JP2001261743A - オレフィン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

オレフィン系共重合体およびその製造方法

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JP2001261743A
JP2001261743A JP2000081652A JP2000081652A JP2001261743A JP 2001261743 A JP2001261743 A JP 2001261743A JP 2000081652 A JP2000081652 A JP 2000081652A JP 2000081652 A JP2000081652 A JP 2000081652A JP 2001261743 A JP2001261743 A JP 2001261743A
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olefin
hydrocarbon group
structural unit
bonded
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JP2000081652A
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English (en)
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Noboru Oshima
昇 大嶋
Yoichiro Maruyama
洋一郎 丸山
Mitsutaka Kaizu
充孝 海津
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 他の材料に対する接着性および相溶性が高
く、耐屈曲性に優れたエラストマーが得られるオレフィ
ン系共重合体およびその製造方法の提供。 【解決手段】 炭素数3〜12のα−オレフィン由来の
単位(a)と、一般式(1)〔X1 〜X2 は、H、炭化
水素基または下記官能基で、一方は官能基。R1〜R2
は、Hまたは炭素数1〜10の炭化水素基。nは0〜2
の整数。官能基:−OH、これを含む炭化水素基、−COO
H、これを含む炭化水素基、一級若しくは二級アミノ
基、アミノ基を含む炭化水素基、これらの第四級アンモ
ニウム塩、N活性水素原子を有するアミド基、これが結
合した炭化水素基、またはX1 とX2 とからなる-CO-NH
-CO-で表されるイミド基。〕で表される単位(b)とか
らなる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオレフィン系共重合
体およびその製造方法に関し、詳しくは他の材料に対す
る接着性、密着性、相溶性が優れたエラストマーが得ら
れるオレフィン系共重合体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】炭素数が3〜12のα−オレフィンから
得られる共重合体エラストマーは、ジエン系ゴムに比し
て耐熱性の高いものであり、このようなオレフィン系共
重合体エラストマーとしては、プロピレン/非共役ジエ
ン共重合体エラストマーや、ポリプロピレンの結晶部分
と非晶性部分とからなる熱可塑性エラストマー、ヘキセ
ン/オクテン/非共役ジエン共重合体エラストマーなど
知られている。これらのうち、ヘキセンやオクテンに由
来する構造単位を含む共重合体エラストマーは、長い側
鎖を有するため、屈曲性に優れたものである。しかしな
がら、このようなオレフィン系共重合体エラストマー
は、分子構造中に極性基や官能基を有しないため、金属
に対する接着性や、他のエラストマーや樹脂に対する接
着性および相溶性が低いものである。
【0003】従来、官能基または極性基が導入されたオ
レフィン系重合体を製造する方法としては、末端に官能
基または極性基を有する鎖状オレフィンとα−オレフィ
ンとを共重合する方法(例えば特開昭55−98208
号公報、米国特許3761458号明細書、米国特許3
492277号明細書等参照)が提案されているが、こ
のような方法では、官能基を高い効率で導入することが
困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
他の材料に対する接着性および相溶性が高く、耐屈曲性
に優れたエラストマーが得られるオレフィン系共重合体
を提供することにある。本発明の他の目的は、他の材料
に対する接着性および相溶性が高く、耐屈曲性に優れた
エラストマーが得られるオレフィン系共重合体を確実に
製造することができる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のオレフィン系共
重合体は、炭素数3〜12のα−オレフィンに由来する
構造単位(a)と、下記一般式(1)で表される構造単
位(b)とからなり、ゲルパーミエションクロマトグラ
フィーにより測定されるポリスチレン換算数平均分子量
が2万から150万であることを特徴とする。
【0006】
【化3】
【0007】〔式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立
して水素原子、炭化水素基または下記の官能基を示し、
1 およびX2 のうち少なくとも一方は下記の官能基で
ある。R1 およびR2 は、それぞれ独立して水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基を示す。nは0〜2の
整数を示す。 官能基:ヒドロキシル基若しくはヒドロキシル基が結合
した炭化水素基、カルボキシル基若しくはカルボキシル
基が結合した炭化水素基、第一級アミノ基、第二級アミ
ノ基若しくはこれらのアミノ基が結合した炭化水素基ま
たはこれらの第四級アンモニウム塩、N活性水素原子を
少なくとも一つ有するアミド基またはこのアミド基が結
合した炭化水素基、並びにX1 とX2 とから構成された
−CO−NH−CO−で表されるイミド基から選ばれた
官能基。〕
【0008】また、本発明のオレフィン系共重合体は、
炭素数3〜12のα−オレフィンに由来する構造単位
(a)と、上記一般式(1)で表される構造単位(b)
と、非共役ジエンに由来する構造単位(c)とからな
り、ゲルパーミエションクロマトグラムで測定されるポ
リスチレン換算数平均分子量が2万〜150万であるこ
とを特徴とする。
【0009】本発明のオレフィン系共重合体において
は、前記炭素数が3〜12のα−オレフィンに由来する
構造単位(a)が10〜90モル%、前記一般式(1)
で表される構造単位(b)が0.01〜30モル%、前
記非共役ジエンに由来する構造単位(c)が0〜30モ
ル%であることが好ましい。また、ガラス転移温度が−
100〜30℃であることが好ましい。
【0010】本発明のオレフィン系共重合体の製造方法
は、下記一般式(2)で表される官能基含有環状オレフ
ィンと、周期表第2族、第12族および第13族から選
ばれた金属による有機金属化合物とを反応させ、得られ
た反応生成物と、炭素数が1〜12のα−オレフィン
と、必要に応じて用いられる非共役ジエンとを、遷移金
属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒の
存在下に重合させる工程を有することを特徴とする。
【0011】
【化4】
【0012】〔式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立
して水素原子、炭化水素基または下記の官能基を示し、
1 およびX2 のうち少なくとも一方は下記の官能基で
ある。R1 およびR2 は、それぞれ独立して水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基を示す。nは0〜2の
整数を示す。 官能基:ヒドロキシル基若しくはヒドロキシル基が結合
した炭化水素基、カルボキシル基若しくはカルボキシル
基が結合した炭化水素基、第一級アミノ基、第二級アミ
ノ基若しくはこれらのアミノ基が結合した炭化水素基ま
たはこれらの第四級アンモニウム塩、N活性水素原子を
少なくとも一つ有するアミド基またはこのアミド基が結
合した炭化水素基、並びにX1 とX2 とから構成された
−CO−NH−CO−で表されるイミド基から選ばれた
官能基。〕
【0013】本発明のオレフィン系共重合体の製造方法
においては、周期表第2族、第12族および第13族か
ら選ばれた金属による有機金属化合物が有機アルミニウ
ム化合物であることが好ましい。また、周期表第2族、
第12族および第13族から選ばれた金属による有機金
属化合物は、前記一般式(2)で表される官能基含有環
状オレフィンにおける官能基1当量に対して0.8当量
以上となる割合で用いられることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明のオレフィン系共重合体は炭
素数3〜12のα−オレフィンに由来する構造単位
(a)(以下、単に構造単位(a)ともいう。)と、上
記一般式(1)で表される構造単位(b)と、必要に応
じて用いられる非共役ジエンに由来する構造単位(c)
とを含有するものである。
【0015】構造単位(a)を形成するためのα−オレ
フィンは、炭素数3〜12のα−オレフィンであって、
その具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン、1−ヘ
プテン、1−オクテン1−ノネン、1−デセン、1−ド
デセンなどが挙げられる。これら化合物は単独でまたは
2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、
炭素数が12以下、好ましくは8以下のα−オレフィン
を用いる場合には、当該α−オレフィンと他の単量体と
の共重合性が良好となりやすい。また、炭素数が3以
上、好ましくは5以上のα−オレフィンを用いる場合に
は、屈曲性の優れたエラストマーが得られやすい。
【0016】本発明のオレフィン系共重合体において、
構造単位(a)は、全構造単位中60〜99.99モル
%の範囲で含有されていることが好ましく、より好まし
くは70〜99.90モル%、特に好ましくは80〜9
9.5モル%である。構造単位(a)の含有割合が60
モル%以上である場合には、得られる共重合体はエラス
トマーとなりやすい。一方、構造単位(a)が99.9
9モル%以下である場合には、後述する一般式(1)で
表される官能基含有環状オレフィンを共重合させること
が容易である。
【0017】構造単位(b)は、上記一般式(1)で表
される構造単位であって、上記一般式(2)で表される
官能基含有環状オレフィン(以下、特定の官能基含有環
状オレフィンともいう。)により形成されるものであ
る。上記一般式(1)および一般式(2)において、基
1 および基X2 は、それぞれ独立して水素原子、炭化
水素基または特定の官能基を示し、基X1 および基X2
のうち少なくとも一方は特定の官能基である。ここで、
特定の官能基は、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基が結
合した炭化水素基、カルボキシル基、カルボキシル基が
結合した炭化水素基、第一級アミノ基、第二級アミノ
基、第一級アミノ基若しくは第二級アミノ基が結合した
炭化水素基、これらのアミノ基若しくはアミノ基が結合
した炭化水素基の第四級アンモニウム塩、N活性水素原
子を少なくとも一つを有するアミド基、このアミド基が
結合した炭化水素基、並びにX1 とX2 とから構成され
た−CO−NH−CO−で表されるイミド基から選ばれ
た官能基であり、ヒドロキシル基が結合した炭化水素
基、カルボキシル基が結合した炭化水素基、アミノ基が
結合した炭化水素基またはその第四級アンモニウム塩と
しては、置換基を除く炭素数が1〜5のものが好まし
い。また、基R1 および基R2 はそれぞれ独立して水素
原子、または炭素数1〜10の炭化水素基である。ま
た、繰り返し数nの値は0〜2の整数である。
【0018】構造単位(b)としては、一般式(1)に
おいて、基R1 および基R2 のうち特定の官能基が結合
した炭素原子に結合しているものが、炭素数が1〜10
の炭化水素基であるものが好ましく、特に、基X1 およ
び基X2 の一方のみが特定の官能基であって、当該特定
の官能基が結合した炭素原子に結合している基R1 また
は基R2 が炭素数が1または2の炭化水素基であるもの
が好ましい。このような構造単位(b)を有する共重合
体は、当該共重合体の分解が起こりにくく、優れた耐久
性を有するエラストマーが得られる。また、特定の官能
基としては −COOH(カルボキシル基)、−NH2
(アミノ基)、−NHCH3 (メチルアミノ基)、−C
ONH2 (アミド基)、−CONR3 H(Nアルキル置
換アミド基、R3 はアルキル基を示す。)などが好まし
く、これらの中では、−COOH(カルボキシル基)、
−CONH2 (アミド基)がさらに好ましい。また、一
般式(2)において、繰り返し数nの値が0であること
が共重合性の点で好ましく、繰り返し数nの値が3以上
である場合には、当該官能基含有環状オレフィンを他の
単量体と共重合させることが困難となる。さらに、一般
式(2)において、繰り返し数nが0の場合には、当該
官能基含有環状オレフィンにはendo体およびexo
体の幾何異性体が存在し、これらのいずれか一方を単独
でまたは両方を組み合わせて用いることができるが、e
xo体単独で用いるか、あるいは両方を組み合わせると
きにはexo体を高い割合で用いることが、他の単量体
との共重合性の点でさらに好ましい。
【0019】構造単位(b)を形成するための特定の官
能基含有環状オレフィンは、シクロペンタジエンと官能
基含有オレフィンとをディールス・アルダー反応によっ
て付加反応させ、必要に応じて、加水分解反応、置換反
応を行うことにより、得られる。このような特定の官能
基含有環状オレフィンの具体例としては、5−ヒドロキ
シ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチ
ル−5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘ
プテン、5−エチル−5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.
2.1]−2−ヘプテン、5−ヒドロキシメチル−ビシ
クロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5−
ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプ
テン、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−カルボキシ−ビシ
クロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5−
カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、
5−エチル−5−カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、5−メチル−5−カルボキシルメチル
−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−エチル
−5−カルボキシメチル−ビシクロ[2.2.1]−2
−ヘプテン、5−メチル−5−アミノメチル−ビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−エチル−5−アミ
ノメチル−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5
−メチル−5−アミノプロピル−ビシクロ[2.2.
1]−2−ヘプテン、5−アミド−ビシクロ[2.2.
1]−2−ヘプテン、5−メチル−5−アミド−ビシク
ロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−N−メチルアミ
ド−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチ
ル−5−N−メチルアミド−ビシクロ[2.2.1]−
2−ヘプテン、5−N−イソプロピルアミド−ビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−N−イソ
プロピルアミド−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ン、5,6−ジヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]−
2−ヘプテン、5,6−ジメチル−5,6−ジヒドロキ
シ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5,6−
ジヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘ
プテン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.
1]−2−ヘプテン、5,6−ジメチル−5,6−ジカ
ルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、
5,6−ジカルボキシメチル−ビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、5,6−ジアミノメチル−ビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテン、5,6−ジメチル−
5,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]−2
−ヘプテン、ビシククロ[2.2.1]−2−ヘプテン
−5,6−ジカルボン酸イミド、5,6−ジメチル−
5,6−ビス(N−プロピルアミド)−ビシクロ[2.
2.1]−2−ヘプテン、8−カルボキシル−テトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジカルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.
2,5 7,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチル−
8,9−ジカルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ヒドロキシメチ
ル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8−メチル−8−ヒドロキシメチル−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセ
ン、8−アミノメチル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−アミド−テトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−アミド−テトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセンなどを挙げることがで
きる。
【0020】構造単位(b)は、全構造単位中0.01
〜30モル%の範囲で含有されていることが好ましく、
より好ましくは0.05〜10モル%、特に好ましくは
0.1〜5モル%である。構造単位(b)の含有割合が
0.01モル%以上である場合には、金属、樹脂、他の
オレフィン系エラストマーに対する接着性、密着性、相
溶性が良好なものになりやすい。一方、構造単位(b)
の割合が30モル%以下である場合には、特定の官能基
含有環状オレフィンと他の単量体との共重合が良好とな
り、しかも、得られる共重合体はエラストマーとしての
ゴム弾性が得られやすい。
【0021】構造単位(c)は、非共役ジエンに由来す
る構造単位であって、必要に応じて共重合体中に含有さ
れるものである。構造単位(c)を形成する非共役ジエ
ンの具体例としては、5−エチリデン−[2.2.1]
−2−ヘプテン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−プロペニル−
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−イソプロピリデン
−[2.2.1]−2−ヘプテン、5−(3−ブテニ
ル)−[2.2.1]−2−ヘプテン等の脂環式ジエ
ン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキ
サジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7
−オクタジエン、1,5−ヘキサジエン、3,7−ジメ
チル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,
6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタ
ジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状ジ
エンなどを挙げることができる。これらの化合物は、単
独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0022】また、構造単位(c)は、全構造単位中0
〜30モル%の範囲で含有していることが好ましく、よ
り好ましくは0〜20モル%、とくに好ましくは0〜1
0モル%である。構造単位(c)の割合が30モル%以
下である場合には、架橋することによって十分な弾性を
有するエラストマーが得られやすい。
【0023】本発明のオレフィン系共重合体は、135
℃のo−ジクロロベンゼンを溶媒として、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチ
レン換算重量平均分子量Mwが3万〜300万であるこ
とが好ましく、より好ましくは、7万〜150万、特に
好ましくは10万〜100万であり、ポリスチレン換算
数平均分子量Mnが2万〜150万、より好ましくは5
万〜70万、特に好ましくは7万〜50万である。この
重量平均分子量Mwが3万以上で、数平均分子量Mnが
2万以上である場合には、当該共重合体は、架橋により
ゴム弾性を有するエラストマーが得られやすい。一方、
重量平均分子量Mwが300万以下で、数平均分子量M
nが150万以下である場合には、当該共重合体は成形
加工性が良好なものとなることが多い。
【0024】また、本発明のオレフィン系共重合体のガ
ラス転移温度は−100〜30℃、特に−90〜0℃で
あることが好ましく、これにより、十分な弾性を有する
エラストマーが得られる。ここで、オレフィン系共重合
体のガラス転移温度は、走査型示差熱分析計(D.S.
C)を用いることにより測定されるものである。
【0025】このようなオレフィン系共重合体は、結晶
成分と非晶成分とからなるものである場合には、熱可塑
性エラストマーとしての挙動を示し、そのままエラスト
マーとして用いることができる。一方、主として非晶成
分からなるものである場合には、当該オレフィン系共重
合体を、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウムな
どから選ばれた充填剤、およびパーオキサイド、イオウ
などの架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤オイルなどと混練
し、成形加工した後、加熱架橋することにより、ゴム弾
性を有するエラストマーが得られる。
【0026】本発明のオレフィン共重合体によれば、構
造単位(b)が特定の官能基(X1および/または
2 )を有するため、金属に対する接着性や、他のエラ
ストマーおよび樹脂に対する接着性および相溶性が高
く、さらに優れた塗装性および印刷適性を有するエラス
トマーが得られる。また、構造単位(a)が側鎖にアル
キル基を有するため、耐屈曲性に優れたエラストマーが
得られる。また、構造単位(b)として、一般式(1)
において、基R1 および基R2 のうち特定の官能基が結
合した炭素原子に結合しているものが、炭素数が1〜1
0の炭化水素基であるものを用いることにより、当該特
定の官能基が結合した炭素原子には、離脱してラジカル
が発生しやすい第三級水素原子が結合していないため、
ラジカルの生成による分子鎖の切断、酸化劣化および特
定の官能基の離脱が抑制され、その結果、優れた耐熱性
を有するエラストマーが得られる。
【0027】本発明のオレフィン系共重合体によれば、
以上のような性質を有することから、自動車部品、電子
・電気部品、土木・建材部品などの材料に好適なエラス
トマーを得ることができる。
【0028】以上のようなオレフィン系共重合体は、以
下のようにして製造することができる。先ず、周期表第
2族、第12族および第13族から選ばれた金属による
有機金属化合物(以下、「特定の有機金属化合物」とい
う。)と、特定の官能基含有環状オレフィンとを反応さ
せることにより、特定の官能基含有環状オレフィンの官
能基(基X1 および/または基X2 )をマスキング処理
する。
【0029】マスキング処理に用いられる特定の有機金
属化合物の具体例としては、ジエチル亜鉛などの有機亜
鉛化合物、ジブチルマグネシウム、エチルマグネシウム
クロライド、ブチルマグネシウムクロライドなどの有機
マグネシウム化合物、トリメチルアルミニウム、トリエ
チルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ
ヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム
化合物、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジエ
チルアルミニウムなどの水素化アルキルアルミニウム化
合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミ
ニウムジプロポキシド、ジブチルアルミニウム2−エチ
ルヘキシド、ジブチルアルミニウム2−エチルヘキサナ
ート、ジブチルアルミニウムドデカナート、ジブチルア
ルミニウム2,6−ジターシャリーブチル−4−メチル
フェノキシド、ジブチルアルミニウム2,6−ジメチル
フェノキシドなどのアルキルアルミニウムのアルコキシ
ド、フェノキシドまたはカルボン酸塩、ジエチルアルミ
ニウムクロライド、ジブチルアルミニウムクロライド、
エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニ
ウムジクロライドなどの有機アルミニウムの塩化物、水
や無機塩の水和物とトリアルキルアルミニウムの反応で
得られるメチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブ
チルアルモキサンなどのアルキルアルミニウムオキシ化
合物などが挙げられる。これらの中で有機アルミニウム
化合物が好ましく、特にハロゲンを含まない有機アルミ
ニウム化合物が好ましい。
【0030】マスキング処理すなわち特定の官能基含有
環状オレフィンと特定の有機金属化合物との反応は、不
活性溶媒または希釈剤の存在下で、かつ、窒素ガス、ア
ルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で
行うことが好ましい。ここで、不活性溶媒または希釈剤
としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水
素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼ
ン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタンなどの芳
香族炭化水素類やハロゲン化炭化水素類を用いることが
できる。
【0031】また、特定の有機金属化合物は、特定の官
能基含有環状オレフィンにおける官能基1当量に対して
0.7当量以上、好ましくは0.9〜2.5当量となる
割合で用いることが好ましい。この割合が過小である場
合には、マスキングされない官能基が残存するため、後
述する重合処理において、触媒活性が低下して重合反応
が十分に進行しないことがある。特定の官能基含有環状
オレフィンと特定の有機金属化合物との反応条件は、用
いられる特定の有機金属化合物および特定の官能基含有
環状オレフィンの種類によって異なるが、反応時間が、
通常2分間〜10時間、好ましくは10分間〜2時間で
あり、反応温度が、通常−10〜100℃、好ましくは
10〜60℃である。
【0032】このようにしてマスキング処理された特定
の官能基含有環状オレフィンは、重合処理に供されるま
で、30℃以下の温度下で貯蔵されることが好ましく、
これにより、副反応の発生を防止することができる。ま
た、マスキング処理された特定の官能基含有環状オレフ
ィンには、未反応の金属−炭素結合が存在する場合にお
いて貯蔵中の安定性を増すために、アルコール類、チオ
アルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類を添加
することもできる。
【0033】そして、本発明の製造方法においては、マ
スキング処理された特定の官能基含有環状オレフィン
と、炭素数が3〜12のα−オレフィンと、必要に応じ
て用いられる非共役ジエン化合物とを重合処理する。こ
の重合処理においては、遷移金属化合物と、有機アルミ
ニウム化合物および/または特定の硼素化合物とからな
る触媒系が用いられ、遷移金属化合物としては、周期表
第4族および第5族から選ばれた金属の化合物を用いる
ことが好ましい。具体的な触媒系としては、以下のもの
が挙げられる。
【0034】(1)炭化水素化合物に可溶なバナジウム
および/または塩素化チタンと有機アルミニウム化合物
とからなる触媒系。 バナジウム化合物の具体例として、四塩化バナジウム、
バナジルトリクロライド、バナジルトリクロライドのア
ルコール変性物(ここで、アルコールとしては、メタノ
ール、エタノール、ブタノール、オクタノールなどを用
いることができる。)、バナジルビス(アセチルアセト
ナート)、バナジウムトリス(アセチルアセトナー
ト)、ビス(トリメチルシリルメトキシ)バナジルクロ
ライド、トリメチルシリルメトキシバナジルジクロライ
ドなどが挙げられる。塩素化チタンの具体例として、四
塩化チタニウム、三塩化チタニウムなどが挙げられ、さ
らに、四塩化バナジウムと四塩化チタニウムとのの混合
物をトリアルキルアルミニウムで還元された化合物など
も用いることができる。有機アルミニウム化合物の具体
例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルモキ
サン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、ジエ
チルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセス
キクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジイ
ソブチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
【0035】(2)シリカまたは塩化マグネシウムなど
の担体に担持されたハロゲン化チタニウムまたはハロゲ
ン化ジルコニウムと有機アルミニウム化合物とからなる
触媒系。 ここで、ハロゲン化チタニウムとしては、四塩化チタニ
ウム、三塩化チタニウムが挙げられ、ハロゲン化ジルコ
ニウムとしては、四塩化ジルコニウムなどが挙げられ
る。有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、メチルアルモキサンなどが挙げられる。ま
た、この触媒系においては、上記化合物以外に、ジオク
チルフタレート、テトラアルコキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシランなど添加することができる。
【0036】(3)配位子として、水素、アルキル基お
よびアリル基から選ばれた置換基を有するβ位に水素原
子のないアルキル基、ベンジル基、シクロペンタジエニ
ル基、アリーン基またはインデニル基を1つ乃至4つが
配位するチタニウム、ジルコニウムおよびハーフニウム
から選ばれた遷移金属化合物、或いはビスアルキル置換
またはN−アルキル置換のサルチルアルドイミンが配位
するチタニウム、ジルコニウムおよびハーフニウムから
選ばれた遷移金属化合物と、アルキルアルモキサン、ア
ルミナ、アルキルアルミニウムおよび特定のホウ素化合
物から選ばれた化合物との組み合わせからなる触媒系。
【0037】上記遷移金属化合物の具体例として、テト
ラキス(2−フェニル,2−メチル−プロピル)チタニ
ウム、ビス(メシチレン)チタニウム、テトラキス(ト
リメチルシリルメチル)チタニウム、テトラベンジルチ
タニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルチタ
ニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルチタ
ニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルチタ
ニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジトリルチタニ
ウム、ビス(シクロペンタジエニル)モノメチルチタニ
ウムモノクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チ
タニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)チ
タニウムジクロライド、エチレンビス(4,5,6,7
−テトラヒドロ−1−インデニル)チタニウムジクロラ
イド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウ
ム、η1,η6−[(tert−ブチル−アミド)ジメ
チルシリル](2,3,4,5−テトラメチル−1−シ
クロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、エチリ
デン(1−η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)
(1−η5−インデニル)チタニウムジクロライド、テ
トラキス(2−メチル,2−フェニル−プロピル)ジル
コニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラキス
(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム、ビス(シク
ロペンタジエニル)モノメチルジルコニウムモノクロラ
イド、エチレン(ビス−インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロライド、エチレンビス(シクロペンタジ
エニル)モノメチルジルコニウムモノクロライド、メチ
レンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
ライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコ
ニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコ
ニウム、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ
−1−インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビ
ス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロ
ライド、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデ
ニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリルビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロ
ライド、ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルメチル
(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロライド、ジフェニルメチル(フルオレニル)
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェ
ニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス
(N−フェニル−2−tert−ブチル−サリチルアル
ドナート)ジルコニウムジクロライド、ビス(N−te
rt−ブチルフェニル−2−tert−ブチル−サリチ
ルアルドナート)ジルコニウムジクロライドなどが挙げ
られる。
【0038】上記アルキルアルモキサンの具体例とし
て、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチル
アルモキサンおよびこれらの混合物が挙げられる。上記
アルキルアルミニウムの具体例として、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミ
ニウムジメチルアルミニウムフルオライドおよびこれら
混合物が挙げられる。
【0039】上記特定のホウ素化合物の具体例として、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,
5−ジ−トリフルオロメチル−フェニル)ボレート、ト
リブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメ
チルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウ
ムテトラキス(フェニル)ボレート、N,N−ジエチル
アニリニウムテトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ
ートなどが挙げられる。
【0040】上記の触媒系においては、遷移金属化合物
が金属−アルキル基結合を有するものである場合には、
当該遷移金属化合物と特定のホウ素化合物とによって触
媒系を構成することができる。一方、遷移金属化合物が
金属−アルキル基結合を含まないものである場合には、
通常、有機アルミニウム化合物またはアルキルアルモキ
サンが必要となる。
【0041】また、この触媒系における遷移金属化合物
と他の成分との比は、遷移金属化合物1グラム原子当量
当たり、他の成分としてアルキルアルモキサンまたはア
ルキルアルミニウムを用いる場合には10〜10000
モル、アルキルアルミニウムと特定ホウ素化合物とを用
いる場合には、アルキルアルミニウムが0.2〜20モ
ル、特定のホウ素化合物が0.2〜10モル、特定ホウ
素化合物のみを用いる場合には0.2〜10モルである
ことが好ましい。
【0042】重合反応は、適宜の溶媒または希釈剤の存
在下で行われることが好ましい。このような溶媒または
希釈剤としては、例えば脂肪族炭化水素類、脂環式炭化
水素類、芳香族炭化水素類およびこれらのハロゲン化物
を用いることができる。具体的には、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、
ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが挙げられる。こ
れらの溶媒または希釈剤は、重合前に蒸留または吸着剤
による処理により、水分を20ppm以下にして用いる
ことが好ましい。
【0043】重合反応は、0〜150℃、特に10〜1
00℃の温度で行われることが好ましい。また、重合反
応においては、必要に応じて分子量調節剤を用いること
ができ、その具体例としては、水素、ジエチル亜鉛、水
素化ジイソブチルアルミニウムなどが挙げられる。ま
た、重合反応を行うための反応器は、バッチ式および連
続式のいずれであってもよい。連続式の反応器として
は、チューブ型反応器、塔型反応器、槽型反応器などを
用いることができる。
【0044】本発明において、以上のようにして重合処
理を行った後、得られる共重合体に対して脱マスキング
処理を行うことにより、目的とするオレフィン系共重合
体が得られる。特定の官能基含有環状オレフィンとし
て、特定の官能基(基X1 および/または基X2 )がヒ
ドロキシル基またはカルボキシル基であるものを用いた
場合には、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、乳
酸、ジオクチルエステル一リン酸ノニルフェノオキシポ
リエチレングリコールのモノまたはジ−リン酸エステ
ル、ラウロキシポリエチレングリコールのモノまたはジ
−リン酸エステル、トリフロロ酢酸、ドデシルべンゼン
スルフォン酸など酸性度の大きい酸を脱マスキング剤と
して用いて脱マスキング処理を行う。一方、特定の官能
基含有環状オレフィンとして、特定の官能基(基X1
よび/または基X2 )がアミノ基またはアミド基である
ものを用いた場合には、アミルアルコール、ブチルアル
コール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デカ
ニルアルコール、ドデカニルアルコールなどのアルコー
ル類、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノー
ル、2,6−ジtert−ブチルクレゾールなどのフェ
ノール類、乳酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、
ステアリン酸、オレイン酸などの有機カルボン酸と、リ
チウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との
アルコラートまたは塩を脱マスキング剤として用い、さ
らに水と反応させることにより、脱マスキンク処理を行
う。
【0045】本発明の製造方法においては、このように
して得られるオレフィン系共重合体を含有する重合体溶
液を、シリカ、アルミナ、ケイソウ土、活性炭などが充
填された吸着カラムを通過させることにより、あるいは
水、アルコールなどを多量に添加して洗浄することによ
り、残留する重合触媒、脱マスキング剤などの除去処理
を行うことができる。また、オレフィン系共重合体の安
定性を向上させることを目的として、重合体溶液に、公
知のフェノール系、リン系、イオウ系の老化防止剤を添
加することができる。そして、重合体溶液中の溶媒の除
去処理を行った後、得られるスラリーから重合体の固形
物を分離し、さらにスクリュータイプの絞り機、押し出
し機、加熱ロール、減圧乾燥機などを用いて脱水、乾燥
することにより、固体状のオレフィン系共重合体が得ら
れる。
【0046】以上のような方法によれば、特定の官能基
含有環状オレフィンにおける官能基を、特定の有機金属
化合物によってマスキング処理するため、当該官能基が
確実にマスキングされる結果、重合反応において重合活
性の低下が少なく、所期のオレフィン系共重合体を確実
に製造することができる。
【0047】
【実施例】〈実施例1〉乾燥した5リットルの耐圧反応
器に、窒素雰囲気下で、溶媒としてトルエン2リット
ル、トリイソブチルアルミニウム170ミリモル、ex
o体が90モル%である5−メチル−5−カルボキシ−
ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン170ミリモル
を仕込み、25℃で10分間反応させて、5−メチル−
5−カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ンにおけるカルボキシル基のマスキング処理を行った。
次いで、この系に1−ヘキセン1リットル(8モル)お
よび7−メチル−1,6−オクタジエン450ミリモル
を仕込み、その後、予めエチレンビス(4,5,6,7
−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド
200マイクロモル、トリイソブチルアルミニウム10
0ミリモルおよびN−ジメチルアニリニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート400マイクロモ
ルを100ミリリットルのトルエン中で10℃、20分
間熟成した触媒を仕込み、30℃、1時間重合反応を行
い、乳酸800ミリモルを添加して重合を停止させた。
【0048】得られた共重合体溶液を、塩酸1モルおよ
び2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール
10gを含むメタノール溶液10リットル中に入れるこ
とにより、共重合体の脱マスキング処理を行うと共に、
当該共重合体を凝固し、さらに、メタノール5リットル
によって共重合体を2回洗浄した。その後、得られたオ
レフィン系共重合体を、減圧下で80℃で24時間乾燥
処理した。収量は260gであった。このオレフィン系
共重合体は、135℃のo−ジクロロベンゼンを溶媒と
するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)により測定したポリスチレン換算数平均分子量が2
9万で、重量平均分子量が45万のものであった。ま
た、ヨウ素価滴定法により、共重合体中の7−メチル−
1,6−オクタジエンの割合を測定したところ、4.9
モル%であり、赤外吸収スペクトル法〔波数1700c
-1の吸収スペクトル(カルボキシル基)を測定し、そ
の値と検量線とから求める方法〕により、共重合体中の
5−メチル−5−カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテンの割合を測定したところ、0.8モル%
であった。また、走査型示差熱量計により共重合体のガ
ラス転移温度を測定したところ、−49℃であった。
【0049】得られたオレフィン系共重合体について、
カルボキシル基を活性化するため0.5重量%となる量
のN−ジメチルステアリルアミンを添加し、JIS Z
0237の剥離試験法に従い、ポリエステルフィルム
に対する90度剥離テストを行ったことろ、剥離強度
(ニュートン/2.5cm)は1.0であった。また、
得られたオレフィン系共重合体を、電熱プレス機によっ
て160℃、十分間の条件でプレスした後、当該オレフ
ィン系共重合体について分析したところ、5−メチル−
5−カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ンの割合は、0.8モル%であり、優れた耐熱性を有す
るものであることが確認された。
【0050】〈比較例1〉1−ヘキセンの使用量を8.
17モルに変更し、5−メチル−5−カルボキシル−ビ
シクロ[2.2.1]−2−ヘプテンを用いないこと以
外は、実施例1と同様の操作により、オレフィン系共重
合体280gを得た。この共重合体は、135℃のo−
ジクロロベンゼンを溶媒とするゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレ
ン換算数平均分子量が30万で、重量平均分子量が45
万のものであった。また、ヨウ素価滴定法により、共重
合体中の7−メチル−1,6−オクタジエンの割合を測
定したところ、4.8モル%であった。また、走査型示
差熱量計により共重合体のガラス転移温度を測定したと
ころ、−50℃であった。また、得られたオレフィン系
共重合体について、実施例1と同様にしてN−ジメチル
ステアリルアミンを添加し、JIS Z 0237の剥
離試験法に従い、ポリエステルフィルムに対する90度
剥離テストを行ったことろ、剥離強度(ニュートン/
2.5cm)は0であった。
【0051】〈実施例2〉1リットルの耐圧反応器に、
窒素雰囲気下で、溶媒としてトルエン200ミリリット
ル、トリイソブチルアルミニウム17ミリモル、5−メ
チル−5−カルボキシル−ビシクロ[2.2.1]−2
−ヘプテン17ミリモルを仕込み、10℃で15分間反
応させて、5−メチル−5−カルボキシル−ビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテンのマスキング処理を行っ
た。次いで、この系にプロピレン2モルを仕込み、その
後、ビス(2−フェニルインデニル)ジルコニウムジク
ロライド2マイクロモルおよびメチルアルモキサン4ミ
リモルを加え、25℃で2時間重合反応を行った。
【0052】得られた共重合体溶液を、塩酸100ミリ
モルおよび2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフ
ェノール5gを含むメタノール溶液3リットル中に入れ
ることにより、共重合体の脱マスキング処理を行うと共
に、当該共重合体を凝固し、さらに、メタノール5リッ
トルによって共重合体を2回洗浄した。その後、得られ
たオレフィン系共重合体を、減圧下で40℃で20時間
乾燥処理した。収量は75gであった。この共重合体
は、135℃のo−ジクロロベンゼンを溶媒とするゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により
測定したポリスチレン換算数平均分子量が8.9万、重
量平均分子量が16.7万のものであった。赤外吸収ス
ペクトル法〔波数1700cm-1の吸収スペクトル(カ
ルボキシル基)を測定し、その値と検量線とから求める
方法〕により、共重合体中の5−メチル−5−カルボキ
シ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンの割合を測
定したところ、0.80モル%であった。また、走査型
示差熱量計により共重合体のガラス転移温度およひ融点
をを測定したところ、ガラス転移温度が−35℃、融点
が130℃であった。
【0053】得られたオレフィン系共重合体について、
カルボキシル基を活性化するため0.5重量%となる量
のN−ジメチルステアリルアミンを添加し、JIS Z
0237の剥離試験法に従い、ポリエステルフィルム
に対する90度剥離テストを行ったことろ、剥離強度
(ニュートン/2.5cm)は0.5であった。また、
得られたオレフィン系共重合体を、電熱プレス機によっ
て160℃、十分間の条件でプレスした後、当該オレフ
ィン系共重合体について分析したところ、5−メチル−
5−カルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテ
ンの割合は、0.8モル%であり、優れた耐熱性を有す
るものであることが確認された。また、得られたオレフ
ィン系共重合体について、ASTM D412に準拠し
て引張試験を行ったことろ、25℃の破断時の引っ張り
強度は89MPa、引っ張り伸びは830%であった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のオレフィ
ン系共重合体によれば、他の材料に対する接着性および
相溶性が高く、しかも、耐屈曲性に優れたエラストマー
が得られる。このようなエラストマーは自動車部品、機
械部品、電子部品、土木建材などの材料として好適なも
のである。また、本発明の製造方法によれば、他の材料
に対する接着性および相溶性が高く、しかも、耐屈曲性
に優れたエラストマーが得られるオレフィン系共重合体
を確実に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海津 充孝 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J028 AC04A AC09A AC10A AC14A AC24A AC27A AC28A AC32A AC35A AC36A AC37A AC38A BA00A BA02B BA03B BB00A BB01B BB02B BC05B BC06B BC09B BC13B BC15B BC16B BC17B BC19B BC20B BC24B BC25B BC27B BC34B CB44C CB92C CB95C DB10B EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB16 EB17 EB18 EC02 EC04 GA01 GA19 4J100 AA03P AA04P AA07P AA15P AA16P AA17P AA19P AA21P AR09Q AR11Q AR22R AS11R AS15R BA03Q BA16Q BA29Q BA30Q BA35Q BC66Q CA04 CA05 DA01 DA25 FA09 JA28 JA43 JA67

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が3〜12のα−オレフィンに由
    来する構造単位(a)と、 下記一般式(1)で表される構造単位(b)とからな
    り、 ゲルパーミエションクロマトグラフィーにより測定され
    るポリスチレン換算数平均分子量が2万〜150万であ
    ることを特徴とするオレフィン系共重合体。 【化1】 〔式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立して水素原
    子、炭化水素基または下記の官能基を示し、X1 および
    2 のうち少なくとも一方は下記の官能基である。R1
    およびR2 は、それぞれ独立して水素原子または炭素数
    1〜10の炭化水素基を示す。nは0〜2の整数を示
    す。 官能基:ヒドロキシル基若しくはヒドロキシル基が結合
    した炭化水素基、カルボキシル基若しくはカルボキシル
    基が結合した炭化水素基、第一級アミノ基、第二級アミ
    ノ基若しくはこれらのアミノ基が結合した炭化水素基ま
    たはこれらの第四級アンモニウム塩、N活性水素原子を
    少なくとも一つ有するアミド基またはこのアミド基が結
    合した炭化水素基、並びにX1 とX2 とから構成された
    −CO−NH−CO−で表されるイミド基から選ばれた
    官能基。〕
  2. 【請求項2】 炭素数3〜12のα−オレフィンに由来
    する構造単位(a)と、 請求項1に記載の一般式(1)で表される構造単位
    (b)と、 非共役ジエンに由来する構造単位(c)とからなり、 ゲルパーミエションクロマトグラムで測定されるポリス
    チレン換算数平均分子量が2万〜150万であることを
    特徴とするオレフィン系共重合体。
  3. 【請求項3】 炭素数が3〜12のα−オレフィンに由
    来する構造単位(a)が10〜90モル%、一般式
    (1)で表される構造単位(b)が0.01〜30モル
    %、非共役ジエンに由来する構造単位(c)が0〜30
    モル%であることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のオレフィン系共重合体。
  4. 【請求項4】 ガラス転移温度が−100〜30℃であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに
    記載のオレフィン系共重合体。
  5. 【請求項5】 下記一般式(2)で表される官能基含有
    環状オレフィンと、周期表第2族、第12族および第1
    3族から選ばれた金属による有機金属化合物とを反応さ
    せ、 得られた反応生成物と、炭素数が1〜12のα−オレフ
    ィンと、必要に応じて用いられる非共役ジエンとを、遷
    移金属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触
    媒の存在下に重合させる工程を有することを特徴とする
    オレフィン系共重合体の製造方法。 【化2】 〔式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立して水素原
    子、炭化水素基または下記の官能基を示し、X1 および
    2 のうち少なくとも一方は下記の官能基である。R1
    およびR2 は、それぞれ独立して水素原子または炭素数
    1〜10の炭化水素基を示す。nは0〜2の整数を示
    す。 官能基:ヒドロキシル基若しくはヒドロキシル基が結合
    した炭化水素基、カルボキシル基若しくはカルボキシル
    基が結合した炭化水素基、第一級アミノ基、第二級アミ
    ノ基若しくはこれらのアミノ基が結合した炭化水素基ま
    たはこれらの第四級アンモニウム塩、N活性水素原子を
    少なくとも一つ有するアミド基またはこのアミド基が結
    合した炭化水素基、並びにX1 とX2 とから構成された
    −CO−NH−CO−で表されるイミド基から選ばれた
    官能基。〕
  6. 【請求項6】 周期表第2族、第12族および第13族
    から選ばれた金属による有機金属化合物が有機アルミニ
    ウム化合物であることを特徴とする請求項5に記載のオ
    レフィン系共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 周期表第2族、第12族および第13族
    から選ばれた金属による有機金属化合物は、一般式
    (2)で表される官能基含有環状オレフィンにおける官
    能基1当量に対して0.8当量以上となる割合で用いら
    れることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の
    オレフィン系共重合体の製造方法。
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