JP2001224264A - 植物培養組織の液体貯蔵方法 - Google Patents
植物培養組織の液体貯蔵方法Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 一定期間貯蔵後の植物組織が速やかに再増殖
して、高い増殖率を示す、植物組織の貯蔵方法を提供す
る。 【解決手段】 植物の組織培養により得られたシュート
を、サイトカイニン及び炭素源を添加した植物組織培養
用の液体培地中で、温度4〜10℃、光強度1μmol
/m2/s以下にて貯蔵する。
して、高い増殖率を示す、植物組織の貯蔵方法を提供す
る。 【解決手段】 植物の組織培養により得られたシュート
を、サイトカイニン及び炭素源を添加した植物組織培養
用の液体培地中で、温度4〜10℃、光強度1μmol
/m2/s以下にて貯蔵する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織培養による植
物体の大量生産方法を農業、林業等に適用するための、
植物組織の貯蔵方法に関する。
物体の大量生産方法を農業、林業等に適用するための、
植物組織の貯蔵方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物組織を培養容器内で栄養繁殖、ある
いは増殖させて大量のクローン苗を作成する組織培養技
術は、栄養繁殖性の花卉、作物のみならず、優良形質を
備えた植物個体を大量増殖させる方法として近年盛んに
用いられ、生産品の均一化や高収量化等、大きな効果を
もたらしている。
いは増殖させて大量のクローン苗を作成する組織培養技
術は、栄養繁殖性の花卉、作物のみならず、優良形質を
備えた植物個体を大量増殖させる方法として近年盛んに
用いられ、生産品の均一化や高収量化等、大きな効果を
もたらしている。
【0003】一方、多くの植物は、季節によってその需
要に差があり、また、多くの植物の苗は、1年のうちあ
る特定の時期に植付け時期が限定される。従って、組織
培養によりクローン苗を大量に生産する場合も、これら
の苗を、需要とその適した植付け時期を睨み、ある特定
の時期に合わせて、植付けに必要な全量を一度に、しか
も生長ステージを揃えて生産しなければならない。この
ためには、大量の人員を投入し、設備をフル稼働させて
行うことが要求される。しかも、それは、ごく限られた
期間(1年のうち3ヶ月間程度)だけ要求されるのであ
る。このような事情から、組織培養苗の大量生産は、上
記したような利点を持ちながらも、人員・設備を効率的
に稼動できない上、計画生産が難しく、コスト高を招く
こととなっていた。
要に差があり、また、多くの植物の苗は、1年のうちあ
る特定の時期に植付け時期が限定される。従って、組織
培養によりクローン苗を大量に生産する場合も、これら
の苗を、需要とその適した植付け時期を睨み、ある特定
の時期に合わせて、植付けに必要な全量を一度に、しか
も生長ステージを揃えて生産しなければならない。この
ためには、大量の人員を投入し、設備をフル稼働させて
行うことが要求される。しかも、それは、ごく限られた
期間(1年のうち3ヶ月間程度)だけ要求されるのであ
る。このような事情から、組織培養苗の大量生産は、上
記したような利点を持ちながらも、人員・設備を効率的
に稼動できない上、計画生産が難しく、コスト高を招く
こととなっていた。
【0004】こうした問題を解決するため、培養中の植
物組織の増殖、即ち組織の形態形成・生長等を一定期間
抑制又は停止させ、かつ、必要に応じて再び増殖させる
ことのできるような貯蔵方法が必要とされる。例えば、
かかる貯蔵方法として、貧栄養状態にして低温条件下で
行う貯蔵方法、減圧もしくは低酸素下で行う貯蔵方法、
更にはパラフィンやミネラルオイル等を用いて行う貯蔵
方法等が知られているが、これらの方法には、貯蔵後の
植物組織を再び増殖条件下に置いても、再増殖が始まる
までに時間がかかる、また、その増殖率自体も低い等の
問題点があった。従って、これらの方法は、貯蔵後の組
織の生産性があまり厳しく要求されないような、例え
ば、植物遺伝子資源の保存等の目的に適用するには良い
が、組織培養苗の大量生産を目的とする場合には、実用
に適したものとは言えなかった。
物組織の増殖、即ち組織の形態形成・生長等を一定期間
抑制又は停止させ、かつ、必要に応じて再び増殖させる
ことのできるような貯蔵方法が必要とされる。例えば、
かかる貯蔵方法として、貧栄養状態にして低温条件下で
行う貯蔵方法、減圧もしくは低酸素下で行う貯蔵方法、
更にはパラフィンやミネラルオイル等を用いて行う貯蔵
方法等が知られているが、これらの方法には、貯蔵後の
植物組織を再び増殖条件下に置いても、再増殖が始まる
までに時間がかかる、また、その増殖率自体も低い等の
問題点があった。従って、これらの方法は、貯蔵後の組
織の生産性があまり厳しく要求されないような、例え
ば、植物遺伝子資源の保存等の目的に適用するには良い
が、組織培養苗の大量生産を目的とする場合には、実用
に適したものとは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、かかる問
題点に鑑み、一定期間貯蔵後の植物組織が速やかに再増
殖して、高い増殖率を示す、植物組織の貯蔵方法を提供
することを目的とする。
題点に鑑み、一定期間貯蔵後の植物組織が速やかに再増
殖して、高い増殖率を示す、植物組織の貯蔵方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは鋭意研究
の結果、植物の組織培養により得られたシュートを、サ
イトカイニン及び炭素源を添加した液体培地中、冷暗所
にて貯蔵することにより、上記目的が達成されることを
見出し、本願発明を完成した。
の結果、植物の組織培養により得られたシュートを、サ
イトカイニン及び炭素源を添加した液体培地中、冷暗所
にて貯蔵することにより、上記目的が達成されることを
見出し、本願発明を完成した。
【0007】即ち、本願発明は、植物の組織培養により
得られたシュートを、サイトカイニン及び炭素源を添加
した植物組織培養用の液体培地中で、温度4〜10℃、
光強度1μmol/m2/s以下にて貯蔵することを特
徴とする。
得られたシュートを、サイトカイニン及び炭素源を添加
した植物組織培養用の液体培地中で、温度4〜10℃、
光強度1μmol/m2/s以下にて貯蔵することを特
徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本願発明を詳細に説明す
る。
る。
【0009】なお、本願発明において貯蔵とは、少なく
とも1ヶ月以上、その増殖、即ち形態形成や生長等を抑
制し、又は停止させた状態で、植物組織を保持すること
をいう。
とも1ヶ月以上、その増殖、即ち形態形成や生長等を抑
制し、又は停止させた状態で、植物組織を保持すること
をいう。
【0010】本願発明の対象となる植物は、その種類を
問わない。しかし、一般に木本植物は、草本植物よりも
生長が遅く、栄養繁殖も難しいため、組織培養による大
量生産を適用した場合の効果が大きい。従って、本願発
明も、木本植物に適用することにより、一層大きな効果
を期待することができる。
問わない。しかし、一般に木本植物は、草本植物よりも
生長が遅く、栄養繁殖も難しいため、組織培養による大
量生産を適用した場合の効果が大きい。従って、本願発
明も、木本植物に適用することにより、一層大きな効果
を期待することができる。
【0011】一方、本願発明は、植物の組織培養により
得られたシュートを貯蔵材料として用いることにより、
その目的が達成される。ここでシュートとは、不定芽が
伸長したものの他、多芽体、苗条原基等から得られる芽
が伸長したものをも指す。ちなみに、多芽体とは、定芽
や不定芽が適当な条件下で増殖して生じる、多数の芽を
分化させた組織である。多芽体は非常に活発に増殖し、
多数の芽を分化させるので、組織培養によって木本植物
のクローン苗を大量生産する場合には、その木本植物の
組織からいったん多芽体を誘導し、この多芽体を増殖さ
せつつ、これからシュートを採取して、これらのシュー
トを植物体の再生に用いるのが効率的である。
得られたシュートを貯蔵材料として用いることにより、
その目的が達成される。ここでシュートとは、不定芽が
伸長したものの他、多芽体、苗条原基等から得られる芽
が伸長したものをも指す。ちなみに、多芽体とは、定芽
や不定芽が適当な条件下で増殖して生じる、多数の芽を
分化させた組織である。多芽体は非常に活発に増殖し、
多数の芽を分化させるので、組織培養によって木本植物
のクローン苗を大量生産する場合には、その木本植物の
組織からいったん多芽体を誘導し、この多芽体を増殖さ
せつつ、これからシュートを採取して、これらのシュー
トを植物体の再生に用いるのが効率的である。
【0012】木本植物の組織からの多芽体の誘導は、概
ね次の過程を経て行われる。まず、材料とする植物の組
織から頂芽や側芽を採取し、有効塩素量0.4〜2%の
次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10〜30分間浸漬して
表面を殺菌する。次いで、無菌条件下、これらを滅菌水
で洗浄し、固体培地に挿しつけて芽を開じょさせ、伸長
してきたシュートを同じ組成の培地で継代培養すること
により、多芽体が形成される。ユーカリ属やアカシア属
の腋芽を用いる場合には、固体培地は、植物ホルモンと
してベンジルアミノプリン(以下、BAPと略す。)も
しくはカイネチン(以下、kinと略す。)0.02〜
1.0mg/l、ショ糖10〜50g/l、ゲランガム
0.2〜0.3w/v%もしくは寒天0.6〜1.0w
/v%を含有するムラシゲスクーグ(以下、MSと略
す。)培地又はこのMS培地の硝酸アンモニウム成分と
硝酸カリウム成分とを半減させた改変MS培地を用いる
のが好ましい。なお、このようにして誘導された多芽体
は、適当に分割し、再び同組成の培地に置床して継代培
養することにより、維持・増殖することができる。
ね次の過程を経て行われる。まず、材料とする植物の組
織から頂芽や側芽を採取し、有効塩素量0.4〜2%の
次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10〜30分間浸漬して
表面を殺菌する。次いで、無菌条件下、これらを滅菌水
で洗浄し、固体培地に挿しつけて芽を開じょさせ、伸長
してきたシュートを同じ組成の培地で継代培養すること
により、多芽体が形成される。ユーカリ属やアカシア属
の腋芽を用いる場合には、固体培地は、植物ホルモンと
してベンジルアミノプリン(以下、BAPと略す。)も
しくはカイネチン(以下、kinと略す。)0.02〜
1.0mg/l、ショ糖10〜50g/l、ゲランガム
0.2〜0.3w/v%もしくは寒天0.6〜1.0w
/v%を含有するムラシゲスクーグ(以下、MSと略
す。)培地又はこのMS培地の硝酸アンモニウム成分と
硝酸カリウム成分とを半減させた改変MS培地を用いる
のが好ましい。なお、このようにして誘導された多芽体
は、適当に分割し、再び同組成の培地に置床して継代培
養することにより、維持・増殖することができる。
【0013】こうして得られた多芽体等から伸長してき
たシュートは、その基部から切取って貯蔵する。このと
き、貯蔵用のシュートとして、腋芽又は腋芽の原基をつ
けた節を4〜5節有するものを選べば、貯蔵後の増殖条
件下での再培養によって10本近くのシュートが生じる
場合もあるので、クローン苗の大量生産を図る上で効率
が良い。また、予め、貯蔵するシュートの頂芽を切除し
ておけば、再培養時に腋芽からのシュートの伸長が促進
される。多芽体から生じるシュートであれば、だいたい
の目安として、長さ5cm程度のシュートが、腋芽又は
腋芽の原基をつけた節を4〜5節含み、貯蔵用として適
している。多芽体の維持・増殖のため植え継ぎを行う際
に、かかるシュートを適宜選択し、これを貯蔵しておけ
ば、クローン苗を大量に生産する必要がある場合に、こ
れらを増殖条件下で一挙に再培養することにより、速や
かに対応することができる。なお、シュートの貯蔵時、
葉は、このシュートについていてもついていなくても構
わないが、葉は、貯蔵期間中に枯れてシュートから脱落
し、液体培地中に漂ってシュートに絡みついたりするの
で、シュートを増殖条件下に移すときの操作を煩雑にす
る。一方、予めシュートから葉を除去して貯蔵すれば、
貯蔵容器一つ当りにより多くのシュートを貯蔵すること
ができる。更に、こうして葉を除去したシュートは、葉
をつけたまま貯蔵したシュートと比べ、より長期間の貯
蔵に耐える傾向を示す。従って、葉は、貯蔵前にシュー
トから除去しておく方が望ましい。
たシュートは、その基部から切取って貯蔵する。このと
き、貯蔵用のシュートとして、腋芽又は腋芽の原基をつ
けた節を4〜5節有するものを選べば、貯蔵後の増殖条
件下での再培養によって10本近くのシュートが生じる
場合もあるので、クローン苗の大量生産を図る上で効率
が良い。また、予め、貯蔵するシュートの頂芽を切除し
ておけば、再培養時に腋芽からのシュートの伸長が促進
される。多芽体から生じるシュートであれば、だいたい
の目安として、長さ5cm程度のシュートが、腋芽又は
腋芽の原基をつけた節を4〜5節含み、貯蔵用として適
している。多芽体の維持・増殖のため植え継ぎを行う際
に、かかるシュートを適宜選択し、これを貯蔵しておけ
ば、クローン苗を大量に生産する必要がある場合に、こ
れらを増殖条件下で一挙に再培養することにより、速や
かに対応することができる。なお、シュートの貯蔵時、
葉は、このシュートについていてもついていなくても構
わないが、葉は、貯蔵期間中に枯れてシュートから脱落
し、液体培地中に漂ってシュートに絡みついたりするの
で、シュートを増殖条件下に移すときの操作を煩雑にす
る。一方、予めシュートから葉を除去して貯蔵すれば、
貯蔵容器一つ当りにより多くのシュートを貯蔵すること
ができる。更に、こうして葉を除去したシュートは、葉
をつけたまま貯蔵したシュートと比べ、より長期間の貯
蔵に耐える傾向を示す。従って、葉は、貯蔵前にシュー
トから除去しておく方が望ましい。
【0014】本願発明では、上記のようにして調製した
シュートを、その組織表面から必要な栄養が十分に供給
されるよう、サイトカイニンと炭素源を添加した植物組
織培養用の液体培地中で貯蔵する。これらのシュート
は、貯蔵中においても生命活動を完全に停止しているわ
けではなく、ある程度の生命活動を行っているからであ
る。特に、貯蔵用の液体培地中にサイトカイニンを添加
しないと、貯蔵後、増殖条件下にシュートを移し、再培
養したとしても、シュート形成能は回復せず、腋芽等か
らのシュートの形成率は低くなる。また、炭素源を添加
しないと、シュートは貯蔵中に枯死してしまう。
シュートを、その組織表面から必要な栄養が十分に供給
されるよう、サイトカイニンと炭素源を添加した植物組
織培養用の液体培地中で貯蔵する。これらのシュート
は、貯蔵中においても生命活動を完全に停止しているわ
けではなく、ある程度の生命活動を行っているからであ
る。特に、貯蔵用の液体培地中にサイトカイニンを添加
しないと、貯蔵後、増殖条件下にシュートを移し、再培
養したとしても、シュート形成能は回復せず、腋芽等か
らのシュートの形成率は低くなる。また、炭素源を添加
しないと、シュートは貯蔵中に枯死してしまう。
【0015】望ましいサイトカイニンの添加量は、貯蔵
する植物の種類とサイトカイニンの種類によっても異な
るが、通常は、0.05〜0.5mg/lであれば、本
願発明の目的を達成することができる。なお、サイトカ
イニンの種類としては、BAP、kinが入手も容易で
あり、使いやすい。
する植物の種類とサイトカイニンの種類によっても異な
るが、通常は、0.05〜0.5mg/lであれば、本
願発明の目的を達成することができる。なお、サイトカ
イニンの種類としては、BAP、kinが入手も容易で
あり、使いやすい。
【0016】一方、炭素源としては、ショ糖を用いるの
が一般的である。しかし、この他にも、ブドウ糖、フラ
クトース等の単糖類、マルトース、セロビオース、ラフ
ィノース等のオリゴ糖類、可溶性デンプン、デキストリ
ン等の多糖類、更に、稀にではあるが、植物の種類によ
って有機酸も炭素源として使用することができる。ショ
糖を用いる場合、その添加量を5〜40g/lとするこ
とで、本願発明の目的を達成することができる。
が一般的である。しかし、この他にも、ブドウ糖、フラ
クトース等の単糖類、マルトース、セロビオース、ラフ
ィノース等のオリゴ糖類、可溶性デンプン、デキストリ
ン等の多糖類、更に、稀にではあるが、植物の種類によ
って有機酸も炭素源として使用することができる。ショ
糖を用いる場合、その添加量を5〜40g/lとするこ
とで、本願発明の目的を達成することができる。
【0017】植物組織培養用の液体培地としては、貯蔵
する植物の種類に応じて、MS培地やガンボーグB5培
地等、植物組織培養用として公知の基本培地を、そのま
ま又は適宜希釈して用いることができる。例えば、ユー
カリ属やアカシア属の場合、MS培地は1〜10倍程度
まで希釈して用いることができる。
する植物の種類に応じて、MS培地やガンボーグB5培
地等、植物組織培養用として公知の基本培地を、そのま
ま又は適宜希釈して用いることができる。例えば、ユー
カリ属やアカシア属の場合、MS培地は1〜10倍程度
まで希釈して用いることができる。
【0018】本願発明において植物のシュートは、液体
培地中に浸漬した状態で、又は、液体培地と空気との界
面に浮遊させた状態で貯蔵する。液体培地中に浸漬した
状態でシュートを貯蔵する場合には、その組織の水浸状
化(組織が水膨れ状態になること。外見的には、半透明
化することが多い。)を防止するため、液体培地中に空
気が供給されることが望ましい。
培地中に浸漬した状態で、又は、液体培地と空気との界
面に浮遊させた状態で貯蔵する。液体培地中に浸漬した
状態でシュートを貯蔵する場合には、その組織の水浸状
化(組織が水膨れ状態になること。外見的には、半透明
化することが多い。)を防止するため、液体培地中に空
気が供給されることが望ましい。
【0019】貯蔵のための容器としては、貯蔵期間中無
菌状態が保たれるものであれば、別に制限なく使用する
ことができるが、貯蔵スペースの点からは、プラスチッ
ク製の袋を貯蔵容器として利用するのが望ましい。例え
ば、封筒型等にプラスチック製の袋を作り、これを貯蔵
容器として用いれば、この袋は寝かせた状態で、垂直方
向に積重ねて貯蔵できるので、貯蔵スペースを大幅に節
約することができる。これは、クローン苗の大量生産の
ため、大量のシュートを貯蔵する必要がある場合に、極
めて有利である。
菌状態が保たれるものであれば、別に制限なく使用する
ことができるが、貯蔵スペースの点からは、プラスチッ
ク製の袋を貯蔵容器として利用するのが望ましい。例え
ば、封筒型等にプラスチック製の袋を作り、これを貯蔵
容器として用いれば、この袋は寝かせた状態で、垂直方
向に積重ねて貯蔵できるので、貯蔵スペースを大幅に節
約することができる。これは、クローン苗の大量生産の
ため、大量のシュートを貯蔵する必要がある場合に、極
めて有利である。
【0020】かかる貯蔵容器の材料となるプラスチック
としては、密封して袋状とすることができ、密封するこ
とによって、その内部を、上記のように貯蔵の期間中無
菌状態に保つことができる軟質のプラスチックフィルム
であり、かつ、これで貯蔵容器を作成した場合の内容物
となる、サイトカイニン及び炭素源を添加した植物組織
培養用の液体培地、そして植物のシュートに悪影響を及
ぼすものでなければ、何でも使用することができる。し
かし、中でも、かかるプラスチックフィルムとして最も
入手しやすいポリエチレンフィルム、あるいは、ガス透
過性を有し、しかも耐熱性を有するためオートクレーブ
可能なフッ素樹脂(以下、PFAと略す。)フィルム
は、本願発明の貯蔵容器の材料として望ましい。特に、
PFAフィルムは、ガス透過性を有するため、これを材
料として貯蔵容器を作成した場合には、内容物である液
体培地中に空気が供給され、植物シュートをこの培地中
に浸漬した状態で貯蔵したときでも、その水浸状化を防
止することができる。
としては、密封して袋状とすることができ、密封するこ
とによって、その内部を、上記のように貯蔵の期間中無
菌状態に保つことができる軟質のプラスチックフィルム
であり、かつ、これで貯蔵容器を作成した場合の内容物
となる、サイトカイニン及び炭素源を添加した植物組織
培養用の液体培地、そして植物のシュートに悪影響を及
ぼすものでなければ、何でも使用することができる。し
かし、中でも、かかるプラスチックフィルムとして最も
入手しやすいポリエチレンフィルム、あるいは、ガス透
過性を有し、しかも耐熱性を有するためオートクレーブ
可能なフッ素樹脂(以下、PFAと略す。)フィルム
は、本願発明の貯蔵容器の材料として望ましい。特に、
PFAフィルムは、ガス透過性を有するため、これを材
料として貯蔵容器を作成した場合には、内容物である液
体培地中に空気が供給され、植物シュートをこの培地中
に浸漬した状態で貯蔵したときでも、その水浸状化を防
止することができる。
【0021】本願発明において植物のシュートは、4〜
10℃の間の、その植物に最も適した温度で貯蔵する。
温度が4℃未満では、大抵の植物組織で、その耐寒性の
限度を超えるため、枯死する可能性が高くなる。温度が
10℃を超えると、その組織は生長・増殖してしまい、
もはや貯蔵することができなくなる。しかも、このよう
にして生長・増殖した組織は、もやし状であったり、水
浸状であったりするため、その後、正常な増殖条件下で
の再培養を試みても取扱いが困難であり、また、健全な
シュート形成、ひいては苗の作成が難しい。
10℃の間の、その植物に最も適した温度で貯蔵する。
温度が4℃未満では、大抵の植物組織で、その耐寒性の
限度を超えるため、枯死する可能性が高くなる。温度が
10℃を超えると、その組織は生長・増殖してしまい、
もはや貯蔵することができなくなる。しかも、このよう
にして生長・増殖した組織は、もやし状であったり、水
浸状であったりするため、その後、正常な増殖条件下で
の再培養を試みても取扱いが困難であり、また、健全な
シュート形成、ひいては苗の作成が難しい。
【0022】本願発明において植物のシュートは、更
に、光強度1μmol/m2/s以下にて培養しなけれ
ばならない。光強度が1μmol/m2/sより大きく
なると、やはり、その組織は生長・増殖してしまうた
め、貯蔵することができなくなる。
に、光強度1μmol/m2/s以下にて培養しなけれ
ばならない。光強度が1μmol/m2/sより大きく
なると、やはり、その組織は生長・増殖してしまうた
め、貯蔵することができなくなる。
【0023】本願発明の方法により貯蔵したシュート
は、その後、増殖条件下で再培養することにより、速や
かに、かつ、活発に増殖する。再培養に当っては、貯蔵
したシュートの茎軸を、その節と節との間で切り分け
て、これをそれぞれ、そのシュートに適した増殖用培地
に置床して培養するとよい。ユーカリ属やアカシア属の
ように対生に葉をつける植物では、腋芽又は腋芽の原基
は、シュートの茎軸一節毎に二つ以上存在しているの
で、こうして置床した茎軸1個からは、だいたい2本以
上のシュートが伸長してくることとなる。ちなみに、ユ
ーカリ属やアカシア属の場合は、こうして貯蔵後のシュ
ートから調製した茎軸を、多芽体の誘導・増殖に用いた
前記培地と同様の培地に置床し、温度20〜30℃、光
強度40μmol/m2/s、16時間日長にて約20
〜30日間培養することで、発根過程に移すことのでき
るシュートを多数得ることができる。
は、その後、増殖条件下で再培養することにより、速や
かに、かつ、活発に増殖する。再培養に当っては、貯蔵
したシュートの茎軸を、その節と節との間で切り分け
て、これをそれぞれ、そのシュートに適した増殖用培地
に置床して培養するとよい。ユーカリ属やアカシア属の
ように対生に葉をつける植物では、腋芽又は腋芽の原基
は、シュートの茎軸一節毎に二つ以上存在しているの
で、こうして置床した茎軸1個からは、だいたい2本以
上のシュートが伸長してくることとなる。ちなみに、ユ
ーカリ属やアカシア属の場合は、こうして貯蔵後のシュ
ートから調製した茎軸を、多芽体の誘導・増殖に用いた
前記培地と同様の培地に置床し、温度20〜30℃、光
強度40μmol/m2/s、16時間日長にて約20
〜30日間培養することで、発根過程に移すことのでき
るシュートを多数得ることができる。
【0024】最終的に、植物体を再生するには、こうし
て得られたシュートを切取り、ショ糖等の炭素源、植物
ホルモンとしてインドール酢酸、インドール酪酸、ナフ
タレン酢酸、ジクロロ酢酸等のオーキシン類を含む、適
当な植物組織培養用培地にて培養し、発根させればよ
い。また、炭素源としてショ糖等を用いる代わりに、炭
酸ガスを培養環境中に供給してもよい。シュートの貯蔵
から発根工程に到る操作は、原則として、全て無菌条件
下で行うが、このように炭素源としてショ糖の代わりに
炭酸ガスを用いることにより、この発根工程を非無菌下
で行うことができる。ユーカリ属やアカシア属のシュー
トの場合は、炭酸ガスを環境中に供給しつつ、オーキシ
ン類0.01〜2.0mg/lを含むMS培地にて培養
することで、発根させることができる。MS培地は4倍
程度まで希釈して用いても構わない。培地は、液体でも
固体でも用いることができる。液体培地を用いる場合に
は、フェノール樹脂やロックウール等を材料とする適当
な空隙を有する支持体を、その液体培地で湿潤させ、こ
れにシュートを挿しつければよい。
て得られたシュートを切取り、ショ糖等の炭素源、植物
ホルモンとしてインドール酢酸、インドール酪酸、ナフ
タレン酢酸、ジクロロ酢酸等のオーキシン類を含む、適
当な植物組織培養用培地にて培養し、発根させればよ
い。また、炭素源としてショ糖等を用いる代わりに、炭
酸ガスを培養環境中に供給してもよい。シュートの貯蔵
から発根工程に到る操作は、原則として、全て無菌条件
下で行うが、このように炭素源としてショ糖の代わりに
炭酸ガスを用いることにより、この発根工程を非無菌下
で行うことができる。ユーカリ属やアカシア属のシュー
トの場合は、炭酸ガスを環境中に供給しつつ、オーキシ
ン類0.01〜2.0mg/lを含むMS培地にて培養
することで、発根させることができる。MS培地は4倍
程度まで希釈して用いても構わない。培地は、液体でも
固体でも用いることができる。液体培地を用いる場合に
は、フェノール樹脂やロックウール等を材料とする適当
な空隙を有する支持体を、その液体培地で湿潤させ、こ
れにシュートを挿しつければよい。
【0025】
【作用】従来、低温貯蔵される植物組織に対し、栄養素
の供給は、本質的には不用と考えられていた。低温下で
貯蔵されている植物組織は、休眠状態であるため、栄養
素は必要のないはずだからである。
の供給は、本質的には不用と考えられていた。低温下で
貯蔵されている植物組織は、休眠状態であるため、栄養
素は必要のないはずだからである。
【0026】これに対し、本願発明者らは、植物の組織
培養により得られたシュートの場合、貯蔵と、その後の
速やかで活発な再増殖のためには、冷暗所での貯蔵に当
っても、栄養素、特に、サイトカイニンと炭素源の供給
が必須であることを見出した。即ち、貯蔵中であって
も、サイトカイニンの外部からの供給がなければ、貯蔵
後のシュートの形成率は低くなり、炭素源の供給がなけ
れば、シュートは貯蔵中に枯死してしまう。これは、こ
れらのシュートが、冷暗所での貯蔵中においても生命活
動を完全に停止しているわけではなく、ある程度の生命
活動を行っており、サイトカイニンや炭素源等の栄養素
を代謝しているためと考えられる。そして、これらの栄
養素を供給しつつ貯蔵することで、貯蔵中のシュートの
組織は健全な状態に保たれ、また、貯蔵後はその組織が
スムーズに活動を始め、増殖するのである。
培養により得られたシュートの場合、貯蔵と、その後の
速やかで活発な再増殖のためには、冷暗所での貯蔵に当
っても、栄養素、特に、サイトカイニンと炭素源の供給
が必須であることを見出した。即ち、貯蔵中であって
も、サイトカイニンの外部からの供給がなければ、貯蔵
後のシュートの形成率は低くなり、炭素源の供給がなけ
れば、シュートは貯蔵中に枯死してしまう。これは、こ
れらのシュートが、冷暗所での貯蔵中においても生命活
動を完全に停止しているわけではなく、ある程度の生命
活動を行っており、サイトカイニンや炭素源等の栄養素
を代謝しているためと考えられる。そして、これらの栄
養素を供給しつつ貯蔵することで、貯蔵中のシュートの
組織は健全な状態に保たれ、また、貯蔵後はその組織が
スムーズに活動を始め、増殖するのである。
【0027】なお、これらサイトカイニンや炭素源は、
貯蔵中の植物組織の表面からその細胞内に取り込まれる
ものと考えられる。従って、本願発明においては、サイ
トカイニンや炭素源を添加した液体培地中で、植物の組
織培養により得られたシュートを貯蔵する。そうするこ
とにより、シュートのほぼ全表面から、これらの成分が
細胞内に供給され、より一層、その効果が顕著に発揮さ
れるからである。
貯蔵中の植物組織の表面からその細胞内に取り込まれる
ものと考えられる。従って、本願発明においては、サイ
トカイニンや炭素源を添加した液体培地中で、植物の組
織培養により得られたシュートを貯蔵する。そうするこ
とにより、シュートのほぼ全表面から、これらの成分が
細胞内に供給され、より一層、その効果が顕著に発揮さ
れるからである。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。
る。
【0029】[実施例1]10年生ユーカリプタス・グ
ロブルス(Eucalyputus globulus、以下、E.グロブル
スと略す。)の当年生枝を採取し、有効塩素量1%の次
亜塩素酸ナトリウム溶液に20分間浸漬してその表面を
殺菌した後、滅菌水で洗浄し、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ゲランガム0.25w/v%を添加
したMS固体培地に挿しつけ、1ヶ月後、展開してきた
腋芽を同組成の培地に置床して継代培養することによ
り、多芽体を誘導した。
ロブルス(Eucalyputus globulus、以下、E.グロブル
スと略す。)の当年生枝を採取し、有効塩素量1%の次
亜塩素酸ナトリウム溶液に20分間浸漬してその表面を
殺菌した後、滅菌水で洗浄し、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ゲランガム0.25w/v%を添加
したMS固体培地に挿しつけ、1ヶ月後、展開してきた
腋芽を同組成の培地に置床して継代培養することによ
り、多芽体を誘導した。
【0030】この多芽体から、約3〜5cmに伸長した
シュートを切取り、メスを用いて頂芽と葉を取除き、こ
れをPFAフィルム製の袋(縦85mm、横12mm、
容量100ml)に入れた、BAP0.1mg/l、シ
ョ糖20g/lを添加した4倍希釈MS液体培地(pH
5.6〜5.8)10ml中に、一袋当り120本づつ
入れた。次いで、この袋を、その中から空気を取除いた
後、ヒートシールして、4、8又は10℃のインキュベ
ーター中で、光強度1μmol/m2/s以下にて貯蔵
した。なお、このとき、貯蔵に供したシュートは、いず
れも4節を有していた。
シュートを切取り、メスを用いて頂芽と葉を取除き、こ
れをPFAフィルム製の袋(縦85mm、横12mm、
容量100ml)に入れた、BAP0.1mg/l、シ
ョ糖20g/lを添加した4倍希釈MS液体培地(pH
5.6〜5.8)10ml中に、一袋当り120本づつ
入れた。次いで、この袋を、その中から空気を取除いた
後、ヒートシールして、4、8又は10℃のインキュベ
ーター中で、光強度1μmol/m2/s以下にて貯蔵
した。なお、このとき、貯蔵に供したシュートは、いず
れも4節を有していた。
【0031】再培養は、貯蔵後3ヶ月、6ヶ月又は12
ヶ月目に、それぞれ10シュートを取出して、その節と
節との間で切り分け、これを、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ココナットウォーター50ml及び
ゲランガム0.25w/v%を添加したMS固体培地に
挿しつけて、温度24℃、光強度40μmol/m2/
sで行った。
ヶ月目に、それぞれ10シュートを取出して、その節と
節との間で切り分け、これを、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ココナットウォーター50ml及び
ゲランガム0.25w/v%を添加したMS固体培地に
挿しつけて、温度24℃、光強度40μmol/m2/
sで行った。
【0032】再培養後、30日目のシュートの形成数を
表1に示す。なお表中、シュートは、長さ2cm以上の
ものをカウントした。
表1に示す。なお表中、シュートは、長さ2cm以上の
ものをカウントした。
【0033】[実施例2]貯蔵用の液体培地として、B
AP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加したMS
液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4℃
又は8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にして、
多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、
再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結果を
表1に示す。
AP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加したMS
液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4℃
又は8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にして、
多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、
再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結果を
表1に示す。
【0034】[実施例3]貯蔵用の液体培地として、B
AP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加した10
倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯
蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にし
て、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行
い、再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結
果を表1に示す。
AP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加した10
倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯
蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にし
て、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行
い、再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結
果を表1に示す。
【0035】[実施例4]貯蔵用の容器としてポリエチ
レンフィルム製の袋を用い、貯蔵温度8℃で貯蔵を行っ
た他は、実施例1と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
レンフィルム製の袋を用い、貯蔵温度8℃で貯蔵を行っ
た他は、実施例1と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
【0036】[実施例5]貯蔵用の容器としてポリエチ
レンフィルム製の袋を用い、これに、液体培地及びシュ
ートを入れた後、空気を入れたままヒートシールして、
貯蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にし
て、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行
い、再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結
果を表1に示す。
レンフィルム製の袋を用い、これに、液体培地及びシュ
ートを入れた後、空気を入れたままヒートシールして、
貯蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にし
て、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行
い、再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結
果を表1に示す。
【0037】[実施例6]貯蔵用の容器として360m
l容の培養ビンを用い、これに液体培地50ml及びシ
ュートを入れた後、空気を入れたままねじ口蓋で密封し
て、貯蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様
にして、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養
を行い、再培養後30日目のシュート形成数を調査し
た。結果を表1に示す。
l容の培養ビンを用い、これに液体培地50ml及びシ
ュートを入れた後、空気を入れたままねじ口蓋で密封し
て、貯蔵温度8℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様
にして、多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養
を行い、再培養後30日目のシュート形成数を調査し
た。結果を表1に示す。
【0038】[比較例1]貯蔵用の液体培地として、B
AP0.1mg/lのみを添加した4倍希釈MS液体培
地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度8℃で貯蔵
を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体より得ら
れたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日
目のシュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
AP0.1mg/lのみを添加した4倍希釈MS液体培
地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度8℃で貯蔵
を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体より得ら
れたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日
目のシュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
【0039】[比較例2]温度を1又は12℃として貯
蔵を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体より得
られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30
日目のシュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
蔵を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体より得
られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30
日目のシュート形成数を調査した。結果を表1に示す。
【0040】[比較例3]貯蔵用の培地として、BAP
0.1mg/l、ショ糖20g/l、ゲランガム0.2
4w/v%を添加した4倍希釈MS固体培地(pH5.
6〜5.8)を用い、また、貯蔵用の容器として360
ml容の培養ビンを用いて、この培養ビン中の固体培地
に、培養ビン1個当り30本のシュートを挿しつけた
後、空気を入れたままねじ口蓋で密封して、貯蔵温度8
℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体
より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養
後30日目のシュート形成数を調査した。結果を表1に
示す。
0.1mg/l、ショ糖20g/l、ゲランガム0.2
4w/v%を添加した4倍希釈MS固体培地(pH5.
6〜5.8)を用い、また、貯蔵用の容器として360
ml容の培養ビンを用いて、この培養ビン中の固体培地
に、培養ビン1個当り30本のシュートを挿しつけた
後、空気を入れたままねじ口蓋で密封して、貯蔵温度8
℃で貯蔵を行った他は、実施例1と同様にして、多芽体
より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養
後30日目のシュート形成数を調査した。結果を表1に
示す。
【0041】[比較例4]全く貯蔵工程を行わなかった
場合のシュート形成数をE.グロブルスについて調査し
た。
場合のシュート形成数をE.グロブルスについて調査し
た。
【0042】即ち、実施例1と同様にして多芽体を誘導
した後、約3〜5cmに伸長したシュート10本を切取
り、これを節と節との間で切り分けて直ちに、実施例1
で再培養に用いたものと同じ、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ココナットウォーター50ml及び
ゲランガム0.25w/v%を添加したMS固体培地に
挿しつけて、温度24℃、光強度40μmol/m2/
sで培養を行い、30日後のシュート形成数を調査し
た。結果を表1に示す。
した後、約3〜5cmに伸長したシュート10本を切取
り、これを節と節との間で切り分けて直ちに、実施例1
で再培養に用いたものと同じ、BAP0.1mg/l、
ショ糖20g/l、ココナットウォーター50ml及び
ゲランガム0.25w/v%を添加したMS固体培地に
挿しつけて、温度24℃、光強度40μmol/m2/
sで培養を行い、30日後のシュート形成数を調査し
た。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1より明らかなように、E.グロブルス
の多芽体より得られたシュートは、8℃で貯蔵した後、
最も活発なシュート形成を示した。殊に、貯蔵用培地と
して、BAP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加
した4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)を用
い、貯蔵用容器としてPFAフィルム製の袋を用いて8
℃で貯蔵した場合には、その後の再培養において、全く
貯蔵工程を行わなかった場合よりも活発なシュート形成
を示し、しかも、そのシュート形成能は12ヶ月貯蔵し
た後も殆ど変化がなかった。
の多芽体より得られたシュートは、8℃で貯蔵した後、
最も活発なシュート形成を示した。殊に、貯蔵用培地と
して、BAP0.1mg/l、ショ糖20g/lを添加
した4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)を用
い、貯蔵用容器としてPFAフィルム製の袋を用いて8
℃で貯蔵した場合には、その後の再培養において、全く
貯蔵工程を行わなかった場合よりも活発なシュート形成
を示し、しかも、そのシュート形成能は12ヶ月貯蔵し
た後も殆ど変化がなかった。
【0045】なお、表1からは、温度12℃で貯蔵した
ものについても、再培養により、ある程度のシュート形
成を示すことがわかる。しかし、この場合は、貯蔵工程
中にシュートが生長・増殖して、もやし状や水浸状の組
織を多く発生させたため、貯蔵期間が長くなるにつれ
て、再培養に移すことのできる健全なシュートの数が少
なくなり、そのため、再培養後のシュート形成数も、貯
蔵期間が長くなるにつれて減少した。
ものについても、再培養により、ある程度のシュート形
成を示すことがわかる。しかし、この場合は、貯蔵工程
中にシュートが生長・増殖して、もやし状や水浸状の組
織を多く発生させたため、貯蔵期間が長くなるにつれ
て、再培養に移すことのできる健全なシュートの数が少
なくなり、そのため、再培養後のシュート形成数も、貯
蔵期間が長くなるにつれて減少した。
【0046】また、E.グロブルスにおいて、最も貯蔵
に適した液体培地は4倍希釈のMS培地にBAP、ショ
糖を添加したものであった。10倍希釈のMS培地を貯
蔵に用いた場合は、貯蔵期間が長くなると、再培養後の
シュート形成数が著しく減少した。これは、貯蔵期間中
においても、その貯蔵されているシュートにより液体培
地中の成分が消費されるため、10倍希釈の培地を用い
た場合には、貯蔵期間の経過につれて培地中の栄養素が
欠乏してしまい、貯蔵されているシュート自体の活性低
下を招いたのであろうと考えられる。
に適した液体培地は4倍希釈のMS培地にBAP、ショ
糖を添加したものであった。10倍希釈のMS培地を貯
蔵に用いた場合は、貯蔵期間が長くなると、再培養後の
シュート形成数が著しく減少した。これは、貯蔵期間中
においても、その貯蔵されているシュートにより液体培
地中の成分が消費されるため、10倍希釈の培地を用い
た場合には、貯蔵期間の経過につれて培地中の栄養素が
欠乏してしまい、貯蔵されているシュート自体の活性低
下を招いたのであろうと考えられる。
【0047】さらに、貯蔵容器の材質等による差は殆ど
見出せなかったが、貯蔵環境中の空気の有無は、貯蔵期
間が長くなるにつれて、その後の再培養におけるシュー
ト形成に大きな影響を与えた。即ち、貯蔵容器として、
ガス透過性に乏しいポリエチレンフィルム製の袋を用
い、この袋中の空気を取除き、E.グロブルスのシュー
トを12ヶ月間密閉して貯蔵した場合には、貯蔵期間が
6ヶ月以内の場合に比べて、再培養後のシュート形成数
が4割強減少したが、袋中の空気をそのままにして同様
に貯蔵を行った場合では、貯蔵期間が長くなっても、再
培養後のシュート形成数は殆ど変化しなかった。
見出せなかったが、貯蔵環境中の空気の有無は、貯蔵期
間が長くなるにつれて、その後の再培養におけるシュー
ト形成に大きな影響を与えた。即ち、貯蔵容器として、
ガス透過性に乏しいポリエチレンフィルム製の袋を用
い、この袋中の空気を取除き、E.グロブルスのシュー
トを12ヶ月間密閉して貯蔵した場合には、貯蔵期間が
6ヶ月以内の場合に比べて、再培養後のシュート形成数
が4割強減少したが、袋中の空気をそのままにして同様
に貯蔵を行った場合では、貯蔵期間が長くなっても、再
培養後のシュート形成数は殆ど変化しなかった。
【0048】以上に対して、貯蔵温度1℃で貯蔵を行っ
た場合、及び、炭素源を添加しない培地で貯蔵を行った
場合には、再培養によっても全くシュートが形成されな
かった。また、固体培地にシュートを挿しつけて貯蔵を
行った場合には、再培養後のシュート形成数が少なく、
しかも、貯蔵期間が3ヶ月を超えると、シュートは全く
形成されなくなった。固体培地にシュートを挿しつけて
貯蔵する場合には、液体培地中で貯蔵する場合と異な
り、培地中の成分が、その培地に挿しつけたわずかな部
分からしか、シュートに供給されない。そのため、ある
程度の貯蔵期間を過ぎると、全く培地成分の供給がない
状態で貯蔵されるのと同様となり、その結果、貯蔵され
ているシュートの活性が低下したものと考えられる。
た場合、及び、炭素源を添加しない培地で貯蔵を行った
場合には、再培養によっても全くシュートが形成されな
かった。また、固体培地にシュートを挿しつけて貯蔵を
行った場合には、再培養後のシュート形成数が少なく、
しかも、貯蔵期間が3ヶ月を超えると、シュートは全く
形成されなくなった。固体培地にシュートを挿しつけて
貯蔵する場合には、液体培地中で貯蔵する場合と異な
り、培地中の成分が、その培地に挿しつけたわずかな部
分からしか、シュートに供給されない。そのため、ある
程度の貯蔵期間を過ぎると、全く培地成分の供給がない
状態で貯蔵されるのと同様となり、その結果、貯蔵され
ているシュートの活性が低下したものと考えられる。
【0049】[実施例7]5年生ユーカリプタス・ニテ
ンス(Eucalyputus nitens、以下、E.ニテンスと略
す。)の当年生枝より、BAP0.1mg/l、ショ糖
30g/l、ゲランガム0.25w/v%を添加したM
S固体培地を用いて、実施例1と同様にして多芽体を誘
導し、貯蔵用のシュートを調製した。
ンス(Eucalyputus nitens、以下、E.ニテンスと略
す。)の当年生枝より、BAP0.1mg/l、ショ糖
30g/l、ゲランガム0.25w/v%を添加したM
S固体培地を用いて、実施例1と同様にして多芽体を誘
導し、貯蔵用のシュートを調製した。
【0050】調製したシュートは、PFAフィルム製の
袋(縦85mm、横12mm、容量100ml)に入れ
た、BAP0.1mg/l、ショ糖10g/lを添加し
た4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)10m
l中に、一袋当り20本づつ入れ、次いで、この袋を、
その中から空気を取除いた後、ヒートシールして、4又
は8℃のインキュベーター中で、光強度1μmol/m
2/s以下にて6ヶ月間貯蔵した。貯蔵後のシュート
は、やはり、実施例1と同様にして調製し、再培養を行
った。
袋(縦85mm、横12mm、容量100ml)に入れ
た、BAP0.1mg/l、ショ糖10g/lを添加し
た4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.8)10m
l中に、一袋当り20本づつ入れ、次いで、この袋を、
その中から空気を取除いた後、ヒートシールして、4又
は8℃のインキュベーター中で、光強度1μmol/m
2/s以下にて6ヶ月間貯蔵した。貯蔵後のシュート
は、やはり、実施例1と同様にして調製し、再培養を行
った。
【0051】再培養後、30日目のシュートの形成数を
表2に示す。
表2に示す。
【0052】[実施例8]貯蔵用の液体培地として、B
AP0.1mg/l、ショ糖10g/lを添加したMS
液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4℃
又は8℃で貯蔵を行った他は、実施例7と同様にして、
多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、
再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結果を
表2に示す。
AP0.1mg/l、ショ糖10g/lを添加したMS
液体培地(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4℃
又は8℃で貯蔵を行った他は、実施例7と同様にして、
多芽体より得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、
再培養後30日目のシュート形成数を調査した。結果を
表2に示す。
【0053】[比較例5]温度を1℃として貯蔵を行っ
た他は、実施例7と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表2に示す。
た他は、実施例7と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表2に示す。
【0054】[比較例6]貯蔵用の液体培地として、シ
ョ糖10g/lのみを添加した4倍希釈MS液体培地
(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4又は8℃で
貯蔵を行った他は、実施例7と同様にして、多芽体より
得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後3
0日目のシュート形成数を調査した。結果を表2に示
す。
ョ糖10g/lのみを添加した4倍希釈MS液体培地
(pH5.6〜5.8)を用い、貯蔵温度4又は8℃で
貯蔵を行った他は、実施例7と同様にして、多芽体より
得られたシュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後3
0日目のシュート形成数を調査した。結果を表2に示
す。
【0055】[比較例7]貯蔵用の液体培地として、シ
ョ糖10g/lのみを添加したMS液体培地(pH5.
6〜5.8)を用い、貯蔵温度4又は8℃で貯蔵を行っ
た他は、実施例7と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表2に示す。
ョ糖10g/lのみを添加したMS液体培地(pH5.
6〜5.8)を用い、貯蔵温度4又は8℃で貯蔵を行っ
た他は、実施例7と同様にして、多芽体より得られたシ
ュートの貯蔵及び再培養を行い、再培養後30日目のシ
ュート形成数を調査した。結果を表2に示す。
【0056】[比較例8]全く貯蔵工程を行わなかった
場合のシュート形成数を、E.ニテンスについても調査
した。
場合のシュート形成数を、E.ニテンスについても調査
した。
【0057】即ち、実施例7と同様にして誘導された多
芽体から得られたシュート10本を、直ちに、やはり実
施例7と同様にして再培養用に調製して再培養を行い、
30日後のシュート形成数を調査した。結果を表2に示
す。
芽体から得られたシュート10本を、直ちに、やはり実
施例7と同様にして再培養用に調製して再培養を行い、
30日後のシュート形成数を調査した。結果を表2に示
す。
【0058】
【表2】
【0059】表2より明らかなように、E.ニテンスの
多芽体より得られたシュートも、貯蔵温度1℃で貯蔵を
行った場合には、再培養によっても全くシュートが形成
されなかったが、これを4℃で貯蔵すると、その後の再
培養により、活発なシュート形成を示した。殊に、貯蔵
用培地として、BAP0.1mg/l、ショ糖10g/
lを添加した4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.
8)を用い、4℃で貯蔵した場合には、再培養におい
て、全く貯蔵工程を行わなかった場合を上回るシュート
形成数を示した。また、この場合、貯蔵用培地中へのB
APの添加は、その後の再培養におけるシュート形成に
極めて有利に働いていた。
多芽体より得られたシュートも、貯蔵温度1℃で貯蔵を
行った場合には、再培養によっても全くシュートが形成
されなかったが、これを4℃で貯蔵すると、その後の再
培養により、活発なシュート形成を示した。殊に、貯蔵
用培地として、BAP0.1mg/l、ショ糖10g/
lを添加した4倍希釈MS液体培地(pH5.6〜5.
8)を用い、4℃で貯蔵した場合には、再培養におい
て、全く貯蔵工程を行わなかった場合を上回るシュート
形成数を示した。また、この場合、貯蔵用培地中へのB
APの添加は、その後の再培養におけるシュート形成に
極めて有利に働いていた。
【0060】なお、E.グロブルスでは、温度8℃で貯
蔵した後のシュート形成が最も活発であったが、E.ニ
テンスをこの温度で貯蔵した場合、その後のシュート形
成率は低かった。しかし、この場合は、E.グロブルス
を温度12℃で貯蔵した場合のような、貯蔵組織の異常
な増殖は観察されていない。従って、この低いシュート
形成率は、単なる植物の種類の相違に起因するものと考
えられる。
蔵した後のシュート形成が最も活発であったが、E.ニ
テンスをこの温度で貯蔵した場合、その後のシュート形
成率は低かった。しかし、この場合は、E.グロブルス
を温度12℃で貯蔵した場合のような、貯蔵組織の異常
な増殖は観察されていない。従って、この低いシュート
形成率は、単なる植物の種類の相違に起因するものと考
えられる。
【0061】
【発明の効果】本願発明によれば、植物の組織培養によ
り得られたシュートを長期間貯蔵し、貯蔵後は速やかに
このシュートを増殖させ、新たなシュートを活発に形成
させることができる。
り得られたシュートを長期間貯蔵し、貯蔵後は速やかに
このシュートを増殖させ、新たなシュートを活発に形成
させることができる。
【0062】さらに、本願発明において、貯蔵用の容器
としてプラスチック製の袋を用いた場合には、貯蔵スペ
ースを大幅に節約することができる。
としてプラスチック製の袋を用いた場合には、貯蔵スペ
ースを大幅に節約することができる。
【0063】即ち、本願発明によれば、大量のシュート
を効率良く、任意の期間貯蔵することができ、しかも、
こうして貯蔵されたシュートから、速やかに、かつ活発
に新たなシュートを形成させることができる。
を効率良く、任意の期間貯蔵することができ、しかも、
こうして貯蔵されたシュートから、速やかに、かつ活発
に新たなシュートを形成させることができる。
【0064】従って、本願発明は、クローン苗の大量生
産に適用した場合にも実用に耐え、その効率を大きく向
上させるものである。
産に適用した場合にも実用に耐え、その効率を大きく向
上させるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA03 CD03 CD06 CD07 CD09 CD10 CD14 4B065 AA89X BD12 BD34
Claims (9)
- 【請求項1】 植物の組織培養により得られたシュート
を、サイトカイニン及び炭素源を添加した植物組織培養
用の液体培地中で、温度4〜10℃、光強度1μmol
/m2/s以下にて貯蔵することを特徴とする、植物シ
ュートの液体貯蔵方法。 - 【請求項2】 植物として木本植物を用いる、請求項1
記載の植物シュートの液体貯蔵方法。 - 【請求項3】 サイトカイニンの添加量が0.05〜
0.5mg/lである液体培地を用いる、請求項1又は
2記載の植物シュートの液体貯蔵方法。 - 【請求項4】 サイトカイニンとしてベンジルアデニン
を用いる、請求項3記載の植物シュートの液体貯蔵方
法。 - 【請求項5】 炭素源としてショ糖5〜40g/lを添
加した液体培地を用いる、請求項1、2又は3に記載の
植物シュートの液体貯蔵方法。 - 【請求項6】 貯蔵用のシュートとして葉を除去したも
のを用いる、請求項1、2、3又は5に記載の植物シュ
ートの貯蔵方法。 - 【請求項7】 1ヶ月以上の貯蔵期間にて行う、請求項
1、2、3、5又は6に記載の植物シュートの液体貯蔵
方法。 - 【請求項8】 貯蔵容器としてプラスチック製の袋を用
いて行う、請求項1、2、3、5、6又は7に記載の植
物シュートの液体貯蔵方法。 - 【請求項9】 請求項1記載の方法により貯蔵した植物
のシュートを、シュート増殖条件下で再培養して増殖
後、発根させて植物体を再生することを特徴とする、植
物の大量生産方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000037705A JP2001224264A (ja) | 2000-02-16 | 2000-02-16 | 植物培養組織の液体貯蔵方法 |
AU23084/01A AU784996B2 (en) | 2000-02-16 | 2001-02-16 | Method for storing plant cultured tissue in liquid |
CN 01104658 CN1270601C (zh) | 2000-02-16 | 2001-02-16 | 液体中贮藏桉属植物枝条的方法和生产桉属植物的方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000037705A JP2001224264A (ja) | 2000-02-16 | 2000-02-16 | 植物培養組織の液体貯蔵方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001224264A true JP2001224264A (ja) | 2001-08-21 |
Family
ID=18561559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000037705A Pending JP2001224264A (ja) | 2000-02-16 | 2000-02-16 | 植物培養組織の液体貯蔵方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001224264A (ja) |
CN (1) | CN1270601C (ja) |
AU (1) | AU784996B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017115722A1 (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | キリン株式会社 | 植物の大量生産方法、及び大量生産設備、並びにそれらに用いる培養袋 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA3065648A1 (en) * | 2017-06-26 | 2019-01-03 | Basf Se | Regeneration of cereals |
-
2000
- 2000-02-16 JP JP2000037705A patent/JP2001224264A/ja active Pending
-
2001
- 2001-02-16 AU AU23084/01A patent/AU784996B2/en not_active Ceased
- 2001-02-16 CN CN 01104658 patent/CN1270601C/zh not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017115722A1 (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | キリン株式会社 | 植物の大量生産方法、及び大量生産設備、並びにそれらに用いる培養袋 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AU784996B2 (en) | 2006-08-17 |
AU2308401A (en) | 2001-08-23 |
CN1308854A (zh) | 2001-08-22 |
CN1270601C (zh) | 2006-08-23 |
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