JP2001228467A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

反射型液晶表示装置

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JP2001228467A
JP2001228467A JP2000037014A JP2000037014A JP2001228467A JP 2001228467 A JP2001228467 A JP 2001228467A JP 2000037014 A JP2000037014 A JP 2000037014A JP 2000037014 A JP2000037014 A JP 2000037014A JP 2001228467 A JP2001228467 A JP 2001228467A
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light
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reflection
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Kiyoshi Minoura
潔 箕浦
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 白表示の明度が高く、かつ、コントラスト比
が高く、見やすい多色表示可能な反射型液晶表示装置を
提供する。 【解決手段】 本発明に係る反射型液晶表示装置は、入
射光が入射される側に設けられた入射側基板6と、この
入射側基板6と対向するように設けられた反射側基板7
と、上記両基板間に挟持され、散乱状態と透過状態との
間で状態変化する散乱型液晶層1と、上記散乱型液晶層
1からの光を干渉、反射させる干渉型反射膜8とを備
え、上記散乱型液晶層における後方散乱率が30%より
も小さいか、または上記散乱型液晶層の全光線透過率が
30%よりも大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光板を用いずに
白表示の明度が高く、かつ、コントラスト比の良好なフ
ルカラー表示を行う反射型液晶表示装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】薄型、軽量等の特徴を備えたカラーディ
スプレーとして、現在、液晶表示装置が数多く用いられ
ている。カラー液晶表示装置として、特に広く用いられ
ているのは、背景に光源(バックライト)を設けた透過
型液晶表示装置であり、各種分野に用途が拡大してい
る。
【0003】上記透過型液晶表示装置に対するものとし
て、反射型液晶表示装置があり、これは、バックライト
を必要としないため光源用電力が削減可能であり、更に
バックライトのスペースや重量が節約できる等の特徴を
有している。すなわち、表示装置全体として、消費電力
の低減が実現できると共に、小型のバッテリーを用いい
ることが可能となり、軽量薄型を目的とする機器に適し
ている。あるいは、機器の大きさ又は重量を同一にする
ように製造すれば、大型のバッテリーを用いることが可
能となり、動作時間の飛躍的な長大化が期待できる。
【0004】また、表示面のコントラスト特性の面から
も、発光型表示装置であるCRT等では、日中の屋外で
コントラスト比の大幅な低下が見られたり、低反射処理
の施された透過型液晶表示装置においても、直射日光等
の周囲光が表示光に比べて非常に強い場合には、同様に
コントラスト比の大幅な低下が避けられない。
【0005】これに対して、反射型液晶表示装置は、周
囲光量に比例した表示光が得られ、携帯情報端末機器や
デジタルカメラ、携帯ビデオカメラ等の屋外での使用に
は、特に好適である。
【0006】上記のような非常に有望な応用分野を有し
ていながら、十分なコントラスト比や反射率、フルカラ
ー化、及び高精細表示や動画への対応等の性能が不十分
であるため、現在まで、十分な実用性を有する反射型カ
ラー液晶表示装置は実現されていない。
【0007】ここで、反射型液晶表示装置について詳述
する。現在、偏光板を2枚もしくは1枚利用した反射型
液晶表示装置が広く使用されており、電界により液晶層
の旋光性を制御して表示を行うツイステッドネマティッ
ク(以下、TNと称す。)モード、電界により液晶層の
複屈折を制御して表示を行う複屈折(以下、ECBと称
す。)モード、又は上記TNモードとECBモードを組
み合わせたミックスモード等が主として適用されてい
る。
【0008】これに対して、偏光板を用いないで、染料
を液晶に添加したゲストホスト型液晶表示素子が開発さ
れてきたが、このタイプのものは、染料を添加している
ため信頼性に欠け、また染料の二色性比が低いため、高
いコントラスト比が得られないという問題点を有してい
る。特に、コントラストの不足は、カラーフィルタを用
いるカラー表示においては、色純度を大幅に低下させる
ため、色純度の高いカラーフィルタと組み合わせる必要
があり、色純度の高いカラーフィルタのために明度が低
下し、偏光板を用いないことにより上記タイプの高明度
という利点が損なわれるという不具合を招来する。
【0009】これらを背景に、偏光板や染料を用いず
に、高明度、高コントラスト表示の期待できる高分子分
散型液晶、コレステリック液晶を利用したタイプの液晶
表示素子の開発がなされている。これらのタイプの液晶
表示素子は、液晶層に印加する電圧を制御することによ
って、液晶層が光学的に透過状態と散乱状態との間で、
もしくは透過状態と反射状態との間で切り替わる特性を
利用したものである。偏光板を用いないことから、光の
利用効率を上げることができるのみならず、色味の観点
から評価を行った場合においても、上記TNモードやE
CBモードと比べて、波長依存性が小さいこと、さらに
偏光板自体の吸収プロフィル、すなわち偏光板が青色の
光を吸収し、入射光が黄色味を帯びるといった問題点か
ら開放されることから、良好な白表示が実現されること
が期待できる。
【0010】その具体例が、例えば特開平3−1868
16号公報に開示されている。このタイプの液晶表示装
置は、黒色基板上に高分子分散型液晶を配置し、電圧無
印加時には高分子分散型液晶が散乱状態となり、白濁す
ることによる白表示を実現する一方、電圧印加時には高
分子分散型液晶が透過状態となり、下側に配置されてい
る黒色基板が見えて黒表示を実現することによって白黒
表示を行うようになっている。
【0011】特開平6−258638号公報には、プリ
ズムアレイシートなどを配置することによって、視野角
を絞り、上記特開平3−186816号公報に開示され
たタイプの白表示時の明るさの向上を図った液晶表示装
置が開示されている。
【0012】また、特開平7−77688号公報には、
ホログラム素子や回折格子などの反射回折によって分光
する特性を有する反射板を配置することによって、カラ
ー表示可能な反射型液晶電気光学素子が開示されてい
る。
【0013】さらに、米国特許番号5,929,956
には、角度依存性反射板と高分子分散型液晶とを組み合
わせた構造の反射型液晶表示装置が開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平3−186816号公報に開示された液晶表示装置
においては、白表示に際して、高分子分散型液晶から後
方に散乱される光しか白表示に関与しておらず、前方に
散乱される光は全て黒色基板に吸収されてしまうため、
実際には、光の利用効率が著しく低下する。
【0015】上記特開平6−258638号公報に開示
された液晶表示装置においては、プリズムアレイシート
を液晶セル内に配置することが、プロセス上困難である
ため、視差による画質低下が不可避である。さらに、プ
リズムアレイシートのエッジのアールも作製上不可避で
あるため、エッジでの乱反射成分が黒表示を損ない、コ
ントラストが低下するという問題もある。この問題を回
避するために、エッジに吸収部位を設けることも可能で
あるが、プロセスに負荷がかかる。
【0016】また、上記特開平7−77688号公報に
開示された反射型液晶電気光学素子においては、黒表示
の動作原理に関する記載がない。また、視野角による色
シフトの問題についても未解決のままであり、以上の二
点から、カラーを制御することができないという問題点
を有している。
【0017】さらに、上記米国特許番号5,929,9
56に開示された反射型液晶表示装置においては、散乱
層に関する開示がなく、更に、角度依存性反射板を配置
したことによる効果に関する記載がない。したがって、
角度依存性反射板を配置したことによる効果を活かすよ
うな散乱層を設計することがなされていないという問題
点を有している。
【0018】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的は、白表示の明度が高く、かつ、コン
トラスト比が高く、見やすい多色表示可能な反射型液晶
表示装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、鋭意検討した結果、干渉型反射層の上に散乱型液晶
を配置し、この散乱型液晶の透過状態を利用した良好な
黒状態と、散乱型液晶の散乱状態を利用した良好な白状
態を両立する構成を見出した。この構成は、散乱型液晶
を用いた液晶表示装置に限らず、透過状態と散乱状態の
間でスイッチングする全ての表示装置に有効である。さ
らに、透過状態と反射状態の間でスイッチングを行う、
コレステリック液晶を用いたモードやホログラフィック
機能を備えた高分子分散型液晶を用いたモードなどにも
応用することができる。
【0020】本発明に係る反射型液晶表示装置は、入射
光が入射される側に設けられた入射側基板と、上記入射
側基板と対向するように設けられた反射側基板と、上記
両基板間に挟持され、散乱状態と透過状態との間で状態
変化する散乱型液晶層と、上記散乱型液晶層からの光を
干渉、反射させる干渉型反射層とを備え、上記散乱型液
晶層における後方散乱率が30%よりも小さいか、また
は上記散乱型液晶層の全光線透過率が30%よりも大き
いことを特徴としている。
【0021】上記発明によれば、散乱型液晶層が散乱状
態にある場合、入射光が入射側基板を介して散乱型液晶
層に入射されると、この入射光は、一部が後方散乱光と
して後方に散乱され、一部が前方散乱光および直進光と
して該散乱型液晶層を通過する。
【0022】上記前方散乱光と上記直進光とは、干渉型
反射層に導かれ、ここで干渉、反射された後、再び散乱
状態にある上記散乱型液晶層に導かれ、ここで、再び散
乱されて、これらの一部が入射側基板を介して外部へ出
ていく。これ以外に外部へ出ていく光は、上記後方散乱
光である。このように、外部へ(観察者の方へ)出射す
る効率の低い後方散乱光だけでなく、直進光及び前方散
乱光の一部もまた外部へ出射するので、非常に明度の高
い反射型液晶表示装置を確実に提供することができる。
【0023】なお、入射側基板を介して入射された入射
光の進む方向を前方とし、その反対方向を後方とし、干
渉型反射層からの反射光に対しては、混乱を避けるため
に、前方、後方という用語は使用しないものとする。
【0024】上記干渉型反射層は、上記反射側基板の近
傍に設けられることが好ましい。これにより、干渉型反
射層が光学変調層である散乱型液晶層の近傍に設けられ
ていない場合、視差による画質低下が生じて良好な表示
が得られないが、上記発明のように近傍に設けられる
と、視差による画質低下の無い良好な表示が確実に得ら
れる。
【0025】上記干渉型反射層は、その法線から所定の
角度内に入射された光を透過する一方、それ以外の角度
で入射した光を反射すると共に、上記干渉型反射層から
の光を吸収する吸収層を更に設けていることが好まし
い。
【0026】これにより、散乱型液晶層が散乱状態にあ
る場合、干渉型反射層への入射角度によって、その法線
から所定の角度内に入射された場合に透過して吸収層に
導かれ、ここで光が吸収される。一方、上記以外の角度
で入射した場合には干渉型反射層によって反射される。
したがって、観察者は、効率の低い後方散乱光だけでな
く、直進光および前方散乱光の一部もまた観察すること
になり、非常に明度の高い白表示が得られる。
【0027】これに対して、散乱型液晶層が透過状態に
ある場合、入射光が入射側基板を介して散乱型液晶層に
入射されると、この入射光は該散乱型液晶層を透過して
干渉型反射層に入射される。この際、その法線から所定
の角度内に入射された光は透過して吸収層に入射し、こ
こで光が吸収される。上記以外の角度で入射した光は干
渉型反射層によって反射される。これにより、上記干渉
型反射層の法線から所定の角度内で観察する限り、非常
に良好な黒表示が確実に得られる。
【0028】特に、上記散乱型液晶層における後方散乱
率が30%よりも小さいか、または上記散乱型液晶層の
全光線透過率が30%よりも大きい場合、反射率と後方
散乱率の比が大きくなるので、反射率が確実に向上す
る。以上より、干渉型反射層を十分活用することができ
るので、非常に明度の高く、且つ、非常に暗度の高い反
射型液晶表示装置を確実に提供することができる。
【0029】上記干渉型反射層よりも上記入射側基板側
に設けられた吸収型カラーフィルタを更に備え、上記吸
収型カラーフィルタの透過波長範囲は、上記干渉型反射
層の反射波長範囲と同じかそれよりも狭いことが好まし
い。
【0030】この場合、入射側基板を介して入射された
光は、上記干渉型反射層よりも上記入射側基板側に設け
られた吸収型カラーフィルタに先に導かれる。そして、
この吸収型カラーフィルタの透過光は、上記干渉型反射
層に導かれる。この際、吸収型カラーフィルタの透過波
長範囲は、上記干渉型反射層の反射波長範囲と同じかそ
れよりも狭いので、吸収型カラーフィルタの透過光、す
なわち上記反射波長範囲内の全ての光に対して、同様な
干渉型反射層の反射率の入射角依存性を持たせることが
できる。これにより、観察者が視認方向を変化させて
も、色シフトが生じることがなく、色再現性に優れた表
示が可能となる。
【0031】上記干渉型反射層は屈折率の異なる複数の
薄層が積層されてなり、該薄層の法線方向またはその近
傍方向から入射した光を透過する一方、それ以外の方向
から入射した光を反射することが好ましい。
【0032】この場合、干渉型反射層を、ホログラム感
光樹脂材料を用いて薄層に作成したり、誘電体ミラーな
どのように無機材料の薄層で構成したりして簡単に作製
することができる。また、上記法線の近傍方向から入射
した光は、該干渉型反射層を透過するため良好な黒状態
を実現し、上記法線の近傍以外の方向から入射した光は
干渉型反射層により全ての光が反射されるため、干渉型
反射層により明るさが大幅に向上する。
【0033】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
の薄層が積層されてなり、その法線方向が観察者に向か
うように傾斜していることが好ましい。
【0034】この場合、干渉型反射層に入射した光は該
干渉型反射層によって干渉、反射されるが、干渉型反射
層の法線方向が観察者に向かうように傾斜しているの
で、反射光が観察者の目に届くことはない。なお、観察
者は、反射型液晶表示装置の表示内容が認識できる位
置、すなわち上記法線および表示面法線近傍方向から該
反射型液晶表示装置を観察及び/又は使用するものとす
る。一方、上記法線の近傍方向から入射した光は屈折作
用を受けた後、干渉型反射層に達し、該干渉型反射層を
透過するため良好な黒状態を実現し、上記法線の近傍以
外の方向から入射した光は干渉型反射層により全ての光
が反射されるため、干渉型反射層により、明るさが大幅
に向上する。
【0035】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
の薄層が積層されてなり、該薄層の法線方向は該干渉型
反射層に入射した光の全てを反射するように傾斜してお
り、大気中の屈折率をn0とし、該干渉型反射層の平均屈
折率をn1とすると、上記法線方向は、90度未満であっ
て上記入射側基板の表面に対して0.5arcsin(n0/n1)
で表されるよりも大きい角度だけ傾斜していることが好
ましい。
【0036】この場合、干渉型反射層の法線方向は入射
側基板の表面に対して0.5arcsin(n0/n1) で表される
よりも大きい角度だけ傾斜しているので、該干渉型反射
層に入射した光の全てが干渉型反射層によって干渉、反
射される。
【0037】これにより、干渉型反射層からの光は、干
渉型反射層の法線方向に対して観察者側から遠い方向へ
出射されることになるので、観察者の目に届くことはな
くなる。一方、入射光が透過状態の上記液晶層を上記角
度以外の角度で入射すると、入射光は同様に屈折作用を
受けた後、干渉型反射層に達し、該干渉型反射層を透過
するため良好な黒状態を実現し、上記法線の近傍以外の
方向から入射した光は干渉型反射層により全ての光が反
射されるため、干渉型反射層により明るさが大幅に向上
する。
【0038】上記散乱型液晶層が、光透過性の液晶性高
分子からなる固体マトリックス中に液晶分子が分散して
いる光変調性液晶材料であり、上記散乱型液晶層は、透
過状態のとき、上記液晶分子の有効屈折率と上記固体マ
トリックスの有効屈折率とが、入射光のどの方向に対し
ても調和されていることを特徴としている。
【0039】これによれば、透過状態のとき、上記液晶
分子の有効屈折率と上記固体マトリックスの有効屈折率
とが、入射光の方向に関係なく、調和しているので、コ
ントラストの非常に優れた表示を実現できる。
【0040】本発明に係る他の反射型液晶表示装置は、
入射光が入射される側に設けられた入射側基板と、上記
入射側基板と対向するように設けられた反射側基板と、
上記両基板間に挟持され、反射状態と透過状態との間で
状態変化する散乱型液晶層と、上記散乱型液晶層からの
光を干渉、反射させる干渉型反射層とを備え、上記散乱
型液晶層における後方散乱率が30%よりも小さいか、
または上記散乱型液晶層の全光線透過率が30%よりも
大きいことを特徴としている。
【0041】上記発明によれば、散乱型液晶層(コレス
テリック液晶、もしくは、ホログラフィック機能を備え
た高分子分散型液晶)が反射状態にある場合、入射光が
入射側基板を介して散乱型液晶層に入射されると、この
入射光は後方に反射された後、外部へ(観察者の方へ)
出射する。このように、入射光が散乱型液晶で反射され
て外部へ(観察者の方へ)出射するので、非常に明度の
高い反射型液晶表示装置を確実に提供することができ
る。
【0042】特に、上記散乱型液晶層における後方散乱
率が30%よりも小さいか、または上記散乱型液晶層の
全光線透過率が30%よりも大きい場合、反射率と後方
散乱率の比が大きくなるので、反射率が確実に向上す
る。以上より、入射光の利用効率が高まり、非常に良好
な白状態を実現でき、且つ、非常に暗度の高い反射型液
晶表示装置を確実に提供することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明に係る反射型液晶表示装置
として、液晶層に高分子分散型液晶を利用した例につい
て以下に説明する。
【0044】本実施の形態で用いる高分子分散型液晶
は、低分子液晶組成物と未重合プレポリマーの混合物を
相溶させて基板間に配置し、プレポリマーを重合するこ
とによって得られるものである。プレポリマーを重合す
ることによって得られるものであれば、その種類は特に
限定されるものではない。
【0045】ここでは、液晶性を示す紫外線硬化性プレ
ポリマーと液晶組成物との混合物を紫外線等の活性光線
の照射により光硬化させることによって得られる硬化物
(紫外線硬化液晶)を用いている。高分子分散型液晶と
して紫外線硬化液晶を用いることによって、重合性液晶
の重合を行う際に加熱を行う必要がなくなり、他の部材
への悪影響を防止できる。
【0046】上記のプレポリマー液晶混合物としては、
例えば、紫外線硬化材料(大日本インキ化学工業株式会
社製)と液晶(メルク社製、商品名:"TL213" 、Δn=
0.238)とを20:80の重量比で混合した混合物
に対して少量の重合開始剤(チバ・ガイギー社製)を添
加することによって得られた、常温でネマティック液晶
相を示すプレポリマー液晶混合物を用いることができ
る。
【0047】以上のようにして、作製された液晶層に入
射した光は、印加された電圧に対応して配向した液晶層
の散乱・透過状態に基づいて、変調される。なお、本実
施の形態においては、電圧無印加時に液晶層が透過状態
になる一方、電圧印加時に液晶層が散乱状態になるよう
な設定のリバースモードPDLCモードを利用している
が、紫外線硬化材料として、液晶性高分子ではなく、等
方性高分子を用いた、電圧無印加時に液晶層が散乱状態
に、電圧印加時に液晶層が透過状態になるような設定の
ノーマルモードPDLCモードを利用しても、同様な効
果が得られることは確認済である。
【0048】なお、本実施の形態における干渉型反射膜
は、何れもホログラム感光樹脂材料を用いて作製した
が、誘電体ミラーなどのように無機材料を積層して作製
された干渉型反射膜を用いても同様な特性が得られる。
【0049】以下に、本発明の実施の形態1に係る反射
型液晶表示装置について図1乃至図5を参照しながら説
明する。
【0050】図1は、本実施の形態に係る反射型液晶表
示装置11の構成の断面を示す説明図である。液晶層1
は、図1に示すように、透明なガラス板や高分子フィル
ムなどの材料からなる入射側基板6と、この入射側基板
6に対向するように設けられ透明なガラス板や高分子フ
ィルムなどの材料からなる反射側基板7とによって挟持
されている。反射側基板7上には、屈折率の異なる複数
の薄層が積層されてなる干渉型反射膜8(干渉型反射
層)が形成されている。具体的には、相対的に屈折率の
高い薄層と、相対的に屈折率の低い薄層が交互に積層さ
れて形成されている。
【0051】上記入射側基板6と上記反射側基板7に
は、それぞれ液晶層1に電圧を印加するための電極4と
電極5が設けられている。電極対への電圧印加手段とし
て、アクティブ素子等を用いてもよく、電圧印加手段に
本発明は影響されない。
【0052】更に、上記電極4及び電極5上には、水平
配向膜2及び水平配向膜3が塗布されており、液晶層1
が電圧無印加状態で水平配向状態を実現するようにして
ある。本実施の形態においては、水平配向膜を用いた
が、配向膜の種類はこれに限定されるものではない。ま
た、上記反射側基板7の背面には光吸収層9が設けられ
ており、上記入射側基板6と上記電極4の間にはカラー
フィルタ10が設けられている。
【0053】本実施の形態において使用した干渉型反射
膜8は、ホログラム感光樹脂材料(デュポン社製)に、
例えば緑色の表示ピクセルを考えた場合は、位相のそろ
った波長532nmのYAGレーザ平行光をプリズムを
用いて斜め2方向から照射した後、チャープ処理を行
い、作製した。
【0054】図2にプリズムとホログラム感光樹脂材料
の配置の概略を示している。プリズムの傾斜角θ1及び
θ2は45°で統一し、レーザ光の照射方向θ3は−9
°とした設定と、22°とした設定の2種類の設定にお
いて干渉型反射膜8を作製した。なお、θ4はθ3と同
じ大きさにした。作製したサンプルのうち前者をサンプ
ルA、後者をサンプルBと称す。
【0055】ここで、電圧印加時と電圧無印加時の光学
作用について説明する。まず、明状態の動作について説
明する。入射光が散乱状態の液晶層1に入射すると、後
方散乱された光のみでなく、液晶層1を透過する直進光
および前方散乱された光の一部も干渉型反射膜8で干
渉、反射され、再び、散乱状態の液晶層を通ることによ
って散乱作用を受け、その一部が観察方向に戻ることに
なる。このように、効率の悪い後方散乱光だけでなく、
液晶層1を透過する直進光および前方散乱された光(前
方散乱光)も併せて利用することにより、非常に明度の
高い表示を確実に得ることができる。
【0056】また、実際の液晶層1の膜厚は、駆動電圧
の点から、ある程度薄く設計する必要があり、液晶層1
の散乱効率を完全拡散とみなすことは難しく、入射して
くる光の多くは液晶層1を透過する直進光であるか、散
乱されても、直進光の近傍に散乱される光が多い。よっ
て、さらに明度の高い白表示を実現するためには、黒表
示を損なわない範囲で、干渉型反射膜8に到達した入射
光を、でき得る限り反射させることが重要になってく
る。
【0057】次に、暗状態の動作について図3を参照し
ながら説明する。入射光が、透過状態の液晶層1を破線
12よりも、干渉型反射膜8を構成する薄層(異なる屈
折率を有する複数の薄層)の層面の法線に近い方向か
ら、例えば実線14のように入射すると、上記干渉型反
射膜8を透過し、背面の吸収層9で吸収される。これに
より、非常に良好な黒表示が確実に得られる。一方、上
記法線に遠い方向から、例えば実線13のように入射光
が入射すると、該入射光は全て反射されるので、反射光
が観察者の目に届くことはない。
【0058】ここで、破線12で示す方向は、干渉型反
射膜8を構成する薄層(異なる屈折率を有する複数の薄
層)の層面の法線からθ5〔°〕傾斜した方向を示す。
すなわち、本反射型液晶表示装置11の使用者(観察
者)の視認方向が、破線12よりも、干渉型反射膜8を
構成する上記薄層の層面の法線に近い方向から、観察す
る限りにおいて良好な黒表示が保証される。本実施の形
態においては、サンプルA及びサンプルBのθ5は、そ
れぞれ15°及び30°である。
【0059】上記条件下で作製された、図1の反射型液
晶表示装置11について、図4に示すような測定システ
ム(以下、本測定方法を測定法1と称す)において反射
率およびコントラストを測定した。投光は半球の全ての
方向から等しい輝度で照射しており、測定面法線方向に
設置した受光器15により受光している。また、完全拡
散反射板の反射率を100%としている。さらに、比較
のため、干渉型反射膜8を配置していないこと以外は、
上記条件と同様な条件で作製された、図5に示す反射型
液晶表示装置16についても、上記測定法1による測定
を行った。このサンプルをサンプルRと称す。
【0060】測定法1に基づく反射率の測定結果は、次
のとおりである。すなわち、サンプルAの反射率は41
%であり、コントラストは41であった。サンプルBの
反射率は13%であり、コントラストは26であった。
サンプルRの反射率は5%であり、コントラストは17
であった。この測定結果から、サンプルA及びBとサン
プルRの反射率を比べることによって、干渉型反射膜8
の効果により明るさが大幅に向上することがわかった。
【0061】以上の結果は、散乱型液晶層として、リバ
ースモードを利用した場合の結果である。同程度の散乱
特性をもつノーマルモードを利用した場合の上記測定法
1による測定結果は、次のようになった。すなわち、サ
ンプルA’の反射率は42%であり、コントラストは3
4であった。サンプルB’の反射率は15%であり、コ
ントラストは22であった。サンプルR’の反射率は6
%であり、コントラストは14であった。ただし、サン
プルA’、サンプルB’、及びサンプルR’は、液晶層
以外は上記サンプルA、サンプルB、及びサンプルRと
同様な条件で作製されている。リバースモードを利用し
た場合と比較すると、コントラストが低下する結果とな
った。これは、両モードの透過状態における透明性はリ
バースモードの方が優れているためであると考えられ
る。
【0062】上記散乱型の液晶層1は、光透過性の液晶
性高分子からなる固体マトリックス中に液晶分子が分散
している光変調性液晶材料からなることが好ましく、ま
た、該液晶層1は、透過状態のときに上記液晶分子の有
効屈折率と上記固体マトリックスの有効屈折率とが、入
射光のどの方向に対しても調和されていることが好まし
い。この場合、入射光の方向に関係なく、コントラスト
の非常に優れた表示を実現できる。
【0063】ここで、上記散乱型の液晶層1を変更し、
異なる散乱特性を持つ散乱型の液晶層を用いて作製した
反射型液晶表示装置の測定を行った。詳細に説明する
と、以下に示すとおりである。
【0064】散乱型の液晶層1に異なる散乱特性を持っ
た液晶セルは、一般的には、セル厚、露光条件、材料の
物性値(複屈折量、高分子と液晶の屈折率差、高分子と
液晶分子の混合比など)等を変えることによって実現さ
れる。
【0065】これらの諸量を変更し、得られる様々な散
乱特性は、例えば、全光線透過率や後方散乱率で表すこ
とができる。全光線透過率は、図9に記載の構造を有す
る反射型液晶表示装置20を図10に示す測定システム
を用いて測定することができる。この測定システムで
は、投光器21からサンプルに向かって投光されると、
サンプルを透過した光が、積分球22の内面に配置され
ている完全拡散面で拡散され、受光器23で検出され
る。なお、サンプルを配置しない場合の透過率を100
%としている。また、後方散乱率は図5の反射型液晶表
示装置を図4の測定システム(上記測定法1)を用いて
測定することができる。この際、サンプル位置に完全拡
散反射板を配置したときの反射率を100%としてい
る。
【0066】本実施の形態では、散乱特性が異なる液晶
層を5種類(表1の散乱層a乃至eの5種類)作製し
た。これらの散乱特性の測定結果を、表1に示す(表1
の第1列および第2列を参照)。
【0067】上記5種類の液晶層1と、干渉型反射膜8
とを組み合わせた図1に示す構造の反射型液晶表示装置
11を上記測定法1により測定した。この際、用いられ
た干渉型反射膜8は、前述の黒保証角度(θ5)が15
〔°〕となるように作製されたものと同様の条件で作製
した。反射率を測定すると、表1の第3列に示す結果が
得られた。
【0068】また、反射率と後方散乱率の比(反射率/
後方散乱率)をとることにより、干渉型反射膜8を配置
したことの効果の程度を知ることができる。この効果
は、表1の第4列に示した。この効果によると、干渉型
反射膜8を配置することによって10%より大きい反射
率向上効果が望めるものは、上記効果の比が1.1より
大きい場合(表1の散乱層a乃至cの場合)であり、全
光線透過率が30%より大きい液晶層か、または後方散
乱率が30%より小さい液晶層であることがわかった。
【0069】
【表1】
【0070】以上、本実施の形態によれば、本反射型液
晶表示装置により、明度が高い白表示と良好な黒表示と
が得られ、また、干渉型反射膜8を反射側基板7よりも
観察者側に設けたことによって、視差のない良好な表示
が実現した。全光線透過率が30%より大きい液晶層
か、または後方散乱率が30%より小さい液晶層を採用
することによって、10%より大きい反射率向上が実現
可能となる。
【0071】さらに、干渉型反射膜8は、上記反射側基
板7の近傍に設けられることが好ましい。これにより、
干渉型反射膜8が光学変調層である散乱型の液晶層1の
近傍に設けられていない場合、視差による画質低下が生
じて良好な表示が得られないが、上記発明のように近傍
に設けられると、視差による画質低下の無い良好な表示
が確実に得られる。
【0072】また、本実施の形態においては、上記干渉
型反射層8よりも上記入射側基板6側に設けられた(入
射側基板6の観察者から近い側に設けられた)吸収型カ
ラーフィルタ10が更に備えられ、この吸収型カラーフ
ィルタ10の透過波長範囲は、上記干渉型反射膜8の反
射波長範囲と同じかそれよりも狭いように設定されてい
る。
【0073】上記のように透過波長及び反射波長の範囲
を設定することによって、入射側基板6を介して入射さ
れた光は、上記干渉型反射膜8よりも上記入射側基板6
側に設けられた吸収型カラーフィルタ10に先に導かれ
る。そして、この吸収型カラーフィルタ10の透過光
は、上記干渉型反射膜8に導かれる。この際、吸収型カ
ラーフィルタ10の透過波長範囲は、上記干渉型反射膜
8の反射波長範囲と同じかそれよりも狭いので、吸収型
カラーフィルタ10の透過光、すなわち上記反射波長範
囲内の全ての光に対して、同様な干渉型反射膜8の反射
率の入射角依存性を持たせることができる。これによ
り、観察者が視認方向を変化させても、色シフトが生じ
ることがなく、色再現性に優れた表示が可能となること
が確認できた。
【0074】なお、上記θ5については、暗表示のため
にはθ5は大きければ大きいほどよく、一方、明表示の
ためには、小さければ小さいほどよい。したがって、暗
表示が保証される範囲で、上記θ5を最小にすることが
好ましい。θ5のコーン外では黒表示が保証されないの
で、良好な表示を観察することができない。したがっ
て、θ5は、観察者の観察位置の範囲を規定する。それ
と同時に、ディスプレーは有限の面積を持っているた
め、θ5は観察者とディスプレーの距離とディスプレー
の面積との関係を規定する。
【0075】PDAのような小型ディスプレー(5イン
チ程度、30cm離れて使用すると仮定)であれば、θ5
は10〔°〕あれば十分であり、ノートパソコンのよう
な中型ディスプレー(15インチ程度、50cm離れて使
用すると仮定)であれば、θ5は20〔°〕あれば十分
である。ただし、ノートパソコンのように観察者の視点
とディスプレーの位置関係がかなり規定される場合に
は、画面内で入射方向に対する反射膜の反射率の関係の
分布を持たせる手段も考えられるため、θ5は20
〔°〕よりも小さくてもよくなる。
【0076】ここで、本発明の実施の形態2について図
6及び図7を参照しながら説明する。なお、上記の実施
の形態1における干渉型反射膜8の露光条件を以下のよ
うに変更した以外は、全て同様の条件で作製した反射型
液晶表示装置11の測定を行った。また、上記の実施の
形態1と同じ機能を有する部材については同じ部材番号
を付記し、詳細な説明を省略する。
【0077】この実施の形態2においては、上記実施の
形態1で用いた測定法1と、図6に示すような測定シス
テム(以下、本測定方法を測定法2と称す)の2つの測
定方法に基づいて反射率及びコントラストを測定した。
測定法2においては、投光は、球の1/4に対して全て
の方向から等しい輝度で照射しており、測定面法線方向
に設けた受光器15により受光している。この測定法2
は、本反射型液晶表示装置11の使用者(観察者)自身
の影により、本反射型液晶表示装置11に対する入射光
が遮られる効果を考慮しており、測定法2による反射率
が大きいものほど、実際の使用時により一層明るく見え
ると言える。
【0078】本実施の形態において使用した干渉型反射
膜8の露光条件は、プリズムの傾斜角θ1及びθ2(図
2参照)は、30°で統一し、レーザ光の照射方向θ3
及びθ4(図2参照)を、それぞれ15°及び−1°と
した設定と、38°及び22°とした設定の2種類に基
づいて干渉型反射膜8を作製した。このようにして作製
したサンプルについて、前者をサンプルC、後者をサン
プルDと称す。
【0079】ここで、暗状態について、図7を参照しな
がら説明する。入射光が、透過状態の液晶層1を破線1
2よりも、干渉型反射膜8を構成する薄層(異なる屈折
率を有する複数の薄層)の層面に平行に近い方向から、
例えば、実線13のように入射すると、干渉型反射膜8
上で正反射され、本反射型液晶表示装置11から出射す
るが、破線12よりも上記薄層の層面の法線に近い方向
から、例えば、実線14のように入射すると、干渉型反
射膜8を透過し、背面の吸収層9で吸収される。
【0080】本実施の形態においては、上記実施の形態
1の場合と異なり、干渉型反射膜8を構成する薄層(異
なる屈折率を有する複数の薄層)の層面と、表示面とが
平行でないため、表示面を基準に黒表示が保証される領
域を指定するのは難しいことから、上記層面を基準にし
て表現を行うことにする。以上より、良好な黒表示が保
証される領域は、層法線からθ6〔°〕の傾斜角をもっ
たコーン内であり、サンプルCおよびサンプルDのθ6
は、それぞれ15°及び30°であった。
【0081】測定法1及び測定法2に基づく反射率の測
定結果は、次のとおりである。すなわち、測定法1の測
定結果によれば、サンプルCの明るさは27%であり、
コントラストは27であった。サンプルDの明るさは1
0%であり、コントラストは20であった。サンプルR
の明るさは5%であり、コントラストは17であった。
また、測定法2の測定結果によれば、サンプルCの明る
さは40%であり、コントラストは40であった。サン
プルDの明るさは13%であり、コントラストは26で
あった。サンプルRの明るさは5%であり、コントラス
トは17であった。
【0082】この測定結果から、サンプルC及びDとサ
ンプルRの反射率を比べることによって、干渉型反射膜
8を設けたことにより明るさが大幅に向上することがわ
かった。また、測定法2の結果から、より実際に近い使
用環境下でも非常に明るい表示を実現することがわかっ
た。
【0083】以上のように、本実施の形態によれば、干
渉型反射膜8は、屈折率の異なる複数の薄層が積層され
てなり、該薄層の法線方向が観察者に向かうように傾斜
している。これにより、干渉型反射膜8に入射した光は
該干渉型反射膜8によって干渉、反射されるが、干渉型
反射膜8の法線方向が観察者に向かうように傾斜してい
るので、反射光が観察者の目に届くことはない。一方、
上記法線の近傍方向から入射した光は屈折作用を受けた
後、干渉型反射膜8に達し、該干渉型反射膜8を透過す
るため良好な黒状態を表現し、上記法線の近傍以外の方
向から入射した光は干渉型反射膜8により全ての光が反
射されるため、干渉型反射膜8により明るさが大幅に向
上する。
【0084】以上より、本実施の形態によれば、明度が
高い白表示と良好な黒表示を得ることができることがわ
かった。
【0085】ここで、本発明の実施の形態3について図
8を参照しながら説明する。上記の実施の形態1におけ
る干渉型反射膜8の露光条件を以下のように変更した以
外は、全て同様の条件で作製した反射型液晶表示装置の
測定を行った。また、上記の実施の形態1と同じ機能を
有する部材については同じ部材番号を付記し、詳細な説
明を省略する。
【0086】この実施の形態3においては、上記測定法
1及び上記測定法2の2つの測定方法で反射率及びコン
トラストをそれぞれ測定した。
【0087】本実施の形態において使用した干渉型反射
膜8の露光条件は、プリズムの傾斜角θ1及びθ2(図
2参照)をそれぞれ25°及び65°とし、レーザ光の
照射方向θ3及びθ4(図2参照)をそれぞれ25°及
び−25°とした測定と、プリズムの傾斜角θ1及びθ
2をそれぞれ30°及び60°とし、レーザ光の照射方
向θ3及びθ4をそれぞれ30°及び−30°とした設
定に基づいて干渉型反射膜8を作製した。このようにし
て作製したサンプルについて、前者をサンプルE、後者
をサンプルFと称す。
【0088】ここで、暗状態について、図8を参照しな
がら説明する。入射光が、透過状態の液晶層1を点線1
7よりも、観察者から遠い側から、例えば、実線18の
ように入射すると、入射した光は屈折作用を受けた後、
干渉型反射膜8に達し、ここで正反射され、同様に屈折
作用を受けた後、実線18のように出射する。図8で
は、点線17に沿って入射した光は、点線17に沿って
出射するように作図してある。
【0089】この際、干渉型反射膜8を構成する薄層
(異なる屈折率を有する複数の薄層)の層面の傾斜角を
θ=(1/2)arcsin(n0/n1) で決定される角度よりも
大きい角度に設定しておけば、出射光は基板法線方向か
ら観察者側から遠い方向へ出射されることになり、この
場合は観察者の目に観察されることはない。但し、θは
90°未満であり、n0は大気中の屈折率を表し、n1は干
渉型反射膜8の平均屈折率を表すものとする。
【0090】また、図8において、入射光が、透過状態
の液晶層1を点線17よりも観察者に近い側から、例え
ば実線19のように入射すると、入射光は同様に屈折作
用を受けた後、干渉型反射膜8に達し、干渉型反射膜8
を透過し、背面の吸収層9にて吸収される。
【0091】測定法1及び測定2に基づく反射率の測定
結果は、次のとおりであった。すなわち、測定法1の測
定結果によれば、サンプルEの明るさは21%であり、
コントラストは21であった。サンプルFの明るさは1
1%であり、コントラストは22であった。サンプルR
の明るさは5%であり、コントラストは17であった。
また、測定法2の測定結果によれば、サンプルEの明る
さは36%であり、コントラストは36であった。サン
プルFの明るさは17%であり、コントラストは34で
あった。サンプルRの明るさは5%であり、コントラス
トは17であった。
【0092】この測定結果から、サンプルE及びFとサ
ンプルRの反射率を比べることによって、干渉型反射膜
8の効果により明るさが大幅に向上することがわかっ
た。また、測定法2の結果から、より実際に近い使用環
境下でも非常に明るい表示を実現することがわかった。
【0093】以上より、本実施の形態によれば、上記干
渉型反射膜8は、上記反射側基板7とは異なる屈折率の
薄層であり、その法線方向は該干渉型反射膜8に入射し
た光の全てを反射するように傾斜しており、大気中の屈
折率をn0とし、該干渉型反射層の平均屈折率をn1とする
と、上記法線方向は、90度未満であって上記入射側基
板の表面に対して0.5arcsin(n0/n1) で表されるより
も大きい角度だけ傾斜している。
【0094】これにより、干渉型反射膜8の法線方向は
入射側基板6の表面(表示面)に対して0.5arcsin(n
0/n1) で表されるよりも大きい角度だけ傾斜しているの
で、該干渉型反射膜8に入射した光の全てが干渉型反射
膜8によって干渉、反射される。干渉型反射膜8からの
光は、干渉型反射膜8の法線方向に対して観察者側から
遠い方向へ出射されることになるので、観察者の目に届
くことはなくなる。一方、入射光が透過状態の上記液晶
層1を上記角度以外の角度で入射すると、入射光は同様
に屈折作用を受けた後、干渉型反射膜8に達し、該干渉
型反射膜8を透過するため良好な黒状態を実現し、上記
法線の近傍以外の方向から入射した光は干渉型反射膜8
により全ての光が反射されるため、干渉型反射層により
明るさが大幅に向上する。
【0095】以上、本実施の形態の結果より、本反射型
液晶表示装置によれば、明度が高い白表示と良好な黒表
示を得ることができることがわかった。
【0096】説明の便宜上、高分子分散型液晶を利用し
た例について開示したが、他の散乱モードや、さらに、
透過状態と反射状態との間でスイッチングを行うコレス
テリック液晶を用いたモードやホログラフィック機能を
備えた高分子分散型液晶を用いたモード等にも本発明を
応用できる。
【0097】ここで、上記実施の形態1における散乱型
液晶層1をコレステリック液晶やホログラフィック機能
をもつ高分子分散型液晶などを利用し、透過状態と反射
状態との間でスイッチングを行う液晶層に変更し、それ
以外は上記実施の形態1と同様な条件で反射型液晶表示
装置を作製した。具体的には、本実施の形態4では、ホ
ログラフィック機能を有する高分子分散型液晶を使用し
たが、コレステリック液晶を利用しても、同様な光学作
用を有する構造を持たせ、同様な作用、効果を奏する。
【0098】図11は、本実施の形態4に係る反射型液
晶表示装置の例を示すものであり、表示装置の断面図を
示す。液晶層24は、低分子の液晶組成物と液晶性配向
を固定して得られた配向高分子との分散体を配したもの
である。この液晶層24の形成方法の概略を以下に示
す。
【0099】誘電異方性が正の液晶組成物と、プレポリ
マー材料及び重合開始剤を混合して液晶層の形成材料と
した。このプレポリマー材料は、常温で液晶性を有し、
その液晶配向を重合後の高分子においても保持する性質
を有している。ここで用いた液晶組成物は、通常のTF
T用途に用いられている液晶組成物であって、本実施の
形態においては、TL−213(メルク社製)を用い
た。さらに、液晶層の厚みは、5μmに作製した。各成
分の混合割合は、重量比で液晶が80、プレポリマーが
19、重合開始剤が1であった。
【0100】そして、液晶層24の厚みが5μmとなる
ように、液晶層形成材料を入射側基板6および中間基板
27により挟持し、液晶挟持体を形成した。ここで、中
間基板27は、次に示すレーザ照射の工程において、不
要な反射光を発生させないために反射側基板7の代わり
に液晶層24を挟持するためのものである。
【0101】次に、図12に基づいて液晶層(液晶層形
成材料)24に対してレーザ照射を行った。図12は、
本液晶パネルの製造工程におけるレーザ照射の方法を示
す断面図である。なお、図12において、図の簡略化の
ため、電極4および水平配向膜2を省略している。
【0102】このレーザ照射には、プリズム28及び例
えば位相のそろった波長488nmのアルゴンレーザ2
9・30を用いた。プリズム28は、頂角θ1が45
〔°〕、頂角θ4が90〔°〕である直角三角形の断面
形状を有する三角柱である。アルゴンレーザ29・30
からのレーザ光(平行光)をθ2(=5〔°〕)、θ3
(=45〔°〕)の2方向から入射し、液晶層24に照
射した。これにより、レーザ光は干渉を起こし、特定間
隔dでレーザ光に強弱が生じた干渉パターンが得られ
た。この光の強弱は、光の波長と2つの光の入射角によ
り決定される微細な間隔で生ずる。
【0103】このとき、混合物が光硬化型高分子材料を
含んでいる場合には、混合物の干渉パターンの干渉光が
照射された光強度が強い領域で光硬化型高分子材料が硬
化する。また、混合物が熱硬化型高分子材料(例えば、
エポキシ樹脂)を含んでいる場合には、混合物の干渉パ
ターンの干渉光が照射された光強度が強い領域で発熱が
起こり、熱硬化型高分子材料を硬化する。このため、光
の弱い領域には主に液晶が集まる。この結果、液晶のみ
を含んだ、又は液晶を多く含んだ液晶層と高分子材料の
みを含んだ、または高分子材料を多く含んだ高分子材料
層とが分離された微細な多層構造が作製できる。
【0104】本実施の形態においては、図11の光線2
6のようにパネル法線近傍(黒保証角のコーン内)の、
観察者がいない側からの入射光を、パネルに対してより
平行になる方向にまげるような設計がなされている。こ
れにより、入射光のうち、液晶層を透過し吸収されてし
まう成分をも、パネル外に反射させることができ、光の
利用効率がより高くなる。
【0105】以上のようにして作製されたセルを上記測
定法2により測定した。測定結果を示すと次のとおりで
ある。すなわち、サンプルA’’の明るさは41%であ
り、コントラストは29であった。サンプルR’’の明
るさは5%であり、コントラストは10であった。ただ
し、サンプルA’’及びサンプルR’’は、液晶層以外
は上記サンプルA及びサンプルRと同様な条件で作製さ
れている。また、電圧オフ状態で反射状態を電圧オン状
態で透過状態をとるように設定されている。ただし、実
際に作製したセルは電圧オフ状態における光学特性は、
反射のみではなく、散乱もあり、反射と散乱の混合状態
となっている。以上より、明度の高い反射型液晶表示装
置が実現することがわかった。
【0106】また、本実施の形態では、微細な多層構造
の層法線から大きく傾斜した方向からの入射光に対して
のみ光線の進行方向をまげる効果を液晶層が有するよう
に設定されることを目的としているため、素微細な多層
構造の層法線をパネル法線とあわせた従来の方法の垂直
入射した光を垂直に反射する構造のものと比較して、目
的とするところが大きく異なる上に、微細な多層構造の
層間隔を広くとることができ、駆動電圧が低くなること
も実験により確認した。
【0107】本実施の形態4に係る反射型液晶表示装置
は、液晶層が反射状態と透過状態との間で状態変化する
点で異なっているが、その他は上記実施の形態1の場合
と基本的に同様な構成を有しており、上記液晶層におけ
る後方散乱率が30%よりも小さいか、または上記散乱
型液晶層の全光線透過率が30%よりも大きいことによ
り、反射率が10%より大きくでき、入射光の利用効率
を高めることが可能であることは同じであり、詳細な説
明を省略する。
【0108】以上より、入射光の利用効率が高まり、非
常に良好な白状態を実現でき、且つ、非常に暗度の高い
反射型液晶表示装置を確実に提供することができる。
【0109】以上のように、本発明に係る反射型液晶表
示装置は、一対の基板と、該一対の基板の間に挟持され
た散乱型液晶層とを有し、さらに、屈折率の異なる複数
の薄層を積層してなる干渉型反射膜を配置した構成を有
している。これにより、良好な白状態を実現できる。
【0110】上記干渉型反射膜は、上記基板のうち、反
射型液晶表示装置の使用者から遠い基板(下基板)上に
設けられていることが好ましい。この場合、干渉型反射
膜を光学変調層である液晶層の近傍に設けると、視差に
よる画質低下のない良好な表示が可能となる。
【0111】上記干渉型反射膜よりも、反射型液晶表示
装置の使用者から遠い側(下側)に吸収層を設けること
が好ましい。これにより、良好な黒状態を実現すること
が可能となる。
【0112】吸収型フィルタが上記干渉型反射膜よりも
観察者側に設けられており、かつ、該吸収型フィルタの
透過波長範囲が、該干渉型反射膜の反射波長範囲と同じ
か、それよりも狭いことをが好ましい。これにより、反
射型液晶表示装置の使用者の視認方向を変化させても、
色シフトがなく、色再現性に優れた表示が可能となる。
【0113】上記反射型液晶表示装置において、上記干
渉型反射膜は屈折率の異なる複数の薄層を積層してな
り、かつ、該干渉型反射膜を構成する屈折率の異なる複
数の薄層の層面の法線方向またはその近傍方向から入射
した光を透過し、平行方向またはその近傍方向から入射
した光を反射するように構成されていることが好まし
い。この場合、良好な白状態と良好な黒状態を実現する
ことができる。
【0114】上記干渉型反射膜を構成する屈折率の異な
る複数の薄層の層法線が、該反射型液晶表示装置の使用
者側に傾いていることが好ましい。この場合、良好な白
状態と良好な黒状態を実現することができる。
【0115】上記干渉型反射膜は屈折率の異なる複数の
薄層が積層されてなり、かつ、干渉型反射膜を構成する
屈折率の異なる複数の薄層の層法線が、該反射型液晶表
示装置の使用者に対して反対側に傾斜しており、該干渉
型反射膜は入射した全ての光を反射するように構成さ
れ、かつ、該傾斜角が上記基板水平面に対してθを90
°未満とすると、θ=(1/2)arcsin(n0/n1) (但
し、n0は大気中の屈折率を表し、n1は干渉型反射膜の平
均屈折率を表す)を満足することが好ましい。この場
合、良好な白状態と良好な黒状態とを実現することがで
きる。
【0116】すなわち、本発明の反射型液晶表示装置に
よれば、白表示の明度を高く、かつ、コントラストを高
くできる。また、見やすい多色表示可能な反射型液晶表
示装置を実現することが可能である。さらに、従来の反
射型液晶表示装置と比べて、波長依存性が小さく、色度
特性に大幅な向上が見られる。加えて、本発明に係る反
射型液晶表示装置は、視差による画質低下のない優れた
ものである。また、高明度に調整されたカラーフィルタ
を用いれば、良好な色再現性を有した表示品位の高い反
射型液晶表示装置を実現することが可能である。更に、
タッチパネルを付加する場合にも表示品位を損なうこと
なく入力装置一体型液晶表示装置を実現することが可能
となる。
【0117】
【発明の効果】本発明に係る反射型液晶表示装置は、以
上のように、入射光が入射される側に設けられた入射側
基板と、上記入射側基板と対向するように設けられた反
射側基板と、上記両基板間に挟持され、散乱状態と透過
状態との間で状態変化する散乱型液晶層と、上記散乱型
液晶層からの光を干渉、反射させる干渉型反射層とを備
え、上記散乱型液晶層における後方散乱率が30%より
も小さいか、または上記散乱型液晶層の全光線透過率が
30%よりも大きいことを特徴としている。
【0118】上記発明によれば、散乱型液晶層が散乱状
態にある場合、入射光が入射側基板を介して散乱型液晶
層に入射されると、この入射光は、一部が後方散乱光と
して後方に散乱され、一部が前方散乱光および直進光と
して該散乱型液晶層を通過する。
【0119】上記前方散乱光と上記直進光とは、干渉型
反射層に導かれ、ここで干渉、反射された後、再び散乱
状態にある散乱型液晶層に導かれ、ここで、再び散乱さ
れて、これらの一部が入射側基板を介して外部へ出てい
く。これ以外に外部へ出ていく光は、上記後方散乱光で
ある。このように、外部へ(観察者の方へ)出射する効
率の低い後方散乱光だけでなく、直進光及び前方散乱光
の一部もまた外部へ出射するので、非常に明度の高い反
射型液晶表示装置を確実に提供することができる。特
に、上記散乱型液晶層における後方散乱率が30%より
も小さいか、または上記散乱型液晶層の全光線透過率が
30%よりも大きい場合、反射率と後方散乱率の比が大
きくなるので、反射率が確実に向上する。以上より、非
常に明度の高く、且つ、非常に暗度の高い反射型液晶表
示装置を確実に提供することができるという効果を併せ
て奏する。
【0120】上記干渉型反射層は、上記反射側基板の近
傍に設けられていることが好ましい。これにより、干渉
型反射層が光学変調層である散乱型液晶層の近傍に設け
られていない場合、視差による画質低下が生じて良好な
表示が得られないが、上記発明のように近傍に設けられ
ると、視差による画質低下の無い良好な表示が確実に得
られるという効果を併せて奏する。
【0121】上記干渉型反射層は、その法線から所定の
角度内に入射された光を透過する一方、それ以外の角度
で入射した光を反射すると共に、上記干渉型反射層から
の光を吸収する吸収層を更に設けていることが好まし
い。
【0122】これにより、散乱型液晶層が散乱状態にあ
る場合、干渉型反射層への入射角度によって、その法線
から所定の角度内に入射された場合に透過して吸収層に
導かれ、ここで光が吸収される。一方、上記以外の角度
で入射した場合には干渉型反射層によって反射される。
したがって、観察者は、効率の低い後方散乱光だけでな
く、直進光および前方散乱光の一部もまた観察すること
になり、非常に明度の高い白表示が得られる。
【0123】これに対して、散乱型液晶層が透過状態に
ある場合、入射光が入射側基板を介して散乱型液晶層に
入射されると、この入射光は該散乱型液晶層を透過して
干渉型反射層に入射される。この際、その法線から所定
の角度内に入射された光は透過して吸収層に入射し、こ
こで光が吸収される。上記以外の角度で入射した光は干
渉型反射層によって反射される。つまり、上記干渉型反
射層の法線から所定の角度内で観察する限り、非常に良
好な黒表示が確実に得られる。
【0124】以上より、非常に明度の高く、且つ、非常
に暗度の高い反射型液晶表示装置を確実に提供すること
ができるという効果を併せて奏する。
【0125】上記干渉型反射層よりも上記入射側基板側
に設けられた吸収型カラーフィルタを更に備え、上記吸
収型カラーフィルタの透過波長範囲は、上記干渉型反射
層の反射波長範囲と同じかそれよりも狭いことが好まし
い。
【0126】この場合、入射側基板を介して入射された
光は、上記干渉型反射層よりも上記入射側基板側に設け
られた吸収型カラーフィルタに先に導かれる。そして、
この吸収型カラーフィルタの透過光は、上記干渉型反射
層に導かれる。この際、吸収型カラーフィルタの透過波
長範囲は、上記干渉型反射層の反射波長範囲と同じかそ
れよりも狭いので、吸収型カラーフィルタの透過光、す
なわち上記反射波長範囲内の全ての光に対して、同様な
干渉型反射層の反射率の入射角依存性を持たせることが
できる。これにより、観察者が視認方向を変化させて
も、色シフトが生じることがなく、色再現性に優れた表
示が可能となるという効果を併せて奏する。
【0127】上記干渉型反射層は屈折率の異なる複数の
薄層が積層されてなり、該薄層の法線方向またはその近
傍方向から入射した光を透過する一方、それ以外の方向
から入射した光を反射することが好ましい。
【0128】この場合、干渉型反射層を、ホログラム感
光樹脂材料を用いて薄層に作成したり、誘電体ミラーな
どのように無機材料の薄層で構成したりして簡単に作製
することができる。また、上記法線の近傍方向から入射
した光は該干渉型反射層を透過するため良好な黒状態を
実現し、上記法線の近傍以外の方向から入射した光は干
渉型反射層により全ての光が反射されるため、干渉型反
射層により明るさが大幅に向上するという効果を併せて
奏する。
【0129】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
の薄層からなり、その法線方向が観察者に向かうように
傾斜していることが好ましい。
【0130】この場合、干渉型反射層に入射した光は該
干渉型反射層によって干渉、反射されるが、干渉型反射
層の法線方向が観察者に向かうように傾斜しているの
で、観察者の目に届くことはない。一方、上記法線の近
傍方向から入射した光は屈折作用を受けた後、干渉型反
射層に達し、該干渉型反射層を透過するため良好な黒状
態を実現し、上記法線の近傍以外の方向から入射した光
は干渉型反射層により全ての光が反射されるため、干渉
型反射層により明るさが大幅に向上するという効果を併
せて奏する。
【0131】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
の薄層からなり、その法線方向は該干渉型反射層に入射
した光の全てを反射するように傾斜しており、大気中の
屈折率をn0とし、該干渉型反射層の平均屈折率をn1とす
ると、上記法線方向は、90度未満であって上記入射側
基板の表面に対して0.5arcsin(n0/n1) で表されるよ
りも大きい角度だけ傾斜していることが好ましい。
【0132】この場合、干渉型反射層の法線方向は入射
側基板の表面に対して0.5arcsin(n0/n1) で表される
よりも大きい角度だけ傾斜しているので、該干渉型反射
層に入射した光の全てが干渉型反射層によって干渉、反
射される。
【0133】これにより、干渉型反射層からの光は、干
渉型反射層の法線方向に対して観察者側から遠い方向へ
出射されることになるので、観察者の目に届くことはな
くなる。一方、入射光が透過状態の上記液晶層を上記角
度以外の角度で入射すると、入射光は同様に屈折作用を
受けた後、干渉型反射層に達し、該干渉型反射層を透過
するため良好な黒状態を実現し、上記法線の近傍以外の
方向から入射した光は干渉型反射層により全ての光が反
射されるため、干渉型反射層により明るさが大幅に向上
するという効果を併せて奏する。
【0134】上記散乱型液晶層が、光透過性の液晶性高
分子からなる固体マトリックス中に液晶分子が分散して
いる光変調性液晶材料であり、上記散乱型液晶層は、透
過状態のとき、上記液晶分子の有効屈折率と上記固体マ
トリックスの有効屈折率とが、入射光のどの方向に対し
ても調和されていることを特徴としている。
【0135】これによれば、透過状態のとき、上記液晶
分子の有効屈折率と上記固体マトリックスの有効屈折率
とが、入射光の方向に関係なく、調和しているので、コ
ントラストの非常に優れた表示を実現できる。
【0136】本発明に係る他の反射型液晶表示装置は、
入射光が入射される側に設けられた入射側基板と、上記
入射側基板と対向するように設けられた反射側基板と、
上記両基板間に挟持され、反射状態と透過状態との間で
状態変化する散乱型液晶層と、上記散乱型液晶層からの
光を干渉、反射させる干渉型反射層とを備え、上記散乱
型液晶層における後方散乱率が30%よりも小さいか、
または上記散乱型液晶層の全光線透過率が30%よりも
大きいことを特徴としている。
【0137】上記発明によれば、散乱型液晶層(コレス
テリック液晶、もしくは、ホログラフィック機能を備え
た高分子分散型液晶)が反射状態にある場合、入射光が
入射側基板を介して散乱型液晶層に入射されると、この
入射光は後方に反射された後、外部へ(観察者の方へ)
出射する。このように、入射光が散乱型液晶で反射され
て外部へ(観察者の方へ)出射するので、非常に明度の
高い反射型液晶表示装置を確実に提供することができ
る。
【0138】特に、上記散乱型液晶層における後方散乱
率が30%よりも小さいか、または上記散乱型液晶層の
全光線透過率が30%よりも大きい場合、反射率と後方
散乱率の比が大きくなるので、反射率が確実に向上す
る。以上より、入射光の利用効率が高まり、非常に良好
な白状態を実現でき、且つ、非常に暗度の高い反射型液
晶表示装置を確実に提供することができるという効果を
併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射型液晶表示装置の構成の断面
を示す説明図である。
【図2】上記反射型液晶表示装置で用いた干渉型反射膜
の露光角度の設定を示す説明図である。
【図3】本発明に係る反射型液晶表示装置の暗状態の動
作を示す説明図である。
【図4】上記反射型液晶表示装置で用いた反射率測定器
の構成図である。
【図5】比較のために用いた反射型液晶表示装置の構成
を示す断面図である。
【図6】本発明に係る他の反射型液晶表示装置の反射率
測定器の構成図である。
【図7】図6の反射型液晶表示装置の暗状態の動作を示
す説明図である。
【図8】本発明に係る更に他の反射型液晶表示装置の暗
状態の動作を示す説明図である。
【図9】本発明に係る他の反射型液晶表示装置の散乱特
性(全散乱透過率)を測定するための液晶セルの構造断
面図である。
【図10】上記散乱特性を測定するためのシステムの構
成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る更に他の反射型液晶表示装置の
例を示す説明図である。
【図12】図11の反射型液晶表示装置の多層構造形成
工程を説明する説明図である。
【符号の説明】 1 液晶層 2 液晶配向膜 3 液晶配向膜 4 電極 5 電極 6 入射側基板 7 反射側基板 8 干渉型反射膜(干渉型反射層) 9 光吸収層 10 カラーフィルタ 11 反射型液晶表示装置 15 受光器

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入射光が入射される側に設けられた入射側
    基板と、 上記入射側基板と対向するように設けられた反射側基板
    と、 上記両基板間に挟持され、散乱状態と透過状態との間で
    状態変化する散乱型液晶層と、 上記散乱型液晶層からの光を干渉、反射させる干渉型反
    射層とを備え、 上記散乱型液晶層における後方散乱率が30%よりも小
    さいか、または上記散乱型液晶層の全光線透過率が30
    %よりも大きいことを特徴とする反射型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】上記干渉型反射層が、上記反射側基板の近
    傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の
    反射型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】上記干渉型反射層は、その法線から所定の
    角度内に入射された光を透過する一方、それ以外の角度
    で入射した光を反射すると共に、 上記干渉型反射層を透過した光を吸収する吸収層を更に
    設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の反射型
    液晶表示装置。
  4. 【請求項4】上記干渉型反射層よりも上記入射側基板側
    に設けられた吸収型カラーフィルタを更に備え、 上記吸収型カラーフィルタの透過波長範囲は、上記干渉
    型反射層の反射波長範囲と同じかそれよりも狭いことを
    特徴とする請求項1、2、又は3に記載の反射型液晶表
    示装置。
  5. 【請求項5】上記干渉型反射層は屈折率の異なる複数の
    薄層が積層されてなり、該薄層の法線方向またはその近
    傍方向から入射した光を透過する一方、それ以外の方向
    から入射した光を反射することを特徴とする請求項1、
    2、3、又は4に記載の反射型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
    の薄層が積層されてなり、該薄層の法線方向が観察者に
    向かうように傾斜していることを特徴とする請求項5に
    記載の反射型液晶表示装置。
  7. 【請求項7】上記干渉型反射層は、屈折率の異なる複数
    の薄層が積層されてなり、該干渉型反射層は入射した光
    の全てを反射するものであり、 大気中の屈折率をn0とし、該干渉型反射層の平均屈折率
    をn1とすると、上記薄層の法線方向は、90度未満であ
    って上記入射側基板の表面に対して0.5arcsin(n0/n
    1) で表されるよりも大きい角度だけ傾斜していること
    を特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の反射型
    液晶表示装置。
  8. 【請求項8】上記散乱型液晶層が、光透過性の液晶性高
    分子からなる固体マトリックス中に液晶分子が分散して
    いる光変調性液晶材料であり、 上記散乱型液晶層は、透過状態のとき、上記液晶分子の
    有効屈折率と上記固体マトリックスの有効屈折率とが、
    入射光のどの方向に対しても調和されていることを特徴
    とする請求項1、2、3、又は4に記載の反射型液晶表
    示装置。
  9. 【請求項9】入射光が入射される側に設けられた入射側
    基板と、 上記入射側基板と対向するように設けられた反射側基板
    と、 上記両基板間に挟持され、反射状態と透過状態との間で
    状態変化する散乱型液晶層と、 上記散乱型液晶層からの光を干渉、反射させる干渉型反
    射層とを備え、 上記散乱型液晶層における後方散乱率が30%よりも小
    さいか、または上記散乱型液晶層の全光線透過率が30
    %よりも大きい反射型液晶表示装置。
  10. 【請求項10】上記散乱型液晶が、コレステリック液
    晶、もしくは、ホログラフィック機能を備えた高分子分
    散型液晶であることを特徴とする請求項9に記載の反射
    型液晶表示装置。
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