JP2001264052A - 感傾装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 きわめて簡単で傾きを定量的に検出し検出結
果を信号として出力し得る傾斜検出装置を提供する。 【解決手段】 磁性体の球を一直径方向に磁化し、この
球を回動自在に支承してこの球に結合した錘の支点とな
し、この球の表面に近接させて磁気センサを配置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は物体の傾斜角を検出
して信号を出力する装置に関する。こゝで感傾装置とは
単に傾斜角だけでなく、傾斜角検出原理からの必然的な
帰結である加速度の検出，振動，動揺の検出も可能な装
置と云う意味である。

【０００２】

【従来の技術】傾斜を検出する道具として水準器がある
が、これは眼で目盛りを読むもので、自動制御とか傾き
過ぎの警報を出させると云うようなことは出来ない。そ
こで傾きを電気信号に変えて出力する装置が既に色々提
案されている。これら既提案の装置は錘或は液中のフロ
ートが装置器体の傾きにより器体に対して変位するのを
電気的或は磁気的に検知するようにしたり、球面上に球
を置いて、この球の変位を電気的或は磁気的に検知する
ようになっており電気的接点を有するものと、無接点的
なものとに分けられる。信頼性と耐久性と無雑音と云う
特性から無接点式が望ましい。この無接点式には静電型
と磁気型とがある。静電型は錘の変位により電極間距離
が変わることで静電容量が変化するのを測定するもので
あるが、容量測定のため高周波回路を必要とし、装置の
周辺回路が複雑となり電力消費も多くなって、電池によ
る長期使用に不安がある。磁気型は磁界発生用の磁石を
備え、錘の変位でその磁石の磁気回路の抵抗が変化する
のを検出するものであるが、傾斜角と出力との関係が直
線的でない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は磁気型無接点
方式で錘の変位を検出する型の感傾装置で傾斜角に対す
る直線性が良く、構造が簡単な装置を提供しようとする
ものである。

【０００４】

【課題を解決する手段】磁性体の球を一つの直径の方向
に磁化して磁石とし、この磁石に錘を取付け、この磁石
を球受座で支承させて、上記錘の傾動の支点とし、装置
の垂直時にこの磁石の磁化方向を南北としたときの赤道
上に、この磁石の表面に近接してｘ方向用及びｙ方向用
のホール素子を配置した。

【０００５】

【発明の実施の形態】図１に本発明の実施形態の一例を
示す。１は磁性体の球で非磁性体の軸２が貫通させてあ
る。３は錘で軸２の下端に固着してある。磁性体球１は
軸２の中心線に沿って磁化してあり、例えば図の上方が
Ｎ極，下方がＳ極としてある。４，５は上下に割った球
受座で、下の球受座は下面が凹円錐状に削除されて環状
になっており、球受座４，５で磁性体球１を上下に囲
み、錘３が重力の作用で自由に動けるように支承してい
る。上下の球受座４，５は球形空洞を磁性体球１の赤道
面で上下に割った形で、上，下各座の合わせ目の一箇所
に凹み６を形成して、そこに球１の表面に近接させてホ
ール素子のような磁気センサ７ｘが配置されている。同
じようにしてもう一つの磁気センサ７ｙ（図では見えて
いない）が図の紙面の向こう側或はこちら側に配置さ
れ、７ｘはこの装置の図の紙面内の傾き（ｘ方向の傾
き）を検出し、７ｙはｙ方向の傾きを検出する。８は回
路基板で、磁気センサ７ｘ，７ｙの出力を処理して傾斜
角の情報として出力する回路が搭載され、磁気センサ７
ｘ，７ｙが接続されている。

【０００６】この装置の傾斜角検出作用の原理は次のよ
うなものである。図２Ａは磁性体１の外周に形成されて
いる磁力線の状態を示す。この磁力線は球磁石である磁
性体球の赤道上で球１の表面と平行であり、ホール素子
のような磁気センサは素子を垂直に貫通する磁界強度に
応答するので、磁気センサ７ｘ或は７ｙが磁石球１の赤
道面に対向しているときは出力は０であり、磁石球１が
傾くと出力が現われる。この出力と磁石球１の傾きとの
関係は図２Ｂに示すように傾き角のsin に比例するよう
なカーブを画き、傾きが＋，−約４５°の範囲で殆ど直
線的であり、本発明はこの範囲を利用して傾斜角を電気
信号に変えているのである。図２Ｂで上下のピークの所
が双峰的になっているのは、球１を非磁性体の軸２が貫
通していることの影響である。このような作用によって
いるので、本発明の装置は全ての方向に約４５°の範囲
迄の傾きの定量的検出が出来るのである。

【０００７】図３は本発明の他の実施形態を示す。この
実施形態は基本構造は図１のものと同じであるが、錘が
シリコン油のような液体９内に浸漬されており、傾きが
急に変わったとき錘が何時迄も振れているのを防ぐと共
に振動のある環境で、振動に不必要に敏感に応答するの
を防ぐようにしたものである。１０は液体９を入れる容
器であると共に装置全体を気密に囲むものである。

【０００８】本発明の上記以外の変形実施形態について
述べる。磁性体球１は図４に示すように赤道に沿って平
らに削った形にしてもよい。このようにすると、磁気セ
ンサは球１の表面より離れた位置よりも球表面（平らに
削除する前の）よりも中に入り込んだ位置に配置するこ
とも可能となる。同様にして、磁石の両極部分を平らに
削った形にしても、磁界の対称性は変わらないから、上
例と同様に使用することが出来る。また図１の例でも全
体を容器１０で密封してもよい。図１，３の例で容器１
０を透明にして中の錘の動きを眼で見ることが出来るよ
うにしてもよい。錘３は非磁性材料であることが望まし
いが、磁性材料であっても（特に軟質であるときは）支
障はなく、特に精密を要する場合に非磁性にすればよい
のである。又外部磁界が大きいときは容器１０を磁性体
とし、球１と同心となるような球形にするとよい。一方
向の傾斜だけを検出するときは、球１の代わりに円柱を
用い、球受座を円筒軸受に変えればよく、断面図を画く
と図１と同じような形になるものである。

【０００９】

【発明の効果】本発明は傾斜検出のための基本的な部分
である磁石が球形または円柱形で搖動する錘の自由支点
を兼ねているので、構造的に簡単で、磁気センサの出力
は球等の傾き角のsin に比例するもので、傾き角０を中
心に＋，−両方向に広い範囲で実質的に直線性を有し、
精度良好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す縦断側面図。

【図２】本発明の動作原理を示す図。

【図３】本発明の他の実施形態を示す縦断側面図。

【図４】球形磁石の変形例の斜視図。

【符号の説明】

１ 球形の磁石 ２ 軸 ３ 錘 ４ 球受座 ５ 球受座 ６ 凹所 ７ｘ 磁気センサ ８ 回路基板 ９ 液体 １０ 容器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁性体の球まは円柱をその一つの直径の
   方向に磁化して一つの磁石となし、この磁石の下方に錘
   を結合して、この磁石を球受けまたは円柱受けにより支
   承して、この磁石を支点として上記錘が自由に垂下して
   いるようにし、この磁石の表面に近接させて磁気センサ
   を配置したことを特徴とする感傾装置。