JP2001220216A - ハイブリッド型炭化物及びその製造方法 - Google Patents

ハイブリッド型炭化物及びその製造方法

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JP2001220216A
JP2001220216A JP2000035020A JP2000035020A JP2001220216A JP 2001220216 A JP2001220216 A JP 2001220216A JP 2000035020 A JP2000035020 A JP 2000035020A JP 2000035020 A JP2000035020 A JP 2000035020A JP 2001220216 A JP2001220216 A JP 2001220216A
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Kunii Nakada
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Nakata Giken KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質で所望の形態に生成できると共に、機能
性に富み軽量で好適なハイブリッド型炭化物を提供する
こと。 【解決手段】 可燃物或いは可燃物を含む物を出発原料
とし、該出発原料に無機質粘結材を混合して水分と共に
混練することで、前記無機質粘結材が水を媒体として分
散され、そして所定の形態に成型された後、焼成されて
成るハイブリッド型炭化物において、前記出発原料に、
前記無機質粘結材と共に水溶性無機物を混合して水分と
共に混練することで、前記無機質粘結材及び前記水溶性
無機物が水を媒体として分散されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド型炭化
物及びその製造方法に関する。本発明については、以下
のような技術的背景がある。炭化物の代表的存在である
炭は、古くから多くの用途があり、例えば、燃料、吸着
剤、吸湿剤、熱吸収材、遠赤外線発生材、土壌改良材、
有機物の堆肥化促進剤及び水の浄化材料として利用され
ている。なお、炭(炭化物)が水の浄化材料として有効
なのは、微生物の住処(居住空間)として、好適な多孔
質を有するためである。(なお、本発明にかかる炭化物
とは、炭素成分以外をほとんど含まない通常の炭、及び
不燃物を含み可燃物については炭化された物、すなわ
ち、少なくとも炭成分を有する物体の総称である。)こ
のように、炭は、多くの利用価値があるため、その潜在
的な需要はあった。しかし、従来、炭焼きのコスト、森
林伐採による自然破壊、或いは取扱性等の問題から、大
量に使用されることはなかった。
【0002】
【従来の技術】従来の炭焼きのように有機可燃物を炭化
する際には、閉塞性のある燃焼空間内に有機可燃物をプ
ールし、ガス成分を燃焼させている。この方法は、いわ
ば閉塞式の炭化炉であり、炭化炉内への酸素の供給量を
抑制することで、炭化した可燃物がさらに酸化して灰に
ならないようにする。また、閉塞式のため、炭化炉内の
温度を高温に維持でき、木材の芯等にかかる有機可燃物
の内部からもガス成分を好適に抜き出して燃焼させ、そ
の可燃物を炭化させることができる。
【0003】しかし、従来の閉塞式の炭化炉による方法
では、木材等の大型の可燃物から炭を作る際には有効で
あるが、粒状の可燃物では完全に燃え尽きて灰となって
しまう。このため、オガ屑等の粒状の廃棄物(可燃物)
を原料とすることができなかった。また、可燃物を炭化
炉内に一旦プールするため生産効率が悪く、コストを低
減することができなかった。従って、従来の方法は、大
量の炭化物を工業的に生産することには適さなかった。
また、可燃物をプールしてガス成分を燃焼させることか
ら、炭化炉内が必要以上に高温になる。このため、炉の
内壁をセラミック等の耐熱材で形成する必要がある。こ
のため、炭化炉を、製作するコストおよび保守するコス
トが高くなり、結果的に炭のコストが高くなっていた。
【0004】これに対して、本願出願人は、既に次の二
つの背景技術を提案してある。先ず、基本的な背景技術
(特開平8−208209号)として、可燃物あるいは
可燃物を含む物を出発原料とし、該出発原料の表面をベ
ントナイト等の無機質粘結材で被覆して焼成すると、酸
化雰囲気で焼成しても炭素成分が酸化せずに炭化させる
ことができるという炭化物の製造方法を提案している。
この方法によれば、可燃成分が無機質粘結材の微粒子で
被覆されることによって酸化が抑制されるため、粒状物
でも好適に炭化できるものと推察される。この効果は、
無機質粘結材に加えて水溶性糖類で可燃成分を被覆する
ときに、さらに向上する。なお、無機質粘結材と水溶性
糖類で、原料の表面を被覆するには、水を媒体として混
練すればよい。
【0005】また、他の背景技術(特開平9−9567
6号)として、表面を無機質粘結材で被覆した可燃物或
いは可燃物を含む材料を原料とし、該原料を、筒状の炉
部内を該炉部の一端側にある投入口側から他端側にある
排出口側へ送り、該原料の送り方向とは反対方向に排出
口側から着火させ、炉部の排出口側で前記可燃物を炭化
させるべく、前記筒状の炉部を、軸線を中心に回転させ
る回転駆動装置と、前記炉部内に配され、前記原料を炉
部の一端側にある投入口側から他端側にある排出口側へ
送る螺旋状の送り羽根とを備える炭化炉を提案してい
る。この炭化炉によれば、いわば開放式の炭化炉であり
ながら、可燃物を有する原料から、炭化物を工業的に効
率良く生産できる。
【0006】以上の背景技術では、粒状の炭化物を、工
業的に効率良く大量に生産することができる。すなわ
ち、従来の閉塞式の炭化炉でも燃え尽きて灰となってい
た原料からも、好適に炭化物を得ることができ、炭化物
のコストを低減できる。また、その炭化物は、極めて表
面積の大きい多孔質の材料となっており、高い吸水性と
高い吸着容量を有するものとなっている。さらに、無機
質粘結材(セラミックス)によって表面がコーティング
された状態に生成されるため、難燃性の炭となってい
る。以上のような性質を持つ炭化物は、全く新しいもの
で、従来の炭と区別するため、ハイブリッド型炭化物或
いはセラミック炭と呼ぶことができるが、以下では、
「ハイブリッド型炭化物」と記載する。また、このハイ
ブリッド型炭化物は、多孔質であって焼成されたもので
あるから、上位の広い概念としては、「多孔質焼成体」
ということができる。そして、その粒状のハイブリッド
型炭化物は、炭化炉によって生成されたままの乾燥した
状態で、吸着剤、土壌改良材等の種々の用途に好適に利
用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
背景技術で提案された炭化物(ハイブリッド型炭化物)
は、基本的にはオガ屑、籾殻等の原料自体の大きさに準
ずる粒状物であって、固まりとして形成されていない。
すなわち、原料のサイズに限定されてしまい、所望のサ
イズ、或いは所望の形態の炭化物を好適に得ることがで
きなかった。また、前記背景技術において、出発原料が
単一の種類で均質性を有する場合は、質的にも形態的に
も同等の炭化物を安定的に得ることができる。しかしな
がら、出発原料が生活ゴミのように雑多な物が混合され
た場合には、機能的に均質で、均一性のあるサイズ及び
形状の炭化物を得ることができなかった。
【0008】また、液状の物、或いは微細な有機物(粒
状を含む微細状物)が主要成分として混練された流動性
のある原料を焼成し、所望な粒度或いは塊で、しかも吸
水性等の機能性に富む炭化物を得ることが難しかった。
これは次のような理由による。液状の物、或いは粒状を
含む微細状の有機物を原料とする場合は、均質性を得る
ことは可能であるが、適度な大きさの塊として焼成する
ためには、所定の大きさの成型体を成型する工程が必要
となる。その成型体を成型するには、従来、出発原料に
ベントナイト等の無機質粘結材を混合・混練することに
よって粘土状にしている。この場合、出発原料の流動性
が高い場合は、無機質粘結材の分量(配合割合)を多く
するか、出発原料を乾燥させる必要がある。従って、出
発原料に係る相対的な水分量が低下し、焼成しても好適
な多孔質を得ることができない。また、成型体の成型工
程及び乾燥工程を経ると、成型体が緻密化し易く、焼成
しても好適な多孔質を得ることができない。このため、
吸水(保水)性能及び吸着性能といった好適な機能性を得
ることができなかった。また、このことを別の角度で捉
えれば、焼成前の無機質粘結材の分量が多かったり、相
対的な水分量が少ないことから、焼成されて成る炭化物
の軽量化に限界があった。
【0009】そこで、本発明の第1の目的は、均質で所
望の形態に生成できると共に、機能性に富み軽量で好適
なハイブリッド型炭化物を提供することにある。そし
て、本発明の第2の目的は、無機質粘結材を用いずとも
好適に焼成ができ、さらなる軽量化が可能なハイブリッ
ド型炭化物及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために次の構成を備える。すなわち、本発明に
かかるハイブリッド型炭化物は、可燃物或いは可燃物を
含む物を出発原料とし、該出発原料に無機質粘結材を混
合して水分と共に混練することで、前記無機質粘結材が
水を媒体として分散され、そして所定の形態に成型され
た後、焼成されて成るハイブリッド型炭化物において、
前記出発原料に、前記無機質粘結材と共に水溶性無機物
を混合して水分と共に混練することで、前記無機質粘結
材及び前記水溶性無機物が水を媒体として分散され、成
型・焼成されてなることを特徴とする。これによれば、
ベントナイト等の無機質粘結材を減量しても好適に焼成
され、軽量で難燃性に富む好適なハイブリッド型炭化物
を得ることができる。
【0011】また、可燃物或いは可燃物を含む物を出発
原料とし、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬
し、該水溶性無機物が含浸された後、焼成されて成るこ
とを特徴とするハイブリッド型炭化物にもある。これに
よれば、ベントナイト等の無機質粘結材を要せず、酸化
雰囲気中で、好適にハイブリッド型炭化物を得ることが
できる。
【0012】また、前記出発原料が、チップ状又は繊維
状の木質材等、所定の大きさより小さく形成されたもの
であることで、水溶性無機物の含浸を促進させることが
でき、好適なハイブリッド型炭化物の生産効率を向上で
きる。
【0013】また、前記水溶性無機物が、ホウ酸である
ことで、安価で軽量な好適なハイブリッド型炭化物を得
ることができる。
【0014】また、可燃物或いは可燃物を含む物を出発
原料とし、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬
し、該水溶性無機物が含浸された後、焼成されて成るハ
イブリッド型炭化物の製造方法において、前記出発原料
にかかる浸漬前の乾燥、前記水溶性無機物にかかる加圧
又は減圧による圧力調整、又は前記水溶性無機物の温度
変化による置換法によって、前記出発原料への前記水溶
性無機物の含浸を促進させることで、好適なハイブリッ
ド型炭化物の生産効率を向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】(背景技術)先ず、本発明の背景
技術であるハイブリッド型炭化物について説明する。背
景技術として前述した炭化炉等で、好適に焼成・炭化さ
れてハイブリッド型炭化物となる原料は、可燃物あるい
は可燃物を含む物を出発原料とし、該出発原料の表面を
ベントナイト等の無機質粘結材で被覆したものである。
特に、可燃成分に、無機質粘結材に加えて、水溶性糖類
で被覆したものは、さらに好適に炭化される。無機質粘
結材及び水溶性糖類を、可燃物又は可燃物を含む出発材
料に被覆するには、公知の混練装置によって、水を媒体
として出発材料を無機質粘結材及び水溶性糖類と共に混
練すればよい。これによって、特に粒状の出発原料を、
好適に、ハイブリッド型炭化物の原料とすることができ
る。
【0016】また、表面を無機質粘結材で被覆された可
燃物あるいは可燃物を含む物の粉末、粒子と無機質骨材
の混合体、又は、表面を無機質粘結材と水溶性糖類の被
膜で被覆された可燃物あるいは可燃物を含む物の粉末、
粒子と無機質骨材の混合体を原料としてもよい。このよ
うな原料が、焼成されて可燃成分が炭化したものも、ハ
イブリッド型炭化物の一種ということができる。
【0017】本発明にかかる可燃物とは、石炭、木材、
竹、プラスチック、穀物の殻(蕎麦殻、もみ殻等)、穀
物、食品、およびこれらの加工残さ、およびこれらを原
料にする廃棄物等、固体で燃えるもの全般を意味する
が、特にコーヒー粕、もみ殻、おがこ(オガ屑)、穀物
等の粉末、粒状の固体で排出される有機廃棄物を利用す
ることに極めて有効である。また、可燃物を含むものと
は、燃える物と燃えない物が混ざった物で、燃えない物
はガラス、耐火物等のセラミック、水、等である。
【0018】無機質粘結材としては、耐火粘土、ベント
ナイト、特殊粘土等のいわゆる粘土質粘結材が好まし
く、とりわけベントナイトの酸化抑制効果が大きい。水
溶性糖類としては、例えば、しょ糖、麦芽糖、ブドウ糖
等の小糖類および単糖類がある。なお、水溶性糖類を添
加するには、糖そのものを添加するほかに、廃菓子屑や
砂糖精製の過程で発生する残さ等、糖が含まれたものを
添加しても良い。
【0019】また、骨材としては、無機質廃棄物の粉粒
体を利用できる。例えば、鋳物砂、汚泥砂、レンガ、
瓦、コンクリートの粒および粉、製鉄高炉スラグ、鋳物
のノロ、パーライト、ガラス繊維、ロックウール、粘
土、廃粘土、焼却炉の灰、スラグ金属の錆等である。
【0020】なお、原料に無機質粘結材を被覆するに
は、コーヒー粕のように原料に水分が含まれている場合
は新たに水を添加することなく、もみ殻のように水分を
含んでいない場合は新たに水を添加し、単に混練すれば
よい。すなわち、水を媒体にして好適に混合すればよ
い。被膜は薄くても十分な酸化抑制効果がある。また、
水溶性糖類の被覆は、糖類を予め水に溶かして使用する
場合もあるし、水分が充分にある場合は糖類の粉末を混
練してもよい。また、食物残さ等の可燃物原料に既に含
まれている水溶性糖類も、同様に出発原料の表面を被覆
することになる。
【0021】また、前記水溶性糖類自体が可燃物である
から、前記水溶性糖類と前記無機質粘結材とを水を媒体
として混合したものを焼成して得られるものも、ハイブ
リッド型炭化物の一種ということができる。すなわち、
他の可燃物を混合しなくとも、黒化した焼成物(炭化
物)を好適に得ることができる。
【0022】以上に説明した原料によれば、無機質粘結
材の酸化抑制作用によって、粒状の可燃物であっても燃
え尽きることなく好適に焼成・炭化できる。しかも、酸
化雰囲気中での焼成が可能であり、背景技術の欄で説明
したように、工業的に大量生産できる。また、その焼成
温度を、700〜850°C程度の低温に抑制すること
が可能である。そして、オガ屑等の廃棄物を原料とする
ことができるから、その製造コストを大幅に低減でき
る。
【0023】以上のように生成されたハイブリッド型炭
化物は、吸水性に著しく優れている。この性質は、水分
を含む前記原料を、乾燥させずに前記炭化炉に投入して
焼成することで、より好適に得られる。水を含んで膨潤
した無機質粘結材と水を含んだ可燃物が炭化炉内で急激
に乾燥されて焼成される際に、燃焼ガス成分と共に水分
が蒸気となって噴出し、好適に開放(貫通孔)タイプの
微細な多孔質を形成するためと考えられる。また、原料
を所定の形状に成型することなく、前述したように混練
した状態から、そのままの状態で焼成することで、より
吸水性を向上できる。これは、成型すると細かな粒子が
表面を覆って緻密化し易いためで、成型しないことで、
その緻密化を防止できるためである。このハイブリッド
型炭化物は、以上のように好適に多孔質体が形成される
ため、極めて好適な吸着性能及び吸湿性能を備える機能
性の高い炭化物となっている。特に吸着容量等において
は、従来の活性炭以上の性質を有している。
【0024】以上の背景技術によれば、オガ屑等の所定
サイズの粒状原料を用い、成型しないで、その粒状原料
と同等サイズの多孔質焼成体(ハイブリッド型炭化物)
を得るには適していた。これに対して、本発明では、以
上の背景技術を基本原理として利用し、均質で所望の形
態に生成されると共に、機能性に富み軽量で好適なハイ
ブリッド型炭化を得ることを目的としている。このた
め、次に説明するように、液状の物、或いは微細な有機
物(粒状を含む微細状物)が主要成分として混練された
流動性のある原料についても、ベントナイト等の無機質
粘結材を減量して好適に焼成できるなどの特徴がある。
【0025】(実施の形態)以下、本発明にかかる好適
な実施の形態を詳細に説明する。本発明にかかるハイブ
リッド型炭化物は、基本的に、可燃物或いは可燃物を含
む物を出発原料とし、該出発原料に無機質粘結材を混合
して水分と共に混練することで、前記無機質粘結材が水
を媒体として分散され、そして所定の形態に成型された
後、焼成されて生成されるものである。この基本点(第
1の基本的構成)では、背景技術と同一である。そし
て、本発明の特徴的構成は、前記出発原料に、前記無機
質粘結材と共に水溶性無機物を混合して水分と共に混練
することで、前記無機質粘結材及び前記水溶性無機物が
水を媒体として分散され、成型・焼成されて成ることに
ある。これによれば、ベントナイト等の無機質粘結材を
減量しても好適に焼成され、軽量で難燃性に富む好適な
ハイブリッド型炭化物を得ることができる。これは、ホ
ウ酸水溶液を代表とする水溶性無機物が、酸化抑制材と
してのベントナイト(「無機質粘結材」の代表例)に代
わることができるためである。なお、前述したように、
ベントナイトを多く混合することで、ハイブリッド型炭
化物の構造的強度を向上させることができる。
【0026】また、本発明の他の基本点(第2の基本的
構成)は、可燃物或いは可燃物を含む物を出発原料と
し、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬し、該水
溶性無機物が含浸された後、焼成されて成ることを特徴
とするハイブリッド型炭化物にある。これによれば、ベ
ントナイト(無機質粘結材の代表例)を要せず、或いはベ
ントナイトを減量化し、酸化雰囲気中で、好適にハイブ
リッド型炭化物を得ることができる。これは、ホウ酸水
溶液を代表とする水溶性無機物が、酸化抑制材として好
適に作用するためである。また、本発明は、出発原料に
水溶性無機物を含浸することに加えて、他の混合物の混
合等を制限するものではない。例えば、出発原料に水溶
性無機物を含浸させる水溶液に、水溶性有機物(例え
ば、水溶性糖類)を混合し、その水溶性有機物を出発原
料に含浸させてもよい。
【0027】また、このように形成されるハイブリッド
型炭化物は、水溶性無機物の水溶液が含浸されることに
よって形成されるため、その大きさが限定されない。従
って、丸太の原形をとどめる木材のようなものでも、酸
化雰囲気中で焼成して炭化させることができる。別言す
れば、ホウ酸等の水溶性無機物を含浸させることで、被
炭化物を、その原形をとどめて焼成することができる。
例えば、ダンボール(紙)がその形態を酸化雰囲気中でと
どめて炭化される。このように原形を保てることから、
形状的に保温性のあるハイブリッド型炭化物を得ること
もできる。すなわち、ホウ酸のような水溶性無機物を配
合することで、ハイブリッド型炭化物の焼成をする際に
おいて、脱炭防止ができ、表面を好適に黒色に生成する
ことができる。なお、ホウ酸水溶液によれば、焼成温度
を低くすることもできる。
【0028】また、第2の基本的構成に加えて、前記出
発原料が、チップ状又は繊維状の木質材等、所定の大き
さより小さく形成されたものであることで、水溶性無機
物の含浸を促進させることができ、好適なハイブリッド
型炭化物の生産効率を向上できる。特に繊維状の木質
材、例えば前述した木質ファイバーによれば、非常に短
時間でホウ酸水溶液を含浸できる。例えば後述する第2
実施例では1分間で好適に含浸できる。なお、水溶性無
機物の水溶液としては、飽和水溶液が効率良く原料に含
浸できる。
【0029】なお、木質ファイバーに水溶性無機物の水
溶液の代表例であるホウ酸水溶液を含浸させ、適宜成型
して焼成した場合は、その成型した形状で好適に焼成さ
れた。また、チップ状に形成された原料の場合も、ホウ
酸水溶液を含浸させ、適宜重ね合わせてまとめて焼成し
た場合は、その重ね合わせた形状で好適に焼成された。
これは、ホウ酸水溶液が、釉薬として使用される場合と
同様に作用して、焼成による成形性が発現したためであ
る。
【0030】また、前記水溶性無機物が、ホウ酸である
ことで、安価で軽量な好適なハイブリッド型炭化物を得
ることができる。特に、ホウ酸は釉薬の主成分であり、
入手性がよく、焼成温度(融点)を好適に下げ、表面の
黒化を好適に行うことができる。そして、ホウ酸は水に
溶かして使用できるため、原料に均一に配合でき、均質
な焼成物を得ることができる。他の水溶性無機物として
は、珪酸ソーダ、苛性ソーダがある。
【0031】また、可燃物或いは可燃物を含む物を出発
原料とし、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬
し、該水溶性無機物が含浸された後、焼成されて成るハ
イブリッド型炭化物の製造方法において、前記出発原料
にかかる浸漬前の乾燥、前記水溶性無機物にかかる加圧
又は減圧による圧力調整、又は前記水溶性無機物の温度
変化による置換法によって、前記出発原料への前記水溶
性無機物の含浸を促進させることで、好適なハイブリッ
ド型炭化物の生産効率を向上できる。
【0032】以上のように、水溶性無機物の水溶液の代
表例であるホウ酸水溶液を含浸させた上で焼成されたハ
イブリッド型炭化物は、ホウ酸が均一に分散しており、
断熱性、別言すれば保温性のある炭化物となった。ま
た、ホウ酸の酸化抑制作用によって難燃性のある炭化物
となった。従って、このハイブリッド型炭化物は、例え
ば、建築材の断熱材として好適に利用できる。特に軽量
であるため、天井裏に吹き付けられて使用される断熱材
としても好適である。また、炭化物であるため、電磁波
を吸収する効果もあり、建築構造材の素材として有効で
ある。
【0033】(関連技術)次に、本願発明にかかる関連
技術について説明する。本発明にかかる第1の関連技術
は、前記第1の基本的構成に加えて、木質材をすり潰す
ように破砕することで該木質材から繊維化されて成る木
質ファイバーが、前記出発原料の少なくとも一部を構成
することにある。
【0034】この木質ファイバーは、例えば、以下に説
明するように得られて用いられる。すなわち、一対の回
転体同士の狭く設けられた隙間に被破砕物を送り込むこ
とで、前記一対の回転体によって生じるすり潰し作用に
よって前記被破砕物を破砕する破砕装置へ、木質材を投
入して、該木質材から繊維化されて成る木質ファイバー
を得ることができる。そして、その木質ファイバーを、
前記出発原料の少なくとも一部として用いる。
【0035】前記破砕装置の一実施例を図1に基づいて
説明する。図1は本発明にかかる破砕装置の一実施例を
概念的に示す平面説明図である。破砕装置10は、平行
に配されて軸線11、11を中心に回転する2つの回転
体である回転軸12、12を備え、その2つの回転軸1
2、12のそれぞれに被破砕物を破砕しつつ軸線11、
11に沿って排出方向Eへ送る螺旋状の螺旋刃14、1
4が設けられている。そして、その螺旋刃14、14の
外周縁に、被破砕物を他方の回転軸12及び螺旋刃14
との間ですり潰すべく、螺旋刃14の面に交差する方向
及び/又は軸線11を中心とする径方向へ突出された突
出部16が、所定の間隔をおいて複数設けられている。
【0036】すなわち、本実施例の2軸の破砕装置10
によれば、2軸の螺旋刃14、14同士が、図1に示す
ようにジグザグに相互に入り込む形態になっている。そ
のように交錯した形態によって、前述したような一対の
回転体(螺旋刃14及び突出部16を有する)同士の狭
く設けられた隙間が構成されている。この破砕装置10
では、図示しない駆動装置である電動モータ或いはエン
ジンを含む回転駆動機構によって、図1に示すように被
破砕物である木質材を巻き込むように、2軸の回転軸1
2、12同士を反対方向に回転(矢印F、R)させれば
よい。前記1対の回転体の間隔である突出部16と回転
軸12の外周面或いは螺旋刃14の面との再接近距離
は、例えば、15mm以下程度であることが好適で、好
ましくは7〜10mm程度に設定すればよい。なお、そ
の間隔は粉砕する素材の性質などに対応させて適宜定め
れば良いのは勿論である。
【0037】また、以上のように1対の回転体の間隔が
設定されることから、投入される被破砕物の大きさにつ
いても、好適に対応できる所定の大きさに調整しておく
ことが望ましい。例えば、チップ状、そのチップ状に相
当する大きさ程度或いはそれ以下の大きさに調整された
被破砕物である木質材を投入すればよい。これによれ
ば、木質材が極めて好適にすり潰されるように破砕され
て、均一な木質ファイバーを得ることができる。そし
て、例えば間伐材を原料にしたものでは、ファイバー化
することで、木材の元の容積に比べて2から3倍程度
に、その容積を大きくすることができる。
【0038】また、破砕装置10による破砕は、主に切
断によるものではなく、被破砕物が相互に強力にすれ合
うことによって生じるすり潰し作用によってなされる。
このため、チップ状の木質材を好適に綿のような長繊維
状に破砕することができ、破砕装置の自体の構成にかか
る磨耗を抑制する。このため、破砕装置10によれば、
効率良く木質材を繊維状に好適に破砕できると共に、保
守管理のコスト低減、及び装置自体の耐久性の向上を実
現することができる。また、炭化物と木質材との破砕及
び混合は、その炭化物と木質材とを送る2軸の螺旋刃1
4、14が内蔵された筒状体内20でなされるので粉塵
の発生が防止される。
【0039】以上のような木質ファイバーを出発原料の
少なくと一部として用いることで、焼成前の混練された
原料の成形性、及び成型された後の保形性が向上する。
成形性及び保形性が向上するとは、焼成前の原料が適度
な粘土状になって、成型しやすい状態となることにあ
る。また、この木質ファイバーによれば、後述する流動
性を有する流動材料を吸収して、保持することができ
る。すなわち、流動材料が、木質ファイバーの繊維表面
にその粘性によって付着することで、木質ファイバーに
保持される。また、木質ファイバーは、綿のように繊維
が絡まった状態に設けられるため、表面張力や毛細管現
象の作用によっても、流動材料が木質ファイバーに保持
される。
【0040】上記の流動材料の代表的なものに、水があ
り、他の液体或いは液状材が含まれるのは勿論である。
そして、特に、木質ファイバーによって、好適に水、す
なわち水分を大量に保持することができるため、多孔質
に形成された機能性の高いハイブリッド型炭化物を好適
に得ることができる。これは、木質ファイバーは、水を
大量に吸収・保持することで、結果的に焼成前の原料を
増量できる。そして、焼成される際に、保水されていた
水分が逃げ、その水分が逃げた部分に相当する容積が、
多孔質を構成する空隙に相当することになるためであ
る。これにより、吸水性(保水性)が高く、吸着性能等
の機能性の高いハイブリッド型炭化物を、好適に得るこ
とができる。このことを別の角度から捉えれば、ハイブ
リッド型炭化物を軽量化できることになる。
【0041】また、前記の原料を焼成してハイブリッド
型炭化物を得る際には、原料に水分が大量に存在する状
態で急速に乾燥と焼成が進行するが、木質ファイバーの
存在によって、割れたり、ひび(クラック)が入らない。
また、木質ファイバーによれば、その繊維の絡み合う構
造によって、構造的な強度を好適に得ることができる。
また、木質ファイバーによって構造的強度を好適に得る
ことができるため、ベントナイト等の粘結材の減量化が
可能であり、ハイブリッド型炭化物の軽量化ができる。
例えば、ベントナイトを、従来のハイブリッド型炭化物
を焼成する際に原料に混合されていた量の半分以下、或
いは3分の一以下にしても、同程度の構造的強度を得る
ことが可能である。従って、以上のように木質ファイバ
ーを用いることで、均質で所望の形態に生成できると共
に、機能性に富み軽量なハイブリッド型炭化物を好適に
得ることができる。
【0042】なお、木質ファイバーに限らず、他の繊維
によっても以上のような好適な効果を得ることができる
のは勿論である。但し、木質ファイバーは、前記破際装
置によるように、木質材からの大量生産可能であり、安
価に利用できるという顕著な利点がある。木質材とは、
植物性の前述のように破砕されて最終的に繊維状になる
もの、別言すれば、セルロース成分のあるものであれ
ば、特に限定されない概念のものである。すなわち、間
伐材、廃木材、抜根、及び竹材等、最終的に繊維状にで
きる物の全てを含んでいる。間伐材等は、従来、利用す
る用途のない廃棄物として扱われてきたものであるが、
本願発明では、それらのものを有効な資源として好適に
利用できる。また、炭素成分をハイブリッド型炭化物と
して固定化できるため、二酸化炭素による地球温暖化の
対策ともなる。
【0043】ところで、以上に説明してきた木質ファイ
バーと同等の作用をする繊維として、代表的なものに
は、紙、例えば新聞紙等の古紙がある。古紙から設けら
れた繊維は、例えば、廃油等の油液を好適に吸収でき、
油液を出発原料の一部としてハイブリッド型炭化物を得
る際に好適に用いることができる。なお、一般的に、繊
維は、10mm程度以下の長さのものが混練し易く使い
易い。また、繊維の太さは、通常は直径が0.1mm程
度以下のものを使用するが、焼成前の原料を好適に成型
可能な範囲の繊維であればよい。ところで、その繊維の
材質は、化学繊維又は天然繊維、或いは無機繊維でも所
定の効果を得ることが可能である。すなわち、繊維状材
料が有機物(可燃物)であれば、焼成によって、貫通し
た細孔(連通気孔)が好適に形成される。このため、微
生物の住処となる好適な多孔質を形成でき、吸水性を向
上できる。また、繊維状材料が無機質あっても、その繊
維に沿って連通気孔が好適に形成可能で、吸水性を向上
できる。
【0044】また、本発明の第2の関連技術は、前記第
1の基本的構成に加えて、前記出発原料の少なくとも一
部が、流動性を有すると共に均質性を備える流動材料、
及び該流動材料を吸い込んだ状態に保持する繊維材であ
るハイブリッド型炭化物にある。これによれば、均質性
及び形態性のよい好適なハイブリッド型炭化物を得るこ
とができる。なお、上記の「好適なハイブリッド型炭化
物」とは、均質で所望の形態に生成できると共に、機能
性に富み軽量なハイブリッド型炭化物のことを意味す
る。
【0045】この第2の関連技術に加えて、前記繊維材
が、木質材をすり潰すように破砕することで該木質材か
ら繊維化されて成る木質ファイバーであることで、前述
したように、安価で好適なハイブリッド型炭化物を得る
ことができる。また、第2の関連技術に加えて、前記流
動材料の少なくとも一部が、生ゴミ等の固形物がすり潰
されて液状化されたものであることで、雑多なものの混
合物が出発原料であっても、均質性に富み安価で好適な
ハイブリッド型炭化物を得ることができる。
【0046】ところで、出発原料である可燃物或いは可
燃物を含むものとは、背景技術に例示があるように主に
炭素成分を有する有機物のことで、特に限定されるもの
ではない。また、流動材料とは、水のような液体、又は
多量の水分(液体)を含んだどろどろしたゾル状のものを
含む概念のものである。例えば、焼酎廃液、ゾル状の廃
棄物、家庭の残り物(残飯)を加水してすり潰し所定の
濃度のゾル化したものなど、種々のものが対象となる。
炭化する有機質が含まれて流動化したものは、流動性有
機物であり、これにより好適なハイブリッド型炭化物を
生成できる。流動材料は、その流動性のため、均質化さ
れ易い材料である。固形の多種類の材料から均質な材料
を得るには、上述したようにすり潰して微細化し、水分
が不足している場合は加水し、流動化させることが有効
である。これによれば、均質性のある材料を大量に得る
ことが可能となり、これを出発原料としてハイブリッド
型炭化物を安定的に大量に生成することができる。
【0047】また、第2の関連技術に加えて、前記流動
材料の少なくとも一部が、廃油等の最初から流動性を有
する材料であることで、廃棄物を好適に利用して、均質
性に富み安価で好適なハイブリッド型炭化物を得ること
ができる。また、最初から流動性を有する材料が油質の
場合は、自らが有するエネルギ(自燃熱量)によって、
ハイブリッド型炭化物を、燃費効率よく製造できる。な
お、廃油には、食用廃油の他に、機械用廃油も好適に用
いることができる。また、焼成の際に、油質は煤煙(す
す)を出しやすいが、酸素を十分に供給するように空気
を加給すれば、高温で煤煙の発生を好適に抑制して燃焼
させることが可能である。
【0048】また、本発明の第3の関連技術は、第1の
基本的構成に加えて、前記出発原料の一部を構成する物
が、水分を吸収して膨張する樹脂材の高吸水性ポリマー
であることを特徴とするハイブリッド型炭化物にある。
これによれば、軽量で好適なハイブリッド型炭化物を得
ることができる。
【0049】なお、高吸水性ポリマーとは、水に接して
自重の数百倍以上(例えば800倍)の水を吸収して膨
潤し、ヒドロゲルを形成するもので、例えば、次のよう
な種類がある。合成ポリマーを原料とするもので、ビニ
ルアルコール/アクリル酸塩共重合体、ポリアクリロニ
トリル加水分解物、架橋ポリアクリル酸塩、又は変性ポ
リビニルアルコール、多糖類を原料とするもので、デン
プン/アクリル酸塩グラフト重合体、カルボキシメチル
多糖類を原料とするもので、カルボキシメチルセルロー
ス架橋体などがある。
【0050】この高吸水性ポリマーを用いることで、大
量の水分を含む原料でも好適に成型できるようになる。
絞れば水がしたたる状態でも、直径15mm程度のボー
ル状など、所定の形状に好適に成型できる。すなわち、
高吸水性ポリマーは、水を固めて保持するように作用
し、焼成前の原料にかかる成形性を向上できる。高吸水
性ポリマーは、膨潤(膨張)して、その体積を数百倍以
上に増大させるものであるため、その高吸水性ポリマー
の分量(体積)は、かさ比で出発原料の1/1000〜
1/100程度でよい。使用量が極めて少なくてよいた
め、安価に用いることができる。
【0051】そして、高吸水性ポリマーによって、好適
に水、すなわち水分を大量に保持することができるた
め、多孔質に形成された機能性の高いハイブリッド型炭
化物を好適に得ることができる。これは、高吸水性ポリ
マーは、水を大量に吸収・保持することで、結果的に焼
成前の原料を増量する。そして、焼成される際に、保水
されていた水分が逃げる。その水分が逃げた部分に相当
する容積が、多孔質を構成する空隙に相当することにな
るためである。これにより、吸水性(保水性)が高く、
吸着性能等の機能性の高いハイブリッド型炭化物を、好
適に得ることができる。このことを別の角度から捉えれ
ば、ハイブリッド型炭化物を軽量化できることになる。
ハイブリッド型炭化物のかさ比重を、0.1以下程度ま
ですることができた。
【0052】また、通常の高吸水性ポリマーには、吸水
した際に粘性を発現し、出発原料を成型するための粘結
材としても作用する。この高吸水性ポリマーの性質によ
れば、粘結材として用いられるベントナイト(無機質粘
結材)の減量化が可能である。すなわち、高吸水性ポリ
マーには当然のことながら酸化抑制作用はないが、粘結
材としてはベントナイトに代わることができる。例え
ば、ベントナイトを、従来の半分以下、或いは3分の一
以下にしても、ハイブリッド型炭化物を好適に焼成する
ことが可能である。
【0053】また、高吸水性ポリマーが、粘性が低く離
型性の良好なものであることで、形態性のよい好適なハ
イブリッド型炭化物を容易に得ることができる。高吸水
性ポリマーは、粉状と粒状のものがあり、例えば、粒状
のものには吸水した際に粘性が低い性質のものがある。
この粘性が低いものによれば、離型性が良好であるた
め、所定の大きさに切断する際、或いは転がしてボール
状に成型する際などに、製造装置の部材に或いは相互に
粘り付くことを防止できる。このため、成形性が向上
し、機械化して大量生産する際に好適に対応でき、生産
効率を向上できる。
【0054】また、第3の関連技術に加えて、前記出発
原料の少なくとも一部が、流動性を有する液状物を吸い
込んだ状態に保持できる繊維材であることで、前述した
ように、形態性のよい好適なハイブリッド型炭化物を得
ることができる。また、上記の構成に加えて、前記繊維
材が、木質材をすり潰すように破砕することで該木質材
から繊維化されて成る木質ファイバーであることで、前
述したように、安価で好適なハイブリッド型炭化物を得
ることができる。
【0055】また、第3の関連技術に加えて、前記出発
原料の少なくとも一部が、流動性を有すると共に均質性
を備える流動材料、及び該流動材料を吸い込んだ状態に
保持する繊維材であることで、前述したように、均質性
及び形態性に富み好適なハイブリッド型炭化物を得るこ
とができる。また、上記の構成に加えて、前記流動材料
の少なくとも一部が、生ゴミ等の固形物がすり潰されて
液状化されたものであることで、前述したように、均質
性に富み安価で好適なハイブリッド型炭化物を得ること
ができる。また、上記の構成に加えて、前記流動材料の
少なくとも一部が、廃油等の最初から流動性を有する材
料であることで、前述したように、均質性に富み安価で
好適なハイブリッド型炭化物を得ることができる。ま
た、最初から流動性を有する材料が油質の場合は、自ら
が有するエネルギ(自燃熱量)によって、ハイブリッド
型炭化物を、燃費効率よく製造できる。
【0056】また、前記無機質粘結材の少なくとも一部
が、ベントナイトであることで、炭素成分の酸化を好適
に抑えて酸化雰囲気で効率よくハイブリッド型炭化物を
得ることができる。この点は、従来技術及び背景技術の
原理と同一であり、本発明に係る無機質粘結材として
は、ベントナイトが好適である。ベントナイトは、水を
含むと体積が約2倍程度になるまで膨潤する。従って、
急速焼成すれば、その水分がなくなり、好適な多孔質体
が形成される。すなわち、ベントナイトは、粘土とは違
って水分を含むと膨潤するため、乾燥する際にすが発生
する。また、ベントナイトは水分を多く保持でき、その
水分は焼成される際に蒸気となってベントナイトから排
出され、その際に微細孔を形成すると考えられる。従っ
て、ベントナイト自体が多孔質構造に好適に焼成され
る。また、ベントナイトは、焼成によって微細状物同士
を結合するバインダーとして作用し、ハイブリッド型炭
化部の構造強度を発現させる。すなわち、ベントナイト
の配合割合を増やせば、他の条件が同じであれば、硬く
て強度のあるハイブリッド型炭化部を得ることができ
る。なお、ベントナイトは、焼成前の焼成用材料を好適
に成型するための粘着材(粘結材)として作用するのは
勿論である。
【0057】前記可燃物(出発原料)の少なくとも一部
が、水溶性糖類であることで、好適に黒化された構造強
度が高い好適なハイブリッド型炭化物を得ることができ
る。これは、水溶性糖類が、焼成前におけるベントナイ
ト(「無機質粘結材」の代表例)の粒子同士を隣接させ
た状態に保持する粘結材として作用すると共に、無機質
粘結材を好適に分散させるようにも作用するためと考え
られる。この点も、従来技術及び背景技術の原理と同一
である。
【0058】すなわち、水溶性糖類は、有機質粘結材と
して作用するため、ベントナイトの減量化に寄与し、ハ
イブリッド型炭化物の軽量化を図ることも可能である。
なお、有機質粘結材としては、のり(でんぷん)、飯、小
麦のり、デキストリン、コーンスターチ等を用いること
も可能である。この水溶性糖類等の有機質粘結材を、後
述するホウ酸水溶液(「無機質水溶液」の代表例)と共
に利用することで、ベントナイトの減量化が可能にな
る。これは有機質粘結材が粘結材としてベントナイトに
代わり、ホウ酸水溶液が酸化抑制材としてベントナイト
に代わることができるためである。但し、有機質粘結材
或いはホウ酸水溶液では、ベントナイトの構造的強度を
向上させる機能を満足することができない。従って、所
定の構造強度を必要とする場合は、ベントナイトの配合
割合を選択的に設定すればよい。
【0059】また、前記可燃物の少なくとも一部が、発
泡スチロール等の合成樹脂の微粒子であることで、多孔
質の機能性に富む好適なハイブリッド型炭化物を得るこ
とができる。すなわち、焼成中に合成樹脂の微粒子がガ
ス化して燃焼するが、そのガスの噴出し及び燃焼による
消滅によって、ハイブリッド型炭化物を好適な機能性を
有する多孔質に形成できる。これにより、ハイブリッド
型炭化物の軽量化も実現できる。ハイブリッド型炭化物
のかさ比重を、0.1以下程度まですることができた。
そして、自らが有するエネルギ(自燃熱量)によって、
燃費効率よく製造できる。
【0060】このように、熱源として作用する合成樹脂
としては、発泡スチロールの微粒子に限定されるもので
はなく、発泡スチロールと同様に廃棄物として入手が可
能なペットボトルの粉砕粒子を用いることも可能であ
る。なお、合成樹脂の粒子サイズは、粒径が1mm以下
程度に微細化されれば、混合・混練が容易にできるため
好適である。また、発泡スチロールの廃棄物から発泡ス
チロールの微粒子を得るには、前述した破砕装置10
(図1参照)を好適に用いることができる。
【0061】また、エネルギ源として出発原料の一部を
構成する可燃物、すなわち、燃料材としては、前述した
廃油、廃棄塗料等の油質がある。これらの油質を含むも
のでも、前述したように繊維材で好適に吸収して出発原
料の一部として利用すれば、主に燃料材として好適に作
用して、好適なハイブリッド型炭化物を得ることができ
る。
【0062】また、以上に説明した第1〜3の関連技術
にかかる出発原料に、前記無機質粘結材と共に水溶性無
機物を混合して水分と共に混練することで、前記無機質
粘結材及び前記水溶性無機物が水を媒体として分散され
ることで、ベントナイト等の無機質粘結材を減量しても
好適に焼成され、軽量で難燃性に富む好適なハイブリッ
ド型炭化物を得ることができる。これは、ホウ酸水溶液
を代表とする水溶性無機物が、酸化抑制材としてのベン
トナイト(「無機質粘結材」の代表例)に代わることが
できるためである。なお、前述したように、ベントナイ
トを多く混合することで、ハイブリッド型炭化物の構造
的強度を向上させることができる。
【0063】以上に説明した第1の基本的構成を備える
ハイブリッド型炭化物は、共通した製造工程によって生
成可能なもので、次に詳細に説明する。先ず、基本的な
製造工程は、出発原料と、ベントナイト等の無機質粘結
材とを、水を媒体として混練して焼成用材料を得る混練
工程と、前記焼成用材料を所定の形状に成型して焼成用
の成型体を得る成型工程と、前記焼成用の成型体の表面
を急速に乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥さ
せた前記焼成用の成型体を焼成してハイブリッド型炭化
物を得る焼成工程とを有することを特徴とする。なお、
乾燥工程と焼成工程は、切れ間なく連続的に行ってもよ
いし、別々の設備によって、所定の時間をおいて行って
もよい。
【0064】また、前記成型体の成型工程としては、例
えば、後述する実施例に記載したような球形等のボール
状の成型体を得るものや、押し出し成型によって棒状の
成型体を得るものが考えられる。なお、ボール状とは球
形等を含む粒状に独立した形状全体を意味する。なお、
押し出し成型によれば、棒状の長手方向に貫通孔を容易
に成型できる。また、押し出し成型によれば、型を用い
て押し固めて成型する場合と異なり、表面がより緻密化
しない状態で成型でき、好適な多孔質を得ることができ
る。また、以上の成型工程に加えて、成型されたものを
破断する破断工程とを備えることで、多孔質に形成され
たハイブリッド型炭化物(多孔質焼成体)の内部を破断
面として好適に露出させることができる。これにより、
吸水性等の機能を向上できる。なお、ここでいう破断と
は、単純に割ることに限らず、広義には、所定の長さに
切り揃えるべく切断するという概念を含むものとする。
【0065】また、出発原料は、背景技術や以上の説明
で記載した概念に限定されるものではなく、例えば、粒
状を含む微細状物及び/又は水溶性物であって、有機物
及び無機物の全てを含むものという概念のものであって
もよい。有機物とは、炭素成分を有し、炭化することが
可能な可燃物である。例えば、オガ屑又は水溶性有機物
のような有機物体を配合することによって、多孔質焼成
体であるハイブリッド型炭化物を好適に生成できる。ま
た、微細状物とは、粒状、粒子状、微粒子状、短繊維状
等の形態を含み、おおよそ直径で表現すれば、5mm程
度以下の定形性を有する物、或いはその大きさ程度に容
易に破砕分割(微細化)されるような物である。すなわ
ち、混練後に、押し出し成型等で好適に所定の形状に成
型できる程度の大きさであればよいのである。勿論、混
練機に原料の微細化の機能をもたせてもよい。
【0066】なお、上記の粒状を含む微細状物及び/又
は水溶性物という概念は、有機物のみの場合或いは無機
物のみの場合を含むが、適宜混合することで、要求され
る好適な機能を得ることができる。すなわち、有機物の
混合(配合)比率が大きいときは、多孔質焼成体が脆く
なり易いが、炭化部が多くなり、好適な多孔質を得るこ
とができ、吸水性を向上できる。反対に、無機物の混合
(配合)比率が大きいときは、重くなり、焼結力が向上
して多孔質焼成体の強度は増すが、炭化部が少なくって
多孔質の表面積が小さくなる傾向にある。
【0067】有機物として使用できるものは、背景技術
で説明したように種々あるが、木材屑、糖質、草、野
菜、果物又は野菜屑等の食品滓、食品加工廃水等を、好
適に配合することができる。また、前記有機物は水溶性
糖類を含むことで、前述したように、ベントナイトが好
適に分散され、効率よく均質な炭化物が生成され、好適
に黒化できる。水溶性糖類は菓子などの食物廃棄に多く
含まれ、これが混合されて水溶性糖類の割合が多く含ま
れた原料によれば、ハイブリッド型炭化物の硬度を高め
ることができる。
【0068】無機物として使用できるものは、背景技術
で説明したように種々あるが、汚泥、クリンカー、石炭
灰、フライアッシュ、ガラス粉砕粒子、川砂、ガラス繊
維、ロックウール等を、好適に配合することができる。
【0069】前記ボール状或いは棒状等の成型体を成型
した後、その成型体の表面を急速に乾燥するのは、表面
層に予め殻状の部位を形成することにある。なお、この
表面を急速に乾燥させることは、表面を急速に乾燥する
のと同時に焼成して、その表面層を硬い殻状に形成する
ことを含む。このように成型体の表面を急速に乾燥する
には、成型体が形成された後、ただちに、その成型体を
高温雰囲気中に投入するか、バーナーの炎に晒すなどす
ればよい。
【0070】これにより、表面を急速に乾燥した後の焼
成をするための急速加熱時に、ボール状或いは棒状等の
成型体の表面が割れてしまうことを防止できる。また、
その急速加熱時に、水分で膨潤していた内部では、その
水分の蒸発に伴って好適にすが形成される。そして、そ
の加熱に続く焼成によって、好適な多孔質のハイブリッ
ド型炭化物を製造できる。すなわち、このように成型体
の表面を急速乾燥すること、或いは急速焼成すること
で、成型体の原形に近い寸法にハイブリッド型炭化物を
形成できる。また、外表面を硬化させて外形が決められ
た後、その状態で内部が乾燥されて焼成されるため、成
型体の中心部の方が、粗く形成でき、ハイブリッド型炭
化物の内部に連通気孔を好適に形成できる。
【0071】なお、以上に説明した乾燥、加熱及び焼成
は連続的でもよいし、断続的に行われてもよい。また、
表面を急速に乾燥する速度は、バーナーなどによる高温
雰囲気を用いれば、10秒間程度で良いが、これに限ら
ない。すなわち、内部に水分が十分に存在する状態で表
面が乾燥するようにすればよい。これに対して、自然乾
燥をしてから焼成すれば、全体が収縮し、硬いハイブリ
ッド型炭化物はできるが、多孔質の部分が少なくなり、
吸水性が低下してしまう。しかしながら、この場合でも
一定の多孔質を形成することができ、破断面が形成され
た場合には、その破断面から好適に吸水することもでき
る。
【0072】また、ボール状体或いは棒状体の大きさ
(直径或いは生産時の長さ)は生産性に影響する。特
に、その直径は、小さいと焼成時間は短くなり、大きく
なると焼成時間が極端に長くなる。これは、ボール状体
或いは棒状体の表層部は焼成すると多孔質となって、断
熱層となるため、熱が内部まで到達する時間が長くなる
ことによる。このため、大径なると、生産性が低下する
と共に、表面脱炭が生じ、表面が黒くならずに灰色とな
ってしまう。従って、棒状体の大きさは、使用される条
件、生産設備等の関係で適宜設定されればよいが、通常
は、20mm程度が好適である。また、ボール状の場合
は直径15mm程度が好適である。
【0073】また、前記棒状体の長手方向に貫通孔が形
成され、筒状に形成すれば、強度を低下させないで、表
面積を好適に拡大でき、性能を向上できる。また、乾燥
や、焼成がし易い形状となるため、生産性を向上でき
る。押し出し成型機によれば、棒状体を容易且つ効率的
に筒状に形成することが可能である。
【0074】前記有機物及び前記無機物として、選択さ
れる材料は、次に示すように種々考えられる。例えば、
前記有機物としてオガ屑を含み、前記有機物及び前記無
機物として汚泥を含むことで、汚泥を好適に処理でき
る。汚泥は、微細な有機物及び微細な無機物を含んでお
り、多孔質焼成体の好適な原料となる。また、前記有機
物としてオガ屑を含み、前記無機物として石炭火力発電
所から廃出されるクリンカー及び/又は石炭灰を含むこ
とで、石炭火力発電所の廃棄物を好適に処理できる。ク
リンカーは、サイズのバラツキがある粒状体に形成され
るが、その粒状体自体が多孔質になっており、多孔質焼
成体の好適な原料となる。また、前記有機物としてオガ
屑を含み、前記無機物として製鉄所から廃出されるフラ
イアッシュを含むことで、製鉄所の廃棄物を好適に処理
できる。汚泥、クリンカー、石炭灰、及びフライアッシ
ュは、廃棄物であり、好適な多孔質焼成体を低コストで
得ることができる。
【0075】次に、以上に説明したハイブリッド型炭化
物の用途について説明する。基本的に従来の炭に代え
て、種々の用途で利用できる。例えば、本発明によるボ
ール状に成型したハイブリッド型炭化物は、園芸用の土
壌改良材或いは堆肥の熟成促進材として好適に利用でき
る。また、本発明によるハイブリッド型炭化物を、破砕
し、炭化部を含む粒状物とすることで、粒状の炭に代え
て好適に利用することができる。すなわち、本発明によ
れば、粒状よりも小さな微細状の材料を用いても、好適
にハイブリッド型炭化物を得ることができ、成型された
ボール状或いは棒状等の形状で利用してもよいし、粉砕
或いはすり潰して粒状或いは粉状にして利用してもよ
い。
【0076】次に、以上に説明したハイブリッド型炭化
物を製造する炭化装置システムについて簡単に説明す
る。炭化装置システムは、大別すれば、出発原料等を混
合・混練して焼成用原料を得る混合機及び混練機と、そ
の焼成用材料を成型する成型機と、急速乾燥する乾燥機
と、焼成する焼成炉とを備える。混合機は、以上に説明
した木質ファイバー等の繊維材、種々の固形の有機可燃
物、生ゴミ等から得られた流動材料、高吸水性ポリマ
ー、水等の液体、ベントナイト、水溶性有機物或いは水
溶性無機物等々の中から、適宜選択的に組み合せられた
原料を混合する。混練機は、混合機によって混合された
原料を、さらに成型可能な粘土状の焼成用材料となるよ
うに混練する。成型機としては、例えば焼成用材料を所
定の大きさに切断してバイブレータ等で転がしつつボー
ル状(粒状)に成型する粒状加工機、又は、棒状或いは
板状に連続押し出しによって成型する押し出し成型機等
を用いることができる。これらの成型機によれば、焼成
する前の成型体を、焼成用材料から連続的に好適に形成
することができる。急速乾燥機は、例えば、バーナーの
火炎を利用してもよいし、後工程の焼成炉から発生する
廃熱を利用することも可能である。また、焼成炉は、以
上に説明したように、開放型で、連続的に焼成が可能な
炉であればよい。
【0077】なお、混合機には原料を適宜供給する供給
装置が付属され、また、焼成炉には焼成されたハイブリ
ッド型炭化物を適宜取り出す取り出し装置が付属される
など、炭化装置システムには適宜付属する装置が配設さ
れるのは勿論である。また、以上の炭化装置システム
は、混合から焼成を行う全ての工程が連続的になされて
も良いし、例えば、混合から成型体の表面を殻状に急速
乾燥するまでの場所と、焼成する場所を分離してもよ
い。なお、成型体の表面を好適に乾燥すれば、容易に搬
送できる。また、成型体の形状は球形(ボール状)であ
ると効率的に好適に搬送できる。このように、炭化装置
システムを分離すれば、原料の成型体を製造する場所を
数多く設け、その成型体を焼成する焼成炉を1箇所に集
中することも可能である。これにより、高温での連続運
転が必要な焼成炉(炭化炉)の稼働率を高めることがで
き、燃焼に関する管理等も集中的に効率良く行うことが
できる。従って、生産性を向上でき、所定の機能を備え
るハイブリッド型炭化物を安価に得ることができる。
【0078】
【実施例】次に、本発明にかかるハイブリッド型炭化物
の製造について、具体的な実施例を以下に説明する。 (第1実施例)杉の間伐材を厚さ約1cm程度の破砕チ
ップ材を乾燥させ、ホウ酸飽和水溶液に24時間浸漬し
た後脱水して開放型のロータリーキルンで焼成した。こ
れにより、やや硬いハイブリッド炭化物ができた。な
お、この炭化物は従来の木炭と異なり、難燃性の炭化物
となっていた。
【0079】(第2実施例)木材の厚さ約1cm程度の
破砕チップ材をファイバー加工機でファイバー状に細か
くして、これをホウ酸飽和水溶液とベントナイト水溶液
とを混合した液に1分間浸漬したとき、脱水し、開放型
のロータリーキルンで燃焼したところ短時間で硬いハイ
ブリッド型炭化物が得られた。
【0080】次に、関連技術の実験例を以下に説明す
る。 (関連技術の第1実験例)杉の間伐材を、約厚さ1cm
の木質チップをファイバー加工機で、綿のようなファイ
バー(木質ファイバー)を作った。この木質ファイバー
に焼酎廃液がどの程度含浸して利用できるかを下記のよ
うな配合割合(容積比)で試験した。 木質ファイバー 10部 焼酎液 8部 発泡スチロール粉末 2部 ベントナイト 2部 上記配合材料を混練機で充分混練したところ水分が高い
にもかかわらず、粘土状の成型可能な材料を得ることが
できた。これを直径約15mmのボール状に成型加工
し、急速に乾燥し、開放型のロータリーキルンで焼成し
た。詳細には、ボール状の成型体にバーナーの火炎を約
10秒間あてることで、その成型体の表面を急速乾燥
し、約850℃の酸化雰囲気中で約6分間焼成した。こ
れによれば、表面に亀裂(クラック)が発生せず、非常
に軽く多孔質で瞬時に水を吸水する吸水性(保水性)の
極めて高いハイブリッド型炭化物が得られた。また、こ
のハイブリッド型炭化物のかさ比重は、約0.10であ
った。
【0081】(関連技術の第2実験例)前記木質ファイ
バーと食品廃棄物を組合せ配合することによって食品廃
棄物が容易に軽い炭化物として活用できるかを、下記の
ような配合割合(容積比)で試験した。 木質ファイバー 10部 りんごのジュースかす 5部 廃棄バナナ 5部 廃棄キャベツ 5部 ベントナイト 3部 上記配合材料を混練機で充分混練したところ、成型可能
な粘土状の材料を得ることができた。これを直径約15
mmのボール状に成型加工し、第3実施例と同様にロー
タリーキルンで焼成した。これによれば、表面にクラッ
クが発生せず、軽くやや硬いハイブリッド型炭化物が得
られた。また、このハイブリッド型炭化物のかさ比重
は、約0.15であった。
【0082】(関連技術の第3実験例)高吸水性ポリマ
ー粉を使用(混合)した場合と、使用しない場合のハイ
ブリッド型炭化物に係るかさ比重の比較試験を行った。
配合割合(容積比)は、下記のようにした。 試験A; 木質ファイバー 10部 ベントナイト 1部 高吸水性ポリマー 0.05部 水 12部 (試験結果) かさ比重 0.1 試験B; 木質ファイバー 10部 ベントナイト 1部 高吸水性ポリマー 0部 水 8部 (試験結果) かさ比重 0.15 上記において水分量が異なるのは、試験Bにおいて12
部にすると、どろどろ状になり、成型ができなくなった
ためである。(すなわち、Bの場合は成型可能な水分量
が、8部と少なくなった。) 上記配合材料を混練機で充分混練したところ、試験A、
B共に、成型可能な粘土状の材料を得ることができた。
これを直径約15mmのボール状に成型加工し、前記実
施例と同様にロータリーキルンで焼成した。これによれ
ば、試験Aによって得られたハイブリッド型炭化物のか
さ比重は、成型したものでは、今までに得ることができ
なかった軽いものであった。
【0083】(関連技術の第4実験例)焼酎廃液のよう
な有機質液が、高吸水性ポリマーを添加することで、高
い水分(高水分)の状態でも成型ができ、軽量炭化物が
得られるかを下記の配合割合で試験した。 木質ファイバー 10部 焼酎廃液 12部 ベントナイト 1.5部 高吸水性ポリマー 0.05部 上記配合材料を混練機で充分混練したところ、高水分の
状態でも成型可能な(粘土状の)混合物を得ることがで
きた。これを直径約15mmのボール状に成型加工し、
前記実施例と同様にロータリーキルンで焼成した。これ
によれば、表面にクラックが無く、かさ比重が約0.1
0のハイブリッド型炭化物(多孔質炭化物を得ることが
できた。
【0084】(関連技術の第5実験例)油のような流動
材料が炭化できるか、下記の配合割合によって試験し
た。 古紙 3部 食用廃油 1部 ベントナイト 1部 砂糖 0.05部 水 4部 上記配合材料を混練機で充分混練し、これを直径約15
mmのボール状に成型加工し、乾燥後、酸化性雰囲気の
ガス炉で900℃6分間焼成した。その結果、かさ比重
0.20の軽い炭化物を得ることができた。
【0085】(関連技術の第6実験例)塗装の際に大量
に発生する飛散塗料回収廃液が炭化できるか、下記の配
合割合で試験した。 木質ファイバー 5部 塗装廃液 3部 ベントナイト 1.5部 砂糖 0.1部 水 5部 上記配合材料を混練機で充分混練し、これを直径約15
mmのボール状に成型加工し、乾燥後、酸化性雰囲気の
ガス炉で900℃6分間焼成した。その結果、かさ比重
0.25の軽く吸水性の良い炭化物を得ることができ
た。以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明
してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
なく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施
し得るのは勿論のことである。
【0086】
【発明の効果】請求項1にかかる本発明によれば、ホウ
酸等の水溶性無機物を用いることで、均質で所望の形態
に生成できると共に、機能性に富み軽量で好適なハイブ
リッド型炭化物を得ることができるという著効を奏す
る。また、請求項2にかかる本発明によれば、ホウ酸等
の水溶性無機物を用いることで、無機質粘結材を用いず
とも好適に焼成ができ、さらなる軽量化が可能であると
いう著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる破砕装置の一実施例を概念的に
説明する平面図である。
【符号の説明】
10 破砕装置 11 軸線 12 回転軸 14 螺旋刃 16 突出部 20 筒状体内
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D004 AA09 AA12 AA46 BA06 CA04 CA14 CA15 CA26 CB09 CB13 CC03 CC11 CC15 DA02 DA03 DA06 DA07 4G019 GA04 4G030 AA35 AA60 AA66 HA05 4G066 AA05B AA56D AA63D AA75A BA22 EA20 FA02 FA23 FA26 FA34 FA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可燃物或いは可燃物を含む物を出発原料
    とし、該出発原料に無機質粘結材を混合して水分と共に
    混練することで、前記無機質粘結材が水を媒体として分
    散され、そして所定の形態に成型された後、焼成されて
    成るハイブリッド型炭化物において、 前記出発原料に、前記無機質粘結材と共に水溶性無機物
    を混合して水分と共に混練することで、前記無機質粘結
    材及び前記水溶性無機物が水を媒体として分散され、成
    型・焼成されて成ることを特徴とするハイブリッド型炭
    化物。
  2. 【請求項2】 可燃物或いは可燃物を含む物を出発原料
    とし、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬し、該
    水溶性無機物が含浸された後、焼成されて成ることを特
    徴とするハイブリッド型炭化物。
  3. 【請求項3】 前記出発原料が、チップ状又は繊維状の
    木質材等、所定の大きさより小さく形成されたものであ
    ることを特徴とする請求2記載のハイブリッド型炭化
    物。
  4. 【請求項4】 前記水溶性無機物が、ホウ酸であること
    を特徴とする請求12又は3記載のハイブリッド型炭化
    物。
  5. 【請求項5】 可燃物或いは可燃物を含む物を出発原料
    とし、該出発原料を水溶性無機物の水溶液に浸漬し、該
    水溶性無機物が含浸された後、焼成されて成るハイブリ
    ッド型炭化物の製造方法において、 前記出発原料にかかる浸漬前の乾燥、前記水溶性無機物
    にかかる加圧又は減圧による圧力調整、又は前記水溶性
    無機物の温度変化による置換法によって、前記出発原料
    への前記水溶性無機物の含浸を促進させることを特徴と
    するハイブリッド型炭化物の製造方法。
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