JP2001263614A - 全一次空気式バーナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、混合気室４に形成された燃料ガス
と酸素含有ガスの混合気を、燃焼面部材１０に形成され
た複数の噴孔１１から燃焼面３に噴出して全一次空気燃
焼させる全一次空気式バーナ装置１００において、逆火
及び燃焼振動等を抑制し、好ましい状態で混合気を全一
次空気燃焼させる技術を得ることを目的とする。 【解決手段】 燃焼面部材１０が、複数の内側噴孔１１
ａを穿設して有する板状の内側燃焼面部材１０ａと複数
の外側噴孔１１ｂを穿設して有する板状の外側燃焼面部
材１０ｂとを、１ｍｍ以上４ｍｍ以下の範囲内の隙間高
さを有して離間させ、混合気室側４から燃焼面３側へ順
に並設して構成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、メタンを主成分と
した天然ガス系の燃料ガスと酸素含有ガスの混合気を混
合気室に形成し、前記混合気を燃焼面部材に形成された
複数の噴孔から燃焼面に噴出して全一次空気燃焼させる
全一次空気式バーナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、給湯器、ボイラー、加熱炉、スト
ーブ等の燃焼装置の分野で、上記のような全一次空気式
バーナが利用されることがある。この全一次空気式バー
ナ装置の燃焼面部材の構造としては、フェルト状金属繊
維板、多孔質セラミックス製板若しくは金属板を利用し
たものや、それに噴孔を穿設して主噴孔に用いるものが
知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような全一次空気
燃焼は、高負荷・低ＮＯｘという長所を持っているもの
の、予め混合した混合気を噴孔等から噴出させて燃焼さ
せるので、例えば混合気の供給量を低下させて低負荷燃
焼を行うと、燃焼面の火炎が混合気室側の混合気に伝播
する逆火が発生することがあり、噴孔構造若しくは混合
気の供給流速の制御等に対して細心の注意を払う必要が
あった。また、逆火を防止するために、燃焼面部材の噴
孔等の混合気の流通経路を狭くして混合気の流速を高め
ることがあるが、その流通経路において発生する圧力損
失が増加して燃焼振動若しくはリフトが発生する原因と
なり、例えばＮＯｘ削減の目的で希薄燃焼を行うため
に、混合気として供給される空気量を増加させるのは限
界があった。

【０００４】よって、本発明は、以上の事情に鑑みて、
逆火及び燃焼振動等を抑制し、好ましい状態で混合気を
全一次空気燃焼させることができる全一次空気式バーナ
装置を実現することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】〔構成１〕本発明に係る
全一次空気式バーナ装置は、請求項１に記載したごと
く、前記燃焼面部材が、複数の内側噴孔を穿設して有す
る板状の内側燃焼面部材と複数の外側噴孔を穿設して有
する板状の外側燃焼面部材とを、１ｍｍ以上４ｍｍ以下
の範囲内の隙間高さを有して離間させ、前記混合気室側
から前記燃焼面側へ順に並設して構成されていることを
特徴とする。 〔作用効果〕本構成のごとく、複数の内側噴孔を穿設し
て有する板状の内側燃焼面部材と複数の外側噴孔を穿設
して有する板状の外側燃焼面部材とを、前記混合気室側
から前記燃焼面側へ順に並設して構成された燃焼面部材
を備えることで、混合気室の混合気を、先ず内側噴孔を
介して内側燃焼面部材と外側燃焼面部材との隙間に流入
させ、この隙間に流入した混合気を外側噴孔から燃焼面
に噴出させて燃焼させることができる。

【０００６】このように構成された燃焼面部材において
は、燃焼面における火炎が内側燃焼面部材と外側燃焼面
部材との隙間を介して混合気室に伝播する逆火を防止す
るために、その隙間を流通する混合気の流速を、その隙
間の混合気が着火した場合の燃焼速度よりも大きくなる
ように上記隙間の高さを小さく設定することがある。し
かし、隙間の高さを小さくしすぎると、混合気の流通に
よる圧力損失が増加して、燃焼振動の発生の原因となる
と共に、燃焼面の火炎により赤熱した外側燃焼面部材に
よって内側燃焼面部材及びその隙間にある混合気が加熱
され、隙間の混合気の燃焼速度が増加し、逆火の可能性
が再び増加する。

【０００７】そこで、本発明の全一次空気式バーナ装置
においては、内側燃焼面部材と外側燃焼面部材との隙間
の高さを上記の範囲内に設定することで、逆火及び燃焼
振動の発生を抑制することができる。詳しくは、天然ガ
ス系都市ガス（１３Ａ）を燃料として利用する場合、内
側燃焼面部材と外側燃焼面部材との隙間の高さを４ｍｍ
以下に設定することで、燃焼面における火炎がその隙間
を介してケーシング内に伝播する逆火を防止することが
できる。また、内側燃焼面部材と外側燃焼面部材との隙
間の高さを１ｍｍ以上に設定することで、隙間において
発生する圧力損失を最小限とすることができ、燃焼面に
噴出させる混合気の流速を安定させ燃焼振動の発生を抑
制することができる。さらに、もし燃焼面から外側噴孔
を介して隙間に火炎が進入しても、混合気室の混合気に
よって充分に除熱されている内側燃焼面部材に接触して
燃焼を維持することができなくなるので、逆火をも防止
することができる。さらに、天然ガス系都市ガス（１３
Ａ）の主成分であるメタンの消炎距離（２枚の平板の間
を火炎が伝播できない最大の平板間隔）は２ｍｍである
ので、隙間の高さを２ｍｍ以下にすると逆火を確実に防
止することができる。しかし、隙間の高さを２ｍｍ以下
にすると圧力損失が急激に大きくなり、燃焼振動が発生
する危険性が増大するので、上記隙間の高さは、２ｍｍ
以上であることが好ましく、２ｍｍ以下の場合に対して
大きな圧力損失低減効果を得ることができる。また、上
記隙間の高さは、３ｍｍ以下であることが好ましく３ｍ
ｍ以上では、圧力損失低減効果が少なくなり、逆に、逆
火発生の可能性が増加する。従って、低負荷燃焼及び希
薄燃焼を行っても逆火及び燃焼振動を抑制することがで
き、好ましい状態で混合気を全一次空気燃焼させること
ができる全一次空気式バーナ装置を提供することができ
る。

【０００８】〔構成２〕本発明に係る全一次空気式バー
ナ装置は、請求項２に記載したごとく、上記構成１の全
一次空気式バーナ装置の構成に加えて、前記内側噴孔の
前記内側燃焼面部材に対する開口率と前記外側噴孔の前
記外側燃焼面部材に対する開口率とが夫々５％以上５０
％以下であり、前記内側噴孔の径が１ｍｍ以上５ｍｍ以
下の範囲内であり、前記外側噴孔の径が０．５ｍｍ以上
３ｍｍ以下の範囲内であることを特徴とする。 〔作用効果〕本構成のごとく、内側燃焼面部材及び外側
燃焼面部材の噴孔の開口率を５０％以下とすることで、
噴孔から燃焼面に噴出される混合気の流速を、夫々の噴
孔内を流通する流速よりも充分に低下させて、全一次空
気式燃焼による火炎を燃焼面に好ましい状態で保持する
ことができる。また、上記開口率を５％以上とすること
で、燃焼面部材における圧力損失を抑制しつつ、燃焼面
全体において均一な火炎を形成することができる。ま
た、夫々の噴孔の径を上記の範囲内とすることで、火炎
が噴孔を介して上流側に逆火することを抑制するととも
に、混合気の圧力損失の増加をできるだけ抑制すること
ができる。

【０００９】また、本発明に係る全一次空気式バーナ装
置において、前記内側噴孔と前記外側噴孔の面方向にお
けるオーバーラップ面積が、前記内側噴孔の総開口面積
の０％以上７０％以下であることが好ましい。このよう
に構成することで、内側噴孔から夫々の燃焼面部材の隙
間に噴出される低温の混合気の少なくとも３０％以上を
外側燃焼面部材の裏面に衝突させることができ、外側燃
焼面部材を冷却することができ、一層燃焼面の火炎が外
側噴孔を介して上流側に逆火し難くなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明に係る全一次空気式バーナ
装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１に示
すバーナ装置１００は、燃焼面部材１０を上面に設けた
バーナケーシング２を備え、バーナケーシング２内に形
成される混合気室４に、空気供給管５から空気を供給す
るとともに、空気供給管５に備えられた燃料ノズル６に
より燃焼ガスを供給して混合気を形成し、混合気室４に
形成された混合気を複数の噴孔１１を介して燃焼面３側
に噴出させて全一次空気燃焼を行う全一次空気式バーナ
装置である。

【００１１】さらに、本発明の全一次空気式のバーナ装
置１００の燃焼面部材１０は、複数の内側噴孔１１ａを
穿設して有する板状の内側燃焼面部材１０ａと複数の外
側噴孔１１ｂを穿設して有する板状の外側燃焼面部材１
０ｂとを、混合気室４より順に並設して構成されてい
る。よって、混合気室４の混合気が、内側燃焼面部材１
０ａに穿設された内側噴孔１１ａを介して内側燃焼面部
材と外側燃焼面部材との隙間１２に流入し、隙間１２に
流入した混合気が、外側噴孔１１ｂから燃焼面３に噴出
され燃焼する。

【００１２】さらに、本発明の全一次空気式のバーナ装
置１００の内側燃焼面部材１０ａと外側燃焼面部材１０
ｂとの隙間１２の高さｄは、１ｍｍ以上４ｍｍ以下の範
囲内に設定されており、燃焼面３から外側噴孔１１ｂを
介して隙間１２に火炎が進入しても、混合気室４の混合
気によって充分に除熱されている内側燃焼面部材１０ａ
に接触して燃焼を維持することができなくなるので、逆
火を防止することができ、さらに、混合気が隙間１２を
流通することで発生する圧力損失をできるだけ抑制し
て、燃焼振動の発生を抑制することができる。

【００１３】また、本発明の全一次空気式バーナ装置１
００は、燃焼面３に噴孔１１から噴出される混合気の流
速を、噴孔１１内を流通する流速よりも充分に低下させ
て、全一次空気式燃焼による火炎を燃焼面１１全体に形
成するために、内側噴孔１１ａ及び外側噴孔１１ｂの開
口率が、夫々の燃焼面部材１０に対して５０％以下２０
％以上であり、さらに、火炎が噴孔１１を介して上流側
に逆火することを抑制するとともに、混合気の圧力損失
の増加をできるだけ抑制するために、内側噴孔１１ａの
径が１ｍｍ以上５ｍｍ以下の範囲内であり、外側噴孔１
１ｂの径が０．５ｍｍ以上３ｍｍ以下の範囲内である。

【００１４】〔実施例〕本発明の全一次空気式バーナ装
置１００の実施例について図２に基づいて説明する。図
２（イ）は、燃料ガスのインプット量を４５ｋＷ、空気
比を１．４とした条件において、隙間１２の高さｄに対
する混合気を噴出させるための圧力損失を示したグラフ
であり、図２（ロ）は、燃料ガスのインプット量を１５
ｋＷとした条件において、隙間１２の高さｄに対する、
燃焼振動が発生する混合気の空気比の上限値を示したグ
ラフである。また、この実験に用いた全一次空気式バー
ナ装置１００は、燃料ガスとして天然ガス系都市ガス
（１３Ａ）を利用し、燃焼面３の面積は１６４ｃｍ² 、
内側燃焼面部材１０ａにおける内側噴孔１１ａの開口率
は８％、外側燃焼面部材１０ｂにおける外側噴孔１１ｂ
の開口率は２８％である。

【００１５】図２（イ）に示すように、内側燃焼面部材
１０ａと外側燃焼面部材１０ｂの隙間１２の高さｄが１
ｍｍより小さくなると、混合気の圧力損失が急激に増加
する。また、高さｄが４ｍｍより大きくなると、圧力損
失低減の効果は少なくなりほとんど変化しないことが判
る。また、高さｄが２ｍｍのときの圧力損失は、高さｄ
が０．５ｍｍのときの圧力損失に対して、３３％程度の
低減効果があることが判る。さらに、図２（ロ）に示す
ように、隙間１２の高さｄが１ｍｍより小さくなると、
燃焼振動が発生する空気比の上限界値が急激に低下す
る。また、高さｄが２ｍｍより大きくなると燃焼振動が
発生する空気比の上限界値はほとんど一定となり、例え
ば高さｄが２ｍｍのときは、空気比を１．５８まで燃焼
振動を発生させることなく、全一次空気燃焼をさせるこ
とができた。

【００１６】また、上記の全一次空気式バーナ装置と同
様のものを使用し、燃料ガスのインプット量を５ｋＷ、
空気比を１．０５まで低下させた条件において、隙間１
２の高さｄを変化させて、逆火の発生の有無について実
験を行った。すると、隙間１２の高さｄを０．５ｍｍ以
下若しくは５ｍｍ以上としたときに逆火が確認され、隙
間１２の高さｄが１ｍｍから４ｍｍまでの範囲内におい
ては逆火を確実に防止できていることが判った。

【００１７】また、全一次空気式バーナ装置１００にお
いて、内側噴孔１１ａと外側噴孔１１ｂの燃焼面方向に
おけるオーバーラップ面積（混合気室２から内側噴孔１
１ａを介して見ることができる外側噴孔１１ｂの面積）
を、内側噴孔１１ａの総開口面積の０％以上７０％以下
とすることで、内側噴孔１１ａから隙間１２に噴出され
る低温の混合気の少なくとも３０％以上を外側燃焼面部
材１０ｂの裏面に衝突させて、外側燃焼面部材１０ｂを
冷却することができ、一層燃焼面３の火炎が外側噴孔１
１ｂを介して上流側に逆火し難くなる。

【００１８】

【発明の効果】よって、本発明に係るバーナ装置におい
ては、逆火を防止し、且つ燃焼振動を抑制することがで
きるので、燃焼量の可変範囲を拡大し、更に、空気比を
高く設定して発生ＮＯｘを抑制した全一次空気式燃焼を
実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る全一次空気式バーナ装置の概要を
示す一部切欠き斜視図（イ）と要部断面図（ロ）

【図２】隙間１２の高さｄに対する混合気を噴出させる
ための圧力損失及び燃焼振動が発生する混合気の空気比
の上限値を示したグラフ

【符号の説明】

２ バーナケーシング ３ 燃焼面 ４ 混合気室 ５ 空気供給管 ６ 燃料ノズル １０ 燃焼面部材 １１ 噴孔 １２ 隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 毛笠 明志 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 宮藤 章 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 Ｆターム(参考） 3K017 AA02 AA05 AB01 AB07 AC02 AD01 AE02

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メタンを主成分とした天然ガス系の燃料
   ガスと酸素含有ガスの混合気を混合気室に形成し、前記
   混合気を燃焼面部材に形成された複数の噴孔から燃焼面
   に噴出して全一次空気燃焼させる全一次空気式バーナ装
   置であって、 前記燃焼面部材が、複数の内側噴孔を穿設して有する板
   状の内側燃焼面部材と複数の外側噴孔を穿設して有する
   板状の外側燃焼面部材とを、１ｍｍ以上４ｍｍ以下の範
   囲内の隙間高さを有して離間させ、前記混合気室側から
   前記燃焼面側へ順に並設して構成されている全一次空気
   式バーナ装置。
2. 【請求項２】 前記内側噴孔の前記内側燃焼面部材に対
   する開口率と前記外側噴孔の前記外側燃焼面部材に対す
   る開口率とが夫々５％以上５０％以下であり、 前記内側噴孔の径が１ｍｍ以上５ｍｍ以下の範囲内であ
   り、前記外側噴孔の径が０．５ｍｍ以上３ｍｍ以下の範
   囲内である請求項１に記載の全一次空気式バーナ装置。