JP2001232348A - 水中における過酸化水素発生を抑制する方法 - Google Patents
水中における過酸化水素発生を抑制する方法Info
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Abstract
とにより、水の品質を維持し、保存性を高める方法を提
供すること;および、内部に保存した水の劣化を抑制し
うる水保存用の容器を提供すること。 【解決手段】 水に当たる光を遮光することを特徴とす
る、水中における過酸化水素発生を抑制する方法;およ
び、超純水、イオン交換水、再蒸留水、または天然水の
保存容器であって、該容器中に保存される水に対する遮
光手段が施されていることを特徴とする容器。
Description
化水素発生を抑制する方法とその方法を利用した容器に
関するものである。特に本発明は、超純水、イオン交換
水、再蒸留水、天然水の保存方法に関し、保存容器に光
遮光性を持たせることにより、保存中における過酸化水
素発生を抑制する方法に関するものである。
光が照射すると、品質の劣化が生じることが従来から知
られている。これらの飲料には多くの有機物質が含まれ
ており、その有機物質が劣化することにより飲料の品質
が劣化するものと認識されている。このため、有機物質
を含有する飲料等においては、保存方法の研究が極めて
重要なものと位置付けられている。これまでにも、品質
の劣化を防ぐために、保存容器の材質や色、保存条件に
ついて種々の検討がなされてきた。例えば、ワインの場
合は、低温で遮光保存することにより、一般に品質の劣
化を防いでいる。
をわずかに含有するが、有機物質はまったく含まない
か、含んでいても極微量である。また、超純水のように
まったく含有物がないものもある。これらの水について
は、有機物質の劣化による品質劣化のおそれがないため
に、そもそも品質劣化抑制に対する意識が欠けている。
例えば、各種ミネラルウォーターは、透明なペットボト
ルに詰められて販売されており、特に品質劣化への対策
は講じられていない。
者がp−アセタミドフェノールとヒドロキシルアミン体
を併用した酵素の分析方法(特開平9−28396号公
報)を用いて各種水の過酸化水素を分析したところ、蛍
光灯の弱い光でも水中に過酸化水素が生成することが確
認された。
の生成を抑制することにより、水の品質を維持し、保存
性を高める方法を提供することを第1の課題とした。ま
た本発明は、内部に保存した水の劣化を抑制しうる水保
存用の容器を提供することを第2の課題とした。
解決するために様々検討した結果、容器に遮光性を付与
することにより過酸化水素の発生を抑制することができ
ることを見出して、本発明を提供するに至った。すなわ
ち本発明は、水に当たる光を遮光することを特徴とす
る、水中における過酸化水素発生を抑制する方法を提供
する。本発明の方法は、過酸化水素と反応する金属イオ
ンの濃度が水道水よりも少ない水に対して適用すること
が効果的である。具体的には、超純水、イオン交換水、
再蒸留水、および天然水からなる群から選択される水に
対して適用することが好ましい。
蒸留水、または天然水の保存容器であって、該容器中に
保存される水に対する遮光手段が施されていることを特
徴とする容器も提供する。本発明の容器は、少なくとも
一部が遮光性材料(例えば着色ガラス)で構成されるこ
とが好ましい。
び容器について詳細に説明する。本発明の過酸化水素発
生を抑制する方法は、水に当たる光を遮光することを特
徴とする。本発明で遮光する光は、水中において直接的
に過酸化水素を発生させるか、あるいは過酸化水素を発
生する機構に作用する光である。したがって、過酸化水
素発生に関与しない光については、水に当たってもよい
し、遮光してもよい。
れない。通常は、過酸化水素発生に関与する光を吸収す
る材料や、過酸化水素発生に関与する光を反射する材料
を用いて遮光する。例えば、着色ガラス、光吸収性樹
脂、光吸収材を混合した樹脂などを幅広く用いることが
できる。
み合わせて光の遮光を行う。例えば、本発明の容器全体
を遮光性材料で構成してもよいし、表面だけを遮光性材
料で覆ってもよい。表面を遮光性材料で覆う場合は、光
が当たる容器側面と上面にのみ遮光性材料を被覆して、
底面や底面付近には被覆せずに内容物が確認できるよう
にしておいてもよい。これらをはじめとする容器の具体
的態様は、本発明の目的を該しない範囲で考案し採用す
ることができる。
含有していない水、および有機物質の含有量が極めて少
ない水である。具体的には、超純水、イオン交換水、再
蒸留水、天然水(ミネラルウォーター)を対象にするこ
とができる。特に、現在透明なペットボトルに入れて販
売されている水に対して適用すれば実際上の利点が大き
い。
u、Znなどの金属イオンが存在すると、過酸化水素と
反応して過酸化水素の濃度が下がることから、水中に含
まれている金属イオン濃度が低いと水中に過酸化水素が
溜まりやすいことが明らかになった。水道水は、Feの
含有量が多いために比較的過酸化水素が溜まりにくい。
しかしながら、金属イオンがまったく存在しない超純水
や、金属イオン濃度が低い再蒸留水などは、過酸化水素
が溜まりやすい。このため、本発明は、水道水よりも金
属イオン濃度が低いこれらの水に対して適用すればより
効果的である。
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限
り適宜変更することができる。したがって、本発明の範
囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
を用いた。p−アセトアミドフェノール(p−AP)は
超純水にて20mMの濃度に調整した。西洋ワサビ由来
ペルオキシダーゼ(HRP)は測定緩衝液にて1u/m
lの濃度に調整した。1-ヒドロキシ-2,2,5,5-テトラメ
チル-3-イミダゾリン-3-オキシド(HTIO)は0.1MのM
OPS緩衝液(pH6.5)にて4mMの濃度に調整
し、氷浴中にて保存した。キレート剤のDTPAは測定
緩衝液にて10mMの濃度に調整し、必要に応じて測定
系に10μl添加した。
定 サンプル中にFe、Cu、Znなどの金属イオンが存在
する場合、過酸化水素と反応してOHラジカルを発生す
る。発生したOHラジカルはHTIOと反応して、安定
ラジカル2,2,5,5-テトラメチル-3-イミダゾリン-3-オキ
シド-1-オキシル(TIOO)を生成させる。このため、TIOO
のシグナル強度を測定することにより、サンプル中にお
ける過酸化水素を消費する金属イオンの多少に関する情
報が得られる。ただし、本法によって金属種を同定する
ことはできない。
天然水、MILLI-QSP REAGENT WATERSYSTEM(MILLIPORE社)
の超純水、カートリッジ純水器G−5B形(オルガノ
(株)製)にて調整したイオン交換水の測定を行った。
すなわち、サンプル200μlに0.1MのMOPS緩
衝液(H2O2を0.015%含有)を100μl、HT
IOを10μl添加し、室温にて15分反応させ、生成
したTIOO量をESR装置(JEOL FR30)にて測
定した。すべての測定は、以下の条件下にて行った。 Center Field: 336.000±5 mT、Power:4 mW、Modwid:0.
1 mT、Amp:x500、TimeConstant:0.3 sec、Sweep Time:4
min
た時のTIOOの典型的なESRスペクトルを示す。3本線
のうちいずれかひとつのシグナルの高さを測定すること
により過酸化水素等の濃度比率が可能となる。各サンプ
ルに対する測定結果を以下の表に示す。
μl、0.1MのMOPS緩衝液100μl、p−AP
(20mM)30μl、HTIO(4mM)10μl、
HRP(1u/ml)10μlを添加後、室温にて3分
間反応させ、生成したTIOO量を測定した。この測定は、
LIGHT BOX NEW 5000INVERTE
R(FUJICOLOR社製)を用いて30分間光照射
を行う前と後にそれぞれ行った。結果を以下の表に示
す。
確認するため、カタラーゼ添加前後におけるTIOOのシグ
ナル強度を比較した。カタラーゼの添加量は100μg
である。図1に示すようにカタラーゼ添加によりシグナ
ル強度がドラスティックに減少したことから、測定対象
物が過酸化水素であることが証明された。
は、蛍光灯の光でも過酸化水素を生成せしめること、サ
ンプル中に微量金属イオンの混入が少ない水ほど過酸化
水素が溜りやすいということである。鉄含有量が多いと
推定される水道水が最も過酸化水素が溜りにくく、最も
きれいな超純水が光照射により最大の過酸化水素の増加
を示すことからも明らかである。
酸化水素の発生を効果的に抑制することにより、水の保
存性を高め、品質を維持することができる。また、本発
明の容器に水を保存すれば、水中における過酸化水素の
発生が抑えられ、高品質のまま長期間水を保存すること
ができる。
するTIOOのESRスペクトルである。
るためTIOOの生成が抑制されることを示すESRスペク
トルである。(a)はカタラーゼ添加前、(b)はカタ
ラーゼを添加後である。
Claims (6)
- 【請求項1】 水に当たる光を遮光することを特徴とす
る、水中における過酸化水素発生を抑制する方法。 - 【請求項2】 過酸化水素と反応する金属イオンの濃度
が水道水よりも少ない水に対して適用することを特徴と
する請求項1の方法。 - 【請求項3】 超純水、イオン交換水、再蒸留水、およ
び天然水からなる群から選択される水に対して適用する
ことを特徴とする請求項1または2の方法。 - 【請求項4】 超純水、イオン交換水、再蒸留水、また
は天然水の保存容器であって、該容器中に保存される水
に対する遮光手段が施されていることを特徴とする容
器。 - 【請求項5】 前記容器の少なくとも一部が遮光性材料
で構成されることを特徴とする請求項4の容器。 - 【請求項6】 前記遮光性材料が着色ガラスであること
を特徴とする請求項5の容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000043971A JP2001232348A (ja) | 2000-02-22 | 2000-02-22 | 水中における過酸化水素発生を抑制する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000043971A JP2001232348A (ja) | 2000-02-22 | 2000-02-22 | 水中における過酸化水素発生を抑制する方法 |
Publications (1)
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---|---|
JP2001232348A true JP2001232348A (ja) | 2001-08-28 |
Family
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JP2000043971A Pending JP2001232348A (ja) | 2000-02-22 | 2000-02-22 | 水中における過酸化水素発生を抑制する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001232348A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020031610A (ja) * | 2018-08-31 | 2020-03-05 | サントリーホールディングス株式会社 | 選択的光透過抑制容器入りアルコール飲料 |
-
2000
- 2000-02-22 JP JP2000043971A patent/JP2001232348A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020031610A (ja) * | 2018-08-31 | 2020-03-05 | サントリーホールディングス株式会社 | 選択的光透過抑制容器入りアルコール飲料 |
JP7038028B2 (ja) | 2018-08-31 | 2022-03-17 | サントリーホールディングス株式会社 | 選択的光透過抑制容器入りアルコール飲料 |
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