JP5911840B2 - 診断データ生成装置および診断装置 - Google Patents

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この発明は、診断データ生成装置に関し、特に、精神的疾患の客観的判断処理に関する。
今日、鬱病の客観的データによる認定として、脳細胞を活性化するたんぱく質の遺伝子の働き具合をチェックする認定手法が知られている。
特許文献1には、取得した生体情報に対してカオス解析を行い、意思疎通や痴呆度などの精神的免疫度を測定するコンピュータシステムが開示されている。
特開2006-204502号
しかし、上記遺伝子を働き具合をチェックする手法は、血液検査のあと、研究所に送っての判断が必要であり、煩雑でかつ判定に時間がかかる。
この発明は、簡易に鬱病などの精神疾患を簡易に判断できる診断データ生成装置を提供することを目的とする。
1)本発明にかかる診断データ生成装置は、A)測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、B)下記を有するm次元平均ベクトル数演算手段、b1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、b2)前記各組合わせをm次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm次元ベクトル距離演算手段、b3)前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段、b4)前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段、C)下記を有するm+1次元平均ベクトル数演算手段、c1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、c2)前記各組合わせをm+1次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm+1次元ベクトル距離演算手段、c3)前記m+1次元の各ベクトルについて、前記距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段、c4)前記m+1次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段、D)前記m次元平均ベクトル数および前記m+1次元平均ベクトル数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める乱雑さ演算手段、を備え、前記m次元平均ベクトル数演算手段および前記m+1次元平均ベクトル数演算手段は、前記距離dを変化させた場合の、m次元平均ベクトル数およびm+1次元平均ベクトル数を求め、前記乱雑さ演算手段は、前記距離dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを求め、さらに、前記脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する生成手段を有する。
このように、前記距離dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを求め、前記微視的乱雑さの変化グラフを生成することにより、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
2. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記距離dは、前記N個の個別データにおける血流量の標準偏差に係数を乗じたものであり、前記乱雑さ演算手段は、前記係数を変化させることにより前記距離dを変更して、前記脈波の微視的乱雑さを求める。したがって、血流量の個体的振れ幅を考慮した判断データを得ることができる。
3. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記脈波データは、脈波の時系列データである。したがって、脈波に基づく判断データを得ることができる。
4. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記脈波データは、微分脈波データの時系列データである。したがって、微分脈波データに基づく判断データを得ることができる。
5. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記m=2、またはm=3である。
6. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、A)測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、B)下記b1)〜b3)を有する演算手段、b1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第1組数として求める第1組数演算手段、b2)前記N個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第2組数として求める第2組数演算手段b3)前記第1組数および前記第2組数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める微視的乱雑さ演算手段、C)前記微視的乱雑さ演算手段に、前記第1閾値dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを演算させる変化微視的乱雑さ演算手段、D)前記第1閾値dを変化させた場合の脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する手段を有する。このように、前記第1閾値dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを求め、前記微視的乱雑さの変化グラフを生成することにより、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
7. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記第1閾値dは、前記N個の個別データにおける血流量の標準偏差に係数を乗じたものであり、前記変化微視的乱雑さ演算手段は、前記係数を変化させることにより前記第1閾値dを変更して、前記脈波の微視的乱雑さを求める。したがって、血流量の個体的振れ幅を考慮した判断データを得ることができる。
8. 本発明にかかる診断データ出力装置は、前記いずれかの診断データ生成装置、と前記生成された変化グラフを出力する出力手段を備えている。
9. 本発明にかかる診断装置は、前記いずれかの診断データ生成装置と前記変化グラフについて、単純減少傾向でない場合には、これを報知する報知手段を備えている。
10. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、前記脈波データを2回以上微分した微分脈波データを演算する複数回微分データ演算手段、前記微分脈波データから、埋め込み次元をnとし埋め込み遅延をτとして、カオスアトラクターを生成するカオスアトラクター生成手段を備えている。かかるカオスアトラクターの軌道は、健常者と精神疾患者では形状が異なる。したがって、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
11. 本発明にかかる診断データ出力装置は、前記診断データ生成装置と、前記生成したカオスアトラクターの軌道形状を出力する出力手段を備えている。
12. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、前記脈波データを4回以上微分した微分脈波データを演算する複数回微分データ演算手段、精神疾患傾向があることを示す精神疾患度演算手段であって、前記微分脈波データから、波高比b/a を求めて、これを第1パラメータとして、前記第1パラメータの値が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断する精神疾患度演算手段を備えている。このように、前記第1パラメータから前記精神疾患度を判断することにより、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
13. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、前記精神疾患度演算手段は、前記微分脈波データから、波高比d/bを求めて、これを第2パラメータとして、前記第1パラメータと前記第2パラメータの差が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断する。このように、前記第1パラメータと第2パラメータの差から前記精神疾患度を判断することにより、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
14. 本発明にかかる診断データ生成装置においては、測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、前記脈波データを4回以上微分した微分脈波データを演算する複数回微分データ演算手段、精神疾患傾向があることを示す精神疾患度演算手段であって、前記微分脈波データから、波高比d/bを求めて、これを第2パラメータとして、前記第2パラメータの値が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断する精神疾患度演算手段、を備えている。このように、前記第2パラメータから前記精神疾患度を判断することにより、精神疾患のための客観的な判断データを得ることができる。
15. 本発明にかかる診断データ出力装置は、前記診断データ生成装置と、前記生成したカオスアトラクターの軌道形状を出力する出力手段を備えている。
本明細書において、「統計的平均値」とは、狭義の平均値、中央値、最頻値を含む。また、狭義の「平均値」としては、相乗平均、調和平均、一般化平均、加重平均など、各種の算術手法を含む。「微分脈波データ」とは、脈波データを少なくとも1回以上微分したデータを含む。
診断データ生成装置1の機能ブロック図である。 診断データ生装置1のハードウェア構成を示す図である。 脈波データの波形の一例である。 グラフ生成のフローチャートを示す。 サンプルエントロピー演算処理の詳細フローチャートである。 rを変更した場合の演算結果(健常人)を示す。 rを変更した場合の演算結果(精神疾患あり)を示す。 サンプルエントロピーの意義を説明する図である。 サンプリングレートを変えた場合のグラフである。 第2実施形態における加速度脈波である。 第2実施形態における健常者のアトラクタの軌道を示すグラフである。 第2実施形態における精神疾患者のアトラクタの軌道を示すグラフである。 アトラクタ生成装置210の機能ブロック図である。 アトラクタ生成のフローチャートである。 指尖脈波データからのカオスアトラクタを生成する行程を示す図である。 健常者の4回微分データを示す。 精神疾患者の4回微分データを示す。 健常者のアトラクタを示す。 精神疾患者のアトラクタを示す。 波高比についての分析結果である。 波高比b/aについて、患者と健康者との違いを説明するための図である。 波高比b/dについて、の患者と健康者との違いを説明するための図である。 診断データ生成装置410の機能ブロック図である。 波高比から診断する場合のフローチャートである。 診断データ生成装置520の機能ブロック図である。
1・・・・ 診断データ生成装置
23・・・CPU
27・・・メモリ
機能ブロック図
図1に、本発明にかかる診断データ生成装置1を有する診断装置100の機能ブロック図を示す。診断装置100は、指尖脈波計測手段3、診断データ生成装置110、報知手段11および出力手段12を備えている。
指尖脈波計測手段3は、指尖脈波を計測して、測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを計測する。
診断データ生成装置110は、脈波記憶手段5、m次元平均ベクトル数演算手段7、m+1次元平均ベクトル数演算手段8、乱雑さ演算手段9、生成手段10を備えている。m次元平均ベクトル数演算手段7は、前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、前記各組合わせをm次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm次元ベクトル距離演算手段、前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段、および前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段を有している、
m+1次元平均ベクトル数演算手段8は、前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、前記各組合わせをm+1次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm+1次元ベクトル距離演算手段、前記m+1次元の各ベクトルについて、前記距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段、前記m+1次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段を有している。
乱雑さ演算手段9は、前記m+1次元平均ベクトル数および前記m次元平均ベクトル数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める。
また、m次元平均ベクトル数演算手段7およびm+1次元平均ベクトル数演算手段8は、前記距離dを変化させた場合の、m次元平均ベクトル数およびm+1次元平均ベクトル数を求める。乱雑さ演算手段9は、前記距離dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを求める。生成手段10は前記脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する。
したがって、前記距離dを変化させた場合の、m次元平均ベクトル数およびm+1次元平均ベクトル数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求めることができる。
報知手段11は、前記変化グラフについて、単純減少傾向でない場合には、これを報知する。出力手段12は生成された変化グラフを出力する。
2.ハードウェア構成
診断装置100のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。同図は、診断装置100を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
診断装置100は、CPU23、メモリ27、ハードディスク26、モニタ30、光学式ドライブ25、入力デバイス28、通信ボード31、脈波センサ36およびバスライン29を備えている。CPU23は、ハードディスク26に記憶された各プログラムにしたがいバスライン29を介して、各部を制御する。
ハードディスク26は、オペレーティングシステムプログラム26o(以下OSと略す)、メインプログラム26pが記憶される。メインプログラム26pの処理は、後述する。
脈波センサ36は、一般的な指尖脈波計測器である。本実施形態においては、赤外線を用いて血流量を計測し、この血流量から指尖脈波を求める指尖脈波計測器を採用した。具体的には、発光素子から照射された赤外線が計測対象の指で反射され、これを受光素子で受光する。この反射光の強度は、血流量を表している。したがって、受光素子から出力される信号は、指尖容積脈波となる。この受光素子からの信号をデジタルデータにして出力する。
脈波センサ36からのデータはメモリ27に取り込まれ、脈波記憶部26mに記憶される。
図3Aに、指尖脈波計測器36から出力される指尖脈波の例を示す。実際にはデジタルデータであるが、図3Aにおいては波形として示している。
結果記憶部26kには後述するように計測した脈波から得られたサンプルエントロピーが記憶される。
本実施形態においては、オペレーティングシステムプログラム(OS)26oとして、Windows7(登録商標または商標)を採用したが、これに限定されるものではない。
なお、上記各プログラムは、光学式ドライブ25を介して、プログラムが記憶されたCD−ROM25aから読み出されてハードディスク26にインストールされたものである。なお、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク(FD)、ICカード等のプログラムをコンピュータ可読の記録媒体から、ハードディスクにインストールさせるようにしてもよい。さらに、通信回線を用いてダウンロードするようにしてもよい。
本実施形態においては、プログラムをCD−ROMからハードディスク26にインストールさせることにより、CD−ROMに記憶させたプログラムを間接的にコンピュータに実行させるようにしている。しかし、これに限定されることなく、CD−ROMに記憶させたプログラムを光学式ドライブ25から直接的に実行するようにしてもよい。なお、コンピュータによって、実行可能なプログラムとしては、そのままインストールするだけで直接実行可能なものはもちろん、一旦他の形態等に変換が必要なもの(例えば、データ圧縮されているものを、解凍する等)、さらには、他のモジュール部分と組合して実行可能なものも含む。
3. フローチャート
(3.1 診断データ生成処理)
図4に診断データ生成処理の全体のフローチャートを示す。ユーザは、脈波センサ33に計測対象の指を接触させて、診断装置100に計測開始処理を実行させる。これにより、CPU23は、指尖脈波の読み取りおよび記憶を開始する(図4ステップS1)。結果は、メモリ27に記憶される。記憶された脈波データは横軸時間、縦軸血流量を表している。
CPU23は、脈波データからN個のサンプリングを行う(ステップS3)。本実施形態においては、1秒間に200回のサンプリングレートとして、3分間のデータを採用した(N=36000)。
CPU23は、許容値rを初期値とする(ステップS5)。本実施形態においては許容値rの初期値を0.1とした。
CPU23は、N個のサンプリング値を1つずつずらしながら、m個の要素で構成される組Bと、m+1個の要素で構成される組Aを生成する(ステップS7)。例えば、N個のサンプリング値が、1番目がk(1)、2番目がk(2)、3番目がk(3)、4番目がk(4)、5番目がk(5)、・・・・n番目がk(n)で、m=2とすると、組Bはm個の要素で構成されるので、B(1)=(k(1)、k(2))、B(2)=(k(2)、k(3))、B(3)=(k(3)、k(4))・・・、B(N-m)=(k(N-m)、k(N-m))の、N-m個の組で構成される。一方、組Aは、m+1個の要素で構成されるので、A(1)=(k(1)、k(2)、k(3))、A(2)=(k(2)、k(3)、k(4))、A(3)=(k(3)、k(4)、k(5))・・・、A(N-m)=(k(N-m)、k(N-m+1)、k(N))と、同じくN-m個の組で構成される。ここで、組Bについて、組Aと同じ数の組を生成したのは後述するように、両者の組数を一致させるためである。
CPU23は、組Aをm次元のベクトル、組Bをm次元のベクトルで表現されているとして、サンプルエントロピーを演算する(ステップS9)。本実施形態において採用したサンプルエントロピーの演算手法を図5を用いて説明する。
CPU23は、処理番号iを初期化する(図5ステップS21)。CPU23は、組Bの各組をm次元のベクトルとして、i番目の組と他の全ての組との差分を演算し、i番目の組で特定されるベクトルについて、距離σ・r内に存在するベクトルの平均ベクトル数Bm i (r)を求める(ステップS23)。なお、σは、サンプリングしたN個のサンプリング値の標準偏差である。距離σ・r内に存在するベクトルの平均ベクトル数は、各ベクトルについて差分を演算して、その差分が、距離σ・r内となるベクトルの数を求めればよい。
ここでは、まず、i=1であるので、CPU23は、ベクトルB(1)について、他のベクトルB(2)=(k(2)、k(3))との距離を求める。本実施形態においては、ベクトル間の距離は、対応する要素間の差の最大値を採用した。例えば、ベクトルB(1)とベクトルB(2)の場合、ベクトルB(2)のk(2)と、ベクトルB(1)のk(1)の差と、ベクトルB(2)のk(3)と、ベクトルB(1)のk(2)の差のうち、大きい値が距離となる。なお、ベクトルの距離については、他のベクトル距離の演算手法(例えば、ユークリッド距離等)を採用することもできる。
CPU23は、求めた距離が距離σ・rより小さければ、距離σ・r内のベクトルの個数は「1」、なければ、「0」とする。これは、ベクトルB(1)の近傍に自分自身以外のベクトルがいくつ存在するかを判断するためである。以下、同様にして、ベクトルB(1)=(k(1)、k(2))と、ベクトルB(3)=(k(3)、k(4))との距離、・・・と繰り返して、ベクトルB(1)とB(N-m)との距離を求める。得られた個数を総計して、その平均を求める。本実施形態においては、自分自身との距離は求めていないので、(N-m-1)個の距離を総計して、それらの平均を求めた。これにより、ベクトルB2 1(0.1)の近傍存在平均個数が求められる。
同様にして、組Aの各組をm+1次元のベクトルとして、i番目の組と他の全ての組との差分を演算し、i番目の組で特定されるベクトルについて、距離σ・r内に存在するベクトルの平均ベクトル数Am+1 i (r)を求める(ステップS25)。
CPU23は処理番号iをインクリメントし、処理番号iが最終まで終了したか否か判断する。この場合、終了していないので、ステップS23,25の処理を繰り返す。これにより、ベクトルB2 2(0.1)、ベクトルA2 2(0.1)の近傍存在平均個数が求められる。これにより、全ベクトルについて 近傍存在平均個数が求められる。
CPU23は、ステップS29にて、組A、Bそれぞれについての全ての組について近傍存在平均個数を求めると、全組の平均ベクトル数Am+1 (r)および平均ベクトル数Bm (r)を求める(ステップS31)。これは、平均ベクトル数Bm2 1 (0.1)、Bm2 2 (0.1)、Bm2 (0.1)を総計して、その平均を求めればよい。平均ベクトル数Am+1 i (r)についても同様である。
CPU23は、全組の平均ベクトル数Am+1 (r)および平均ベクトル数Bm (r)から、サンプルエントロピーを求める。本実施形態においては、下記式1のように、(Am+1 (r)/Bm (r))を求めて、その自然対数に−1を乗じた値を、サンプルエントロピーとした。
SampEn(m,r,N)=-ln (Am+1 (r)/Bm (r))・・・・(式1)
ここで、mは組を構成する要素数、rは距離の閾値、Nは数サンプル数である。
このようにして、許容値r=0.1の場合の、組A、組Bのサンプルエントロピーが求められる。CPU23は、許容値rに増加分r1を加算して(図4ステップS11)、許容値rが設定値を超えたかを判断し(ステップS13)、越えていなければ、前記r1だけ増加した値についての、組A、組Bのサンプルエントロピを求める。以下、同様にして、許容値rがr1づつ増加した場合のサンプルエントロピーが求められ、結果記憶部26k(図2参照)に記憶される。本実施形態においてはr1=0.01としたがこれに限定されない。
ステップS13にて、許容値rが設定値を超えた場合には、処理を終了する。本実施形態においては、設定値を0.5としたが、これに限定されない。このようにして、許容値rを順次変更した場合の、サンプルエントロピーが求められる。
CPU23は、許容値rを順次変更した場合の、サンプルエントロピーの変化をグラフ表示する。図6は、健常人の場合であり、図7は大うつ病性障害(単一型)の患者の計測結果である。図6に示す、健常人のグラフは、許容値rが大きくなればなるほどサンプルエントロピーの値は単調に減少している。これは、許容範囲が大きいということは、バラツキが大きい場合でも、サンプルエントロピーは小さくなるからである。これに対して、図7に示す、精神疾患がある場合、サンプルエントロピーは許容値rが大きくなっても、単調減少ではなく、途中で一旦上昇する傾向にある。かかる理由については明確ではないが、発明者は、脈波の乱れと、精神疾患についてなんらかの関連性があると考えた。かかる傾向は、他の精神疾患の患者について調べたところ、同様野結果が得られた。本実施形態においては、精神疾患として、アスペルガー症候群、大うつ病性障害(単一型)、大うつ病性障害(単一型)急性ストレス障害、大うつ病性障害・原発性睡眠障害、大うつ病性障害特定不能の不安障害、大うつ病性障害反復性・燃え尽き症候群、大うつ病性障害(反復型)、分裂感情障害(うつ病型)、双極II型障害、摂食障害、気分循環性障害、器質性精神病性障害(バセドー氏病)、気分循環性障害、摂食障害器質性精神病性障害甲状腺機能低下症、短期精神病性障害(顕著ストレス因子あるもの)、器質性精神病性障害・甲状腺機能低下症、気分循環性障害・強迫性適応障害、PMS器質性精神病性障害、気分変調性障害PTSD化学物質過敏症、統合失調症(妄想型)、強迫性障害、統合失調症等についても、同様の傾向が見られた。
このように、許容値rを順次変更した場合の、サンプルエントロピーの変化をグラフ表示することにより、被検査者が精神疾患を患っているのかについて、簡易かつ客観的に判断することができる。
本実施形態においてはm=2である場合について説明したが、発明者は、さらに、m=3、m=4・・・とmを大きくして検討したところ、図6,図7に示すように、同様の傾向があることが判明した。このように、上記傾向は、m=2またはm=3である場合に顕著であるが、m=4以上であっても、生ずる場合がある。
また、複数のmの値について複数の曲線を描画すると、精神疾患者については、他の曲線と交差する傾向があることも分かった(図7参照)。したがって、図4に示すような許容値rを変更したサンプルエントロピーを求める場合を、さらにmを変化させた処理を繰り返すことに、精神疾患者か否かをより客観的に判断することができる。
また、得られた変化グラフについて、単純減少傾向か否かを判断するようにして、単純現象傾向でない場合には、これを報知するようにしてもよい。また、上記の複数のmの値について複数の曲線を描画すると、他の曲線と交差する場合、これを検出して報知するようにしてもよい。
本実施形態におけるサンプルエントロピーの利用手法について、従来との違いについて、説明する。
従来からサンプルエントロピーを求めてその値によって精神状態を判断する手法は知られていた。具体的には、従来のサンプルエントロピーの演算では、サンプル数Nと許容範囲rと連の長さmを固定した値で,演算を行い、その値によって判断を行っていた。血流量のように、時間の経過に伴って揺らぎながら周期的に変化する時系列変化データについて、これを複数のサンプル区間に分けた場合、以下のような関係が得られる。
組Bを構成する要素の値は、図8に示すような連続するデータの変化を示している。これをm次元のベクトルと把握して、σ・r内に位置するベクトルの分布数、すなわち、図8Bに示すように、ある値k(P)からk(P+1)へ変化する区間として類似する区間がどの程度存在するのかを示す。また、組Aを構成する要素の値は、さらに、ある値k(P)からk(P+1)へ変化し、その後、k(P+2)に変化する区間として類似する区間がどの程度あるのかを示す。上記式(1)の対数の中の(Am+1 (r)/Bm (r))は、 (Am+1 (r)/(N-m-1)/Bm (r)/(N-m-1))から、/(N-m-1)を約分したものである。ここで、Bm (r)/(N-m-1)は、ある値k(P)からk(P+1)への変化する確率を、Am+1 (r)/(N-m-1)は、ある値k(P)からk(P+1)への変化した後、さらに、k(P+2)に変化する確率を求めている。すなわち、これらの比は、ある値k(P)からk(P+1)への変化を1とした時に、さらに、k(P+2)に変化する割合を求めている。式(1)はこの値の対数を求めている。従来は、かかる値によって精神疾患との関係を分析するというものであった。
これに対して、発明者は、かかる一点の数値から判断するのではなく、統計的な手法によって判断ができないかと考えた。そこで、サンプル数Nにおける,それぞれの連の長さmに対する許容範囲rを変化させたサンプルエントロピーを求めた。通常、許容範囲rを大きくすればするほど,サンプルエントロピーは,ある連mの近傍に入る数は大きくなると同時に,隣の連m+1の近傍に入る数も大きくなり,やがて,その両者の数はある一定の値に単調に収束すると予想される。健常者の場合には、実際、単調に減衰し,収束する。これに対して、精神疾病者については、かかる変化が単調に減衰するのではなく、一度値が上昇する(グラフが盛り上がる)傾向があるのが判明した。このように、許容範囲rを変化させた場合の、グラフの形状で判断する点が従来と異なる。
本実施形態においては、サンプリング個数N=36000としたが、Nの値についてはこれに限定されない。図9Aに示すようにN=600程度でも、さらに、図9Bに示すようにN=100程度でも、同様の傾向が検出される。したがって、3秒の計測時間、さらには、0.5秒の計測時間で、ほぼ同様の計測結果を得ることができる。
本実施形態においては、組B、Aについては、mの値を、mとm+1とした場合について説明したが、これに限定されず、例えば、mとm+2であってもよい。
本実施形態においては、図3,図4に示す処理にて、サンプルエントロピーを求めたが、これに限定されず、他の演算手法でサンプルエントロピーを求めるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、組Bについて、組Aと同じ数の組を生成したが、組Bについて、N-m+1個の組で構成してもよい。これは、Nが100以上程度であれば、両者のサンプルエントロピーの比は、ほぼ誤差程度の違いが生ずるだけだからである。
本実施形態においては図5ステップS23、ステップS25において、平均を求めるのに、(N-m-1)個の距離を総計して、それらの平均を求めたが、これに限定されず、自分自身の距離0を加算して、(N-m)個の距離を総計して、それらの平均を求めてもよい。
本実施形態においては、サンプルエントロピーを求めるようにしたが、コロモグロフ(kolmogorov)、シャノン(Shannon)のエントロピー演算式など、一般的な冗長度を表す演算式であれば採用することができる。
本実施形態においては、脈波データを採用したが、これを微分した速度脈波、または加速度脈波であってもよい。速度脈波は、脈波データを1回微分することにより、加速度脈波は脈波データを2回微分することにより、求めることができる。さらに加速度脈波を1または2回以上微分した微分脈波データを用いてもよい。
4. 第2実施形態
図10に示すような加速度脈波についても、既に説明したように、サンプルエントロピーの軌道傾向が、精神疾患者と健常者では異なる。発明者は、前記加速度脈波のカオスアトラクタを表示することにより、何らかの違いが生ずる可能性があると仮定して、カオスアトラクタを生成した。その結果、図11A,図12Aに示すように、健常者と精神疾患者とではアトラクタの形状が明確に異なる。
図10Aに健常者の脈波およびその加速度脈波を、図10Bに精神疾患者の脈波およびその加速度脈波を示す。図10Aに示す脈波から生成したカオスアトラクタを図11Bに、図10Bに示す脈波から生成したカオスアトラクタを図12Bに、それぞれ示す。このように、脈波から生成したカオスアトラクタについては、両者に明確な違いは見られない。これに対して、既に説明したように、加速度脈波のカオスアトラクタについては、健常者はとがった形をしているのに対し(図11A参照),疾患者のグラフは丸く、かつ、複雑である(図12A参照)。したがって、このように、加速度脈波のカオスアトラクタの軌道を表示することにより、精神疾患者か否かを客観的に判断できる。
図13に第2の実施形態にかかる診断装置200の機能ブロック図を示す。診断装置200は、指尖脈波計測手段203と、診断データ生成装置201と、出力手段213を備えている。
指尖脈波計測手段203は、図1に示す指尖脈波計測手段3と同様である。診断データ生成装置201は、指尖脈波計測手段203が計測した脈波データの加速度データを演算する加速度脈波演算手段205、加速度脈波演算手段203が求めた加速度データから、埋め込み次元をnとし埋め込み遅延をτとして、カオスアトラクターを生成するカオスアトラクター生成手段209、生成したカオスアトラクターを記憶する結果記憶手段211を備えている。出力手段213は生成したカオスアトラクターの軌道形状を出力する。
第2実施形態をCPUおよびプログラムで実現した場合のハードウェア構成は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
第2実施形態における、プログラムによるCPU23の処理について、図14を用いて、説明する。
CPU23は、指尖脈波計測器36に対して、脈波を計測する命令を与えて、脈波を計測する(図14ステップS41)。指尖脈波計測器36から計測脈波が与えられると、メモリ27に記憶する。
CPU23は、メモリ27に記憶した脈波から加速度脈波を演算する(図14ステップS43)。これは、従来と同様に、計測脈波を2回微分することにより得られる。得られた加速度脈波を図3Bに示す。
CPU23は、対象ブロック番号jを初期化する(ステップS45)。CPU23は、j番目のブロックのデータを抽出する(ステップS47)。本実施形態においては、サンプリングレートを第1実施形態と同様に、1秒間に200回とし、P=3500個のデータを抽出するようにした。この場合、j=1であるので、第1番目のブロックデータとして、先頭から3500個のデータが抽出される。本実施形態においては、P=3500としたがこれに限定されない。このようにして、先頭から3500点のデータが抽出され、これらが第1番目のブロックB1のデータとなる。
CPU23は、対象ブロックの指尖脈波データについて、Takensの埋め込み定理によって、埋め込み次元をnとし埋め込み遅延をτとして、カオスアトラクターを再構成する(ステップS49)。
図15を用いて指尖脈波データからのカオスアトラクタ構成の手順を示す。時系列の指尖脈波データをw(t)とする(図15A)。この指尖脈波データに基づいて、CPU23は、ベクトルP(i)=w(i)、w(i+τ)、w(i+2τ)を生成する(図15A参照)。ここでτは埋め込み遅延である。
このベクトルP(i)を、図15Bに示すように、n次元再構成相空間内に順次プロットする。ここでは、図示するため、3次元ベクトルとした。この場合、n次元再構成相空間の座標軸は、Xi=w(i)、Yi=(i+τ)、Zi=(i+2τ)である。このようにして、図15Cに示すようなアトラクタを得ることができる。
CPU23は、指尖脈波の全てのブロックについて、アトラクタを求めたか否かを判断する(ステップS51)。ここでは、j=1で、未処理のブロックがあるので、ステップS7に戻り処理ブロック番号jをインクリメントする。これで、j=2となる。CPU23は、第2番目のブロックデータを抽出する(ステップS47)。本実施形態においては、j番目のブロックデータの先頭を、一つ手前のJ-1番目のブロックデータの先頭から200個ずれた位置とした。CPU23は、この対象ブロックについて、ステップS49の演算を行う(ステップS49)。
このようにして、CPU23は、第2番目のブロックB2についても、同様にして、アトラクタを求める。CPU23は、このようにして算出したアトラクタ(ベクトルP(i))を、ハードディスク26に記録する。
CPU23は、全てのブロックについて、アトラクタを求めたと判断すると、記録したアトラクタをディスプレイ26に表示する(ステップS55)。なお、アトラクタの表示については、いろいろな表記が可能である。例えば、4次元アトラクタであれば、縦・横・高さおよび色によって表示すればよい。
このように、上記診断データ生成装置を含む診断装置として構成することもできる。
なお、この実施形態では、埋め込み次元nを4とし、埋め込み遅延τを10点(10サンプリング点)とした。なお、埋め込み次元n、埋め込み遅延τは指尖脈波の加速度について、図11,図12のような違いが現れる値であれば、他の値としてもよい。
なお、人間の脈波については、遅延時間50msが好ましい。したがって、サンプリングレートを変更した場合でも、かかる遅延時間50msとなるように埋め込み遅延τを決定すればよい。
本実施形態においては、加速度脈波データを採用した場合について説明したがさらに加速度脈波を、さらに、1回または2回以上微分したデータを用いてもよい。図16,図17に健常者2名と精神疾患者2名の加速度脈波をさらに2回以上微分した脈波データ(4回微分脈波データ)をそれぞれ示す。かかる4回微分脈波データのアトラクタをそれぞれ図18、図19に示す。このように、加速度脈波をさらに2回微分したデータであってもアトラクタの軌道が健常者と精神疾患者で異なる。
5. 第3実施形態
第2実施形態では、加速度脈波のアトラクタを生成して、その形状が丸い場合と角がある場合とで、精神疾患者であるのかを判断するようにした。発明者は、かかる加速度脈波の特性のいずれが、このような傾向を生じているのかについて、検討した。その結果、発明者の調べた対象者(健常者465名および精神疾患患者199名)について、脈波データを4回微分した4回微分データの波高比b/aおよび波高比b/dは、精神疾患の判断に相関関係があることが分かった。すなわち、4回微分データの波高比b/dが大きいほど精神疾患の傾向にあること、および4回微分データの波高比b/aが小さいほど精神疾患の傾向にあることが判明した。図20〜図22に分析結果を示す。図21、図22のp値から、4回微分データの波高比b/aおよび波高比b/dについて、精神疾患と相関関係があることが分かる。
また、前記対象者に関して、4回微分データの波高比b/aおよび波高比b/dの双方を用いた関係は下記の関係式で表すことができる。
F=b/d*0.89-b/a*1.265-2.02 (式2)
重心Y=40*(-0.567)+47*0.482=0
F<0の時、健常者、それ以外は精神疾患者と判断できる。
上記波高比b/aおよび波高比b/dと、精神疾患者との関係は、F=K1*(b/d)-K2(b/a)-K3で関係を表すことができる。すなわち、値b/dが大きいほど精神疾患者の傾向が強く、値b/aが小さいほど精神疾患者の傾向が強といえる。言い換えれば、4回微分データ波高比b/dと波高比b/aの差に基づいて、精神疾患者か否かの判断が可能となる。
なお、図20におけるリアプノフ(Lyapunov)指数については、以下のようにして求めることができる。ここで、リアプノフ指数とは、xn+1=f(xn)という力学系について、近接した2点から出発した2つの軌道{xn}がどのくらいn→無限大のとき離れてゆくかを測る尺度である。下式によって算出したアトラクタの各次元のリアプノフ(Lyapunov)指数を算出できる。
Figure 0005911840
本実施形態において開示した発明は、図23に示す手段から構成されていると発明として把握することができる。
測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを計測する指尖脈波計測手段403と、前記脈波を記憶する脈波記憶手段405と、前記脈波データを4回微分した4回微分データを演算する微分データ演算手段406と、求めた4回微分データを記憶する微分データ記憶手段407と、精神疾患傾向があることを示す手段であって、微分データ演算手段が求めた4回微分データから、波高比b/a を求めて、これを第1パラメータとして、前記第1パラメータの値が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断する精神疾患度演算手段409と、を備えた診断データ生成装置410。
また、精神疾患度演算手段409は、前記4回微分データから、波高比d/bを求めて、これを第2パラメータとして、前記第1パラメータと前記第2パラメータの差が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断するようにしてもよい。
また、精神疾患度演算手段409は、精神疾患傾向があることを示す手段であって、前記4回微分データから、波高比d/bを求めて、これを第2パラメータとして、前記第2パラメータの値が小さいほど前記精神疾患度が大きいと判断するようにしてもよい。
第3実施形態をCPUおよびプログラムで実現した場合のハードウェア構成は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
また、この場合のプログラムは、図24のようになる。簡単に説明すると、指尖脈波計測器36から計測脈波が与えられると、CPU23はメモリ27に記憶する(ステップS61)。CPU23は、メモリ27に記憶した脈から4回微分した微分脈波を演算する(ステップS63)。
CPU23は、波高比d/b、波高比d/bを求め、精神疾患度を演算する。具体的には、波高比d/bおよび波高比d/bの平均を求めて、前記式(2)に当てはめればよい。
CPU23は、F<0か否か判断し(ステップS66)、F<0であれば健常傾向にあるとディスプレイ26に表示する(ステップS55)。また、F<0でなければ精神疾患傾向にあるとディスプレイ26に表示する(ステップS55)
この診断データ生成装置に第1実施形態と同様に、報知手段およびまたは出力手段を接続して、診断装置400を構成するようにしてもよい。
本実施形態においては、加速度脈波データをさらに2回微分した4回微分データを用いた場合について説明したが、4回微分データをさらに、1または2回以上微分したデータを用いてもよい。
6. 他の実施形態
第1実施形態において開示した発明は、図25に示すような、診断データ生成装置として把握することができる。
測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを計測する指尖脈波計測手段503と、前記脈波を記憶する脈波記憶手段505と、下記b1)〜b3)を有する演算手段510、b1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第1組数として求める第1組数演算手段513、b2)前記N個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第2組数として求める第2組数演算手段515、b3)前記第1組数および前記第2組数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める微視的乱雑さ演算手段511、C)前記微視的乱雑さ演算手段511に、前記第1閾値dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを演算させる変化微視的乱雑さ演算手段523、D)前記第1閾値dを変化させた場合の脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する生成手段525を有すること、を特徴とする診断データ生成装置500。
この診断データ生成装置に第1実施形態と同様に、報知手段およびまたは出力手段を接続して、診断装置を構成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、人体から検出した時系列変化データとして、指尖脈波を用いたが、かかる脈波以外に、脳波等についても同様に適用することができる。
また、端末コンピュータはパソコンではなく、携帯端末などであってもよい。また、端末コンピュータでは演算を行わず、演算に必要なデータをネットワーク接続したコンピュータに送信し、このコンピュータの演算結果を端末コンピュータに送信するようにしてもよい。
上記実施形態においては、図1に示す機能を実現するために、CPUを用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部若しくはすべてを、ロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。
なお、上記プログラムの一部の処理をオペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。

Claims (9)

  1. A)測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、
    B)下記を有するm次元平均ベクトル数演算手段、
    b1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、
    b2)前記各組合わせをm次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm次元ベクトル距離演算手段、
    b3)前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段、
    b4)前記m次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm次元平均ベクトル数演算手段、
    C)下記を有するm+1次元平均ベクトル数演算手段、
    c1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組み合わせを、複数生成する組み合わせ生成手段、
    c2)前記各組合わせをm+1次元のベクトルとして各ベクトル間の距離を演算するm+1次元ベクトル距離演算手段、
    c3)前記m+1次元の各ベクトルについて、前記距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、そのm+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段、
    c4)前記m+1次元の各ベクトルについて、距離d内に存在するベクトルの数を演算するとともに、その前記m+1次元ベクトル数についての統計的平均値を演算するm+1次元平均ベクトル数演算手段、
    D)前記m次元平均ベクトル数および前記m+1次元平均ベクトル数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める乱雑さ演算手段、
    を備え、
    前記m次元平均ベクトル数演算手段および前記m+1次元平均ベクトル数演算手段は、前記距離dを変化させた場合の、m次元平均ベクトル数およびm+1次元平均ベクトル数を求め、
    前記乱雑さ演算手段は、前記距離dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを求め、
    さらに、前記脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する生成手段を有すること、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  2. 請求項1の診断データ生成装置において、
    前記距離dは、前記N個の個別データにおける血流量の標準偏差に係数を乗じたものであり、
    前記乱雑さ演算手段は、前記係数を変化させることにより前記距離dを変更して、前記脈波の微視的乱雑さを求めること、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  3. 請求項1または請求項2の診断データ生成装置において、
    前記脈波データは、脈波の時系列データであるもの、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  4. 請求項1または請求項2の診断データ生成装置において、
    前記脈波データは、微分脈波データの時系列データであるもの、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかの診断データ生成装置において、
    前記m=2、またはm=3であるもの、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  6. A)測定部位に流れている血流量によって変化する脈波データを記憶する脈波記憶手段、
    B)下記b1)〜b3)を有する演算手段、
    b1)前記脈波データからN個の個別データについて、連続するm個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第1組数として求める第1組数演算手段、
    b2)前記N個の個別データについて、連続するm+1個の要素で構成される組を、複数生成し、各組の要素の値から決定される組特性値の違いが第1閾値d未満である組の集合数を第2組数として求める第2組数演算手段、
    b3)前記第1組数および前記第2組数に基づいて、前記脈波の微視的乱雑さを求める微視的乱雑さ演算手段、
    C)前記微視的乱雑さ演算手段に、前記第1閾値dを変化させた場合の、前記脈波の微視的乱雑さを演算させる変化微視的乱雑さ演算手段、
    D)前記第1閾値dを変化させた場合の脈波の微視的乱雑さの変化グラフを生成する手段を有すること、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  7. 請求項6の診断データ生成装置において、
    前記第1閾値dは、前記N個の個別データにおける血流量の標準偏差に係数を乗じたものであり、
    前記変化微視的乱雑さ演算手段は、前記係数を変化させることにより前記第1閾値dを変更して、前記脈波の微視的乱雑さを求めること、
    を特徴とする診断データ生成装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかの診断データ生成装置、
    前記生成された変化グラフを出力する出力手段、
    を備えた診断データ出力装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかの診断データ生成装置、
    前記変化グラフについて、単純減少傾向でない場合には、これを報知する報知手段、
    を備えた診断装置。
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