を有することになる。但し、脚式
移動ロボット100が必ずしも32自由度に限定される
訳ではない。設計・製作上の制約条件や要求仕様等に応
じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができ
ることは言うまでもない。
節自由度は、実際にはアクチュエータによる能動的な動
作として実現される。装置の外観上で余分な膨らみを排
してヒトの自然体形状に近似させることや、2足歩行と
いう不安定構造体に対して姿勢制御を行うことなどの種
々の要請から、関節アクチュエータは小型且つ軽量であ
ることが好ましい。本実施例では、ギア直結型で且つサ
ーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵
したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータを搭載す
ることとした。なお、脚式ロボットに適用可能な小型A
Cサーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人
に既に譲渡されている特願平11−33386号明細書
に開示されている。
ト100の制御システム構成を模式的に示している。同
図に示すように、該システムは、ユーザ入力などに動的
に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御モジュー
ル200と、関節アクチュエータの駆動などロボットの
全身協調運動を制御する運動制御モジュール300とで
構成される。
感情表現に関する演算処理を実行するCPU(Central
Processing Unit)211や、RAM(Random Access M
emory)212、ROM(Read Only Memory)213、
及び、外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブなど)
214で構成される、自己完結処理を行うことができる
独立した情報処理装置である。
(Charge Coupled Device)カメラなどの画像入力装置
251や、マイクなどの音声入力装置252、スピーカ
などの音声出力装置253、LAN(Local Area Netwo
rk:図示しない)などを経由してロボット100外のシ
ステムとデータ交換を行う通信インターフェース254
など各種の装置が、バス・インターフェース201経由
で接続されている。
装置251から入力される視覚データや音声入力装置2
52から入力される聴覚データなど、外界からの刺激な
どに従って、脚式移動ロボット100の現在の感情や意
思を決定する。さらに、意思決定に基づいた振舞い又は
行動、すなわち四肢の運動を実行するように、運動制御
モジュール300に対して指令を発行する。
ット100の全身協調運動を制御するCPU(Central
Processing Unit)311や、RAM(Random Access M
emory)312、ROM(Read Only Memory)313、
及び、外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブなど)
314で構成される、自己完結処理を行うことができる
独立した情報処理装置である。外部記憶装置314に
は、例えば、オフラインで算出された歩行パターンやZ
MP目標軌道、その他の行動計画を蓄積することができ
る。
100の全身に分散するそれぞれの関節自由度を実現す
る関節アクチュエータ(図3を参照のこと)、体幹部の
姿勢や傾斜を計測する姿勢センサ351、左右の足底の
離床又は着床を検出する接地確認センサ352及び35
3、バッテリなどの電源を管理する電源制御装置などの
各種の装置が、バス・インターフェース301経由で接
続されている。
モジュール200から指示された行動を体現すべく、各
関節アクチュエータによる全身協調運動を制御する。す
なわち、CPU311は、思考制御モジュール200か
ら指示された行動に応じた動作パターンを外部記憶装置
314から取り出し、又は、内部的に動作パターンを生
成する。そして、CPU311は、指定された動作パタ
ーンに従って、足部運動、ZMP(Zero Moment Poin
t)軌道、体幹運動、上肢運動、腰部水平位置及び高さ
などを設定するとともに、これらの設定内容に従った動
作を指示する指令値を各関節アクチュエータに転送する
(「ZMP」とは、歩行中の床反力によるモーメントが
ゼロとなる床面上の点のことであり、また、「ZMP軌
道」とは、例えばロボット100の歩行動作期間中など
にZMPが動く軌跡を意味する)。
の出力信号によりロボット100の体幹部分の姿勢や傾
きを検出するとともに、各接地確認センサ352及び3
53の出力信号により各可動脚が遊脚又は立脚のいずれ
の状態であるかを検出することによって、脚式移動ロボ
ット100の全身協調運動を適応的に制御することがで
きる。
考制御モジュール200において決定された意思通りの
行動がどの程度体現されたか、すなわち処理の状況を、
思考制御モジュール200に返すようになっている。
ュール300は、共通のプラットフォーム上で構築さ
れ、両者間はバス・インターフェース201及び301
を介して相互接続されている。
100の歩行制御について説明する。
などの脚式作業の動作パターンを予めオフラインで計算
してメモリなどに格納しておく。そして、所定の動作パ
ターンをメモリなどから逐次読み出して各関節アクチュ
エータの駆動制御を実行することで、計算された動作パ
ターン通りの脚式作業を実現することができる。
して用いて動作パターンを生成する。さらに具体的に言
えば、安定歩行可能なZMP位置の移動量が最小となる
ようなZMP目標軌道を利用して動作パターンを生成す
るようになっている。ZMP位置の移動量が最小となる
ZMP目標軌道を利用することによって、次の動作や姿
勢へ円滑且つ安定的に遷移することができるような、効
果的なZMP位置設定を行うことができる。
位置の移動量が最小となるようなZMP目標軌道を算出
するための処理手順をフローチャートの形式で図解して
いる。以下、このフローチャートに従って説明する。
ップS11)、この設定した歩行路面に基づいて足部運
動パターンを設定する(ステップS19)。足部運動パ
ターンは、xyz各座標値及び時刻tの関数である。
パターン(x,y,z,t)に基づいて、足底接地点を
算出する(ステップS12)。足底接地点は、xyz各
座標値及び時刻tの関数である。
よって形成される支持多角形を算出する(ステップS1
3)。支持多角形は時刻tの関数である。
ップS14)。理想的安定領域は、xyz各座標値及び
時刻tの関数である。
並びに、別途算出されているZMP制御最大誤差群(S
20)を基に、実質的安定領域を算出する(ステップS
15)。実質的安定領域は、xyz各座標値及び時刻t
の関数である。この結果、安定領域が求まる(ステップ
S16)。この安定領域も、xyz各座標値及び時刻t
の関数である。
17)。このZMP群はxyz各座標値及び時刻tの関
数である。
移動量が最小となるようなZMP目標軌跡を算出する
(ステップS18)。
y,z,t=0〜T)を基にして(S21)、このZM
P目標軌道を実現する全身運動パターンを算出する(ス
テップS22)。全身運動パターンの算出処理は、別途
定義済みの処理フローによって実現されるが、その詳細
は後述に譲る。
適用機械モデルの仕様を満たしているか否かをチェック
する(ステップS23)。この場合の適用機械モデルと
は脚式ロボット100のことであり、また、その仕様と
は各関節の可動角、関節角速度、関節角速度、関節角加
速度、関節トルクなどで構成される。
デルの仕様を満たしていない場合には、適用機械モデル
の仕様に対する不足量を用いたZMP目標軌道の修正を
行う(ステップS29)。そして、この新たなZMP目
標軌道を実現する全身運動パターンを再度算出する(ス
テップS22)。
機械モデルの仕様を満たす場合には、適用機械モデルと
算出された全身運動パターンを用いて、実現ZMPの軌
道を算出する(ステップS24)。ZMP軌道はxyz
各座標値及び時刻tの関数である。但し、数学的演算処
理によりZMP軌道の厳密解又は非厳密解を求めるので
はなく、推定、あるいは実験・試行錯誤によりZMP軌
道を特定するのであってもよい。
誤差を算出して(ステップS25)、この誤差が許容値
以下か否かをチェックする(ステップS26)。
テップS28に進み、ZMP誤差を用いたZMP目標軌
道の修正を行う。そして、この新たなZMP目標軌道を
実現する全身運動パターンを再度算出して(ステップS
22)、上述と同様の処理を繰り返し実行する。
場合には、算出されたZMP目標軌道をZMP移動量が
最小となり且つ安定歩行可能なZMP目標軌道(S2
7)として出力するとともに、本処理ルーチン全体を終
了する。
標軌道を辿る場合、ZMP位置は、足底接地点からなる
支持多角形で定まる安定領域の中心よりも進行方向寄り
の場所に設定される傾向をとる。
脚を交互に繰り返して通常の2足歩行を実行する場合、
図7に示すように、ZMP位置は、常に安定領域の中心
よりも進行方向すなわち前方寄りの場所に設定される。
また、この期間中のZMP軌跡は図8に示す通りとな
る。
ぞれの脚部が立脚及び遊脚を交互に遷移する期間中にお
けるZMP位置の移動距離は最小となり、その分だけ動
作完了までの所要時間が短縮化され、より速く移動する
ことが可能となる。
進行方向すなわち前方寄りの場所に設定するためには、
適用機械すなわち脚式移動ロボット100の重心位置G
は必然的に進行方向寄りに移動する。
ト100を描写しているが、その重心位置Gが前方に移
動しているので、後足が後方に向かって床面を蹴り出す
力や、進行方向すなわち前方に印加される加速力の成分
は必然的に大きくなる。この結果、より速く移動を開始
するときや移動方向を変更するときに必要なより大きな
加速度を発生させることが比較的容易となり、動作遷移
が効率化するとともに、敏捷な動作が実現可能となる。
が例えばサッカー・ゲームのような大きな加速度の変化
を必要とするスポーツをプレイするときに、極めて有効
である。
ロボット100が前方方向に移動する場合だけでなく、
横方向に移動開始する場合においても、同様に効果を奏
することができる。このような場合、ZMP位置は、図
10に示すように常に安定領域の中心よりも進行方向す
なわち他方の足底寄りの場所に設定される。したがっ
て、ZMP位置の移動距離は最小となり、その分だけ動
作完了までの所要時間が短縮化され、素早い動作を実現
することが可能となる。
移動ロボット100を描写しているが、その重心位置G
が他方の足側寄りに移動しているので、一方の足が外側
に向かって床面を蹴り出す力や、進行方向すなわち横方
向に印加される加速力の成分は必然的に大きくなる。こ
の結果、より速く移動を開始するときや移動方向を変更
するときに必要なより大きな加速度を発生させることが
比較的容易となり、動作遷移が効率化するとともに、敏
捷な動作が実現可能となる。
えばサッカー・ゲームのような大きな加速度の変化並び
に素早い方向転換を必要とするスポーツをプレイすると
きに、極めて有効である。
算出する処理手順の他の例について、フローチャートの
形式で図解している。この実施例では、安定余裕が最大
となる場所、より具体的には、安定領域のほぼ中心にZ
MP位置が設定されるようなZMP目標軌道を算出する
ことができる。以下、このフローチャートに従って説明
する。
ップS41)、この設定した歩行路面に基づいて足部運
動パターンを設定する(ステップS48)。足部運動パ
ターンは、xyz各座標値及び時刻tの関数である。
パターン(x,y,z,t)に基づいて、足底接地点を
算出する(ステップS42)。足底接地点は、xyz各
座標値及び時刻tの関数である。
よって形成される支持多角形を算出する(ステップS4
3)。支持多角形は時刻tの関数である。
ップS44)。理想的安定領域は、xyz各座標値及び
時刻tの関数である。
並びに、別途算出されているZMP制御最大誤差群(S
49)を基に、実質的安定領域を算出する(ステップS
45)。実質的安定領域は、xyz各座標値及び時刻t
の関数である。この結果、安定領域が求まる(ステップ
S46)。この安定領域も、xyz各座標値及び時刻t
の関数である。
として、時刻t=0〜TにおけるZMP目標軌跡を算出
する(ステップS47)。
y,z,t=0〜T)を基にして(S51)、このZM
P目標軌道を実現する全身運動パターンを算出する(ス
テップS52)。全身運動パターンの算出処理は別途定
義済みの処理フローによって実現されるが、その詳細は
後述に譲る。
適用機械モデルの仕様を満たしているか否かをチェック
する(ステップS53)。この場合の適用機械モデルと
は脚式ロボット100のことであり、また、その仕様と
は各関節の可動角、関節角速度、関節角速度、関節角加
速度、関節トルクなどで構成される。
デルの仕様を満たしていない場合には、適用機械モデル
の仕様に対する不足量を用いたZMP目標軌道の修正を
行う(ステップS59)。そして、この新たなZMP目
標軌道を実現する全身運動パターンを再度算出する(ス
テップS52)。
機械モデルの仕様を満たす場合には、適用機械モデルと
算出された全身運動パターンを用いて、実現ZMPの軌
道を算出する(ステップS54)。ZMP軌道はxyz
各座標値及び時刻tの関数である。但し、数学的演算処
理によりZMP軌道の厳密解又は非厳密解を求めるので
はなく、推定、あるいは実験・試行錯誤によりZMP軌
道を特定するのであってもよい。
誤差を算出して(ステップS55)、この誤差が許容値
以下か否かをチェックする(ステップS56)。
テップS58に進み、ZMP誤差を用いたZMP目標軌
道の修正を行う。そして、この新たなZMP目標軌道を
実現する全身運動パターンを再度算出して(ステップS
52)、上述と同様の処理を繰り返し実行する。
場合には、算出されたZMP目標軌道を安定余裕が最大
となるZMP目標軌道(S77)として出力するととも
に、本処理ルーチン全体を終了する。
れば、脚式移動ロボット100の動作遷移の効率よりも
歩行安定性を優先したZMP目標軌道及び動作パターン
を生成することができる。
びに、図13におけるステップS52において実行する
全身運動パターンの算出処理について説明しておく。
めに、図1〜図3に示す構造の脚式移動ロボット100
を図14及び[数1](後述)に示すような線形且つ非
干渉の多質点近似モデルに置き換えて計算することにし
た。
座標系におけるロール、ピッチ、ヨー各軸を表し、ま
た、O'−X'Y'Z'座標系は脚式移動ロボット100と
ともに動く運動座標系におけるロール、ピッチ、ヨー各
軸を表している。同図に示す多質点モデルでは、iはi
番目に与えられた質点を表す添え字であり、miはi番
目の質点の質量、r' iはi番目の質点の位置ベクトル
(但し運動座標系)を表すものとする。また、後述する
全身協調運動パターン生成処理において特に重要な腰部
質点の質量はmh、その位置ベクトルはr' h(r' hx,r
' hy,r' hz)とし、また、ZMPの位置ベクトルをr'
zmpとする。
おいては、モーメント式は線形方程式の形式で記述さ
れ、該モーメント式はピッチ軸及びロール軸に関して干
渉しない、という点を充分理解されたい。
の処理手順により生成することができる。すなわち、 (1)ロボット100全体の質量分布を求める。 (2)質点を設定する。質点の設定方法は、設計者のマ
ニュアル入力であっても、所定の規則に従った自動生成
のいずれでも構わない。 (3)各領域i毎に、重心を求め、その重心位置と質量
miを該当する質点に付与する。 (4)各質点miを、質点位置riを中心とし、その質量
に比例した半径に持つ球体として表示する。 (5)現実に連結関係のある質点すなわち球体同士を連
結する。
・モデルの形態でロボットを表現したものである。本実
施例では、図14を見ても判るように、この多質点近似
モデルは、両肩、両肘、両手首、体幹、腰部、及び、両
足首の各々を質点として設定したものである。
報における各回転角(θhx,θhy,θhz)は、脚式移動
ロボット100における腰部の姿勢すなわちロール、ピ
ッチ、ヨー軸の回転を規定するものである(図15に
は、多質点モデルの腰部周辺の拡大図を示しているの
で、確認されたい)。
脚式移動ロボット100の全身運動パターンを生成する
ための処理手順について説明する。
運動パターンを生成するための処理手順をフローチャー
トの形式で示している。但し、以下では、図14に示す
線形・非干渉多質点近似モデルを用いてロボット100
の各関節位置や動作を記述するものとし、且つ、計算に
際して下式のようなパラメータを用いることとする。但
し、ダッシュ(')付きの記号は運動座標系を記述する
ものと理解されたい。
(r'hz+rqz=const)で、且つ、膝部質点がゼロであ
ることを前提とする。以下、図16に示すフローチャー
トに従って説明する。
のステップS48)で与えられる足部運動、足部運動か
ら導出されたZMP目標軌道(図6のS21又は図13
のS51)、体幹運動、上肢運動、腰部の姿勢や高さな
ど、各部の駆動・動作を実際に決定するためのパターン
が設定される(ステップS111)。但し、腰部の運動
に関しては、Z'方向のみ設定し、X'及びY'の各方向
については未知とする。
用いて、足部、体幹、そして上肢運動により発生する設
定ZMP上でのピッチ軸、ロール軸まわりの各モーメン
ト(Mx,My)を算出する(ステップS112)。
用いて、腰部水平面内運動(r' hx,r' hy)によって発
生する設定ZMP上でのモーメントを算出する(ステッ
プS113)。
に関する釣り合い式を、ロボットとともに動く運動座標
系O'−X'Y'Z'上で導出する(ステップS114)。
より具体的には、足部、体幹、そして上肢運動により発
生するモーメント(Mx,My)を既知変数の項として右
辺に、腰部質点の水平運動に関する項(rhx,rhy)を
未知変数の項として左辺にまとめ、下式に示すような線
形・非干渉なZMP方程式(1)を導出する。
て、腰部水平面内軌道を算出する(ステップS11
5)。例えば、オイラー法やルンゲ・クッタ法などの数
値的解法(周知)を用いてZMP方程式(1)を解くこ
とで、未知変数としての腰部の水平絶対位置(rhx,r
hy)の数値解を求めることができる(ステップS11
6)。ここで求められる数値解は、安定歩行可能な腰部
運動パターンの近似解であり、より具体的にはZMPが
目標位置に入るような腰部水平絶対位置である。ZMP
目標位置は、通常、着床した足底に設定される。
・上肢運動が実現できない場合には、体幹・上肢運動パタ
ーンの再設定・修正を行う(ステップS117)。この
際、膝部の軌道を算出してもよい。
動パターンを代入して、厳密モデル(すなわち、剛体、
若しくは非常に多くの質点からなるロボット100の精
密なモデル)における設定ZMP上のモーメント(eM
x,eMy)を算出する(ステップS118)。非厳密モ
デルでは上記の[数3]が成立することを前提とした
が、厳密ではかかる前提を要しない(すなわち時間の変
化に対して一定である必要はない)。
eMy)は、腰部運動の発生するモーメント誤差であ
る。続くステップS119では、このモーメント(eM
x,eMy)が非厳密モデルにおける近似モーメントの許
容値(εMx,εMy)未満か否かを判定する。許容値ε
未満であれば、腰部安定運動パターンの厳密解及び安定
歩行を実現できる(ステップS120)。本実施例のよ
うに片足が6自由度を持つ脚式ロボット(図3を参照の
こと)の場合、各足部の位置と腰部の水平位置及び高さ
によって両脚の姿勢が一意に定まる。すなわち、腰部運
動パターンを生成することはロボット100の「歩容」
すなわち全身運動パターンを決定すること相当する。そ
こで、ステップS120を以って本ルーチン全体を終了
する。
Mx,eMy)が近似モデルにおけるモーメントの許容値
(εMx,εMy)以上であった場合には、厳密モデルに
おけるモーメント(eMx,eMy)を用いて近似モデル
における既知発生モーメント(Mx,My)を修正して
(ステップS121)、再びZMP方程式の導出を行
い、許容値ε未満に収束するまで、腰部運動パターンの
近似解の算出と修正を繰り返し実行する。
0全身運動パターンを生成する処理手順の他の例をフロ
ーチャートの形式で示している。但し、図16に示した
例と同様に、線形・非干渉多質点近似モデルを用いてロ
ボット100の各関節位置や動作を記述するものとす
る。
のステップS48)で与えられる足部運動、足部運動か
ら導出されたZMP目標軌道(図6のS21又は図13
のS51)、体幹運動、上肢運動、腰部の姿勢や高さな
ど、各部の駆動・動作を実際に決定するためのパターン
が設定される(ステップS131)。但し、腰部の運動
に関しては、Z'方向のみ設定し、X'及びY'の各方向
については未知とする。
用いて、足部、体幹、そして上肢運動により発生する設
定ZMP上でのピッチ軸、ロール軸まわりの各モーメン
ト(Mx,My)を算出する(ステップS132)。
r' hy)をフーリエ級数展開する(ステップS13
3)。当業界において既に周知のように、フーリエ級数
展開することにより、時間軸成分を周波数成分に置き換
えて演算することができる。すなわち、この場合には腰
部の動きを周期的な動きとして捉えることができる。ま
た、FFT(高速フーリエ変換)を適用することができ
るので、計算速度を大幅に向上させることができる。
ル軸まわりの各モーメント(Mx,My)についてもフー
リエ級数展開する(ステップS134)。
を算出し、さらに逆フーリエ級数展開することで(ステ
ップS135)、腰部運動の近似解が求まる(ステップ
S136)。ここで求められる近似解は、安定歩行可能
な腰部運動パターンを規定する腰部の水平絶対位置の近
似解(rhx,rhy)であり、より具体的にはZMPが目
標位置に入るような腰部水平絶対位置である。ZMP目
標位置は、通常、着床した足底に設定される。
・上肢運動が実現できない場合には、体幹・上肢運動パタ
ーンの再設定・修正を行う(ステップS137)。この
際、膝部の軌道を算出してもよい。
動パターンを代入して、厳密モデル(すなわち、剛体、
若しくは非常に多くの質点からなるロボット100の精
密なモデル)における設定ZMP上のモーメント(eM
x,eMy)を算出する(ステップS138)。非厳密モ
デルでは上記の[数3]が成立することを前提とした
が、厳密ではかかる前提を要しない(すなわち時間の変
化に対して一定である必要はない)。
eMy)は、腰部運動の発生するモーメント誤差であ
る。続くステップS139では、このモーメント(eM
x,eMy)が近似モデルにおけるモーメントの許容値
(εMx,εMy)未満か否かを判定する。許容値ε未満
であれば、腰部安定運動パターンの厳密解及び安定歩行
を実現できる全身運動パターンを得ることができたこと
になるので(ステップS140)、本ルーチン全体を終
了する。
Mx,eMy)が近似モデルにおけるモーメントの許容値
(εMx,εMy)以上であった場合には、厳密モデルに
おけるモーメント(eMx,eMy)を用いて非厳密モデ
ルにおける既知発生モーメント(Mx,My)を修正して
(ステップS141)、再びフーリエ級数展開して、許
容値ε未満に収束するまで、腰部運動パターンの近似解
の算出と修正を繰り返し実行する。
ら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や
代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示とい
う形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈
されるべきではない。本発明の要旨を判断するために
は、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきで
ある。
可動脚を用いた歩行その他の脚式移動作業を効果的に行
うことができる、優れた脚式移動ロボットの動作制御シ
ステム及び動作制御方法を提供することができる。
定度判別の規範として用いて効率的な脚式移動作業を行
うことができる、優れた脚式移動ロボットの動作制御シ
ステム及び動作制御方法を提供することができる。
を効果的に制御することでロボットの動作遷移を円滑且
つ安定的に実行することができる、優れた脚式移動ロボ
ットの動作制御システム及び動作制御方法を提供するこ
とができる。
業中における次の動作・姿勢への効率的な遷移を考慮し
てZMPの位置設定を行うことができる、優れた脚式移
動ロボットの動作制御システム及び動作制御方法を提供
することができる。
0を前方から眺望した様子を示した図である。
0を後方から眺望した様子を示した図である。
する自由度構成モデルを模式的に示した図である。
システム構成を模式的に示した図である。
るようなZMP目標軌道を算出するための処理手順(前
半)を示したフローチャート(本実施例)である。
るようなZMP目標軌道を算出するための処理手順(後
半)を示したフローチャート(本実施例)である。
MP位置を設定した場合において、脚式移動ロボット1
00の左右それぞれの脚部が立脚及び遊脚を交互に繰り
返す通常の2足歩行期間中にZMP位置が移動する様子
を描写した図(本実施例)である。
MP位置を設定した場合において、脚式移動ロボット1
00の左右それぞれの脚部が立脚及び遊脚を交互に繰り
返す通常の2足歩行期間中のZMP軌跡を描写した図
(本実施例)である。
MP位置を設定した場合において、前方に歩行中の脚式
移動ロボット100及びその重心位置Gを示した図(本
実施例)である。
ZMP位置を設定した場合において、脚式移動ロボット
100が横方向に移動する動作期間中にZMP位置が移
動する様子を描写した図(本実施例)である。
ZMP位置を設定した場合において、横方向に歩行中の
脚式移動ロボット100及びその重心位置Gを示した図
(本実施例)である。
定されるようなZMP目標軌道を算出するための処理手
順(前半)を示したフローチャート(他の実施例)であ
る。
定されるようなZMP目標軌道を算出するための処理手
順(後半)を示したフローチャート(他の実施例)であ
る。
される、脚式移動ロボット100の線形且つ非干渉の多
質点近似モデルを示した図である。
質点近似モデルにおける腰部周辺の拡大図である。
を生成するための処理手順を示したフローチャートであ
る。
を生成する処理手順の他の例を示したフローチャートで
ある。
内に適当にZMPを設定して前方歩行した場合におい
て、2足脚式ロボットの左右それぞれの脚部が立脚及び
遊脚を交互に繰り返す間にZMPが移動する様子(従来
例)を示した図である。
脚及び遊脚を交互に繰り返す間にZMPが安定領域内で
適当な軌跡で移動する様子(従来例)を示した図であ
る。
位置にZMPを設定して2足の脚式ロボットが左右方向
に歩行した場合においてZMP位置が移動する様子(従
来例)を示した図である。
して2足脚式ロボットが前進歩行する様子及びその重心
位置G(従来例)を示した図である。
して2足脚式ロボットが横方向に歩行する様子及びその
重心位置G(従来例)を示した図である。
Claims (18)
- 【請求項1】少なくとも複数本の可動脚を備えた脚式移
動ロボットのための動作制御システムであって、 所定動作実行中の各時刻毎のZMP安定領域を算出する
安定領域算出手段と、 各時刻毎のZMP安定領域内の所定位置に設定した目標
ZMP位置からなるZMP目標軌道を算出するZMP目
標軌道算出手段と、を具備し、ZMP目標軌道に従って
前記の所定動作の実行を制御することを特徴とする動作
制御システム。 - 【請求項2】前記安定領域算出手段は、各可動脚の足底
接地点支持多角形に基づいて前記ZMP安定領域を算出
することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボッ
トの動作制御システム。 - 【請求項3】前記ZMP目標軌道算出手段は、各ZMP
安定領域間のZMP移動量が最小となるZMP目標軌道
を算出することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動
ロボットの動作制御システム。 - 【請求項4】前記ZMP目標軌道算出手段は、各ZMP
安定領域の略中心を基準として設定した目標ZMP位置
を連結してなるZMP目標軌道を算出することを特徴と
する請求項1に記載の脚式移動ロボットの動作制御シス
テム。 - 【請求項5】前記ZMP目標軌道算出手段は、各ZMP
安定領域の略中心よりも次の進行方向寄りに設定した目
標ZMP位置を連結してなるZMP目標軌道を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの
動作制御システム。 - 【請求項6】前記ZMP目標軌道算出手段は、各ZMP
安定領域の略中心に設定した目標ZMP位置を連結して
なるZMP目標軌道を算出することを特徴とする請求項
1に記載の脚式移動ロボットの動作制御システム。 - 【請求項7】さらに、算出された目標ZMP軌道を実現
する前記脚式移動ロボットの運動パターンを生成する運
動パターン生成手段を具備することを特徴とする請求項
1に記載の脚式移動ロボットの動作制御システム。 - 【請求項8】さらに、 算出された目標ZMP軌道を実現する前記脚式移動ロボ
ットの運動パターンを生成する運動パターン生成手段
と、 該生成された運動パターンが前記脚式移動ロボットの仕
様を満足するか否かを判断する仕様判断手段と、 否定的な仕様判断結果に応答して、該仕様の不足量に基
づいて目標ZMP軌道を修正する目標ZMP軌道修正手
段と、 を具備することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動
ロボットの動作制御システム。 - 【請求項9】さらに、 算出された目標ZMP軌道を実現する前記脚式移動ロボ
ットの運動パターンを生成する運動パターン生成手段
と、 該生成された運動パターンに基づいて実現される実現Z
MP軌道を算出する実現ZMP算出手段と、 目標ZMP軌道と実現ZMP軌道間のZMP誤差を算出
するZMP誤差算出手段と、 ZMP誤差が所定値を越えたことに応答して、該ZMP
誤差に基づいて目標ZMP軌道を修正する目標ZMP軌
道修正手段と、 を具備することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動
ロボットの動作制御システム。 - 【請求項10】少なくとも複数本の可動脚を備えた脚式
移動ロボットのための動作制御方法であって、 所定動作実行中の各時刻毎のZMP安定領域を算出する
安定領域算出ステップと、 各時刻毎のZMP安定領域内の所定位置に設定した目標
ZMP位置からなるZMP目標軌道を算出するZMP目
標軌道算出ステップと、を具備し、ZMP目標軌道に従
って前記の所定動作の実行を制御することを特徴とする
動作制御方法。 - 【請求項11】前記安定領域算出ステップでは、各可動
脚の足底接地点支持多角形に基づいて前記ZMP安定領
域を算出することを特徴とする請求項10に記載の脚式
移動ロボットの動作制御方法。 - 【請求項12】前記ZMP目標軌道算出ステップでは、
各ZMP安定領域間のZMP移動量が最小となるZMP
目標軌道を算出することを特徴とする請求項10に記載
の脚式移動ロボットの動作制御方法。 - 【請求項13】前記ZMP目標軌道算出ステップでは、
各ZMP安定領域の略中心を基準として設定した目標Z
MP位置を連結してなるZMP目標軌道を算出すること
を特徴とする請求項10に記載の脚式移動ロボットの動
作制御方法。 - 【請求項14】前記ZMP目標軌道算出ステップでは、
各ZMP安定領域の略中心よりも次の進行方向寄りに設
定した目標ZMP位置を連結してなるZMP目標軌道を
算出することを特徴とする請求項10に記載の脚式移動
ロボットの動作制御方法。 - 【請求項15】前記ZMP目標軌道算出ステップでは、
各ZMP安定領域の略中心に設定した目標ZMP位置を
連結してなるZMP目標軌道を算出することを特徴とす
る請求項10に記載の脚式移動ロボットの動作制御方
法。 - 【請求項16】さらに、算出された目標ZMP軌道を実
現する前記脚式移動ロボットの運動パターンを生成する
運動パターン生成ステップを具備することを特徴とする
請求項10に記載の脚式移動ロボットの動作制御方法。 - 【請求項17】さらに、 算出された目標ZMP軌道を実現する前記脚式移動ロボ
ットの運動パターンを生成する運動パターン生成ステッ
プと、 該生成された運動パターンが前記脚式移動ロボットの仕
様を満足するか否かを判断する仕様判断ステップと、 否定的な仕様判断結果に応答して、該仕様の不足量に基
づいて目標ZMP軌道を修正する目標ZMP軌道修正ス
テップと、 を具備することを特徴とする請求項10に記載の脚式移
動ロボットの動作制御方法。 - 【請求項18】さらに、 算出された目標ZMP軌道を実現する前記脚式移動ロボ
ットの運動パターンを生成する運動パターン生成ステッ
プと、 該生成された運動パターンに基づいて実現される実現Z
MP軌道を算出する実現ZMP算出ステップと、 目標ZMP軌道と実現ZMP軌道間のZMP誤差を算出
するZMP誤差算出ステップと、 ZMP誤差が所定値を越えたことに応答して、該ZMP
誤差に基づいて目標ZMP軌道を修正する目標ZMP軌
道修正ステップと、 を具備することを特徴とする請求項10に記載の脚式移
動ロボットの動作制御方法。
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2000
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