JP2001220586A - 低硫黄改質法 - Google Patents

低硫黄改質法

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JP2001220586A
JP2001220586A JP2001000112A JP2001000112A JP2001220586A JP 2001220586 A JP2001220586 A JP 2001220586A JP 2001000112 A JP2001000112 A JP 2001000112A JP 2001000112 A JP2001000112 A JP 2001000112A JP 2001220586 A JP2001220586 A JP 2001220586A
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reforming reactor
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JP2001000112A
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English (en)
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John V Heyse
ブイ. ヘイズ,ジョン
Bernard F Mulaskey
エフ. ムラスキー,バーナード
Robert A Innes
エイ. イネス,ロバート
Daniel P Hagewiesche
ピー. ハゲヴィースチ,ダニエル
Gale L Huberd
エル. ハブレッド,ゲイル
Steven C Moore
シー. ムーア,スチーブン
Paul F Bryan
エフ. ブライアン,ポール
Robert L Hise
エル. ハイス,ロバート
Steven E Trumbull
イー. トランブル,スチーブン
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Chevron USA Inc
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Chevron Research and Technology Co
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 操作期間を長くすることができる、低硫黄条
件下での炭化水素改質のための反応器装置を提供する。 【解決手段】低硫黄条件下での炭化水素の接触改質用の
接触改質反応器装置であって、複数の炉管を有する炉1
1,21,31及び硫黄−感受性の触媒を含有する触媒
床を有する改質反応器10,20,30を有し、該接触
改質反応器装置の一部が炭化水素を含有する低硫黄流と
接触し、改善された炭素化抵抗性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(本発明の背景)本願発明は、1991年3月
8日に出願された米国特許出願No.07/666,696(その
内容は参考のためここに入れてある)のCIP出願に相
当し、それと同時に出願された米国特許出願No. 802,8
21[Attorney's Docket No. 005950-316]及び米国特許
出願No. 803,215[Attorney'sDocket No. 005950-333]
(それらの内容は参考のためここに入れてある)に関す
る。
【0002】本発明は、改良された接触改質法、特に低
硫黄条件、及び低硫黄・低含水条件での接触改質法に関
する。詳しくは、本発明は、低硫黄及び低硫黄・低含水
改質法にとって特に厳しい問題の発見及び抑制に関す
る。
【0003】接触改質法は石油工業でよく知られてお
り、ナフサ留分を、芳香族の生成によりオクタン価を改
良するように処理することが含まれている。改質操作中
に起きる一層重要な炭化水素反応には、シクロヘキサン
の芳香族への脱水素化、アルキルシクロペンタンの芳香
族への脱水素異性化、及び非環式炭化水素の芳香族への
脱水素環化が含まれる。アルキルベンゼンの脱アルキル
化、パラフィンの異性化、及び軽いガス状炭化水素、例
えば、メタン、エタン、プロパン及びブタンを生ずる水
添分解反応を含めた数多くの他の反応も起きる。改質中
水添分解反応を最小にすることが重要である。なぜな
ら、それらはガソリン沸点生成物及び水素の収率を減少
させるからである。
【0004】高オクタン価ガソリンが要求されているの
で、改良された改質触媒及び接触改質法を開発すること
に膨大な研究が行われてきた。改質法を成功させる触媒
は良好な選択性を持たなければならない。即ち、それら
は高オクタン価芳香族炭化水素を高濃度で含むガソリン
沸点範囲の液体生成物を高収率で生ずるのに有効である
べきである。同様に、軽いガソリン炭化水素の収率は低
いのがよい。触媒は、或る量の生成物を生成させるため
の過度に高い温度をできるだけ少なくする良好な活性度
を持つべきである。また、長い操作期間に亙って活性度
及び選択性の特性を維持できるように触媒が良好な安定
性を持つか、或は性能を低下することなく屡々再生する
ことができるように充分再生可能であることが必要であ
る。
【0005】接触改質は、化学工業で重要な方法でもあ
る。合成繊維、殺虫剤、接着剤、洗剤、プラスチック、
合成ゴム、医薬品、高オクタン価ガソリン、香料、乾性
油、イオン交換樹脂、及びその他の当業者によく知られ
た種々の生成物の如き種々の化学製品を製造するための
芳香族炭化水素に対する需要が益々大きくなってきてい
る。
【0006】大気孔ゼオライト触媒の使用を含む重要な
技術的進歩が最近接触改質法で現れてきた。これらの触
媒はアルカリ又はアルカリ土類金属が存在することを更
に特徴とし、一種類以上の第VIII族金属が付加され
ている。この種の触媒は、従来用いられていたものより
も大きな選択性及び長い触媒寿命を与える利点を有する
ことが判明している。
【0007】許容可能な反復寿命を有する選択性触媒が
発見されたことにより、商業化の成功は必然的なものと
思われた。残念ながらその後、第VIII族金属を含む
高度に選択性の大気孔ゼオライト触媒は、異常に硫黄被
毒を受け易いことが発見された。米国特許第4,456,527
号明細書参照。結局、この問題に効果的に対処するた
め、触媒について許容出来る安定性及び活性度が得られ
るようにするためには、炭化水素供給物中の硫黄が極端
に低い水準、好ましくは100ppbより少なく、一層好まし
くは50ppbよりも低くあるべきであることが判明した。
【0008】これらの新しい触媒に伴われる硫黄に対す
る感応性を認め、工程硫黄の必要且つ許容可能な水準が
決定されてから、商業化に成功する見通しが再び見え始
めてきた。しかし、結局、別の付随する問題の発生によ
り消滅した。或る大気孔ゼオライト触媒は、典型的な反
応条件下で水の存在により悪影響を受けることが見出さ
れた。特に、水は触媒の不活性化速度を著しく大きくす
ることが見出された。
【0009】水に対する感応性は、効果的に対処するの
を困難にする重大な欠点であることが判明した。水は、
触媒が水素により還元される場合、夫々の反応工程の開
始と共に生成する。また、水は、水が改質器供給物中に
漏れた時、又は供給物が酸素含有化合物で汚染されるよ
うになった時の工程異常中に生成することがある。結
局、触媒を水から保護する方法も開発された。
【0010】触媒寿命の長い高度に選択性の大気孔ゼオ
ライト触媒を用いた接触改質のための種々の低硫黄、低
含水装置の開発により、再び商業化が実際的になるよう
に思えた。低硫黄・低含水装置は最初有効であるが、僅
か数週間で反応器装置の停止が必要になることが発見さ
れた。一つの試験プラントの反応器装置は、そのような
短期間の操作を行なっただけで規則的に閉塞するように
なった。それらの閉塞はコークス化に伴われるものであ
ることが見出された。しかし、触媒粒子内のコークス化
は炭化水素処理では一般的な問題であるが、この特別な
装置に伴われる触媒粒子の以外でのコークスによる閉塞
形成の程度及び速度は、予想を遥かに超えたものであっ
た。
【0011】(発明の開示)従って、本発明の一つの目
的は、低硫黄条件下での炭化水素改質法において、操作
期間が短いと言うような低硫黄法に伴われて見出されて
いる前述の問題を避けることができる方法を与えること
である。
【0012】本発明の他の目的は、操作期間を長くする
ことができる、低硫黄条件下での炭化水素改質のための
反応器装置を与えることである。低硫黄反応器装置のコ
ークス閉塞の詳細な分析及び研究により、それらが、数
μまでの粒径範囲の金属の液滴及び粒子を含有すること
が驚いたことに見出された。この観察により、工程硫黄
及び水の量が著しく高い慣用的改質法では問題にならな
い新しく極めて重大な問題が存在すると言う驚くべき認
識に到達した。特に、その装置の効果的で経済的な操作
性及び同様に装置の物理的一体性を危うくする問題が存
在することが発見された。また、これらの問題は低硫黄
条件であると言うことにより発生し、ある程度水の量が
少ないことにより発生することが発見された。
【0013】最近の40年間、接触改質反応器装置は、通
常の軟鋼(例えば、21/4Cr、1 Mo)から製造されて
いた。その後、経験からそれらの装置は物理的強度を大
して失うことなく約20年間うまく作動できることが示さ
れている。しかし、閉塞コークス中に金属の粒子及び液
滴が発見されたことにより、結局反応器装置の物理的特
性の研究が行われるようになった。全く驚いたことに、
炉管、配管、反応器壁、及び鉄を含む触媒及び反応器中
の金属網の如き他の周辺を含めた全反応器装置の潜在的
なひどい物理的劣化を起こす原因になる条件が発見され
た。最終的に、この問題は工程炭素が金属中に注入され
ることにより鋼の脆弱化を起こす鋼の過度の炭素化(car
burization)に伴われるものであることが発見された。
恐らく、反応器系の破滅的物理的崩壊を起こす結果にな
り得るものである。
【0014】慣用的改質法では、単なる炭素化は問題或
は関心事になることではなく、現代の低硫黄/低含水装
置で存在するとは思われないものであった。また、従来
の工程設備も用いることができるであろうと想定され
た。しかし、慣用的装置中に存在する硫黄が効果的に炭
素化を阻止することは明らかである。慣用的方法では、
工程硫黄が炭素化反応を幾らか阻止する。しかし、極め
て硫黄含有量の低い系では、この固有の保護はもはや存
在しない。
【0015】第1A図は商業的改質器の軟鋼炉管の内部
(処理側)の一部分の顕微鏡写真である。その管は約19
年間慣用的改質条件に曝されてきた。この写真は、管の
表面が高温で炭化水素に長く露出された後でも、管の組
織が正常なままになっていて本質的に変化していないこ
とを示している(写真の黒い部分は背景である)。
【0016】第1B図は、低硫黄/低含水試験プラント
の反応器内部で僅か13週間入れておいた軟鋼試料片の一
部分の顕微鏡写真である。この写真は、金属の顆粒化(d
usting)が起きた試料の腐食した表面(黒い背景に対し
てコントラストが付いている)を示している。暗灰色状
の脈状部分は鋼の周囲の炭素化を示し、それは深さ1mm
よりも深い炭素化及び脆弱化を起こしている。
【0017】勿論、炭素化に伴う問題は、物理的装置の
炭素化によって初めて発生する。鋼壁の炭素化により
「金属顆粒化」、触媒活性粒子及び金属の腐食による金
属の溶融液滴の遊離を起こす。
【0018】活性金属粒状物は装置中のコークス形成に
対し付加的部位を与える。コークス化による触媒の不活
性化は、一般に改質で対処されなければならない問題で
あるが、この新しい重要なコークス形成源は、コークス
による新しい閉塞問題を生じ、それが問題を甚だしく悪
化している。実際、易動性の活性金属粒状物及びコーク
ス粒子は一般に装置全体に亙ってコークス化を転移させ
ることが判明している。活性金属粒子物は実際にそれら
自身の上及び装置中でのそれら粒子が蓄積する所は何処
にでもコークスの形成を誘発し、コークスによる閉塞及
び発熱脱メタン化(demethanation)反応の高熱領域を生
ずる結果になる。その結果、反応器装置の制御できない
早過ぎるコークス閉塞が起き、それが始動後数週間で装
置を停止することになる。しかし、本発明の方法及び反
応器装置を用いることにより、これらの問題を解決する
ことができる。
【0019】従って、本発明の第一の態様は、低硫黄条
件下、屡々低硫黄・低含水条件下で慣用的軟鋼反応器装
置に対する改良になっている、炭素化及び金属顆粒化に
対する抵抗性を有し、改質を行なった時のその抵抗性
が、炭素化による脆弱化が約2.5mm/年より小さく、好
ましくは1.5mm/年より小さく、一層好ましくは1mm/
年より小さく、最も好ましくは0.1mm/年より小さいよ
うな抵抗性を有する反応器装置内で、アルカリ又はアル
カリ土類金属を含み、一種類以上の第VIII族金属が
付与された改質触媒、好ましくは大気孔ゼオライト触媒
と炭化水素とを接触させることからなる炭化水素改質法
に関する。そのような程度まで脆弱化を防ぐことは、反
応器装置中での金属顆粒化及びコークス化を著しく減少
させることになり、一層長い期間に亙って操作すること
を可能にするものであろう。
【0020】本発明の別の態様は、低硫黄条件下でアル
カリ土類金属を含み、一種類以上の第VIII族金属が
付与された大気孔ゼオライト触媒の如き改質触媒を用い
て炭化水素を改質する方法で、慣用的軟鋼装置に対する
改良になっている、炭素化及び金属顆粒化に対する抵抗
性で、その抵抗性が、脆弱化が約2.5mm/年より小さ
く、好ましくは1.5mm/年より小さく、一層好ましくは
1mm/年より小さく、最も好ましくは0.1mm/年より小
さくなるような抵抗性を与える手段を含む反応器装置に
関する。
【0021】多くの因子の中で、本発明は、低硫黄及び
低硫黄・低含水改質法で、顕著な炭素化、金属顆粒化、
及びコークス化問題が存在すると言う発見に基づいてい
る。そのような問題は、一層高水準の硫黄が存在する慣
用的改質法では重大になる程の問題ではない。この発見
により、それらの問題を解決するための膨大な研究開発
が行われ、その解決法は、低硫黄改質にとっては新規な
ものであり、低硫黄改質装置のための抵抗性のある材料
の判定及び選択、それら抵抗性材料の効果的な利用及び
適用法、炭素化、金属顆粒化及びコークス化を減少させ
るための添加物(硫黄以外)、及び上記問題に効果的に
対処する種々の工程修正及び形態、及びそれらの組み合
わせに関するものである。
【0022】特に、その発見により、慣用的改質装置で
は今まで不必要であった、低硫黄改質装置、好ましくは
反応器壁、炉管及びその網のための抵抗性材料、例え
ば、ある種の合金及びステンレス鋼、アルミ化(alumini
zed)及びクロム化材料、及びある種のセラミックス材料
の同定及び選択のための研究が行われるようになった。
また、メッキ、クラッド、ペイント等として適用される
他の特別な材料も効果的に抵抗性にすることができるこ
とが発見された。これらの材料には銅、錫、砒素、アン
チモン、真鍮、鉛、ビスマス、クロム、それらの金属間
化合物、それらの合金、同様にシリカ及び珪素系被覆が
含まれる。本発明の好ましい一つの態様として、新規な
抵抗性の錫含有ペイントが与えられる。
【0023】更に、上記発見により、必須のものとし
て、改質には新規なものである本質的に硫黄を含まな
い、好ましくは完全に硫黄を含まない炭素化防止及びコ
ークス化防止剤として以下に言及する或る添加物を開発
することになった。そのような添加物には、有機錫化合
物、有機アンチモン化合物、有機ビスマス化合物、有機
砒素化合物、及び有機鉛化合物が含まれる。
【0024】また、低硫黄改質に伴われる問題から、慣
用的改質では今迄不必要であった或る工程修正及び形態
の開発が行われた。これらには、或る温度制御法、反応
器間の過熱水素の使用、一層頻繁な触媒再生、段階的加
熱器及び管の使用、段階的温度領域の使用、過熱原料の
使用、一層大きな直径の管及び(又は)一層大きな管速
度の使用が含まれる。
【0025】(好ましい態様についての詳細な記述)こ
こで用いられる冶金学的用語は、「金属ハンドブック」
(THE METALS HANDBOOK)(American Society of Metal
s)に記載されているようなそれらの一般的冶金学的意
味を有するものである。例えば、「炭素鋼」とは、どの
ような合金用元素(一般に許容されている量のマンガ
ン、珪素及び銅以外)について特定化された最少量をも
たず、炭素、珪素、マンガン、銅、硫黄、及び燐以外の
いかなる元素でも単に付随的な量でしか含まない鋼のこ
とである。「軟鋼」は、最大約0.25%の炭素を含む炭素鋼
のことである。合金鋼は、特定の量の合金用元素(炭素
及び、一般に許容される量のマンガン、銅、珪素、硫黄
及び燐以外)を構造合金鋼として認められた範囲内で、
機械的又は物理的性質を変化させるために添加されて含
有する鋼のことである。合金鋼は10%未満のクロムを含
むであろう。ステンレス鋼は、原則的合金用元素として
少なくとも10%、好ましくは12〜30%のクロムを含有す
る数種類の鋼のいずれでもよい。
【0026】従って、一般に、本発明の一つの目的は、
アルカリ又はアルカリ土類金属を含み、硫黄感応性の第
VIII族金属を一種類以上を付与した改質触媒、特に
大気孔ゼオライト触媒を用いて、低硫黄条件下で炭化水
素を改質する改良された方法を与えることである。勿論
そのような方法は、慣用的低硫黄改質法よりも炭素化に
対し一層大きな抵抗性を示すものでなければならない。
本発明が取り組む問題の一つの解決方法は、前述の硫黄
感応性大気孔ゼオライト触媒の如き改質触媒を低硫黄条
件下で用いて、改質中の炭素化及び金属顆粒化に対する
抵抗性を改良するための種々の手段の一つ以上を含む新
規な反応器装置を与えることである。
【0027】ここで用いる「反応器装置(reactor syste
m)」とは、少なくとも一つの改質反応器及びそれに相当
する炉機構及び配管を含むものとする。第2図は、本発
明を実施するのに適した典型的な改質反応器装置を例示
している。それは複数の改質反応器(10)、(20)
及び(30)を含んでいてもよい。各反応器は触媒床を
含んでいる。その装置は複数の炉(11)、(21)及
び(31);熱交換器(12);及び分離器(13)も
含んでいる。
【0028】本発明に伴われる研究によって、低硫黄改
質についての上記問題は、処理中の炭化水素と接触する
適当な反応器装置材料を選択することにより効果的に対
処できることが発見された。典型的には、改質反応器装
置は軟鋼又は典型的なクロム鋼の如き合金鋼から作られ
ており、余り炭素化や顆粒化は起こさなかった。例え
ば、標準的改質条件では21/4 Cr炉管を20年間持続す
ることができる。しかし、これらの鋼は低硫黄改質条件
では不適切になることが判明した。それらは約1年以内
で炭素化により急速に脆くなる。例えば、21/2 Cr 1
Mo鋼は1mm/年より速く炭素化し脆くなることが判明
している。更に、標準的冶金学的実施法ではコークス化
及び炭素化に対し抵抗性があると考えられている材料
は、必ずしも低硫黄改質条件下では抵抗性にはならない
ことが判明している。例えば、インコロイ(Incoloy)8
00及び525;インコネル(Inconel)600;マーセル(Mar
cel)及びヘイネス(Haynes)230の如きニッケルに富む
合金は、過度のコークス化及び顆粒化を示すので許容出
来ない。しかし、300系列のステンレス鋼、好ましくは3
04、316、321及び347は、本発明による反応器装置の少
なくとも炭化水素と接触する部分の材料としては許容出
来る。それらは軟鋼及びニッケルに富む合金よりも大き
な炭素化抵抗を有することが見出されている。
【0029】最初は、アロン・コーポレーション(Allo
n Corp.)から販売されているようなアルミ化材料
〔「アロン化鋼」(Alonized Steel)〕は、本発明の改質
反応器装置及び方法で炭素化に対する適切な保護は与え
ないであろうと考えられた。しかし、その後、改質反応
器装置の金属表面に薄いアルミニウム又はアルミナの皮
膜を適用するか、又は単に製造中にアロン化鋼を使用す
ることにより、低硫黄改質条件下で炭素化及び金属顆粒
化に対し充分抵抗性のある表面を与えることができるこ
とが発見された。しかし、そのような材料は比較的高価
であり、炭素化及び金属顆粒化に対し抵抗性を有する
が、亀裂を生ずる傾向があり、抗張力の実質的な減少を
示す。亀裂は下の基礎金属を露出し、低硫黄改質条件下
で炭素化及び金属顆粒化を受け易くする。
【0030】アルミ化材料はエチレン水蒸気クラッキン
グ法での炭素化を防ぐために用いられてきたが、そのよ
うな方法は改質よりもかなり高い温度、炭素化が起きる
と予想される温度で操作される。単なる炭素化及び金属
顆粒化は、従来の改質法では問題にはなっていなかっ
た。
【0031】従って、炭素化及び金属顆粒化の問題に対
する別の解決法は、反応器装置内の金属表面の少なくと
も一部分として、薄いアルミニウム又はアルミナ皮膜を
適用するか、又はアルミ化材料を用いることを含んでい
る。実際、炭素化及び金属顆粒化を特に受け易い金属表
面は、そのようなやり方で与えることができる。そのよ
うな金属表面には、反応器壁、炉管、及び炉裏打が含ま
れるが、それらに限定されるものではない。
【0032】アルミニウム又はアルミナ膜を適用する場
合、改質中に起きる熱衝撃及び温度サイクルの繰り返し
に耐えることができるように、それが適用される金属表
面(例えば、軟鋼)の熱膨張係数と同様な熱膨張係数を
持つのが好ましい。これによって、下の金属表面を炭素
化誘発炭化水素環境に曝すことになる皮膜の亀裂又は剥
離が防止される。
【0033】更に、皮膜は、改質反応器装置の製造で慣
用的に用いられている金属の熱伝導度と同様か又はそれ
を超える熱伝導度を持つべきである。更に、アルミニウ
ム又はアルミナ膜は、改質環境、又は触媒再生に伴われ
る酸化性環境内で劣化せず、反応器装置内の炭化水素の
分解をもたらすものであってはならない。
【0034】軟鋼の如き金属表面にアルミニウム又はア
ルミナ膜を適用するのに適した方法には、よく知られた
付着方法が含まれる。好ましい方法には、ペンシルバニ
ア州テリタウンのアロン・プロセシング社(Alon Proces
sing, Inc.)により商業化されている「アロン化」法の
如き粉末及び蒸気拡散法が含まれる。
【0035】本質的には、「アロン化」は、例えば商業
級軟鋼の如き処理される金属の表面中にアルミニウムを
合金化する高温拡散法である。この方法では、金属(例
えば、軟鋼)をレトルト内に入れ、混合アルミニウム粉
末の混合物で取り囲む。次にそのレトルトを機密に密封
し、雰囲気制御炉中に入れる。上昇させた温度でアルミ
ニウムは処理される金属中に深く拡散し、合金を生ず
る。炉を冷却した後、基体をレトルトから取り出し、過
剰の粉末を除去する。次に、直線化、トリミング、面取
り、及び他の二次的操作を、必要に応じ行うことができ
る。この方法により、処理された(アロン化された)金
属を、本発明による低硫黄改質条件下での炭素化及び金
属顆粒化に対し抵抗性のあるものにすることができる。
【0036】低硫黄改質条件下での炭素化及び金属顆粒
化に対し、表面を抵抗性のあるものにするため、反応器
装置の金属表面に薄いクロム又は酸化クロムの膜を適用
することもできる。アルミナ及びアルミニウム膜及びア
ルミ化材料を使用するのと同様に、クロム又は酸化クロ
ム被覆金属表面は、低硫黄改質条件下での炭素化問題に
対処するために用いられることはなかった。
【0037】クロム又は酸化クロムも、反応器壁、炉裏
打、及び炉管の如き炭素化及び金属顆粒化を受け易い金
属表面に適用することができる。しかし、低硫黄改質条
件下で炭素化及び金属顆粒化の徴候を示す装置中のどの
表面でも、クロム又は酸化クロムの薄膜を適用すること
により利点を得るであろう。
【0038】クロム又は酸化クロムの膜を適用する場
合、そのクロム又は酸化クロム膜は、それが適用される
金属の熱膨張係数と同様な熱膨張係数を有するのが好ま
しい。更に、クロム又は酸化クロム膜は、改質中に一般
に起きる熱衝撃及び温度サイクルの反復に耐えることが
できるべきである。これにより、下の金属表面を炭素化
誘発環境に潜在的に曝すことになるクロム又は酸化クロ
ム膜の亀裂又は剥離を防ぐことができる。更に、クロム
又は酸化クロム膜は、効率的な熱移動を維持できるよう
に、改質反応器装置で慣用的に用いられている材料(特
に軟鋼)と同様又はそれを超える熱伝導度を持つべきで
ある。クロム又は酸化クロム膜も、改質環境又は触媒再
生に伴われる酸化性環境中で劣化すべきではなく、反応
器装置内の炭化水素の分解を誘発すべきではない。
【0039】例えば、軟鋼の如き表面にクロム又は酸化
クロム膜を適用するのに適した方法には、よく知られた
付着方法が含まれる。好ましい方法には、デラウェア州
ウィルミントンのアロイ・サーフェシズ社(Alloy Surf
aces, Inc.)により商業化されている「クロム化」法の
如き粉末パック及び蒸気拡散法が含まれる。
【0040】「クロム化」法は、本質的にクロムを金属
表面に適用する蒸気拡散法(上記「アロン化法」と同
様)である。その方法は、被覆すべき金属をクロムの粉
末と接触させ、次に熱拡散工程を行うことを含んでい
る。これによって処理された金属とクロムとの合金を実
際に生じ、表面を低硫黄改質条件下での炭素化及び金属
顆粒化に対して極めて抵抗性のものにする。
【0041】反応器装置の或る領域では、改質中、局部
的温度が過度に高くなることがある(例えば、900〜125
0゜F)。これは特に炉管及び触媒床中で、通常発生する
コークスボール内での発熱脱メタン化反応が起き、局部
的高温領域を生ずる場合である。軟鋼及びニッケルに富
む合金の方が依然として好ましいが、300系列のステン
レス鋼は、約1000゜Fで幾らかのコークス化及び顆粒化
を示す。従って、300系列のステンレス鋼は、有用であ
るが、本発明で用いるのに最も好ましい材料ではない。
【0042】446及び430の如きクロムに富むステンレス
鋼は、300系列のステンレス鋼よりも大きな炭素化に対
する抵抗性を有する。しかし、これらの鋼は耐熱性につ
いては望ましいものではない(それらは脆くなる傾向が
ある)。
【0043】本発明で用いられる300系列のステンレス
鋼よりも好ましい抵抗性材料には、銅、錫、砒素、アン
チモン、ビスマス、クロム、及び真鍮、及びそれらの金
属間化合物及び合金〔例えば、Cu-Sn合金、Cu-Sb合
金、錫化物(stannide)、アンチモン化物(antimonid
e)、ビスマス化物(bismuthide)等〕が含まれる。鋼及び
これらの金属を含むニッケルに富む合金でさえも、炭素
化の減少を示すことができる。好ましい態様として、こ
れらの材料はメッキ、クラッド、ペイント(例えば、酸
化物ペイント)、又は他の被覆として基礎構造材料に与
えられる。これは特に有利である。なぜなら、軟鋼の如
き慣用的構造材料は、依然として処理炭化水素と表面だ
けが接触するようにし使用することができるからであ
る。これらの中で錫が特に好ましい。なぜなら、それは
表面と反応して優れた高温炭素化抵抗を有し、被覆の剥
離及び薄片化を起こしにくい被覆を与えるからである。
また、錫含有層は1/10μ位の薄いものでもよく、それで
も炭素化を防ぐことができると考えられている。
【0044】実際的には、それらの抵抗性材料はペイン
ト状の配合物(以下「ペイント」と呼ぶ)として、新し
い又は現存する反応器装置に適用するのが好ましい。そ
のようなペイントは軟鋼又はステンレス鋼の如き反応器
装置表面に噴霧、刷毛塗り、注型等により適用すること
ができる。そのようなペイントは、還元雰囲気中で加熱
すると還元されて反応性錫になり、金属錫化物(例え
ば、錫化鉄及びニッケル/鉄錫化物)を形成する分解可
能な反応性錫含有ペイントであるのが最も好ましい。前
述のペイントは少なくとも4種類の成分(又はそれらの
機能的同等物)を含むのが最も好ましい;(i)水素分
解性錫化合物、(ii)溶媒系、(iii)微粉砕錫金
属、及び(iv)還元性スポンジ/分散/結合剤として
の酸化錫。ペイントは沈降をできるだけ少なくするため
微粉砕した固体を含むべきであり、反応器装置の表面と
反応性錫との反応を妨げるような非反応性材料を含むべ
きではない。
【0045】水素分解性錫化合物として、オクタン酸錫
が特に有用である。この化合物自体の商業的配合物を入
手することができ、鋼表面上で部分的に乾燥すると、殆
どチューインガム状の層になる。その層は亀裂及び(又
は)分裂したりしない。この性質は、本発明で用いられ
るどのような被覆組成物にとっても必要である。なぜな
ら、被覆された材料は水素で処理される前に数カ月間保
存されると考えられるからである。また、部品を組立る
前に被覆した場合、それらは組立中欠けにくいものでな
ければならない。上述の如く、オクタン酸錫は市販され
ている。それは適切な値段を持ち、円滑に分解して反応
性錫層になり、それは600゜F位の低い温度で水素中で錫
化鉄を形成する。
【0046】しかし、オクタン酸はペイント中単独では
用いるべきではない。それは粘稠性が不充分である。そ
こから溶媒を蒸発しても、残りの液体は滴り落ち、被覆
表面状で流れる。実際には、例えば、水平な炉管を被覆
するためにそのようなものを用いた場合、管の底に溜ま
るであろう。
【0047】成分(iv)、酸化錫スポンジ/分散/結
合剤は、多孔質錫含有化合物であり、それは有機金属錫
化合物を吸収することができ、然も、依然として還元雰
囲気中で還元されて活性錫になることができる。更に、
酸化錫はコロイドミルによって処理し、急速には沈降し
にくい非常に細かな粒子を生ずることができる。酸化錫
の添加により、乾いた感触になって流動しにくくなるペ
イントを与える。
【0048】典型的なペイント濃化剤とは異なって、成
分(iv)は、還元した時被覆の反応性部分になるよう
に選択される。それは、処理後に非反応性表面被覆を残
す典型的なペイント濃化剤である形成シリカのように不
活性なものではない。
【0049】微粉砕錫金属、成分(iii)は、金属錫
が被覆すべき表面と、非還元性雰囲気中でさえもできる
だけ低い温度で反応するのに利用できるように添加され
る。錫の粒径は1〜5μであるのが好ましく、それによ
って、被覆すべき表面を錫金属で極めて良く覆うことが
できる。ペイントの乾燥及びパイプ接合部の溶接中に非
還元性状態が生ずることがある。金属錫の存在により、
被覆の一部分が完全には還元されていない時でも、錫金
属が存在して反応し、希望の錫化物層を形成するのが確
実になる。
【0050】溶媒は非毒性で希望に応じ、ペイントを噴
霧可能で、広げることができるようにするのに有効であ
るのがよい。それはまた迅速に蒸発し、水素分解性錫化
合物と両立できる溶媒性をもつべきである。イソプロピ
ルアルコールが最も好ましいが、もし必要ならば、ヘキ
サン及びペンタンを用いることができる。しかし、アセ
トンは有機錫化合物を沈殿させる傾向がある。
【0051】一つの態様として、20%の錫テン・セム(T
en-Cem)(オクタン酸中にオクタン酸第一錫を入れたも
の)、第二酸化錫、錫金属粉末及びイソプロピルアルコ
ールの錫ペイントを用いることができる。
【0052】錫ペイントは多くの方法で適用することが
できる。例えば、反応器装置の炉管を個々に又はモジュ
ール(module)として塗布することができる。本発明によ
る改質反応器装置は、適当な幅、長さ及び高さ(例え
ば、約10フィートの長さ、約4フィートの幅、及び約40
フィートの高さ)の種々の数の炉管モジュール(例え
ば、約24本の炉管モジュール)を含むことができる。典
型的には、各モジュールは、適当な直径、好ましくは約
2フィートの直径の二つのヘッダーを含み、それらを適
当な長さ(例えば、約42フィートの長さ)の約4本〜10
本のu字管によって結合する。従って、モジュール中の
塗布すべき全表面積は非常に広く変化し、例えば、一つ
の態様として、それは約16,500ft2になることがある。
【0053】管を個々に塗布するよりもモジュールとし
て塗布する方が少なくとも4つの点で有利である;
(i)個々の管よりもモジュールを塗布することによ
り、錫ペイントの熱破壊を回避することができる。なぜ
ならモジュールの構成部材が製造中極端に上昇した温度
で通常熱処理されるからである、;(ii)モジュールを
塗布することは、管を個々に塗布するよりも一層速く、
一層安価になり安い;(iii)モジュールを塗布する
ことは、製造スケジュールを立てる際に一層効率的にな
る;及び(iv)モジュールの塗布は溶接部の塗布を可
能にする。
【0054】しかし、モジュールを塗布することによっ
ては、管を個々に塗布した場合のように管を完全にペイ
ントで被覆することはできない。もし被覆が不充分なら
ば、管を個々に被覆することができる。
【0055】ペイントは管及びヘッダー中に噴霧するの
が好ましい。管及びヘッダーを完全に被覆するのに充分
なペイントを適用すべきである。モジュールを噴霧した
後、約24時間それを放置して乾燥し、次に加熱窒素のゆ
っくりした流れを適用するのがよい(例えば、約150゜F
で約24時間)。然る後、第二のペイント被覆を適用し、
上述の手順によって同じく乾燥するのが好ましい。ペイ
ントを適用した後、モジュールを僅かな窒素圧の下に維
持するのが好ましく、設置する前に約200゜Fを超える温
度に曝すべきではなく、水添試験中を除き、それらを水
に曝すべきではない。
【0056】鉄含有反応性ペイントも本発明で有用であ
る。そのような鉄含有反応性ペイントは、Fe/Snが重
量で1/3までの量で鉄が添加された種々の錫化合物を含
むのが好ましいであろう。
【0057】例えば、鉄の添加はFe23の形で行うこ
とができる。鉄を錫含有ペイントに添加することにより
顕著な利点が与えられる;特に、(i)それは鉄錫化物
を形成するペイントの反応を促進し、それによってフラ
ックスとして働く;(ii)それは錫化物層中のニッケ
ル濃度を希釈し、それによってコークス化に対する一層
よい保護を与える;及び(iii)それは、下の表面が
充分反応しない場合でも、鉄錫化物のコークス化防止保
護を与えるペイントを与える結果になる。
【0058】低硫黄反応器装置中での炭素化、コークス
化、金属顆粒化を防ぐための更に別の手段は、反応器装
置に含まれるクロムに富む鋼に金属被覆又はクラッドを
適用することからなる。これらの金属被覆又はクラッド
は、錫、アンチモン、ビスマス又は砒素からなっていて
もよい。錫が特に好ましい。これらの被覆又はクラッド
は、電着、蒸着、及びクロムに富む鋼の溶融金属浴中へ
の浸漬を含めた方法により適用することができる。
【0059】炭素化、コークス化、及び金属顆粒化が特
に問題になる改質反応器装置中では、クロムに富むニッ
ケル含有鋼を錫層で被覆することにより実際には二重保
護層を生ずることが見出されている。それにより炭素
化、コークス化及び金属顆粒化を起こしにくいクロムに
富む内部層及び同じく炭素化、コークス化、及び金属顆
粒化を起こしにくい外側錫層をもたらす。これが起きる
のは、クロムに富む錫被覆鋼を典型的な改質温度、例え
ば、約1200゜Fに曝した時、それが鋼と反応し、鉄ニッ
ケル錫化物を形成するからである。それによってニッケ
ルは鋼の表面から優先的に浸出し、クロムに富む鋼の層
を残す。或る場合にはステンレス鋼から鉄ニッケル錫化
物層を除去し、クロムに富む鋼層を露出することが望ま
しいことがある。
【0060】例えば、錫クラッドを304級ステンレス鋼
に適用し、約1200゜Fで加熱すると、約17%のクロムを
含み、実質的にニッケルを含まない、430級ステンレス
鋼に匹敵する、クロムに富む鋼層が得られる結果になる
ことが判明している。
【0061】錫金属被覆又はクラッドをクロムに富む鋼
に適用する場合、炭素化、コークス化、金属顆粒化に対
する希望の抵抗性を達成するように金属被覆又はクラッ
ドの厚さを変えることが望ましいであろう。これは、例
えば、クロムに富む鋼を溶融錫浴中に浸漬する時間の長
さを調節することにより行うことができる。このことに
よっても、得られるクロムに富む鋼層の厚さに影響を与
えるであろう。生成するクロムに富む鋼層中のクロム濃
度を調節するため、被覆されるクロムに富む鋼の組成を
変化させるか、又は操作温度を変えることも望ましいで
あろう。
【0062】更に、錫被覆鋼を、薄い酸化物被覆、好ま
しくはCr23の如き酸化クロムを適用することを含め
た後処理工程により、炭素化、金属顆粒化、及びコーク
ス化から更に保護することができることが判明してい
る。この被覆は数μm位の薄さの薄いものであろう。そ
のような酸化クロムの適用は、低硫黄改質条件下でのア
ロン化鋼の如き錫と同様アルミニウムを被覆した鋼を保
護するであろう。
【0063】酸化クロム層は次のものを含めた種々の方
法により適用することができる;クロム酸塩又は重クロ
ム酸塩ペイントを適用し、次に還元工程を行う方法;有
機クロム化合物による蒸気処理;又はクロム金属メッキ
を適用した後、得られたクロムメッキ鋼を酸化する方
法。
【0064】実質的な時間、低硫黄改質条件にかけた錫
電着鋼を調べると、酸化クロム層が錫化物層の表面上又
は錫化物層の下に形成されている場合、その酸化クロム
層は錫化物層の劣化を起こさないが、鋼を炭素化、コー
クス化、及び金属顆粒化に対し一層抵抗性のあるものに
するように見えることが分かった。従って、錫又はアル
ミニウム被覆鋼に酸化クロム層を適用すると、低硫黄改
質条件下での炭素化及びコークス化に対し一層抵抗性の
ある鋼を与える結果になる。この後処理工程は、長い間
低硫黄改質条件に曝された後、修復を必要とする錫又は
アルミニウム被覆鋼を処理するために特に適用されもの
である。
【0065】現在の低硫黄改質条件下で炭素化に対し抵
抗性のあるアルミ化、例えば、「アロン化」された鋼
は、そのアルミニウム被覆鋼を錫の被覆で後処理するこ
とにより更に抵抗性のあるものにすることができること
が更に判明した。このことは一層炭素化しにくい鋼を与
える結果になる。なぜなら、アルミニウム被覆と錫被覆
との両方から炭素化抵抗の累積的効果が得られるからで
ある。この後処理は、アルミニウム、例えば、アロン化
被覆の欠陥或は亀裂を修復することになる点で付加的利
点を与える。また、そのような後処理は、一層低いコス
トを与えることになるであろう。なぜなら、錫被覆で後
処理される鋼表面には一層薄いアルミニウム被覆を適用
すればよいからである。更に、この後処理は、アルミニ
ウム層に亀裂を生じ、改質条件下で誘発される炭素化に
鋼を曝すことになるアルミ化鋼の屈曲により露出された
下の鋼層を保護することになるであろう。また、この後
処理工程は、処理された鋼表面上でのコークス形成を防
ぎ、アルミ化されているが更に錫では被覆されていない
鋼に現れる亀裂の奥で起きるコークス形成を防ぐことに
もなる。
【0066】一方の側に錫を塗布したアロン化鋼の試料
は、低硫黄改質条件下で未処理側だけに黒色のコークス
付着物を示すことが見出されている。アルミ化表面上に
形成されたコークスは、酸性アルミナ部位上の亀裂から
生じた良質のコークスである。それは付加的コークスの
付着を誘発することができない。従って、アルミ化鋼に
錫被覆を適用する後処理は、本発明による改質条件下で
操作される反応器装置で起きる炭素化、コークス化及び
金属顆粒化の問題を更に小さくすることができる。
【0067】理論によって拘束されたくはないが、本発
明の種々の材料の安定性は、それらの炭素化雰囲気に対
する応答性に従って選択及び分類できると考えられてい
る。例えば、鉄、コバルト及びニッケルは、後で炭素
化、コークス化、及び顆粒化する比較的不安定な炭化物
を形成する。クロム、ニオブ、バナジウム、タングステ
ン、モリブデン、タンタル及びジルコニウムの如き元素
は、炭素化、コークス化及び顆粒化に対し一層抵抗性の
ある安定な炭化物を形成する。錫、アンチモン及びビス
マスの如き元素は、炭化物或はコークスを形成しない。
そしてこれらの化合物は、鉄、ニッケル及び銅の如き多
くの金属と改質条件下で安定な化合物を形成することが
ある。錫化物、アンチモン化物、ビスマス化物、及び
鉛、水銀、砒素、ゲルマニウム、インジウム、テルル、
セレン、タリウム、硫黄及び酸素の化合物も抵抗性があ
る。材料の最後の範疇には、銀、銅、金、白金の如き元
素、及びシリカ及びアルミナの如き耐火性酸化物が含ま
れる。これらの材料は抵抗性を持ち、炭化物を形成せ
ず、改質条件下で炭素化雰囲気中で他の金属と反応しな
い。
【0068】上で述べたように、炭素化及び金属顆粒化
に対し抵抗性のある適当な金属の選択、及び反応器装置
の金属表面のための被覆材料としてそれらを用いること
は、炭素化及び金属顆粒化問題を防ぐ一つの手段であ
る。しかし、炭素化及び金属顆粒化は、極めて多種類の
金属で広く起きることであり、炭素化しにくい金属は、
改質反応器装置の製造で用いられている慣用的材料(例
えば、軟鋼)よりも値段が高く或は特殊なものである。
従って、本発明の反応器装置に、典型的な改質条件下で
炭化物を形成せず、従って炭素化を受けにくいセラミッ
ク材料を反応器装置の金属表面の少なくとも一部分に対
して用いるのが望ましい。例えば、炉管、炉裏打、又は
それらの両方の少なくとも一部分をセラミック材料で作
ることができる。
【0069】本発明で用いるためのセラミック材料を選
択する場合、そのセラミック材料が改質反応器装置の製
造で慣用的に用いられている材料の熱伝導率又はそれよ
り大きな熱伝導率を有するのが好ましい。更に、セラミ
ック材料は、改質反応器装置内で起きる温度で充分な構
造強度を持つべきである。更に、セラミック材料は反応
器装置の操作中に起きる熱衝撃及び温度サイクルの反復
に耐えることができるべきである。セラミック材料を炉
裏打の製造に用いた場合、そのセラミック材料は、その
裏打が密接に接触する金属外側表面の熱膨張係数とほぼ
同じ熱膨張係数を持つべきである。これによって開始及
び停止中に起きる温度サイクル中に接合部で起きる異常
な応力を防ぐことができる。更に、セラミック表面は触
媒再生中に起きる炭化水素環境又は酸化性環境中での劣
化を受けないのがよい。選択されたセラミック材料は反
応器装置内の炭化水素の劣化を促進すべきではない。
【0070】適当なセラミック材料には、炭化珪素、酸
化珪素、窒化珪素及び、窒化アルミニウムの如き材料が
含まれるが、それらに限定されるものではない。それら
の中で炭化珪素及び窒化珪素が特に好ましい。なぜな
ら、それらは低硫黄改質条件下で反応器装置に対する完
全な保護を与えることができるように見えるからであ
る。
【0071】反応器装置の金属表面の少なくとも一部分
を、珪素、又はシリカの膜で被覆することもできる。特
に、被覆することができる金属表面には、反応器壁、炉
管、炉裏打が含まれるが、それらに限定されるものでは
ない。しかし、低硫黄改質条件下で炭素化及び金属顆粒
化の徴候を示す反応器装置の金属表面は、珪素又はシリ
カの薄膜を適用することにより利点を得ることになるで
あろう。
【0072】珪素又はシリカ膜を金属表面に適用してそ
れを被覆するためには慣用的方法を用いることができ
る。シリカ又は珪素は、水蒸気キャリヤーガス中に入れ
たアルコキシシランの化学蒸着及び電着により適用する
ことができる。珪素又はシリカの膜は、それが被覆され
る金属表面の熱膨張係数とほぼ同じ熱膨張係数を持つの
が好ましい。更に、珪素又はシリカ膜は改質中に起きる
熱衝撃及び温度サイクルの反復に耐えることができるべ
きである。これによって珪素又はシリカ膜の亀裂又は剥
離を防ぎ、炭素化誘発炭化水素環境に対する下の金属表
面の潜在的露出を防ぐ。また、シリカ或は珪素膜は、充
分な熱移動を維持できるように、改質反応器装置で慣用
的に用いられる金属の熱伝導度にほぼ等しいか又はそれ
より大きい熱伝導度を持つべきである。珪素又はシリカ
膜は、改質環境又は触媒再生に伴われる酸化性環境中で
劣化すべきではなく、それは炭化水素自身の分解も起こ
すべきではない。
【0073】本発明の反応器装置の異なった領域(例え
ば、炉中の異なった領域)は広い範囲の温度に曝される
ことがあるので、材料の選択は、装置中の最も高い温度
を受ける領域には炭素化抵抗の一層大きな材料を用いる
ように段階的にしてもよい。
【0074】材料の選択に関し、鉄、ニッケル及びコバ
ルトの如き第VIII族金属の酸化された表面は、それ
らの酸化されていないものよりもコークス化及び炭素化
に対して一層活性であることが発見されている。例え
ば、347ステンレス鋼の空気焙焼試料は同じ鋼の酸化さ
れていない試料よりも著しく活性であることが見出され
ている。このことは、非常に微細な粒子の鉄及び(又
は)ニッケル金属を生ずる酸化鋼の再還元によるものと
考えられる。そのような金属は特に炭素化及びコークス
化に対して活性である。従って、接触改質で典型的に用
いられている材料のようなそれら材料は、酸化性再生工
程中できるだけ使用しないようにするのが望ましい。し
かし、錫で被覆した300系列のステンレス鋼を空気焙焼
したものは、同じ錫被覆をした300系列のステンレス鋼
の未焙焼試料と同様なコークス化及び炭素化に対する抵
抗性を与えることができることが判明している。
【0075】更に、触媒の硫黄に対する官能性が問題に
ならず、硫黄が金属表面を不動化するために用いられる
装置では酸化が問題になることが認められている。もし
そのような系での硫黄水準が不充分になると、金属表面
上に形成されていた金属硫化物は、酸化及び還元後、微
細な粒子の金属に還元される。この金属はコークス化及
び炭素化に対し極めて反応性である。潜在的にこのこと
が冶金の破滅的失敗、或は大部分のコークス化問題を起
こすことになる。
【0076】上で述べたように、コークスボール内の発
熱脱メタン化反応が局部的高熱領域を生じた場合、過度
に高い温度が触媒床中に生ずる。これらの高熱点も、慣
用的改質反応器装置(同様に化学的及び石油化学的処理
の他の領域)での問題を生ずる。
【0077】例えば、改質器の中心パイプ網は、局部的
に老廃して穴が空き、最終的に触媒の移動を起こす結果
になることが観察されている。慣用的改質方法では、コ
ークスボール内での形成及び燃焼中の温度は、明らかに
コークス化、炭素化、及び顆粒化を無力にする工程硫黄
の能力を越えるのに充分な高い温度になる。従って、金
属網(screen)は、再生中の粒子間酸化(一種の腐食)によ
り炭素化し一層消耗を受け易くなる。網目は大きくな
り、穴があく。
【0078】本発明の教示は、慣用的改質と同様、化学
的及び石油化学的処理の別の領域にも適用することがで
きる。例えば、前述のメッキ、クラッディング及び被覆
を、中心パイプ網の製造で用い、過度の穴の発生及び触
媒移動を防ぐようにすることができる。更に、それらの
教示は、炭素化、コークス化、及び金属顆粒化を受け
る。コークス炉中の炉管の如きどのような炉管にも適用
することができる。
【0079】更に、ここに記載した技術は、過度に高い
温度での炭素化、コークス化、及び金属顆粒化を制御す
るのに用いることができるので、それらは約1400〜約17
00゜Fで作動するクラッキング炉で用いることができ
る。例えば、これらの温度で作動するクラッキング炉中
で起きる鋼の劣化を種々の金属被覆を適用することによ
り制御することができる。これらの金属被覆は溶融、電
着、及び塗布によって適用することができる。塗布は特
に好ましい。
【0080】例えば、鉄含有鋼に適用したアンチモンの
被覆は、これらの鋼を、記載したクラッキング条件下で
の炭素化、コークス化、及び金属顆粒化から保護する。
実際、鉄含有鋼に適用したアンチモンペイントは、1600
゜Fでの炭素化、コークス化、金属顆粒化に対する保護
を与える。
【0081】ニッケルに富む鋼合金(例えば、インコネ
ル600)に適用したビスマスの被覆は、クラッキング条
件下での炭素化、コークス化、金属顆粒化に対しこれら
の鋼を保護することができる。このことは1600゜Fまで
の温度で例示されている。
【0082】ビスマスの被覆も鉄含有鋼に適用し、クラ
ッキング条件下での炭素化、金属顆粒化及びコークス化
に対する保護を与えることができる。また、ビスマス、
アンチモン及び(又は)錫の組合せからなる金属被覆を
用いることができる。
【0083】再び低硫黄改質を見て、本発明により発見
された問題に対処するため別の方法を用いることもでき
る。それらは、反応器装置のための適当な材料選択と共
に用いることもでき、或はそれらを単独で用いることも
できる。それら別の技術の中で好ましいのは、改質工程
中に硫黄でない炭素化防止及びコークス化防止剤(一種
又は多種)を添加することである。これらの薬剤は処理
中連続的に添加してもよく、炭化水素と接触する反応器
装置の表面と相互作用する働きをし、或はそれらは反応
器装置に前処理として適用してもよい。
【0084】理論によって拘束はされたくはないが、こ
れらの薬剤は分解によって反応器装置の表面と相互作用
し、表面を侵食して錫化物、アンチモン化物、ビスマス
化物、鉛化物(plumbide)、砒素化物等の如き鉄及び
(又は)ニッケル金属間化合物を形成すると考えられてい
る。そのような金属間化合物は、炭素化、コークス化、
及び顆粒化に対し抵抗性を持ち、下の冶金部を保護する
ことができる。
【0085】金属間化合物も、金属を不動化するのにH
2Sを用いた装置中で形成される金属硫化物よりも一層
安定であると考えられる。これらの化合物は、金属硫化
物のように水素によって還元されることはない。その結
果、それらは金属硫化物よりも装置から出にくい。従っ
て、供給物と一緒に行われる炭素化防止剤の連続的添加
を最小にすることができる。
【0086】好ましい非硫黄炭素化防止及びコークス化
防止剤には、有機錫化合物、有機アンチモン化合物、有
機ビスマス化合物、有機砒素化合物、及び有機鉛化合物
の如き有機金属化合物が含まれる。適当な有機鉛化合物
には、テトラエチル鉛及びテトラメチル鉛が含まれる。
テトラブチル錫及びトリメチル錫水素化物の如き有機錫
化合物が特に好ましい。
【0087】その他の特定の有機金属化合物には、ネオ
デカン酸ビスマス、クロムオクトエート(octoate)、
ナフテン酸銅、カルボン酸マンガン、ネオデカン酸パラ
ジウム、ネオデカン酸銀、テトラブチルゲルマニウム、
トリブチルアンチモン、トリフェニルアンチモン、トリ
フェニルアルシン、及びジルコニウムオクトエートが含
まれる。
【0088】これらの薬剤を反応器装置にどこでどのよ
うにして添加するかは問題ではなく、主に特定の方法の
設計特性に依存するであろう。例えば、それらは供給物
と共に連続的に添加してもよく、或は不連続に添加して
もよい。
【0089】しかし、それらの薬剤の供給物への添加
は、反応器装置の最初の部分にそれらが蓄積する傾向が
あるので、好ましくない。これは、装置の他の領域での
適切な保護を与えることにはならない。
【0090】それら薬剤は、製造前、開始前、或はその
場で(即ち、現存する装置の場合)被覆として与えられ
るのが好ましい。もしその場で添加されるならば、触媒
再生直後に行うのがよい。非常に薄い被覆を適用するこ
とができる。例えば、有機錫化合物を用いた場合は、0.
1μ位の薄い鉄錫化物被覆でも有効であると考えられ
る。
【0091】現存する又は新しい反応器の表面、又は新
しい又は現存する炉管上にそれら薬剤を被覆する好まし
い方法は、約900゜Fの温度で水素雰囲気中で有機金属化
合物を分解する方法である。例えば、有機錫化合物の場
合、これによって管表面に反応性金属錫が生成する。こ
れらの温度ではその錫は更に表面金属と反応してそれを
不動化する。
【0092】最適被覆温度は、特定の有機金属化合物に
依存し、或は合金が望まれる場合にはそれら成分の混合
物に依存するであろう。典型的には、過剰の有機金属被
覆剤を、その被覆剤を霧状に装置全体に亙って運べるよ
うに、大きな水素流量で管中へパルス状に入れることが
できる。次にその流量を低下させ、被覆金属霧が炉管又
は反応器表面を被覆し、それらと反応できるようにす
る。別法として、化合物を蒸気として導入し、それが還
元雰囲気中で分解して管又は反応器の高熱壁と反応でき
るようにする。
【0093】上で述べた如く、炭素化、金属顆粒化、及
びコークス化を受け易い改質反応器装置を、分解可能な
有機金属錫化合物を含有する分解性被覆を、炭素化を最
も受け易い反応器装置の領域に適用することにより処理
することができる。そのような方法は、特に温度が制御
された炉でうまく行われる。
【0094】しかし、そのような制御は必ずしも存在す
るものではない。反応器装置、特に炉管中で発生する
「高熱点」が存在し、そこで有機金属化合物が分解して
付着物を形成する。従って、本発明の別の態様は、温度
が正確に制御できず、高温の高熱点の領域を示す改質反
応器装置中でそのような付着を起こさない方法にある。
【0095】そのような方法は、反応器装置の全体を、
水素ガスの高温流で750〜1150゜F、好ましくは900〜110
0゜F、最も好ましくは約1050゜Fの温度へ予熱すること
を含んでいる。予熱した後、気化した有機金属錫化合物
及び水素ガスを含む、400〜800゜F、好ましくは500〜70
0゜F、最も好ましくは約550゜Fの温度の冷たいガス流を
予熱された反応器装置中に導入する。このガス混合物は
上流に導入し、全反応器装置全体に亙って移動する分解
「波(wave)」を与えることができる。
【0096】この方法は本質的に有効である。なぜな
ら、高温水素ガスが均一に加熱された表面を生じ、それ
が冷たい有機金属ガスを、それが反応器装置全体に亙っ
て波として移動していく間に分解するからである。有機
金属錫化合物を含有する冷たいガスは、高熱表面で分解
し、その表面を被覆する。有機金属錫蒸気は、反応器装
置の下流の一層熱い表面を処理する波として移動し続け
るであろう。それによって、全反応器装置は有機金属錫
化合物の均一な被覆を持つことができる。また、これら
高−低温度サイクルを何回か行なって、全反応器装置が
有機金属錫化合物で均一に被覆されるのを確実にするこ
とが望ましいであろう。
【0097】本発明による改質反応器装置の操作では、
ナフサが改質されて芳香族を形成する。ナフサ供給物は
軽質炭化水素であり、好ましくは約70゜F〜450゜F、一
層好ましくは約100〜350゜Fの範囲で沸騰する炭化水素
である。ナフサ供給物は脂肪族又はパラフィン系炭化水
素を含んでいるであろう。これらの脂肪族は改質反応領
域内で少なくとも部分的に転化して芳香族になる。
【0098】本発明の「低硫黄」系では、供給物の硫黄
含有量は、好ましくは100ppb未満、一層好ましくは50pp
b未満になるであろう。もし必要ならば、硫黄洗浄装置
を用いて僅かに過剰の硫黄を除去することができる。
【0099】好ましい改質工程条件には、700〜1050゜
F、一層好ましくは850〜1025゜Fの温度;及び0〜400p
sig、一層好ましくは15〜150psigの圧力;0.1〜20、一
層好ましくは0.5〜10の、改質反応領域への供給物に対
する水素対炭化水素モル比を生ずるのに充分な再循環水
素速度;及び0.1〜10、一層好ましくは0.5〜5の、改質
触媒上への炭化水素供給物についての液体空間時速が含
まれる。
【0100】適当な改質器温度を達成するため、屡々炉
管を高い温度に加熱することが必要である。これらの温
度は屡々600〜1800゜F、通常850〜1250゜F、一層頻繁に
は900〜1200゜Fの範囲になる。
【0101】上で述べた如く、低硫黄系での炭素化、コ
ークス化、及び金属顆粒化の問題は、反応器装置の過度
に高い局部的工程温度に伴われたものであることが判明
しており、特に高い温度が特徴である装置の炉管で特に
顕著になる。高水準の硫黄が存在する慣用的改質法で
は、操作の終わりで1175゜Fまでの炉管表面温度になる
のが典型的である。しかし、過度の炭素化、コークス
化、及び金属顆粒化は観察されていない。しかし、低硫
黄系では、950゜Fより高い温度のCrMo鋼及び1025゜F
より高い温度でのステンレス鋼で、迅速で過度の炭素
化、コークス化、及び金属顆粒化が起きることが発見さ
れている。
【0102】従って、本発明の別の態様は、改質装置の
炉管、移送配管及び(又は)反応器内部の金属表面の温
度を、上述の水準より低く低下することである。例え
ば、温度は反応器装置内の種々の場所に取付けた熱電対
を用いて検出監視することができる。炉管の場合、熱電
対はその外側の壁、好ましくは炉の最も高温の点(通常
炉の出口近く)の所に取付けることができる。必要なら
ば、処理操作中の調節は、温度を希望の水準に維持する
ために行うことができる。
【0103】同様に装置表面が望ましくない高温に露出
されるのを少なくする別の方法が存在する。例えば、温
度が通常最も高くなる最終段階で抵抗性(通常一層高価
になる)管を用いた熱移動領域を使用することができ
る。
【0104】更に、過熱水素を、改質装置の反応器間に
添加することができる。また、一層大きな触媒導入量を
用いることができる。また、触媒を一層頻繁に再生して
もよい。触媒再生の場合、それは、触媒を最終床から取
り出し、再生し、第一床へ導入する移動床法を用いて最
もよく達成することができる。
【0105】炭素化及び金属顆粒化は、本発明の低硫黄
改質反応器装置で、或る他の新規な装置形態及び工程条
件を用いて最も少なくすることができる。例えば、反応
器装置は、段階的加熱器、及び(又は)管を用いて構成
することができる。換言すれば、反応器装置内で最も極
端な温度条件を受ける加熱器又は管は、改質反応器装置
の製造で慣用的に用いられている材料よりも炭素化に対
する抵抗性が一層大きな材料、上で述べたような材料か
ら作ることができる。極端な温度にかけられることがな
い加熱器、又は管は、そのまま慣用的材料から作っても
よい。
【0106】反応器装置にそのような段階的設計を用い
ることにより、系の全体的コストを、低硫黄改質条件下
で炭素化及び金属顆粒化に対し充分抵抗性のある反応器
装置を依然として与えながら、減少させることができる
(なぜなら、炭素化抵抗性材料は一般に慣用的材料より
も値段が高いからである)。更に、このことは、現存す
る改質反応器装置を、それらが低硫黄操作条件下での炭
素化及び金属顆粒化に対し抵抗性を持つようにして再適
合化するのを促進するはずである。なぜなら、反応器装
置の一層僅かな部分を段階的設計で置き換えるか、又は
修正しさえすればよいからである。
【0107】反応器装置は、少なくとも二つの温度領域
を用いて操作することができる。即ち、一層高い温度領
域と、一層低い温度領域である。この方法は、金属顆粒
化が最高及び最低温度を有し、それより上及び下では顆
粒化が最も少なくなると言う観察に基づいている。従っ
て、「一層高い」温度とは、それら温度が改質反応器装
置で慣用的に用いられている温度より高く、顆粒化のた
めの最高温度よりも高いことを意味している。「一層低
い」温度とは、その温度が、改質工程が慣用的に行われ
る温度又はそれに近い所にあって、顆粒化が問題になる
温度よりは低い所にあることを意味する。
【0108】異なった温度領域で反応器装置部分を操作
することは、金属顆粒化を起こす温度にある反応器装置
部分が少なくなるので、金属顆粒化を減少するはずであ
る。また、そのような設計の別の利点には、その装置の
或る部分の操作が一層高い温度で行われるため、熱移動
効率及び装置規模減少能力が改良されることが含まれ
る。しかし、金属顆粒化を起こす水準より低い水準及び
高い水準で反応器装置部分を操作することは、金属顆粒
化が起きる温度範囲を小さくするだけで、完全に除ける
わけではない。このことは避けられないことである。な
ぜなら、改質反応器装置の毎日の操作中に起きる温度変
動のためであり、特に装置の停止及び開始時の変動、反
復中の温度変動、及び反応器装置で工程流体が加熱され
る時に起きる温度変動が起きるためである。
【0109】金属顆粒化を最小にする別の方法は、過熱
原料(例えば水素の如きもの)を用いて装置に熱を与
え、それによって炉壁を通して炭化水素を加熱する必要
性を最も少なくすることに関する。
【0110】更に別の工程設計法には、既に存在する改
質反応器装置に一層大きな管直径及び(又は)一層大き
な管速度を与えることが含まれる。一層大きな管直径及
び(又は)一層大きな管速度を用いることにより、反応
器装置中の加熱用表面の炭化水素への露出が最も少なく
なる。
【0111】上で述べた如く、接触改質は石油化学でよ
く知られており、ナフサ留分を処理して芳香族の生成に
よりオクタン化を改良することを含んでいる。改質操作
中に起きる一層重要な炭化水素反応には、シクロヘキサ
ンから芳香族への脱水素化、アルキルシクロペンタンか
ら芳香族への脱水素異性化、及び非環式炭化水素から芳
香族への脱水素環化が含まれる。更に、数多くの他の反
応器も起き、それらにはアルキルベンゼンの脱アルキル
化、パラフィンの異性化、及び軽いガス状炭化水素、例
えば、メタン、エタン、プロパン及びブタンを生ずる水
添分解反応が含まれ、それら水添分解反応は、ガソリン
沸点生成物及び水素の収率を減少させるので、改質中で
きるだけ少なくすべきである。従って、ここで用いる
「改質」とは、芳香族に富む生成物(即ち、供給物中よ
りも芳香族含有量が多くなった生成物)を与えるため
に、一種類以上の芳香族生成反応を用いることによって
炭化水素供給物を処理することを指す。
【0112】本発明は、主に接触改質に関するが、一般
に低硫黄条件下で種々の炭化水素供給物から芳香族炭化
水素を製造するのに有用であろう。即ち、接触改質とは
典型的には、ナフサの転化を指すが、他の供給物を同様
に芳香族に富む生成物を与えるように処理することがで
きる。従って、ナフサの転化は好ましい態様であるが、
本発明は、パラフィン炭化水素、オレフィン炭化水素、
アセチレン炭化水素、環式パラフィン炭化水素、環式オ
レフィン炭化水素、及びそれらの混合物、特に飽和炭化
水素の如き種々の供給原料の転化又は芳香族化に対して
も有用である。
【0113】パラフィン炭化水素の例は、n-ヘキサン、
メチルペンタン、n-ヘプタン、メチルヘキサン、ジメチ
ルペンタン、及びn-オクタンの如き6〜10個の炭素原子
を有するものである。アセチレン炭化水素の例は、ヘキ
シン、ヘプチン、及びオクチンの如き6〜10個の炭素原
子を有するものである。非環式パラフィン炭化水素の例
は、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、及びジメチルシクロヘキサンの如き6〜
10個の炭素原子を有するものである。環式オレフィン炭
化水素の典型的な例は、メチルシクロペンテン、シクロ
ヘキセン、メチルシクロヘキセン、及びジメチルシクロ
ヘキセンの如き6〜10個の炭素原子を有するものであ
る。
【0114】本発明は、種々の異なった改質触媒を用い
た低硫黄条件下での改質にも有用である。そのような触
媒には、耐火性無機酸化物上の第VIII族貴金属例え
ば、アルミナ上の白金、アルミナ上のPt/SN、及びア
ルミナ上のPt/Re;ゼオライト上の第VIII族貴金
属、例えば、L−ゼオライト、ZSM−5、珪酸塩及び
βの如きゼオライト上のPt、Pt/SN及びPt/Re;ア
ルカリ及びアルカリ土類金属交換L−ゼオライト上の第
VIII族貴金属が含まれるが、それらに限定されるも
のではない。
【0115】本発明の好ましい態様には、アルカリ又は
アルカリ土類金属を含み、一種類以上の第VIII族金
属が付加された大気孔ゼオライト触媒を使用することが
含まれる。最も好ましいのは、そのような触媒をナフサ
供給物を改質するのに用いた態様である。用語「大気孔
ゼオライト」は、一般に6〜15Åの有効気孔直径を有す
るゼオライトを指す。本発明で有用な好ましい大気孔結
晶質ゼオライトには、L型ゼオライト、ゼオライトX、
ゼオライトY及びフォージャサイトが含まれる。これら
は7〜9Å程度の見かけの気孔孔径を有する。最も好ま
しいのは、ゼオライトで、L型ゼオライトである。
【0116】酸化物のモル比で表したL型ゼオライトの
組成は、次の式で表すことができる: (0.9-1.3)M2/nO:Al23(5.2-6.9)SiO2:yH2O 上記式で、Mは陽イオンを表し、nはMの原子価を表
し、yは0〜約9の値にすることができる。ゼオライト
L、そのX線回折像、その性質、及びその製造方法は、
例えば、米国特許第3,216,789号明細書(その内容は参
考のためここに入れてある)に詳細に記載されている。
結晶構造を変えなくても実際の式を変えることができ
る。例えば、珪素対アルミニウムのモル比(Si/Al)
は1.0〜3.5の範囲で変えることができる。
【0117】酸化物のモル比で表したゼオライトYの化
学式は次のように書くことができる: (0.7-1.1)Na2O:Al23:xSiO2:yH2O 上記式で、xは3より大きく約6までの値である。yは約
9までの値である。ゼオライトYは、同定のために上記
式と共に用いることができる特性粉末X線回折像を有す
る。ゼオライトYは米国特許第3,130,007号明細書(その
内容は参考のためここに入れてある)に一層詳細に記載
されている。
【0118】ゼオライトXは、次の式によって表すこと
ができる合成結晶質ゼオライト分子篩である: (0.7-1.1)M2/nO:Al23:(2.0-3.0)SiO2:yH2O 上記式で、Mは金属、特にアルカリ及びアルカリ土類金
属を示し、nはMの原子価であり、yはMの種類及び結晶
質ゼオライトの水和度に依存して約8までの値を有す
る。ゼオライトX、そのX線回折像、その性質、及びそ
の製造方法は、米国特許第2,882,244号明細書(その内
容は参考のためここに入れてある)に詳細に記載されて
いる。
【0119】大気孔ゼオライトには、アルカリ又はアル
カリ土類金属が存在するのが好ましい。そのアルカリ土
類金属は、バリウム、ストロンチウム又はカルシウムで
もよいが、バリウムが好ましい。アルカリ土類金属は合
成、含浸、又はイオン交換によりゼオライト中に配合す
ることができる。バリウムは、幾らか酸性度の低い触媒
を与える結果になるので、他のアルカリ土類金属よりも
好ましい。強い酸性度は、亀裂を促進し、低い選択性を
もたらすので、触媒には望ましくない。
【0120】別の態様として、アルカリ金属の少なくと
も一部分を、ゼオライトで知られているイオン交換法を
用いてバリウムと交換することができる。これは、過剰
のBa++イオンを含有する溶液とゼオライトとを接触さ
せることを含んでいる。この態様では、バリウムはゼオ
ライトの重量で0.1%〜35%を構成するのが好ましい。
【0121】本発明で用いられる大気孔ゼオライト触媒
は、一種類以上の第VIII族金属、例えば、ニッケ
ル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム又
は白金が付加されている。好ましい第VIII族金属は
イリジウム及び特に白金である。これらは脱水素環化に
関して一層選択性であり、他の第VIII族金属よりも
脱水素環化反応条件下で一層安定である。もし用いるな
らば、触媒中の白金の好ましい重量%は0.1%〜5%で
ある。
【0122】第VII族金属は、合成、含浸、又は適当
な塩の水溶液中での交換により大気孔ゼオライト中に導
入される。二種類の第VIII族金属をゼオライト中に
導入したい場合、操作は同時に又は連続的に行うことが
できる。
【0123】本発明を一層完全に理解できるように、本
発明の或る態様を例示する実施例を次に記載する。しか
し、本発明は、そこに記載する特定の条件に何等限定さ
れるものではないことは理解されるべきである。
【0124】実施例1 改質反応器での炭素化に対する硫黄及び水の影響を示す
ための実験を行なった。これらの試験では、長さ8in、
外径1/4inの銅管を反応器として用いて、347ステンレス
鋼ワイヤーの炭素化及び脆弱化を研究した。0.035inの
直径を有する3本のこれらステンレス鋼ワイヤーを管中
に挿入し、その管の4inの部分を炉により1250゜Fの均
一な温度に維持した。その系の圧力を50psigに維持し
た。ヘキサンを25μl/分(1.5ml/時)の流量で反応器
中に導入し、水素流量を約25cc/分(H2対HCの比は
5:1である)にした。流出生成物中のメタンを測定し
て、発熱メタン反応の存在を決定した。
【0125】硫黄含有量が0.2ppm未満の本質的に純粋な
ヘキサンを用いて対照実験が行われた。僅か3時間後に
管は炭素で完全に満たされることが分かった。これは水
素及びヘキサン供給物の流れを止めるのみならず、炭素
の成長が実際に管を裂き、反応器中にふくらみを生じて
いた。流出生成物中のメタンは閉塞する前に60〜80重量
%に近づいた。
【0126】10ppmの硫黄を添加したことを除き、本質
的に同じ条件を用いて別の実験を行なった。その実験は
50時間継続した後、ワイヤーを調べるため停止した。実
験中メタンの増加は認められなかった。それは熱分解に
より約16重量%で一定のままであった。コークスによる
閉塞は見出されず、鋼ワイヤーの炭素化は観察されなか
った。
【0127】僅か1ppmの硫黄を添加した(前の実験の1
/10にした)ことを除き、更に同様な実験を行なった。
この実験は、48時間後、殆どメタンの形成或は閉塞を示
さなかった。鋼ワイヤーを調べると、少量の表面炭素を
示していたが、帯状の炭素は示していなかった。
【0128】1000ppmの水(0.1%)をメタノールとして
ヘキサンに添加したことを除き、別の実験を行なった。
硫黄は添加しなかった。実験は16時間続けたが、反応器
中に閉塞は起きなかった。しかし、管を開いて見ると管
の約50%が炭素で満たされていることが発見された。し
かし、炭素の蓄積は対照実験程ひどいものではなかっ
た。
【0129】実施例2 低硫黄改質反応器装置で用いるのに適した材料;低硫黄
改質法で慣用的に用いられていた軟鋼よりも炭素化に対
し一層よい抵抗性を示す材料を決定するため試験を行な
った。
【0130】これらの試験では、リンドバーグ(Lindbe
rg)アルミナ管状炉を含む装置を用い、温度は加熱領域
中の管の外側においた熱電対で1度以内に制御した。炉
管は5/8inの内径を持っていた。管の高熱領域 内に吊した熱電対を用いて1200゜Fの適用温度で幾つか
の実験を行なった。内部熱電対により、外部熱電対より
も0〜10゜F低い温度が一定して測定された。
【0131】軟鋼(C鋼及び21/4Cr)の試料及び300
系列のステンレス鋼の試料を、1100゜F、1150゜F及び12
00゜Fで24時間試験し、1100゜Fで90時間、低硫黄改質条
件下で材料を露出させるのに類似させた条件下で試験し
た。種々の材料の試料を、炉管の高熱領域内の開放石英
ボート中に入れた。それらボートは長さ1in、幅1/2in
で、管の2inの高熱領域内によく適合するものであっ
た。それらボートは、シリカガラス棒に取付けて夫々の
出し入れを行なった。ボートが管の内部に入れられた時
には、内部熱電対は用いなかった。
【0132】開始前に、管を数分間窒素でフラッシュし
た。水素中に7%のプロパンを入れた市販容器入り混合
物である炭素化用ガスを、室温でトルエンの1リットル
フラスコに気泡として通すことにより供給物ガス混合物
中に約1%のトルエンを導入した。装置中、25〜30cc/
分のガス流及び大気圧を維持した。試料を144゜F/分の
速度で操作温度へ持っていった。
【0133】希望の温度で希望の時間、材料を炭素化用
ガスに曝した後、装置を管の外側に適用した空気流で急
冷した。装置が充分冷たくなった時、炭化水素を窒素で
追い出し、ボートを取り出して検査分析した。
【0134】開始前に、試験材料をそのまま肉眼観察す
るのに適した大きさ及び形に切断した。清浄化又は焙焼
の如き前処理を行なった後、試料を秤量した。殆どの試
料は300mgよりも少なかった。典型的には、各実験をボ
ートの中に3〜5個の試料を入れて行なった。347ステ
ンレス鋼の試料を各実験で内部標準として存在させた。
【0135】各実験が終わった時、ボート及び各材料の
状態を注意深く観察した。典型的には、ボートの写真を
取った。次に各試料を、適当な基体材料でコークス付着
物を維持するように注意しながら秤量し、変化を決定し
た。次に試料をエポキシ樹脂に取付け、研磨して岩石学
的分析及び走査電子顕微鏡分析のための試料を作り、各
材料のコークス化、金属顆粒化、及び炭素化に対する変
化を決定した。
【0136】必要に応じ、これらの試験で用いた炭素化
用ガスの滞留時間を、典型的な商業的操作の場合よりも
かなり長くした。従って、実験条件は商業的条件よりも
厳しいものであったと考えられる。これらの試験で不良
になった材料の幾つかは、実際には商業的には信頼性を
持つものとされている。それにも拘わらず、この試験は
材料のコークス化、炭素化及び金属顆粒化に対する相対
的抵抗性を示す信頼性のある示標を与えている。結果を
下の表に記載する。
【0137】 *15%C78+50%C38+H2 (重量による)
【0138】勿論、上記結果は定量的であり、表面形
態、即ち、金属の微視的粗さに依存する。炭素重量増加
は、自触的である表面コークス化の示標になる。
【0139】実施例3 上で用いたのと同じ方法を再び用いて、1200゜Fの温度
で16時間材料の広範な分類選抜試験を行なった。結果を
下に示す。各群は、同様な条件下で単一のボート中に並
べて比較したものを示す。
【0140】 (1) 15%C78+50%C38+H2 (重量による) (2) 1000℃で2時間空気中で焙焼し、薄い酸化物皮殻
を形成した。
【0141】実施例4 実施例2に記載した方法を再び用いて(別に記述しない
限り)更に別の材料を試験した。446ステンレス鋼及び3
47ステンレス鋼の試料を試料ボートに入れ、1100゜Fの
炭素化装置で合計2週間同時に試験した。446ステンレ
ス鋼は薄いコークス被覆を持っていたが、他の変化は検
出されなかった。一方347ステンレス鋼は、大きな局部
的コークス付着物を持ち、4ミルより深い孔を有し、そ
こからコークス及び金属顆粒が噴き出していた。
【0142】錫、銀、銅、及びクロムを電気メッキした
炭素鋼網の試料を試験した。試料は約0.5ミルの被覆を
持っていた。1200゜Fで16時間炭素化スクリーニング試
験を行なった後、錫メッキ網及び及びクロムメッキ網に
はコークスは形成されていなかった。銀メッキ網及び銅
メッキ網にはコークスが形成されていたが、メッキが剥
がれた所だけであった。メッキした網と同時に試験した
メッキしていない炭素鋼網は、ひどいコークス化、炭素
化及び金属顆粒化を示していた。304ステンレス鋼網の
試料を試験した。各試料には錫、銀、銅、及びクロムの
一種類を電気メッキした。それら試料は約0.5ミルの厚
さの被覆を持っていた。1200゜Fで16時間炭素化スクリ
ーニング試験を行なった後、メッキした網のいずれに
も、銅メッキ網のメッキが泡立って剥がれた局部的部分
を除き、コークスは形成されていなかった。メッキした
網と同時に試験した304ステンレス鋼のメッキしていな
い試料には薄いコークスの被覆が観察された。
【0143】304ステンレス鋼網の試料を試験した。各
試料には錫及びクロムの一方を電着した。これらの試料
は446ステンレス鋼の試料と共に1100゜Fの炭素化試験で
試験した。試料は5週間露出した。各週毎に、試料を室
温に冷却し、観察及び写真撮影の記録を行なった。次に
それらを1100゜Fに再び加熱した。錫メッキした網はコ
ークスを持たなかった。クロムをメッキした網も、クロ
ムメッキが剥がれた局部的部分を除き、コークスを持た
なかった。446ステンレス鋼片はコークスで均一に被覆
されていた。
【0144】未被覆インコネル600(75%Ni)及び錫被
覆(電着)インコネル600(75%Ni)の試料を1200゜F
で16時間試験した。錫メッキした試料はコークス化及び
顆粒化を起こしたが、未被覆試料程ではなかった。
【0145】実施例5 低硫黄条件下で改質している間にコークスボールの形成
及び燃焼により発生する発熱メタン化反応を研究するた
め、次の実験を行なった。更にメタン形成を減少させる
ための添加物として錫を研究した。
【0146】低硫黄改質反応器装置で、鉄の溶融粒子を
含むコークス付着物が見出されている。900〜1200゜Fの
温度で改質している間に起きるこの溶融鉄の形成は、改
質中に起きる非常に発熱的な反応によるものと考えられ
る。そのような温度を発生させる唯一の経路は非常に発
熱的なメタン形成によるものと思われる。その高い温度
は特に意外なものである。なぜなら、改質は一般に吸熱
的性質を持ち、実際に反応器装置を冷却する傾向を持つ
からである。それらの高温は充分絶縁されたコークスボ
ール内部で、内部触媒鉄粉末部位に水素が拡散し、そこ
でそれらがコークス及び水素からのメタン形成に触媒作
用を及ぼすことにより発生する。
【0147】この実験では、微小パイロットプラントで
メタン形成を研究するために鋼ウールを用いた。1/4in
のステンレス鋼管に、0.14gの鋼ウールを充填し、1175゜
Fの管中に入れた。ヘキサンと水素をその鉄の上に送
り、出てきた流れを供給物及び生成物について分析し
た。鋼ウールはヘキサンを導入する前に24時間水素中で
予め処理した。次にヘキサンを反応器中に25μl/分の
流量で導入し、水素の流量を約25cc/分とした。
【0148】最初はメタンの形成は低くかったが、実験
が進むにつれて上昇し続け、最後に4.5%に到達した。
次に2ccのヘキサンにテトラブチル錫0.1ccを溶解した
ものを鉄の前の純粋供給物流中に注入した。メタン形成
は約1%に減少し、次の3時間で1%に留まり続けた。
データーを下の表に要約する。
【0149】表時間 CH4 エタン プロパン ヘキサン 19.2 0.0 0.5 0.3 98.6 20.7 1.06 2.08 1.74 93.4 21.2 2.62 4.55 3.92 85.3 21.5 3.43 4.23 3.83 84.6 21.9 4.45 4.50 4.32 82.0 22 添加テトラブチル錫 22.6 1.16 3.81 4.12 86.2 23.0 1.16 3.96 4.24 85.9 23.3 1.0 4.56 3.77 87.5 24.3 0.97 3.60 3.76 87.6 25.3 1.0 4.47 3.57 88.0
【0150】上記結果から、鋼ウールに錫を添加すると
メタン形成の促進が止まり、それを生成物中許容出来る
水準まで低下することが分かる。
【0151】実施例6 予めテトラブチル錫を被覆した鋼ウールを用いて更に別
の試験を行なった。特に、実施例5の場合のように、2
ccのヘキサンに0.1ccのテトラブチル錫を溶解したもの
を、0.15gの鋼ウールの入った1/4inのステンレス鋼管中
に3回注入した。溶液は900゜Fの水素流中に入れて鋼ウ
ールの上へ運んだ。
【0152】次に炭化水素供給物を25μl/分の炭化水
素流量で1175゜Fで導入し、水素の流量は約25cc/分に
した。出てくるガスをメタンについて分析し、24時間1
%より低く留まっていた。次に反応器を停止し、反応器
管を切り開き、検査した。鋼ウールには非常に僅かな炭
素化が起きていた。
【0153】これとは対照的にテトラブチル錫による前
処理を行わない対照実験を行なった。それは上に記載し
たのと同じ条件下で1日間行なった。24時間後、管出口
で検出された水素又は供給物はなかった。導入圧力は最
初の50 lbから300 lbに上昇した。反応器管を切り開い
て検査すると、コークスが完全に管に詰まっていたこと
が判明した。従って、有機錫化合物は改質条件下で鋼ウ
ールの炭素化を防ぐことができることが分かる。
【0154】実施例7 金メッキした反応器管中に錫を蒸着被覆したステンレス
鋼ワイヤーに対する炭素化条件の影響を調べるため、実
施例1の対照実験と同様な実験を更に行なった。その対
照実験との唯一の相違点は、100ml/分の一層大きな水
素流量を用いたことである。
【0155】実験は8時間行われたが閉塞又は過度のメ
タン形成は起きなかった。管を開いて分析すると、閉塞
又は炭素の帯は観察されなかった。1本のワイヤーにた
だ一つの黒色の炭素の筋が見られただけである。これは
恐らく不適切な被覆によるものである。
【0156】この実験は、錫が硫黄と同様なやり方でス
テンレス鋼を炭素から保護することができることを示し
ている。しかし、硫黄とは違ってそれは供給物中に連続
的に注入する必要はない。硫黄は、鋼上に硫化物表面を
維持するのに充分な量で系中に硫化水素の分圧を維持す
るため、供給物中に連続的に注入しなければならない。
供給原料から硫黄を除去すると、硫黄が反応器装置から
追い出された後、炭素化の開始が起きる。これは通常硫
黄停止後10時間以内に起きる。
【0157】本発明を好ましい態様に関して上で記述し
てきたが、当業者には認められるように、種々の変更及
び修正を行うことができることは理解されるべきであ
る。例えば、反応器装置中の鋼の部分をニオブ、ジルコ
ニウム、シリカ、セラミック、タングステン或はクロム
(クロム化)によって被覆することができるが、これら
の技術は極めて実施或は使用しにくく、高価になり過ぎ
て利用できないであろう。或は、炭化水素を反応温度へ
加熱するために使用する熱交換器をできるだけ少なくす
ることができる。熱は過熱した水素によって与えること
もできる。或は加熱表面の炭化水素への露出を一層大き
な管直径及び一層大きな管速度を用いることにより減少
させることができる。従って、上記好ましい態様に対す
る多くの変更或は修正があり、それらは当業者によって
容易に分かることであり、次の請求の範囲によって規定
された本発明の範囲内に入るものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1A】約19年間使用した商業的改質器からの軟鋼炉
管の内部(処理側)の一部分の顕微鏡写真である。
【図1B】低硫黄/低含水試験プラントの反応器内部に
13週間だけ入れた軟鋼試料片の一部の顕微鏡写真であ
る。
【図2】本発明で使用するのに適した改質反応器装置の
概略図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月30日(2001.1.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1A】
【図1B】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ムラスキー,バーナード エフ. アメリカ合衆国94930 カリフォルニア州 フェアーファックス,シャーマン コート 18 (72)発明者 イネス,ロバート エイ. アメリカ合衆国94901 カリフォルニア州 サン ラファエル,シャノン レーン 15 (72)発明者 ハゲヴィースチ,ダニエル ピー. アメリカ合衆国94109 カリフォルニア州 サン フランシスコ,リーブワース スト リート 1610,アパートメント 1 (72)発明者 ハブレッド,ゲイル エル. アメリカ合衆国92621 カリフォルニア州 ブレア,ストーンクレスト サークル 1324 (72)発明者 ムーア,スチーブン シー. アメリカ合衆国94606 カリフォルニア州 オークランド,レイクショアー アベニュ ー 1800,アパートメント 1 (72)発明者 ブライアン,ポール エフ. アメリカ合衆国94547 カリフォルニア州 ハーキュレス,ナンバー 6,アポロ コ ート 209 (72)発明者 ハイス,ロバート エル. アメリカ合衆国94533 カルフォルニア州 フェアーフィールド,セゴビア ドライブ 38 (72)発明者 トランブル,スチーブン イー. アメリカ合衆国94577 カルフォルニア州 サン リーンドロ,ブリード アベニュー 398

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低硫黄条件下での炭化水素の接触改質用
    の接触改質反応器装置であって、下記の:複数の炉管を
    有する炉;硫黄−感受性の触媒を含有する触媒床を有す
    る改質反応器;及び炭化水素を含有する低硫黄流と接触
    し、改善された炭素化抵抗性を有する、接触改質反応器
    装置の一部;を含有する、接触改質反応器装置。
  2. 【請求項2】 硫黄−感受性ゼオライト改質触媒がL型
    ゼオライト触媒である、請求項1に記載の接触改質反応
    器装置。
  3. 【請求項3】 接触改質反応器装置の一部が、複数の炉
    管の少なくとも1つである、請求項1に記載の接触改質
    反応器装置。
  4. 【請求項4】 接触改質反応器装置の一部が、接触改質
    反応器装置の壁の一部である、請求項1に記載の接触改
    質反応器装置。
  5. 【請求項5】 低硫黄流が100ppbの未満の硫黄を
    有する、請求項1に記載の接触改質反応器装置。
  6. 【請求項6】 低硫黄流が50ppbの未満の硫黄を有
    する、請求項1に記載の接触改質反応器装置。
  7. 【請求項7】 硫黄−感受性触媒が、アルカリ又はアル
    カリ土類金属及び第VIII族金属の少なくとも1種を
    含む大気孔ゼオライトである、請求項1に記載の接触改
    質反応器装置。
  8. 【請求項8】 第VIII族金属が白金を含む、請求項
    7に記載の接触改質反応器装置。
  9. 【請求項9】 炭素化に対する改善された抵抗性が、改
    質反応器の一部の上へのクラッド、被覆又はペイントに
    よってもたらされるものである、請求項1に記載の接触
    改質反応器装置。
  10. 【請求項10】 ペイントが、還元条件下で加熱され
    た、還元可能なペイントを含有する、請求項9に記載の
    接触改質反応器装置。
  11. 【請求項11】 ペイントが、錫含有ペイントを含有す
    る、請求項10に記載の接触改質反応器装置。
  12. 【請求項12】 錫含有ペイントが、さらに、水素分解
    性の錫化合物、溶媒系、微粉砕された錫金属、及び酸化
    錫を含有する、請求項11に記載の接触改質反応器装
    置。
  13. 【請求項13】 被覆が、銅、錫、金属間錫化合物、錫
    合金、ヒ素、アンチモン、真鍮、鉛、ビスマス、クロ
    ム、それらの金属間化合物、それらの合金、銅−錫合
    金、銅−アンチモン合金、及びそれらの混合物からなる
    群から選択されるものである、請求項9に記載の接触改
    質反応器装置。
  14. 【請求項14】 被覆が、アルミニウム、アルミナ、ク
    ロム、酸化クロム、アルミ化材料、クロム化材料及びそ
    れらの混合物からなる群から選択されるものである、請
    求項9に記載の接触改質反応器装置。
  15. 【請求項15】 被覆が、セラミック被覆を含む、請求
    項9に記載の接触改質反応器装置。
  16. 【請求項16】 被覆が、シリカ被覆を含む、請求項9
    に記載の接触改質反応器装置。
  17. 【請求項17】 接触改質反応器装置の一部が、炭素化
    に対して改善された抵抗性を与える金属錫化物を含有す
    る保護層を含む、請求項1に記載の接触改質反応器装
    置。
  18. 【請求項18】 接触改質反応器装置の一部が、炭素化
    と金属顆粒化に対する抵抗性を与える材料から構成され
    ている、請求項1に記載の接触改質反応器装置。
  19. 【請求項19】 材料が、347ステンレス鋼又は低硫
    黄改質条件下において347ステンレス綱以上の炭素化
    と金属顆粒化に対する抵抗性を有するものである、請求
    項18に記載の接触改質反応器装置。
  20. 【請求項20】 接触改質反応器装置が、現存の接触改
    質反応器装置である、請求項1に記載の接触改質反応器
    装置。
  21. 【請求項21】 接触改質反応器装置が、新規な接触改
    質反応器装置である、請求項1に記載の接触改質反応器
    装置。
  22. 【請求項22】 接触改質反応器装置の一部が、炭素化
    と金属顆粒化に対する改善された抵抗性を与える前に、
    酸化された鋼である、請求項1に記載の接触改質反応器
    装置。
JP2001000112A 1991-03-08 2001-01-04 低硫黄改質法 Withdrawn JP2001220586A (ja)

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US80321591A 1991-12-06 1991-12-06
US80306391A 1991-12-06 1991-12-06
US803,063 1991-12-06
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