JP2001220236A - ダイヤモンド変換用炭素粒及びダイヤモンドの変換方法並びにそれにより得られるダイヤモンド - Google Patents

ダイヤモンド変換用炭素粒及びダイヤモンドの変換方法並びにそれにより得られるダイヤモンド

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JP2001220236A JP2000034458A JP2000034458A JP2001220236A JP 2001220236 A JP2001220236 A JP 2001220236A JP 2000034458 A JP2000034458 A JP 2000034458A JP 2000034458 A JP2000034458 A JP 2000034458A JP 2001220236 A JP2001220236 A JP 2001220236A
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芳夫 五十嵐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンド変換のための要素を少なくで
き、効率の良いダイヤモンドの変換と密集結化の工程を
更に簡略化できる、ダイヤモンド変換用炭素粒及びダイ
ヤモンドの変換方法並びにそれによりダイヤモンドを得
る。 【解決手段】 グラファイト構造炭素と、このグラファ
イト構造炭素基地内の触媒金属と、硫化物、酸化物、酸
硫化物、窒化物、または炭窒化物の何れか1以上を含む
ダイヤモンド類似炭素と、からなるダイヤモンド変換用
炭素粒を用い、この炭素粒を高温高圧処理してダイヤモ
ンドとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンド変換
用炭素粒及びダイヤモンドの変換方法並びにそれにより
得られるダイヤモンドに関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは炭素の同素体で、炭素原
子が共有結合した正四面体を基本としており、その強固
な共有結合により現存の物質中最大の硬度を有し、また
純粋なものは常温において銅の約5倍の熱伝導率を持
ち、電気抵抗率は10〜16Ω・cm以上の絶縁体であ
る。現在、ダイヤモンドの硬度を生かして、例えば超精
密加工用のバイトの刃先、伸線ダイス、土木用のビッ
ト、ドレッサー、電子顕微鏡で観察する細胞や金属素材
を薄切りするためのナイフや手術用のメスなどに、また
ダイヤモンドの熱伝導率や電気抵抗率を生かして、例え
ば半導体の放熱板など、種々の分野で使用されている。
しかし、天然のダイヤモンドは非常に高価である。この
ため工業的にダイヤモンドを変換する方法が各方面で開
発されている。
【0003】従来、工業的に多結晶ダイヤモンド焼結体
を得る方法としては、超高温高圧下で黒鉛による直接変
換法と、超高温高圧下で溶融金属溶媒と触媒を用い黒鉛
から多結晶ダイヤモンドを得る溶媒−触媒法がある。直
接転換法は、11GPa、3300Kという過酷な条件
が必要であり、現在工業的には用いられていない。一
方、溶媒−触媒法は、黒鉛と、ニッケル、コバルト、
鉄、マンガンなどの溶媒−触媒から融体を生成させ、溶
媒−触媒作用を呈する温度が熱力学的にダイヤモンドが
安定するように加圧、加熱処理を行いダイヤモンドを得
る方法である。溶媒−触媒法は、直接転換法に比べて比
較的低い条件下でダイヤモンド合成が可能であり、現在
工業的に用いられている。
【0004】この溶媒−触媒法については、日刊工業新
聞社(平成6年8月20日)発行の「モノづくり解体新
書 六の巻」第98〜99頁に「人工ダイヤモンド」と
題して紹介されている。以下、工業的にダイヤモンド変
換したものを、単に「ダイヤモンド」という。
【0005】ダイヤモンドは、単結晶製品、焼結体製
品、気相合成ダイヤモンド製品の3つに大別される。こ
のうち単結晶製品は、天然ダイヤモンドの生成過程と同
じような高温・高圧の環境を人工的に作り出し、炭素を
結晶化させたものである。この単結晶ダイヤモンドの合
成方法を、前述した「モノづくり解体新書 六の巻」第
98〜99頁から引用して、図7の模式図に基づき説明
する。図7で、カプセル16の中に粉末の原料炭素1
2、その下部に鉄合金などの溶媒金属13を積層状態に
配置し、カプセル16の底部に人工ダイヤモンドの小さ
な結晶核15を入れた後、カプセル16の空気を抜く。
そして、リング形の超硬合金製ダイ17にカプセル16
をはめ込み、ヒータ18で加熱しながら超硬合金製ダイ
19a、19bで上下からプレスする。このとき、カプ
セル16にかかる圧力は5GPa、温度は2000K以
上である。そして、この状態のまま数日間維持される。
【0006】この数日の間に、カプセル16の中では、
ヒータ18からの高温で溶媒金属13は溶融し、原料炭
素12はこの溶融した溶媒金属13の中に溶け込む。こ
のとき、ヒータ18を制御して、カプセル16の下部が
低温側となるように、カプセル16の上部と下部の間に
20〜50K温度差を与えると、低温側の下部に置かれ
た結晶核15で、溶融金属に溶け出した原料炭素12が
結晶化し成長していく。そして、結晶化が終わったダイ
ヤモンドは冷却され、固体化した溶媒金属に包まれた状
態で取り出される。そして、酸により周りの金属を溶か
して結晶だけを抜き取ると、黄色のダイヤモンドの原石
が得られる。ダイヤモンドの原石は、レーザ光の約20
00Kの熱で用途ごとの形状に切断し、必要に応じてダ
イヤモンド砥石で研磨してダイヤモンドとなる。
【0007】上記、溶媒−触媒法によるダイヤモンド変
換方法に関して、特公平2−32229号公報には、高
純度黒鉛または高純度黒鉛とダイヤモンドに、第1の金
属としてFe、Co、Ni、Mnから選ばれた少なくと
も1種以上の金属及び第2の金属としてY、Ti、Z
r、Hf、Ta、Nb、V、Wの中から選ばれた少なく
とも1種以上の炭化物を混合し、この混合物を予備処理
した後、圧力6GPa以上、温度1873〜2073K
の高温高圧処理することで、溶媒−触媒法でのダイヤモ
ンドへの転換率が良好で密度及び硬度の高い多結晶ダイ
ヤモンドとする記載がある。
【0008】また、特開昭63−7832号公報には、
炭素質物質をダイヤモンドに変換する方法において、反
応室内に炭素質物質と金属触媒とを接触させ高温高圧の
反応条件下に置き、金属触媒は鉄系基地内に遊離黒鉛が
球状に析出しているダクタイル鋳鉄またはニレジスト鋳
鉄を削成して板状に形成し、炭素質物質のダイヤモンド
への変換が進行するにつれて生じる容積変化に追随して
反応室の容量が変動できる可撓性を具えることにより、
炭素質物質を出発原料として強固緻密なダイヤモンド密
集結体を直接得ると共にダイヤモンドの変換と密集結化
とを1工程へと工程の簡略化を図るダイヤモンドの変換
方法の記載がある。
【0009】また、この特開昭63−7832号公報に
は、高温高圧のダイヤモンド合成条件に達したとき、触
媒表面の遊離黒鉛周辺の鉄が優先的に反応して黒鉛周辺
に低融点の液相を生じ、この液相に原料の黒鉛が入り、
融点は高温化しつつ炭素分が過飽和状態に達するとまず
この部分がダイヤモンドに変換、即ち遊離した球状黒鉛
がダイヤモンド核として優先的に変換し、球状黒鉛周辺
の鉄は原料黒鉛の方へ溶出し、この溶出した鉄に包まれ
た原料黒鉛が先に生じたダイヤモンド核の延長上に成長
し、膜状の鉄は次々と原料黒鉛の内部へ進んでいってダ
イヤモンド結晶を一方向[100]に成長させる記載が
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特公平2−32229
号公報に記載のダイヤモンド変換方法では、高純度黒
鉛、ダイヤモンド、第1の金属、第2の金属などダイヤ
モンド変換に多くの要素を必要とするので、製造工程が
多くなりまた製造コストが上昇する。
【0011】特開昭63−7832号公報は、上述した
特公平2−32229号公報などに記載のダイヤモンド
変換方法を改善して、炭素質物質を出発原料としてダイ
ヤモンドの変換と密集結化とを1工程へと工程の簡略化
を図ろうとするものであるが、炭素質物質と金属触媒を
必要として、まだまだダイヤモンド変換のための要素が
多い。ところで、特開昭63−7832号公報には、鉄
系基地内に遊離黒鉛が球状に析出したダクタイル鋳鉄ま
たはニレジスト鋳鉄を削成して薄板状にしたものを金属
溶媒としているが、球状黒鉛そのものをダイヤモンド変
換要素とする開示または示唆は見当たらない。
【0012】本発明の課題は、ダイヤモンド変換のため
の要素を少なくでき、ダイヤモンドの変換と密集結化の
工程を更に簡略化できる、ダイヤモンド変換用炭素粒及
びダイヤモンドの変換方法並びにそれによりダイヤモン
ドを得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋳鉄溶湯に
黒鉛球状化処理を行って鋳造、凝固させて球状黒鉛鋳鉄
とし、この球状黒鉛鋳鉄の金属部分を酸で溶解・浮遊分
離させて球状の炭素粒を抽出し、この炭素粒の内部を発
現させ走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で詳細に考
察した。その結果、この炭素粒には、ダイヤモンド原料
となるグラファイト構造炭素と、このグラファイト構造
炭素の基地中にFe、Niなどの触媒金属と、またグラ
ファイト構造炭素の中心部に硬質のダイヤモンド類似炭
素と硫化物、酸化物など核とできるものが存在している
ことを突き止め、この炭素粒をダイヤモンド変換の要素
にできるのでは、との知見を得て本発明に想到した。
【0014】即ち本発明のダイヤモンド変換用炭素粒
は、グラファイト構造炭素、触媒金属、ダイヤモンド類
似炭素の何れか1以上を含むことを特徴とする。また、
本発明のダイヤモンド変換用炭素粒は、グラファイト構
造炭素と、このグラファイト構造炭素基地内の触媒金属
と、硫化物、酸化物、酸硫化物、窒化物、または炭窒化
物の何れか1以上の何れか1以上を含むダイヤモンド類
似炭素と、からなることを特徴とする。
【0015】そして、前記触媒金属が、鉄、ニッケルの
1以上からなることを特徴とする。また、前記硫化物
が、マグネシウム、カルシウム、希土類元素、またはイ
ットリウムの何れか1以上の元素の硫化物であることを
特徴とする。また、前記酸化物が、マグネシウム、カル
シウム、希土類元素、またはイットリウムの何れか1以
上の元素の酸化物であることを特徴とする。また、前記
酸硫化物が、希土類元素、またはイットリウムの何れか
1以上の元素の酸硫化物であることを特徴とする。ま
た、前記窒化物が、希土類元素、またはチタンの窒化物
の何れか1以上の元素の窒化物であることを特徴とす
る。また、前記炭窒化物が、希土類元素、イットリウ
ム、またはチタンの何れか1以上の元素の炭窒化物であ
ることを特徴とする。そして、上記ダイヤモンド変換用
炭素粒が球状黒鉛鋳鉄より得られることを特徴とする。
【0016】また本発明のダイヤモンドの変換方法は、
上記のダイヤモンド変換用炭素粒を用い、高温、高圧処
理することを特徴とする。
【0017】また本発明のダイヤモンドは、上記のダイ
ヤモンド変換用炭素粒を用い、高温、高圧処理して得ら
れることを特徴とする。
【0018】次に、グラファイト構造炭素、触媒金属、
ダイヤモンド類似炭素の何れか1以上を含むダイヤモン
ド変換用炭素粒(以下、「ダイヤモンド変換用炭素粒」
を略して単に「炭素粒」という)を得る方法について説
明する。 (1)球状黒鉛鋳鉄材の作製 後述する黒鉛球状化処理剤を用いて、良好に球状化した
炭素粒を多量に得るために、凝固後の化学組成が(JI
S)FCD400、FCD500などの球状黒鉛鋳鉄溶
湯、またはNiを含有する(JIS)FCDA−NiS
iCr 305 2などのオーステナイト鋳鉄溶湯を溶
製する。この溶湯には、ダイヤモンド変換時の触媒金属
としてFe、Niなどを含有している。次に、上記溶湯
に、Mg系球状化剤(純Mg系、Ni−Mg系、Fe−
Si−Mg系等)、Ca系球状化剤(Ca−Si系、希
土類元素−Ca−Si系等)、希土類元素酸化物、ミッ
シュメタル、あるいはCe強化メタル等を、置注ぎ法、
表面添加法、プランジャー法、またはサンドイッチ法等
を用いて、黒鉛球状化処理を行う。次に、黒鉛球状化処
理を行った前記溶湯を、適当な大きさのキャビティを持
つ鋳型に鋳造、凝固させて、(JIS)FCD400、
FCD500などの球状黒鉛鋳鉄、または(JIS)F
CDA−NiSiCr 30 5 2などのNiを含有
する球状黒鉛鋳鉄系ニレジスト鋳鉄とする。これらの球
状黒鉛鋳鉄を、酸溶液あるいは王水を入れた容器内に浸
漬して、球状黒鉛鋳鉄の金属部分を溶かす。溶かした金
属部分を溶液中に懸濁させ、炭素粒を沈下させてこれの
みを抽出する。
【0019】(2)炭素粒の抽出 (2−1)グラファイト構造炭素 図1は、抽出した炭素粒の内部構造の断面模式図であ
る。図1で、炭素粒1は直径が略40〜80μmで、グ
ラファイト構造炭素2、触媒金属3、硬質なダイヤモン
ド類似炭素4を含んでいる。そして、グラファイト構造
炭素2はダイヤモンド変換の原料の一つとなる。
【0020】(2−2)触媒金属 図1で、グラファイト構造炭素2の基地境界には球状黒
鉛鋳鉄の種類により、Fe、Niが濃度を異ならせて現
れ、このFe、Niはダイヤモンドに変換するうえで触
媒金属3となる。
【0021】(2−3)ダイヤモンド類似炭素 図1で、グラファイト構造炭素2の中心部は、硫化物、
酸化物、酸硫化物、窒化物、または炭窒化物の何れか1
以上、または更に中心部に酸化物4を有する硬質のダイ
ヤモンド類似炭素5である。このダイヤモンド類似炭素
5をダイヤモンド変換において核として作用させる。こ
のダイヤモンド類似炭素5は、(a)マグネシウム、カ
ルシウム、希土類元素、またはイットリウムの何れか1
以上の元素の硫化物、または(b)マグネシウム、カル
シウム、希土類元素、またはイットリウムの何れか1以
上の元素の酸化物、(c)希土類元素、またはイットリ
ウムの何れか1以上の元素の酸硫化物、(d)希土類元
素、またはチタンの何れか1以上の元素の窒化物、
(e)希土類元素、イットリウム、またはチタンの何れ
か1以上の元素の炭窒化物での、(a)〜(e)の1以
上を含んでいる。このダイヤモンド類似炭素5は、前述
したMg系球状化剤、Ca系球状化剤、希土類元素酸化
物、ミッシュメタル、あるいはCe強化メタル等によっ
て、硫化物、酸化物、酸硫化物、窒化物、または炭窒化
物の何れか1以上を含み、ダイヤモンド変換においては
何れも核として同様な働きをする。 (3)ダイヤモンド変換 ダイヤモンド変換は、前述の日刊工業新聞社(平成6年
8月20日)発行「モノづくり解体新書 六の巻」第9
8〜99頁に「人工ダイヤモンド」の製造方法と同様に
行うことができる。高温高圧装置(図示せず)のカプセ
ル内に図1の炭素粒1を多数入れ、高温高圧を付与して
数日間維持する。すると、炭素粒1中の触媒金属3が溶
融し、グラファイト構造炭素2が触媒金属3に溶け込
む。そして、触媒金属3に溶け出したグラファイト構造
炭素2が、核となるダイヤモンド類似炭素5を中心とし
て結晶化して成長する。結晶化及び成長が終わったもの
を冷却して、触媒金属を含む焼結体を取り出す。酸によ
り、焼結体の周りの金属を溶かし、約2000Kの熱で
用途ごとの形状に切断し、必要に応じてダイヤモンド砥
石加工してダイヤモンドとする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を詳細に
説明する。 (1)球状黒鉛鋳鉄材の作製 (JIS)FCD400相当の球状黒鉛鋳鉄溶湯を溶製
した。次に、この溶湯に、Fe−Si−Mg系球状化剤
を用い置注ぎ法により黒鉛球状化処理を行った。そし
て、黒鉛球状化処理を行った溶湯を25mm立方のキャ
ビティを持つ鋳型に鋳造、凝固させ、(JIS)FCD
400相当の球状黒鉛鋳鉄とした。 (2)炭素粒の抽出 この球状黒鉛鋳鉄を、2.5mm厚さに切断して、酸
(10〜20%HNO3+エチルアルコール)を入れた
容器内に浸漬して球状黒鉛鋳鉄の金属部分を溶かした。
そして、溶かした金属部分を溶液中に懸濁して炭素粒を
沈下させ、これのみを抽出した。この2.5mm厚さの
小片からは、炭素粒を200個/mm2 得ることができ
た。図2は、抽出した炭素粒の外観を示す走査型電子顕
微鏡写真であり、(a)は多数の炭素粒1、(b)は1
個の炭素粒1である。なお、大きさを、各々の写真右下
に示す。図2に示すように、炭素粒1はちょうどキャベ
ツの葉が覆い被さった様相を呈している。次に、崩れや
すい炭素粒1を真空中でアルゴンイオンを照射しながら
削って黒鉛粒の内部構造を発現させ、走査型電子顕微鏡
で観察した。図3は、炭素粒の内部構造を示す走査型電
子顕微鏡写真であり、(a)は炭素粒1の斜視図、
(b)は(a)でのダイヤモンド類似炭素5付近を拡大
して示す。
【0023】一方、透過型電子顕微鏡に装着された電子
線エネルギー分析装置を用い、電子線エネルギー損失ス
ペクトルにより、炭素粒1の原子構造を調査した。その
結果を図4に示す。
【0024】(2−1)グラファイト構造炭素 図4において、符号2は、図3で黒色に見えるグラファ
イト構造炭素2の電子線エネルギー損失スペクトルであ
る。グラファイト構造炭素2の電子線エネルギー損失ス
ペクトルは、π(パイ)電子構造あるいはSP2結合構
造であり、通常の黒鉛であることを示していた。このグ
ラファイト構造炭素2は、ダイヤモンド変換の原料の一
つとなる。 (2−2)触媒金属 図3で、グラファイト構造炭素2の皺の部位には、Fe
及びNiが存在していた。このFe及びNiはダイヤモ
ンド変換での触媒金属3となる。
【0025】(2−3)ダイヤモンド類似炭素 図3で、グラファイト構造炭素2の中心部の白く光輝し
ている部分は、硫化物、酸化物、酸硫化物、窒化物、ま
たは炭窒化物の何れか1以上、または更に中心部に酸化
物4を含む硬質のダイヤモンド類似炭素5である。図3
での酸化物5はMgOであり、Mg系球状化処理剤のM
g成分と球状黒鉛鋳鉄溶湯中に含まれている酸素や硫黄
が結合してMgOやMgSを形成していた。また、図4
において、符号5は、図3で白く光輝しているダイヤモ
ンド類似炭素5の電子線エネルギー損失スペクトルであ
る。ダイヤモンド類似炭素5の電子線エネルギー損失ス
ペクトルは、σ(シグマ)電子構造あるいはSP3結合
構造であり、ダイヤモンド構造であることを示してい
た。
【0026】ダイヤモンド類似炭素5は、前述した球状
黒鉛鋳鉄組成溶湯への、Mg系球状化剤、Ca系球状化
剤、希土類元素酸化物、ミッシュメタル、あるいはCe
強化メタル等の添加の違いによって、(a)マグネシウ
ム、カルシウム、希土類元素、またはイットリウムの何
れか1以上の元素の硫化物、または(b)マグネシウ
ム、カルシウム、希土類元素、またはイットリウムの何
れか1以上の元素の酸化物、(c)希土類元素、または
イットリウムの何れか1以上の元素の酸硫化物、(d)
希土類元素、またはチタンの何れか1以上の元素の窒化
物、または(e)希土類元素、イットリウム、またはチ
タンの何れか1以上の元素の炭窒化物炭窒化物の、
(a)〜(e)の1以上を含んでいるが、ダイヤモンド
変換においては何れも核として同様な働きをする。
【0027】(3)ダイヤモンド変換 本発明の炭素粒1を用いて、例えば図5の高温高圧装置
によりダイヤモンド変換を行うことが可能である。即
ち、図5の高温高圧装置のカプセル6内に炭素粒1を多
数入れた後、カプセル6の空気を抜く。そして、リング
形の超硬合金製ダイ7にカプセル6をはめ込み、ヒータ
8で加熱しながら超硬合金製ダイ9a、9bで上下から
プレスする。このとき、カプセル6にかかる圧力を5G
Pa以上、温度は2000K以上とする。そして、この
状態のまま数日間維持する。
【0028】そして、カプセル6の中で、ヒータ7によ
る高温で炭素粒1中の触媒金属3を溶融させて溶融金属
プールを形成させ、この溶融金属プールに周囲のグラフ
ァイト構造炭素2を溶け込ませる。そして、溶融金属プ
ールに溶け出したグラファイト構造炭素2を、核となる
ダイヤモンド類似炭素5を中心として結晶化させ成長さ
せる。結晶化及び成長が終わったものを冷却すると、図
6の模式図に示すように触媒金属を含んだ焼結体10が
取り出される。そして、酸により焼結体10の周りの金
属を溶かし、ワイヤ放電加工などで約2000Kの熱で
用途ごとの形状に切断し、必要に応じてダイヤモンド砥
石で研磨することで、ダイヤモンドとする。
【0029】
【発明の効果】以上説明のとおり、本発明のダイヤモン
ド変換用炭素粒及びダイヤモンドの変換方法並びにそれ
により得られるダイヤモンドは、ダイヤモンド変換のた
めの要素を少なくでき、ダイヤモンドの変換と密集結化
の工程を更に簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抽出したダイヤモンド変換用炭素粒の内部構造
の断面模式図である。
【図2】抽出したダイヤモンド変換用炭素粒の外観を示
す走査型電子顕微鏡写真であり、(a)は多数のダイヤ
モンド変換用炭素粒、(b)は1個のダイヤモンド変換
用炭素粒である。
【図3】ダイヤモンド変換用炭素粒の内部構造を示す、
(a)はダイヤモンド変換用炭素粒の斜視図、(b)は
(a)でのダイヤモンド類似炭素付近を拡大して示す走
査型電子顕微鏡写真である。
【図4】ダイヤモンド変換用炭素粒の電子線エネルギー
損失スペクトル図である。
【図5】ダイヤモンド変換のための高温高圧装置の断面
模式図である。
【図6】触媒金属を含んだダイヤモンド焼結体の模式図
である。
【図7】従来技術のダイヤモンド変換での高温高圧装置
の断面模式図である。
【符号の説明】
1 ダイヤモンド変換用炭素粒 2 グラファイト構造炭素 3 触媒金属 4 酸化物 5 ダイヤモンド類似炭素 6,16 カプセル 7,17 リング形の超硬合金製ダイ 8,18 ヒータ 9a,9b,19a,19b 超硬合金製ダイ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 31/02 101 C01B 31/02 101B

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラファイト構造炭素、触媒金属、ダイ
    ヤモンド類似炭素の何れか1以上を含むことを特徴とす
    るダイヤモンド変換用炭素粒。
  2. 【請求項2】 グラファイト構造炭素と、このグラファ
    イト構造炭素基地内の触媒金属と、硫化物、酸化物、酸
    硫化物、窒化物、または炭窒化物の何れか1以上を含む
    ダイヤモンド類似炭素と、からなることを特徴とするダ
    イヤモンド変換用炭素粒。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の触媒金
    属が、鉄、ニッケルの1以上を含むことを特徴とするダ
    イヤモンド変換用炭素粒。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の硫化物が、マグネシウ
    ム、カルシウム、希土類元素、またはイットリウムの何
    れか1以上の元素の硫化物であることを特徴とするダイ
    ヤモンド変換用炭素粒。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の酸化物が、マグネシウ
    ム、カルシウム、希土類元素、またはイットリウムの何
    れか1以上の元素の酸化物であることを特徴とするダイ
    ヤモンド変換用炭素粒。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の酸硫化物が、希土類元
    素、またはイットリウムの何れか1以上の元素の酸硫化
    物であることを特徴とするダイヤモンド変換用炭素粒。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の窒化物が、希土類元
    素、またはチタンの窒化物の何れか1以上の元素の窒化
    物であることを特徴とするダイヤモンド変換用炭素粒。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の炭窒化物が、希土類元
    素、イットリウム、またはチタンの1以上の元素の炭窒
    化物であることを特徴とするダイヤモンド変換用炭素
    粒。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項8何れか1項に記載
    のダイヤモンド変換用炭素粒が、球状黒鉛鋳鉄より得ら
    れることを特徴とするダイヤモンド変換用炭素粒。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9の何れか1項に
    記載のダイヤモンド変換用炭素粒を用い、高温、高圧処
    理することを特徴とする。
  11. 【請求項11】 請求項乃至請求項9の何れか1項に記
    載の上記のダイヤモンド変換用炭素粒を用い、高温、高
    圧処理して得られることを特徴とするダイヤモンド。
JP2000034458A 2000-02-14 2000-02-14 ダイヤモンド変換用炭素粒及びダイヤモンドの変換方法並びにそれにより得られるダイヤモンド Pending JP2001220236A (ja)

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