JP2001269173A - 新規dna配列 - Google Patents

新規dna配列

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JP2001269173A
JP2001269173A JP2000084302A JP2000084302A JP2001269173A JP 2001269173 A JP2001269173 A JP 2001269173A JP 2000084302 A JP2000084302 A JP 2000084302A JP 2000084302 A JP2000084302 A JP 2000084302A JP 2001269173 A JP2001269173 A JP 2001269173A
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Shiyuugo Watabe
終五 渡部
Katsuya Fukami
克哉 深見
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、イワシ由来のトリプシン様
酵素をコードするDNAを提供することである。 【解決手段】 配列番号1における20位から240位
までのアミノ酸配列または配列番号2における20位か
ら241位までのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列から
なるイワシ由来のトリプシン様酵素をコードするDN
A、および該DNAを組み込んだ発現ベクターにより形
質転換した宿主細胞を培養して、魚由来の他の蛋白質を
実質的に含まない、イワシ由来の組換えトリプシン様酵
素を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イワシのプロテア
ーゼをコードする新規DNAおよびその製造方法を提供
する。本発明により製造されたプロテアーゼは、良質な
魚醤を迅速に製造するために有用である。
【0002】
【従来の技術】酵素は自然界に広く分布し、多種多様な
機能を果たしている。ウイルスの遺伝子はそれらのコー
トタンパク質の前駆分子を開裂する酵素をコードし、細
菌はそれらの外界にあるタンパク質を分解する多種多様
な細胞外酵素を産生し、高等生物はほとんどすべての生
物学的反応に酵素を用いる。反応プロセスでそれらは生
物学的触媒として作用し、触媒作用のない反応と比較し
て1012倍にも反応速度を高める(Kuchel an
d Ralston,1988)。酵素は高度に特殊化
された種類のタンパク質分子であり、それらはDNA分
子に含まれる遺伝子の最も重要な産物のひとつである。
酵素活性のきわめて重要な特徴は、それがきわめて基質
特異性であることである;すなわち特定の酵素は特定の
基質に作用し、わずかに異なる形状をもつ関連分子を受
け入れない。その理由は酵素が基質の形状に相補的な三
次元の活性部位をもつからであり、タンパク質鎖のフォ
ールドのため、この部位を形成するアミノ酸残基はアミ
ノ酸の一次構造とはかけ離れている可能性がある。
【0003】酵素触媒反応の速度は基質濃度に依存す
る。最適条件下では速度は基質濃度の上昇に伴って高ま
り、最終的にプラトー(Vmax)に到達する。これはす
べての酵素が酵素−基質(ES)複合体を形成した状態
である。酵素の基質特異性は、通常はミカエリス・メン
テン定数(km)により表される。これは酵素分子の半
量がES複合体を形成する基質濃度(Vmax/2)である
と定義できる。kmの数値が小さいほど、酵素の基質特
異性は大きい。酵素触媒反応の速度定数はkcat、すな
わち代謝回転数で表される。これは単位時間および酵素
活性部位当たり生成物に変換される基質分子の最大数で
ある。したがってkmは酵素の親和性を表し、一方kcat
はES複合体の特性および反応を規定する。
【0004】タンパク質分解酵素は、タンパク質のペプ
チド結合を加水分解する最も重要な酵素群のひとつであ
る。十分に解明されているすべてのプロテアーゼが、4
つのファミリー、すなわちセリン−、システイン−、ア
スパラギン酸−またはメタロ−プロテアーゼのうちのい
ずれか1つに属する。この分類は官能基基準、すなわち
活性部位における最も目立つ官能基の性質に基づく。プ
ロテアーゼは、不適正な部位または時点でのタンパク質
分解を防ぐために、細胞内でチモーゲンと呼ばれる不活
性前駆物質として合成される(Kardos et a
l.,1999)。チモーゲンは、由来場所から離れた
作用場所中へ分泌された後で初めて、特異的プロテアー
ゼの作用により活性形に変換される。この活性化ペプチ
ドが除かれた後、成熟タンパク質は結合部位を活性化す
る立体配座変化を受け、触媒活性が生じる。しかし分子
レベルでは、開始コドンのすぐ下流に位置する一組のシ
グナルコドンが、シグナル認識粒子への結合により共翻
訳経路(cotranslational pathw
ay)を介してこのタンパク質を小胞体へ向かわせる。
次いでこれがその受容体と相互作用し、シグナルペプチ
ドを放出する(Blobel and Dobbers
tein,1975a,1975b)。次いでそのこの
新生ポリペプチドが脂質二重層にまたがってトランロケ
ーションするには、小胞体内での第2のシグナル認識事
象が必要である(Jungnickel et a
l.,1995)。
【0005】4つのタンパク質分解酵素ファミリーのう
ち最も大きく、最も多様なセリンプロテアーゼは、タン
パク質のタンパク質分解プロセシング、消化、血液凝
固、免疫応答、および発生を含めた、多数の生物学的プ
ロセスに関与する(Neurath,1984)。これ
らの酵素の分子的機序は広く研究されている。セリンプ
ロテアーゼファミリーのうち基質特異性の高いトリプシ
ンは、特に十分に研究されている。それは細菌からヒト
まで共通の触媒機序を特徴とし、3つの必須残基(触媒
三つ組残基:セリン、ヒスチジンおよびアスパラギン
酸)および基質決定残基としてのアスパラギン酸を伴
う。トリプシンは、インビボおよびインビトロの両方で
アルギニン残基またはリシン残基のカルボキシル側のペ
プチド結合を特異的に開裂する。リシンおよびアルギニ
ンに対する狭いトリプシン特異性は、基質のP1側鎖の
正電荷に調和したトリプシンのS1結合ポケットにおけ
る負電荷により生じる(Szabo et al.,1
999)。名称Pn....P2、P1、P1’、P
2’....Pn’は基質アミノ酸残基を表し、P1−
P1’は分解(加水分解)しやすい結合であり、S
n....S2、S1、S1’、S2’....Sn’
は対応する酵素の結合部位である(図1a;Schec
hter and Berger,1967)。キモト
リプシン中の同様な残基はセリンであり、これはP1に
ある大型疎水性残基を好む。一方、エラスターゼのS1
結合ポケットはVal−226およびThr−216の
側鎖により閉塞され、このためその特異性は小型の脂肪
族残基になる(図1b;Chobert et a
l.,1969)。膵臓においてトリプシンは消化酵素
として機能するだけでなく、不活性なチモーゲンのN末
端から短い活性化ペプチドを開裂することによりあらゆ
る膵臓酵素(自身を含む)の活性化にも関与する。ウシ
トリプシンは、単離および分析された最初のタンパク質
分解酵素のひとつである。それ以来トリプシンは原核生
物から真核生物にまで及ぶ多様な生物中に確認された
(Rypniewski et al.,1994)。
特に重要なのは、それが細菌ストレプトマイセス・グリ
セウス(Streptomyces griseus)
中に発見されたことである(Olfason et a
l.,1975)。それと哺乳動物トリプシンとの密接
な相同性−トリプシンと同一生物内の関連酵素との相同
性に匹敵する−はきわめて当惑させるものであったた
め、Hartley(1979)は哺乳動物から細菌へ
遺伝子伝達が起きたという仮説を立てた。しかしこれは
Read and James(1988)により除外
された。彼らは、トリプシン特異性に必要なアスパラギ
ン酸の埋没した電荷を安定化する必要性がトリプシンに
関連酵素より厳密な構造要件を課し、おそらく配列がよ
りいっそう保存されるのに寄与したのであろうと反論し
た。ストレプトマイセス・エリスラエウス(Strep
tomyces erythraeus)から得た他の
細菌トリプシン(Yamane et al.,199
1)も類似の特性をもつことが認められた。トリプシン
が主に消化機能を果たす原始生物から、高等生物におい
てトリプシンが満たす多様でより複雑な機能までのトリ
プシンの進化に伴う分子構造のため、この酵素は構造−
機能関係研究のための優れたモデルとなった。最近のか
なりの研究がこの構造特性の解明に集中し続けている
(Hedstrom et al.,1992,199
4,1996;Szabo et al.,1999;
Pasternak et al.,1998,199
9;Mikhailova and Rumsh,19
99;Guinto et al.,1999)。ただ
しこれらはすべて、哺乳動物トリプシンに対応する。
【0006】興味深いことに、低温適応種、たとえばカ
タクチイワシ(anchovy)(Martinez
et al.,1988)、カラフトシシャモ(Hje
lmeland and Raa,1982)、タラ
(Simpson and Haard,1984;A
sgeirsson et al.,1989)および
サケ(Smalas et al.,1992)からの
トリプシンは、それらに対応する哺乳動物トリプシンよ
り実質的に高い触媒効率を示す。たとえばウシトリプシ
ンと比較して、タラトリプシンの触媒効率は17倍高い
ことが認められ(Asgeirsson et a
l.,1989)、アニオン性サケトリプシンは40倍
高いことが報告された(Smalas et al.,
1994)。他のセリンプロテアーゼ、たとえば魚類種
からのキモトリプシンおよびエラスターゼもそれらに対
応する哺乳動物のものより高い触媒効率をもつのが認め
られたことは、特筆すべきである(Asgeirsso
n and Bjarnason,1991;Raa
and Walther,1989;Kristjan
sson and Nielsen,1992;Asg
eirsson andBjarnason,199
3;Gildberg and Overbo,199
0)。さらに、魚類の酵素は対応する温血動物酵素より
極限pHおよび高温で安定性が低い傾向も示し(Asg
eirsson and Fox,1989;Simp
son and Haard,1984)、安定性と活
性の両方に関しアルカリ性の方へ移行しているように思
われる(Smalas et al.,1994)。L
owおよびSomero(1974)は、変温動物の一
連の酵素反応が温血生物における対応する反応より低い
自由エネルギー、エンタルピーおよび活性化エントロピ
ーをもつことを示した。そしてこれは触媒効率にかなり
の相異をもたらす。一方、他の人々(Asgeirss
on and Bjarnason,1989;Gil
dberg and Overbo,1990)は、こ
の顕著な相異は魚類酵素の柔軟性の方が大きいためであ
ると示唆している。
【0007】哺乳動物トリプシンの豊富な構造情報か
ら、このタンパク質は配列、構造および機能の関係に関
する研究のための優れたモデルとなっている。しかし変
温動物に関するデータはまだ断片的であり、特に魚類ト
リプシン独特の構造特性に関する研究を行う必要があ
る。魚類トリプシンの最初のヌクレオチド配列は、タラ
からのものが1993年に報告され(Gudmunds
odottir et al.,1993)、それ以
来、サケ(Male et al.,1995)、南極
圏魚類(Genicot et al.,1996)、
およびカレイ(Douglas and Gallan
t,1998)のみについては完全な報文が発表され
た。したがって、その独特の触媒特性を理解するため
に、魚類トリプシンをさらにある程度解明する価値があ
る。これは、構造可塑性の基礎的知識、および新規特異
性をもつ酵素の開発に寄与するであろう。
【0008】したがって本発明は、魚類トリプシンの高
い触媒活性と関連するトリプシンの構造可塑性が自然選
択の結果であるかどうか、またそうであればこの独自性
を支配する分子的基礎は何であるかを判定することが目
標である。海洋漂泳魚類種である日本カタクチイワシ
(Engraulis japonica)を選択した
のは、トリプシンその他のセリンプロテアーゼの活性が
高いため、捕獲後すぐにその腹部組織が急速に分解する
からである(Martinez and Serra,
1989;Heu et al.,1995)。
【0009】タンパク質エンジニアリングの試みには、
新規な基質特異性をもつ酵素の設計を探索することが含
まれる。一般にこの問題に関する研究方法は、適切な触
媒基の付加により反応性を獲得できると確信して、基質
結合部位に注目している。これらの研究は適度な成功を
得たにすぎない。その理由の一部は、特異的基質結合部
位に対する構造要件が十分には理解されていないからで
ある。第2の研究方法は、自然界で特異性を変化させる
のに使われている方法を描き出す目的で、相同酵素の基
質特異性の構造決定因子を調べるものである。しかし大
部分の場合、いわゆる基質結合残基の変更は特異性を完
全に変化させるには不十分である。これは、基質と接触
しない基質特異性決定因子があることを示唆する(He
dstrom et al.,1994)。この現象の
最も良く解明された例がセリンプロテアーゼのトリプシ
ンファミリーにみられ、これは最近関心がもたれている
課題である(Hedstrom et al.,199
2,1994;Pasternak et al.,1
998,1999;Szabo et al.,199
9;Mikhailova and Rumsh,19
99;Guintoet al.,1999;Guin
to et al.,1999)。他方、前記のように
対応する温血動物種からの酵素と比較して低温適応種か
らの酵素がもつ特殊な性質は、おそらく構造上の単一ま
たは幾つかの相異によるものではなく、そのような相異
が複雑に相互作用することによるものであって、簡単に
は説明できない(Smalas et al.,199
4)。
【0010】本発明の知見は、トリプシンの構造−機能
関係を推定により理解することだけを目的とするもので
はない。この発明はさらに、バイオテクノロジーにおい
てきわめて重要なものになる可能性がある。トリプシン
の特異性が狭いにもかかわらず、抗生物質からホルモ
ン、芳香化合物にまで及ぶペプチドの合成にトリプシン
を用いる報告が多数ある(Green and Fag
ain,1999に概説)。特に重要なのは、海洋漂泳
魚類種からの付加価値魚類製品の開発にトリプシンを使
用できる可能性である。たとえばカタクチイワシやサー
ディン(sardine)の集団は、世界中の温帯およ
び熱帯水域全体にみられ、中間および富栄養沿岸水域に
おいて最も重要である(Kiefer and Gra
fton,1998)。異例なほどのバイオマスおよび
沿岸性のため、それらは年間捕獲量全体の主要部分を占
める。この捕獲量の多くが魚類の餌に変わるので、この
漁業の経済価値は比較的小さい。しかしアジアその他の
若干の国では、幾つかの伝統食品の味や香りを改良する
ための調味料として発酵カタクチイワシを広く用いてい
る(Heu et al.,1997;Martinz
and Serra,1989)。カタクチイワシの
腸および筋肉中の種々のタンパク質分解酵素が魚類組織
の加水分解に関与する。加水分解は完了するのにおよそ
7〜8カ月かかる。したがってそれらの生化学的特性を
理解すると、それらの妥当な利用を洞察してカタクチイ
ワシ製品の発酵期間を短縮することができる。
【0011】魚類を発酵させて製造される調味料の代表
例は、魚醤である。魚醤は、魚の持っている自己消化酵
素(主に消化管に局在する)により、高塩濃度下で静菌
しながら、長年(約1年から3年)をかけて、魚蛋白を
アミノ酸まで分解し、調味料としている。主に東南アジ
ア一帯の沿岸部で魚(主に、カークン(キビナゴ科))
と塩で長期間発酵させて作られる。日本では、いしる、
シッツル、イカナゴ醤油等が、同じ製法で作られてい
る。これらは、共に、アミノ酸、短鎖ペプタイドを含有
しているため、うま味が強く、ペプチドによるコク味、
複雑味が、食品に付与できる。近年、食品市場はグルメ
化し、新しい味を求めている。魚醤は、うま味と複雑味
により、市場のニーズに合致し、あたらしい味を創造す
ることができるため、年々、消費量が増えている。
【0012】上記のとおり、魚醤は市場のニーズは有る
が、基本的に特有の香気もしくは不快臭成分を有してい
るため、加工食品には使用量を制限されたり、また、利
用分野の制限が大きい。これら不快臭成分は、原料の鮮
度管理、長期の発酵において、微生物の汚染による香気
成分の生成が原因といわれている。近年、この問題を排
除するために、下記のような種々の解決策が提唱されて
いる。
【0013】(a) 原料の鮮度管理 (b) 低温による発酵管理(汚染防止と褐変による不快臭
生成抑制) (c) 酵素を添加し、短期に発酵させる方法 (d) 酵素の代わりに麹を使う、分解促進と不快臭の除去 (e) 魚醤製造後の脱臭方法 1)限外濾過による脱臭(特開平4−346767) 2)pH調整後、水蒸気蒸留による脱臭法(特開平5−6
4563) 3)麹未分解物を接触させ、不快臭を吸着する方法(特開
平3−47051)。
【0014】しかしながら、(b) の方法は、低温で行う
ため、呈味力の強い調味料ができない;(c) の方法は、
外来(魚自体のではなく)の酵素を使って、速醸するた
め、ペプチド含量が多い調味料となり、呈味が弱い;
(d) の麹を使った分解は、分解率は高い(魚醤と同様)
が、短鎖、中鎖のペプチド含量が変わり、魚醤特有の味
が失われる(この点、(c) の方法も同様である);そし
て(e) の方法は、魚醤製造後に加工工程が加わるため、
不快臭はある程度除去できるが、完全な技術がないた
め、不快臭は残り、且つ、加工臭(加工するために新た
につく臭い等)が発生するし、また、加工に伴い、呈味
成分が失われ、効率的ではなく、麹未分解物を利用した
場合、(d) と同様に麹香がつくという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は下記の
ものである: (1)分子クローニングによりカタクチイワシトリプシ
ンの一次構造を決定する; (2)可能性のあるアイソザイムのカタクチイワシトリ
プシンをコードするcDNAクローンを単離する; (3)比較タンパク質モデリングによりそれらの構造特
性を理解する; (4)魚醤の製造には、長期の発酵期間が必要である
が、主に、塩濃度(約22%程度)が高いため、酵素反
応が抑制されて、分解に長時間かかる。不快臭の生成
は、長期間発酵による成分間の反応による生成と汚染菌
による香気成分の生成である。従って、不快臭を極力抑
えるためには、短期に発酵を進める必要がある。そのた
め、魚醤製造において中心的役割をしている酵素を従来
の製法で存在する量より多く加えてやることにより、従
来の魚醤と同じアミノ酸、同じペプチドの含量を保持し
つつ、もしくはそれ以上のアミノ酸、ペプチドを含有
し、不快臭を生成せずに短期間に魚醤を製造する方法を
提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イワシ内
臓から、トリプシン様蛋白分解酵素の遺伝子を単離し、
その配列を決定した。本発明によれば、イワシは少なく
とも二種類のトリプシン様蛋白分解酵素を有する。それ
らをコードするDNAは、配列番号1および配列番号2
によりそれぞれ示される。
【0017】配列番号1および2において、1位〜13
位までのアミノ酸配列は、シグナルペプチドであり、1
4位〜19位のアミノ酸配列はトリプシン類の活性化の
ために開裂する活性化ペプチドである。すなわち、少な
くとも20位以降のアミノ酸を含むアミノ酸配列の大部
分からなるアミノ酸配列は、トリプシン様蛋白分解酵素
活性を有する。したがって、本発明には、配列番号1お
よび配列番号2によりそれぞれ示されるDNAに加え、
その1位〜19位のいずれかの部分が欠失したアミノ酸
配列をコードするDNAも包含される。また、1つのア
ミノ酸をコードするコドンは複数存在する。従って、こ
れらのアミノ酸配列またはその酵素活性部分をコードす
るいずれのDNAも本発明の範囲に含まれる。
【0018】本発明のDNAがコードするトリプシン様
蛋白分解酵素は、いずれも、公知のトリプシンに対する
アミノ酸配列の相同性が約85%より低い新規なアミノ
酸配列を有し、後記表2に示す通り、カレイ、南極圏
魚、サケ、タラ、ウシ、ネズミ、ヒトのトリプシンのア
ミノ酸配列と比較すると、それぞれ84、85、82、
77、64、67および60%か又はそれより低い相同
性を有している。
【0019】本発明のDNAは、配列番号1または2の
適当な部分をコードするDNAをプローブとして合成
し、イワシ類のcDNAライブラリーからスクリーニン
グすることができる。そのようなスクリーニングの方法
は公知であり、例えば、SambrookらのMole
cular Cloning A Laborator
y Manual (Cold Spring Har
bor Laboratory Press)に記載さ
れている。スクリーニングにより、配列番号1または2
のアミノ酸配列をコードするDNAが得られる。
【0020】本発明により、イワシの内臓から互いに相
同性の高い2種類のトリプシン様酵素が提供されたこと
から、イワシ類の内臓には他の脊椎動物のものとは相同
性の点で区別できる一群のトリプシン様蛋白分解酵素が
ある可能性があり、本発明はそれらのトリプシン様蛋白
分解酵素をコードするDNAを全て包含する。
【0021】さらに、例えば、配列表の配列番号1また
は配列番号2において、一部のアミノ酸残基が置換、挿
入または欠失している変異アミノ酸配列からなるが、配
列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を有するトリ
プシン様酵素と実質的に同一の生物活性を有するペプチ
ドをコードするDNAは、それがコードするアミノ酸配
列と公知のプロテアーゼのアミノ酸配列との相同性が約
85%以下であるなら、本発明に含まれる。このような
変異アミノ酸配列を有するプロテアーゼをコードするD
NAは、配列番号1または2のアミノ酸配列をコードす
るDNAに対して、例えば部位特異的変異導入法等の適
当な方法により変異を導入することにより得ることがで
き、あるいは、他の天然源から得られる可能性がある。
さらに、本発明の範囲内に入るDNAには、温和な又は
苛酷なストリンジェンシーの条件下で本明細書に開示し
た配列番号1または2のアミノ酸配列をコードするDN
Aにハイブリダイズし、かつトリプシン様酵素活性をコ
ードする単離されたDNAも含まれる。温和なストリン
ジェンシーによるハイブリダイゼーションの条件は、例
えば、上記Sambrookらに記載された条件を意味
する。温和なストリンジェンシーの条件には、5×SS
C,0.5%SDS,1.0mMEDTA(pH8.0)の
前洗浄用溶液と約55℃,5×SSC,一晩のハイブリ
ダイゼーション条件の使用が含まれる。苛酷なストリン
ジェンシーの条件には、より高温のハイブリダイゼーシ
ョンと洗浄が含まれる。その際、プローブの長さ等の各
種要因に応じて温度及び洗浄溶液の塩濃度は適宜調節さ
れる。好ましくは、5×SSC以下で20℃以上の範囲
の条件が好ましい。
【0022】本発明は、本発明のDNAを含む発現ベク
ター、並びにこれら発現ベクターを含有する宿主細胞を
前記DNAの発現に適する条件下で培養して、発現され
た組換えタンパク質を回収することにより、魚由来の他
の蛋白質を実質的に含まない組換えイワシ由来プロテア
ーゼを製造する方法も提供する。
【0023】本発明のDNAの発現のためには、使用す
る宿主細胞に応じて選ばれた発現ベクターに、哺乳動
物、微生物、ウィルス、又は昆虫遺伝子等から誘導され
た、適当な転写又は翻訳調節ヌクレオチド配列に連結し
た本発明のDNAを組み込む。調節配列の例として、転
写プロモーター、オペレーター、又はエンハンサー、m
RNAリボソーム結合部位、及び転写及び翻訳の開始及
び終結を制御する適切な配列が挙げられる。好ましく
は、DNAはシグナルペプチドをコードする部分を含め
て使用し、宿主が生産した組換えプロテアーゼが、宿主
細胞外に分泌されるようにする。
【0024】発現に適する宿主細胞には、原核細胞、酵
母又は高等真核細胞が含まれる。細菌、真菌、酵母、及
び哺乳動物細胞宿主で用いる適切なクローニング及び発
現ベクターは、例えば、Pouwels ら, Cloning Vectors:
A Laboratory Manual, Elsevier, New York, (1985)に
記載されている。
【0025】培養された宿主の細胞内または細胞外に蓄
積された組換えプロテアーゼは、蛋白質を精製するため
の適当な方法で回収することができる。
【0026】本発明の方法により得られた組換えプロテ
アーゼは、魚醤製造時に添加することにより、発酵の短
期化が可能になる。また、本発明のDNAの配列を操作
し、耐塩構造に改変し、少量でも、酵素力価を保持しつ
つ、魚醤を短期に製造できる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。実施例で使用した材料および方法は次の通
りである。
【0028】トリプシノーゲンをコードするcDNAク
ローンの単離 トリプシンは、哺乳動物および魚類の両方において膵臓
組織で合成され、不活性前駆物質として分泌される。し
かしカタクチイワシは大部分の硬骨魚類と同様に、特定
された膵臓腺をもたず、胃の後に幽門垂(幽門盲嚢、p
yloriccaecum)と呼ばれる器官系をもつ
(図2)。後記のように、この器官からトリプシノーゲ
ンをコードするcDNAクローンが単離された。cDN
Aクローンの単離には、cDNA末端迅速増幅法(ra
pid amplification of cDNA
ends method、RACE)を用いた(3’
−RACEおよび5’−RACEの両方を採用)。クロ
ーニング方法全体を図3に模式的に示す。いずれのRA
CE法でも、反応の第1工程は逆転写酵素を用いてRN
Aを一本鎖cDNAに変換することを伴った。増幅反応
では、遺伝子内の既知配列に対するPCRプライマー
(センスプライマー)を設計し、第2プライマー(アン
チセンスプライマー)を“アンカー"部位として設計し
た(アンカープライマー)。アンカープライマーは、c
DNAの5’末端または3’末端に隣接する領域に対し
相補的な配列を保有していた。
【0029】 日本カタクチイワシ(Engraulis japon
ica)(体重15〜20g)の生体試料を三浦半島沖
の太平洋沿岸地域から採集した。捕獲後直ちに魚を脊髄
離断により殺した。必要な種々の器官を直ちに切り取
り、液体窒素中で凍結し、ドライアイス上で実験室へ運
び、使用時まで−80℃に保存した。骨格筋、心臓、
胃、幽門垂、肝臓および腸を含めた種々の組織を用い
て、全RNAを調製した。
【0030】全RNA抽出 カタクチイワシの種々の組織から、グアニジン−イソチ
オシアナートをベースとする試薬アイソゲン(Isog
en)(ニッポンジーン)を含有する溶液で全RNAを
抽出した。3〜5匹の魚から採取した1gの組織より、
約1mgの全RNAが得られた。島津UV−160分光
光度計を用いて260nmにおける吸収から、RNA濃
度を判定した。こうして採集したRNA試料を、後記の
第1鎖cDNA合成、ノーザンブロット法およびサザン
ブロット法に用いた。
【0031】トリプシノーゲンの3’末端増幅 トリプシノーゲンcDNAの3’末端を3’−RACE
法により増幅した。Ready−To−Go T−プラ
イムド(T−primed)第1鎖キット(ファルマシ
ア・バイオテク)を用いて、第1鎖cDNAを合成し
た。オリゴヌクレオチドプライマーは、種々の脊椎動物
種から得たトリプシノーゲンの保存アミノ酸配列に基づ
いて設計された(図3;表1)。プライマーの縮重を最
小限にするために、サケトリプシノーゲンのコドン使用
によりオリゴヌクレオチドプライマーの設計を案内し
た。プライマー4(RTG)は、キットに含まれている
NotI d(T)18プライマーのアダプター領域と同
じ配列をもっていた。PCR増幅は、DNAサーマルサ
イクラー(モデル2400;パーキン・エルマー、アプ
ライド・バイオシステムズ)を用いて、94℃で3分
間、次いで94℃で1分間の変性30サイクル、50℃
で1分間のアニーリング、そして72℃で2分間の延長
により行われた。72℃での最終延長工程を5分間延長
した。反応混合物の組成は下記のとおりであった:各1
00μlの反応混合物中、40pmolの正プライマー
および逆プライマー、約1μgの第1鎖cDNA(鋳型
として)、20nmolのdNTP混合物、10μlの
10×PCR緩衝液(100mmolトリス−HCl、
pH8.3、500mmol KCl、15mmol
MgCl2、0.01%w/vゼラチン)、ならびに1
単位のTaq DNAポリメラーゼ(Ex Taq;パ
ーキン・エルマー)。
【0032】トリプシノーゲンの5’末端増幅 Frohmanら(1988)記載のcDNA末端迅速
増幅法(RACE)により、5’−RACE系(ギブコ
BRL、米国ニューヨーク州、グランド・アイランド)
を用いて、トリプシノーゲンcDNAの5’末端を増幅
した。第1鎖DNAは、約1mgの全RNAから、20
0単位のRNAseH欠損モロニー(Molony)ネ
ズミ白血病ウイルス逆転写酵素(スーパースクリプト
(Superscript)II RT;ギブコBR
L)、および3’−RACEのヌクレオチド288〜3
05に対応する、カタクチイワシトリプシノーゲンに対
する遺伝子特異性プライマー(GSP1)(図3;表
1)を用いて、反応緩衝液(0.4mMの各dNTP、
50mM KCl、2.5mM MgCl2、20mM
トリス−HCl、pH8.4、10mMジチオトレイト
ール)中で合成された。ターミナルデオキシヌクレオチ
ドトランスフェラーゼ処理によりオリゴ−dCを第1鎖
cDNAの5’末端に付加した後、キットからのアブリ
ッジド(abridged)アンカープライマー(5’
−GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGI
IGGGIIGGGIIG−3’)、およびヌクレオチ
ド202〜221に対応する、カタクチイワシトリプシ
ノーゲンに対する他の遺伝子特異性プライマー(GSP
2)(図3;表1)を用いて、PCR混合物(0.2m
Mの各dNTP、50mM KCl、1.5mM Mg
Cl2、10mM トリス−HCl、pH8.3、1単
位のTaq DNAポリメラーゼ(AmpliTaqG
old;パーキン・エルマー))中でポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)を行った。次いでPCR生成物を、キッ
トからのアブリッジドユニバーサル増幅プライマー(A
UAP)(5’−GGCCACGCGTCGACTAG
TAC−3’)、および3’−RACE配列のヌクレオ
チド73〜93に対応する、カタクチイワシトリプシノ
ーゲンに対する第3の遺伝子特異性プライマー(GSP
3)(図3;表1)を用いて、再増幅した。PCR増幅
は、DNAサーマルサイクラー、モデル2400(パー
キン・エルマー、アプライド・バイオシステムズ)を用
いて、94℃で3分間、次いで94℃で30秒間の変性
30サイクル、60℃で1分間のアニーリング、そして
72℃で2分間の延長により行われた。72℃での最終
延長工程を5分間延長した。
【0033】DNAヌクレオチド配列決定 増幅したDNAフラグメントをゲル精製し(Heery
et al.,1990)、プラスミドベクターpT
7−Blue T(ノバゲン)中へ製造業者のプロトコ
ルに従い、大腸菌(Eschericia coli)
JM 109株を宿主細菌として用いてサブクローニン
グした。プラスミドをミニ−プレプ(mini−pre
p)アルカリ法の改変様式で単離して(Sambroo
k etal.,1989)、配列決定用プラスミド調
製物を得た。すべてのプラスミド構築体のヌクレオチド
配列決定にチェインターミネーター法(Sangere
t al.,1977)を用いた。DNAシークエンサ
ーモデル373S(パーキン・エルマー、アプライド・
バイオシステムズ)を用い、DNAをダイ−デオキシ
(Dye−Deoxy、商標)ターミネーターサイクル
配列決定用キットで標識した後、二本鎖DNAについて
配列決定を行った。
【0034】配列分析 適切なコンピュータープログラム付きのアプライド・バ
イオシステムズモデル6701インヘリット(INHE
RIT)配列分析システムを用いて、配列エントリーお
よび分析を行った。比較のために用いた配列は、スイス
プロット(SwissProt)またはジーンバンクの
データベースから入手できる。
【0035】ノーザンブロット分析 本質的にSambrook et al.(1989)
に従って、下記の操作を行った。ノーザンブロット分析
用試料をカタクチイワシの種々の組織から採集した。こ
れには骨格筋、心臓、胃、幽門垂、肝臓および腸が含ま
れる。約10μgの全RNAを50%ホルムアミド中、
65℃で15分間変性させ、2.2Mホルムアミドを含
有する20mMモップス(Mops)(pH7.0)
中、0.9%(w/v)アガロースゲル上での電気泳動
により分画した。電気泳動の後、分画試料を20×SS
C中のハイボンド(Hybond)N+ナイロン膜(ア
マシャム)へ、キャピラリーにより移した。移したRN
Aを80℃で真空中、1時間のベーキングにより膜に固
定した。次いで1mM EDTAおよび7%SDSを含
有する0.5M Na2HPO4(pH7.2)中、65
℃で1時間、RNAブロットを保有する膜をプレハイブ
リダイズした(Church and Gilger
t,1984)。プレハイブリダイゼーションに用いた
ものと同じであるが、後記に従って調製した[α−
32P]dCTPを含有する溶液中、65℃で20時間、
ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーシ
ョン後、膜を下記のもので順に洗浄した:0.1%SD
Sを含有する2×SSC(1×SSCは0.15M塩化
ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウムであ
る)、室温で20分間;0.1%SDSを含有する1×
SSC、65℃で30分間;0.1%SDSを含有する
0.1×SSC、65℃で10分間。洗浄後、X線フィ
ルム上、80℃で24時間、増強スクリーンを用いてオ
ートラジオグラフィー処理した。
【0036】カタクチイワシトリプシノーゲンアイソザ
イムI(aTry I;図7)の3’末端に対応する4
08bp DNAフラグメントをPCRにより増幅さ
せ、[α−32P]dCTPの存在下で、ランダムプライ
マーDNA標識キットVer.2(タカラ)を用い、F
einberg and Vogelstein(19
83)の方法に従ってランダムに標識した。得られた放
射性標識プローブを、ウルトラフリー−MC(Ultr
aFree−MC)遠心フィルター(ミリポア)により
精製した。
【0037】サザンブロット分析 カタクチイワシ骨格筋からAusubel et a
l.(1987)の方法によりゲノムDNAを調製し
た。カタクチイワシゲノムDNA(7μg)を制限酵素
Eco RIおよびHin dIIIで消化した。消化
物を0.8%アガロースゲル上での電気泳動によりサイ
ズ分画し、ナイロン膜(ハイボンドN+、アマシャム)
へ移した。ハイブリダイゼーション前に、膜を80℃で
真空中、1時間のベーキングにより膜に固定した。ノー
ザンブロット分析について記載したように、aTry
Iの3’末端に対応するDNAフラグメントを[α−32
P]dCTPの存在下でランダムに標識した。以後の操
作も前記と同様に、ただし下記の点を若干変更して実施
した。膜を42℃で14時間、下記を含有する溶液中で
プレハイブリダイズした:5×SSC(1×SSCは1
50mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム
である)、10%硫酸デキストラン、5×デンハート
(Denhardt)溶液(1×デンハート溶液は、
0.1%フィコール(Ficoll)400、0.1%
ポリビニルピロリドン、0.1%ウシ血清アルブミン、
BSA)、0.5%SDS、50%ホルムアミド、およ
び100mg/ml熱変性子ウシ胸腺DNA。プレハイ
ブリダイゼーションに用いたものと同じであるが、32
標識プローブを含有する溶液中、42℃で20時間、ハ
イブリダイゼーションを行った。0.1%SDSを含有
する1×SSC(150mM塩化ナトリウム、15mM
クエン酸ナトリウム)により65℃で30分間洗浄した
後、膜をX線フィルム上、80℃で48時間、増強スク
リーンを用いて露光した。三次元モデルの構築 カタクチイワシトリプシンIおよびIIの三次元モデル
をコンピュータープログラムProMod、すなわちス
イス−モデルが供給している知識ベース自動タンパク質
モデリングツールにより構築した(Peitsch,1
995;1996)。構築体の座標を、スイス−Pdb
ビューワー(Swiss−Pdb Viewer)およ
びRasMolにより観察および分析した。ブルックヘ
ブンタンパク質データバンクから得たサケトリプシン
(Pdbコード:1BZX)について実験的に決定した
構造座標を参照構造として用いた。この方法で形成され
るモデルの信頼性は、参照構造との配列同一性およびそ
の結晶学的解像値に依存する。50%配列同一性をもつ
タンパク質の共通コアは1Åの相対平均二乗偏差分の偏
差をもつことが観察されている(Chothia an
d Lesk,1986)。したがって、その結晶学的
解像度が高く(1.8Å)、かつカタクチイワシトリプ
シンとのコア配列同一性が95%を超えることから、サ
ケ構造体を選択した。ただしそれらの最終電子密度地図
が解釈できないためC末端部の最後の3残基が欠けてい
るので(Smalas et al.,1994)、そ
れらをウシトリプシン構造(Pdbコード;1AQ7)
にみられるもので置き換えた。この部分の構造座標をカ
タクチイワシの座標にそのままコピーした。結果 cDNAクローンの単離 数種の脊椎動物トリプシンのアミノ酸配列のアラインメ
ントにより保存度の良い構造ペプチドモチーフSLSG
YHFCGGを確認し、変性オリゴヌクレオチドプライ
マーを設計した(表1、図4)。aTryF1および
3’−RACEプライマー(RTG;表1、図3)を用
いるポリメラーゼ連鎖反応によるカタクチイワシ幽門垂
第1鎖cDNAの最初の増幅により、電気泳動後のアガ
ロースゲル上に現れるスメアを伴う約700bpの予想
フラグメントが生成した。したがって、このPCR生成
物を鋳型とし、RTGおよびaTryF2[aTryF
1のすぐ下流にあるネステッド(nested)プライ
マーとして設計された(図4)]を用いて、さらにPC
R増幅を行った。PCR生成物をアガロースゲル電気泳
動により分離し、単一の顕著なバンドを溶離し、pT7
−Blue−Tベクター(ノバゲン)中へクローニング
し、配列決定した。690bpのヌクレオチド配列が得
られ、これは600bpのコード領域のほか、推定ポリ
アデニル化シグナルAATAAAおよび終止コドンTA
Aを含む3’末端非コード領域を含有することが認めら
れた(図5)。この部分ヌクレオチド配列から演繹した
アミノ酸配列の探査により、他の既知の魚類トリプシノ
ーゲンとの相同性がきわめて高いことが明らかになっ
た。
【0038】完全ヌクレオチド配列を得るために、この
クローン化フラグメントの配列情報から求めた特異的プ
ライマー(GSP1、GSP2およびGSP3;表1、
図3)を用いて5’−RACEを行った。材料と方法の
章に記載したように第1鎖cDNAを合成した。プライ
マーAUAPおよびGSP2(表1、図3)を用いてP
CR増幅を行い、次いで内部プライマーGSP3を用い
て他のネステッドPCRを行った。増幅生成物を、ゲル
精製、サブクローニングおよび配列決定した。234b
pの配列が、推定ATG開始コドン、および3’−RA
CEで得たものとオーバーラップする94bpの領域を
含むことが認められた(図6)。5’−RACEクロー
ンと3’−RACEクローンのオーバーラップ領域には
差がなかったので、この配列はカタクチイワシトリプシ
ノーゲンの5’末端であると考えられた。これは単一P
CRおよび全長配列決定により、さらにはっきり確認さ
れた(aTry I;図7)。
【0039】可能性のあるカタクチイワシトリプシノー
ゲンのアイソザイムをコードする他のクローンを単離す
るために、aTry I配列の第1ヌクレオチドから他
のプライマーを設計し、3’−アンカープライマーと共
に第1鎖cDNAのPCR増幅に用いた(表1、図
3)。得られたPCR生成物を前記に従ってゲル精製お
よびサブクローニングした。次いで幾つかの組換えクロ
ーンをヌクレオチド配列決定して、カタクチイワシトリ
プシノーゲンの他のアイソザイムをコードする、より長
い挿入配列を含むクローンを確認した(aTry I
I;図8)。
【0040】
【表1】 表1.カタクチイワシトリプシノーゲンのPCR増幅に用いたプライマーのDN Aヌクレオチド配列 No. 表示 配列 ヌクレオチド位置 1. aTryF1 5'-TC(T/C)CTGAA(T/C)TCTGG(C/A)TACCA-3' 115-134 2. aTryF2 5'-GG(C/A)TACCACTTCTG(T/C)GG(T/A/G)GG-3' 127-146 3. RTG 5'-AACTGGAAGAATTCCGCGGC-3' 3'-末端 4. GSP1 5'-GCCCCAGCCAGCCACAAG-3' 288-305 5. GSP2 5'-GGCGGGCGTGCTCAGCTTGA-3' 202-221 6. GSP3 5'-CGCCCAAACGCACCTCAACA-3' 73-93 7. AUAP 5'-GGCCACGCGTCGACTAGTAC-3' 5'-末端8. aTryF3 5'-ATCGACAGGATCAATCAGC-3' 1-19 * 最初の2つのプライマーのヌクレオチド位置は南極圏
サケトリプシノーゲン配列のものを表し(Male e
t al.,1995)、プライマー4、5および6の
配列は本発明の3’−RACE配列に相当する(図5参
照)。プライマー3および7は、それぞれ3’および
5’−RACEキットに含まれるアンカープライマーの
アダプター領域と同じ配列をもっていた。プライマー8
は、本発明のaTry Iクローンの全長配列の第1ヌ
クレオチドから設計された(図7参照)。単離クローンのcDNA特性 2クローンaTry IおよびaTry IIは、真核
生物転写体の構造特徴をすべて含むと思われた。832
bpの挿入配列をもつaTry Iは、5’側および
3’側非翻訳領域によりフランキングされた、第1AT
G開始コドンからTAA終止コドンまで720bpのオ
ープンリーディングフレームを含む(図7)。他方、a
Try IIは、723bpのオープンリーディングフ
レームをもつ、より長い挿入配列(974bp;図8)
を含むことが認められた。これら2つの形のカタクチイ
ワシトリプシノーゲンcDNAは、図9に示すようにヌ
クレオチドレベルで約92%の配列同一性をもつ(5’
側および3’側非コード領域を除く)。5’側および3’側非コード領域 カタクチイワシトリプシノーゲンcDNAの両アイソザ
イムの5’−非コード領域は、ATG開始コドンに隣接
する23ヌクレオチドの長さであると思われる(図
9)。ATGからの位置−3のヌクレオチドはアデニン
である。これは、真核生物mRNAの大部分の基準開始
コドンがこの位置にプリンを含むというKozak(1
981,1986)の所見と一致する。Kozak(1
981,1986)はさらに、高い割合の機能性開始部
位が位置+4にもプリンをもつことを見出した。これは
カタクチイワシトリプシノーゲンについても当てはま
る。しかし提唱されたA/GCCATGGコンセンサス
配列によれば、それらはこの位置に最も好ましい塩基
(G)に従わない。このコンセンサス配列は、厳密には
非ATGイニシエーター(この用語は意図せずにWie
gand et al.,1993により用いられた)
について、または機能性イニシエーターの周りに余分な
ATGトリプレットが出現して40Sリボソームサブユ
ニットがそれらを識別する必要のある場合に、作動する
と思われる。図10cに提示する多数のトリプシノーゲ
ンヌクレオチド配列により証明されるように、基準開始
コドンについて位置+4にGがあるのは普遍的ではない
と思われる。
【0041】カタクチイワシトリプシノーゲンの5’側
非コード領域は、報告された他のすべての脊椎動物配列
のうち最長のヌクレオチドを含む(23bp;図10
c)。既知トリプシノーゲン遺伝子の大部分のcDNA
5’側非コード領域は、約12〜15ヌクレオチドの
長さである。カタクチイワシトリプシノーゲンIおよび
II遺伝子の正確な転写開始部位は決定されていない
が、ここに報告するcDNA配列は全長配列であろう。
真核生物mRNAの安定化と翻訳開始効率には短い5’
側非コードリーダー配列の存在が必須であろうと示唆さ
れている(Kozak,1981)。異種からのトリプ
シノーゲン5’−非コード領域間にはほとんど配列保存
がない(図10c)。したがって、この領域が翻訳の開
始機構の安定化のほかにトリプシノーゲン遺伝子の発現
または翻訳に何らかの調節の役割を果たしているとは思
われない(Wang et al.,1995)。
【0042】あらゆる生物源からの小さなリボソームサ
ブユニットのRNAは、それらの3’末端においては広
範なヌクレオチド配列類似性を示す(Knippenb
erg et al.,1984)。アニオン性および
カチオン性トリプシノーゲンは真核生物18Sリボソー
ムRNAのオーバーラップ領域に対し相補的な配列を含
むことが示された(Pinsky et al.,19
85)。カタクチイワシトリプシノーゲンの5’側非コ
ード領域は、真核生物18SリボソームRNAに相補的
な12ヌクレオチドを含む。これを図10bに、Pin
sky etal.(1985)が証明したイヌアニオ
ン性トリプシノーゲンの5’側非コード領域の潜在的ハ
イブリダイゼーションと共に示す。
【0043】カタクチイワシトリプシノーゲンのポリア
デニル化シグナルは、他のすべての真核生物遺伝子と同
様に比較的近接した位置にある2つの配列からなる。一
方は実質的に非変異性のAATAAA配列、他方は25
〜30bp下流にあるGTまたはTに富むセグメントで
ある(図7および8)。カタクチイワシトリプシノーゲ
ンのポリ(A)シグナルは、予想どおりポリ(A)トラ
ックの第1Aから14〜18bp上流にある。しかしカ
タクチイワシトリプシノーゲンIIの3’側非コード領
域についてのこれら2つの非コード領域の長さの顕著な
相異は、カタクチイワシトリプシノーゲンIのものより
138bp長いことである。これは、これまでに報告さ
れている他のすべてのトリプシノーゲンよりかなり長
い。コード領域 前記2種類のトリプシノーゲンの演繹アミノ酸配列を、
それらに対応するヌクレオチド配列と共に図7および8
に示す。カタクチイワシトリプシノーゲンIのヌクレオ
チド配列(aTry I;図7)は、第1メチオニンか
ら出発する240アミノ酸のプレ−プロタンパク質をコ
ードすると推定される。一方、カタクチイワシトリプシ
ノーゲンIIのヌクレオチド配列(aTry I;図
7)は、1残基長い(241アミノ酸残基)であると思
われる。すべての既知トリプシンと同様にカタクチイワ
シトリプシンも、N末端シグナルペプチドに続く短い
(6〜8アミノ酸残基)活性化ペプチドを含むプレ−プ
ロタンパク質(プレ−トリプシノーゲン)として合成さ
れる。トリプシノーゲン1とIIの遺伝子間のコード領
域cDNA配列類似性(シグナルペプチドおよび活性化
ペプチドを除く)は、約87%である。シグナルペプチド 図11に、2種類のカタクチイワシトリプシノーゲンア
イソザイムのシグナルペプチドを、数種の魚類および脊
椎動物の配列と比較して示す。一般にシグナルペプチド
は第1メチオニン付近に塩基性残基を含む、らせん破壊
性(helix−breaking)グリシンを末端と
する疎水性コアを含有する(Watson,198
4)。哺乳動物シグナルペプチドは、より疎水性の低い
アラニンで中断された、それぞれ長さ4および2残基の
2つのクラスターに分かれる。しかしカタクチイワシト
リプシノーゲンのシグナルペプチドは7つの連続した疎
水性残基をもつ。
【0044】カタクチイワシトリプシノーゲンのシグナ
ルペプチドは他の魚類種と同様に13アミノ酸残基から
なるが、高等脊椎動物トリプシノーゲンのシグナルペプ
チドは15または16アミノ酸の長さである(図1
1)。他のプレペプチドの開裂部位および活性化ペプチ
ドのアミノ末端配列の特性に基づいて、カタクチイワシ
トリプシノーゲンシグナルペプチドの開裂はAla(−
1)とPhe(1)の間で起きると推定される。活性化ペプチド トリプシノーゲンの典型的な活性化ペプチドは、アニオ
ン性アミノ酸残基のクラスターを含むオクタペプチドま
たはヘキサペプチドである。これらの残基はエンテロキ
ナーゼまたはトリプシン自身により認識され、これらが
活性化ペプチドの開裂によりこのチモーゲンを活性化す
る(Louvard et al.,1974)。図1
2に示すように、カタクチイワシトリプシノーゲンIお
よびIIの活性化ペプチドは同一のヘキサペプチドであ
り、タラの場合にみられるのと同様にオクタペプチド構
造体の可能性はない(Gudmundsdottir
et al.,1993)。他の魚類活性化ペプチドは
1塩基長い(図12)が、それらは同じ電荷クラスター
をもつ。それはアスパラギン酸残基で終わる3アミノ酸
残基からなり、ポリアニオンクラスターの前にアラニン
がある。哺乳動物トリプシノーゲンの活性化ペプチド
は、アニオンクラスターが通常は4つの連続した酸性ア
ミノ酸(通常はアスパラギン酸;図12)からなるとい
う点で、これまでに魚類から確認されたものとかなり異
なる。このプロペプチドのC末端に位置し、他のトリプ
シンについてプロ酵素の活性化のために開裂する部位で
あることが知られているリシンが、カタクチイワシの配
列中にも存在する。アミノ酸配列の比較 カタクチイワシトリプシンのアミノ酸配列を、対応する
他の数種の魚類および哺乳動物の配列とアラインさせた
(図13)。前記のように、カタクチイワシトリプシン
IはカタクチイワシトリプシンIIおよび比較した他の
魚類配列より1残基短い。しかしそれらを他のアミノ酸
配列とアラインさせるのに著しい数のギャップは必要な
い。このアラインメントから、この欠失はいわゆる自己
消化ループに位置する可能性があり(Genicot
et al.,1996)、これはウシトリプシンの自
己消化開裂について示されている(Bolognesi
and Gatti,1982;Schroder a
nd Shaw,1968)。一本鎖ウシトリプシン
(β−トリプシン)が残基145付近で開裂するとα−
トリプシンが生成し、これはトリプシン活性に影響しな
い(Gable and Kasche,1973)。
ただしα−トリプシンは一本鎖β−トリプシンより低い
熱安定性を示す。さらにα−トリプシンのLys−18
8においてトリプシン開裂するとプソイドトリプシンが
生成し、これがトリプシン基質に対し示す親和性はきわ
めて弱い(Smit and Shaw,1969)。
興味深いことに、カタクチイワシトリプシンIIはカタ
クチイワシトリプシンIと同じ2つの欠失を必要とする
が、前者の方が1残基長い。この欠失は、ラットトリプ
シンのこの領域にあるイントロン3のスプライスシグナ
ルにおけるシフトの結果であるらしい(図9;Crai
k et al.,1984)。このように、この場合
は挿入と欠失の頻度が他のいずれより高いと思われる。
カタクチイワシトリプシンの両アイソザイムとも、それ
らに対応するウシ、ラットおよびヒトのトリプシンと、
配列がほとんど等しい。カタクチイワシトリプシンIは
カレイトリプシンに対し84%の最高相同性を示し、一
方カタクチイワシトリプシンIIは南極圏魚類に対し8
5%の最高相同性を示す(表2)。これら2つのカタク
チイワシトリプシン間には30アミノ酸の相異がある
が、後記のようにすべての変化は成熟酵素の表面で起
き、構造の補償や著しい電荷プロフィルシフトはない。
触媒三つ組残基、His−57、Asp−102および
Ser−195は、すべての酵素に完全に保存されてい
る。S1基質結合ポケット(特異性ポケット)を形成す
るアミノ酸は、両カタクチイワシ配列とも典型的なトリ
プシン性のものであり、Asp189を底部とし、Gl
y−216およびGly−226がポケットの側面を内
張りする。活性部位Ser−195の周りにあるコンセ
ンサス反復GDSGGは、通常はセリンプロテアーゼに
特徴的であり(Krem et al.,1999)、
これもカタクチイワシトリプシンの両アイソザイムに良
く保存されている。基質結合ポケットを支える2つのル
ープ(Hedstrom etal.,1992)が残
基172に沿って示される。これはトリプシンの基質特
異性を決定するのに重要な残基であることが示されてい
る(Hedstromet al.,1994a;図1
3)。ウシトリプシンの基質結合ポケットを内張りし、
エステル加水分解の特異性に関与するとされる残基18
9〜192および214〜216(Hedstrom
et al.,1992)は、すべてカタクチイワシト
リプシン中に保存されている。ループ2のすぐ下流にあ
る残基225はほとんどすべてのセリンプロテアーゼ中
に高度に保存されているプロリンであり(Guinto
et al.,1999)、これもカタクチイワシ配
列中に存在する。数字はウシキモトリプシンのナンバリ
ングから適用した慣例を表す(Hartely and
Kauffman,1966)。12のシステイン残
基すべて(6つのジスルフィド橋を形成する)も保存さ
れている。
【0045】
【表2】 表2.カタクチイワシトリプシノーゲンの演繹アミノ酸配列と他の脊椎動物のも のとの相同性% 脊椎動物種* 片口鰯1 片口鰯 南極 カレイ サケ タラ ラット ウシ ヒト 1 2 圏魚 I 1 アニオン性 1 片口鰯1 87 83 84 82 76 66 64 60 片口鰯2 87 85 82 82 77 67 64 60 * 相同性比較に用いた配列の出所を図17の説明文中に挙げた。 カタクチイワシトリプシンのアミノ酸組成を、数種の他
の魚類および哺乳動物トリプシンと共に表3に示す。異
なる魚類トリプシンが類似のアミノ酸組成をもち、魚類
と哺乳動物群の間に有意差はない。しかしカタクチイワ
シトリプシンは他の魚類トリプシンと同様に、それらに
対応する哺乳動物トリプシンより高いメチオニン含量を
もつ。ここに提示する2種類のカタクチイワシトリプシ
ンのアミノ酸組成と、先に発表されたカタクチイワシの
アミノ酸配列(Heu et al.,1995)との
間に著しい相異があることを述べるべきである。この相
異、たとえば同じカタクチイワシIのアミノ酸につい
て、32残基のAsp、24残基のGlu、30残基の
Ser、および3残基のMet(Heu et a
l.,1995)(それぞれ12、9、22および6に
対応する(本発明))は、表3に提示した組成がヌクレ
オチド配列から演繹したものであるという事実だけでは
説明できない。特に注目すべき点は5システイン残基の
存在(Heu etal.,1995)であり、これは
大部分の脊椎動物において6つのジスルフィド橋に必要
な(Roach et al.,1997)12残基
(本発明)と全く対照的である。さらに、グルタミンお
よびアスパラギンの数を除く全アミノ酸残基は235と
報告された(Heu et al.,1995)。これ
は実験的に測定されたものまたはヌクレオチド配列から
演繹されたもののいずれであっても、これまでに報告さ
れたいかなるトリプシンよりはるかに多い(Roach
et al.,1997に概説)。
【0046】
【表3】表3.カタクチイワシおよび他の脊椎動物から
のトリプシンのアミノ酸組成。各種のヌクレオチド配列
から演繹したアミノ酸配列は、図17の説明文中に引用
したものから採用した。
【0047】 アミノ酸 片口鰯 タラ サケI ウシ ラット I II I X Ala 13 10 16 15 13 18 17 Arg 7 6 6 7 4 3 3 Asn 13 11 11 11 17 13 17 Asp 12 13 10 12 7 10 10 Cys 12 12 12 12 12 12 12 Gln 12 12 8 8 7 12 11 Glu 9 9 7 8 9 8 7 Gly 23 24 23 23 23 25 24 His 8 7 10 9 5 5 5 Ile 10 13 9 9 11 16 15 Leu 14 13 15 15 13 20 17 Lys 5 7 8 6 8 7 7 Met 6 8 6 6 6 1 2 Phe 4 4 2 3 4 3 4 Pro 9 10 7 7 10 9 13 Ser 22 24 24 24 26 20 19 Thr 9 7 10 10 12 9 7 Trp 4 4 4 4 4 5 5 Tyr 10 12 12 11 13 12 8 Val 19 16 22 22 18 16 20 ----------------------------------------------------------------------合計 221 222 222 222 222 224 223 組織発現とゲノムオーガニゼーション トリプシノーゲンmRNAの組織特異性発現をノーザン
ブロット法により調べた。材料と方法の章に記載したよ
うに、幽門垂、腸、胃、心臓、肝臓および骨格筋から採
集した全RNAをアガロースゲル電気泳動により分画
し、ナイロン膜にブロットし、aTry I cDNA
クローンに由来する408bpのDNAプローブにハイ
ブリダイズさせた。予想どおり、幽門垂、次いで腸から
強いハイブリダイゼーション信号が得られた(図1
4)。胃においてもスメア状の信号痕跡がみられた。脊
椎動物からは膵臓以外の組織にも低レベルのトリプシノ
ーゲン発現が報告されている。これにはたとえばニワト
リの肝臓、脾臓および胸腺(Wang et al.,
1995);ヒトの脳(Wiegand et a
l.,1993)、T細胞(Wang et al.,
1995)および精子(Ohmura et al.,
1999)が含まれる。ごく最近、トリプシノーゲンが
ヒトの胃その他の細胞系で発現することが見出された
(Miyata et al.,1999)。他の組織
におけるトリプシノーゲン遺伝子発現も、まだ分かって
いない何らかの生物学的役割を果たしている可能性があ
る(Wang etal.,1995)。これは最近の
研究が関心をもつ課題であるように思われる。スメアリ
ングパターンのハイブリダイゼーション信号は、プロー
ブの非特異的結合の人工産物または長期ハイブリダイゼ
ーションによる可能性がある。しかしサケトリプシノー
ゲンには、より強いスメアリングパターンがみられた
(Male et al.,1995)。
【0048】同じaTry Iプローブを用いたカタク
チイワシゲノムDNAのサザンブロット法で、複雑なパ
ターンのバンドがみられた(図15)。EcoRIおよ
びHind IIIで消化すると多形バンドがみられ、
これはカタクチイワシトリプシノーゲン遺伝子ファミリ
ーが本発明で単離されたクローン(aTry Iおよび
aTry II)のほかにさらにアイソザイムを含む可
能性を示す。これは、サケ(Male et al.,
1995)、カレイおよび他の多種の魚類(Dougl
as and Gallant,1998)にみられた
同じゲノムオーガニゼーションにより、さらに証明され
る。構造と進化 カタクチイワシトリプシンIの配列とカタクチイワシト
リプシンIIの配列は30アミノ酸の相違があるけれど
も、きわめて類似の荷電残基分布を示す。荷電残基は、
カタクチイワシトリプシンのC末端ドメインの方がかな
り負に荷電するように分布し、これはサケトリプシンに
ついての所見と一致する(Smalaset al.,
1994)。活性トリプシン全体にわたって合計した正
味累積電荷は、両カタクチイワシトリプシンとも−9で
ある。カタクチイワシイソ酵素の理論的等電点(pI)
は酸性(カタクチイワシトリプシンIについては5.2
0、カタクチイワシトリプシンIについては5.09)
であり、他種の魚類にみられたものと同様である(Ge
nicot et al.,1988;Cohen e
t al.,1981;Hjelmeland and
Raa,1982;Titani et al.,1
975)。2種類のカタクチイワシトリプシンの疎水性
プロットを図16に示す。比較のためラットトリプシン
(MacDonald et al.,1982)もプ
ロットする。カタクチイワシからの2種類のトリプシン
配列は、ラットのアニオン性トリプシンのものときわめ
て類似の疎水性残基分布を示す。Kyte and D
oolittle(1982)が提唱したヒドロパシシ
ティースケールを用いて計算したラットおよびカタクチ
イワシトリプシンの大平均ヒドロパシシティー指数(g
rand average hydropathici
ty index)は、それぞれ−0.216および−
0.241であると推定された。電荷プロフィル、等電
点および疎水性に基づく結論として、両カタクチイワシ
トリプシンともアニオン性トリプシンであると思われ
る。
【0049】カタクチイワシトリプシンの進化分岐を解
明するために、調べたすべての配列の対合アラインメン
トに基づく進化系統樹(図17)を作成する。これは、
同一性の程度を反映し、進化に際し各酵素の分離が起き
た場合は必ずしもそうでない。系統樹作成には、外集団
としての細菌に由来するものと共に、成熟トリプシン
(すなわちN末端シグナルペプチドおよび活性化ペプチ
ドを除く)のみを採用する。カタクチイワシからのトリ
プシンの各アイソザイムは、哺乳動物トリプシンからほ
ぼ等しい距離にある。系統樹の枝分かれ(図17)は、
魚類と哺乳動物が共通の祖先(細菌)からの分岐である
ことを明らかに示す。
【0050】前記のように、カタクチイワシトリプシン
の配列を対応する哺乳動物配列とアラインさせるために
は2つの欠失が必要であり、これらの欠失はループ内で
起きる(図13)。これは、カタクチイワシトリプシン
の三次元構造が他のトリプシンと同じ立体配座を示すは
ずであるということを強く示唆する。カタクチイワシト
リプシンIおよびIIの三次元構造のコンピューター画
像を図18に示す。セリンプロテアーゼのすべての構造
特徴が、トリプシンの特異性を決定する重要な残基と共
に完全に保存されている。事実、両カタクチイワシトリ
プシンのポリペプチドの全体的フォールドは、ブルック
ヘブンタンパク質データバンクに寄託されている実験的
に決定された他のトリプシンのものにほぼ重ね合わせう
ることが認められた。
【0051】酵素−基質相互作用の詳細な研究に必要な
高精度の構造は実験によって初めて得られるが、理論的
なタンパク質モデリングによって重要な残基の空間配置
についての十分な本質的情報をもつ低解像度のモデルが
分子生物学者に提供されるであろう(Peitsh,1
996)。高い配列類似性は顕著な構造類似性に反映さ
れることは一般に認められている。事実、50%の残基
同一性をもつタンパク質コアの根平均二乗偏差(RMS
D)は約1Åであると予想される(Chothia a
nd Lesk,1984)。カタクチイワシトリプシ
ンのポリペプチド主鎖を、比較のためウシトリプシン
(Pdbコード:1AQ7)のものと共に図19に示
す。カタクチイワシトリプシンの大部分の置換は表面領
域または柔軟な領域で起き、そこでは残基は重要な残基
を従わせることなく自由に多様な立体配座をとる。対応
する哺乳動物トリプシンと比較して、より自由な空間を
サケトリプシン(Smalas et al.,199
4)および南極圏魚類トリプシン(Genicot e
t al.,1996)の内部に残すと推定される残基
(残基63、138、212)が、カタクチイワシトリ
プシン中で同じ立体配座にあることが見出された。カタ
クチイワシトリプシンとウシトリプシンの基質結合ポケ
ットが全体的に類似することは、それらと基質の相互作
用の類似性と一致する。しかし、カタクチイワシトリプ
シンおよび哺乳動物トリプシンの結合ポケットの分析に
より、ウシの場合はS1結合ポケットの入口にあるGl
n−192の方へ嵩高いTyr−151環が向いてお
り、カタクチイワシの場合はこれがセリンで置換されて
いるという重要な相異が明らかになった(図20)。し
たがって、カタクチイワシトリプシン残基192はより
いっそう自由度が大きい。さらに、残基151の次に哺
乳動物トリプシンではプロリンがあるが、カタクチイワ
シトリプシンではこれがグリシンで置換されている。こ
のような変化の結果、両カタクチイワシトリプシンにお
いては、いわゆる自己消化ループ(残基143〜15
4;図13および20)の配向が完全に異なる可能性が
ある。これは、サケトリプシンのポリペプチド鎖が残基
144より後でウシトリプシンのものと異なる方向をと
り、153から再び元に戻るというSmalas et
al.(1994)の所見と一致する。さらに、ウシ
トリプシンの自己消化ループの開裂部位(Lys−14
5)が対比した魚類トリプシンのいずれにも存在しない
(図13)というのは、特筆する価値がある。明らか
に、多数のセリンプロテアーゼが構造的にCa++イオン
を結合することが認められており(Kretsinge
r,1976)、その役割は熱分解やタンパク質分解に
対する安定性を付与することである(Read and
James,1988)。Ca++結合部位を形成する
残基(残基69〜80)の保存は十分でなく、このカチ
オンの要求は魚類トリプシンにはウシトリプシンについ
て報告された(Walsh,1970)ほど重要ではな
いと思われる。考察 cDNAフラグメントを選択的に増幅させるためのポリ
メラーゼ連鎖反応に変性オリゴヌクレオチドプライマー
を用い、次いでカタクチイワシ幽門垂から得たトリプシ
ノーゲンの2種類のアイソザイムをコードする全長クロ
ーンを単離した。2クローン(aTry IおよびaT
ry II;図9)のコード領域のヌクレオチド配列は
約92%の配列類似性をもつが、コードされたタンパク
質の配列相同性は87%であると思われる。これは、a
Try II(またはaTryI)が選択的な進化抑圧
を受け、このためヌクレオチドが非対称的に変異したこ
とを示す。あるいはそれは、遺伝子が複製された後、2
種類のアイソザイムのコア残基を保持する協奏進化が起
きたためという可能性がある。協奏進化は広範な生物の
多重遺伝子ファミリーの特徴であり、コード領域間の配
列類似度が高く、隣接する非コード領域は配列多様性で
あるという明瞭な境界があることを特色とする(Wan
g et al.,1999)。しかし、極性や側鎖の
大きさを保持することにより、大部分のアミノ酸置換の
性質は保存的である。魚類および哺乳動物ともに、数種
類のトリプシンアイソザイムが記載されている(Asg
eirsson et al.,1989;Fletc
her et al.,1987;Craik et
al.,1987;Murakami and Nod
a,1981)。タラ(Asgeirsson et
al.,1989)およびサケ(Male et a
l.,1995)において証明されているように、トリ
プシンの各アイソザイムは異なる反応速度特性をもつ可
能性がある。アイソザイムの存在は、それらが異なる機
能をもつ可能性も示す。しかし、確実な証拠はないが、
Rouch et al.(1997)は、下記のよう
に提唱した:アイソザイムの発生は、消化に対する予告
が短い場合の大量のトリプシン要求に応答して高い遺伝
子量を求める、選択的抑圧によるものであろう。次いで
この選択的抑圧が除かれると、その遺伝子のコピーに不
活性産物を生じる変異が“サイレント遺伝子"プール中
に保存されるであろう。この変動性の高い“サイレント
遺伝子"プールから、サイレント期に蓄積された中立変
異と共に起きる変異によって機能性酵素が再生される可
能性がある。その場合の基質特異性はその祖先のものと
類似し、類似の特異性をもつが配列の異なるアイソザイ
ムが生成するのであろう(Hartley,197
9)。aTry IとaTry II間の3’−非コー
ド領域の長さの相異はきわめて印象的であり、これはa
Try IIの転写後修飾に何らかの安定化効果をも
ち、その結果aTry Iと比較してより良く翻訳され
るのであろう。非交差反応性のアイソザイム特異性プロ
ーブを用いるノーザンブロット分析で、これに関して何
らかの情報が得られるかもしれない。
【0052】両カタクチイワシトリプシンのシグナルペ
プチドおよび活性化ペプチドは、他種の魚類のものと著
しい配列類似性をもつ。しかしそれらは対応する哺乳動
物ペプチドに対しては相同性がより低い。ただし重要な
特徴は良く保存されている。シグナル配列が初期の構造
と異なってもなお、翻訳時経路および翻訳後経路の両方
において同じ受容体により認識されることが示されてい
る(Rapoportet al.,1999)。セリ
ンプロテアーゼのサイズ、アミノ酸組成および活性化ペ
プチド配列は、広範に変化する可能性がある。活性化ペ
プチドはカタクチイワシやタラのトリプシンにみられる
ように6アミノ酸という短いこともあり(Gudmun
dsdottir et al.,1993)、一方、
他の場合はプロトロンビン(320残基;Pennic
a et al.,1985)またはプラスミノーゲン
(560残基;Castellino,1979)の場
合のように酵素自体のサイズより大きいこともある。2
種類のカタクチイワシトリプシンは、セリンプロテアー
ゼ全般、特にトリプシンに特徴的なコア残基のほか、R
ypniewski et al.,(1994)が各
種生物からの31のトリプシン配列を調べることによ
り、進化を通じて高度に保存されたものとしてまとめ
た、他のすべての残基を含む。
【0053】図13に他の脊椎動物のものとアラインし
たカタクチイワシ配列を詳細に調べると、注目すべき特
徴が明らかになる。一貫してすべての魚類酵素が、高等
脊椎動物において自己消化ループを形成することが知ら
れている領域に欠失をもつ。これは、魚類トリプシンと
哺乳動物トリプシンの間でみられる触媒活性の相異に何
らかの因果関係をもつ可能性がある。興味深いことに、
カタクチイワシはこの領域にさらに1つの欠失をもつ。
より興味深いと思われるが、カタクチイワシトリプシン
Iより1残基長いカタクチイワシトリプシンIIが同数
の欠失をもつ。この欠失はこれまでに報告されている他
の魚類トリプシンと比較してカタクチイワシに独特であ
る。このことは、その触媒上の意味を解明するためにさ
らに研究するのが重要であることを明らかに示す。魚類
トリプシンの自己消化ループの構造柔軟性と関連する潜
在開裂部位(Lys−150)がないのは、Ca++結合
部位に関与するアミノ酸残基(残基69〜80)の多様
化と平行する。このループはトリプシン分子の残りの部
分とはほとんど接触せず、これがその見掛けの可塑性に
関与すると思われる。内部にあるアミノ酸残基が生物学
的活性の決定に明らかに最も重要なペプチド鎖の組立て
に影響を与えずに変化できるのは、狭い範囲内において
のみであるのは明瞭である(Hartley,197
9)。これに関して、比較した他のすべての配列におい
て完全に保存されている幾つかがカタクチイワシトリプ
シンIでは置換されている点を指摘すべきである(残基
30、78、103、139;図13および図18)。
残基30、103および139は活性酵素の内部にある
のが認められているので(Smalas et a
l.,1994;Genicot et al.,19
96)、これらの置換はこの酵素の基質特異性に影響を
与える可能性がある。
【0054】両カタクチイワシトリプシンの三次元構造
は、他の既知のトリプシン構造すべてとほぼ重ね合わせ
ることができる。観察された構造上の相異の大部分は、
一次構造の相異により説明できる。異なるアミノ酸側鎖
は異なる主鎖立体配座を許容または要求する。これは、
最も顕著な相異がみられるループ領域について、特に明
らかである。ただしこれらの構造上の相異は、活性部位
から離れている限り必ずしも機能に影響を与えない(C
hothia and Gerstein,199
7)。哺乳動物と比較して低温適応酵素の触媒活性にみ
られる相異は、ジスルフィド橋の個数、平均疎水度、お
よび水素結合の個数と強度による可能性が最も高い。こ
れらの因子について以下に考察する。
【0055】両カタクチイワシトリプシンとも、他のト
リプシンと同じ残基位置に12のハーフ−シスチニル残
基が存在する(図13)。ハーフ−シスチニル残基の対
合は実験により測定されてはいないが、三次元モデル
(図18)から、対合はCys−42とCys−58;
Cys−22とCys−157;Cys−82とCys
−168;Cys−191とCys−220;Cys−
136とCys−201;Cys−127とCys−2
32の間で起きると思われる。不思議なことにヒトトリ
プシンはすべて127:232橋を欠如し、かつヒトト
リプシンIIは136:201橋も欠如している(Ro
ach et al.,1997)。これは、これら6
つの橋すべてが必須というわけではないが、多くが酵素
活性に影響を与える可能性があることを示唆する(Ry
pniewski et al.,1994)。C末端
らせんは、球体タンパク質の本体に沿った“アーム"で
あって、N末端β−胴部と相互作用するとみることがで
きる。残基245がアスパラギンである場合、カチオン
残基87および107はC末端らせんのカルボニル基と
イオン対を形成しうると提唱された(Smalas e
t al.,1994)。サケトリプシンとウシトリプ
シンの比較結晶学的研究で、ウシトリプシンのAsn−
245の側鎖はフォールドバックしてC末端らせんの主
鎖と水素結合を形成し、一方、サケの残基245はこの
機能を失っていることが証明された(Smalas e
t al.,1994)。サケの場合はAsn−245
がチロシンで置換され、これはフォールドバックしてイ
オン対を形成することができない。しかし、両カタクチ
イワシトリプシンともAsn−245を含有し、残基8
7および107とイオン対を形成し、これによりらせん
を安定化することができる。すべてがこの位置にチロシ
ンを含む他の魚類トリプシンについて、同じことを推定
できる。
【0056】グリシン残基は鎖の柔軟度を高めることが
知られており、タンパク質のグリシン含量の相異がすべ
ての動的挙動全般における相異の理由の1つの可能性が
ある。しかし、魚類と脊椎動物のグリシン含量はほとん
ど同じであるので(表3)、これが重要な因子であると
は思われない。ただしそうであれば、ポリペプチド鎖の
剛性を高めることが知られているプロリン残基について
も、これに相当する反論を行うことができる。カタクチ
イワシのプロリン数はウシの場合よりわずかに高い。従
って、これら2残基の相反する作用がカタクチイワシト
リプシンの全体的鎖柔軟度を打ち消し合うであろう。事
実、Smalas et al.(1994)は、グリ
シンがサケトリプシンの鎖の柔軟度の相異を高める傾向
を見出してはいない。特筆すべきことに、カタクチイワ
シを含めたすべての魚類のトリプシンが哺乳動物酵素よ
り高いメチオニン含量をもつ(表3)。これが極限状態
でみられる熱感受性および不安定さに関与するのかもし
れない。
【0057】前記のように、カタクチイワシトリプシン
とそれに対応する哺乳動物トリプシンの間のアミノ酸残
基の変化は、ループ領域およびフォールドしたタンパク
質の外面に起きることが見出された。しかし、詳細な実
験で、大部分の非保存的置換はカタクチイワシトリプシ
ンの疎水性を高める(カタクチイワシにおける、Xから
Arg、LysおよびAspへの置換)か、またはその
疎水性を低下させる(カタクチイワシにおける、Le
u、Phe、ValおよびIleからXへの置換)こと
が明らかになった。哺乳動物と比較してカタクチイワシ
酵素の疎水性が全般的に低下しているのも、南極圏魚類
(Genicot et al.,1996)およびサ
ケ(Smalas et al.,1994)の場合に
提唱されたように、熱感受性や柔軟性に関与している可
能性がある。
【0058】カタクチイワシトリプシンの荷電残基分布
も、哺乳動物酵素の場合と異なる。カタクチイワシトリ
プシンの酸性残基数が特に活性部位入口で増加している
のは、重要であると思われる。したがって、両カタクチ
イワシトリプシンとも他の魚類トリプシンと同様に、基
質の正に荷電したアルギニンおよびリシン側鎖を結合ク
レフト(cleft)内へ配置および案内するのに、よ
り効果的であると予想できる。これは、最近解明された
トリプシンの基質特異性を決定する2つの重要な基質ル
ープ(ループ1および2;図13および21)(Hed
strom et al.,1992)により、さらに
支持されるであろう。それらは結合した基質と直接に接
触しないが、酵素の触媒活性および特異性に著しい影響
を及ぼす(Krem et al.,1999)。残基
185〜189を含むループ1はすべての種に保存され
ているが、ループ2はアミノ酸配列にかなりの多様性を
示す。興味深いことに、対応する哺乳動物トリプシンと
著しく対照的に、1つの魚類トリプシン以外のすべてが
このループにアスパラギン酸およびグルタミン酸残基を
含む(図21)。最近の実験で、S1結合ポケットの底
部に負の静電界が存在すると、相互作用の幾何学性が最
適なものとはほど遠い場合ですら、トリプシンの加水分
解速度を高めるのに十分であることが認められた(Br
iand et al.,1999)。さらに、ループ
2は一次特異性ポケットを埋め込む水チャンネルの大部
分を定め、一方、AspおよびGlu残基は水分子と相
互作用する傾向をより強く示すことが知られている(T
hanki et al.,1988;Wolfend
en et al.,1979)。したがって、ループ
2にこれら2つの残基が存在することは、カタクチイワ
シおよび他の低温適応トリプシンの触媒特性が増強した
ことにより説明できるであろう。 まとめと結論 各種魚類からのトリプシンは、酵素のkcat増大または
基質のkm低下の両方に関して、それらに対応する哺乳
動物トリプシンより実質的に高い触媒効率を示す。この
プロセスの第1工程として、カタクチイワシトリプシン
の一次構造を調べる研究を開始した。これは、この相異
の分子的基礎に貢献すると思われる。そのほか、カタク
チイワシトリプシンの場合にタンパク質モデリングによ
り得られる構造データは、さらにカタクチイワシトリプ
シン独特の特性を支配している法則を理解する上で実験
上の貢献をもたらす。
【0059】cDNA末端迅速増幅(RACE)法
(3’−RACEおよび5’−RACEの両方を含む)
に基づくポリメラーゼ連鎖反応を用いて、カタクチイワ
シの幽門垂からトリプシノーゲン(トリプシンの不活性
前駆物質)をコードするcDNAクローンを単離した。
高度に保存された数種類の脊椎動物トリプシンのアミノ
酸配列に由来する変性オリゴヌクレオチドプライマーを
用いてcDNAフラグメントの逐次増幅のためのPCR
を行い、次いで全長クローンaTry Iを単離した。
その後の実験で、他のクローン、すなわちより長い挿入
配列を含むaTryIIを単離した。
【0060】ヌクレオチド配列分析により、これら2ク
ローンは類似の(おそらく非対立遺伝子)プレトリプシ
ノーゲンをコードすることが明らかになった。832b
pの挿入配列をもつaTry Iは、720bpのオー
プンリーディングフレーム、および14bpの推定ポリ
(A)テイル、ならびに短い(23bp)5’側非コー
ド領域および75bpの3’側非コード領域を含む。こ
れに対しクローンaTry IIは、等しい5’側非コ
ード領域および228bpというかなり長い3’側非コ
ード領域でフランキングされた723bpのオープンリ
ーディングフレームをもつ、より長い挿入配列(974
bp)を含むと思われる。このような3’側非コード領
域の不確定さにもかかわらず、それらはコード領域にお
いては約92%の配列同一性をもつ。
【0061】Kozak(1981)が報告した配列の
偏りと一致して、両クローンとも推定ATGコドンに対
しそれぞれ−3および+4のヌクレオチド位置に、アデ
ニンおよびプリンを含むことが見出された。終止コドン
で中断されていない単一アミノ酸コードフレームは、a
Try Iについては240アミノ酸、aTry II
については241アミノ酸のプレトリプシノーゲンを指
令する。2種類のカタクチイワシトリプシノーゲンそれ
ぞれのアミノ酸配列は、13残基の疎水性シグナルペプ
チドおよび6残基の活性化ペプチドを含有し、すべての
分泌タンパク質にみられる典型的な特徴を保存してい
る。したがって、カタクチイワシトリプシンIは長さ2
21残基、計算分子量23,938であると思われ、一
方、カタクチイワシトリプシンIIは長さ222残基、
計算分子量24,219である。明らかにカタクチイワ
シトリプシンIでは、比較した他のすべての配列中に完
全に保存されている幾つかが置換されている(残基3
0、78、103、139;図13)。残基30、10
3および139は活性酵素の内部にあるのが認められて
いるので(Smalas et al.,1994;G
enicot et al.,1996)、これらの置
換はこの酵素の基質特異性に影響を与える可能性があ
る。カタクチイワシトリプシンIIのアミノ酸配列は8
7%がカタクチイワシトリプシンIのものと相同であ
る。これは、ヌクレオチドレベルではそれらの92%が
相同であるのと対照的である。これは、それらがカタク
チイワシゲノム中の異なる遺伝子座によりコードされて
いる可能性を示唆する。これは、aTry I cDN
Aの一部に相当するプローブを用いるカタクチイワシゲ
ノムのサザンブロット分析により、さらに証明される。
複雑なパターンのハイブリダイゼーションバンドがみら
れた。同じプローブを用いるノーザンブロット分析で
は、予想どおりカタクチイワシの幽門垂、次いで腸およ
び胃において最大の発現を示すことが明らかになった。
非膵臓組織中にトリプシノーゲン転写体が存在すること
の生物学的意味を明らかにするには、さらに研究する必
要がある。
【0062】電荷プロフィル、疎水性および等電点pH
に基づけば、これら2種類のカタクチイワシトリプシン
はアニオン性であると考えられる。数種の魚類および脊
椎動物からのアミノ酸配列との多重アラインメントで
は、広範な配列類似性が示される。カタクチイワシトリ
プシンIは、カレイの配列に84%の最高相同性、ヒト
トリプシンに60%の相同性を示す。カタクチイワシト
リプシンIIについても、同じ相同性パターンがみられ
る。アミノ酸配列を他のトリプシンとアラインさせるに
は、2つの欠失が必要である。他の魚類トリプシンにみ
られるように、この欠失は自己消化ループとして知られ
る領域に起きている。両カタクチイワシトリプシンと
も、基質特異性を決定する残基、および一次構造中の他
のトリプシンの場合と同じ位置に6つのジスルフィド橋
を形成する12システイン残基と共に、触媒三つ組残基
を含む。さらに、基質結合ポケットを定める重要な残
基、2つの支持ループも保存されている。これらの所見
は、カタクチイワシトリプシンの三次元構造がそれらに
対応する他の構造に類似することを示唆する。
【0063】この目的で、実験的に決定されたサケおよ
びウシのトリプシンの構造座標をデータバンクから入手
し、カタクチイワシトリプシンのコンピューター支援タ
ンパク質モデリングに用いた。両カタクチイワシトリプ
シンの主鎖構造は、他のトリプシン構造にほぼ重ね合わ
せることができる。大部分の相異は柔軟な領域、たとえ
ば自己消化ループおよび表面ループ2内にみられる。こ
れらの領域は分子の残りの部分、特に酵素の活性部分と
はほとんど接触しない。対応する哺乳動物トリプシンと
比較してカタクチイワシその他の魚類のトリプシンの触
媒活性を高めると思われる構造上の意義を見出すため
に、これらの領域の相異を調べた。潜在自己消化部位L
ys−145が存在しないこと;基質結合ポケット入口
のGln−192がより自由であること;Asn−24
5とC末端らせんのイオン対相互作用の可能性につい
て、詳細に考察する。これらは魚類トリプシンの構造可
塑性を理解する助けとなるであろう。特に注目すべきこ
とは、S1基質結合ポケットの縁を定めるカタクチイワ
シトリプシンループ2領域に2つの酸性残基が存在する
ことである。これは、両カタクチイワシトリプシンが他
の魚類トリプシンと同様に、基質の正に荷電したアルギ
ニンおよびリシン側鎖を基質結合ポケット内へ配置およ
び案内するのに、より有効であることを示唆する。
【0064】細菌のように単純であっても、ヒトのよう
に複雑であっても、生物系の特性は一部はその主要遺伝
子材料DNAにより支配される。おそらくこの蓄積され
た知識の重要な成果の1つは、あるものを同じ機能特性
を共有する他のものと比較しうることであろう。この比
較から仮説的に洞察すると、一連の基礎研究が導かれる
であろう。これは、酵素の構造−機能関係の研究につい
て特に言える。この論文に提示した研究は、その初期段
階にある。これら2種類のカタクチイワシトリプシンの
触媒活性、基質特異性その他の特性を推定することは、
クローン化したDNAを適切なベクター内で発現させ、
精製した酵素を解明することにより証明できるであろ
う。部位指向型変異は、ここに記載する構造特性を確実
に解明すると思われる。さらに、トリプシンとの広範な
構造類似性を示すもうひとつの重要なセリンプロテアー
ゼであるキモトリプシンを含めて、本発明を拡張すべき
である。
【0065】
【発明の効果】イワシ内臓から、トリプシン様蛋白質分
解酵素の遺伝子が単離され、配列が決定された。これら
の酵素遺伝子を、例えば、酵母に組み込み、大量に酵素
を調製し、それら酵素を魚醤製造時に添加することによ
り、発酵の短期化が期待できる。また、本発明の新規遺
伝子の配列をさらに操作し、耐塩構造に改変し、少量で
も酵素力価を保持しつつ、魚醤製造を短期間に行うため
に使用することが期待できる。
【0066】
【配列表】 <110> 日本たばこ産業株式会社 <120> 新規DNA配列 <130> 000452 <160> 10 <210> SEQ ID NO:1 <211> 832 <212> DNA <213> Engraulis japonica <220> <223> protease <400> 1 atcgacagga tcaatcagca atc atg agg cct ctg gtc ttc ctt gtt ctc ctt 53 Met Arg Pro Leu Val Phe Leu Val Leu Leu 1 5 10 gga gct gct ttc gca gag gac gat aag atc gtc gga gga tat gag tgt 101 Gly Ala Ala Phe Ala Glu Asp Asp Lys Ile Val Gly Gly Tyr Glu Cys 15 20 25 cag gcc cac tct cag ccc cat acg gtc tct ctg aac tcc ggc tac cac 149 Gln Ala His Ser Gln Pro His Thr Val Ser Leu Asn Ser Gly Tyr His 30 35 40 ttc tgc ggt ggt tcc ctg gtc aac gag aac tgg gtt gtg tct gct gct 197 Phe Cys Gly Gly Ser Leu Val Asn Glu Asn Trp Val Val Ser Ala Ala 45 50 55 cac tgc tac aag tcc cgt gtt gag gtg cgt ttg ggc gag cac cac att 245 His Cys Tyr Lys Ser Arg Val Glu Val Arg Leu Gly Glu His His Ile 60 65 70 gga cag aac gag aat acc gag cag ttc atc gac tcc tcc cgc gtc atc 293 Gly Gln Asn Glu Asn Thr Glu Gln Phe Ile Asp Ser Ser Arg Val Ile 75 80 85 90 cgt cac ccc cag tac agc tcc tac aac atc gac aat gac gtc atg ctg 341 Arg His Pro Gln Tyr Ser Ser Tyr Asn Ile Asp Asn Asp Val Met Leu 95 100 105 atc aag ctg agc acg ccc gcc acc ctg aac cag tat gtg cag ccc gtg 389 Ile Lys Leu Ser Thr Pro Ala Thr Leu Asn Gln Tyr Val Gln Pro Val 110 115 120 gcc ctg ccc tcc aga tgt gct tcc gct ggc acc atg tgc ctt gtg gct 437 Ala Leu Pro Ser Arg Cys Ala Ser Ala Gly Thr Met Cys Leu Val Ala 125 130 135 ggc tgg ggc aac acc atg agc aat gtc agt ggt gac aag ctt cag tgc 485 Gly Trp Gly Asn Thr Met Ser Asn Val Ser Gly Asp Lys Leu Gln Cys 140 145 150 ctg caa atc ccc atc ctg tct gac cgc gac tgt gac aac tcc tac ccc 533 Leu Gln Ile Pro Ile Leu Ser Asp Arg Asp Cys Asp Asn Ser Tyr Pro 155 160 165 170 ggc atg atc acc gac gcc atg ttc tgc gct gga tac ctg gag gga ggc 581 Gly Met Ile Thr Asp Ala Met Phe Cys Ala Gly Tyr Leu Glu Gly Gly 175 180 185 aag gac tct tgc cag ggt gac tct ggt ggc ccc gtg gtc tgc aac ggt 629 Lys Asp Ser Cys Gln Gly Asp Ser Gly Gly Pro Val Val Cys Asn Gly 190 195 200 gag ctg cag ggt gtt gtg tcc tgg gga tac ggc tgt gct gag cgt gac 677 Glu Leu Gln Gly Val Val Ser Trp Gly Tyr Gly Cys Ala Glu Arg Asp 205 210 215 cat cct ggt gtc tac gcc aag gtc tgc atc ttc act gac tgg ctg cag 725 His Pro Gly Val Tyr Ala Lys Val Cys Ile Phe Thr Asp Trp Leu Gln 220 225 230 agc acc atg gcc agc aac taaatcagat gacaccgtct ctgagttagg 773 Ser Thr Met Ala Ser Asn 235 240 atgtgatgat ccttagatca aaataaatgg atttaaaatg gcagcaaaaa aaaaaaaaa 832 <210> SEQ ID NO:2 <211> 974 <212> DNA <213> Engraulis japonica <220> <223> protease <400> 2 atcgacagga tcaatcagca atc atg agg tct ctg gtc ttc ctt gta ctc ctt 53 Met Arg Ser Leu Val Phe Leu Val Leu Leu 1 5 10 gga gct gct ttc gca gag gac gat aag atc gtc gga ggc tat gag tgc 101 Gly Ala Ala Phe Ala Glu Asp Asp Lys Ile Val Gly Gly Tyr Glu Cys 15 20 25 cag ccc tac tct cag ccc cat cag gtc tct ctg aac tcc ggc tac cac 149 Gln Pro Tyr Ser Gln Pro His Gln Val Ser Leu Asn Ser Gly Tyr His 30 35 40 ttc tgc ggt ggt tcc ctg atc agc gac tcc tgg gtt gtg tct gct gct 197 Phe Cys Gly Gly Ser Leu Ile Ser Asp Ser Trp Val Val Ser Ala Ala 45 50 55 cac tgc tac aag tcc cgt gtt gag gtc cgt atg ggc gaa cat cac att 245 His Cys Tyr Lys Ser Arg Val Glu Val Arg Met Gly Glu His His Ile 60 65 70 gga atg acc gag ggt aat gag cag ttc atc gac tcc tcc cgc gtc atc 293 Gly Met Thr Glu Gly Asn Glu Gln Phe Ile Asp Ser Ser Arg Val Ile 75 80 85 90 cgc cac ccc cag tac gac tcc tac aac atc gac aat gac atc atg ctg 341 Arg His Pro Gln Tyr Asp Ser Tyr Asn Ile Asp Asn Asp Ile Met Leu 95 100 105 atc aag ctg agc aag ccc gcc acc ctg aac cag tat gtg cag acc gtg 389 Ile Lys Leu Ser Lys Pro Ala Thr Leu Asn Gln Tyr Val Gln Thr Val 110 115 120 gcc ctg ccc tcc agc tgt gct ccc gct ggc acc atg tgc ctt gtg tcc 437 Ala Leu Pro Ser Ser Cys Ala Pro Ala Gly Thr Met Cys Leu Val Ser 125 130 135 ggc tgg ggc aac acc atg agc aat gtc agt ggt gac aag ctt cag tgc 485 Gly Trp Gly Asn Thr Met Ser Asn Val Ser Gly Asp Lys Leu Gln Cys 140 145 150 ctg cag atc ccc atc ctg tct gac cgc gac tgt aag aac tcc tac ccc 533 Leu Gln Ile Pro Ile Leu Ser Asp Arg Asp Cys Lys Asn Ser Tyr Pro 155 160 165 170 ggc atg atc acc gaa tcc atg ttc tgc gct gga tac ctg gag ggt ggc 581 Gly Met Ile Thr Glu Ser Met Phe Cys Ala Gly Tyr Leu Glu Gly Gly 175 180 185 aag gac tct tgc cag ggt gac tct ggt ggc ccc gtg gtc tgc aac ggt 629 Lys Asp Ser Cys Gln Gly Asp Ser Gly Gly Pro Val Val Cys Asn Gly 190 195 200 gag ctg cag ggt att gtg tcc tgg gga tac ggc tgt gct gag cgt gac 677 Glu Leu Gln Gly Ile Val Ser Trp Gly Tyr Gly Cys Ala Glu Arg Asp 205 210 215 cat cct ggt gtc tac gcc aag gtc tgc ctc ttc aat gac tgg atc gac 725 His Pro Gly Val Tyr Ala Lys Val Cys Leu Phe Asn Asp Trp Ile Asp 220 225 230 agt acc atg gcc cag tac aac taagcctgtt cacctagaac attttgtgca 776 Ser Thr Met Ala Gln Tyr Asn 235 240 gttaaacaat aacttgcggt tgtacgaaga tggtgtaata tttgctattc tttgtatttt 836 gtttgtgttt tttttccatc cagcaataca ttcaatgcaa ttcaactgtt caaactgtac 896 tagcctgcct ctttcttggg ccatcatgtt agtatccaca ataaaaaacc ttcataatga 956 aaaaaaaaaa aaaaaaaa 974 <210> SEQ ID NO:3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer aTryF1 <400> 3 tcyctgaayt ctggmtacca 20 <210> SEQ ID NO:4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer aTryF2 <400> 4 ggmtaccact tctgyggdgg 20 <210> SEQ ID NO:5 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer RTG <400> 5 aactggaaga attccgcggc 20 <210> SEQ ID NO:6 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer GSP1 <400> 6 gccccagcca gccacaag 18 <210> SEQ ID NO:7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer GSP2 <400> 7 ggcgggcgtg ctcagcttga 20 <210> SEQ ID NO:8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer GSP3 <400> 8 cgcccaaacg cacctcaaca 20 <210> SEQ ID NO:9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer AUAP <400> 9 ggccacgcgt cgactagtac 20 <210> SEQ ID NO:10 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer aTryF3 <400> 10 atcgacagga tcaatcagc 19
【図面の簡単な説明】
【図1】 酵素へのペプチド基質の結合に関するSch
ecter andBerger(1968)命名法を
示す模式図(a)。プロテアーゼをぼかし部分として表
す。P1....P’は6つのアミノ酸、S1....
S’は酵素上の対応するサブ部位である。図の下側は3
種類の代表的セリンプロテアーゼのS1ポケットのオー
ガニゼーションを表す(b)。
【図2】 幽門垂の相対位置を示したカタクチイワシの
内臓器官の模式図。この器官から採集した全RNAを、
第1鎖cDNA構築、次いでトリプシノーゲンの2つの
アイソザイムをコードするcDNAクローンの単離に用
いた。
【図3】 カタクチイワシトリプシノーゲンの2つのア
イソザイム(aTry I、aTry II)をコード
するcDNAクローンの単離のための配列決定方法。水
平長方形はオープンリーディングフレームであり、それ
らの濃いぼかし部分および淡いぼかし部分はそれぞれシ
グナルペプチドおよび活性化ペプチドを表す。これらの
長方形から伸びた太線は、非コード領域を表し、各クロ
ーンの3’末端にポリA(n)を示す。プライマーの方
向と模式的位置を示す。
【図4】 各種脊椎動物からのトリプシノーゲンの保存
アミノ酸配列に基づく、3’−RACEのためのネステ
ッドプライマー。プライマーの縮重を最小限にするため
に、サケトリプシノーゲンのコドン利用によりこれらの
オリゴヌクレオチドプライマーの設計を案内した(表1
に示す)。数字はサケ配列中の数字に対応する。参考と
して図17参照。 S:シグナルペプチド;A:活性化ペプチド。
【図5】 PCRにより増幅した3’−RACE生成物
の電気泳動パターン(a)およびヌクレオチド配列
(b)。プライマーaTryF2の位置を指示する。推
定終止コドン(TAA)およびポリアデニル化シグナル
(AATAAA)を太字で示し、ポリ(A)テイルに下
線を施した。
【図6】 5’−RACE生成物の電気泳動パターン
(a)およびヌクレオチド配列(b)。3’側オーバー
ラップ領域を太字で示す。推定開始コドンを四角で囲
み、プライマーGSP 3に対応するヌクレオチド配列
に下線を施し、下側に指示した。
【図7】 カタクチイワシトリプシノーゲンIをコード
するcDNAクローン(aTry I)のDNAヌクレ
オチド配列および演繹アミノ酸配列。右端の各列のロー
マ数字およびイタリック数字は、それぞれcDNAの
5’末端からのDNAヌクレオチド、および第1メチオ
ニンからのアミノ酸を指示する。開始コドン(ATG)
および終止コドン(TAA)を太字で示す。推定ポリア
デニル化シグナルAATAAAおよびポリ(A)テイル
に下線を施した。アミノ酸配列中の中空の四角およびぼ
かしを施した四角は、それぞれトリプシノーゲンのシグ
ナルペプチドおよび活性化ペプチドを指示する。
【図8】 カタクチイワシトリプシノーゲンIIをコー
ドするcDNAクローン(aTry II)のDNAヌ
クレオチド配列および演繹アミノ酸配列。右端の各列の
ローマ数字およびイタリック数字は、それぞれcDNA
の5’末端からのDNAヌクレオチド、および第1メチ
オニンからのアミノ酸を指示する。開始コドン(AT
G)および終止コドン(TAA)を太字で示す。推定ポ
リアデニル化シグナルAATAAAおよびポリ(A)テ
イルに下線を施した。アミノ酸配列中の中空の四角およ
びぼかしを施した四角は、それぞれトリプシノーゲンの
シグナルペプチドおよび活性化ペプチドを指示する。
【図9】 カタクチイワシからのトリプシノーゲンのヌ
クレオチド配列(aTry I、aTryII;本発
明)とラットからのもの(rTry1;MacDona
ld et al.,1982)との比較。aTry
Iに関する同一および欠失ヌクレオチドを、それぞれ点
およびダッシュで示す。ATG開始コドンおよびTAA
終止コドンを四角で囲んだ。推定ポリアデニル化シグナ
ルに下線を施し、太字で強調した。ラットトリプシンの
エキソン/イントロン境界を配列の下側に指示した。
【図10】 (a)イヌアニオン性トリプシノーゲンm
RNA(Pinsky et al.,1985)およ
び(b)カタクチイワシトリプシノーゲンmRNAの
5’末端非コード領域の、真核生物18SリボソームR
NAの3’末端(Van Knippebberg e
t al.,1984)に対する潜在ハイブリダイゼー
ション部位;ならびに(c)カタクチイワシトリプシノ
ーゲンの5’末端非コード領域と図17に示した他の脊
椎動物のものとの相同性。アラインメントを最大にする
ために、ギャップを導入した。潜在塩基対合(a,b)
を点でマークした。第1コドン(c)を太字で示す。
【図11】 カタクチイワシトリプシノーゲンシグナル
ペプチドと他種の魚類および脊椎動物のものとの比較。
疎水性コア残基を四角で囲んだ。小胞体ルーメン内にあ
る、シグナルペプチドのタンパク質分解性開裂について
推定される残基を太字で示す。これらの配列の出所を図
17の説明文中に挙げた。
【図12】 カタクチイワシトリプシノーゲンの活性化
ペプチドと他種の魚類および脊椎動物のものとの比較。
アラインメントを最大にするために、ギャップを導入し
た。特徴的なアニオン残基クラスターを濃い背景に太字
で示し、淡いハッチング部分は活性化ペプチドのタンパ
ク質開裂のための残基を強調したものである。これらの
配列の出所を図17の説明文中に挙げた。
【図13】 カタクチイワシトリプシンの演繹アミノ酸
配列と他の脊椎動物のものとの比較。アミノ酸を、標準
的なキモトリプシンのナンバリング方式(Hartle
y and Faufmann,1966)でナンバリ
ングした。これらの配列はジーンバンクまたはスイスプ
ロットのデータベースから入手された(参考文献につい
ては図17参照)。同一残基を点で示し、アラインメン
トを最大にするためにギャップを導入した。2つの表面
ループ(残基185〜189、ループ1;221〜22
5、ループ2)に網掛けし、下側に指示した。自己消化
ループ形成残基(残基143〜154;Genicot
et al.,1996)に淡いぼかしを施し、S1
結合ポケット形成残基を四角で囲み、下側に指示した。
【図14】 カタクチイワシの種々の組織におけるトリ
プシノーゲンをコードするmRNAのノーザンブロット
分析。幽門垂(列1)、腸(列2)、肝臓(列3)、胃
(列4)、心臓(列5)、骨格筋(列6)から採集した
約10μgの全RNAを、0.9%アガロースゲル上で
電気泳動した。次いでRNAをナイロン膜にブロット
し、カカクチイワシトリプシノーゲンI cDNA(a
TryI;図7)の3’末端由来の408bp DNA
プローブとハイブリダイズさせた。平行した臭化エチジ
ウム染色ゲルは、28Sおよび18S rRNAを示
す。
【図15】 骨格筋から抽出したカタクチイワシゲノム
DNAのサザンブロット分析。DNA試料をEcoRI
(列1)およびHin dIII(列2)で消化し、
0.8%アガロースゲル上で分画し、ナイロン膜にブロ
ットした。次いでこのブロットした膜を、ノーザンブロ
ット分析に用いたものと同じプローブとハイブリダイズ
させた。EcoT14I消化したλ−ファージDNAマ
ーカーの移動を左側に示す。
【図16】 カタクチイワシトリプシンおよびラットト
リプシン(MacDonald et al.,198
2)からのアミノ酸の疎水性プロット:Kyte an
d Doolittle(1982)が示した目盛によ
る。10残基ウインドーを用いてアミノ酸の電荷をプロ
ットした。成熟トリプシンのアミノ酸のみを含む。
【図17】 図13に示したアミノ酸アラインメントか
ら推測したトリプシンの進化系統樹。系統樹作成には、
外集団としての細菌に由来するものと共に、成熟トリプ
シン(すなわちN末端シグナルペプチドおよび活性化ペ
プチドを除く)のみを採用する。近縁種参入法(nei
ghbor−joining method)(Sai
to and Nei,1987)により作成した根無
し進化系統樹は、クラスタルW(Clustal W)
コンピュータープログラムにより提供された全アミノ酸
配列(ギャップを除く)の対合アラインメントに基づく
(Thompson et al.,1994)。この
系統樹はフィリップ(PHYLIP)パッケージからの
ドローツリー(DRAWTREE)プログラムに合わせ
て描かれた(Felsenstein,1993);距
離は相対分岐を示す。カタクチイワシトリプシンのアミ
ノ酸配列(カタクチイワシIおよびII)を、ジーンバ
ンクおよびスイスプロットのデータベースから入手した
ものと比較した:サケI(SalTRPI;Male
et al.,1995)、タラIおよびタラX(太平
洋タラトリプシンIおよびX;Gudmundsdot
tir et al.,1993)、カレイ(Para
lichthys olivaceus;寄託番号AB
029750)、南極圏(南極圏魚、Paranoto
thenia magellanica;Genico
t et al.,1996)、ラット1(MacDo
nald et al.,1982)、ウシアニオン
(ウシアニオン性;Le Huerou et a
l.,1990)、ウシカチオン(ウシカチオン性;W
alsh and Neurath,1964,Wal
sh,1970)、ヒト1(ヒト膵臓;Emi et
al.,1986)および細菌(Streptomyc
es fradiae;寄託番号D16687)。
【図18】 スイスモデルで作成し、スイスPdbビュ
ーワーで観察したカタクチイワシトリプシンIおよびト
リプシンIIの三次元構造(材料と方法、参照)。2つ
の表面ループ、および自己消化ループは示されている。
水素結合を点で示す。これらの図はコンピュータープロ
グラムRasMol ver2.6を用いて作成され
た。
【図19】 カタクチイワシトリプシンI(細線;左パ
ネル)およびウシトリプシンI(太線;右パネル)のC
αトレース。触媒性残基His−57、Asp−102
およびSer−195の側鎖をボールとスティック型モ
デルにより示す。S1ポケットの底部に位置するAsp
−189および他のトリプシン決定残基Tyr−172
の側鎖をワイヤ型モデルで表す。主鎖らせんと水素結合
を形成すると推定されるC末端Asn−245も示す。
【図20】 残基151がカタクチイワシトリプシン
(右パネル)およびウシトリプシン(左パネル)のS1
結合ポケット組立てに及ぼす影響。このモデルの構築に
は、S1結合ポケットを構成する残基および基質特異性
を決定する重要な残基のみを採用した。触媒性残基Hi
s−57、Asp−102およびSer−195を空間
充填型モデルにより示す。S1ポケットの底部に位置す
るAsp−189および他のトリプシン決定残基Tyr
−172の側鎖もマークした。両トリプシンの自己消化
ループ(黒色の太線)の相対配向を、ウシのTyr−1
51がS1ポケットのGln−192を指した状態で示
す。カタクチイワシの残基Gln−192はTyr15
1Ser置換のため、自由度がより大きい点に注目され
たい。
【図21】 カタクチイワシおよびウシのトリプシンに
おける表面ループ2(残基221〜225;図13参
照)、ならびにS1結合ポケットを内張りする残基のス
ティック型モデル。カタクチイワシトリプシンのループ
2のGlu−221およびAsp−223、ならびに対
応するウシトリプシンの残基を、ボールおよびスティッ
ク型モデルにより示す。触媒三つ組を構成する残基も指
示する。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1における20位から240位
    までのアミノ酸配列または配列番号2における20位か
    ら241位までのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列から
    なるプロテアーゼをコードするDNA。
  2. 【請求項2】 配列番号1における14ないし20位の
    何れかの位置から240位までのアミノ酸配列または配
    列番号2における14ないし20位の何れかの位置から
    241位までのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からな
    るプロテアーゼをコードするDNA。
  3. 【請求項3】 配列番号1における1ないし13位の何
    れかの位置から240位までのアミノ酸配列または配列
    番号2における1ないし13位の何れかの位置から24
    1位までのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなるプ
    ロテアーゼをコードするDNA。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のDNAがコードする
    アミノ酸配列において、一部のアミノ酸残基が置換、挿
    入または欠失しているアミノ酸配列からなるが、請求項
    1ないし3のDNAがコードするアミノ酸配列を有する
    プロテアーゼと実質的に同一の生物活性を有するプロテ
    アーゼをコードするDNA。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のDNAを組み込んだ
    発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5の発現ベクターにより、形質転
    換された宿主細胞をイワシ由来プロテアーゼまたはそれ
    と実質的に同一の生物活性を有するプロテアーゼを生産
    する条件下で培養し、該宿主により生産されたプロテア
    ーゼを回収することからなる、イワシ由来プロテアーゼ
    を製造する方法。
  7. 【請求項7】 請求項6の方法で生産され、魚由来の他
    の蛋白質を実質的に含まないプロテアーゼ。
  8. 【請求項8】 約8%〜24%の高塩濃度の水性溶液中
    に、ニシン目からなる群から選択される魚介類の一種以
    上を浸漬したものに、請求項7の方法で製造したプロテ
    アーゼを添加し、約1〜11ケ月間発酵させ該プロテア
    ーゼを添加しない場合に比べて不快臭の発生を抑制しつ
    つ短期間に魚醤を製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009521943A (ja) * 2006-01-04 2009-06-11 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 醤油の製造方法

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