JP2001227500A - 小型軸流ファンのエアーフィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】コンピューターまたはその他の精密電子機器内
にあるフィンやファンなどで空気冷却をしている部品を
粉塵から守る。 【解決手段】有効表面積の大きなフィルターとファンを
つなぐ継ぎ手を設けることにより、空気の透過損失抵抗
が小さく寿命の長いフィルターが冷却用ファンに直接取
り付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は精密電子機器等で冷
却又はクリーニング用に使用される、吸引圧（水頭）２
０ｍｍＨ_２Ｏ以下の小型軸流ファンの防塵エアーフィル
ターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の小型ファンのエアーフィルター
は、簡易的にファンの吸込み部にそれとほぼ同じ大きさ
の目の粗いフィルターが取り付けられるもので、ろ過で
きる粉塵の大きさは直系０．３ｍｍ程度である。また耐
久性の点でもオイルミス（微小油滴）等の粉塵環境では
早期にフィルターの目詰まりが発生しファン風量が減少
し機器の性能を低下させるため、従来技術のフィルター
はオイルミスト等の過酷な粉塵環境では使用されないの
が一般的であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】例えばコンピューター
等の電子機器では、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃ
ｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）やＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓ
ｋ Ｄｒｉｖｅ）の高速化・高密高精度化が急激に進み
内部で発生する熱の放熱処理が必要になってきている。
既に３００ＭＨｚを超えるＣＰＵでは放熱専用のファン
とフィンが実装されている。一方精密電子機器はこれま
でのクリーンルームや一般オフィス環境から工場・作業
現場・厨房・販売店店頭等の屋外環境に近いところまで
進出してきており、それら劣悪粉塵環境下では放熱用の
フィンやファンに粉塵が付着・堆積し放熱効率が低下す
るため、発熱部の温度が上昇し機器性能低下や寿命が極
端に縮まるという問題が発生し始めている。本発明は、
一般的な電子機器で使用されている比較的吸込圧が小さ
い小型軸流ファンにおいて充分なろ過能力を発揮し、空
気の透過損失抵抗が小さく、かつフィルター寿命が機器
本体の耐用年数又はそれ以上で定期交換を必要としない
高性能の小型軸流ファンフィルターの提案である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】一般に微細孔を通過する
空気抵抗は、空気が透過する速度の３乗に比例し、孔の
数に反比例する。つまりフィルターの有効表面積を電子
機器各部の限られたスペースの中で最大化することで、
フィルターの微細孔１個あたりの空気透過速度を減少さ
せファンの吸込み抵抗負荷を最小化しかつフィルター寿
命を最大化できることになる。ファンに大きな表面積の
フィルターを継ぎ手を介して簡単に接続することで、吸
込圧が小さい小型軸流ファンに負担の少ない低価格で高
性能のフィルターが実現する。

【０００５】

【発明実施の形態】請求項１に対応する実施の形態を説
明する。

【０００６】ファンとフィルターを中継する継ぎ手は、
全体をゴムのような弾力性のある部材で成形し、継ぎ手
の一方がファン空気吸込み部分ともう一方がフィルター
が収納されているフィルター格納箱に圧入はめ合わさる
ようにしてあり、取付の際各接合部が密着・気密状態と
なりフィルター構造が形成される。つまり有効表面積の
大きなフィルターが簡単に小型軸流ファンの空気吸引側
に装着できるようになる。

【０００７】請求項２に対応する実施の形態を説明す
る。

【０００８】継ぎ手の別の実施形態は、ファン取付け固
定用ネジでファンと継ぎ手を一緒に固定する方法であ
る。この場合継ぎ手は一般的な樹脂成形品（プラスチッ
ク）等でも良く、ファンと継ぎ手及びフィルター格納箱
と継ぎ手の間には、機密性を高めるためにゴムパッキン
が挿入される。継ぎ手がファンと固定される位置は、軸
流ファンの空気吸込み側もしくは空気吐き出し側どちら
の位置でも可能である。ネジにより継ぎ手がファンと密
着固定された後フィルター格納箱がはめ込み装着される
ことでフィルター構造が形成される。

【０００９】継ぎ手とフィルター格納箱とのはめ合い接
合は楔を用いた逆戻り防止機構を付け、いったん両者が
はまると外れなくする方法は工数の少ない接合方法であ
る。この場合も両方が当たり合う部分はゴムパッキン等
の弾性体が挟み込まれ、押しつぶされることにより気密
性が確保される。

【００１０】請求項３に対応する実施の形態を説明す
る。

【００１１】コンピューター内のＣＰＵ部などは、装置
の心臓部でありその冷却装置にも高い信頼性が要求され
る。フィルター格納箱に組み込まれるフィルター材は目
の粗さ（格子孔径）が細かいほどろ過性能が向上する
が、フィルターの目の粗さが０．０５ｍｍ以下になると
空気の透過損失抵抗も大きくなり、またフィルターの目
詰まりも早期に発生し易くなるためフィルターの有効表
面積をより大きくする必要がある。

【００１２】シート状のフィルターをジャバラ加工し折
り返しの密度をより高めて実装することで、狭い実装ス
ペースで有効表面積の大きなフィルターを組み込むこと
が可能となる。

【００１３】ジャバラ加工されたフィルター材は屈伸が
容易であるため、例えばアルファベットの「Ｕ」字状に
格納することが可能となり、電子機器内に平面的な格納
スペースがなく垂直方向にスペースがあるときなどに有
効な手段となる。

【００１４】請求項４に対応する実施の形態の説明をす
る。

【００１５】粉塵にオイルミストや自動車の排気ガス
等、付着性の粉塵が少なくかつ衣類からの繊維ゴミ又は
紙粉等の細長く絡み易い粉塵が多い場合は、公称孔径
０．２ｍｍ程度の比較的目の粗いフィルターでも十分有
効があるため、肉厚のスポンジフィルター等が使用でき
る。

【００１６】

【実施例】実施例を図面を参照しながら説明する。

【００１７】図１（縦断面図）はコンピューター内部に
実装されるＣＰＵ冷却用小型ファンに本発明のフィルタ
ーを装着した例である。通常ＣＰＵ１０は内部で発生す
る熱を放熱用フィン９に伝導し、軸流ファン５により強
制的に送り込まれフィンの隙間を通り抜ける空気に熱伝
達することで冷却される。軸流ファン５はフィン９の空
気案内板８に固定されている。

【００１８】軸流ファン５の空気吸込み口には弾性体、
例えばゴムでできている継ぎ手１がはめ込み圧入されて
いる。ゴムには適当な弾力があるため接合部７には隙間
がなく気密性が保たれる。

【００１９】フィルター格納箱２は例えば樹脂成形品の
ように硬質であり、ジャバラ加工されたフィルター３が
接触部分を隙間のないよう接着剤で充填固定されてい
る。継ぎ手１にフィルター格納箱２がはめ込み圧入され
る接合部６には、継ぎ手１の適度な弾性により隙間はで
きず気密性が保たれる。

【００２０】ファン５が作動すると空気と粉塵はフィル
ター格納箱の開口部４から流入し、フィルター３を透過
する際に粉塵がろ過清浄化され、清浄空気が継ぎ手の穴
１１を通りファン５からフィン９に供給される。

【００２１】図２に別の実施例を示す。継ぎ手１２はフ
ァン４６自身の取付用ネジ孔と同じネジ孔が設けられ、
シールド用のゴムパッキン１６をはさみファンと共にフ
ァン固定ネジ１７により板８に締込み固定されている。
継ぎ手１２のフィルター格納箱１３のはめ合い部には楔
穴１８が設けてあり、フィルター格納箱１３に設けられ
る楔１４が一度楔穴１８にはまり込むと逆戻りして抜け
なくなる構造となっている。

【００２２】継ぎ手１２の内側底面にはゴムパッキン１
５が貼り付けられており、フィルター格納箱１３がはめ
込まれる時フィルター格納箱１３の端部でゴムパッキン
１５が押しつぶされることで気密が確保される。

【００２３】図３に別の実施例を示す。

【００２４】ファン２９、ゴムパッキン２４、平板状の
継ぎ手１９はファン固定用ネジ２２によって箱２７にネ
ジ止め固定される。箱２７の内部にはＣＰＵ、ＨＤＤ、
基盤等が格納されている。

【００２５】ジャバラ加工されたフィルター２１の中央
部２５はファン２９を格納するためのスペースを確保す
るためジャバラ加工がなく平坦となっており、フィルタ
ー２１はフィルター格納箱２０との接触部を接着剤など
で密着固定されている。ネジ２３によりフィルター格納
箱２０がゴムパッキン２４をはさみ継ぎ手１９にネジ止
め固定される。

【００２６】ファン２９が回転すると空気はフィルター
格納箱の開口部２６から吸込まれフィルターのジャバラ
部２１および平坦部２５を通過しファンへと達する。フ
ィルター２１両端のジャバラ加工された部分を通過した
空気はフィルターの平坦部２５とファン２９との隙間２
８を通りファン２９の吸込み部へ達し、箱２７の内部に
供給され冷却に使用され、その後箱２７の外部に吐き出
される。

【００２７】本実施例ではフィルターの取付け高さをき
わめて小さくできるため、電子機器へ装着するとき高さ
方向に収納スペースの制限がある場合などに有効なもの
となる。

【００２８】また本実施例ではファン固定ネジ２２がフ
ァン２９を直接継ぎ手２４にネジ止め固定するようにも
でき、ファンとフィルターを空気の粉塵を除去する独立
した簡易防塵ユニットとしても機能させることもでき
る。

【００２９】図６に簡易防塵ユニットとして実装される
実施例を示す。

【００３０】軸流ファンとフィルターとで構成される簡
易防塵ユニット４３はゴムなどの弾性パッキン４４を挟
みコンピューター４５の吸気孔部に取り付けられてい
る。コンピューター吸気孔から流入する空気は簡易防塵
装置４３で清浄化されているため、内部の機器が粉塵か
ら保護される。

【００３１】図４は別の実施例である。フィルター格納
箱３０の側面には細長い穴３４が設けられていて、ジャ
バラ加工されたフィルター３１は穴３４を跨ぐようにア
ルファベットのＵ字状に曲げられ両端面をフィルター格
納箱３０に接着されている。またフィルター３１の両端
面はフィルター格納箱３０の側壁３６に接着固定されて
いる。

【００３２】継ぎ手３２はゴムのような弾性体であり、
ファン３３とフィルター格納箱３０が密着圧入されてい
る。

【００３３】ファン３３が作動すると、空気は穴３４か
ら流入しフィルター３１を透過しフィルター格納箱３０
のファン取付け面に設けられた穴３７からファン３３へ
と吸込まれる。

【００３４】図５に別の実施例を示す。

【００３５】フィルター格納箱３８の内側にはスポンジ
状の多孔質フィルター３９が接合部４１を接着固定され
ている。フィルター格納箱３８は継ぎ手４０に固定さ
れ、継ぎ手４０はファン４２と共に板３５へネジ止め固
定されている。ファン４２が作動すると空気はフィルタ
ー３９を透過しファンから各部へ供給される。

【００３６】

【発明の効果】本発明は以上のような形態で実施され、
以下のような効果をそうする。

【００３７】ファンとフィルターを中継する継ぎ手を用
いることで、大きな有効表面積をもち空気透過損失抵抗
が小さいフィルターを直接ファンに接続することが可能
となり、吸込圧が小さい小型軸流ファンでも充分な風量
供給と長時間使用が可能なフィルターシステムが実現す
る。

【００３８】構造が非常に単純で部品点数も少ないため
製造コストが低い。

【００３９】これまで劣悪粉塵環境下で短時間で故障し
ていた電子機器の寿命を大幅に向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による実施例の縦断面図である。

【図２】本発明による別の実施例の縦断面図である。

【図３】本発明による別の実施例の縦断面図である。

【図４】本発明による別の実施例の縦断面図である。

【図５】本発明による別の実施例の縦断面図である。

【図６】本発明による実施例の実装例を説明する図であ
る。

【符号の説明】

１、１２、１９、３２、４０ 継ぎ手 ２、１３、２０、３０、３８ フィルター格納箱 ４、１１、２６、３４、３７ 開口部 ５，２９，３３、４２、４６ ファン １５、１６、２４、４４ ゴムパッキン １７、２２、２３ ネジ ３、４３、２１、３１、３９ フィルター ９ フィン ６、７、４１ 接合部 １４ 楔 １８ 楔穴 ８、３５ 板 １０ ＣＰＵ ２７ 箱 ２８ 隙間 ２５ 平坦部 ４３ 簡易防塵ユニット ４５ コンピューター ３６ 側壁

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コンピューターなどの精密電子機器の発熱
   部の冷却又はゴミを吹き飛ばしクリーニングを行うため
   に設置される小型軸流ファンに取り付けられる空気清浄
   器（エアーフィルター）であって、小型軸流ファンにそ
   の取付面積より大きな取付面積を必要とするエアーフィ
   ルターを装着するために、一方がファンに密着固定され
   一方がエアーフィルター格納箱と連結される継ぎ手と、
   エアーフィルターを格納し継ぎ手と密着結合できるよう
   にしたフィルター格納箱とで構成されることを特徴とす
   る小型軸流ファンのエアーフィルター。
2. 【請求項２】継ぎ手にはファン取付けネジ穴と同様の取
   付け穴があり、継ぎ手がファン取付けネジによりファン
   と共締め密着固定されることを特徴とする請求項１記載
   の小型軸流ファンのエアーフィルター。
3. 【請求項３】フィルター格納ユニットに格納されるフィ
   ルター材はシート状の多孔質材を山折り谷折り（ジャバ
   ラ）加工したものであることを特徴とする請求項１及び
   ２記載の小型軸流ファンのエアーフィルター。
4. 【請求項４】フィルター格納箱に格納されるフィルター
   材は、肉厚の多孔質材例えばスポンジ状のものであるこ
   とを特徴とする請求項１及び２記載の小型軸流ファンの
   エアーフィルター。