JP2001265666A - メモリバックアップ式電子機器 - Google Patents

メモリバックアップ式電子機器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電源電圧の低下時に速やかに消費電流を抑制
し、蓄電手段の容量を増加させることなくメモリ値の消
失を防ぐ。 【解決手段】 供給されるクロック信号に従ってデータ
を処理すると共に、電源電圧の低下時に停電処理を行う
処理手段6と、データを記憶する記憶手段と、電源電圧
の低下時に前記記憶手段の動作のためのバックアップ用
電源として用いられる蓄電手段3と、電源電圧の低下を
検出する検出手段2とを備えたメモリバックアップ式電
子機器において、前記検出手段により電源電圧の低下が
検出された時に、消費電流を低減させるために、前記処
理手段に供給される前記クロック信号の周波数を低くす
る制御手段9を前記処理手段とは別回路として設けてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリ等による
メモリバックアップ機能を有する電子機器、例えば電子
式電力量計、トランスデューサ、データメモリ付計測機
器などの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来利用されている、バッテリによりメ
モリバックアップを行う電子式電力量計の基本構成を図
3に示す。101は電源回路、102は停電検出回路、
103はバッテリ、104は切換回路、105はA/D
変換器、106はメモリを内蔵するマイクロコンピュー
タ、107は表示部、108は水晶振動子である。電源
回路101には配電線交流電圧V0 が入力され、後段の
A/D変換器105及びマイクロコンピュータ106等
の動作に必要な直流電源電圧V1 を生成する。直流電源
電圧V1 は、切換回路104を経てA/D変換器105
及びマイクロコンピュータ106などに供給される。A
/D変換器105及びマイクロコンピュータ106に
は、水晶振動子108から動作を制御するためのクロッ
ク信号が入力されている。また、電力値を示すアナログ
信号はA/D変換器105に入力され、デジタル変換さ
れてマイクロコンピュータ106に送られる。マイクロ
コンピュータ106はこのデータを積算して電力量を算
出し、その結果を表示部107に送る。ここで、配電線
交流電圧V0 の低下により直流電源電圧V1 が所定値よ
り降下すると、切換回路104は回路電源を切り換え、
バッテリ103の電圧V b をA/D変換器105などに
供給する。
【0003】停電検出回路102は、欠落事故や計器取
り外しなどにより配電線交流電圧V 0 の降下が生じた場
合にそれを検出して、停電信号をマイクロコンピュータ
106に出力する。マイクロコンピュータ106が停電
信号を受信した場合の動作フローチャートを図4に示
す。マイクロコンピュータ106はステップ1で停電信
号を受信すると、ステップ2にてプログラムによりソフ
ト的に生成された誤動作防止用のノイズフィルタにより
ノイズ成分を除去し、ステップ3で停電信号がノイズに
よるものでないかどうかを判定する。ノイズによるもの
でないと判定されると、消費電流を抑制してバッテリ負
担を軽減するために、ステップ4でシステムクロック分
周を増加させてプログラム処理のためのシステムクロッ
クを低速に切り換える。さらに、ステップ5でA/D変
換器105へのクロック供給を停止してA/D変換器1
05の機能を停止させ、ステップ6で停電表示を行う。
次いで、ステップ7でその時点でのデータをメモリに保
存したうえで、ステップ8のスタンバイ状態へ移行す
る。停電による機能停止以後は、バッテリ103により
計量値、設定値及び調整値のデータメモリの電源が供給
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子式電力量計ではバ
ッテリ103にはリチウムイオン型バッテリが用いられ
ているが、これらのバッテリは長時間使用しておらず、
そのため内部抵抗が増加した状態で大きな電流を流すと
一定時間出力電圧が低下してしまう。このような出力電
圧の低下はメモリ値の消失につながる可能性がある。従
って停電時には、A/D変換器105およびマイクロコ
ンピュータ106への電源電圧の供給がバッテリ103
側に切り換わる前に、マイクロコンピュータ106によ
りシステムクロック分周が増加され、消費電流が抑制さ
れていることが望ましい。
【0005】通常、電源回路101には安定化電源が用
いられ、停電時にも0.2〜0.3秒といった一定時間
は電圧を維持するため、電源電圧の供給がバッテリ10
3側に切り換わるより停電検出回路102により停電が
検出される方が早い。ところが、図3のマイクロコンピ
ュータ106では、通常動作中は演算、データ転送、表
示など重要な処理を行っている。これらの処理は、停電
信号が停電検出回路102から入力された場合でもその
残処理は優先的に処理され、その後で図4に示されたデ
ータ退避などの停電処理動作が開始される。この優先処
理の残処理に必要な時間は場合によりばらつきがあり、
一定ではない。さらに、停電処理のうちシステムクロッ
ク分周増加の前段に行われるノイズチェックのフィルタ
処理は、マイクロコンピュータ106内ではプログラム
によりソフト的に行われるが、この場合信号の合致処理
などに時間を要し、ハード的に処理する場合に比べて時
間がかかる。このように、システムクロック分周を増加
させて消費電流を抑制するまでに、優先処理の残処理時
間とフィルタ処理に有する時間が必要となる訳である
が、この時間は一定ではなく比較的長時間を要する場合
もあるため、その間に電源電圧の供給がバッテリ103
側に切り換わってしまい、大きな電流が必要なためバッ
テリ103の出力電圧が低下してメモリ値の消失につな
がる場合があった。
【0006】このようなメモリ値消失を防ぐためには、
バッテリ103の容量を増加させる方法があるが、その
場合にはコスト増加の要因となる。
【0007】また、マイクロコンピュータの中には、そ
の原振周波数(マイクロコンピュータ内の回路動作用ク
ロックとして使用され、その回路動作の速度を決めるも
の)が接続された水晶振動子の発振周波数によって決定
されるものがあり、このようなマイクロコンピュータの
場合には、停電時に直ちにプログラム処理のためのシス
テムクロックの周波数を分周増加により低下させても、
消費電流を減少させるには限界がある。
【0008】(発明の目的)本発明の目的は、電源電圧
の低下時に速やかに消費電流を抑制し、蓄電手段の容量
を増加させることなくメモリ値の消失を防ぐことのでき
るメモリバックアップ式電子機器を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、供給されるクロック信号
に従ってデータを処理すると共に、電源電圧の低下時に
停電処理を行う処理手段と、データを記憶する記憶手段
と、電源電圧の低下時に前記記憶手段の動作のためのバ
ックアップ用電源として用いられる蓄電手段と、電源電
圧の低下を検出する検出手段とを備えたメモリバックア
ップ式電子機器において、前記検出手段により電源電圧
の低下が検出された時に、消費電流を低減させるため
に、前記処理手段に供給される前記クロック信号の周波
数を低くする制御手段を前記処理手段とは別回路として
設けたことを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載のメモリバックアップ式電子機器において、前記制御
手段を、電源電圧の低下時に、前記処理手段による前記
停電処理の終了後は、前記処理手段への前記クロック信
号の供給を停止するように構成することを特徴とするも
のである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるバッテリによりメモリバックアップを行う電子式電
力量計の基本構成を示す図である。電源回路1及び停電
検出回路2には配電線交流電圧V0 が入力される。電源
回路1からは直流電源電圧V1 が切換回路4に出力され
る。切換回路4は通常は電源回路1から入力される直流
電源電圧V1 をA/D変換器5及びマイクロコンピュー
タ6などに出力するが、配電線交流電圧V0 の低下によ
り直流電源電圧V1 が所定値(例えばV1 の70%)よ
り降下すると回路電源を切換え、バッテリ3の電圧Vb
を出力する。A/D変換器5には電力値を示すアナログ
信号が入力され、デジタル変換されてマイクロコンピュ
ータ6に送られる。マイクロコンピュータ6(メモリ内
蔵)はこのデータを積算して電力量を算出し、その結果
を表示部7に送る。制御回路9は、水晶振動子8からの
入力信号に基づいてクロック信号を生成し、それをA/
D変換器5及びマイクロコンピュータ6などに出力す
る。制御回路9からマイクロコンピュータ6に出力され
るクロック信号の周波数がマイクロコンピュータ6の原
振周波数となる。
【0012】図2は図1の電子式電力量計内部の制御回
路9の一例を示すブロック図である。例えば発振周波数
4MHzの水晶振動子8に接続している発振回路10
は、制御端子付発振用ロジックで構成されている。発振
回路10が発信する4MHzのクロック信号P0 は分周
回路11に入力され、1/2に分周された2MHzのク
ロック信号P1 がクロック制御スイッチS1 に、また1
/4に分周された1MHzのクロック信号P2 がクロッ
ク制御スイッチS2 に出力される。クロック制御スイッ
チS1 には、発振回路10側に4MHzのクロック信号
0 が、また分周回路11側に2MHzのクロック信号
1 が入力されており、マイクロコンピュータ6が高速
処理を必要としている場合にはマイクロコンピュータ6
から出力される高速クロック要求信号P3 によって接片
が発振回路10側に切り換わり、4MHzのクロック信
号P0 が出力される。高速処理を必要としていない場合
には、接片が分周回路11側に切り換わり、2MHzの
クロック信号P1 が出力される。クロック制御スイッチ
1 の出力信号は、さらにクロック制御スイッチS2
入力される。
【0013】図1の停電検出回路2が配電線交流電圧V
0 の電圧降下を検出して停電信号P 4 を出力すると、そ
の停電信号P4 は制御回路9内のフィルタ回路12に入
力される。フィルタ回路12では、停電信号に重畳する
ノイズ成分をカットして誤動作を防止した信号を出力す
るため、例えば、512Hzの低速クロック信号P
5(不図示の別の発振回路により生成される)で5回の
レベルのサンプリングを行い、5回ともに同じレベルが
検出された時のみ入力された停電信号が有効であるとし
て、ノイズチェック後の停電信号P6 を出力する。この
停電信号P6 は、クロック制御スイッチS2 及びS3
制御信号として出力されてこれらのスイッチを制御す
る。クロック制御スイッチS2 は、停電信号P6 が入力
されていない時には接片がクロック制御スイッチS1
に切り換わり、クロック制御スイッチS 1 の出力信号が
図1のマイクロコンピュータ6に出力される。即ち、停
電信号P 6 が入力されていない時は、マイクロコンピュ
ータ6から高速クロック要求が出されていれば4MHz
のクロック信号P0 が出力され、高速クロック要求が出
されていなければ2MHzのクロック信号P1 が出力さ
れる。一方、クロック制御スイッチS2 に停電信号P6
が入力されると接片が分周回路11側に切り換わり、分
周回路11からの1MHzのクロック信号P2 がマイク
ロコンピュータ6に出力される。即ち、停電を検出した
際にはマイクロコンピュータ6の動作を制御するクロッ
ク信号は1/4に分周されたクロック信号P2 に切り換
わることになる。また、フィルタ回路12から出力され
る停電信号P6 はクロック制御スイッチS3 も制御す
る。クロック制御スイッチS3 は、停電信号P6 が入力
されていなければ発振回路10から出力されたクロック
信号P0 を図1のA/D変換器5に出力するが、停電信
号P6 が入力されるとA/D変換器5へのクロック供給
を停止する。
【0014】停電が検出されてマイクロコンピュータ6
に入力するクロック信号の周波数が1MHzに低下する
と、マイクロコンピュータ6ではこの低周波のクロック
信号P2 に従って演算、データ転送、表示などの優先処
理の残処理を行う。この段階では低周波のクロック信号
2 によって動作を行うため、動作に必要な消費電流は
既に低減されている。優先処理が終了するとマイクロコ
ンピュータ6は停電表示を行ったうえで、その時点での
データをマイクロコンピュータ6に内蔵されるメモリに
保存し、スリープ信号P7 を制御回路9のアンドゲート
13経由でカウンタ14に出力する。カウンタ14はス
リープ信号P7 が入力されてから一定時間をカウント
し、カウントが終了すると水晶発振停止信号P8 を出力
する。この水晶発振停止信号P8 により、発振回路10
が動作を停止し、回路がスタンバイ状態に移行する。
【0015】このように、図1および図2に示した実施
形態では、電源電圧の低下時にクロック信号の分周を、
メイン処理を行うマイクロコンピュータ6とは別回路と
して設けられた制御回路9によりハード的に行ってお
り、電源電圧の低下を検出してからクロック信号の分周
を行って回路動作の消費電流を抑制するまでフィルタ回
路12のフィルタ処理時間(例えば10msで固定)し
か要しない。即ち、切換回路4により電源電圧の供給が
バッテリ3側に切り換わる前に確実に回路動作の消費電
流が抑制されるため、バッテリ3を大容量化しなくても
メモリ値の消失を防ぐことができる。制御回路9はわず
かなハード構成にて実現可能であり、A/D変換器5と
集積化が可能であるため、従来回路に比べてコストアッ
プになることはない。なお、集積化については、制御回
路9とマイクロコンピュータ6とを集積化してもよい
し、制御回路9とA/D変換器5とマイクロコンピュー
タ6とを集積化してもよい。
【0016】また、マイクロコンピュータ6に原振周波
数として与えられるクロック信号の周波数を低下させて
いるから、消費電流を効果的に抑制することができる。
【0017】なお、図1及び図2に示した実施形態は電
子式電力量計の場合を示したが、それ以外にも、電子回
路を用いて交流の電気量を直流の電圧又は電流に変換
し、計測データをメモリに記録するトランスデューサの
ように、バッテリ等によりメモリのバックアップを行う
電子機器であれば同様の効果が期待できる。回路中のマ
イクロコンピュータは、リアルタイムで処理する高速の
デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)でも良く、
さらに、メモリが内臓ではなく、外付けの場合でも同様
の効果が得られる。回路中のA/D変換器は、電圧/周
波数変換器や電流/周波数変換器の場合でも同様の効果
が得られる。また、バッテリの代わりに、電気二重層コ
ンデンサのような小型大容量のコンデンサを蓄電手段と
して用いることができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来マイクロコンピュータ等の処理手段のプログラム処
理によりソフト的に行っていた電源電圧低下時のクロッ
ク信号の周波数低下を、処理手段とは別回路として設け
られた制御手段により行うようにしたから、電源電圧が
低下した際にも迅速にクロック信号の周波数を低くして
消費電流を低減することが可能となり、低容量の蓄電手
段でもメモリ値の消失を防ぐことができ、低コスト化を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるメモリバックアッ
プ式電子式電力量計を示すブロック図である。
【図2】図1の実施形態の制御回路の一例を示すブロッ
ク図である。
【図3】従来のメモリバックアップ式電子式電力量計の
回路例を示すブロック図である。
【図4】図3の回路例の動作を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 電源回路 2 停電検出回路 3 バッテリ 4 切換回路 5 A/D変換器 6 マイクロコンピュータ 7 表示部 8 水晶振動子 9 制御回路 10 発振回路 11 分周回路 12 フィルタ回路 13 アンドゲート 14 カウンタ S1 ,S2 ,S3 クロック制御スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 直人 神奈川県横浜市港北区大豆戸町743 (72)発明者 藤原 年弘 東京都大田区池上1−29−10−102

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 供給されるクロック信号に従ってデータ
    を処理すると共に、電源電圧の低下時に停電処理を行う
    処理手段と、データを記憶する記憶手段と、電源電圧の
    低下時に前記記憶手段の動作のためのバックアップ用電
    源として用いられる蓄電手段と、電源電圧の低下を検出
    する検出手段とを備えたメモリバックアップ式電子機器
    において、前記検出手段により電源電圧の低下が検出さ
    れた時に、消費電流を低減させるために、前記処理手段
    に供給される前記クロック信号の周波数を低くする制御
    手段を前記処理手段とは別回路として設けたことを特徴
    とするメモリバックアップ式電子機器。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、電源電圧の低下時に、
    前記処理手段による前記停電処理の終了後は、前記処理
    手段への前記クロック信号の供給を停止することを特徴
    とする請求項1記載のメモリバックアップ式電子機器。
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