JP2001276004A - 胃電図によるストレス評価方法 - Google Patents

胃電図によるストレス評価方法

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JP2001276004A
JP2001276004A JP2000090872A JP2000090872A JP2001276004A JP 2001276004 A JP2001276004 A JP 2001276004A JP 2000090872 A JP2000090872 A JP 2000090872A JP 2000090872 A JP2000090872 A JP 2000090872A JP 2001276004 A JP2001276004 A JP 2001276004A
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Seizaburo Arita
清三郎 有田
Kazuyuki Kanai
一之 金井
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Sysmex Corp
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Measuring And Recording Apparatus For Diagnosis (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストレスを客観的に評価する指標を提供す
る。 【解決手段】 予め、被験者群から胃電図の測定データ
を収集する。被験者を安静状態とする第1フェーズと、
第1フェーズ後に被験者にストレス負荷を与えストレス
状態とする第2フェーズと、第2フェーズ後に被験者を
安静状態とする第3フェーズとの3つのフェーズにおい
て、各被験者の胃電図信号を測定する。測定した胃電図
信号についてカオス解析を施す。3つのフェーズそれぞ
れにおけるカオス解析信号のリアプノフ指数に基づいて
説明変数を求める。被験者群の説明変数群から正準判別
関数係数の最適値を求め、以後の被験者のストレスの判
別値の算出に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胃電図の計測によ
って得られる信号に基づいて、被験者のストレスを評価
するストレス評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ストレスとの関連が深いと思われ
る症状群、例えばNUD(non-ulcer dyspepsia)が注目
されている。NUDは、症状からは消化性潰瘍と区別が
困難であり、形態学的には異常を見出せない症状群であ
る。このような症状では、病因を解明するために、患者
にかかるストレスの強さやストレスに対する耐性を、医
師などの第3者が客観的に把握することが重要である。
しかし、患者のストレスを把握する手段としては、患者
が自覚症状を問診によって医師に伝えることが一般的で
ある。これでは、患者によって感じ方や表現が異なるた
め、医師が患者のストレスを客観的に把握して評価する
ことが出来ない。
【0003】そこで、被験者の様々な生体運動、例えば
指先の脈波や体温を非侵襲的に測定し、被験者のストレ
スを評価する方法が検討されているが、客観的な指標と
して用いられるところまでは至っていない。出願人は、
被験者のストレスと関連する生体運動として胃運動に着
目し、胃電図の解析を検討してきた。例えば、特願平1
0−303626号において、被験者のストレス状態と
安静状態とにおける胃電図を計測し、その胃電図信号に
カオス解析を施し、状態の変化によるリアプノフ指数を
比較することにより、被験者のストレスを評価する方法
を提案している。図6は、この方法により表示されるス
トレスの解析結果である。この解析結果は、横軸に状
態、縦軸に各状態での第1リアプノフ指数を取り、スト
レス状態(第1フェーズ、第3フェーズ)と安静状態
(第2フェーズ、第4フェーズ)とを交互に繰り返した
場合における、各状態(フェーズ)の第1リアプノフ指
数の変化を表している。この図より、ストレス状態で
は、胃電図の第1リアプノフ指数が小さくなる方向に変
化することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特願平10−30
3626号に記載の発明を用いることにより、胃電図を
用いるだけで被験者のストレスをある程度客観的に評価
することが可能となった。しかし、胃電図信号のリアプ
ノフ指数自体は個人差が大きい。さらに、安静状態のリ
アプノフ指数が、ストレス状態の前の状態(第1フェー
ズ)とストレス状態の後の状態(第3フェーズ)とで同
じ値にならないこともある。そのため、単に安静状態と
ストレス状態とのリアプノフ指数を提示するだけでは、
被験者のストレスを評価することに困難が生じることが
あり、このまま実際の医療現場に用いることができるま
でには至っていない。
【0005】また、実際の医療現場では、健常者か患者
かといった判断もさることながら、ストレスのレベルを
客観的に知りたいというニーズがある。しかし、前述の
方法では、被験者のストレスのレベルを客観的に評価す
るまでには至ってない。本発明は、測定された胃電図の
カオス解析結果に基づいて、被験者のストレスのレベル
を客観的に評価し、実際の医療現場での診断への応用を
可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願第1発明は、前記課
題を解決するために、 A;被験者を安静状態とする第1フェーズと、第1フェ
ーズ後に被験者にストレス負荷を与えストレス状態とす
る第2フェーズと、第2フェーズ後に被験者を安静状態
とする第3フェーズとの3つのフェーズにおいて、被験
者の胃電図信号を測定し、 B;測定した胃電図信号についてカオス解析を施し、 C;前記3つのフェーズそれぞれにおけるカオス解析信
号のリアプノフ指数を求め、 D;前記リアプノフ指数に基づいて所定の説明変数を求
め、 E;2群線形判別分析法を用いて予め求められている正
準判別関数係数と前記説明変数とに基づいて判別関数値
を算出し、被験者のストレスの指標とする、胃電図によ
るストレス評価方法を提供する。
【0007】被験者のストレスを、2群線形判別分析法
による判別関数値で表現することにより、ストレスのレ
ベルを客観的に表示できる。判別関数値を算出するため
に用いる正準判別関数係数は、予め実験的に求めてお
く。本願第2発明では、第1発明における正準判別関数
係数を、次のように求める。A;予め健常者群と患者群
とに分類された被験者群を準備し、被験者を安静状態と
する第1フェーズと、第1フェーズ後に被験者にストレ
ス負荷を与えストレス状態とする第2フェーズと、第2
フェーズ後に被験者を安静状態とする第3フェーズとの
3つのフェーズにおいて、各被験者の胃電図信号を測定
し、 B;測定した胃電図信号についてカオス解析を施し、 C;前記3つのフェーズそれぞれにおけるカオス解析信
号のリアプノフ指数を求め、 D;前記リアプノフ指数に基づいて説明変数を求め、 E;各被験者から求めた全ての説明変数からなる説明変
数群に対し、2群線形判別分析を用いて正準判別関数係
数を算出し、 F;前記説明変数と正準判別関数係数とに基づいて各被
験者の判別関数値を算出し、 G;算出した判別関数値に基づいて前記被験者群を健常
者群と患者群とに分類した結果と、予め定めた分類との
一致度を算出し、 H;前記分類の一致度が最適となる正準判別関数係数を
決定する。
【0008】本願第3発明は、前記第1または第2発明
において、前記説明変数が前記各フェーズにおける第1
リアプノフ指数である、胃電図によるストレス評価方法
を提供する。最適な説明変数は、実験的に求められる。
本願第4発明では、前記第1または第2発明において、
第3発明とは異なる他の説明変数を用いる。具体的に
は、第1〜第3フェースの第1リアプノフ指数をそれぞ
れλ1-1、λ1-2、λ1-3とし、横軸及び縦軸にλ値をと
った平面上の始点(λ1-1、λ1-2)から終点(λ1-2、
λ1-3)へのベクトルを想定した場合、前記説明変数
は、前記ベクトルの要素に基づいて決定される。
【0009】例えば、説明変数として、ベクトルの大き
さ、ベクトルの角度、ベクトルの始点座標及びベクトル
の終点座標を用いることが挙げられる。本願第5発明
は、前記第1〜4発明において、予め所定の母集団につ
いて判別関数値を求めておき、被験者の判別値が母集団
の判別値の中で占める位置を算出してストレスの評価指
標とする、請求項1〜4のいずれかに記載の胃電図によ
るストレス評価方法を提供する。
【0010】例えば、母集団の判別値を5段階に分けて
おき、被験者がどの段階に位置するかを算出することに
より、その被験者のストレスレベルを推し量ることが出
来る。本願第6発明は、前記第1〜5発明の胃電図によ
るストレス評価方法を実行するためのプログラムを記録
した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供す
る。ここで、記録媒体としては、コンピュータが読み書
き可能なフロッピーディスク、ハードディスク、半導体
メモリ、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク(MO)、そ
の他のものが挙げられる。
【0011】本願第7発明は、解析手段と、指数手段
と、変数手段と、算出手段と、を備える胃電図によるス
トレス評価装置を提供する。解析手段は、被験者を安静
状態とする第1フェーズと、第1フェーズ後に被験者に
ストレス負荷を与えストレス状態とする第2フェーズ
と、第2フェーズ後に被験者を安静状態とする第3フェ
ーズとの3つのフェーズにおいて測定された被験者の胃
電図信号についてカオス解析を施す。
【0012】指数手段は、前記3つのフェーズそれぞれ
におけるカオス解析信号のリアプノフ指数を求める。変
数手段は、前記リアプノフ指数に基づいて所定の説明変
数を求める。算出手段は、2群線形判別分析法を用いて
予め求められている正準判別関数係数と前記説明変数と
に基づいて判別関数値を算出し、被験者のストレスの指
標とする。
【0013】前記第1発明と同様の作用効果を奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】<発明の概要>次に、本発明につ
いて、実施形態例を挙げて具体的に説明する。本発明の
胃電図によるストレス評価方法では、予め健常者と患者
とに分類された被験者群を準備する。各被験者に3つの
状態を体験させた胃電図データをカオス解析し、2群線
形判別分析に用いる説明変数を求める。さらに、各被験
者のデータについて求めた説明変数からなる説明変数群
に2群線形判別分析を施し、最適な正準判別関数係数を
求める。求めた正準判別関数係数を用いて、被験者の判
別関数値(以下、単に判別値という)を求め、それをス
トレス評価指数とする。
【0015】図1は、ストレスの測定から評価までの流
れを示す。胃電図測定部で測定された胃電図データは、
A/D変換部によりデジタル信号に変換され、データ蓄
積部に蓄積される。ストレス評価部は、胃電図データを
データ蓄積部から読み出し、所定の処理を施して処理結
果を出力する。具体的には、安静状態(第1フェーズ)
→ストレス状態(第2フェーズ)→安静状態(第3フェ
ーズ)の3つのフェーズを、順次被験者に体験させ、各
フェーズにおける被験者の胃電図を測定する。ストレス
評価部は、測定結果をカオス解析し、第1、第2及び第
3フェーズにおける第1リアプノフ指数λ1-1、λ1-2
及びλ1-3を求める。
【0016】さらにストレス評価部は、前記3つのフェ
ーズにおける胃電図のカオス分析結果に基づいて説明変
数を求め、一般に用いられる統計解析ツールを用いて2
群線形判別分析を行い、正準判別関数係数を求める。次
いで、カオス分析結果から求まる説明変数と、正準判別
関数係数とに基づいて、被験者の判別値Zを算出し、被
験者が健常か否かの分類を行う。被験者群を判別値Zに
より分類した結果と、予め定めておいた分類との一致度
が最も高い正準判別関数係数を求める。いったん正準判
別関数係数が決定すると、この係数と被験者の説明変数
とから求まる判別値を、ストレスレベルの指数とする。
【0017】2群線形判別分析に用いる説明変数として
は、2つ考えられる。1つは、各フェーズの第1リアプ
ノフ指数λ1-1、λ1-2及びλ1-3を、そのまま説明変
数とする方法である。他の方法は、ベクトルの要素を説
明変数に用いる方法である。すなわち、x軸及びy軸に
リアプノフ指数値を取ったx−y平面上に、始点座標S
を(λ1-1、λ1-2)、終点座標Eを(λ1-2、λ1-3)と
するベクトルを考える。図7は、座標SからEへのベク
トルを診断マップ上に表した例を示す。図7(a)は健
常者、図7(b)は患者のストレス変化を表すベクトル
の典型例である。このベクトルの始点や終点の座標、大
きさ、角度などを、説明変数とすることが考えられる。
最適な説明変数は、実験的に求めるとよい。
【0018】本発明によれば、被験者のストレスを判別
値Zによりスコア化できるので、第3者が被験者のスト
レスのレベルを客観的に把握しやすい。 <処理方法>次に、ストレス評価部が行う処理の流れを
詳しく説明する。ストレス評価部は、まず最適な判別式
を求める係数決定処理(a)を行う。判別式が決定した
後は、ストレス評価部は、被験者の判別値Zを算出する
ストレス評価処理(b)を行う。
【0019】(a)係数決定処理 図2は、係数決定処理の流れを示すフローチャートであ
る。データ蓄積部には、予め3つのフェーズにおいて測
定された被験者群の胃電図測定データが蓄積されてい
る。この被験者群は、予め何らかの方法により、健常者
群と患者群とに分けられている。
【0020】ステップS1では、ストレス評価部は、解
析しようとする測定データ、すなわち被験者の胃電図デ
ータを決定し、データ蓄積部から読み出す。ステップS
2では、ストレス評価部は、被験者の第1〜第3フェー
ズにおける測定データのカオス解析を行い、第1リアプ
ノフ指数を算出する。具体的には、リアプノフ指数を算
出するための次元数、近傍点数を決め、最適な埋め込み
遅延時間及び発展時間を設定する。リアプノフ指数は解
析に用いる次元の数だけ求まるが、その中で最も絶対値
が大きい指数である第1リアプノフ指数(最大リアプノ
フ指数とも言う)を、第1〜第3フェーズごとに算出
し、λ1-1、λ1-2、λ1-3とする。
【0021】ステップS3では、ストレス評価部は、算
出した3つのリアプノフ指数から、x軸及びy軸にリア
プノフ指数値を取ったx−y平面上の2点の座標を求め
る。具体的には、始点Sの座標を(λ1-1、λ1-2)、
終点Eの座標を(λ1-2、λ1-3)とする。ステップS
4では、ストレス評価部は、説明変数を算出する。ベク
トル要素から説明変数を算出する場合、本例では前記x
−y平面上の始点Sから終点Eへのベクトルの大きさ、
その方向、その始点のx座標及びy座標を、説明変数と
する。また、説明変数として第1リアプノフ指数そのも
のを用いても良い。この場合、ステップS3は不要であ
る。ベクトルから求まる説明変数としてどの値を用いる
と適切かは、実験的に求める。また、求めた説明変数
は、一時的に保持しておく。後述するように、各被験者
の判別値を求めるためである。
【0022】ステップS5では、ストレス評価部は、デ
ータ蓄積部に蓄積されている全てのデータについて、説
明変数を算出したか否かを判断する。“Yes”と判断
するとステップS6に移行し、“No”と判断するとス
テップS1に戻って次の被験者データを読み込む。ステ
ップS6では、ストレス評価部は、被験者それぞれから
求めた説明変数に基づいて、2群線形判別分析法により
正準判別関数係数を決定する。2群線形判別分析の実行
方法としては、通常用いられる解析ツール、例えばSP
SSVer.10.0Jを用いることが出来る。
【0023】ステップS7では、ストレス評価部は、求
めた正準判別関数係数と、ステップS4で記憶した各被
験者の説明変数とから、各被験者の判別値Zを算出す
る。ステップS8では、ストレス評価部は、所定の方法
で感度及び特異度を算出する。この例では次のように感
度及び特異度を求める。データ蓄積部に蓄積されている
被験者群は、予め何らかの方法で健常者A及び患者Bに
分けられ、その数がそれぞれ求められている。そこで、
ステップS7で求めた判別値Z≧0の被験者を健常者
a、判別値Z<0の被験者を患者bと判断した場合の健
常者群及び患者群の数を求める。次いで、感度を(aの
総数)/(Aの総数)、特異度を(bの総数)/(Bの
総数)として、それぞれの値を算出する。感度及び特異
度が高いほど、判別値Zによる判定結果が、予め分けら
れた健常者群及び患者群に一致していることを示す。
【0024】ステップS9では、ストレス評価部は、ユ
ーザにより再度計算の実行が指示されたか否かを判断す
る。この判断は、「再計算ボタン」などをディスプレイ
上に予め表示しておき(図示せず)、このボタンが押さ
れたか否かにより行うと良い。ストレス評価部は、この
ボタンが押されると、設定ウインドウ(図示せず)を表
示し、ユーザからの埋め込み遅延時間や発展時間、説明
変数の設定を受け付ける。埋め込み遅延時間や発展時間
の設定によりリアプノフ指数が変化するため、設定を変
えて再度分析を行う場合があるからである。図3は、埋
め込み遅延や発展時間の設定により、リアプノフ指数か
ら求まる座標S及びEが変化する様子を示す。
【0025】ステップS10では、ストレス評価部は、
設定が完了したか否かを判断する。この判断は、前記設
定ウインドウに予め「OKボタン」などを設けておき
(図示せず)、このボタンが押されたか否かにより行う
と良い。設定が完了したと判断すると、前述のステップ
S1に戻り、再度正準判別関数係数の算出を行う。ステ
ップS11では、ストレス評価部は、終了が指示された
か否かを判断する。これは、例えばディスプレイ上に予
め表示している「終了ボタン」が押されたか否かにより
判断する。“Yes”と判断すると、ストレス評価部は
最適な正準判別関数係数を決定する。すなわち、説明変
数の取り方、埋め込み遅延時間、発展時間など各種要因
を変えて求めた正準判別関数係数の中で、最も感度及び
特異度が高いものを求める。求められた正準判別関数係
数は、次に述べる処理(b)で、被験者の判別に用いら
れる。その後処理を終了する。“No”と判断するとス
テップS9に戻り、再度設定をし直して前述の処理を繰
り返す。
【0026】図4は、ストレス評価処理(b)の流れを
示すフローチャートである。なお、この例では、判別値
Zを求めるための説明変数として、ベクトル要素から求
まる値を用いた場合を示している。ステップS21で
は、ストレス評価部は、測定データ、すなわち被験者の
指定を待機し、被験者が指定されるとステップS22に
移行する。
【0027】ステップS22では、ストレス評価部は、
指定された被験者の第1〜第3フェースにおける測定デ
ータを、データ蓄積部から読み出す。ステップS23で
は、ストレス評価部は、前記処理(a)のステップS2
と同様にして、第1リアプノフ指数を第1〜第3フェー
ズごとに算出し、λ1-1、λ1-2、λ1-3とする。
【0028】ステップS24では、ストレス評価部は、
算出した3つのリアプノフ指数に基づいて、前記処理
(a)のステップS3と同様にx−y平面上の2点の座
標を求める。具体的には、ベクトルの始点Sの座標を
(λ1-1、λ1-2)、終点Eの座標を(λ1-2、λ1-
3)とする。ステップS25では、ストレス評価部は、
前記x−y平面上のベクトルから求まる説明変数を算出
する。本例では、ベクトルの大きさ、ベクトルの角度、
ベクトルの始点のx座標及びy座標を、説明変数とす
る。なお、説明変数としてリアプノフ指数をそのまま用
いる場合、ステップS24は不要である。
【0029】ステップS26では、ストレス評価部は、
前記処理(a)で求めた最適正準判別関数係数と、ステ
ップS25で算出した説明変数とに基づいて、被験者の
判別値Zを求める。ここでさらに、判別値Zを、予め求
めた不特定多数の被験者の判別値Zと共に、グラフ表示
するようにしても良い(図5参照)。判別対象としてい
る被験者のストレスレベルの位置を視覚的に示すことが
出来る。
【0030】ステップS27では、ストレス評価部は、
処理の終了を指示されたか否かを判断する。これは、例
えばディスプレイ上に予め表示している「終了ボタン」
が押されたか否かにより判断する。“Yes”と判断す
ると処理を終了する。“No”と判断するとステップS
21に戻り、次に指定された被験者について前述の処理
を繰り返す。
【0031】このようにストレスを判別値Zで表すこと
により、被験者のストレスのレベルをスコア化すること
ができ、第3者が容易に被験者のストレスのレベルを把
握できるようになる。 <実施例>本発明のストレス評価方法について実験を行
ったので、その結果を説明する。
【0032】(実験)健常群28例及び患者群23例に
ついて、安静状態(フェーズ1)→ストレス状態(フェ
ーズ2)→安静状態(フェーズ3)の3つの連続したフ
ェーズで胃電図を測定した。各被験者の胃電図をカオス
解析し、前述したように各フェーズについて第1リアプ
ノフ指数λ1-1、λ1-2、λ1-3を求めた。
【0033】説明変数を、 1)第1リアプノフ指数λ1-1、λ1-2、λ1-3とした場
合、 2)ベクトル要素とした場合、のそれぞれについて、前
述の処理(a)に従い、埋め込み遅延時間及び発展時間
を変化させながら、正準判別関数係数の算出を行った。
算出した正準判別関数係数を用い、被験者の判別値を求
め、感度及び特異度を算出した。判別値Zは、正準判別
関数係数a1,a2,a3,a4,a5…と、説明変数
b1,b2,b3,b4,b5…とを用いて下式で表さ
れる。
【0034】Z=a1*b1−a2*b2+a3*b3
−a4*b4+a5*b5… (結果)表1(a)及び(b)は、3つのフェーズの第
1リアプノフ指数をそのまま説明変数に用い、埋め込み
遅延時間及び発展時間を変化させて、前述の感度及び特
異度を算出した結果をそれぞれ示す。
【0035】
【表1】
【0036】表2(a)及び(b)は、ベクトルの大き
さ、角度、ベクトルの始点のx座標及びy座標を説明変
数に用い、埋め込み遅延時間及び発展時間を変えて、感
度及び特異度を算出した結果を示す。
【0037】
【表2】
【0038】わずかながら、後者の説明変数を用いた方
が、感度及び特異度ともに高い傾向が見られ、特に埋め
込み遅延時間8秒、発展時間0.4秒の結果が良好であ
った。この場合の正準判別関数係数の計算結果を、表3
に示す。(a)は、標準化された正準判別関数係数であ
り、(b)は標準化されていない正準判別関数係数であ
る。
【0039】
【表3】
【0040】また、表3に示す正準判別関数係数を用い
て被験者の判別値を求めた。その結果を図5に示す。図
5は、横軸を判別値Z、縦軸を被験者数とした場合のグ
ラフである。図5(a)はZ≧0の場合であり、健常で
ある可能性が高い被験者のグラフである。図5(b)
は、Z≦0の場合であり、患者である確率が高い被験者
のグラフである。
【0041】このように、被験者のストレスを判別値Z
で数値化することにより、第3者はその被験者のストレ
スのレベルをある程度把握できるようになる。例えば、
判別値Zが0近辺の場合、ストレスのレベルはそれほど
でもないが、被験者の症例の原因としてストレスが関与
している可能性はあると考えられる。また、判別値Zが
極めて高い負の値の場合、ストレスのレベルが高く、ス
トレスが症例の主たる原因と考えられる。逆に、判別値
Zが高い正の値である場合、ストレス以外の要因が症例
の原因と類推可能である。
【0042】被験者のストレスレベルをより客観的に評
価するために、次のような方法が考えられる。例えば、
予め収集した多数の人間の胃電図測定データ(母集団)
から判別値Zを求め、母集団を5つの領域に分ける。被
験者がどの領域に位置するかにより、診断の指標とす
る。 1)健常;健常群の50パーセンタイル以上に被験者が
位置。
【0043】2)おおよそ健常;健常群の15〜50パ
ーセンタイルまでに被験者が位置。 3)なんともいえない;健常群の15パーセンタイル未
満及び患者群の15パーセンタイル未満を含む領域に被
験者が位置。 4)やや病的;患者群の15〜50パーセンタイルまで
に被験者が位置。 5)病的;患者群の50パーセンタイル以上に被験者が
位置。
【0044】上記のように、判別値Zに基づくストレス
レベルのスコア化を行うことにより、ストレスレベルを
客観的に評価しやすくなる。 <その他の実施形態例> (A)前述した本発明の方法を実行するプログラムを記
録した記録媒体は、本発明に含まれる。ここで記録媒体
としては、コンピュータが読み書き可能なフロッピー
(登録商標)ディスク、ハードディスク、半導体メモ
リ、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク(MO)、その他
のものが挙げられる。
【0045】
【発明の効果】本発明を用いれば、胃電図の測定データ
から求めた被験者のストレスが数値で表されるので、第
3者が被験者のストレスのレベルを把握しやすく、医療
現場でのストレスの客観的な評価指標として用いること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストレスの測定から評価までの流れを示す説明
図。
【図2】係数決定処理(a)の流れを示すフローチャー
ト。
【図3】ベクトルの始点位置及び終点位置が、遅延時間
及び発展時間により変化する様子を示す説明図。
【図4】ストレス評価処理(b)の流れを示すフローチ
ャート。
【図5】判別値Zと患者数との関係を表すグラフ。 (a)健常者群(Z>0)。 (b)患者群(Z<0)。
【図6】フェーズの変化によるリアプノフ指数の変化を
示す図。
【図7】フェーズの変化によるリアプノフ指数の変化の
ベクトル表示例。 (a)健常者の典型例。 (b)患者の典型例。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C027 AA01 FF01 GG13 GG15 KK03 KK05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被験者を安静状態とする第1フェーズと、
    第1フェーズ後に被験者にストレス負荷を与えストレス
    状態とする第2フェーズと、第2フェーズ後に被験者を
    安静状態とする第3フェーズとの3つのフェーズにおい
    て、被験者の胃電図信号を測定し、 測定した胃電図信号についてカオス解析を施し、 前記3つのフェーズそれぞれにおけるカオス解析信号の
    リアプノフ指数を求め、 前記リアプノフ指数に基づいて所定の説明変数を求め、 2群線形判別分析法を用いて予め求められている正準判
    別関数係数と前記説明変数とに基づいて判別関数値を算
    出し、被験者のストレスの指標とする、胃電図によるス
    トレス評価方法。
  2. 【請求項2】前記正準判別関数係数は、 予め健常者群と患者群とに分類された被験者群を準備
    し、被験者を安静状態とする第1フェーズと、第1フェ
    ーズ後に被験者にストレス負荷を与えストレス状態とす
    る第2フェーズと、第2フェーズ後に被験者を安静状態
    とする第3フェーズとの3つのフェーズにおいて、各被
    験者の胃電図信号を測定し、 測定した胃電図信号についてカオス解析を施し、 前記3つのフェーズそれぞれにおけるカオス解析信号の
    リアプノフ指数を求め、 前記リアプノフ指数に基づいて説明変数を求め、 各被験者から求めた全ての説明変数からなる説明変数群
    に対し、2群線形判別分析を用いて正準判別関数係数を
    算出し、 前記説明変数と正準判別関数係数とに基づいて各被験者
    の判別関数値を算出し、 算出した判別関数値に基づいて前記被験者群を健常者群
    と患者群とに分類した結果と、予め定めた分類との一致
    度を算出し、 前記分類の一致度が最適となる正準判別関数係数を決定
    することにより求められる、請求項1に記載の胃電図に
    よるストレス評価方法。
  3. 【請求項3】前記説明変数は、前記各フェーズにおける
    第1リアプノフ指数である、請求項1または2に記載の
    胃電図によるストレス評価方法。第1リアプノフ指数を
    そのまま説明変数に用いて判別関数値を算出する。
  4. 【請求項4】第1〜第3フェースの第1リアプノフ指数
    をそれぞれλ1-1、λ1-2、λ1-3とし、横軸及び縦軸に
    λ値をとった平面上の始点(λ1-1、λ1-2)から終点
    (λ1-2、λ1-3)へのベクトルを想定した場合、 前記説明変数は、前記ベクトルの要素に基づいて決定さ
    れる、請求項1または2に記載の胃電図によるストレス
    評価方法。
  5. 【請求項5】予め所定の母集団について判別関数値を求
    めておき、被験者の判別値が母集団の判別値の中で占め
    る位置を算出してストレスの評価指標とする、請求項1
    〜4のいずれかに記載の胃電図によるストレス評価方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5に記載の胃電図によるストレ
    ス評価方法を実行するためのプログラムを記録した、コ
    ンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  7. 【請求項7】被験者を安静状態とする第1フェーズと、
    第1フェーズ後に被験者にストレス負荷を与えストレス
    状態とする第2フェーズと、第2フェーズ後に被験者を
    安静状態とする第3フェーズとの3つのフェーズにおい
    て測定された被験者の胃電図信号についてカオス解析を
    施す解析手段と、 前記3つのフェーズそれぞれにおけるカオス解析信号の
    リアプノフ指数を求める指数手段と、 前記リアプノフ指数に基づいて所定の説明変数を求める
    変数手段と、 2群線形判別分析法を用いて予め求められている正準判
    別関数係数と前記説明変数とに基づいて判別関数値を算
    出し、被験者のストレスの指標とする算出手段と、 を備える胃電図によるストレス評価装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019505287A (ja) * 2015-12-31 2019-02-28 ブレインスコープ カンパニー, インコーポレイテッド 神経学的監視および補助された診断のためのシステムおよび方法
JP2021524342A (ja) * 2018-07-11 2021-09-13 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. ユーザのストレスレベルを決定するためのデバイス、システム及び方法

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