JP2001231445A - 渋柿果実の軟化抑制方法 - Google Patents

渋柿果実の軟化抑制方法

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JP2001231445A
JP2001231445A JP2000049114A JP2000049114A JP2001231445A JP 2001231445 A JP2001231445 A JP 2001231445A JP 2000049114 A JP2000049114 A JP 2000049114A JP 2000049114 A JP2000049114 A JP 2000049114A JP 2001231445 A JP2001231445 A JP 2001231445A
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fruit
fruits
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softening
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JP2000049114A
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English (en)
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Shinji Harima
真志 播磨
Yoshinobu Kitano
欣信 北野
Eiichi Tomita
栄一 富田
Shoji Inaba
昭次 稲葉
Yasutaka Kubo
康隆 久保
Ryuhei Nakano
龍平 中野
Kazuhiko Inobe
和彦 伊野辺
Yoshizumi Tajima
良純 田嶋
Shogo Nishioka
章伍 西岡
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WAKAYAMAKEN NOGYO KYODO KUMIAI
WAKAYAMAKEN NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
Wakayama Prefecture
Original Assignee
WAKAYAMAKEN NOGYO KYODO KUMIAI
WAKAYAMAKEN NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
Wakayama Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収穫後に常温下で保存中の渋柿果実に軟化が
発生することを抑制し、加えて脱渋も可能な渋柿果実の
軟化抑制方法を提供すること。 【解決手段】 この渋柿果実の軟化抑制方法は、収穫後
の渋柿果実を脱渋する過程と、脱渋した渋柿果実を高湿
度に保つ保湿手段に収容して保存する過程と、を含んで
成る構成である。あるいは、収穫後の渋柿果実を高湿度
に保つ保湿手段に収容して保存する過程と、保湿手段に
保存されている渋柿果実を脱渋する過程と、を含んで成
り、かつ、保存されている渋柿果実の周囲に脱渋用ガス
を導入するための貫通孔5,6が、保湿手段に設けられ
たものである。前記の保湿手段としては、水蒸気を通さ
ない可撓性シート材から構成されたものや、水蒸気を通
さない板材7で形成された保存箱2と箱蓋3とから成る
箱体1などが挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、渋柿果実の収穫後
の急激な追熟現象である軟化を抑制し、かつ、軟化を抑
制しつつ炭酸ガスによる脱渋処理も可能な渋柿果実の軟
化抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、果実をはじめとする青果物の鮮
度を保持するにあたっては、低温下で貯蔵する方法や、
容器内等に密封保存する方法が、追熟を遅延させる方法
として知られている。かかる追熟遅延方法を渋柿果実に
適用できれば、追熟現象の一種である柿果実の軟化を抑
制できる可能性が出てくる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、渋柿果
実は炭酸ガス等による脱渋処理直後から脱渋が完了する
までの数日間、常温下に保持しなければならないため、
低温下で渋柿果実を貯蔵すると、脱渋完了までの期間が
長くなったり、あるいは脱渋が不完全になるおそれがあ
る。また、果実を容器内で密封保存する方法は、果実周
囲のガス環境を変化させることにより果実の追熟を抑制
するものであるが、かかる抑制方法により渋柿果実を密
封保存しても、容器内環境における炭酸ガス濃度を、脱
渋に必要なガス濃度まで高めることができず、脱渋が不
完全になる。
【0004】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたものであって、収穫後に常温下で保存中の渋柿
果実に軟化が発生することを抑制し、加えて脱渋も可能
な渋柿果実の軟化抑制方法の提供を目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る渋柿果実の軟化抑制方法は、収穫後の
渋柿果実を脱渋する過程と、脱渋した渋柿果実を高湿度
に保つ保湿手段に収容して保存する過程と、を含んで成
る構成にしてある。
【0006】上述した構成における保湿手段としては可
撓性シート材から構成されたものがある。この可撓性シ
ート材としては、特に限定されないが、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニルな
どから成る合成樹脂シートないしはフィルム、あるいは
アルミ箔シートなどが挙げられる。
【0007】また、上述した構成における保湿手段とし
て、水蒸気を通さない板材から成っていて渋柿果実の周
囲を被う箱体で構成されているものもある。前記した水
蒸気を通さない板材としては、特に限定されないが、例
えばポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ
メタクリレートなどから成型された成型板、ダンボール
の表面に合成樹脂フィルムやアルミ箔を積層した積層
板、ダンボールの表面にパラフィン等の塗膜をコーティ
ングしたコーティング板、木板の表面に合成樹脂製の化
粧シートを接着した化粧板、ダンボールや木板の表面に
アルミ箔を貼着した板材などが挙げられる。本発明の箱
体としては、渋柿果実を出し入れするための出入口を有
し、この出入口を封止する蓋体を備えたものが用いられ
る。この箱体は、箱内から水蒸気が洩れ出すのは構わな
いが箱内を一定の高湿度雰囲気に保てる程度の気密性を
備えていればよい。尚、箱体を構成する箱本体と蓋体と
は、別々に構成されたものに限らず、成型などにより一
体に構成されたものでよい。
【0008】また、別の発明に係る渋柿果実の軟化抑制
方法は、収穫後の渋柿果実を高湿度に保つ保湿手段に収
容して保存する過程と、保湿手段に保存されている渋柿
果実を脱渋する過程と、を含んで成り、かつ、保存され
ている渋柿果実の周囲に脱渋用ガスを導入するための貫
通孔が、保湿手段に設けられた構成にしてある。前記の
貫通孔の開口面積は、例えば保湿手段内の水蒸気が流出
しにくい半面、脱渋に最小限必要な量の脱渋用ガスを保
湿手段内に導入できる大きさに設定するのが好ましい。
すなわち、開口面積が上記のように適切な範囲内である
ならば、貫通孔の穿設個数や穿設箇所は適宜に選択でき
る。尚、前記したそれぞれの保湿手段を用いて渋柿果実
を保存するにあたり、保存温度はほとんど影響しない。
従って、他種類の果実のように必ずしも低温で保存しな
くても済む。但し、低温で保存した場合は、軟化果実の
発生をいくぶんか遅くする効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る渋柿
果実の軟化抑制方法に用いられる箱体を示す外観図、図
2は前記の箱体を構成する板材の断面図である。各図に
おいて、この実施形態に係る箱体1(保湿手段の一例)
は、上面開口4を有する矩形状の保存箱2と、保存箱2
の上面開口4に被せられて保存箱2内を封止する箱蓋3
とから成っている。
【0010】これらの保存箱2と箱蓋3は、いずれも水
蒸気を通さない板材7を用いて形成されている。板材7
は、図2に示すように、平板紙8,10間に波板紙9を
挟み込んで成るダンボール紙11と、内側の平板紙10
に積層されたポリエチレンフィルムなどの合成樹脂フィ
ルム12とで構成されている。保存箱2の外周四面の下
隅部には、合わせて8つの貫通孔5,5、5,5、5,
5、5,5が穿設されている。また、保存箱2の底面の
四隅部にも貫通孔6,6,6,6が穿設されている。こ
れらの貫通孔5,6は、孔径が例えば10〜18mmと
比較的小さい。従って、箱内の水蒸気は流動抵抗により
容易には貫通孔5,6から流出しない。
【0011】前記した箱体1と別の保湿手段としては、
図3のシート体1aが示される。シート体1aはポリエ
チレン製の可撓性シート材25で構成されていて、脱渋
用ガスを流入し得る開口面積の貫通孔26が適宜個数設
けられている。このシート体1aは果実用コンテナの底
面よりも広く形成されていて、果実用コンテナの底面に
敷かれて使用される。この場合、敷かれたシート体1a
の上に収穫後の渋柿果実が収容されたのち、果実用コン
テナ内でシート体1aの端縁部がたぐり寄せられ、渋柿
果実を包むように覆い被せられて保湿される。
【0012】更に別の保湿手段の例としては、図4に示
す袋体1bが挙げられる。袋体1bもポリエチレン製の
可撓性シート材25で構成されていて、貫通孔26が適
宜個数設けられている。この袋体1bは上面に渋柿果実
の出入口を有し、この出入口はシート材周縁部を結んで
封止されるようになっている。
【0013】上記したようにいずれも有孔の、箱体1、
シート体1a、または袋体1bで渋柿果実を包装する
と、そのままで脱渋処理に供することができ、脱渋処理
過程終了後も引き続き高湿度で保存することができる。
但し、脱渋処理過程以後の保湿処理には、貫通孔26の
無い箱体、シート体、袋体などを用いるほうが、よりい
っそう軟化抑制効果がある。
【0014】引続き、本発明の一実施形態による軟化抑
制方法を図5の工程図により説明する。まず、ハウス栽
培により成長した渋柿果実は収穫過程14において採果
され、通気性のよい果実用コンテナに収穫される。収穫
された渋柿果実は果実用コンテナに収容されたまま専用
の脱渋庫に移され、例えば炭酸ガス(脱渋用ガス)によ
り25℃で16時間かけて慣行の脱渋処理が施される
(脱渋処理過程15)。脱渋処理を終えた果実は、大き
さ、形、色合いなどで級別に選果されつつ、上述した箱
体1の保存箱2に収容されたのち箱蓋3が被せられて包
装される(選果過程16,図1も参照)。このように箱
体1で包装された果実Pはそのまま常温で保存される
(保存過程17)。このとき、果実Pから蒸散した水蒸
気が包装後10数分で箱体1内に充満して飽和状態とな
り、高湿度の雰囲気下に保持される。
【0015】尚、水蒸気の一部は貫通孔5,6から箱外
へ流出するが、そのぶん新たな水蒸気が果実Pから蒸散
して補充される。その場合でも、箱体1を使用すること
なく果実Pを保存したのと比べて、果実Pからの水蒸気
蒸散量は格段と少ない。また、既述したように、貫通孔
5,6は孔径が比較的小さいので、過大な量の水蒸気が
流出しない。このように高湿度下で保存された果実P
は、水分が過度に減少することなく軟化も大幅に抑制さ
れた高品質の商品として出荷され(出荷過程18)、販
売過程19を経て消費者の手に届けられる。因みに、も
ともと軟化しやすいハウス栽培ものや、収穫時の気温が
高い場合に軟化しやすくなる露地栽培ものでも、果実P
の商品価値が損なわれない。
【0016】すなわち、この実施形態では、脱渋処理過
程15を終えた後から販売過程19までの期間が、箱体
1(保湿手段)により果実Pを高湿度に保持する保湿時
期21となる。尚、脱渋処理後である保湿時期21にお
いては、脱渋用ガスを導入する必要がないことと、保湿
手段の密閉性が高いほど果実Pからの水分蒸散が抑制さ
れることから、貫通孔5,6の全く無い保湿手段を用い
るほうが、果実Pの軟化および水分減少の抑制に関して
いっそう効果がある。
【0017】尚、収穫過程14直後から脱渋処理過程1
5直前までの期間を保湿時期20とし、箱体1や他の保
湿手段を用いて渋柿果実を包装すると、よりいっそう果
実の軟化や水分減少を抑制することができる。かかる保
湿時期20も、貫通孔5,6(あるいは図3および図4
の貫通孔26)の全く無い保湿手段を用いるほうが効果
的である。但し、収穫から脱渋処理までの期間は比較的
短い(1日程度)ので多大な効果を得られないことがあ
り、脱渋処理の直前に保湿手段を破ったり穿孔したりし
て開放する作業も必要となる。
【0018】一方、別の実施形態に係る軟化抑制方法を
図6の工程図に示す。先の実施形態と同様に収穫過程1
4で採果された渋柿果実は、栽培現地で直ちに選果され
たのち箱体1の保存箱2に収容され、箱蓋3が被せられ
て包装される(選果過程16)。この場合も、箱体1内
は短時間で水蒸気が充満するので果実Pの軟化が進みに
くくなる。従って、選果過程16から次の脱渋処理過程
15までに長期間かかる場合に有用となる。このように
渋柿果実は箱体1に収容されたままで、脱渋用ガスによ
る慣行の脱渋処理に供される(脱渋処理過程15)。前
記の脱渋処理を終えた果実Pは、箱体1内で常温・高湿
度の雰囲気下に保持されたまま(保存過程17)、出荷
過程18および販売過程19に至るまで保存される。
【0019】すなわち、この実施形態では、収穫過程1
4直後から販売過程19に至るまでの一連の期間が、箱
体1により果実Pを高湿度に保持する一連の保湿時期2
4となる。かかる一連の保湿時期24を設けたことによ
り、前記と同様に高品質の柿果実商品が得られるのはい
うまでもなく、最初から最後まで渋柿果実を同一の箱体
1に収容したままで詰め替えすることなく、一連の過程
15〜19を経ることができる。従って、農業集荷場な
どに配備された既設の自動搬送出荷ラインに、柿果実を
収容した箱体1をそのまま通すことができるため、高品
質柿果実の大量生産を実現化できる。一方で、収穫過程
14直後から脱渋処理過程15までを保湿時期22と
し、脱渋処理過程15直後から販売過程19までを保湿
時期23として分ければ、これらの保湿時期22,23
に、貫通孔5,6,26の無い保湿手段を用いることが
できる。
【0020】
【実施例】実施例1.この実施例では、保湿手段による
包装態様に対する渋柿果実(刀根早生)の軟化率変化お
よび水分減少率変化について検討した。これらの試験結
果を図7および図8に示す。ここでは、貫通孔を有する
ポリエチレン製のシート体により脱渋処理前に出荷容器
単位で多数の果実を包装した渋柿果実の試験区(図中―
●―の線図で表してある)と、貫通孔を有するポリエチ
レン製のシート体により脱渋処理前に個々の果実を個別
に包装(個装)した渋柿果実の試験区(図中―▲―の線
図で表してある)と、保湿手段を全く使用することなく
無包装とした渋柿果実の試験区(比較例1であり、図中
―□―の線図で表した)とをそれぞれ設定した。
【0021】尚、各図中の軟化率は、硬度計(富士平工
業株式会社製の製品名ハンディヒッター)を用いてそれ
ぞれの試験区の全ての渋柿果実を計測し、硬度計の指示
値が果実の軟化を示す所定値を超えた渋柿果実の個数を
当該試験区における全個数で除した百分率で表されてい
る。また、水分減少率は、収穫直後の渋柿果実重量に対
する、時間経過ごとに計測した渋柿果実重量との差の割
合を百分率で表したものであり、果実からの水分蒸散度
合を示す一指標となる。
【0022】まず、脱渋処理後の柿果実を25℃で保存
し、軟化果実の発生と果実の水分減少経過を調査した。
その結果、果実の軟化は、脱渋処理以降に包装した●試
験区および▲試験区のものが明らかに低く、脱渋処理後
12日目でも10%以下と良好であった。これに対し、
保湿手段を使用しなかった比較例1の□試験区のもので
は軟化が急速に進み、脱渋後6日目には50%以上に達
した。脱渋後の果実の水分減少率についても、軟化抑制
効果の大きかった●試験区および▲試験区のものが、比
較例1の□試験区のものと比べて明らかに低く推移し
た。以上の結果から明らかなように、保湿手段の使用に
よる渋柿果実の軟化抑制効果および水分減少抑制効果が
認められた。保湿手段の使用態様については、大きな容
器単位の包装であれ、個々の果実単位の個別包装であ
れ、ほとんど関係ないことが判った。
【0023】実施例2.この実施例では、「収穫〜脱渋
処理直前」、「脱渋処理期間中」、「脱渋処理後(出荷
・流通期間中)」のいずれの期間に保湿手段を用いたか
が、軟化果実の発生や果実水分の減少にいかなる影響を
及ぼすかについて検討した。まず、ハウス栽培の渋柿果
実(刀根早生)を収穫して供試した。次に、保湿手段と
して用いたポリエチレンシート製で有孔(貫通孔)の袋
体(貫通孔の開孔率は平面積全体の0.2%、縦820
mm×横260mm×厚さ0.03mm)を、コンテナ
(45L)の底面に敷き、その上に収穫果実を入れて包
装した試験区(○印)と、前記の袋体を用いずコンテナ
に直に収穫果実を収容した無包装の試験区(×印)とに
分けた。脱渋処理にあたり、前記した各試験区を、同様
のポリエチレンシート製で有孔の袋体を用いて包装した
試験区(○印)と、前記の袋体を用いない無包装の試験
区(×印)とに分け、炭酸ガスによる脱渋処理(25
℃、16時間)を行った。更には、出荷容器(縦417
mm×横300mm×高さ75mm)内に敷かれたポリ
エチレンシート製で無孔の袋体上に脱渋処理後の柿果実
を収容した試験区(○印)と、前記した無孔の袋体を用
いず柿果実を出荷容器に直に収容した無包装の試験区
(×印)とに分けてそれぞれ保存した。25℃下で保存
中の軟化率と、果実減量率(水分減少率)について調査
した。ここでは、上記したいずれの期間に袋体(保湿手
段)を使用したか否かによって、試験区をからまで
区分した。尚、試験区は全ての時期に保湿手段を用い
なかった比較例2である。かかる実施例2および比較例
2の試験結果を、表1、図9、および図10に示す。表
中や図中の○内数字は前記した試験区〜にそれぞれ
対応している。
【0024】
【表1】
【0025】表1の欄中に表した○印は該当時期に保湿
手段を用いたことを示し、×印は該当時期に保湿手段を
用いなかったことを示している。
【0026】試験結果から明らかなように、保湿手段を
全く用いなかった試験区(比較例2)において、収穫
後3日目に軟化果実の発生が認められた。これに対し、
収穫直後から全ての時期にわたり保湿手段で包装した試
験区では、収穫後20日(脱渋後19日)経っても軟
化果実の発生が認められず良好な結果が得られた。そこ
で、軟化率の上昇開始時期から判断すると、選果後の保
存期間中に保湿手段で包装した試験区〜のグループ
と、選果後の保存期間中に保湿手段を用いなかった試験
区〜のグループの2グループに大別された。以上の
結果から、脱渋処理後の出荷・流通期間中に保湿手段で
包装することにより、果実からの水分蒸散が抑えられ、
軟化果実の発生を抑制できることが示された。特に、収
穫盛期では収穫以降の過程がスムーズに流れないことが
予想されるが、このことが出荷までに柿果実にストレス
を与え、出荷後の軟化果実の発生に至ることが想定され
るため、出荷・流通期間中の保湿手段による高湿度保存
が極めて有用であることが判った。
【0027】実施例3.この実施例では、保湿処理後に
おいて保湿手段を開封した時期と、軟化率変化および水
分減少率変化との関係について試験した。実施例2と同
様、ハウス栽培の渋柿果実(刀根早生)を収穫して供試
した。次に、ポリエチレンシート製で有孔の袋体(開孔
率0.2%、縦820mm×横260mm×厚さ0.0
3mm)を、コンテナ(45L)の底面に敷き、その上
に収穫果実を入れて包装した。かかる収穫果実に対し、
炭酸ガスによる脱渋処理(25℃、16時間)を行っ
た。更には、出荷容器(縦417mm×横300mm×
高さ75mm)内に敷かれた無孔の袋体上に、脱渋処理
後の柿果実を収容して包装し25℃で保存した。包装処
理後2,4,6日目に包装をそれぞれ開封して柿果実を
取り出し、取り出したときの軟化率と、水分減少率につ
いて調査した。
【0028】この実施例3による試験結果を図11およ
び図12に示す。各図中に示した符号Aと―●―は脱渋
処理後2日目に袋体(保湿手段)を開放した試験区、符
号Bと―▲―は脱渋処理後4日目に袋体を開放した試験
区、符号Cと―□(黒塗り四角)―は脱渋処理後6日目
に袋体を開放した試験区である。また、―○―は収穫後
から終始袋体で包装していた試験区(包装区と称する)
である。
【0029】図11および図12に示した試験結果から
明らかなように、袋体を途中で開封した試験区A,B,
Cであっても、収穫後10日間(脱渋後9日間)は軟化
果実の発生が認められなかった。軟化果実は脱渋後2日
目、4日目、6日目に開放した試験区A,B,Cの順に
現れた。一方、いずれの試験区A,B,Cについても、
果実からの水分減少は開放した時点から始まり、ほぼ同
じ割合で経時的に増加した。これに対し、保湿手段で終
始包装し続けた試験区(包装区)の果実は、収穫後20
日間たっても軟化が認められなかった。以上の結果か
ら、保湿手段を開封した日以降に果実水分の減少が開始
し、果実の呼吸作用やエチレン生成に影響を与えたと考
えられるが、開封時期は果実の軟化開始に大きく影響し
ないことが判った。
【0030】尚、本発明方法が適用されるのは、上述し
たようなハウス栽培ものに限らない。例えば、露地栽培
ものの渋柿果実についても本発明者等は確認試験を実施
している。かかる確認試験の結果によると、露地栽培も
のについてもハウス栽培ものと同等かそれ以上の優れた
成果が得られている。また、本発明方法が適用される渋
柿の品種は上述した刀根早生に限らず、例えば平核無な
どが挙げられる。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る渋柿
果実の軟化抑制方法によれば、収穫後の渋柿果実を脱渋
する過程と、脱渋した渋柿果実を高湿度に保つ保湿手段
に収容して保存する過程とを含んで成る簡便な方法であ
るので、収穫後の渋柿果実を高湿度に保持して渋柿果実
からの水分蒸散を抑制することができる。その結果、水
分蒸散に起因する成熟老化ホルモンであるエチレンの生
成が抑制され、エチレン生成により誘発される渋柿果実
の軟化が抑制される。従って、渋柿果実へ外的な化学処
理を施すことなく、高品質の柿果実製品を得ることがで
きる。
【0032】また、保湿手段に保存されている渋柿果実
の周囲に脱渋用ガスを導入するための貫通孔を備えてい
る場合は、渋柿果実を保湿手段に収容したままで脱渋処
理を行うことができる。そのため、慣行の脱渋処理の方
法や設定を変える必要が無く、既存の施設や設備をその
まま使用することが可能である。また、脱渋処理後につ
いても渋柿果実を保湿手段に収容したままで引き続き保
存することができる。
【0033】そして,保湿手段が、水蒸気を通さない可
撓性シート材から成っていて渋柿果実の周囲を被う袋体
で構成されている場合は、渋柿果実を簡便に包装するこ
とができ、ひとつひとつの渋柿果実を個別に包装するこ
とも可能となる。
【0034】更には、保湿手段が、水蒸気を通さない板
材から成っていて渋柿果実の周囲を被う箱体で構成され
ている場合は、箱体に収容した渋柿果実を、ベルトコン
ベアなどの自動搬送出荷ラインに供することができるた
め、良質な柿果実の大量生産の実現化につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る渋柿果実の軟化抑制
方法に用いられる保湿手段の箱体を示す外観図である。
【図2】前記箱体を構成する板材の断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る保湿手段であるシ
ート体を示す外観図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態に係る保湿手段であ
る袋体を示す外観図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る渋柿果実の軟化抑制
方法を示す工程図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る渋柿果実の軟化抑
制方法を示す工程図である。
【図7】本発明方法の実施例1での保湿手段による包装
態様と軟化率変化との関係を示すグラフである。
【図8】前記実施例1における保湿手段による包装態様
と水分減少率変化との関係を示すグラフである。
【図9】本発明方法の実施例2による保湿処理時期と軟
化率変化との関係を示すグラフである。
【図10】前記実施例2における保湿処理時期と水分減
少率変化との関係を示すグラフである。
【図11】本発明方法の実施例3により保湿処理後に保
湿手段を開放した時期と軟化率変化との関係を示すグラ
フである。
【図12】前記実施例3における保湿処理後に保湿手段
を開放した時期と水分減少率変化との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 箱体(保湿手段) 1a シート体(保湿手段) 1b 袋体(保湿手段) 5,6,26 貫通孔 7 板材 14 収穫過程 15 脱渋処理過程 17 保存過程 20,21,22,23,24 保湿時期 25 可撓性シート材 P 果実
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月13日(2000.3.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】また、別の発明に係る渋柿果実の軟化抑制
方法は、収穫後の渋柿果実を高湿度に保つ保湿手段に収
容して保存する過程と、保湿手段に保存されている渋柿
果実を脱渋する過程と、を含んで成り、保湿手段に保存
されている渋柿果実の周囲に脱渋用ガスを導入するよう
に構成してある。保湿手段を構成する可撓性シート材ま
たは箱体に貫通孔を設ける場合、前記の貫通孔の開口面
積は、例えば保湿手段内の水蒸気が流出しにくい半面、
脱渋に最小限必要な量の脱渋用ガスを保湿手段内に導入
できる大きさに設定するのが好ましい。すなわち、開口
面積が上記のように適切な範囲内であるならば、貫通孔
の穿設個数や穿設箇所は適宜に選択できる。尚、前記し
たそれぞれの保湿手段を用いて渋柿果実を保存するにあ
たり、保存温度はほとんど影響しない。従って、他種類
の果実のように必ずしも低温で保存しなくても済む。但
し、低温で保存した場合は、軟化果実の発生をいくぶん
か遅くする効果がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】また、保湿手段に保存されている渋柿果実
の周囲に脱渋用ガスを導入するように構成した場合は、
渋柿果実を保湿手段に収容したままで脱渋処理を行うこ
とができる。そのため、慣行の脱渋処理の方法や設定を
変える必要が無く、既存の施設や設備をそのまま使用す
ることが可能である。また、脱渋処理後についても渋柿
果実を保湿手段に収容したままで引き続き保存すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 欣信 和歌山県伊都郡かつらぎ町西渋田231 (72)発明者 富田 栄一 和歌山県有田市宮原町道638−8 (72)発明者 稲葉 昭次 岡山県岡山市円山1044−11 (72)発明者 久保 康隆 岡山県岡山市津島桑の木町1−15−204 (72)発明者 中野 龍平 岡山県岡山市学南町1−5−21 コーポマ スカット202 (72)発明者 伊野辺 和彦 和歌山県那賀郡岩出町紀泉台193−9 (72)発明者 田嶋 良純 和歌山県那賀郡那賀町名手上656 (72)発明者 西岡 章伍 和歌山県伊都郡かつらぎ町大谷1002 Fターム(参考) 4B016 LC06 LG01 LP10 LP13 LT08 4B069 HA12 KA06 KC01 KC02 KD04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 収穫後の渋柿果実を脱渋する過程と、脱
    渋した渋柿果実を高湿度に保つ保湿手段に収容して保存
    する過程と、を含んで成ることを特徴とする渋柿果実の
    軟化抑制方法。
  2. 【請求項2】 収穫後の渋柿果実を高湿度に保つ保湿手
    段に収容して保存する過程と、保湿手段に保存されてい
    る渋柿果実を脱渋する過程と、を含んで成り、かつ、保
    存されている渋柿果実の周囲に脱渋用ガスを導入するた
    めの貫通孔が、保湿手段に設けられていることを特徴と
    する渋柿果実の軟化抑制方法。
  3. 【請求項3】 保湿手段は、水蒸気を通さず、かつ、渋
    柿果実の周囲を被える可撓性シート材で構成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の渋柿
    果実の軟化抑制方法。
  4. 【請求項4】 保湿手段は、水蒸気を通さない板材から
    成っていて渋柿果実の周囲を被う箱体で構成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の渋柿
    果実の軟化抑制方法。
JP2000049114A 2000-02-25 2000-02-25 渋柿果実の軟化抑制方法 Pending JP2001231445A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101208989B1 (ko) 2012-06-01 2012-12-06 박태천 떫은감을 단감으로 탈삽하는 방법 및 장치

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