JP2001247899A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 布帛上のグリース、鉱油のような頑固な油汚
れや衿、袖口、くつ下などのプレウオッシャーとしても
効果があり、硬表面の汚れ除去剤としても十分な効果が
得られ、尚且つ、保存時の透明均一性、安定性、安全性
に優れた液体洗剤組成物を提供する。 【解決手段】 下記A〜Cの成分を含有し、実質上透明か
つ均一であることを特徴とする液体洗浄剤組成物 Ａ．テルペン系炭化水素 １5〜７０重量％ Ｂ．非イオン系界面活性剤 ２０〜８５重量％ Ｃ．水 ０〜２０％

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、衣類や硬表面の洗浄に
用いられる液体洗浄剤組成物に関し、より詳しくは作業
着等に付着した油汚れの洗浄性に優れ、透明かつ均一で
長期の保存によっても分離を起こさず安定であり、安全
性の高い液体洗浄剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】テルペン系炭化水素はグリース除去性能
に優れているために、これを硬表面洗浄剤に使用するこ
とは周知である。また、その時に非イオン系界面活性剤
等の界面活性剤を用いることもまた周知である。カーペ
ットや衣料用重質洗剤としてテルペン系炭化水素と各種
界面活性剤との組み合わせを開示した特許も多く見られ
る。

【０００３】公開昭６１−１８３３９８号公報は、柑橘
油２０〜９０％と水残量を含有し、その柑橘油中の成分
として、ｄ−リモネン、ステアリン酸、オレイン酸及び
非イオン系界面活性剤を含有する清浄剤を開示してい
る。これはハンドクリーナー用としても全目的用清浄剤
としても使用できると述べている。

【０００４】欧州特許出願第００７２４８８明細書は、
テルペンたとえばｄ−リモネンが不均一乳濁液として布
帛の前処理用組成物に配合できることを示唆している。
これは不均一乳濁液であることから、使用直前に振とう
する必要がある。しかし振とうが不十分であると、その
前処理効果が十分に発揮できない恐れがあり、また、使
用開始時と使用終了時で洗浄液の効果に差がでることが
予想される。

【０００５】特公平６−３１４２０号公報は、布帛前処
理、スルー・ザ・ウオッシュ方式の両方において好適で
ある洗浄剤として、テルペン類を５〜２０％含有する洗
浄剤を開示している。この組成物はセッケン及びミクロ
エマルジョン安定剤を含有した水中油ミクロエマルジョ
ンの形態からなるものであり、同公報にも記載のよう
に、少量（３％）のテルペン単独では洗浄液による希釈
がそれらの効果を無くすので、クリーニング上の追加的
利益はほとんど得られない。その上、グリース・機械
油、変性油などの頑固な油汚れについてテルペン５〜２
０％が必ずしも満足できる程度の高濃度であるとは言い
難い。かといって、テルペンを単独で用いてもグリース
汚れに対して充分満足な洗浄性は得られない。経済的理
由においてもテルペンは洗浄剤一般に用いられる非イオ
ン系界面活性剤と比較して高価であり、単独で用いるの
は得策でない。また、水系洗浄剤においてテルペンを高
濃度で使用するのは、同洗浄剤を液体として安定性よく
維持することが困難で、白濁、ペースト状化、分層等の
問題を来たす。白濁液は、状態が不安定な場合が多く、
室温では安定でも高温や低温などの条件により容易に分
層を起こすことがある。また、ペーストは液と比べて汚
れの内部まで浸透しにくいため、布帛などにそのまま塗
布するような使用形態では液よりも効果が劣る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の上
記諸問題を解決すべくなされたものであり、布帛上のグ
リース、鉱油のような頑固な油汚れや衿、袖口、くつ下
などのプレウオッシャーとしても効果があり、硬表面の
汚れ除去剤としても十分な効果が得られ、尚且つ、保存
時の透明均一性、安定性、安全性に優れた液体洗剤組成
物を提供せんとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、様々な溶剤及び界面活性剤に着目し検討
を重ねた結果、多くの溶剤のなかでもテルペン系炭化水
素がグリース、鉱油などの洗浄において非常に優れた洗
浄剤であることを確認した。また、界面活性剤において
はアニオン系界面活性剤より、非イオン系界面活性剤が
特に優れた洗浄力を示すことも確認した。しかし、これ
らを単独、もしくは不適当な配合割合で使用した場合、
十分な効果が得られないだけでなく、均一で安定な液体
洗浄剤を得ることが困難である。本発明ではテルペン系
炭化水素と非イオン系界面活性剤の割合を所要範囲に限
定することにより、作業服等に付着したグリース・鉱油
などの油汚れのプレスポッターとしての洗浄に特に優
れ、長期保存においても透明性、安定性に優れ、使用前
に振とうする必要のない、安全性に優れた液体洗剤組成
物を完成した。また、本発明洗浄剤組成物は布帛上のグ
リース・鉱油の洗浄に対してだけでなく、硬表面の変性
油の洗浄や、衿、袖口、くつ下などの汚れに対しても市
販の洗浄剤と同等以上の洗浄性能を示すことを確認し
た。

【０００８】すなわち、本発明による液体洗浄剤組成物
は、下記Ａ〜Ｃの成分を含有することを特徴とするもの
である。 （Ａ）テルペン系炭化水素 １５〜７０重量％ （Ｂ）非イオン系界面活性剤 ２０〜８５重量％ （Ｃ）水 ０〜２０％

【０００９】本発明洗浄剤組成物において、テルペン系
炭化水素の配合量は１５〜７０重量％で、好ましくは２
０〜５０重量％の範囲である。この配合量が少なすぎる
とグリースや機械油に対する十分な洗浄力が得られな
い。多すぎても改善点がなく、逆に非イオン界面活性剤
の含量が減るために，グリース汚れに対する洗浄力が低
下する傾向がある、また、引火点や経済的な面からも不
利益である。テルペン系炭化水素にはリモネン、ピネ
ン、ジテルペン等があるが、汎用性、香りの面からリモ
ネンが最も好ましい。

【００１０】非イオン系活性剤の配合量は２０〜８５％
で、好ましくは３０〜８０％の範囲である。この配合量
が少なすぎると洗浄力が低下する。多すぎるとテルペン
系炭化水素の配合量が減少するため洗浄力が低下する。
非イオン系界面活性剤としてはポリオキシアルキレンア
ルキルエーテル若しくは脂肪酸アルカノールアミドが望
ましい。脂肪酸アルカノールアミドを用いた場合は経時
的に黄変が見られるため黄変防止剤を配合する。

【００１１】水の量は０〜２０％、好ましくは５〜１５
％の範囲である。水の配合目的は引火点を５０付近から
７０℃以上に上げることである。また、経済的にも水を
含有する方が有利である。水を配合しない場合ｄ−リモ
ネンの引火点は４８℃付近であり、非イオン界面活性剤
を混入しても引火点はほとんど変わらないため、防火上
の安全性に充分配慮した容器および保存が必要である。
水の含量が多すぎると洗浄力が低下し、白濁、増粘が起
こり、安定な液の状態が保てなくなる。

【００１２】本発明組成物には、必要に応じて、上記構
成成分以外に活性剤、ｐＨ調整剤、金属イオン封鎖剤、
香料、色素（蛍光剤、漂白剤、酵素）、その他の添加物
を目的に応じて適宜に加えることができる。

【００１３】

【作用】本発明による洗浄組成物は、作業着等に付着し
たグリース・機械油のような汚れのプレスポット洗浄に
好適であり、被洗物を水に濡らさない状態で該洗浄組成
物を被洗物に塗布し、その後他の洗濯洗剤を用いて通常
どおり洗濯することにより、良好な洗浄性が得られる。
また、皮脂に対しても良好な洗浄性を示すため、襟、袖
口、靴下に付着した汚れの洗浄にも好適である。また、
原料に油脂を用いているファンデーション、口紅などの
化粧品が衣料に付着したシミの洗浄にも効果がある。こ
の場合も被洗物が濡れているとその効果が減少する。界
面活性剤は被洗物が濡れていても、その効果はそれほど
変わらないが、溶剤（ここではテルペン系炭化水素）は
被洗物が先に濡れていると効果が減少する。また、大量
の水での希釈によっても溶剤はその効果を十分に発揮で
きない。被洗物を水で濡らさない状態で該洗浄組成物を
被洗物に塗布し、水より先に溶剤が被洗物及び汚れに到
達するようにする。その後追加される大量の水は汚れと
溶剤と界面活性剤の混合物を運び出すキャリアとして作
用する。このことから、本発明洗浄剤組成物は通常の洗
濯洗剤として使用することも勿論可能であるが、テルペ
ン系炭化水素の洗浄効果は大量の水による希釈によって
低下するため、プレスポット洗浄剤として用いる方がよ
り効果的である。本発明洗浄剤組成物は、変性油に対し
ても良好な洗浄性を示すため、硬表面洗浄剤としても好
適である。硬表面、特に変性油が多く付着しているレン
ジ周りの洗浄剤としては一般にアルカリ性の強いレンジ
用洗浄剤が用いられるが、本発明洗浄剤組成物はこれら
のレンジ用洗浄剤と比べて人体に対するマイルド性が高
い。なぜなら本発明洗浄剤組成物はｐＨ調整が可能であ
り、中性のｐＨでも充分な効果を発揮する。本発明洗浄
剤組成物は油汚れの洗浄性に優れるが、油と同時に付着
したカーボンや泥汚れの洗浄性にも優れる。これはグリ
ースや機械油のような油性の汚れが粒状の汚れを包み込
むように存在しており、これが被洗物と粒状汚れをつな
ぐバインダーのような役目をしているため、本発明洗浄
剤組成物が油性汚れ成分を落す事によりこれらの粒状汚
れも同時に取り去る事ができるためである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を具
体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。

【００１５】実施例１〜６、比較例１〜４ テルペン系炭化水素としてｄ−リネンを、非イオン系界
面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル
を、それぞれ表１に示す配合量で配合し、実施例６では
さらに水を加え、液体洗浄剤組成物を得た。

【００１６】実施例７〜１４ ｄ−リモネン３３重量部と、表２に示す種々の非イオン
系界面活性剤６７重量部とを、それぞれ表２に示す配合
量で配合し、液体洗浄剤組成物を得た。

【００１７】実施例１５〜１８、比較例５〜７ ｄ−リモネンと、表３に示す非イオン系界面活性剤と、
イオン交換水とを、それぞれ表３に示す配合量で配合
し、液体洗浄剤組成物を得た。

【００１８】評価 実施例および比較例で得られた液体洗浄剤組成物を下記
の項目について評価した。評価結果は表１および表２に
示す。

【００１９】ａ）安定性 ５０ｃｃガラススクリュー瓶容器中に本発明洗浄剤組成
物を入れ、容器に蓋をし、０℃および４０℃の温度にお
いてそれぞれ１ヶ月間放置し、容器内の組成物の外観を
目視観察することにより、液体洗浄剤組成物の安定性を
下記の基準に基づいて評価した。

【００２０】 透明で均一な状態…○ 透明、均一ではない状態…×

【００２１】ｂ）洗浄力テスト １）汚染布の作成 グリース汚染布：グリース１００重量部に対し、カーボ
ンブラック０．０１重量部を添加し、全体を良く混練し
たものを作成する。この混練物を綿布１０×２０ｃｍに
２ｇの割合で刷り込むように塗り付ける。次いで、この
綿布を濾紙で挟んで、余分な油分を濾紙に吸収させなが
ら２週間放置する。その後この綿布を５×５ｃｍのサイ
ズに裁断する。得られた裁断片をグリース汚染布洗浄力
テスト用のテスト片として用いる。

【００２２】機械油汚染布：機械油をパットに１００ｇ
入れる。１０×２０ｃｍに裁断した綿布をこの中に浸漬
した後、取り出し、余分な油をローラーで搾り取る。次
いで、この綿布を濾紙で挟んで、余分な油分を濾紙に吸
収させながら２週間放置する。その後この綿布を５×５
ｃｍに裁断する。得られた裁断片を機械油汚染布洗浄テ
スト用のテスト片として用いる。

【００２３】襟垢汚染布：襟垢汚染布テスト片はＪＩＳ
Ｋ ３３６２ ９洗浄力評価方法に準じて作成する。

【００２４】ファンデーション汚染布：市販のファンデ
ーションをスポンジで綿布に水平直線状に塗り付け、中
央部で垂直に裁断し、１対のフアンデーション汚染布テ
スト片を作成する。

【００２５】口紅汚染布：市販の口紅を直接綿布に塗り
付け、フアンデーションと同様に一対の汚染布を作成す
る。

【００２６】２）洗浄効率の算出（グリース、機械油汚
染布） 洗浄前に各テスト片の反射率を測定しておく。テスト片
の中央部に本洗浄剤組成物を１枚につき０．２ｍｌ添加
する。次いで、テスト片１０枚を一組として洗濯を行
う。洗濯は、市販の洗濯機「三洋ひまわりコンパクト８
０ ＡＳＷ−Ｄ８０Ｐ（ＨＳ）」を用い、市販の洗濯用
合成洗剤を使用量の目安に従って添加し（20ｇ/30
Ｌ）、標準コースにて行う。浴比調整用の布は用いな
い。洗浄後、アイロン乾燥を行い、反射率を測定し、洗
浄効率を次式で算出する。

【００２７】

【数１】

【００２８】3）評価（グリース、機械油汚染布） グリース洗浄力および機械油洗浄力を下記の基準に従っ
て評価する。

【００２９】 洗浄効率９０％以上…◎ 洗浄効率８０％以上〜９０％未満…〇 洗浄効率８０％未満…×

【００３０】4) 一対比較（襟垢、ファンデーション、
口紅汚染布） １５対を２組に分け、その一方の組に、本発明洗浄剤組
成物を汚れに沿って０．２ｍｌずつ塗布し、他方の組に
は市販の前処理用洗浄剤を同様に塗布する。その後、各
組ごとに洗濯を行う。洗濯は洗浄効率の算出の場合と同
様に行う。ファンデーション、口紅汚染布についても同
様に洗浄を行う。

【００３１】5) 評価（襟垢、ファンデーション、口紅
汚染布） アイロン乾燥した汚染布を対になるように並べ、汚れ落
ちの程度を目視で評価し、判定する。１５名の判定者で
下記（評価区分）に従って評価し、シェッフェの一対比
較法を用いて有意差検定を行い、洗浄力を下記≪洗浄力
評価基準≫で評価する。

【００３２】 ＜評価区分＞ 本発明洗浄剤組成物が明らかに劣る … −２ 本発明洗浄剤組成物がやや劣る … −１ ほとんど差がない … ０ 本発明洗浄剤組成物がやや勝る … ＋１ 本発明洗浄剤組成物が明らかに勝る … ＋２ ≪洗浄力評価基準≫ 有意水準１％で本発明洗浄剤組成物が優れている… ◎ 有意水準５％で本発明洗浄剤組成物が優れている… ○ 有意差なし … △ 有意差ありで本発明洗浄剤組成物が劣っている … ×

【００３３】ｃ）引火性 引火性をクリーブランドオープンカップ法により測定
し、下記の基準に従って評価する。

【００３４】 引火性７０℃以上…○ 引火性７０℃未満…×

【００３５】

【表１】

【００３６】

【表２】

【００３７】

【表３】

【００３８】表１、表２、表３から判るように、実施例
の液体洗浄剤組成物はいずれの項目においても良好な結
果を示した。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、外観上、実質上透明で
長期の保存においても分離等を起こさず、安定性、安全
性が高く、作業着等の油汚れに対する洗浄性が良好な液
体洗浄剤組成物を得ることができる。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記A〜Cの成分を含有し、実質上透明かつ
   均一であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。 （Ａ）テルペン系炭化水素 １５〜７０重量％ （Ｂ）非イオン系界面活性剤 ２０〜８５重量％ （Ｃ）水 ０〜２０％
2. 【請求項２】テルペン系炭化水素がリモネンであること
   を特徴とする請求項１記載の液体洗剤組成物。
3. 【請求項３】非イオン系界面活性剤が下記一般式で示さ
   れるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであること
   を特徴とする請求項１または２記載の液体洗剤組成物。 Ｒ^１Ｏ（Ｃ₂Ｈ₄Ｏ）_m（Ｃ₃Ｈ₆Ｏ）_nＨ （式中、Ｒ¹はＣ_８〜18アルキル基またはアルケニル
   基、ｍは５〜１４、ｎは０〜５をそれぞれ意味する。）
4. 【請求項４】非イオン系界面活性剤が脂肪酸アルカノー
   ルアミドである請求項１または２記載の液体洗剤組成
   物。
5. 【請求項５】水の含有量が５〜２０％で、引火点が７０
   ℃以上である請求項１〜４のいずれか記載の液体洗剤組
   成物。