JP2001270968A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001270968A
JP2001270968A JP2001008673A JP2001008673A JP2001270968A JP 2001270968 A JP2001270968 A JP 2001270968A JP 2001008673 A JP2001008673 A JP 2001008673A JP 2001008673 A JP2001008673 A JP 2001008673A JP 2001270968 A JP2001270968 A JP 2001270968A
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olefin
copolymer
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ethylene
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JP2001008673A
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English (en)
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Takashi Sanada
隆 眞田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレンとポリフェニレンエーテルと
を含む、耐熱性と耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑
性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 下記の成分(A)30〜94重量%と、
成分(B)5〜69重量%と、成分(C)1〜50重量
%とを含有する熱可塑性樹脂組成物(成分Aと成分Bと
成分Cとの合計量を100重量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物
に関する。詳しくは、本発明は、電気・電子分野、自動
車分野、その他各種の工業材料分野で好適に利用でき
る、ポリプロピレンとポリフェニレンエーテルとを含
む、耐熱性と耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンとポリフェニレンエーテ
ルとを含む樹脂組成物として、特開昭62−22321
7号公報、特開昭63−113058号公報、特開昭6
2−225642号公報、特開平3−227361号公
報および特開平3−231945号公報に記載された樹
脂組成物が知られている。
【0003】特開昭62−223217号公報には、ポ
リフェニレンエーテルと、変性ポリオレフィン系組成物
と、エポキシ化合物とを配合して得られる、耐熱性・機
械的物性・加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載さ
れている。
【0004】特開昭63−113058号公報には、ポ
リオレフィンと、ポリフェニレンエーテルと、同一分子
内にアルケニル芳香族化合物重合連鎖と脂肪族炭化水素
連鎖とを併せ持つ重合体と、ジアミド化合物とを配合し
て得られる、機械的物性バランス・成形加工性・耐溶剤
性に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【0005】特開昭63−225642号公報には、ポ
リオレフィンと、ポリフェニレンエーテルとアルケニル
芳香族化合物に由来するブロックが該共重合体中の45
〜80重量%である部分水素添加アルケニル芳香族化合
物−共役ジエン共重合体が記載されている。
【0006】特開平3−227361号公報には、ポリ
フェニレンエーテルと、ポリオレフィンと、特定の官能
性化合物とを溶融混練して得られる、特に耐衝撃性が高
められた樹脂組成物が記載されている。
【0007】特開平3−231945号公報には、ポリ
オレフィンと、ポリフェニレンエーテルと、特定の官能
性化合物との溶融混練物と、特定の極性化合物とを混合
させて得られる樹脂組成物が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリプ
ロピレンとポリフェニレンエーテルとを含む、耐熱性と
耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が望
まれているところ、上記の各樹脂組成物は、耐熱性と耐
衝撃性とのバランスが優れていないという問題点を持っ
ている。
【0009】本発明の目的は、ポリプロピレンとポリフ
ェニレンエーテルとを含む、耐熱性と耐衝撃性とのバラ
ンスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリプロ
ピレンとポリフェニレンエーテルとを含む、耐熱性と耐
衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物の開発
について研究を続けてきた。その結果、特定のエチレン
とα−オレフィンとの共重合体を、ポリプロピレン及び
ポリフェニレンエーテルと組合せて用いることによっ
て、更に、特定のエチレンとα−オレフィンとの共重合
体を、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル及び相
容化剤と組合せて用いることによって、ポリプロピレン
が持っている優れた流動性と、ポリフェニレンエーテル
が持っている耐熱性および剛性とを生かしつつ、耐熱性
と耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が
得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】すなわち、本発明は、下記の成分(A)3
0〜94重量%と、成分(B)5〜69重量%と、成分
(C)1〜50重量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物
である(成分Aと成分Bと成分Cとの合計量を100重
量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
【0012】また、本発明は、下記の成分(A)30〜
94重量%と、成分(B)5〜69重量%と、成分
(C)1〜50重量%と、成分(A)と成分(B)とを
相容化するのに十分な量の成分(D)とを含む熱可塑性
樹脂組成物である(成分Aと成分Bと成分Cとの合計量
を100重量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 成分(D):相容化剤 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
【0013】更に、本発明は、下記の成分(A)30〜
94重量%と、成分(B)5〜69重量%と、成分
(C)1〜50重量%と、成分(A)と成分(B)とを
相容化するのに十分な量の成分(D)とを溶融混練して
得られる熱可塑性樹脂組成物である(成分Aと成分Bと
成分Cとの合計量を100重量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 成分(D):相容化剤 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる「ポリプロピ
レン」とは、プロピレンから誘導される構造単位50〜
100重量%と、炭素原子数2〜8の少なくとも一種の
オレフィン(但し、プロピレンを除く)から誘導される
構造単位0〜50重量%とを含む熱可塑性の単独重合体
や共重合体を意味する。ここで、重合体中のプロピレン
から誘導される構造単位の量と、オレフィン(但し、プ
ロピレンを除く)から誘導される構造単位の量との合計
量を100重量%とする。
【0015】ポリプロピレンとして、プロピレンの結晶
性ホモポリマーや、プロピレンと、エチレン及びα−オ
レフィン(プロピレンを除く)からなる群から選ばれる
コモノマーとの結晶性ブロック共重合体や、上記プロピ
レンの結晶性ホモポリマーと、上記ブロック共重合体と
の混合物を例示することができる。α−オレフィンとし
て、ブテン−1やヘキセン−1を例示することができ
る。上記の「ブロック共重合体」とは、第一の工程でプ
ロピレンを単独重合し、第二の工程で、第一の工程で得
られたプロピレンの単独重合体の存在下に、プロピレン
と上記コモノマーとをランダム共重合することによって
得られる重合体を意味する。この重合体は実質上、プロ
ピレンの単独重合体と、プロピレンと上記コモノマーと
のランダム共重合体との混合物であって、スラリー重合
法や気相重合法によって製造される耐衝撃性に優れた公
知の重合体である(例えば米国特許第4900706
号、4820775号参照)。
【0016】本発明で用いられるポリプロピレンは、チ
タン系触媒、担持型触媒またはメタロセンのような均一
系の触媒を用いる重合法で得ることができる。ポリプロ
ピレンの物性は、通常、本発明の組成物の性能にも影響
を及ぼすので、衝撃強度や剛性で例示される物性バラン
スに優れたポリプロピレンが好ましい。
【0017】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ルは、公知の重合体であり、下式(II)で表わされるフ
ェノール化合物の一種または二種以上を、酸化カップリ
ング触媒を用い、酸素または酸素含有ガスで酸化重合さ
せて得られる公知の重合体である。ポリフェニレンエー
テルは、本発明の樹脂組成物に耐熱性を付与する上で重
要な役割を果たす。 (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、水素、ハロゲ
ン原子、炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選ばれ
たものであり、そのうち必ず1個は水素原子である)
【0018】式(II)におけるR1、R2、R3、R4及び
5の具体例として、水素、塩素、臭素、フッ素、ヨウ
素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pr
i−、sec−又はt−ブチル、クロロエチル、ヒドロ
キシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメ
チル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、
シアノエチル、フェニル、クロロフェニル、メチルフェ
ニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル及びアリルを
例示することができる。
【0019】式(II)で表される化合物として、フェノ
ール、o−,m−,又はp−クレゾール、2,6−、
2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、
2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェ
ニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メ
チル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,
6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル
−6−アリルフェノールを例示することができる。
【0020】本発明においては更に、式(II)以外のフ
ェノール化合物、例えばビスフェノール−A、テトラブ
ロモビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノ
ン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合
物と、式(II)で表される化合物との共重合体も、ポリ
フェニレンエーテルを意味するものとする。
【0021】好ましいポリフェニレンエーテルとして、
2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルのホモ
ポリマーや、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテルと2,3,6‐トリメチル‐1,4‐フェニレン
エーテルとのランダムコポリマーを例示することができ
る。
【0022】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ルの製造方法は特に限定されない。製造方法として、米
国特許公報3306874号に記載された第一銅塩とア
ミンとの錯体を触媒として用い、2,6−キシレノールを
酸化重合する方法や、米国特許公報3306875号、
米国特許公報3257358号、米国特許公報3257
358号、特公昭52−17880号公報、特開昭50
−51197号公報、特開昭63−152628号公報
に記載された方法を例示することができる。
【0023】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ルは、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、シ
ンジオタクチックポリスチレン又はゴム補強したシンジ
オタクチックポリスチレンと組合せて、好適に用いるこ
とができる。その配合割合は、ポリフェニレンエーテル
100重量部に対して、後者が500重量部を超えない
範囲、好ましくは200重量部以下である。
【0024】本発明で用いられる成分(C)はエチレン
と、下式(I)で表されるα−オレフィンとの共重合体
であって、該共重合体中のα−オレフィンから誘導され
る構造単位/エチレンから誘導される構造単位なるモル
比が(0.8/(3n+2))/1以上であるエチレン
−α−オレフィン共重合体 成分(D):相容化剤 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
【0025】具体的にはエチレンと、上式(I)で表さ
れるα−オレフィンとの共重合体にかかるα−オレフィ
ンとして、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オ
クテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンを例示
することができ、オクテンやデセンが好ましい。2種類
以上のα−オレフィンから誘導される構造単位を含む共
重合体を用いてもよく、α−オレフィンが例えば2種類
の場合、以下に示す通り、各α−オレフィンに対して便
宜的に適当な比率でエチレンの量を割り振って計算し、
各α−オレフィンに対して「(0.8/(3n+2))
/1以上」なる式が成り立てばよい。 (1)エチレンとα−オレフィンとの共重合体中のエチ
レン構造単位のモル数を「x+y」とする。 (2)該共重合体中の第1のα−オレフィン(α1)構
造単位のnをn1とし、モル数を「a1」とする。 (3)該共重合体中の第2のα−オレフィン(α2)構
造単位のnをn2とし、モル数を「a2」とする。 (4)x+y+a1+a2=1とする。 (5)任意のx及びyを選んだ場合、少なくとも1つの
x及びyの組合せについて、下記両式が成り立てばよ
い。 a1/x≧(0.8/(3n1+2))/1 a2/y≧(0.8/(3n2+2))/1
【0026】エチレンとα−オレフィンとの共重合体中
の、α−オレフィンから誘導される構造単位/エチレン
から誘導される構造単位なるモル比は(0.8/(3n
+2))/1以上、好ましくは(1/(3n+2))/
1以上である。モル比を表す式中のnは、式(I)中の
nと同じ意味である。該比が(0.8/(3n+2))
/1未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝
撃性が劣り、その結果、耐熱性と耐衝撃性とのバランス
に優れた樹脂組成物が得られない。nは0〜10の整数
であり、好ましくは2以上の整数である。さらに好まし
くは4以上の整数である。nが10を超えると、耐熱性
と耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が
得られない場合がある。n値のより大きいα−オレフィ
ンほど、耐衝撃性のより優れた熱可塑性樹脂組成物が得
られる。すなわち、α−オレフィンから誘導される構造
単位/エチレンから誘導される構造単位なるモル比が同
一の場合において、n値のより大きいα−オレフィンを
用いた時に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性は、
n値のより小さいα−オレフィンを用いた時に得られる
熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性に比べて、より優れてい
る。本発明で用いられるエチレンとα−オレフィンとの
共重合体はどのような触媒で重合しても良い。たとえ
ば、Ti系のチーグラー・ナッタ触媒、V系触媒、メタ
ロセン系触媒などが挙げられる。この中でメタロセン系
触媒で重合したものがより好ましい。
【0027】本発明で用いられる「相容化剤」とは、ポ
リプロピレンとポリフェニレンエーテルとの間の相容性
を向上させる化合物を意味する。本発明で用いられるポ
リプロピレンとポリフェニレンエーテルとの間の相容性
が良くないので、ポリプロピレンや、ポリフェニレンエ
ーテルや、エチレンとα−オレフィンとの共重合体は、
ポリプロピレンとポリフェニレンエーテルとの間の相容
性を向上させるために、相容化剤と組合せて用いること
が好ましい。
【0028】相容化剤として、(1)同一分子内に、ポ
リプロピレンのセグメントと、ポリフェニレンエーテル
のセグメントとを有する化合物、(2)同一分子内に、
ポリプロピレンのセグメントと、ポリフェニレンエーテ
ルに対して分子相溶性または親和性の良いセグメントと
を有する化合物、(3)同一分子内に、ポリフェニレン
エーテルのセグメントと、ポリプロピレンと分子相溶性
または親和性の良いセグメントとを有する化合物、
(4)同一分子内に、ポリプロピレンに対して分子相溶
性または親和性の良いセグメントと、ポリフェニレンエ
ーテルに対して分子相溶性または親和性の良いセグメン
トとを有する化合物を、例示することができる。
【0029】上記(1)の相容化剤としてポリフェニレ
ンエーテルとポリプロピレンとを化学結合で結合させ
た、ブロック又はグラフト共重合体を例示することがで
きる。これら共重合体の製造方法として、ポリフェニレ
ンエーテルと無水マレイ酸との反応物と、ポリプロピレ
ンと無水マレイ酸との反応物とを、ジアミン、ジイソシ
アネート又は多官能エポキシ化合物でカップリングさせ
る方法を例示することができる。
【0030】上記(2)の相容化剤として、ポリプロピ
レンとポリスチレンとのブロック又はグラフト共重合体
を例示することができる。
【0031】上記(3)の相容化剤として、ポリフェニ
レンエーテルとエチレン-ブテン共重合体とのブロック
又はグラフト共重合体を例示することができる。
【0032】上記(4)の相容化剤として、スチレンと
ブタジエンとのジブロック共重合体またはトリブロック
共重合体を水素添加したポリマーや、スチレンとイソプ
レンとのジブロック共重合体またはトリブロック共重合
体を水素添加したポリマーを例示することができる。
【0033】本発明で用いられる相容化剤は、別途製造
された上記(1)〜(4)のような化合物であってもよ
いし(態様−1)、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
過程において上記(1)〜(4)のような化合物を生成
する化合物(前駆体)であってもよい(態様−2)。
【0034】態様−1に関する公知文献として、特開昭
63−113058号公報や特開昭62−225642
号公報を例示することができる。これらの文献には、相
容化剤として、スチレンのようなアルケニル芳香族化合
物からなる少なくとも1つのブロックと、ブタジエンの
ような共役ジエン化合物からなるブロックとを含むブロ
ック共重合体を水素添加した重合体(共役ジエン化合物
ブロック中の不飽和結合が水素添加された重合体)が開
示されている。該水素添加した重合体を本発明において
用いる場合、該重合体中の、アルケニル芳香族化合物か
らなる少なくとも1つのブロックの分子量は、1000
0以上が好ましく、15000以上がより好ましい。本
発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を低下させない観点
から、該水素添加した重合体中のアルケニル芳香族化合
物からなるブロックの割合は、該重合体を100重量%
として、50重量%以上が好ましく、60重量%以上が
より好ましい。ビニル基(共役ジエン化合物からなるブ
ロック中のビニル基)の結合量が多いブロック共重合体
を水素添加した重合体は、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂
組成物を得るという観点から好ましく、他方、ビニル基
の結合量が少ないブロック共重合体を水素添加した重合
体は、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得るとい
う観点から好ましい。本発明においては、ビニル基の結
合量が多いブロック共重合体を水素添加した重合体で
も、ビニル基の結合量が少ないブロック共重合体を水素
添加した重合体でも用いることができる。
【0035】態様−2にかかる方法として、ポリプロピ
レンと、ポリフェニレンエーテルと、エチレンとα−オ
レフィンとの共重合体と、無水マレイン酸のような相容
化剤を生成させるための化合物からなる混合物を溶融混
練する方法を例示することができる。この方法において
無水マレイン酸は、用いられるポリプロピレン及びポリ
フェニレンエーテルのそれぞれの一部と反応し、その結
果、ポリプロピレンのセグメントと、ポリフェニレンエ
ーテルのセグメントとが無水マレイン酸の残基を介して
結合された上記(1)の型の相容化剤が系内で生成す
る。方法−2に関する公知文献として、特開平3−22
27361号公報や特開平3−231945号公報を例
示することができる。
【0036】相容化剤の添加量は、ポリプロピレンとポ
リフェニレンエーテルとを相容化するのに十分な量であ
る。そういう量の相容化剤を用いると、得られる熱可塑
性樹脂組成物は、後述の好ましいモルホロジーを有し、
相容化剤を用いない場合に得られる熱可塑性樹脂組成物
に比べて、より良好な機械的物性を有する。相容化剤の
好ましい添加量は、ポリプロピレンとポリフェニレンエ
ーテルとの合計量100重量部に対して、1〜50重量
部である。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性と
耐衝撃性とのバランスに優れた樹脂組成物を得る観点か
ら、ポリプロロピレンからなるマトリックス相中に、ポ
リフェニレンエーテルからなる分散相が存在するモルフ
ォロジーを有していることが好ましい。分散相を形成す
る粒子(以下、「分散粒子」という)の径は3μm以下
が好ましく、2μm以下がより好ましい。本発明の熱可
塑性樹脂組成物中のエチレンとα−オレフィンとの共重
合体は、その約50%以上が分散相として存在している
ことが好ましく、分散粒子の径は0.5μm以下が好ま
しく、0.2μm以下がより好ましい。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得
られる成形体中の分散粒子の形状は、射出成形における
剪断応力のような成形条件によって、球に近い形状から
球を偏平にした形状まで変わり得る。従って、本発明に
おける「分散粒子の径」とは、特に断らない限り、剪断
応力の影響を実質的に受けない、成形品のほぼ中心部に
存在する分散粒子の径であって、以下の手順で求められ
る径を意味する。 手順−1:四酸化ルテニウムのような重金属化合物を用
いてサンプルを染色する。 手順−2:染色されたサンプルから、ウルトラミクロト
ームのような切断器で超薄切片を切り出す。 手順−3:超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察して撮影
し、倍率が例えば10,000倍の写真を得る。 手順−4:写真中の個々の分散粒子の径を測定する。 手順−5:個々の分散粒子の径から、加算平均値を求
め、これを分散粒子の径とする。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物にかかる成分
の割合に関して、ポリプロピレンの含量が30重量%未
満の場合、得られる樹脂組成物の流動性が乏しく、従っ
て、該組成物の成形加工性が不満足である。ポリフェニ
レンエーテルの含量が5重量%未満の場合、得られる樹
脂組成物の耐熱性がが不満足である。エチレンとα−オ
レフィンとの共重合体の含量が1重量%未満の場合、得
られる樹脂組成物の耐衝撃性が不満足であり、50重量
%を超える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性が不満足
である。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、特に制限されない。工業的に最も好ましい製造方法
として、上記各成分を溶融混練する方法を例示すること
ができる。好ましい溶融混練機として、ニーディングブ
ロックをスクリューの任意の位置に組み込むことが可能
な二軸以上の多軸押出機を例示することができる。該押
出機には必要に応じて、混練物の流れ方向に沿って上流
側から下流側に向かって、第1の原料供給口、第2の原
料供給口、さらに第3、4の原料供給口を設けてもよ
い。さらに必要に応じて、押出機の任意の位置に、真空
ベント口を設けてもよい。
【0041】本発明で用いられる上記の各成分は、本発
明の目的や効果を損なわない範囲で、他の成分と組合せ
て用いてもよい。他の成分として、酸化防止剤;金属不
活性化剤;有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸ア
ンモニウム系難燃剤、芳香族ハロゲン系難燃剤およびシ
リコーン系難燃剤のような難燃剤;フッ素系ポリマー;
水添ブロック共重合体のような耐衝撃性を付与するため
のエラストマー;低分子量ポリエチレン、エポキシ化大
豆油、ポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステルの
ような可塑剤;三酸化アンチモンのような難燃助剤;耐
候性(耐光性)改良剤;ポリオレフィン用造核剤;スリ
ップ剤;ポリアクリロニトリル繊維、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシ
ウム、ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アル
ミニウム、マイカ、鉱物繊維、ゾノトライト、チタン酸
カリウム・ウイスカ、マグネシウムオキシサルフェー
ト、ガラスバルン、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボ
ン繊維、ステンレス繊維等の無機繊維、アラミド繊維、
カーボンブラック、導電性金属繊維および導電性カーボ
ンブラックのような無機または有機の充填材や強化材;
着色剤;離型剤を例示することができる。
【0042】本発明の樹脂組成物は、圧縮成形法、射出
成形法、押出成形法、多層押出成形法、異形押出成形法
および中空成形法のような公知の成形法によって、シー
ト、フィルム及び各種部品のような成形体に成形するこ
とができる。好適な各種部品として、自動車部品や、電
気機器の内外装部品を例示することができる。自動車部
品として、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種
モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャッ
プ、ルーフ、スポイラー及び各種エアロパーツのような
外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボッ
クス及びトリムのような内装部品を例示することができ
る。電気機器の内外装部品として、コンピュータ及びそ
の周辺機器;コンピュータ以外のOA機器やテレビやビデ
オや各種ディスクプレーヤーの、シャーシーやキャビネ
ット;二次電池電槽用成形体;冷蔵庫用部品を例示する
ことができる。
【0043】
【実施例】本発明を例によって、さらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例により限定されるものではな
い。使用された成分、試験片の作成方法および試験法は
以下の通りである。 1.成分(A):ポリプロピレン 住友化学製のグレード名がHD100G2なるホモポリ
プロピレン(「PP」と記す)。 2.成分(B):ポリフェニレンエーテル ジエネラルエレクトリック社製の商品名がPPO 64
0なるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)(「PPE」と記す)。 3.成分(C):エチレンとα−オレフィンとの共重合
体 Dow Chemical社製のグレード名がEG82
00なるエチレン−オクテン共重合体(オクテンに由来
する構造単位の含量=24重量%)(「EOR」と記
す) 4.成分(D):相容化剤 (1)ジアミノドデカン(「DADD」と記す)。 (2)無水マレイン酸(「MAH」と記す)。 (3)化薬アクゾ社製の商品名がパーカドックス14/
40Cなるパーオキサイド(「パーオキサイド」と記
す)。 (4)旭化成社製の商品名がタフテックH1043な
る、水素添加されたスチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体(スチレンブロック/水素添加されたブ
タジエンブロック=67/33(重量比)(「SEB
S」と記す)。 5.その他の成分 (1)耐衝撃性改良材 シェル社製の商品名がKRATON G1701Xな
る水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体
(「SEP」と記す)。 住友化学製の商品名がEPR V0111なるエチレ
ン−プロピレン共重合体(「EPR」と記す)。 (2)日本ポリスチレン社製の商品名がスミブライト
G690Nなるポリスチレン(「PS」と記す)。 (3)住化カラー製の商品名がEPC865なる顔料
(「顔料」と記す)。 (4)添加剤 カルシュームステアリレート(「Cast」と記
す)。 チバ・ガイギー社製の商品名がイルノガノックス10
10なる酸化防止剤(「Irg1010」と記す)。 ボルグワーナー社製の商品名がウルトラノックス62
6なる酸化防止剤(「U626」と記す)。 旭電化社製の商品名がMARK NA−11なる造核
剤(「NA−11」と記す)。 1.3-bis (t-butylperoxy-isopropyl) benbzenをポリ
プロピレンで8重量%濃度に希釈したパーオキサイド
(「PO」と記す)。 6.試験片の作成方法 得られたペレットを120℃の温度で3時間、熱風オー
ブン中で乾燥し、乾燥ペレットから、東芝機械製の商品
名がIS220ENなる射出成形機(シリンダー温度2
60℃、金型温度50℃)により、各種の試験片を作成
した。 7.試験法 (1)メルトインデックス(MI) 上記乾燥ペレットを用い、230℃、10kg荷重の条
件下でMI(dg/min)を測定した。 (2)引張り伸び ASTM D638に準拠し、23℃雰囲気下で引張り
試験を行い、引張り伸び(%)を測定した。 (3)曲げ弾性率 ASTM D790 に準拠し、1/8インチ厚さの試
験片を使用して、23℃における曲げ弾性率(MPa)
を測定した。 (4)アイゾット衝撃強度 ASTM D256に従って、23℃で1/8インチノ
ッチ付アイゾット衝撃強度(KJ/m2)を測定した。 (5)熱変形温度(HDT) ASTM D648 に準拠し、1/4インチ厚みの試
験片を使用して、18.6kg荷重での熱変形温度
(℃)を測定した。
【0044】実施例1〜2及び比較例1 東芝機械(株)製の商品名がTEM50なる、第1〜3
の3個の原料供給口を有する二軸混練押出機の各供給口
から原料成分を供給して、シリンダー温度260℃で溶
融混練し、溶融混練物をダイスから水槽に押出して冷却
し、冷却物をストランドカッターによりペレット化し
た。各原料成分の使用量(重量部)および供給口を表1
に示す。試験結果を表2に示した。実施例2で得られた
熱可塑性樹脂組成物については、曲げ弾性率測定用の試
験片の中央部から、ミクロトームで超箔切片を切り出
し、超箔切片をRuO4で染色し、染色された超箔切片
を透過型電子顕微鏡で観察した。得られた写真を図1に
示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ポ
リプロピレンとポリフェニレンエーテルとを含む、耐熱
性と耐衝撃性とのバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物
を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の曲げ弾性率測定用の試験片の中央部
から、ミクロトームで超箔切片を切り出し、超箔切片を
RuO4で染色し(ポリフェニレンエーテルが薄く(大
きい粒子)、EORが濃く(小さい粒子)染色され
る)、染色された超箔切片を透過型電子顕微鏡で観察し
て得られた写真である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)30〜94重量%と、成
    分(B)5〜69重量%と、成分(C)1〜50重量%
    とを含有する熱可塑性樹脂組成物(成分Aと成分Bと成
    分Cとの合計量を100重量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
    レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
    レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
    れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
    1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
  2. 【請求項2】式(I)におけるnが2〜10の整数であ
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】下記の成分(A)30〜94重量%と、成
    分(B)5〜69重量%と、成分(C)1〜50重量%
    と、成分(A)と成分(B)とを相容化するのに十分な
    量の成分(D)とを含む熱可塑性樹脂組成物(成分Aと
    成分Bと成分Cとの合計量を100重量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
    レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
    レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
    れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
    1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 成分(D):相容化剤 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
  4. 【請求項4】式(I)におけるnが2〜10の整数であ
    る請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】下記の成分(A)30〜94重量%と、成
    分(B)5〜69重量%と、成分(C)1〜50重量%
    と、成分(A)と成分(B)とを相容化するのに十分な
    量の成分(D)とを溶融混練して得られる熱可塑性樹脂
    組成物(成分Aと成分Bと成分Cとの合計量を100重
    量%とする)。 成分(A):ポリプロピレン 成分(B):ポリフェニレンエーテル 成分(C):エチレンと、下式(I)で表されるα−オ
    レフィンとの共重合体であって、該共重合体中のα−オ
    レフィンから誘導される構造単位/エチレンから誘導さ
    れる構造単位なるモル比が(0.8/(3n+2))/
    1以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体 成分(D):相容化剤 CH2=CH−(CH2)nCH2CH3 (I) (式中、nは0〜10の整数である)
  6. 【請求項6】式(I)におけるnが2〜10の整数であ
    る請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
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WO2015050060A1 (ja) 2013-10-01 2015-04-09 旭化成ケミカルズ株式会社 樹脂組成物及びその成形体
JP2018035218A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 旭化成株式会社 樹脂組成物

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