JP2001264253A - 非結晶鉄検出器及びこの検出器を備えた廃液浄化装置 - Google Patents

非結晶鉄検出器及びこの検出器を備えた廃液浄化装置

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JP2001264253A
JP2001264253A JP2000071413A JP2000071413A JP2001264253A JP 2001264253 A JP2001264253 A JP 2001264253A JP 2000071413 A JP2000071413 A JP 2000071413A JP 2000071413 A JP2000071413 A JP 2000071413A JP 2001264253 A JP2001264253 A JP 2001264253A
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filter
detector
amorphous iron
crystalline
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Manabu Sakurai
学 桜井
Kenji Fujihata
健二 藤畑
Hideji Seki
秀司 関
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非結晶鉄や遷移元素錯体を含む廃液が発生する
プラントにおける脱塩塔またはろ過器などの処理性能を
監視する。 【解決手段】検出器セル2上に光源ランプ5と遮光フィ
ルタ7を設け、遮光フィルタ7から発する波長357nm〜4
70nmの領域における単一波長の光を被測定水中に透過さ
せ、この透過光を受光する光電管8を光透過板10を介し
て検出器セル2の下端に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば発電プラント
の浄化装置から発生する廃液中の非結晶鉄や遷移元素錯
体を検出するための非結晶鉄検出器及びこの非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所または火力発電所に設置さ
れている発電プラントの浄化系処理装置にはろ過器及び
イオン交換樹脂による脱塩塔が設置されている。このイ
オン交換樹脂を充填した脱塩塔では、非結晶鉄を吸着
し、差圧が上昇することからスクラビングや水洗浄など
で非結晶鉄を除去している。非結晶鉄とは、結晶構造を
有しない鉄の酸化物であり、Fe(OH)2,Fe(O
H)3,FeOOHまたはポリマーの水酸化鉄を意味し
ている。
【0003】
【化1】
【0004】遷移元素は不完全なd殻を持つ金属イオン
であり、安定な錯化合物をつくり易い。これら錯化合物
を遷移元素錯体と言い、特に水が配位子となった錯体を
アクア錯体と言う。
【0005】配管材質の鉄がイオン化し、溶存酸素が低
い時(状態)に結晶鉄とならず、非結晶鉄になり易い。
一般に温水などの条件下では、溶存酸素濃度が低下し、
イオン化した鉄は結晶鉄とならず、非結晶鉄になり易
い。例えば原子力発電プラント内において、非結晶鉄は
復水器などから発生し、この復水を脱塩塔,ろ過器など
で浄化し、捕捉され、また廃液処理設備の濃縮器などに
多く存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、例えばイオン交
換樹脂を充填した脱塩塔において、イオン交換樹脂を再
生する際に発生する洗浄水中の非結晶鉄を測定する方法
は知られていない。そのため、イオン交換樹脂の洗浄段
階が判定できないので、多量の洗浄廃水が発生し、この
洗浄廃水を処理する廃棄物処理系の処理装置に負荷が加
わっている。
【0007】また、脱塩塔は火力発電所や原子力発電所
の浄化装置として設置されており、イオン成分の他に非
結晶鉄も吸着除去している。高純度に処理された純水は
再利用されている。しかしながら、前述したように非結
晶鉄を検出する検出器が知られていないため、イオン交
換樹脂の除去性能が判定できない。したがって、処理水
出口側に非結晶鉄の固形分が漏洩してくると、高純度の
純水として確保できない課題がある。
【0008】さらに、微小粒径分離能力の低いろ過器で
は、ろ過材の使用状態によって、粒径0.4μm以下の非
結晶鉄固形分が漏洩してくる。したがって、積層型のろ
過材を使用したろ過器ではろ過量が多くなるに従い、非
結晶鉄固形分の漏洩が多くなり、ろ過器での分離性能を
感知できない課題がある。
【0009】一般に、脱塩塔またはろ過装置等の浄化装
置の処理水は非結晶鉄などが主体であり、これらの処理
水を管理する場合、処理水を濁度計で、またはバッチ方
式による手分析で非結晶鉄固形分の漏洩を判定してい
る。濁度計には透過性濁度計と散乱光濁度計があるが、
いずれも波長600nm〜660nmで濁度を測定する。しかしな
がら、非結晶鉄固形分は600nm〜660nmでは検出し難く、
またバッチ方式による手分析では時間を要する課題があ
る。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、インラインで非結晶鉄を判定できる非結晶鉄
検出器を提供することにある。また、本発明は洗浄廃液
の非結晶鉄の固形分濃度を感知することによって、洗浄
廃水が浄化してきたか否かを判定してイオン交換樹脂の
洗浄終了を定め、洗浄終了時を知ることによって洗浄廃
水の発生量を抑え、廃棄物処理系の装置の負担を軽減で
きる非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化装置を提供するこ
とにある。
【0011】さらに、本発明は積層型ろ過器またはプリ
コート型ろ過器により非結晶鉄固形分濃度のない工業用
水を得るため、ろ過処理水の非結晶鉄固形分濃度を判定
することができる非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化装置
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、被測
定水が流通する検出器セルの一方に波長357nm〜470nmの
領域における単一波長の光源を設け、この光源から発す
る前記単一波長の光が前記被測定水中を透過する透過光
を受光する光センサを前記セルの他方に設けてなること
を特徴とする。
【0013】この発明では、波長357nm〜470nmの範囲に
おける特定波長の単一光で、透過率(−logT)を測定
することにより、非結晶鉄の固形分濃度を分析できる。
波長357nm〜470nmの領域範囲の限定理由は、非結晶鉄特
有の吸光度を領域で示したために特に選定したもので、
実際の非結晶鉄を含む廃液を測定し、濃度と吸光度の関
係を求めた。この結果から、470nmを超えると吸光度が
低くなり、定量感度が低下する。一方、波長357nm未満
の紫外線領域では光源となるランプが異なるため、波長
357nm未満を除いた。
【0014】請求項2の発明は、定電流回路に接続した
光源と、この光源の光照射側に配置した光フィルタと、
この光フィルタから出射する波長357nm〜470nmの領域だ
けの光を非結晶鉄を含む被測定水に透過させてその透過
光を吸光する光電センサと、この光電センサの微小電流
を増幅する整形増幅回路と、前記定電流回路に接続する
定電圧回路とを具備したことを特徴とする。
【0015】この発明では、廃液中におけるイオンと水
分子が配位しているアクア錯体を、配位子の電子軌道か
ら中心イオンの空軌道への電子遷移による電子移動吸収
帯の光吸収を利用して非結晶鉄検出器を構成し、この検
出器により水質の汚染状態を測定することができる。
【0016】すなわち、非結晶鉄固形分は遷移元素の特
長でイオンに水分子が配位しており、アクア錯体と見な
される。錯体は配位子の電子軌道から中心イオンの空軌
道への電子遷移による電子移動帯があり、この作用を用
いて非結晶鉄を定性できる。
【0017】請求項3の発明は、被処理水流出配管に注
入ポンプを取り付け、この注入ポンプの吐出側に濃度調
整機構を設け、この濃度調整機構に請求項1または2記
載の非結晶鉄検出器を取り付け、この非結晶鉄検出器の
被測定水流出側に非結晶鉄除去用ろ過器を接続し、この
非結晶鉄除去用ろ過器のろ過水出口側を前記濃度調整機
構に接続してなることを特徴とする。
【0018】請求項1または2記載の非結晶鉄検出器の
定量範囲を広げるためには、非結晶鉄濃度と吸光度がラ
ンバート・ベールの法則に従うことから、溶液を透過す
る距離を調整するか、または測定廃液や検水、つまり被
測定水の濃度を希釈する必要がある。濃度調整機構は非
結晶鉄濃度が高い場合など透過光が遮断された場合に被
測定廃水の濃度を希釈するための装置である。
【0019】請求項3の発明では非結晶鉄検出器の本体
(セル)を通過した被測定水の一部を非結晶鉄除去用ろ
過器でろ過し、そのろ過水を希釈水として使用し、注入
ポンプで自動的に本体(セル)入口に供給して希釈す
る。これによって、測定濃度範囲を拡大できる。
【0020】請求項4の発明は、前記非結晶鉄除去用ろ
過器はポアサイズ0.2μm以下の中空糸膜フィルタから
なることを特徴とする。請求項4の発明によれば、非結
晶鉄除去用ろ過器としてポアサイズ0.2μm以下の中空
糸膜フィルタを使用することにより、固形分を含まない
清澄な希釈をすることができる。
【0021】水中の非結晶鉄固形分は粒径0.1〜4.0μm
の範囲に分布している。しかし、0.2μm以下の非結晶
鉄固形分は非結晶鉄固形分全体の0.3%以下となるた
め、0.2μm以下の中空糸膜フィルタを使用すると99%
以上の鉄を除去できる。したがって、測定範囲は100倍
程度に広げることができる。
【0022】非結晶鉄除去用ろ過器における中空糸膜フ
ィルタのポアサイズを0.2μm以下に限定した理由は非
結晶鉄の存在が粒径0.2μmを超えており、希釈液とし
て純度化した溶液を作るために必要であることによる。
【0023】請求項5の発明は、火力発電プラントまた
は原子力発電プラントに設置されている脱塩塔またはろ
過装置の洗浄廃液排出ラインまたは処理水流出配管に前
記請求項1または2記載の非結晶鉄検出器を取り付けて
なることを特徴とする。
【0024】火力発電プラントまたは原子力発電プラン
トでは高純度の純水を必要とし、そのためろ過器及び脱
塩塔などを設置して浄化処理を行っている。非結晶鉄の
コロイドは正の電荷を持っており、イオン交換樹脂は負
の電荷があるために吸着能力を有しており、この特性を
生かして、イオン交換樹脂を非結晶鉄コロイドの除去装
置として利用する。この発明によれば、脱塩塔から脱塩
塔の非結晶鉄コロイド除去を監視できる。
【0025】また、火力発電プラントまたは原子力発電
プラントで使用したイオン交換樹脂は多くの非結晶鉄が
吸着して脱塩処理時に差圧が上昇するため、洗浄を行い
非結晶鉄を除去する必要がある。このとき、非結晶鉄濃
度が測定できないため、洗浄終了時を確認できず、多く
の洗浄廃水が発生している。この発明によれば、洗浄廃
水における非結晶鉄濃度を非結晶鉄検出器により検知で
きるため、イオン交換樹脂の洗浄状態が把握でき、洗浄
廃水を抑制することができる。
【0026】請求項6の発明は、前記ろ過装置はプリコ
ート型ろ過器または積層型ろ過器からなり、これらのろ
過器のろ過処理水流出側に請求項1または2記載の非結
晶鉄検出器を取り付けてなることを特徴とする。
【0027】プリコート型ろ過器または積層型ろ過器は
ろ過状態によって0.4μm以下の非結晶鉄が漏洩してく
る。しかし、請求項6の発明の構成によれば、非結晶鉄
検出器により非結晶鉄濃度をインラインで測定できるた
め、水質の管理が容易となり、ろ過器の寿命が判明し、
非結晶鉄固形分のない高純度の純水を得ることができ
る。
【0028】請求項7の発明は、ろ材を充填したろ過器
に第1の弁を介して原水流入ラインを接続し、前記ろ過
装置に接続した処理水側流出ラインに請求項1または2
記載の非結晶鉄検出器を取り付け、この非結晶鉄検出器
の下流側の流出ラインをろ過水タンクに接続し、前記ろ
過装置に使用済ろ材移送ラインを接続し、この使用済ろ
材移送ラインを第2の弁を介して使用済ろ材貯蔵タンク
に接続し、前記原水流入ラインから分岐してろ材圧送用
供給水ラインを接続し、この供給水ラインを第3の弁を
介して前記ろ過装置の処理水流出側に接続し、前記非結
晶鉄検出器からの検出信号に応じて前記第1から第3の
弁を開閉制御する手段を有することを特徴とする。
【0029】請求項7の発明によれば、ろ過器の処理水
側に非結晶鉄検出器を取り付け、漏洩してきた非結晶鉄
を感知し、許容濃度を超えた時点において第1の電磁弁
に信号を送って閉にし原水の供給を停止したり、また、
第2及び第3の電磁弁を開にして使用したろ材を使用済
ろ材貯蔵タンクへ廃液とともに移送することができる。
これによって、連続的にろ過処理操作を行うことができ
る。
【0030】請求項8の発明は、貯水槽内に請求項1ま
たは2記載の非結晶鉄検出器と貯水処理管を設け、前記
貯水処理管の下流側にポンプ,ろ過器及び脱塩塔を順次
接続し、前記非結晶鉄検出器の測定部からの起動信号に
よって前記ポンプを起動する手段を有することを特徴と
する。
【0031】請求項8の発明によれば、貯水槽に非結晶
鉄検出器を取り付けることにより貯水槽内の貯水水質を
検知し、水質が低下している場合に非結晶鉄検出器に接
続した計測部から起動信号をポンプに送り、ポンプを起
動させてろ過器と脱塩塔に貯水廃液を供給して浄化し、
循環させて貯水槽内の貯水を連続的に浄化できる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1から図3により本発明に係る
非結晶鉄検出器1の第1の実施の形態を説明する。図1
において、符号2は筒状検出器セルで、この検出器セル
2は下部側面に被測定水の流入口3が設けられ、上部側
面に被測定水の流出口4が設けられている。被測定水は
矢印で示したように流入口3から流入し、検出器セル2
内を上昇して流出口4から流出する。
【0033】検出器セル2の上方には光源ランプ5がラ
ンプ支持体6を介して設置され、このランプ支持体6の
下端面と検出器セル2の上端面との間に遮光フィルタ7
が液密に取り付けられている。検出器セル2の下方には
光電管8が光電管支持体9を介して設置され、光電管支
持体9の上端面と検出器セル2の下端面との間に液密に
光透過板10が液密に取り付けられている。
【0034】光透過板10の上方の検出器セル2内に加熱
ヒータ11が設けられている。加熱ヒータ11は検出器セル
2内に流入した被測定水を約40℃程度に加熱して検出器
セル2内の被測定水を上昇させ、置換させる。
【0035】光源ランプ5と光電管8はランプ支持体6
の上端部を挿通したリード線12,13により接続されてい
る。光電管用リード線13は遮光フィルタ7と光透過板10
との間で絶縁性リード線保護管14により包囲されてい
る。
【0036】ここで、検出器セル2は例えば長さ100mm
であり、材質はプラスチックである。光源ランプ5は高
圧水銀ランプ(312nm〜577nm範囲)、またはタングステ
ンランプ(可視領域の波長)を使用し、特定波長だけ透
過する色ガラスフィルタ(U−360:波長360〜380nm)
を組み合わせる。
【0037】そして、光源ランプ5と遮光フィルタ7で
波長357nm〜470nmの領域範囲における特定波長の単一光
を発生させる。光電管8側の測定用リード線13は測定部
(図示せず)に接続し、測定部は制御部(図示せず)に
接続している。
【0038】ろ過装置や脱塩塔から排出する廃液、つま
り被測定水は検出器セル2内に流入口3から注入され、
遮光フィルタ7で波長357nm〜470nm以外を遮断した単一
光で被測定水を透過させ、光電管8に吸光させ、光電管
8で吸光した起電力を測定部で判定する。
【0039】図2は検出器セル2内の被測定水を透過し
た吸光度スペクトルを示している。非結晶鉄濃度は357n
m〜470nmの範囲の波長で測定することによって図3に示
す非結晶鉄濃度と吸光度(−logT)の関係が得られ
る。
【0040】測定部においては検出器セル2内で透過し
た吸光度(−logT)を判定し、非結晶鉄濃度を求め、
例えばイオン交換樹脂から除去された非結晶鉄を判定す
ることができる。
【0041】つぎに図4により本発明に係る非結晶鉄検
出器1aの第2の実施の形態を説明する。図4中、図1
と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は
省略する。
【0042】本実施の形態は図4に示したように光源ラ
ンプ5を定電流回路15に接続し、光電管8を整形増幅回
路16に接続し、定電流回路15を定電圧回路17に接続した
ことにある。光電管8には光センサとしてのCdS光電素
子を使用する。遮光フィルタ7としては色ガラスフィル
タ,U−360を使用し、360nm付近のピークを透過するも
のである。
【0043】本実施の形態によれば、配位子の電子軌道
から中心イオンの空軌道への電子遷移による電子移動吸
収帯の光吸収を利用しており、被測定水中におけるイオ
ンと水分子が配位しているアクア錯体と非結晶鉄を定性
することができ、水質の汚染状態を測定することができ
る。
【0044】つぎに図5により本発明に係る非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置の第1の実施の形態を説明す
る。なお、図5中、図1と同一部分には同一符号を付し
て重複する部分の説明は省略する。
【0045】図5中、符号18は脱塩塔で、脱塩塔18内に
はイオン交換樹脂19が充填されている。脱塩塔18は上端
部に廃液流入管20が接続し、下端部に脱イオン水となっ
た処理水出口管21が接続している。処理水出口管21にサ
ンプリング管22が分岐接続しており、サンプリング管22
に注入ポンプ23が接続している。
【0046】注入ポンプ23の吐出側に濃度調整機構の混
合槽24が接続し、混合槽24の出口側は検出器セル2の流
入口に接続している。検出器セル2の出口側は流出管25
が接続しており、流出管25から分岐してろ過ポンプ26が
接続している。
【0047】ろ過ポンプ26の吐出側は中空糸膜フィルタ
27に接続し、中空糸膜フィルタ27のろ過水出口側には戻
り管28が接続している。戻り管28は逆止弁29が接続して
おり、逆止弁29の出口側戻り管28は混合槽24に接続して
いる。光電管8は測定部30に接続し、測定部30は制御部
31に接続している。
【0048】濃度調整機構の混合槽24は非結晶鉄濃度が
高い場合など透過光が遮断された場合に測定しようとす
る廃液を希釈するための装置である。中空糸膜フィルタ
27はポアサイズが0.2μm以下であり、これにより固形
分を含まない清澄な希釈水を得ることができる。
【0049】上記装置において、脱塩塔18は非結晶鉄を
イオン交換樹脂19で除去されるが、脱塩塔18で処理され
た処理水の一部はサンプリング管22から注入ポンプ23を
通り検出器セル2内に流入される。光源ランプ5及び遮
光フィルタ7で波長357nm〜470nm以外をカットした光で
処理水を透過させ光電管8で得た起電力を測定部30で判
定する。得られた信号は制御部31でさらに判定し、ポン
プ23,26を制御して検出器セル2に流入する処理水の希
釈操作を行う。
【0050】検出器セル2を通過した測定後の処理水
は、一部ろ過ポンプ26で中空糸膜フィルタ27に送られ、
非結晶鉄が除去されて純粋となる。この純水は戻り管28
から逆止弁29を流れ、混合槽24に流入し、注入ポンプ23
から注入された非結晶鉄の処理水を混合槽24で自動的に
希釈し、検出器セル2内に流入して測定される。本実施
の形態によれば、脱塩塔18の処理水の非結晶鉄濃度を感
知し、脱塩塔18の非結晶鉄の除去能力を管理することが
できる。
【0051】つぎに図6により本発明に係る非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置の第2の実施の形態を説明す
る。本実施の形態は原子力発電プラントまたは火力発電
プラントに設置されている脱塩塔18の洗浄廃液排出ライ
ン33に図1または図4で示した非結晶鉄検出器1または
1aを取り付け、樹脂再生用受けタンク34から流出する
洗浄廃液中の非結晶鉄コロイド除去を監視できるように
構成したことにある。なお、図6中、図5と同一部分に
は同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0052】図6中、符号35は輸送ライン、36は仕切弁
で、脱塩塔18と樹脂再生用受けタンク34との間を連結し
て設け、脱塩塔18内の脱塩後のイオン交換樹脂19を樹脂
再生用受けタンク34へ輸送する。樹脂再生用受けタンク
34の下部には洗浄水ライン37とスクラビング空気注入ラ
イン38が接続している。
【0053】本実施の形態によれば、樹脂再生用受けタ
ンク34内の再生イオン交換樹脂19aをスクラビングして
再生イオン交換樹脂から非結晶鉄を脱着し、洗浄水を洗
浄廃液排出ライン33から放出するが、どの程度除去でき
たかを、非結晶鉄検出器1または1aによりその目安を
判定することができる。また、洗浄水を多量に排出しな
いように管理することができる。
【0054】つぎに図7により本発明に係る非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置の第3の実施の形態を説明す
る。本実施の形態は原子力発電プラントまたは火力発電
プラントに設置されている脱塩塔18またはろ過器39の処
理水側ライン40に図1または図4に示した非結晶鉄検出
器1または1aを組み込んだことにある。なお、図7中
符号41はろ過器39のろ材を示している。
【0055】本実施の形態によれば、脱塩塔18またはろ
過器39の処理水側ラインに非結晶鉄検出器1または1a
を組み込むことにより、脱塩塔18またはろ過器39の処理
水を管理し、浄化設備の健全性と水の浄化度合を判定す
ることができる。
【0056】つぎに図8により本発明に係る非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置の第4の実施の形態を説明す
る。本実施の形態はプリコート型または積層型ろ過器42
の処理水側ライン40に図1または図4に示した非結晶鉄
検出器1または1aを取り付け、処理水側ライン40の下
流側をろ過水タンク43に接続する。ろ過器42内にはろ材
として砂44が充填されている。
【0057】ろ過器42の上端には原水流入ライン45と、
使用済砂貯蔵タンク46にろ過器42内で使用した使用済砂
を移送する使用済砂移送ライン47が接続している。原水
流入ライン45から分岐して、原水流入ライン45とろ過器
42の下部との間にろ過器42内で使用した砂44を使用済砂
貯蔵タンク46へ高圧水を供給して移送するためのろ材圧
送用高圧水供給ライン48が接続されている。
【0058】原水流入ライン45には止め弁としての第1
の電磁弁49が設けられ使用済砂移送ライン47には逆止弁
としての第2の電磁弁50が設けられ、ろ材圧送用高圧水
供給ライン48には圧送弁としての第3の電磁弁51が設け
られている。非結晶鉄検出器1または1aから第1の電
磁弁49に第1の信号ライン52が、第2の電磁弁50に第2
の信号ライン53が、第3の電磁弁51に第3の信号ライン
54がそれぞれ接続している。
【0059】本実施の形態によれば、プリコート型また
は積層型ろ過器42の処理水側ライン40から漏洩してきた
非結晶鉄を非結晶鉄検出器1または1aで感知し、許容
濃度を超えた時点において、第1の電磁弁49に信号を送
って第1の電磁弁49を閉にし、原水の供給を停止する。
そして、第2の電磁弁50と第3の電磁弁51を開にして使
用したろ材の砂44を使用済砂貯蔵タンク46へ原水を高圧
にして原水とともに移送することができ、処理水に非結
晶鉄が含まれず、高純度の純水が得られる。
【0060】つぎに図9により本発明に係る非結晶鉄検
出器を備えた廃液浄化装置の第5の実施の形態を説明す
る。本実施の形態は貯水槽55内の貯水56をろ過器39また
は42及び脱塩塔18によって純化することにある。すなわ
ち、オペレーションフロア57上に貯水移送管58に接続し
たポンプ59とろ過器39または42及び脱塩塔18を直列接続
して設置する。
【0061】また、オペレーションフロア57上に測定部
30を設置して、この測定部30から滑車60を通るワイヤ61
を介して貯水槽55内に非結晶鉄検出器1または1aを吊
り下げる。測定部30とポンプ59は信号ケーブル62により
接続している。脱塩塔18の処理水出口管21の下流側は貯
水槽55内に通じ、純化された処理水を貯水槽55へ戻すよ
うになっている。
【0062】本実施の形態によれば、汚濁した貯水56を
非結晶鉄検出器1または1aで感知し、測定部30から起
動信号を信号ケーブル62を通してポンプ59に送り、ポン
プ59を駆動し、貯水移送管58からろ過器39または42と脱
塩塔18に汚濁した貯水56を供給して貯水槽55内の貯水を
浄化する。この浄化水を貯水槽55内に戻して循環させる
ことにより、貯水槽55内の貯水56の水質を保つことがで
きる。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る非結晶鉄検出器によれば、
波長357nm〜470nmの範囲における特定波長の単一光で透
過率を測定することにより、非結晶鉄の固形分濃度を分
析することができる。
【0064】また、本発明に係る非結晶鉄検出器を備え
た廃液浄化装置によれば、例えば火力発電プラントまた
は原子力発電プラント等に設置されている脱塩塔または
ろ過器の処理水ラインに本発明に係る非結晶鉄検出器を
設けることにより、処理水の非結晶鉄をインラインで感
度よく検出することができるので、イオン交換樹脂また
はろ材の洗浄状態が把握でき、洗浄廃液の発生量を抑制
できる。さらに、上記非結晶鉄検出器を組み込んだ脱塩
塔またはろ過器では処理水に非結晶鉄が含まれることな
く、高純度の純水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非結晶鉄検出器の第1の実施の形
態を示す縦断面図。
【図2】図1における非結晶鉄検出器の吸光度と波長と
の関係を示すスペクトル波形図。
【図3】図1において、測定した非結晶鉄濃度と吸光度
の関係を示す特性図。
【図4】本発明に係る非結晶鉄検出器の第2の実施の形
態を示す回路図。
【図5】本発明に係る非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化
装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図6】本発明に係る非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化
装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図7】本発明に係る非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化
装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図8】本発明に係る非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化
装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図9】本発明に係る非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化
装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【符号の説明】
1…第1の実施の形態の非結晶鉄検出器、1a…第2の
実施の形態の非結晶鉄検出器、2…検出器セル、3…流
入口、4…流出口、5…光源ランプ、6…ランプ支持
体、7…遮光フィルタ、8…光電管、9…光電管支持
体、10…光透過板、11…加熱ヒータ、12,13…リード
線、14…リード線保護管、15…定電流回路、16…整形増
幅回路、17…定電圧回路、18…脱塩塔、19…イオン交換
樹脂、20…廃液流入管、21…処理水出口管、22…サンプ
リング管、23…注入ポンプ、24…混合槽、25…流出管、
26…ろ過ポンプ、27…中空糸膜フィルタ、28…戻り管、
29…逆止弁、30…測定部、31…制御部、32…第1の信号
ケーブル、32…第2の信号ケーブル、33…洗浄廃液排出
ライン、34…樹脂再生用受けタンク、35…輸送ライン、
36…仕切弁、37…洗浄水ライン、38…スクラビング空気
注入ライン,39…ろ過器、40…処理水側ライン、41…ろ
材、42…プリコート型または積層型ろ過器、43…ろ過水
タンク、44…砂、45…原水流入ライン、46…使用済貯蔵
タンク、47…使用済砂移送ライン、48…ろ材圧送用高圧
水供給ライン、49…第1の電磁弁、50…第2の電磁弁、
51…第3の電磁弁、52…第1の信号ライン、53…第2の
信号ライン、54…第3の信号ライン、55…貯水槽、56…
貯水、57…オペレーションフロア、58…貯水移送管、59
…ポンプ、60…滑車、61…ワイヤ、62…信号ケーブル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/00 ZAB C02F 1/42 A 1/42 1/44 E 1/44 B01D 29/38 510B (72)発明者 関 秀司 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 2G059 AA01 AA05 BB04 CC03 DD12 DD13 EE01 HH02 HH03 HH06 JJ02 KK01 4D006 GA07 HA01 KA01 KA41 KA63 KB11 KB15 KB16 LA08 MA01 MB01 PA01 PB08 PB27 PC31 PC33 4D025 AA07 AA09 AB01 AB22 BA08 BB02 CA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定水が流通する検出器セルの一方に
    波長357nm〜470nmの領域における単一波長の光源を設
    け、この光源から発する前記単一波長の光が前記被測定
    水中を透過する透過光を受光する光センサを前記セルの
    他方に設けてなることを特徴とする非結晶鉄検出器。
  2. 【請求項2】 定電流回路に接続した光源と、この光源
    の光照射側に配置した光フィルタと、この光フィルタか
    ら出射する波長357nm〜470nmの領域だけの光を非結晶鉄
    を含む被測定水に透過させてその透過光を吸光する光電
    センサと、この光電センサの微小電流を増幅する整形増
    幅回路と、前記定電流回路に接続する定電圧回路とを具
    備したことを特徴とする非結晶鉄検出器。
  3. 【請求項3】 被処理水流出配管に注入ポンプを取り付
    け、この注入ポンプの吐出側に濃度調整機構を設け、こ
    の濃度調整機構に請求項1または2記載の非結晶鉄検出
    器を取り付け、この非結晶鉄検出器の被測定水流出側に
    非結晶鉄除去用ろ過器を接続し、この非結晶鉄除去用ろ
    過器のろ過水出口側を前記濃度調整機構に接続してなる
    ことを特徴とする非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化装
    置。
  4. 【請求項4】 前記非結晶鉄除去用ろ過器はポアサイズ
    0.2μm以下の中空糸膜フィルタからなることを特徴と
    する請求項3記載の非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化装
    置。
  5. 【請求項5】 火力発電プラントまたは原子力発電プラ
    ントに設置されている脱塩塔またはろ過装置の洗浄廃液
    排出ラインまたは処理水流出配管に前記請求項1または
    2記載の非結晶鉄検出器を取り付けてなることを特徴と
    する非結晶鉄検出器を備えた廃液浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記ろ過装置はプリコート型ろ過器また
    は積層型ろ過器からなり、これらのろ過器のろ過処理水
    流出側に請求項1または2記載の非結晶鉄検出器を取り
    付けてなることを特徴とする請求項5記載の非結晶鉄検
    出器を備えた廃液浄化装置。
  7. 【請求項7】 ろ材を充填したろ過器に第1の弁を介し
    て原水流入ラインを接続し、前記ろ過装置に接続した処
    理水側流出ラインに請求項1または2記載の非結晶鉄検
    出器を取り付け、この非結晶鉄検出器の下流側の流出ラ
    インをろ過水タンクに接続し、前記ろ過装置に使用済ろ
    材移送ラインを接続し、この使用済ろ材移送ラインを第
    2の弁を介して使用済ろ材貯蔵タンクに接続し、前記原
    水流入ラインから分岐してろ材圧送用供給水ラインを接
    続し、この供給水ラインを第3の弁を介して前記ろ過装
    置の処理水流出側に接続し、前記非結晶鉄検出器からの
    検出信号に応じて前記第1から第3の弁を開閉制御する
    手段を有することを特徴とする非結晶鉄検出器を備えた
    廃液浄化装置。
  8. 【請求項8】 貯水槽内に請求項1または2記載の非結
    晶鉄検出器と貯水処理管を設け、前記貯水処理管の下流
    側にポンプ,ろ過器及び脱塩塔を順次接続し、前記非結
    晶鉄検出器の測定部からの起動信号によって前記ポンプ
    を起動する手段を有することを特徴とする非結晶鉄検出
    器を備えた廃液浄化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN114931878A (zh) * 2022-07-21 2022-08-23 山东福尔特种设备有限公司 一种稳定性好的强磁力耦合搅拌高压釜

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