JP2001215719A - パターン形成方法 - Google Patents

パターン形成方法

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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる配座で基板に取り付け可能な分子、及び
そのような分子からなる層状媒体、並びに、かかる層状
媒体またはその下層の基板あるいはその両方に所定のパ
ターンを形成する方法を提供する。 【解決手段】本発明の、基板に取り付け可能で、異なる
安定または準安定配座間で切り替え可能な分子は、これ
らの配座のうち、少なくとも1つは、基板に近接するこ
とにより発生および(または)安定化される。このよう
な分子からなる層状媒体は、上記分子の配剤を制御され
た方法により切り替えることで、パターン形成すること
ができる。従って、この層状媒体は、リソグラフィ応用
分野におけるレジスト、データ記憶媒体、および2つの
媒体間における電子移動を促進するものとして使用でき
る。開示した方法は、層状媒体中のパターンを発生さ
せ、さらに、識別するのにも使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、様々な配座におい
て基板の表面に密着することのできる分子、1つの配座
から他の配座に切り替えることによりこのような分子の
層にパターン形成する方法、ならびにこのようなパター
ン形成した層の、リソグラフィ、データ記憶、および表
示技術への使用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】過去40年にわたるコンピュータ技術の
劇的な進歩は、3つの基本的なハードウェア要素、すな
わち記憶装置、プロセッサ、およびディスプレイの他に
比を見ない発達によるものである。3つの分野のすべて
において、表面構造化の技術および科学は不可欠な重要
性を有する。小型化および高密度化の傾向は、性能、信
頼性、および生産性の改善とあいまって、表面および境
界面の、分子または原子レベルまでの良好な制御をます
ます必要とする。
【0003】現在、集積回路および記憶装置の設計の基
準は、最も重要な従来の構造化技術には、原理的な限界
に近づいているものがあるほど小さくなっている。たと
えば、標準的な光学リソグラフィは、波長の約2分の
1、紫外線放射については約140nmより大きい寸法
が限界である。CD−ROMのビットサイズは、現在の
発光ダイオードは波長が800ないし1000nmの赤
色光を放射するため、約0.5μmに制限される。明ら
かに、設計基準をさらに減少させるためには新しい技術
を必要とする。
【0004】ディスプレイ技術に関しては、パネル設計
がフラット化の傾向にあるため、大型のマトリックス・
アドレス可能な画素アレイの必要性が増大している。こ
こでの技術的な問題は、小型化ではなく、エネルギー効
率、収率、およびコストである。現在、液晶ディスプレ
イ(LCD)がフラット・パネル技術で主要な役割を果
たしている。LCDセルは、電圧を適当に供給すること
により、光の透過性が変化する。薄膜トランジスタ(T
FT)のアレイが、個々のLCDセルをオン・オフする
ことにより、優れたコントラストが達成される。しか
し、この方法は高価であり、TFT−LCDも相応して
高価である。さらに、LCDは外部光源、すなわち白色
光をフィルタに通すことにより得られる各種の色により
照射されなければならないため、一般にエネルギー効率
が悪いという欠点がある。これらの欠点のため、ディス
プレイ業界はLCD技術に代わる可能性のある技術への
関心が大きい。
【0005】発光ダイオード(LED)は、LCDより
エネルギー効率が高いが、現在入手できるLEDは大規
模ディスプレイ・パネルには高価すぎる。したがって、
この分野での現在の研究開発活動は特に、低コスト大量
生産に有望な有機LED(OLED)に集中している。
OLEDの設計および特性に関する概要は、J.R.シ
ーツ(J.R. Sheats)、H.アントニアディス(H. Anto
niadis)、M.ヒューシェン(M. Hueschen)、W.レ
オナード(W. Leonard)、J.ミラー(J. Miller)、
R.ムーン(R. Moon)、D.ロイトマン(D. Roitma
n)、およびA.ストッキング(A. Stocking)、「Orga
nic Electroluminescent Devices」、Science、Vol.27
3、p.884、1996年に記載されている。主として、OLE
Dは金属電極と透明な半導体電極との間に挟まれた重合
体の層で構成される。現在のOLEDの主な欠点は、環
境との化学的相互作用、および電極材料に対する重合体
の電子的特性の整合が悪いために必要とされる、過度に
高いエネルギーでの電子注入による劣化により耐用寿命
が短いことである。
【0006】しかし、電極と重合体との境界面に隣接す
る分子を改質することにより、電子注入能力に影響を与
えることが可能である。たとえば、A.ハラン(A. Har
an)、D.H.ウォルデック(D.H. Waldeck)、R.ナ
ーマン(R. Naaman)、E.ムーンズ(E. Moons)、お
よびD.カーヘン(D. Cahen)、「The Dependence of
Electron Transfer Efficiency on the Conformational
Order in Organic Monolayers」、Science、Vol.263、
p.948-950、1994年に、オクタデシルトリクロロシラン
(OTS)分子の単分子層の、シリコン電極から電解質
水溶液への電子移動(ET)過程への影響が記載されて
いる。
【0007】OTS層は、加熱することにより、1つの
配座から他の配座に変換することができる。異なる配座
は、ある分子結合の湾曲(bending)または屈曲(flexi
ng)により生じる分子の異なる幾何形状に対応する。
【0008】本発明の発明者は、電流電圧特性は、OT
S分子の被覆率(degree of coverage)だけではなく、
OTS分子の配座にも依存することを見いだした。1つ
の実験で、層が1つの配座から他の配座に変換される
と、0.2Vの電圧における逆電流は、4.5μAから
0.2μAに変化した。
【0009】微小構造の制御された製造に向けての研究
は、近年の走査型プローブ顕微鏡(SPM)の開発によ
り大幅に促進されている。SPMのプローブ・チップ
が、原子的、または原子に近い解像度で試料の表面構造
の変化を監視するだけではなく、同様のスケールで表面
を改質(modify)させるのにも使用できることが、多く
の例により確認されている。たとえば、T.A.ジュン
(T.A. Jung)、R.R.シュリットラー(R.R. Schlit
tler)、J.K.ギムゼウスキー(J.K. Gimzewski)、
H.タン(H. Tang)、およびC.ジョアチム(C. Joac
him)は、Science、Vol.271、p.181、1996年に、SPM
チップの影響により、各分子を所定の新しい固定位置に
移動することができ、または位置を変化することなく改
質させることができる、あるいはその両方が可能なこと
を示している。これらの研究を追求する中で、分子の柔
軟性(flexibility)がこのような操作に重要な役割を
果たすことが見出された。
【0010】基板上の固定された順序の分子層は、たと
えばラングミュア・ブロジェット(LB)膜もしくは自
己集合単分子層(SAM)膜を形成し、または協同自己
集合を行い、または昇華もしくは配座エピタキシにより
付着している分子により形成される。
【0011】分子は、それを構成する各種のエンティテ
ィ(entities)の(準)安定な配向または位置あるいは
その両方により特徴づけられる各種の配座で存在するこ
とができる。これらの分子の各種エンティティは、他の
エンティティの原子へよりも強く相互間で結合してい
る、個々の原子または分子に類似の原子のサブエンティ
ティで構成される。個々のエンティティ間の接続は、エ
ンティティの相対的回転運動の軸として機能することの
できる単分子結合であることが多い。各種の配座間の切
り替え(switching)は、通常このようなエンティティ
の回転リアライメントで行われる。このようなエンティ
ティに構造化される分子は、有機化学では標準的なもの
である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、異なる配座で基板に取り付け可能な種類の分子を提
供することにある。本発明の第2の目的は、異なる配座
で基板に取り付け可能な分子からなる層状媒体を提供す
ることにある。本発明の第3の目的は、異なる配座で基
板に取り付け可能な分子からなる層状媒体に所定のパタ
ーン形成を行う方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、いくつかの安
定なまたは準安定な配座の存在によって、これらの配座
を個々に、または外部の影響によりある範囲内で決定
し、切り替え(switch)られる、切り替え可能な分子の
基板への固定に関する。
【0014】異なるエンティティを適切に組み合わせる
ことにより、1つの配座ではある種の適用例の必要条件
を満たし、他の配座では大幅に異なる分子が設計でき
る。このような変化を受ける技術的に重要な特性には、
化学活性、導電性、色、分子寸法、および基板への密着
力などがある。反対に、これらの変化は各種の識別(in
terrogating)技術により、ある種の分子またはそのよ
うな分子の層状媒体の配座を特定するのに使用すること
ができる。このような分子の異なる配座は、配位座標に
おける系の分子/基板のポテンシャル・エネルギーの極
小によって定義される。通常、この座標の関数としてプ
ロットした場合、ポテンシャル・エネルギーが少なくと
も2つの特徴のある極小を有するように、2つの配座間
の各変換について関連する配位座標を定義することがで
きる。これらの極小の位置と深さにより、これらの配座
にあるエンティティのそれぞれの構造的配置と、熱励起
または外部の影響あるいはその両方に対する安定性とが
決まる。最も深い極小は、分子の安定な配座に対応す
る。他の配座はすべて準安定である。対応するエネルギ
ー極小とその近傍との間のエネルギー障壁が、室温で2
5meVに及ぶ熱エネルギーと比較して十分大きい場
合、分子は無期限に準安定な配座で存在することができ
る。
【0015】配座切り替えの原因となる外部の影響に
は、たとえば、巨視的なスイッチのように、分子を他の
配座に急速に移動する程度に変形する機械的な力、分子
が他の配座の基底状態に崩壊するよう、励起状態に上昇
させる光または電子の放射、分子が熱励起またはトンネ
リングにより他の配座に転じる(flip)程度に、特定の
エネルギー障壁の高さまたは幅あるいはその両方を低下
させる電場の供給などがある。以下、「配座」の用語
は、外部の影響による切り替えが可能な、分子の配座の
みをいうものとする。
【0016】本発明は、異なる配座で基板に取り付け可
能な種類の分子を提供する。これらの配座の少なくとも
1つは、基板表面の近傍で生じまたは安定化され、ある
いはその両方が行われる。さらに、これらの分子は、構
造化手段によって与えられる外部の影響により、これら
の配座のうち、少なくとも2つの間で切り替え可能であ
る。
【0017】たとえば、超真空下で(100)配向のC
u結晶表面上に新しく付着させたCu−テトラ−(3,
5−ジ−tert−ブチルフェニル)ポルフィリン(C
u−TBP−ポルフィリン)分子は、遊離分子の配座と
類似の配座に残留する。この配座では、分子の周辺エン
ティティは、中央エンティティの平面に対して垂直に配
位され、中央エンティティは、相互作用の力に影響され
ることがほとんどないほど、基板表面から十分遠くにあ
る。しかし、この中央エンティティは、STMのチップ
により押し下げられると、引力、ここでは接着力のた
め、基板に向かって強く引かれ、チップが除去されても
この第2の状態のままになる。すなわち、系Cu−TB
P−ポルフィリン/基板は、遊離の分子と異なり、双安
定性(bistable)である。
【0018】Cu−TBP−ポルフィリンを例とする本
発明の第1の実施態様である分子は、異なるエンティテ
ィで構成され、物理的接着または化学結合の形成あるい
はその両方により基板に取り付けることができる。この
ことは、これらの分子が基板表面に沿って自由に運動す
ることができても、これらの分子の位置は少なくとも1
つの寸法に固定されるという利点がある。さらに、基板
は切り替え中に分子にかかる力をバランスさせ、または
分子が電場に露出されると電極として機能するという利
点もある。この分子はさらに、基板が存在するときの
み、配座の1つが安定であるという性質がある。具体的
には、エンティティの1つは切り替え中に、基板とその
エンティティとの間に作用する引力が、第1の配座では
無視できるほど小さいが、第2の配座では切り替え後そ
のエンティティが基板表面に安定に密着するほど強くな
るように、基板に対する位置を変える。このことは、自
由空間で1つの配座にのみ存在する分子は、基板に取り
付けられて双安定性となり、したがって後述の各種の適
用例で使用することができるという利点を有する。基板
との相互作用の劇的な変化は、基板に支配された配座で
は分子は完全に不動であるが、他の配座では基板表面に
沿って運動可能であり、またはその逆であるという利点
も有する。
【0019】第2の実施態様である分子は、少なくとも
1つの配座で基板上のある位置に固定され、したがって
識別手段または構造化手段により個別にアドレスするこ
とができるという利点を有する。特に、構造化手段は、
分子を選択して、1つの配座から他の配座に切り替える
ことができる。分子の固定は、特定の分子の配座または
複数のこのような分子の配座を、識別手段により局所的
に個別に決めることができるという利点も有する。
【0020】第3の実施態様である分子は、2つの配座
間で順番に繰り返し切り替えることができ、これにより
表示装置または読み書き記憶装置に応用できるという利
点を有する。
【0021】第4の実施態様である分子は、明白な、し
たがって実現しやすい設計概念により構造化できるとい
う利点を有する。すなわち、中央エンティティは観察可
能な物理的、化学的特性を支配するように設計すること
ができ、一方1個または数個の周辺エンティティは、分
子の構造全体を画定し、または潜然的に中央エンティテ
ィを保護し、または分子を基板に接続する「脚」を形成
し、あるいはそれらの組合せを実施することができる。
この分子のさらに有利な特徴として、切り替え工程中
に、たとえば周辺エンティティを垂直から斜め位置に傾
斜させることにより、中央エンティティの基板からの距
離を変化させることができる。その結果、分子は第1の
配座では基板表面に沿って移動可能になるが、第2の配
座では完全に固定される。さらに、分子は第1の配座で
は溶媒により容易に除去でき、第2の配座より高さが高
くなる。また、分子の電子状態の特性は2つの配座で大
幅に異なる。したがって蛍光などの分子の光学的特性は
2つの配座で劇的に異なる。
【0022】上述の切り替え可能、取り付け可能な分子
の予想される適用例は、個々の分子の大きさより(はる
かに)大きい面積についての被覆、制御または改質ある
いはそれらの組み合わせを必要とする。そこで、本発明
は、これらの分子からなる層状媒体を提供する。
【0023】完全な単分子層の形状の、本発明の第5の
実施態様である層状媒体は、下層の基板を効果的に保護
する高密度の被膜を形成する利点を有する。一方、不完
全な単分子層は、基板の部分を露出して、層状媒体を除
去しなくても、媒体を改質することによりこの部分にア
クセスすることができるという利点を有する。
【0024】第6の実施態様である層状媒体は、分子が
どの配座にあっても固定されるという利点を有する。こ
のことは、分子が再現可能にアドレスできるため、分子
を情報担体または可逆切り替え要素として使用する適用
例で好ましい。
【0025】第7の実施態様である層状媒体は、不完全
な単分子層の分子が熱励起により水平方向へ位置を連続
的に変化する利点を有する。したがって、基板の一部は
恒久的に分子により被覆されない。すなわち、この部分
はある期間環境に露出され、この期間に改質手段の攻撃
を受ける。一方、分子が完全な単分子層を形成する配座
では、基板表面は環境の影響から恒久的に遮蔽される。
【0026】第8の実施態様である層状媒体は、分子が
基板から層状媒体上に位置する媒体へ、またはその逆の
電子移送を制御する局所的な電気スイッチとして機能す
る利点を有する。切り替えは、1つの配座では基板か
ら、または基板への電子の放出を容易にするが、他の配
座では放出に好ましくないような、層状媒体中の分子の
電子レベルの配置によって可能になる。
【0027】本発明の層状媒体の適用例は、層状媒体の
OLEDへの取り込みにより、注入能力が構造化手段に
よりオンオフできる電子注入層が与えられるため、層状
媒体の重要な適用例である。たとえば、構造化手段はO
LEDの2個の電極に供給される短い電圧パルスを与え
ることができる。代替方法として、たとえば、圧電的に
発生する圧力パルスが、切り替えを起こすことができ
る。切り替え可能な電子注入層の機能は、現在のアクテ
ィブLCDに使用される薄膜トランジスタの機能と類似
している。
【0028】本発明の層状媒体の、多くの予想される適
用例は、この層状媒体または下層の基板あるいはその両
方中に所定のパターンを生成することを必要とする。そ
こで、本発明は、このようなパターン形成を行う好まし
い方法を提供する。
【0029】本発明の実施態様では、層状媒体、および
任意で下層の基板を構造化する工程の、多様な変形を開
示する。
【0030】本発明の他の実施態様では、局所的に、制
御された方法で、1つまたはいくつかの外的影響を与え
ることにより、パターンを形成する方法を開示する。こ
れらの外的影響には、巨視的なスイッチのように分子が
異なる配座に転じることができる程度に分子を変形させ
る機械的な力、分子が他の配座の基底状態へ崩壊するこ
とができる励起状態に分子を引き上げる光または電子の
照射、または特定のエネルギー障壁の高さまたは幅ある
いはその両方を、分子が熱励起もしくはトンネリングに
より他の配座に転じる程度に減少させる電場の供給など
がある。
【0031】本発明の第10の実施態様である方法は、
分子が1つの配座にある領域と、分子が他の配座にある
他の領域とからなる層状媒体中に所定のパターンを形成
する利点を有する。層状媒体は、分子がすべて当初は同
一の配座にあるように製作することが好ましい。その後
他の配座に変換すべき領域は、第1の段階で適当な構造
化手段により選択し、第2の段階でこれに影響を与える
環境に露出する。
【0032】本発明の第11の実施態様である方法は、
いずれか1つの配座にある分子が選択的に基板から除去
され、基板が層状媒体に被覆された領域と、基板表面が
被覆されていない他の領域とからなる所定のパターンが
後に残るという利点を有する。第1の分子除去手段はこ
の目的に使用され、分子除去手段として溶剤または湿式
もしくは乾式エッチャントを用いることができる。
【0033】第12の実施態様である方法は、第10お
よび任意で第11の実施態様の方法で処理された基板の
表面が、基板表面の保護されていない部分を攻撃する改
質手段に露出することにより、パターンの形状に構造化
されるという利点を有する。改質手段は、基板表面の保
護されていない部分から材料を除去するか、この部分に
材料を付着させることができる。第7の実施態様の層状
媒体を使用した場合、この層状媒体は改質手段を基板に
アクセスさせることができるため、この処理工程は任意
である。
【0034】第13の実施態様である方法は、基板から
層状媒体の残渣を除去し、基板表面に所定のパターンを
後に残すという利点を有する。第2の分子除去手段をこ
の目的に使用することができる。この手段は第1の手段
と同様、溶剤または湿式もしくは乾式エッチャントとす
ることができるが、層状媒体の一部の、または層状媒体
の一部であった分子をすべて除去する能力を有するもの
でなければならない。完全に除去することは、たとえば
集積回路電子エレメントの製造において、必要に応じて
基板をさらに処理できる利点を有する。
【0035】第14の実施態様である、可動の誘導スタ
イラス(stylus)によるパターン形成は、基板上の層状
媒体の、極めて小さい部分を選択し、切り替えることが
できるという利点を有する。これにより、基板上に対応
して小さい寸法の構造を描くことができる。基板に沿っ
てのスタイラスの経路をプログラミングし直すことによ
り、自由にパターンの形状が変更できることも、この方
法の利点である。スタイラスの外部の影響には、たとえ
ば、機械的圧力、電場または電子もしくは光子のビーム
への露出などがある。したがって、このパターン形成方
法は、たとえば研究開発における試験など、十分な柔軟
性を必要とする適用例に特に適している。
【0036】第15の実施態様である、スタンプによる
パターン形成は、非常に簡単であるという利点を有す
る。とくに、パターンが非常に複雑な構造をしていて
も、すべてのパターンを同時に形成することが可能であ
る。さらに、パターンは容易に、大量に複製することが
できる。したがって、このパターン形成方法は、たとえ
ば、第6の実施態様である層状媒体を記憶媒体として使
用した、コンパクト・ディスク型の読み取り専用記憶キ
ャリアなどの大量生産に適している。
【0037】第16の実施態様である、アクチュエータ
・アレイによるパターン形成は、パターン形成手段、す
なわちアクチュエータ・アレイが、基板に対して固定の
位置に残存するという利点を有する。活性化すべきアレ
イ・エレメントに適切にアドレスすることにより、パタ
ーンの形状を自由に変化させることができることも、こ
の方法の利点である。特に、機械的運動を必要としない
ため、いくつかのエレメントを同時に平行して操作すれ
ば、高速処理が可能となる。したがって、このパターン
形成方法は、たとえば読み書き記憶装置または表示装置
の切り替えエレメントとして使用した場合など頻繁に可
逆的なパターン変更を行う適用例に適している。
【0038】アレイのエレメントは、たとえば、電極、
圧電ペスル(pestle)、またはシャッタ付きの照射され
たアパーチャなどの光源とすることができる。電極は、
層状媒体の分子を局部的に電場または電子ビームに露出
させる利点を有する。圧電ペスルは、機械的圧力を与え
るか、または媒体に衝撃波を送ることができるという利
点を有する。光源は、層状媒体の分子を新しい配座に崩
壊する励起電子状態にするという利点を有する。
【0039】第17の実施態様である照明または粒子ビ
ーム装置によるパターン形成は、パターン形成に市販の
リソグラフィ装置が使用できるという利点を有する。
【0040】第14ないし第17の実施態様のいくつか
の方法を好ましい形で組み合わせることも可能である。
たとえば、パターン形成工程でSPMチップのアレイを
使用して、処理能力を増大させることができる。
【0041】第18の実施態様であるパターン識別は、
ある領域にある分子の配座を、パターン形成に使用する
手段と同一の手段で決定することができるという利点を
有する。このことは、形成したパターンを、スポットで
どうにかして修正することができる位置の誤り(potent
ial error)に関して制御することができる利点も有す
る。もう1つの主要な利点は、記憶媒体として層状媒体
を使用する場合、読み取り処理に必要な、既存のパター
ンの形状を決定する能力である。
【0042】本発明は、特定の単分子、分子アセンブ
リ、およびデータ記憶のための基板との界面における単
分子層の、新種のレジストとして、または各種の分子装
置に関連する適用に関するものである。主要な操作は、
界面を接する基板と共に、分子の官能性を設計すること
により形成される分子の配座間の切り替えである。具体
的には、界面を接する基板の関連する特性を考慮した官
能性の設計により得られた分子の双安定性を使用するこ
とである。記載した実施例は、ポジティブおよびネガテ
ィブ・レジストの適用、および超高密度記憶を含む。
【0043】本発明はさらに、分子の特性、特に電子移
動および光子放射率のアドレスおよび切り替えの方法を
提供する。
【0044】分子を1つの配座から他の配座に切り替え
る活性化エネルギーおよび機構は、分子の構造、内部柔
軟性、および分子と基板との総合相互作用により選択す
ることができる。分子/基板の系は、切り替えのポテン
シャル障壁が、熱エネルギーkT(Tは信頼性のある操
作温度を示す)より十分高い場合に最適に調節できる。
【0045】この分子は、既存の方法で合成することが
できる。基板表面におけるこの分子の不動化により、マ
イクロおよびナノ・オーダーの製造装置、および以後の
任意の処理方法の使用が可能になる。新種のレジストと
して分子層中にこの分子を適用することにより、ナノメ
ートル・スケールのパターンの形成が可能になる。開示
した分子、層状媒体、および方法により、広い適用性
と、他の確立された、および開発中の方法との多様な組
み合わせが可能になる。
【0046】ここに提示する実施例には、レジスト適用
例、超高密度記憶および表示の適用例が含まれる。本発
明は、基板上の位置のアドレス指定、切り替え、ならび
に分子の特性、とりわけ基板への密着度および電子移動
効率の識別を行う方法を提示する。
【0047】ここに開示する分子のクラスに属する様々
な分子ならびに様々な開示の方法により、広範囲の適用
ならびに既に定着したまたは開発中の他の技術との併用
が可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明の各種の実施例について、
下記に説明する。第1図(a)は、ここでは中央エンテ
ィティである第1のエンティティ1と、周辺エンティテ
ィである2個の第2のエンティティ3で構成される分子
の略図である。第1のエンティティ1は、接続2を介し
て第2のエンティティ3に結合している。エンティティ
3は、第2の引力5により基板4に密着している。この
分子は第1の配座18にあり、中央エンティティ1と周
辺エンティティ3は互いに直角に配向している。この配
向は、接続2の方向性(directionality)に関してエネ
ルギー的に好ましい。中央エンティティ1は基板4から
ある距離を置いて位置し、この位置では第1の引力6、
ここでは基板4が中央エンティティ1に作用する近距離
の接着力が小さく、したがって図示されていない。第2
の引力5による分子と基板4との相互作用は周辺エンテ
ィティ3の基板表面にすぐ近くの部分に限定される。し
たがって、第1の配座18は、自由空間または溶液中の
分子の安定な配座にほぼ等しい。
【0049】第1図(b)に、中央エンティティ1が基
板4の表面に近付くように周辺エンティティ3を横に傾
斜させた第2の配座19にある分子が示されている。こ
の場合、中央エンティティ1は基板4に向かっての強い
引力6の影響を受けている。中央エンティティ1の位置
は、追加の引力6と、接続2の傾斜による発生する復元
力とのバランスにより決定される。第2の配座19は、
分子が自由空間または溶液中にある場合は存在しない。
傾斜角は、この分子の該当する配位座標として用いられ
る。
【0050】第1図(c)は、変換、すなわちここでは
SPMチップであるスタイラス7の影響により第1の配
座18から第2の配座19への切り替えを概略的に示
す。このモジュールは、基板4上の分子の完全単分子層
15からなる層状媒体の一部である。SPMチップ7
は、たとえば機械的圧力を分子に与えることにより、選
択した分子を切り替えさせる。
【0051】第2図(a)および第2図(b)は、2つ
の配座18および19にある他の種類の分子を示す。こ
の分子は、4個の接続2により閉じたチェーンの形で互
いに結合した第1のエンティティ1、第2のエンティテ
ィ3、および2個の第3のエンティティ8で構成されて
いる。ここでは、4個のエンティティ1、3、8は同一
である。第2図(a)は、接続2の傾斜した形状がこの
分子にとってエネルギー的に好ましいため、エンティテ
ィ1、3、8が平行四辺形の形で配列された、第1の配
座18にあるこの分子を示す。第2のエンティティ3
は、第2の引力5を介して基板4に密着している。他の
エンティティ1および8は、基板4から遠すぎるため、
大きな引力を受けない。
【0052】第2図(b)は、第1のエンティティ1と
第2のエンティティ3が基板4上に平坦に横たわり、第
3のエンティティ8が第1のエンティティ1と第2のエ
ンティティ3の上に横たわった第2の配座19にある分
子を示す。第1のエンティティ1および第2のエンティ
ティ3はそれぞれ、基板4がもたらす引力5および6を
受ける。第3のエンティティ8は、凝集力9によりエン
ティティ1および3に牽引される。第2の配座19にあ
る分子の形状は、接続2の強い変形を示唆する。得られ
た弾力は引力6と凝集力9とにより平衡を保つ。接続2
の傾斜角の1つは、この種の分子に対する配位座標とし
て選択することができる。
【0053】第3図は、第1図による2つの配座18お
よび19で基板4上に存在することができる分子の1つ
であるCu−テトラ−(3,5−ジ−tert−ブチル
−フェニル)ポルフィリン(Cu−TBP−ポルフィリ
ン)の構造式を示す。中央エンティティ1がCu−ポル
フィリン部分である。周辺エンティティ3は、4つのブ
チルフェニル基である。接続2は、それぞれ中央エンテ
ィティ1と周辺エンティティ3のC原子間の方向性(di
rectional)分子結合からなる。周辺エンティティ3
は、これらのC−C軸を中心として回転することがで
き、平均傾斜角はこの分子の該当する配位座標である。
【0054】第1の配座18では、第1図(a)に示す
ように、周辺エンティティ3は、図の平面からC−C軸
を中心として90度回転している。したがって、周辺エ
ンティティ3は、そのC−C軸に対する周辺エンティテ
ィ3の空間的広がりにより与えられる距離を超えて、中
央エンティティ1が基板4に近付くのを防止する。第2
の配座19では、第1図(b)に示すように、周辺エン
ティティ3は、図の平面とほぼ平行に配向し、これによ
り中央エンティティ1と基板4とを接触させる。
【0055】第4図(a)および第4図(b)は、それ
ぞれ第1図および第2図に示す2つの分子のエネルギー
・ポテンシャルEを、それぞれ該当する配位座標φの関
数として概略的に示したものである。破線の曲線10
と、実線の曲線12はそれぞれ、自由空間、および基板
4に隣接する分子のポテンシャルを示す。第4図(a)
で、破線の曲線10は極小ポテンシャル11および2つ
の極大ポテンシャル14を、実線の曲線12は3つの極
小ポテンシャル、すなわち1つの相対的に高い極小ポテ
ンシャル11と、2つの相対的に低い極小ポテンシャル
13を有する。
【0056】第4図(a)の、破線の曲線10の単一極
小ポテンシャル11は、自由空間にはエネルギー的に好
ましい配向は1つしかなく、それは第1の配座18の配
向であることを示している。基板4に取り付けると、さ
らに2つの極小ポテンシャル13が、基板4と中央エン
ティティ1との間に作用する第1の引力6により得られ
る。極小13は、ポテンシャル・エネルギーが極大14
の場合に生じるため、遊離分子に最も好ましくない関連
配位座標φの値で得られる。極小13は、第2の配座1
9に対応する。いくつかのポテンシャル極小13、11
が存在することは、2つ以上の安定または準安定な配座
間で分子を切り替えることができることを示す。
【0057】第2図に示す種類の分子についての、自由
空間での安定な配座を第2図(a)に示す。第2図
(b)に示す配座も、凝集力9により原理的に可能であ
る。得られたポテンシャル曲線10を第4図(b)の破
線の曲線で示し、したがって、すでに自由空間では等し
くない極小11および13を有するが、第2の極小13
は浅い。したがって、熱励起により分子が対応する配座
に長期間とどまることが防止される。基板4は、第1の
引力6によりこの第2の配座を安定化する。これを第4
図(b)の実線の曲線12における深い極小13で示
す。
【0058】第5図(a)ないし第5図(c)は、基板
4上の完全単分子層15として配置された切り替え可能
な分子を有する層状媒体と、パターンが形成されるよう
に所定の領域で選択的に分子を切り替える3つの装置を
示す。分子は第1の配座18から第2の配座19に切り
替えられる。図では2つの配座を、それぞれ「H」およ
び「/-/」の線により示す。
【0059】第5図(a)は、たとえばSPMチップな
どのスタイラス7を使用したパターン形成を示す。スタ
イラス7を単分子層15に近接させて水平に移動させる
と、接触した分子が第1の配座18から第2の配座19
に切り替えられる。所定の領域を第1の配座18のまま
にするには、これらの選択した領域の上を移動する間、
スタイラス7を引き上げることができる。
【0060】第5図(b)は、突出部21を有するスタ
ンプ20を使用したパターン形成を示す。単分子層15
の所定の領域を切り替えるものとする。突出部21は、
層状媒体の領域に機械的圧力を与え、単分子層15の領
域の分子を第1の配座18から第2の配座19に切り替
える。
【0061】第5図(c)は、個別のアクチュエータ3
1からなるアクチュエータ・アレイ30を使用したパタ
ーン形成を示す。単分子層15の所定の領域が、単分子
層15にある分子を第1の配座18から第2の配座19
に切り替える電場に露出される。切り替えるべき領域
は、個別のアクチュエータ31を電圧供給ライン33に
接続する電気スイッチ32により選択される。電圧供給
ライン33は、基板4に接続した第2の電圧供給ライン
34に対して電圧USに保持されている。
【0062】第6図および第7図は、リソグラフィ工程
において、基板4の表面にパターンを形成するための、
取り付けおよび切り替え可能な分子の単分子層の使用を
示す。この適用例では、単分子層15はレジストの機能
を有する。
【0063】第6図は、基板4に密着させた、第1図の
「H」型配座18にある分子などの、配座18および1
9の両方にある分子からなり、完全単分子層15で構成
される層状媒体に必要な種々の工程を示す。
【0064】第6図(a)および第6図(b)は、たと
えば第5図に示す分子を第1の配座18から第2の配座
19に切り替える装置の1つを使用してパターン形成す
る前後の、基板4上の分子の単分子層15を示す。第6
図(c)に示す次の工程では、第1の配座18の分子
が、第1の分子除去手段により除去される。次に、第6
図(d)に示すように、基板4を第2の配座19にある
残りの分子とともに、基板4の被覆されていない領域を
選択的に攻撃する改質手段42に露出する。ここでは第
6図(d)に示す所定のエッチング深さである所望の改
質レベルに達すると、改質手段42から層状媒体を除去
することにより改質工程を終了し、残留する分子の単分
子層15を第2の分子除去手段により除去すると、第6
図(e)に示すように、基板表面上に隆起したパターン
があとに残る。
【0065】第7図は、最初は移動可能で基板4上に不
完全単分子層15を形成する第1の配座18にある分子
からなる単分子層15に適用できる、代替のリソグラフ
ィ工程を示す。第1の配座18にある分子と基板4との
間に作用する第2の引力5が十分に小さいため、表面の
一部が一時的に分子により被覆されないように、基板4
に沿って分子が熱運動を行うことができる。
【0066】第7図(a)および第7図(b)は、たと
えば第5図に示す分子を第1の配座18から第2の配座
19に切り替える装置の1つを使用してパターン形成す
る前後の、基板4上の分子の単分子層15を示す。この
第2の配座19では、分子は基板4上に平坦に位置し、
引力(5、6)により結合している。この第2の配座1
9では、これらは基板4の所定の領域を完全に被覆して
いる。
【0067】第7図(c)に示す次の工程では、2つの
配座18および19にある分子の単分子層15を有する
基板4を、第1の配座18にある分子が基板表面に浮遊
する(floating)基板4の領域を選択的に攻撃する改質
手段42に露出する。熱により誘起される分子の運動に
より、改質手段42は第1の配座18にある分子がある
領域内のすべての場所に到達する。配座18にある分子
は、基板4にゆるく結合しているのにすぎないため、改
質手段42により基板4から除去される。しかし、第2
の配座にある分子は、基板4が変更されるのを防止す
る。改質は材料除去工程である必要はなく、第2の配座
にある分子を遮蔽マスクとして使用して、必要な材料の
層を成長させるなどにより、材料を追加する工程であっ
てもよい。
【0068】その後の工程は、第6図に示す第1の工程
と同様、すなわち、改質手段42を除去し、これにより
エッチング工程を停止させ、さらに第2の配座19にあ
る分子を除去する。実際に2つの工程の相違は、第6図
(b)に示す第1の配座18に残っている単分子層15
の、これらの部分を除去する工程である。この工程は、
第2の工程の場合、第1の配座18にある分子は基板4
の表面上を移動可能であり、したがって改質手段42に
より基板4が攻撃されるのを恒久的には防止しないた
め、不必要である。
【0069】第8図(a)は、記憶媒体として、基板4
上に2つの配座18および19を有する単分子層の形態
の、取り付けおよび切り替え可能な分子を有する層状媒
体の使用を示す。情報は、変化する配座18、19中に
記憶される。配座18および19は寸法、電気抵抗、反
射率、透過率、磁気特性などに影響を与えることがある
ため、層状媒体の領域におけるこれらの特性の1つまた
はいくつかを変更することは、記憶された情報を検索す
るのに使用することができる。パターンは、第5図に示
す装置の1つを使用して形成、すなわち書き込むことが
できる。パターンに記憶された情報を識別、すなわち読
み取る目的で、ここでは走査型トンネル顕微鏡(ST
M)のチップであるスタイラス7を、近接させ、好まし
くは一定の距離で単分子層15に沿って移動させる。
【0070】第8図(b)は、トンネル電流Itと時間
tとの関係を概略的に示す。電子のトンネリングの確率
は、チップ先端の下にある分子の配座18および19に
敏感に依存するため、トンネル電流は2つの異なる値の
間で変動する。ビット値「1」および「0」は、容易に
トンネル電流Itの2つの異なる値に割り当てることが
できる。第9図は、これまで知られていたOLEDと異
なり、ここでは2つの配座18および19にある分子の
単分子層15からなる層状媒体を内蔵するOLEDの断
面を概略的に示す。OLEDの他の要素は、上部から底
部に、透明電極60、連続発光重合体層61、および導
電性基板4である。基板4および透明電極60は、電圧
供給ライン33および34を介して電圧USに接続され
ている。
【0071】図は、基板4から注入される電子62およ
び重合体層61から発射される光子63も示す。基板4
は、透明電極60に対する電子注入対向電極として機能
する。重合体層61に注入される電子は、光子63の発
射によりエネルギーを失う。注入の確率は、重合体層6
1と基板4との境界面の特性、すなわち単分子層15の
電子移動(ET)能力に敏感に依存する。電子移動(E
T)能力は、分子の電子状態により決まる。分子の電子
状態は、分子の配座18および19が異なることによっ
て異なる。したがって、単分子層15中の分子を適切に
設計することにより、それぞれの分子を第1の配座18
から第2の配座19に変えることにより、このようなO
LEDを効率の高い発光状態から暗状態へ、またはその
逆に切り替えさせる。配座18と19の切り替えは、第
5図で説明した装置による方法と類似の方法、たとえば
短い電圧パルスを与えることにより行うことができる。
電極4および60を適切に構造化することにより、OL
EDの所定の領域での電子移動(ET)能力をオン・オ
フさせることができ、したがって発光をオン・オフさせ
る。このような能力は、OLEDのディスプレイへの応
用分野に有用で、アクティブLCDにおける薄膜トラン
ジスタ・スイッチの機能と同様な機能を与える。
【0072】要約すれば、本発明はいくつかのエンティ
ティ1、3に分割可能な分子に基づくものである。エン
ティティ1、3は、たとえば電子軌道2を結合すること
により幾分柔軟に接続されている。エンティティ1、3
は、相互に異なる配向で、安定または準安定に配置する
ことができ、異なる配向は分子の配座18および19に
対応する。安定な配向は、異なる配座18および19の
配位座標に関する分子のポテンシャル・エネルギーの極
小、またはそれら配座における配位の性質によって与え
られる。分子は、異なる配座18および19の少なくと
も1つで、所望の基板4の表面に、安定に密着する。切
り替えは、相互にまたは基板4に対するあるいはその両
方について、エンティティ1、3の相対的回転または並
進運動あるいはその両方で行うことができる。
【0073】記載した実施例のほか、データ記憶、リソ
グラフィ、分子電子移動、および光電装置からの発光に
おける分子の配座の切り替えでは、一般に、配座が分子
系の物理的化学的特性を決定することを示すことが重要
である。したがって、分子の配座の設計、集積、および
アドレス指定のための記載した方法は、他の物理的化学
的検出機構と組み合わせることができる。上述の装置お
よび方法は、検出またはナノスケールの機能構造を組み
立てるため、互いに、および他の技術と組み合わせるこ
とができる。具体的に、上記技術は、カンチレバー型セ
ンサ、振動リード磁力計、NMR、ESR、免疫セン
サ、導波および回折光学センサ、単一光子検出/単一分
子分光分析装置など、どのような検出方法とも組み合わ
せることができる。また、代替特性も、開示の方法によ
り、制御されまたは切り替えることができる。一般に、
たとえばクロモフォリティ(chromophority)、ホトク
ロミック作用、エレクトロクロミック作用、触媒作用、
酵素作用、薬効作用、比反応性(specific reactivit
y)、スピン・レベル、免疫作用、NMRラベル、ホル
モンなど、どのような化学官能性も、配座の切り替え/
活性化と組み合わせることができる可能性がある。例と
して、有機超電導体の超電導のパターニングまたは制
御、たとえば1つのある配座では隠され、他の配座では
ある反応物質に露出される基による選択的化学反応性の
制御、たとえば層の磁気、光反射率など、層の磁気的、
電気的特性変化などがある。設計された配位系を混合し
たものは、特性を現すために利用することができる。上
記の配位的不活性形態に隠された比反応性の例を使用し
て、種々の反応前駆物質を特定して合成する(integrat
ed)ことができる。この実施例に具体的に記載した粒子
ビーム、光学リソグラフィ、スタンピングなどの集積技
術(integration techniques)のほか、配位形態の励
起、組み立ておよび集積の技術、たとえば接触力なども
使用できることが証明されている。また、化学的自己ア
センブリ技術、LIGAなど、機能構造をリソグラフィ
により集積する進歩した探求的な手段のほか、進歩した
「ボトム・アップ」集積技術を使用することもできる。
書き込み媒体はいずれも読み取り媒体としても使用する
ことができる。一般に、どのような読み取り機構も使用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、第1の安定な配座にある中心エンテ
ィティと周辺エンティティを有する分子(a)、第2の
安定な配座にある中心エンティティと周辺エンティティ
を有する分子(b)、及び、異なる安定な配座にある3
個の分子と、1本のスタイラスを有する基板(c)を示
す、概略図である。
【図2】本発明の、第1の安定な配座にある4個の等し
いエンティティを有する分子(a)、及び、第2の安定
な配座にある4個の等しいエンティティを有する分子
(b)を示す、概略図である。
【図3】Cu−テトラ−(3,5−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ポルフィリン(Cu−TBP−ポルフィリ
ン)の構造式を示す図である。
【図4】自由空間(破線)および基板表面近傍(実線)
における分子の、特定の配位座標に関するポテンシャル
・エネルギーを示す図であり、(a)ポテンシャル・エ
ネルギーにより、基板近傍に新しいポテンシャル井戸が
発生し、(b)ポテンシャル・エネルギーにより、基板
近傍にある既存のポテンシャル井戸が強化されることを
示す図である。
【図5】本発明の、層状媒体の選択した領域の分子を、
(a)SPMのチップ、(b)スタンプ、または(c)
電気アクチュエータ・アレイにより、1つの配座から他
の配座へ切り替える装置を示す図である。
【図6】切り替え可能、取り付け可能な分子の完全単分
子層を有する基板の表面を構造化する工程を段階的に示
す図である。
【図7】切り替え可能、取り付け可能な分子の不完全単
分子層を有する基板の表面を構造化する工程を段階的に
示す図である。
【図8】本発明の、STMチップである可動スタイラス
により、層状媒体の分子の配座を識別する装置を示す図
(a)、及び、(a)に示す装置のチップが層状媒体の
表面に沿って移動する時の、トンネル電流の変化を示す
図(b)である。
【図9】異なる2つの配座で存在し、そのうち1つが電
子注入プロモータとして機能する、切り替え可能、取り
付け可能な分子を有する層状媒体を有するOLEDを示
す概略図である。
【符号の説明】
1 第1のエンティティ 2 接続 3 第2のエンティティ 4 基板 5 第2の引力 6 第1の引力 7 SPMチップ 8 第3のエンティティ 9 凝集力 15 単分子層 18 第1の配座 19 第2の配座
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/28 (72)発明者 ユング、トーマス スイス国タールヴィル、クラリデンシュト ラーセ 2 (72)発明者 シュリットラー、ラート、アール. スイス国シューネンヴェルク、ヒットナー シュトラーセ 7

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも1つの接続によって
    相互に結合された少なくとも2種類のエンティティを含
    み、少なくとも2つの異なる安定または準安定な配座を
    とり得る分子を、前記配座で、単一層に配置するステッ
    プと、 前記層の領域を選択するステップと、 前記選択した領域中の前記分子を前記配座のうちの1つ
    から、他の1つに切り替える構造化手段に、上記選択し
    た領域を露出させるステップとを含み、 前記少なくとも2つの異なる配座は、前記エンティティ
    の上記基板または相互にもしくはその両方に対する配列
    が異なることにより識別可能であり、前記配座のうち第
    1の配座では、上記エンティティのうち第2のエンティ
    ティと前記基板との間の第2の引力により前記分子が前
    記基板に引きつけられ、前記エンティティのうち第1の
    エンティティが前記基板に対して、前記第2の引力と比
    較して無視できる第1の引力を有する位置を有し、上記
    配座のうち第2の配座では、前記第1のエンティティが
    前記第1の引力により前記基板に結合する位置を有する
    ことを特徴とする、パターン形成方法。
  2. 【請求項2】前記分子が前記第1および第2の配座間で
    可逆的に切り替え可能であることを特徴とする、請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記第1のエンティティが分子内に中央位
    置を有し、前記第2のエンティティが前記第1のエンテ
    ィティに対し移動可能に接続された少なくとも1個の周
    辺エンティティを含むことを特徴とする、請求項1また
    は2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記配座の一方にある分子を除去するステ
    ップをさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】前記除去ステップの後、前記基板の固定位
    置に残留する分子をパターニング・マスクとして使用し
    て、前記基板にパターンを形成することを特徴とする、
    請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記構造化手段は、スタイラス、スタン
    プ、アクチュエータ・アレイ及び照射装置または粒子ビ
    ーム装置からなる群から選択されることを特徴とする、
    請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】請求項1または5に記載された方法で形成
    された、前記層状媒体中または前記基板上のパターンを
    識別する方法であって、 スタイラス、スタンプ、アクチュエータ・アレイ及び照
    射装置または粒子ビーム装置からなる群から選択された
    識別手段を使用して、パターンを識別する方法。
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