JP2001271009A - 歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙被覆組成物 - Google Patents

歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙被覆組成物

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JP2001271009A
JP2001271009A JP2000086336A JP2000086336A JP2001271009A JP 2001271009 A JP2001271009 A JP 2001271009A JP 2000086336 A JP2000086336 A JP 2000086336A JP 2000086336 A JP2000086336 A JP 2000086336A JP 2001271009 A JP2001271009 A JP 2001271009A
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tooth
acrylate monomer
bleaching
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coating composition
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JP2000086336A
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English (en)
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Haruyuki Kawahara
春幸 川原
Teruo Makita
輝夫 牧田
Norimoto Yasuda
徳元 安田
Kentaro Oshima
賢太郎 大島
Masaru Kawahara
大 川原
Hiromasa Nakai
宏昌 中井
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Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯科医療の分野において主として天然歯牙の
漂白処理後に適用する仕上用の透明性歯牙被覆組成物に
関して、歯牙表面に皮膜を形成して、歯牙表面を平滑に
して、歯牙の汚染着色を防止ないしは遅延させるための
歯牙被覆組成物を提供するものである。 【解決手段】 10〜80wt%の多官能アクリレート
モノマーと、20〜80wt%の低沸点溶剤と、0.4
〜5wt%の可視光重合開始剤と、を主成分として歯牙
漂白後仕上用の透明性歯牙被覆組成物を構成する。3官
能以上のアクリレートモノマーと低沸点溶剤が沸点12
0℃以下のアクリレートモノマーと可視光重合開始剤の
カンファキノンとから成る組成物が利用できる。さら
に、燐酸エステル系接着性モノマーを0.1〜5wt%
添加するのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科医療の分野に
おいて主として天然歯牙の漂白処理後に適用する仕上用
の透明性歯牙被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の歯科治療においては、歯牙列の審
美性を改善しようとする要望が強く、特に若い女性が歯
を白くしたいという希望から、美容外科において、歯牙
の漂白治療が行なわれている。
【0003】自然歯牙は、タバコ、コーヒー、茶渋など
の嗜好品の有色物質の沈着や、色素生成菌の繁殖により
変色または着色される。また、歯牙の変色は、口腔内で
の補綴金属材料のにより、或いは、有色金属塩の影響に
よる外因性の変色がある。さらに、フッ素など化学物質
あるいはテトラサイクリンのような薬剤による影響によ
っても、歯牙は変色されことがある。さらに、内因性の
歯牙変色があり、例えば、加齢や代謝異常や遺伝性によ
るもの、その他、歯の障害などにより変色する。そし
て、漂白治療の対象は、外因性変色はもとより内因性変
色に対しても適応されている。
【0004】これら変色歯の審美性改善の手段として、
漂白治療は、従来からに行なわれている。漂白は、過酸
化水素や過酸化尿素など過酸化剤や還元剤やその他、酸
やアルカリを使用した薬理作用が利用され、最近では、
さらに漂白効果を促進するために、加熱や光照射を併用
することもされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
自然歯牙の漂白法においては、治療後しばらくすると徐
々にタバコや茶渋などの有色物質や色素生成菌が歯表面
に沈着して漂白前の色に後戻りすることが多かった。さ
らに、漂白したがために却って歯牙表面にプラークが付
着し易くなるケースが多く認められていた。
【0006】この原因は、過酸化物その他の漂白剤のエ
ナメル基質への作用により漂白後のエナメル質表面に、
多数のミクロ孔その他、種々のミクロ欠陥が発現するた
めと見られる。漂白により歯牙表面に生じたミクロ欠陥
は、一方では、光乱反射面として歯を白く発現させる要
素であるが、同時に、口腔内の外来の汚染物質を沈着し
易く、歯の着色を促す作用もしていると考えられる。
【0007】しかも、漂白後の色の後戻りを少しでも軽
減するために、施術者においては、漂白作業は、漂白歯
の仕上げ研磨に労力と時間を要し、他方、患者には、漂
白直後の2日間はコーヒー、コーラ、カレーなどの着色
性飲食物を控える必要があるなどの点で、患者にとって
も大変煩わしいことなどの難点があった。
【0008】従来技術として、人工歯牙に関してではあ
るが、レジン系人工歯牙の表面に滑沢性を付与するため
の光重合性の組成物は、公知である。例えば、特開昭6
3−183904号、特開昭63−183905号、特
開平3−265612号等には、多官能系アクリルモノ
マーと溶剤と光重合開始剤とから成る可視光硬化性組成
物で、レジン系人工歯牙の表面や、歯冠部内へ充填され
たレジンペースト上に塗布して可視光領域で硬化させ、
人工歯牙に滑沢性を与えることは開示されている。ま
た、前記特開昭63−183904号等では、着色物を
配合した歯牙被覆組成物により(天然歯牙の色を遮蔽し
て)審美性を求めようとする、歯牙マニキュア、オペー
カー、変色歯の審美修復材等の天然歯牙への適用につい
ても示唆されてはいる。しかしながら、前記特開昭63
−183904号等には、上記の歯牙漂白治療と関連し
た上記の問題点を解決しようとする試みについては全く
示唆されていない。
【0009】本発明は、天然歯牙について、上記の歯牙
漂白治療と関連した上記の問題点に鑑み、天然歯牙の表
面に透明性皮膜を形成して、歯牙表面を平滑にして、漂
白後の歯牙の再汚染による変色を防止ないしは遅延させ
るための仕上用の透明性歯牙被覆組成物を提供しようと
するものである。本発明は、さらに、歯質強化やプラー
クの付着防止にも有用な歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙
被覆組成物のを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の歯牙漂白後仕上
用の透明性歯牙被覆組成物は、10〜80wt%の多官
能アクリレートモノマー、20〜80wt%の低沸点溶
剤及び0.4〜5wt%の可視光重合開始剤とを主成分
とするものである。
【0011】本発明の歯牙被覆組成物は、多官能アクリ
レートモノマーには、3官能以上のアクリレートモノマ
ーが好ましく、また、低沸点溶剤には、沸点120℃以
下の重合性アクリレートモノマーであるのが好ましい。
さらに、本発明は、可視光重合開始剤には、カンファキ
ノンを使用することができる。
【0012】本発明の歯牙被覆組成物は、アクリレート
系光硬化性組成物であって、漂白された歯牙表面に塗布
することにより、歯牙に対する優れた浸透性を示し、漂
白時に歯牙表面に発現するミクロ欠陥をも浸透充填し
て、歯牙表面に平滑な透明性皮膜を形成する。この皮膜
は、硬化により歯牙表面を長期間にわたり平滑性に保つ
ことができる。この平滑な皮膜は、汚染に対して高い抵
抗性を示すので、歯牙の汚染着色を防止することができ
る。これにより、歯牙表面のこの透明な皮膜を介して、
漂白された歯牙のきれいな歯白色を長期にわたり維持す
ることができる。
【0013】また、この皮膜の高い汚染抵抗性は、上記
のような歯牙漂白後の変色(後戻り変色)防止だけでな
く、長期にわたりプラーク付着防止を発現させることが
できる。さらに、皮膜は、汚染の防止と共に、表面歯質
を強化し、耐酸性を有するので、特に、う蝕防止に有効
である。
【0014】
【発明の実施の形態】重合性モノマーとして、多官能ア
クリレートモノマーを使用するが、多官能アクリレート
モノマーには、先ず、2官能アクリレートモノマーとし
て、ビスフェノールA−ジグリシジルメタクリレート
(Bis−GMA)、トリエチレングリコールメタクリ
レート、ビスメタクロキシフェニルプロパン(Bis−
MEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘ
キサメチレンジウレタン、エチレングリコールジメタク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テ
トラエチレンジメタクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジメタクリレート、ネオペンチルアルコールジメタク
リレート、トリクロロデカンジメタクリレート、グリセ
ロールジメタクリレートなどが使用できる。
【0015】多官能アクリレートモノマーは、3官能ア
クリレートモノマーとして、例えば、トリス(アクリロ
キシオキシ)シアヌレート、テトラメチロールメタント
リアクリレート、トリメチロルプロパントリメクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどのア
クリレートモノマーが含まれる。
【0016】多官能アクリレートモノマーには、4官能
アクリレートモノマーとして、例えば、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、トリメチローメタンテトラ
アクリレートなどが利用可能である。
【0017】さらに多官能アクリレートモノマーは、ジ
ペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの5官能
アクリレートモノマーや、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレートなどの6官能アクリレートモノマーも利
用可能である。
【0018】本発明の歯牙表面に対する塗布材として、
3官能以上のアクリレートモノマーを利用するのが、組
成物の3次元硬化を促進し堅箇な皮膜を形成し易いの
で、好ましい。
【0019】上記の多官能アクリレートモノマーの含有
量は、10〜80wt%とするのが好ましいが、10w
t%未満では、硬化皮膜の耐久性が若干低く、80wt
%を超えると、一般に粘凋となり均質な塗膜に形成する
のが困難と成る。この含有量、漂白歯面への塗布性と硬
化被膜の耐久性のバランスの点で30〜70wt%、特
に、35〜60wt%が、被膜形成が均質でかつその硬
化被膜の強度が高い等の点で好ましい。
【0020】本発明の歯牙被覆組成物に使用する低沸点
溶剤は、上記の多官能アクリレートモノマーに溶解し
て、漂白歯牙への塗布の際には、塗布されたこの組成物
が歯牙表面への浸透を助ける浸透性付与剤としての機能
を有するものであり、硬化の過程では、揮発して、重合
体を残す。特に、低沸点溶剤は、この組成物の皮膜が硬
化する時の発熱により蒸気として蒸発し、このために、
蒸気の酸素遮断による被膜の硬化を促進する効果を有す
るものである。このような溶剤は、沸点100℃以下の
ものとして、公知のものから選択でき、例えば、メタノ
ール、エタノール、アセトン、酢酸エチルが利用でき
る。この溶剤が特に沸点100℃以下とする理由は、こ
の組成物が光照射により硬化する際この溶剤は発熱によ
り殆んど蒸発するので、この溶剤が硬化被膜中に混在し
て被膜の強度低下に影響を及ぼすことがないからであ
る。
【0021】低沸点溶剤は、さらに、120℃以下の低
沸点のアクリレートモノマーも適用でき、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート
が使用可能である。溶剤に低沸点の重合性アクリレート
モノマーを使用すると、可視光照射時に上記の多官能ア
クリレートモノマーと反応して重合化するので、塗膜中
に溶剤のまま残存することがなく、硬化した皮膜の滑り
性が特に優れている利点がある。沸点を120℃以下と
する理由は、この組成物が硬化する時の発生蒸気量が多
くなるため、酸素遮断効果の影響で硬化被膜の表面硬化
性を促進するのに有利であるからである。
【0022】この低沸点溶剤の含有量は、20〜80w
t%が好ましい。その含有量が20wt%未満では、本
歯牙被膜組成物の歯牙表面のミクロ欠陥等への浸透性が
悪くなるだけでなく、この組成物が硬化する時の発生蒸
気量が少なく(酸素遮断効果が悪くなり)硬化被膜の表
面硬化性に支障が出るためであり、80wt%を超える
と、硬化性成分が少なく硬化被膜を形成し難くなるだけ
でなく、硬化被膜中に本低沸点溶剤が残存し易くなり、
硬化被膜強度に悪影響を及ぼすからである。特に、低沸
点溶剤の含有量は、漂白歯牙表面への浸透性と硬化被膜
の耐久性とのバランスの観点から35〜65wt%が好
ましい。
【0023】また、本発明に適用される可視光重合開始
剤は、光照射により歯牙表面に塗布した歯牙被覆組成物
の塗膜を硬化させるために必須であるが、カンファキノ
ン、フルオレノン、ベンジル、α−アミノアセトフェノ
ン、チオキサントンなどが例示できる。
【0024】可視光重合開始剤の存在下で、歯牙被覆組
成物は、400〜500μmの波長域の可視光線の照射
により、酸素の存在下でも迅速に硬化し、硬化被膜を歯
の表面に形成する。
【0025】特に、可視光重合開始剤としては、重合活
性能の点でカンファキノンが好ましい。即ち、カンファ
キノンが、特に優れる理由は、酸素存在下での重合抑制
の影響を比較的受け難く、しかも、硬化深度が大きいの
で、深く浸透した部分の硬化をも促進するのにも有利で
あるからである。
【0026】また、可視光重合開始剤の含有量は、0.
4〜5wt%の範囲が適しているが、3wt%を超える
と、歯牙被覆組成物の硬化物が黄色味の強くなる傾向が
あるので、重合活性能と硬化被膜の色調のバランスとに
鑑み、その含有量は、1.0〜3wt%が好ましい。
【0027】また、本発明の組成物には、可視光重合開
始剤と共に、重合促進剤を添加するのが好ましく、重合
促進剤は、歯牙表面に塗布した歯牙被覆組成物の塗膜を
迅速に光硬化させるために利用される。この重合促進剤
としては、助触媒として作用するものから選ばれ、還元
剤であるp−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチル
アミノエチルメタクリレート、N−メチルジフェニルア
ミン、ジメチルパラトルイジン、n−ブチルアミン、ト
リエチルアミン、あるいはp−ジメチルアミノ安息香酸
イソアミル等が例示できる。この重合促進剤は、特に、
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート、N−メチルジフェニルアミン等が
好ましい。重合促進剤の含有量とししては、0.4〜3
wt%の範囲が適しているが、3wt%を超えると黄色
味が強くなり、0.4wt%未満の場合は重合活性能が
低下する。
【0028】本発明に係る歯牙漂白後の仕上用の歯牙被
覆組成物は、上記組成の多官能アクリレートモノマーと
低沸点溶剤と可視光重合開始剤と重合促進剤とから成る
が、この組成物の特に好ましい成分とその組成範囲は、
35〜60wt%の4官能以上のアクリレートモノマー
と、61〜36wt%の沸点120℃以下のアクリレー
トモノマーと、1〜3wt%のカンファキノンと、1〜
3wt%のp−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジフェニル
アミンよりなる群より選ばれた重合促進剤とから成るも
のである。この組成範囲が、歯牙漂白面への浸透性と硬
化被膜の耐久性とを兼ね備えて、優れている。
【0029】本発明に係る歯牙漂白後の仕上用の歯牙被
覆組成物は、上記組成の多官能アクリレートモノマーと
低沸点溶剤と可視光重合開始剤と、好ましくは重合促進
剤と、から成るが、さらに、上記光重合開始剤で重合可
能な他のアクリレートモノマーを添加することもでき、
これにより、歯牙表面皮膜の物理的、化学的性質を改善
することができる。
【0030】さらに、本発明の組成物には、接着性モノ
マーとして、公知の燐酸エステルモノマーを利用するこ
とができる。接着性モノマーの少量添加は、歯牙との接
着力を高め、硬化被膜の耐久性とを改善することができ
る。このような燐酸エステルモノマーには、ジフェニル
(2−メタクリロキシエチル)フォスフェート、ジメチ
ル(2−メタクリロキシエチル)フォスフェート、ジエ
チル(2−メタクリロキシエチル)フォスフェート、ジ
プロピル(2−メタクリロキシエチル)フォスフェー
ト、ジブチル(2−メタクリロキシエチル)フォスフェ
ート、ジオクチル(2−メタクリロキシエチル)フォス
フェート、、2−メタクリロキシエチルアシッドホスフ
ェート、フェニル(2−メタクリロキシエチル)アシッ
ドホスフェートなどを例示できる。
【0031】その燐酸エステルモノマー含有量は、歯牙
被覆組成物中に、0.1〜5wt%が好ましい。その含
有量が、0.1wt%より少ないと、この接着性モノマ
ーは、組成物皮膜の歯牙への接着に寄与しないが、5w
t%より多いと、硬化被膜の強度を低下させる惧れがあ
る。その含有量は、接着性と被膜強さの兼ね合いから、
0.2〜2wt%がさらに好ましい。
【0032】本発明の歯牙被覆組成物は、上記の配合の
多官能アクリレートモノマー、低沸点溶剤、可視光重合
開始剤、及び、所要の添加剤から調製されるが、低沸点
溶剤が揮散や組成物のゲル化が起こらないように遮光性
の気密容器内で混合して調製するのがよい。調製した組
成物は、同様に、遮光性の気密容器内で貯蔵や輸送する
のが好ましい。
【0033】本発明の歯牙被覆組成物の適用に当たって
は、対象となる歯牙の表面には、予め、漂白処理が行な
われ、歯牙は白色の色調にされる。漂白処理は、過酸化
水素や過酸化尿素などの酸化剤のほか、例えば、還元剤
や、酸溶液、アルカリ溶液など、従来の他の漂白剤も使
用できる。
【0034】漂白後の歯牙には、本発明の歯牙被覆組成
物が塗液として塗布される。塗布方法は特に、問わない
が、例えば、塗布作業には、小筆などでできるだけ薄く
かつ均質に塗布するのが好ましい。
【0035】歯牙表面に塗布した組成物の塗膜には、可
視光を照射して、皮膜に硬化させる。この照射光源に
は、可視光領域で高出力の光照射器(例えば、クリエイ
ティブ(株)製:品名「キュアリングライトマッハ」、
又は、デジタル・メディカル・ダイアグノティックシス
テム社(DMD社)製:品名「アポロ95」が利用可
能)を使用して、短時間で、特に数秒程度で、照射操作
を終えることが可能である。この可視光照射器は、漂白
作業に使用する光照射器と兼用することもできる。
【0036】塗布面は、歯牙の漂白処理後、本発明の歯
牙被覆組成物の塗布に先立って、予め乾燥剤(揮発性用
溶剤)を使用して歯表面の水分をできる限り少なくして
おくのが、歯牙表面への接着性や被膜耐久性などの点で
好ましい。また、歯牙の漂白後、本発明の歯牙被覆組成
物塗布に先立って、漂白した歯牙表面をさらにエッチン
グ処理(例えば、燐酸溶液によるエッチング)をしてお
くのが好ましく、エッチングは、本歯牙被覆組成物の塗
膜の歯表面への接着性をより強固にするために有効であ
る。
【0037】このようにして、本発明の漂白後仕上用の
透明性歯牙被覆組成物は、漂白後の歯牙へ塗布されて、
歯牙表面組織へ浸透して、漂白により生じたミクロ欠陥
を埋めて表面を滑らかに被覆すると共にミクロ欠陥に浸
透充填した塗液硬化物をミクロアンカーとし強固に根付
かせ、表面において硬化被膜の歯牙への密着性を高めて
いるので、塗布後長期に及ぶ皮膜耐久性を備えている。
これにより、漂白後の変色(後戻り変色)防止が長期に
わたり有効に防止できる。さらに加えて、この皮膜は、
歯牙表面のエナメル質など歯質を補強することになり、
う蝕に対する抵抗性を有効に発現し、さらに、プラーク
付着をも防止するのに有効である。
【0038】本発明の歯牙被覆組成物は、天然歯に対し
て漂白後の仕上用・後戻り変色防止用としてのみなら
ず、う蝕予防用の塗布材としても有効であり、プラーク
付着防止剤としても利用できる。さらに、本発明の歯牙
被覆組成物は、歯牙表面上の塗膜が、外部刺激に対する
遮断効果を有するので、知覚過敏防止用の塗布材として
も利用できる。
【0039】さらに、う蝕などにより抜髄して生活歯牙
固有の光沢を失った天然歯に対しても、表面塗布するこ
とにより、光沢付与を兼ねた補強材などとして活用で
き、審美歯科材料として大変有用である。
【0040】
【実施例】[実施例1]下記表1に示す成分を完全密閉
型の褐色瓶中でよく攪拌しながら歯牙被覆組成物を配合
調製した。抜歯した歯牙表面を十分に水洗後、35%過
酸化水素水に5時間浸漬して漂白し、さらに十分に水洗
した後アセトンで歯牙表面を脱水した。その歯牙表面に
上記の各組成物を小筆にて薄く塗布し、歯科用可視光線
照射器(DMD社製造:型式アポロ95)を使用して、
塗布面の約3mm上方から3秒間光照射する操作を3回
繰り返した。可視光線照射前の歯牙表面の濡れ状況、可
視光線照射後の被膜の硬化状況及び硬化被膜の表面硬化
性を肉眼と触感で観察した。それらの結果を表1に示し
た。
【0041】
【表1】
【0042】表1より、サンプル1〜5は、10〜80
wt%の多官能アクリレートモノマーと、20〜80w
t%の低沸点溶剤と、0.4〜5wt%の可視光重合開
始剤と、を主成分として構成した歯牙被覆組成物である
が、それぞれ表面まで十分に硬化した堅固な均質被膜が
形成されたことが判る。
【0043】多官能アクリレートを含まず、低沸点アク
リレートと可視光重合触媒との配合(比較例1)では被
膜形成ができなかった。単官能アクリレートと該モノマ
ーの低沸点溶剤と可視光重合開始剤との配合(比較例
2)でも本目的に適った堅固な被膜の形成能は得られな
いことが判る。
【0044】また、多官能アクリレートモノマーと可視
光重合開始剤とに、20wt%未満の低沸点溶剤量を配
合した組み合わせの例(比較例3)も、歯面への浸透性
が不十分であり、且つ、硬化した被膜が不均質で、さら
に、表面硬化性も不十分であることが判る。他方、比較
例4に示す如く、可視光重合開始剤が0.4wt%未満
の量でも、被膜形成が不十分であることが判る。
【0045】[実施例2]実施例1の要領により調製し
た本発明の歯牙被覆組成物と、比較例組成物を塗布した
各歯牙につき、その皮膜形成した測定該当部の5ケ所を
分光度計(ミノルタ製:分光度計CM−2022)にて
測色し、その平均値L0,a0,b0を測定し、次いで、
色素ローズベンガルの0.2%水溶液中に37℃で浸漬
し保持した。
【0046】そして、一定時間後に前記と同要領にて各
々の歯牙表面の測色を行いその平均L,a,bを測定
し、染色液浸漬前の平均L0,a0,b0との差ΔEは、
次式で求めて、5以上の変色が発現するまでの期間を測
定した。 ΔE=[(L−L02+(a−a02+(b−b02
1/2
【0047】さらに、別途、抜歯した歯牙表面を、実施
例1と同要領で35%過酸化水素で5時間漂白し、水洗
と乾燥後に、漂白面を研磨用ポイントで表面研磨し、さ
らに、48時間水中保管した歯牙のサンプル(未塗布)
を準備し、比較例5として同様の実験に供した。試験結
果を表2にまとめた。
【0048】
【表2】
【0049】表2においては、従来法の未塗布の比較例
5が、歯牙の漂白後の表面研磨操作に労力を費やして、
しかも、37℃色素液中に浸漬するまでに48時間を保
持したにもかかわらず、浸漬して1日後には既にΔEが
5以上に変色したことが認められる。
【0050】これに対して、表2より、本発明のサンプ
ル1〜5を使用した歯牙は、歯牙の漂白後、その表面研
磨操作を行うことなく、本発明の歯牙被覆組成物を塗布
した直後から上記の色素液中に37℃で浸漬保持し、し
かも、その後2ヵ月間の浸漬期間を経過したが、それに
もかかわらず、ΔEが5以下であり、表面が変色するの
が殆ど認められなかった。他方では、本発明範囲外の組
成物(比較例1〜4)を塗布した歯牙は、、比較的短期
間でΔEが5以上となり変色が進行した。
【0051】[実施例3]浸漬する染料液の保管温度条
件を50℃とすることを除いて、実施例2と同要領にて
試験を行った。その結果についても表2の通り、全体の
傾向としては実施例2の結果と同様である。さらに、本
発明の範囲内のサンプル1〜5を塗布した歯牙は、本発
明の多官能アクリレートモノマーとしては3官能以上の
多官能アクリレートモノマーを適用し、低沸点溶剤とし
ては沸点が120℃以下のアクリレートモノマーを使用
し、さらに、本発明の可視光重合触媒としてはカンファ
キノンを適用したときに、漂白後の歯牙の変色防止が、
一層効果的であることが判る。
【0052】[実施例4]実施例1のサンプル3の組成
物100重量部に、フェニル(2−メタクリロキシエチ
ル)アシッドホスフェートを2重量部を添加して、その
組成物をサンプル6とした。サンプル4の組成物100
重量部に対しジフェニル(メタクリロキシエチル)ホス
フェートを1重量部を添加した組成物をサンプル7とし
た。これらサンプル6と7は、実施例1の方法と同じ要
領で、漂白歯に塗布し、実施例3に記載されたと同要領
で、50℃の0.2%ロ−ズベンガル水溶液に浸漬し、
変色状況を実施例2記載の方法にて測定した。その結果
は表3の通り。
【0053】
【表3】
【0054】表3より、上記の燐酸エステルモノマーを
添加したサンプル6,7は、その基剤としてのサンプル
3,4(表2)に比して変色防止効果が高いことが認め
られる。
【0055】[実施例5]抜歯された歯牙のなかで抜髄
のため既に光沢を失っいた天然歯牙を十分に水洗した
後、アセトンで歯牙の表面を脱水した。その歯牙表面に
実施例1のサンプル2を小筆にて薄く塗布した。次に歯
科用可視光線照射器(実施例1と同様:アポロ95)を
使用し、それぞれの塗布面の約5mm上方から3秒間の
光照射を3回繰り返した。その後その歯牙表面を観察す
ると健全歯以上に光沢な面が発現した。その歯牙を37
℃水中に浸漬前し、1ケ月後にその表面を観察したが、
歯牙表面の光沢度は十分に維持されていた。
【0056】
【発明の効果】本発明の歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙
被覆組成物は、所定組成の多官能アクリレートモノマー
と、低沸点溶剤と、可視光重合開始剤とを主成分として
含有するので、漂白歯牙に塗布し十分に浸透させた後可
視光照射をするだけで、上記特性を有する皮膜を硬化さ
せ、定着することができる。
【0057】本発明の歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙被
覆組成物は、歯牙上に形成した表面皮膜が、漂白歯牙へ
の浸透性を有し、歯牙表面を平滑にして、汚染を防止な
いしは遅延させて、漂白後の色戻りを防止することがで
きる。
【0058】本発明の歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙被
覆組成物は、光照射による硬化被膜の形成後は歯牙表面
を長期間にわたり平滑に保つことにより、仕上げ研磨を
省略し得て、仕上げ後に患者が食べ物について特別な注
意を払う必要もなく、しかも長期間にわたり漂白歯牙の
変色(後戻り変色)防止することができる。
【0059】本発明は、さらに、歯質強化やプラークの
付着防止にも有用な歯牙漂白後仕上用の透明性歯牙被覆
組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 徳元 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 (72)発明者 大島 賢太郎 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 (72)発明者 川原 大 大阪府東大阪市東山町4番8号 財団法人 臨床器材研究所内 (72)発明者 中井 宏昌 大阪府東大阪市東山町4番8号 財団法人 臨床器材研究所内 Fターム(参考) 4C089 AA06 AA20 BC02 BC03 BC05 BD04 BD05 BD10 CA09 4J011 AA05 AC04 QA03 QA12 QA13 QA14 QA15 QA18 QA22 QA23 QA24 QA27 SA05 SA42 SA63 SA64 SA72 SA78 SA82 UA02 VA01 VA05 WA02 4J038 FA121 FA161 FA171 FA212 JA34 KA03 KA04 KA06 LA02 NA01 PA17 PB01 PC05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜80wt%の多官能アクリレート
    モノマーと、20〜80wt%の低沸点溶剤と、0.4
    〜5wt%の可視光重合開始剤と、を含有する歯牙漂白
    後仕上用の透明性歯牙被膜組成物。
  2. 【請求項2】 上記組成物が、歯牙漂白後の変色防止材
    である請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 多官能アクリレートモノマーが3官能以
    上のアクリレートモノマーである請求項1又は2に記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 低沸点溶剤が沸点120℃以下のアクリ
    レートモノマーである請求項1ないし3のいずれかに記
    載の組成物。
  5. 【請求項5】 可視光重合開始剤がカンファキノンであ
    る請求項1ないし4いずれかに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 上記組成物が、さらに、0.4〜3wt
    %の重合促進剤を含む請求項1ないし5いずれかに記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】 上記の多官能アクリレートモノマーが、
    35〜60wt%の4官能以上のアクリレートモノマー
    であり、上記の低沸点溶剤が、61〜36wt%の沸点
    120℃以下のアクリレートモノマーであり、上記の可
    視光重合開始剤が、1〜3wt%のカンファキノンであ
    り、さらに、1〜3wt%の重合促進剤を含有する請求
    項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 さらに、燐酸エステル系接着性モノマー
    を0.1〜5wt%含有する請求項1ないし7いずれか
    に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 上記組成物が、歯牙プラーク防止材又は
    歯牙う蝕防止材を兼ねる請求項1ないし8のいずれかに
    記載の組成物。
  10. 【請求項10】 上記の多官能アクリレートモノマー
    と、低沸点溶剤と、可視光重合開始剤と、を遮光された
    気密容器内で均一溶解させて、請求項1ないし7いずれ
    かに記載の組成物に調製する歯牙漂白後仕上用の透明性
    歯牙被覆組成物の製造方法。
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