JP2001215691A - 平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版の製造方法

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JP2001215691A
JP2001215691A JP2000020714A JP2000020714A JP2001215691A JP 2001215691 A JP2001215691 A JP 2001215691A JP 2000020714 A JP2000020714 A JP 2000020714A JP 2000020714 A JP2000020714 A JP 2000020714A JP 2001215691 A JP2001215691 A JP 2001215691A
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acid
group
photosensitive layer
alkali
printing plate
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JP2000020714A
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English (en)
Inventor
Hideo Miyake
秀夫 三宅
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Drying Of Solid Materials (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の処理装置や印刷装置をそのまま利用で
き、コンピューター等のデジタル情報から直接製版可能
であり、全体に均一な画像を形成し得る、現像液の電導
度ラチチュードが広い感光層を有する平版印刷版原版の
製造方法を提供する。 【解決手段】 支持体上に、アルカリ可溶性高分子化合
物と、光を吸収して発熱する化合物とを含有する感光層
塗布液を塗布したプレートを、加熱ロールに接触させて
乾燥する伝導加熱乾燥工程を有することを特徴とする。
この伝導加熱乾燥工程に先だって、送風による対流加熱
方法で乾燥する対流加熱乾燥工程を有することが乾燥条
件均一性向上の観点から好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷マス
ターとして使用できる平版印刷版原版の製造方法に関す
るものであり、特にコンピュータ等のディジタル信号か
ら直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外線レ
ーザ用ポジ型感光性組成物からなる感光層を設けた平版
印刷版原版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、リスフィルム等を介さずにコンピ
ュータのディジタルデータから直接製版するシステムが
注目されている。近年におけるレーザの発展は目ざまし
く、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・
半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できる
ようになっており、このディジタルデータから直接製版
するシステムの露光光源として、これらのレーザは非常
に有用である。
【0003】レーザ書き込みに適する画像記録材料とし
て、特開平7−285275号公報には、クレゾール樹
脂のような結着剤と光を吸収して熱を発生する物質に、
キノンジアジドのような熱分解性であり、かつ分解しな
い状態では、前記結着剤の溶解性を実質的に低下させる
物質を含むポジ型画像記録材料が提案された。これは、
赤外線レーザの露光により、露光部分において、前記光
を吸収して熱を発生する物質が発熱し、露光部の溶解性
を発現させるものである。このような赤外線レーザで記
録可能な感光層を有する平版印刷版原版は、露光による
ディスクリミネーションが小さいため、従来問題となら
ないような因子の影響を受けやすい。そのひとつとし
て、感光層塗布液の塗布、乾燥時に乾燥条件の不均一に
起因する感光層の局所的な現像性の低下を生じ、現像不
良による膜残り、非画像部の汚れが生じやすくなること
が見出された。
【0004】通常、平版印刷版原版は、金属板、プラス
チックシート、あるいは紙などの長尺の帯状物である支
持体に記録層や保護層などの各層を積層あるいはコーテ
ィングして製造され、各層の形成は所定の成分を有機溶
剤に溶解あるいは分散してなる塗布液を支持体に塗布
し、乾燥することにより行われる。この乾燥方法として
は、一般的な方法である塗布液を塗布した支持体に熱風
を吹き付けて乾燥する(対流加熱)方法、特開昭60−
149871号公報に記載の如く、支持体の上下に配設
した加熱板からの放射熱により乾燥する(放射加熱)方
法、また、特開昭60−21334号公報や同61−6
2778号公報等の記載の如く、ロール内部に熱媒体を
導通し、支持体をこのロールに接触させ、ロール表面か
らの熱伝導により乾燥する(伝導加熱)方法が挙げられ
る。。
【0005】これらの乾燥条件が現像性へ影響を与える
のは前述の通りであるが、乾燥条件が過酷であれば、画
像形成可能な現像液の電導度は高くなり(現像性が低く
なり)、緩やかであれば、画像形成可能な現像液の電導
度は低くなる(現像性が高くなる)傾向にある。特に赤
外線レーザで記録可能な感光層においては、温度や濃度
(電導度)のばらつきの許容範囲が狭く、このため、プ
レート全体の共通する画像形成条件が狭くなってしま
う。
【0006】従来より感光層の塗布後の乾燥は温風の送
風を利用した対流加熱方法をとることが一般的であった
が、送風による乾燥方法では、支持体上の感光層の両端
部近傍が乾燥過多となり、高温に達し、さらには、中央
部近傍では溶剤が残留する傾向があり、これらの影響に
より、得られた平版印刷版原版の感光層において両端部
が中央部よりも現像性が低下するという問題があった。
また、伝導加熱方法による乾燥を行った場合、プレート
の中心部の温度が両端部と比べて高くなる傾向があり、
この場合も画像形成性にズレが生ずる。いずれの場合に
おいても、プレート全体の画像形成可能な現像液の電導
度ラチチュードが狭いという問題が生じる。このような
局所的な現像性の低下に対応するためには、感光層を形
成する感光性組成物の処方の改良では限界があり、感光
層全体の現像性を向上させると、部分的な過剰現像によ
る画像端部の欠損や細線の切れ、網点の部分的な欠落な
どを生じ易くなり、所望の画像形成性が得られず、有効
な解決方法が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の処理装置や印刷装置をそのまま利用でき、コンピュー
ター等のデジタル情報から直接製版可能であり、全体に
均一な画像を形成し得る、現像液の電導度ラチチュード
が広い感光層を有する平版印刷版原版の製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、感光層を
形成する方法についてを種々検討した結果、支持体上の
感光層の到達温度を制御することで、感光層全体にわた
る均一な現像性を維持できることを見いだし、本発明を
完成した。なお、以下、支持体上に感光層塗布液を塗布
した原版を、適宜、単に「プレート」と称する。本発明
の平版印刷版原版の製造方法は、アルミニウム支持体上
に、アルカリ可溶性高分子化合物と、光を吸収して発熱
する化合物とを含有する感光層塗布液を塗布した後、加
熱ロールに接触させて乾燥する伝導加熱乾燥工程を有す
ることを特徴とする。
【0009】このような加熱ロールへの接触による伝導
加熱は、均一な加熱に適するが、加熱ロールの加熱方式
によっては、加熱ロール自体に温度偏差が生じ、中央の
温度が高くなる虞がある。この偏差は加熱ロールの制御
により容易に回避されるが、さらに、従来の対流加熱方
式を組み合わせることにより、感光層の到達熱量が容易
に平滑化されプレート全体の現像性を均一としうること
を見いだした。即ち、本発明の請求項2に係る平版印刷
版原版の製造方法は、アルミニウム支持体上に、前記感
光層塗布液を塗布したプレートに、送風による対流加熱
方法で乾燥する対流加熱乾燥工程と、前記伝導加熱乾燥
工程とを、順次施すことを特徴とする。
【0010】本発明の方法によれば、支持体上に塗布さ
れた感光層塗布液は、加熱ロールに接触させて乾燥する
ことにより、プレートの幅方向に対して同時に均一な加
熱を行うことができ、均一の乾燥条件で乾燥されること
から、局所的な温度の上昇や乾燥不良による塗布液溶剤
の残留がなく、均一な感光層を形成することができる。
さらに、前記、プレート支持体に高温のロール(加熱ロ
ール)を接触させる伝導加熱乾燥工程の前に、送風によ
る対流加熱乾燥工程を加えることで、加熱ロールの温度
条件の厳格な制御を行わなくても、容易に到達熱量が平
滑化され、プレート全体の画像形成性を均一とすること
ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の平版印刷版原版の製造方法は上記のごと
く、従来より知られている赤外線感光性組成物、すなわ
ち、アルカリ可溶性の高分子化合物と光を吸収し、熱を
発生する物質を含有する赤外線感光性組成物により形成
された、赤外線レーザで記録可能な感光層を有する平版
印刷版に適用して優れた効果を奏する。まず、本発明の
特徴的な工程である伝導加熱乾燥工程について述べる。
この工程では、予め支持体上に塗布された感光層塗布液
を乾燥させるため、このプレートを加熱ロールに接触さ
せ、加熱ロールの温度により感光層の乾燥を行うもので
ある。ここで用いる加熱ロールの温度は支持体の種類、
走行速度、塗布液の種類などを考慮し、適宜決定される
が、好ましくは110〜150℃の範囲である。
【0012】加熱ロールへの熱媒体はオイル、溶融金
属、加熱水蒸気等が利用され、このため加熱ロールの全
面にわたり温度を均一となしうる。この温度制御はオイ
ルや溶融金属の温度を制御することで容易に行うことが
できる。加熱温度はプレートとの接触面における温度を
測定して求めるが、同一の加熱ロールを用いる場合に
は、熱媒体の温度と接触面の温度との関係を一度詳細に
測定すれば、熱媒体の温度の制御のみで温度制御を容易
に行うことができる。
【0013】また、加熱時間は、プレートが加熱ロール
に接触する際の角度は加熱ロールの次に接触するロール
(スイングロール)の位置を変えることにより適宜決定
することができる。このスイングロールの位置を変える
ことによりプレート(通常は支持体側に接触させる)へ
の接触時間、すなわち加熱温度が決定される。スイング
ロールは支持体の厚みに応じて移動し、厚みが大きいほ
ど接触角度を大として、加熱時間を長くするような制御
を行うことができる。すなわち、連続する熱伝導度の異
なる支持体を用いたプレートであっても、加熱ロール出
口における温度を一定に制御することができる。
【0014】スイングロールの前記移動は加熱ロール近
傍の段階的あるいは連続的軌道により移動させることが
でき、所定の軌道を描いて移動させることが好ましい。
所定の軌道としては、例えば、直線軌道、あるいは加熱
ロールの外周に沿う円軌道又は楕円軌道あるいはこれら
を組み合わせることができる。スイングロールを移動さ
せる手段として、例えば、油圧シリンダとこれに固定さ
れる棒状部材との組み合わせにより構成される。
【0015】以下に、本発明の方法に用い得る加熱ロー
ルを組み込んだ平版印刷版原版の乾燥装置の一態様につ
いて説明する。本発明の方法に用い得る乾燥装置は、走
行するプレートなどの帯状物1に接触可能に配される加
熱ロール8と、該加熱ロールと前記加熱帯状物との接触
角度を定めるスイングロール9と、前記帯状物の厚みに
応じて前記接触角度が変化するように該スイングロール
を移動させるスイングロール移動手段15を備えてい
る。そして、前記スイングロール移動手段15は、スイ
ングロール9を前記加熱ロール8近傍領域で移動させる
移動機構と、前記帯状物の厚みを検出する検出手段と、
該検出手段の出力信号により前記移動機構を作動制御す
る制御手段とを備えることが好ましい。上記帯状物を乾
燥する加熱ロールは、走行する帯状物をこのロールに接
触させて加熱するもので、帯状物はこの加熱ロールから
の伝導伝熱によって乾燥される。
【0016】加熱ロールの温度は、帯状物を所定の溶剤
残留量程度まで乾燥しうるように設定され、帯状物の種
類、走行速度および有機溶剤の種類などを考慮して適宜
設定される。加熱ロールへの熱媒体としては、オイル、
溶融金属、加熱水蒸気等が利用される。
【0017】接触角度は、図1に示すように、帯状物1
と加熱ロール8との接触範囲をθで表したものである。
この角度θは、スイングロール9の位置によって定ま
り、スイングロールを移動させることによりこの角度θ
は変化する。また、この接触角度θは、帯状物1の加熱
ロール8に対する接触時間、すなわち加熱時間を決める
ことができ、θを変化させることにより加熱時間を調節
することができる。従って、スイングロール9を移動さ
せることにより接触角度θを変化させこれにより帯状物
の加熱時間を調節することができる。スイングロール9
は、帯状物の厚みに応じて移動し、厚みが大きい場合に
は接触角度θが大になる、すなわち加熱時間が長くなる
ように移動する。帯状物は、その厚みに応じて加熱ロー
ルから伝熱量を受け、この熱量により溶剤は蒸発し乾燥
が行われる。従って、熱容量の異なる連続帯状物であっ
ても、加熱ロール出口での帯状物の温度が一定となり、
これによって塗膜中の残留溶剤を一定とすることができ
る。
【0018】スイングロールの前記移動は、加熱ロール
近傍を段階的又は連続的に、好ましくは所定の軌道を描
いて移動させることができる。所定の軌道としては、例
えば直線軌道、あるいは加熱ロールの外周に沿う円軌道
または楕円軌道或いはこれらの組合せとすることができ
る。スイングロールを所定軌道上に移動させる移動機構
として、例えば直線軌道を採る場合には、図1に示すよ
うに油圧シリンダ10とこれに固定される棒状部材17
との組み合わせにより構成することができる。また、円
軌道の場合は、図3に示すようにピストン30とクラン
ク機構31により達成される。あるいは、この組み合わ
せは、ピストンとラックであってもよい。すなわち、ス
イングロールの公転中心にピニオンを取り付け、このピ
ニオンをピストンに固定したラックとかみ合わせ、ピス
トンの往復運動をスイングロールの公転運動にかえるよ
うにしてもよい。あるいはまた、ラックの代わりにピニ
オンをパルスモータの出力軸とかみ合わせるようにする
こともできる。更に、楕円軌道の場合は、例えばクラン
ク運動、すなわち図3における点Pの軌跡が楕円を描く
ことから、この点Pにスイングロール9を取り付け加熱
ロール8の外周に沿って楕円軌道を描くよう構成するこ
ともできる。更にまた、図4に示すように、シリンダー
10と棒状部材17の組合せにおいて、点Aを回転中心
とするようにスイングロール9を取付けることによって
も楕円軌道を描くことができる。
【0019】以下、本発明の好適な実施の態様を図面に
基づき説明する。図1は、本発明に用い得る乾燥装置に
よる乾燥工程を含む平版印刷版製造工程の全体の概略構
成図である。本製造工程図には塗布工程と乾燥工程を含
む。
【0020】図1において、帯状物即ち、支持体又は感
光層塗布液塗布後のプレート1は供給側原反ロール2と
巻取側巻取りロール3間に掛け渡され巻取りロール3に
より所定の速度で両ロール間を走行するようになってい
る。この支持体原反ロール2の近傍には塗布装置4が設
けられ、この塗布装置4は、塗布ローラ5と感光層塗布
液6が貯留された塗布液槽7とからなっている。そし
て、この塗布装置4と巻取りロール3間には乾燥装置が
設けられている。この乾燥装置は、加熱ロール装置8
と、スイングロール9と、スイングロール移動手段15
とからなる。
【0021】加熱ロール装置8は、図2に示すように、
帯状物1が接触する中空の金属ロール11を有し、この
金属ロール11は、熱媒体供給部12と連通し中空内部
に水蒸気が送り込まれるようになっている。また、金属
ロール11には、これを回転させるための駆動モータ1
3及びこの駆動モータ13を制御する制御装置14が設
けられている。スイングロール9は、移動手段15の移
動機構によりこの金属ロール11の近傍を所定直線軌道
16を描いて移動可能に配されている。スイングロール
移動手段15は、油圧シリンダ10より構成される移動
機構と、帯状物1の厚みを検出する検出手段18と、こ
の検出手段18の出力信号により前記移動機構、すなわ
ち油圧シリンダ機構を作動制御する制御装置19とを備
えている。
【0022】油圧シリンダ10は、そのピストンロッド
23に棒状部材17を保持し、この部材17にスイング
ロール9が回転可能に取り付けられている。そして、ピ
ストンの往復運動に伴ってスイングロール9はピストン
摺動方向に平行な直線軌道16上を往復移動する。制御
装置19は、その入力側に検出手段18が、その出力側
に電磁弁20がそれぞれ接続され、電磁弁20は、3位
置4方向制御弁で、油圧源21と油圧シリンダ10との
間に介在され、制御装置19からの電気信号により両者
間を連通・遮断して油圧シリンダに圧を導入・導入停止
するようになっている。本態様では感光層塗布液の塗面
がスイングロール9に接触する例を示したが、支持体側
とスイングロールが接触する形式であってもよい。
【0023】本発明の方法における好ましい態様を実施
する場合には、図5の工程図に示すように、塗布装置4
と加熱ロール装置8との間に乾燥オーブン24を設け、
ここで温風による対流加熱乾燥工程を予め行った後、加
熱ロール装置8による伝導過熱乾燥工程を行うことが好
ましい。
【0024】次に、本発明の平版印刷版原版の製造方法
が好適に適用される平版印刷版の構成について説明す
る。本発明に係る平版印刷版は、支持体上に、アルカリ
可溶性高分子化合物と、光を吸収して発熱する化合物と
を含有する感光層を設けてなるものである。ここで用い
られる支持体の種類は特に制限されるものではなく、例
えば、各種プラスチックシート、紙、あるいは金属等、
寸法安定性に優れたシートであれば、用途に応じて適宜
選択される。この支持体は、感光層形成に必要な成分が
揮発性有機溶剤に溶解あるいは分散された塗布液を塗布
して影響を受けない材質を選択する必要がある。
【0025】感光層は、赤外線レーザーで記録可能なポ
ジ型の感光性組成物により形成される。これらの成分
は、揮発性有機溶剤に溶解あるいは分散された塗布液と
して支持体条に適用される。揮発性有機溶剤は用いられ
る有効成分との関連で適宜選択されるが、一般的には、
例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メ
チルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メ
トキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテ
ート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメト
キシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テト
ラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン
等を挙げることができるがこれに限定されるものではな
い。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。溶
媒中の下記感光性組成物を構成する成分(添加剤を含む
全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%であ
る。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固
形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版につ
いていえば一般的に0.5〜5.0g/m2程度である
ことが好ましい。
【0026】本発明に係る平版印刷版原版の感光層は、
アルカリ可溶性高分子化合物及び、光を吸収して発熱す
る化合物に加えて前記アルカリ可溶性高分子化合物と相
溶することにより高分子化合物のアルカリ水溶液への溶
解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性低下作
用が減少する化合物を含有する赤外線レーザ用ポジ型感
光性組成物を支持体上に塗布することにより形成され
る。本発明の製版方法における画像形成メカニズムは、
アルカリ可溶性高分子化合物と、光を吸収して発熱する
化合物と、を組み合わせることにより、塗膜形成時に
は、安定な感光層が形成されるが、この感光層を赤外線
レーザの照射による露光工程に付することにより、露光
部分において光を吸収して発熱する化合物が発熱し、こ
の熱により、アルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ可
溶性が効果的に発現され、現像工程におけるアルカリ現
像処理液によって露光部分が除去されると考えられる。
この感光層に、分子内に前記のアルカリ可溶性高分子化
合物と相互作用する基を有し、高分子化合物と相溶する
ことにより高分子化合物のアルカリ水溶液への溶解性を
低下させるとともに、加熱により該溶解性低下作用が減
少する化合物を添加することにより、露光部分における
可溶性を低下させずに、未露光部分の耐アルカリ現像性
を向上させることができるため、このような化合物を併
用することが好ましい。
【0027】本発明に係るポジ型感光層において用いら
れるアルカリ可溶性高分子化合物は、不溶性であり、且
つ、アルカリ水に可溶性の高分子化合物である。このよ
うなアルカリ可溶性高分子化合物とは、高分子中の主鎖
および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、こ
れらの共重合体またはこれらの混合物を包含し、これら
はアルカリ性の現像液で現像可能なものである。アルカ
リ可溶性高分子化合物としては、下記(1)〜(6)に
挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有
するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶
解抑制能発現の点で好ましい。
【0028】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CO
NHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0029】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0030】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0031】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、以下
のものを挙げることができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重
合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側
鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いること
もできる。
【0032】フェノール基を有する化合物としては、フ
ェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、また
はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0033】アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×105で、数平均分子量が
2.0×102 〜1.0×105のものが、画像形成性
の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いる
のみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。組み合わせる場合には、米国特許第4123279
号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0034】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニ
ロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基
または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低
分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(a)〜
(e)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
【化1】
【0036】〔式中、X1、X2は、それぞれ独立に酸素
原子又はNR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水
素原子又はCH3を表す。R2、R5、R9、R12、R
16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数
1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリー
レン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、R13は、
それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭
素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、そ
れぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12
のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラル
キル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水
素原子又はCH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立
に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12
のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又
はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に
単結合又は−CO−を表す。〕
【0037】一般式(a)〜(e)で表される化合物の
うち、本発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−
アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−
アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−
(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を
好適に使用することができる。
【0038】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する
化合物を挙げることができる。
【0039】
【化2】
【0040】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0041】(4)カルボン酸基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基と、重合可
能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合
物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体
を挙げることができる。 (5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基
と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げること
ができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子として
は、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分
子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成
単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができ
る。
【0042】本発明のポジ型平版印刷版用材料に用いる
アルカリ水可溶性高分子を構成する、前記(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特
に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する
最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する
最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いること
もできる。さらに、前記(1)〜(6)の酸性基を含ま
ない他の化合物との共重合体も用いることができる。
【0043】共重合の方法としては、従来知られてい
る、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共
重合法等を用いることができる。
【0044】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。前記アルカリ水可溶性高分子
は、それぞれ1種類のみを使用してもよいし、2種類以
上を組み合わせて使用してもよい。また、平版印刷版原
版の感光層を構成する感光性組成物の全固形分中、30
〜99重量%の範囲で用いるのが好ましく、40〜95
重量%の範囲で用いるのがより好ましく、更には50〜
90重量%の範囲で用いることが特に好ましい。
【0045】本発明における光を吸収して発熱する化合
物とは、700以上、好ましくは750〜1200nm
の赤外域に光吸収域があり、この範囲の波長の光におい
て、光/熱変換能を発現するものを指し、具体的には、
この波長域の光を吸収し熱を発生する種々の顔料もしく
は染料を用いることができる。前記顔料としては、市販
の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最
新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料が利用できる。
【0046】前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色
顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔
料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その
他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用で
きる。
【0047】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0048】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲に
あることが更に好ましく、0.1〜1μmの範囲にある
ことが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満の
ときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好まし
くなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点
で好ましくない。前記顔料を分散する方法としては、イ
ンク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が
使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミ
ル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボール
ミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイド
ミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等
が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC
出版、1986年刊)に記載がある。
【0049】前記染料としては、市販の染料及び文献
(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45
年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体
的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ
染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カル
ボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニ
ン染料等の染料が挙げられる。本発明において、これら
の顔料、若しくは染料のうち赤外光、若しくは近赤外光
を吸収するものが、赤外光若しくは近赤外光を発光する
レーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0050】そのような赤外光、若しくは近赤外光を吸
収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられ
る。また、赤外光、若しくは近赤外光を吸収する染料と
しては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭
59−84356号、特開昭59−202829号、特
開昭60−78787号等の公報に記載されているシア
ニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−
181690号、特開昭58−194595号等の公報
に記載されているメチン染料、特開昭58−11279
3号、特開昭58−224793号、特開昭59−48
187号、特開昭59−73996号、特開昭60−5
2940号、特開昭60−63744号等の公報に記載
されているナフトキノン染料、特開昭58−11279
2号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英
国特許434,875号公報に記載のシアニン染料、米
国特許5,380,635号公報に記載のジヒドロペリ
ミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0051】また、前記染料として米国特許第5,15
6,938号公報に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用
いられ、また、米国特許第3,881,924号公報に
記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム
塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,32
7,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム
塩、特開昭58−181051号、同58−22014
3号、同59−41363号、同59−84248号、
同59−84249号、同59−146063号、同5
9−146061号公報に記載されているピリリウム系
化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシア
ニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物や、市販品であるEpolight III−
178、Epolight III−130、Epolig
htIII−125、Epolight IV −62A(エ
ポリン社製)等は特に好ましく用いられる。
【0052】また、前記染料として特に好ましい別の例
として米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を
挙げることができる。これらの顔料若しくは染料は、前
記感光層全固形分に対し0.01〜50重量%、好まし
くは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは
0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1
〜10重量%の割合で前記感光性組成物中に添加するこ
とができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01重量
%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越え
ると感光層の均一性が失われ、感光層の耐久性が悪くな
る。これらの染料若しくは顔料は他の成分と同一の層に
添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよ
い。別の層とする場合、本発明の熱分解性でありかつ分
解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の溶解性
を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加
するのが望ましい。また、染料若しくは顔料とアルカリ
可溶性高分子化合物は同一の層が好ましいが、別の層で
も構わない。本発明においては、光を吸収して発熱する
化合物として、先に述べたような、アルカリ可溶性高分
子化合物と相溶することにより該高分子化合物のアルカ
リ水溶液への溶解性を低下させるとともに、加熱により
該溶解性低下作用が減少する化合物としての機能をも併
せ持つ化合物が好ましく用いられ、そのような化合物と
しては、例えば、下記一般式(Z)で表されるものが挙
げられる。
【0053】
【化3】
【0054】前記一般式(Z)中、R21〜R24は、それ
ぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アル
コキシ基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R21
とR 22、R23とR24はそれぞれ結合して環構造を形成し
ていてもよい。R25〜R30は、それぞれ独立に炭素数1
〜12のアルキル基を表し、ここで、R25〜R30として
は、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ド
デシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロヘ
キシル基等が挙げられる。また、これらの基が置換基を
有する場合、その置換基としては、ハロゲン原子、カル
ボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カル
ボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル
等が挙げられる。
【0055】R31〜R33は、それぞれ独立に水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基を表し、ここ
で、R32は、R31又はR33と結合して環構造を形成して
いてもよく、m>2の場合は、複数のR32どうしが結合
して環構造を形成していてもよい。また、mは1〜8の
整数を表し、好ましくは1〜3である。R34〜R35は、
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有し
てもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、R34はR35
と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の場合
は、複数のR34どうしが結合して環構造を形成していて
もよい。また、mは1〜8の整数を表し、好ましくは1
〜3である。
【0056】前記一般式(Z)において、X−は、アニ
オンを表す。アニオンの具体例としては、過塩素酸、四
フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン
酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼン
スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン
酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼ
ンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フ
ルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−
メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼン
スルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸等を挙げるこ
とができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチル
ベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸
が好ましく用いられる。
【0057】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明は
この具体例に制限されるものではない。
【0058】
【化4】
【0059】前記シアニン染料は、光を吸収して熱を発
生する性質を有し、しかも700〜1200nmの赤外
域に吸収域をもち、更にアルカリ可溶性高分子化合物と
の相溶性も良好であり、塩基性染料であり、分子内にア
ンモニウム基、イミニウム基等のアルカリ可溶性高分子
化合物と相互作用する基を有するために該高分子化合物
と相互作用して、そのアルカリ可溶性を制御することが
でき、本発明に係る感光層の成分として好適に用いるこ
とができる。
【0060】本発明に係る前記感光性組成物には、更に
必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
例えばオニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族
スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の
熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性
高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用
することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図
る点では、好ましい。
【0061】また、例えば、感度を向上させる目的で、
環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類、スルホニル
化合物類を併用することもできる。
【0062】また、現像条件に対する処理の安定性を広
げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3
−208514号公報に記載されているような非イオン
界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平
4−13149号公報に記載されているような両性界面
活性剤を添加することができる。
【0063】本発明に係る平版印刷版原版の感光層は、
通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗
布することにより製造することができる。塗布する方法
としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。感光層塗布
液の塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大に
なるが、感光層の皮膜特性は低下する。
【0064】前記感光層中に、塗布性を良化するための
界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報
に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加する
ことができる。好ましい添加量は、前記感光層全固形分
に対して0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05
〜0.5重量%である。このような塗布液の塗布後の乾
燥工程として、前記したような本発明の伝導過熱乾燥工
程を採用することにより、感光層の全体にわたって均一
な条件での乾燥が容易に達成でき、均一で現像ラチチュ
ードに優れた感光層を形成することができる。
【0065】上記のようにして作製された平版印刷版用
原版は、赤外線レーザによる露光、アルカリ現像処理液
による現像処理が施され、製版される。本発明に係る前
記感光層は、赤外線レーザによりポジ型の画像形成が可
能である。従って、露光工程(像様露光工程)におい
て、像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤
外から赤外領域において、700nm以上の発光波長を
持つ光源が好ましい。本発明の製版方法における光源
は、好ましくは700〜1200nmの発光波長の赤外
線の照射が可能な固体レーザ、半導体レーザが特に好ま
しい。
【0066】本発明の平版印刷版原版を製版する際に現
像工程に用いられるアルカリ現像処理液には特に制限は
なく、汎用のアルカリ現像処理液はいずれも好適に使用
しうる。本発明に係るアルカリ現像処理液は、塩基とし
てケイ酸アルカリを含有した、又は、塩基にケイ素化合
物を混ぜ系中でケイ酸アルカリとしたものを含有した、
所謂「シリケート現像液」としてもよい。また、ケイ酸
アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂
「ノンシリケート現像液」としてもよい。
【0067】−ケイ酸アルカリ− 前記ケイ酸アルカリとしては、ケイ酸ナトリウム、ケイ
酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等が
挙げられ、単独又は組合せて用いることができる。ケイ
酸アルカリのSiO2 /M2 Oモル比(Mはアルカ
リ金属を表す。)は、0.5〜3.0が好ましく、1.
0〜2.0が特に好ましい。上記のモル比が3.0を越
えるにつれて現像性が低下する傾向がある。また上記モ
ル比が0.5より小さくなるにつれてアルカリ強度が高
くなっていくので、感光性平版印刷版用原版の支持体と
して汎用されているアルミニウム板等の金属をエッチン
グする弊害が出てくるようになる。シリケート現像液中
のケイ酸アルカリの濃度は、1〜10重量%が好まし
く、1.5〜7重量%が特に好ましい。10重量%より
高くなると沈殿や結晶が生成しやすくなり、また廃液時
の中和に際してゲル化しやすくなるので廃液処理が煩雑
になる。また、1重量%より低くなると現像力、処理能
力が低くなる。
【0068】−非還元糖− ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有し
た所謂「ノンシリケート現像液」を用いて、前記赤外線
感光性平版印刷版用原版の現像処理を行うと、該赤外線
感光性平版印刷版用原版における感光層の表面を劣化さ
せることがなく、該感光層の着肉性を良好な状態に維持
することができる。また、前記赤外線感光性平版印刷版
用原版は、現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる
画線幅等の変化が大きいが、前記ノンシリケート現像液
にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含ま
れているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場
合に比べて有利である。更に、前記非還元糖は、前記シ
リケートに比べて液活性度を制御するための電導度セン
サーやpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、
前記ノンシリケート現像液は有利である。
【0069】前記非還元糖とは、遊離のアルデヒド基や
ケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元
基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基
と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還
元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において
好適に用いることができる。なお、本発明においては、
特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を
好適に使用することができる。
【0070】前記トレハロース型少糖類としては、例え
ば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。前記
配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール
配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコ
ールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビッ
ト、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニ
ット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシッ
ト、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマ
ルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素
添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げら
れる。これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖
類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビ
ット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域
に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
【0071】本発明において、これらの非還元糖は、一
種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよ
い。前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中におけ
る含有量としては、0.1〜30重量%が好ましく、1
〜20重量%がより好ましい。前記含有量が、0.1重
量%未満であると十分な緩衝作用が得られず、30重量
%を越えると高濃縮化し難く、また原価アップの問題が
出てくる。
【0072】また、前記非還元糖と組み合わせて用いら
れる塩基としては、従来より公知のアルカリ剤、例え
ば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。
無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸
二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸ア
ンモニウム等が挙げられる。
【0073】有機アルカリ剤としては、例えば、モノメ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノ
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイ
ソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミ
ン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が
挙げられる。
【0074】前記塩基は、一種単独で使用してもよい
し、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中で
も、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。そ
の理由は、これらの量を調整することにより広いpH領
域でのpH調整が可能となるためである。また、リン酸
三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム等もそれ自身に緩衝作用があるので好まし
い。ここで使用される塩基の前記ノンシリケート現像液
中における含有量としては、所望のpH、前記非還元糖
の種類、添加量等に応じて適宜決定される。なお、還元
糖は、前記塩基と併用すると、褐変し、pHも徐々に低
下し、現像性が低下するため、本発明では好ましくな
い。
【0075】また、本発明においては、前記ノンシリケ
ート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、
非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いる
こともできる。前記非還元糖のアルカリ金属塩は、前記
非還元糖と、アルカリ金属水酸化物とを混合し、該非還
元糖の融点以上に加熱し脱水すること、あるいは、前記
非還元糖とアルカリ金属水酸化物との混合水溶液を乾燥
することによって得られる。
【0076】本発明においては、前記ノンシリケート現
像液に、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるア
ルカリ性緩衝液を併用することができる。前記弱酸とし
ては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のもの
が好ましく、例えば、Pergamon Press社
発行のIONISATION CONSTANTS O
F ORGANIC ACIDS IN AQUEOU
SSOLUTION等に記載されているものから選択で
きる。
【0077】具体的には、2,2,3,3−テトラフル
オロプロパノ−ル−1(pKa 12.74)、トリフル
オロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノー
ル(同12.24)等のアルコール類、ピリジン−2−
アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒ
ド(同12.05)等のアルデヒド類、サリチル酸(同
13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同1
2.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同
12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4
−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−ト
リヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノ
ン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、
o−クレゾール(同10.33)、レゾルソノール(同
11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−
クレゾール(同10.09)等のフェノール性水酸基を
有する化合物、
【0078】2−ブタノンオキシム(同12.45)、
アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタ
ンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベ
ンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグ
リオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム
(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.
35)等のオキシム類、アデノシン(同12.56)、
イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シ
トシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.
1)、キサンチン(同11.9)等の核酸関連物質、
【0079】他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸
(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフル
オロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホ
スホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホス
ホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホ
ン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾ
ール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.
8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツ
ル酸(同12.5)等が好適に挙げられる。これらの弱
酸の中でも、スルホサリチル酸、サリチル酸が好まし
い。
【0080】これらの弱酸に組み合わせる強塩基として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好適に挙げられ
る。これらの強塩基は、一種単独で使用してもよいし、
二種以上を併用してもよい。前記強塩基は、適宜選択し
た濃度及び組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調
整して使用される。
【0081】本発明においては、現像性向上のため、前
記アルカリ現像処理液のアルカリ濃度を上げ、所謂オー
バー条件で処理することが好ましいが、このためには、
前記塩基の添加量を調整すればよい。即ち、前記塩基
を、前記アルカリ現像処理液が強アルカリ性、例えば、
pHが12.5〜13.5になるように、好ましくはp
Hが12.8〜13.3になるように、前記アルカリ現
像処理液に添加すればよい。
【0082】本発明においては、現像性の促進や現像カ
スの分散、感光性平版印刷版用原版の画像部の親インキ
性を高める等の目的で、必要に応じて、現像安定剤、有
機溶剤、還元剤、有機カルボン酸、硬水軟化剤、界面活
性剤等、更に、公知の防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤
等をその他の成分として前記アルカリ現像処理液に添加
してもよい。
【0083】前記アルカリ現像処理液として、本発明者
らが先に特願平10−142607号で提案したノニオ
ン性界面活性剤及び塩基を含有するアルカリ現像処理液
を用いることが、非画像部のアルカリ現像処理液に対す
る溶解性の不足を解消しつつ、画像部のアルカリ現像処
理液に対する耐溶解性を維持し、かつ外傷に対する現像
安定性の優れた製版方法を提供できるため、好ましい。
アルカリ現像処理液にノニオン性界面活性剤を含有させ
ることにより、アルカリ濃度を上げた現像能力の高い液
すなわちオーバー条件で現像処理しても、画像部のアル
カリ現像処理液に対する耐溶解性が維持され、外傷に対
する現像安定性が向上するという利点が得られる。これ
は、アルカリ可溶性高分子化合物とノニオン性界面活性
剤との相互作用に起因するものと推測される。この相互
作用は、ノニオン性界面活性剤がエチレンオキシド鎖又
はプロピレンオキシド鎖を含んでいる場合に強く働き、
エチレンオキシド鎖を含んでいる場合に特に強く働く。
これは、アルカリ可溶性基、特にフェノール性水酸基と
エチレンオキシド鎖が強く相互作用するためであると推
測される。
【0084】本発明におけるノニオン性界面活性剤とし
ては、特に制限はなく、従来公知のものであれば、いず
れも用いることができる。例えば、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェ
ニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステ
ル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリス
リトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコール
モノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル
類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグ
リセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化
ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分
エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビ
ス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エス
テル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0085】これらのノニオン性界面活性剤の前記アル
カリ現像処理液に対する添加量は、好ましくは、0.0
01〜5重量%であり、より好ましくは、0.01〜3
重量%であり、特に好ましくは、0.1〜3重量%であ
る。前記添加量が、0.001重量%より少ない場合に
は、ノニオン性界面活性剤が有効に作用しなくなること
があり、5重量%よりも多い場合には、相互作用が強す
ぎ、現像されなくなることがある。また、これらのノニ
オン性界面活性剤の重量平均分子量は、300〜50,
000が好ましく、500〜5,000が特に好まし
い。これらのノニオン性界面活性剤は単独で用いてもよ
いが、2種以上を併用してもよい。
【0086】本発明において、前記ノニオン性界面活性
剤は、下記一般式(I) で表される化合物が好ましい。 一般式(I) R1 - O(CH2CHR2O)l -(CH2CHR3O)m -(CH2CH
R4O)n - R5 一般式(I) 式中、R1〜R5は、それぞれ、水素原子、炭
素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、カルボニル基、カルボキシレート基、
スルホニル基、スルホネート基を表す。
【0087】前記アルキル基の具体例としては、メチル
基、エチル基、ヘキシル基等が挙げられ、前記アルケニ
ル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基等が挙
げられ、前記アルキニル基の具体例としては、アセチル
基、プロピニル基等が挙げられ、前記アリール基の具体
例としては、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基等
が挙げられる。l,m,nは0以上の整数を表す。但
し、l,m,nの総てが0であることはない。
【0088】一般式(I) で表される化合物の具体例とし
ては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のホモポリマー、エチレングリコール、プロピレ
ングリコールの共重合体等が挙げられる。前記共重合体
の比率は、10/90〜90/10が現像液への溶解性
と塗布溶媒への溶解性の両立の点から好ましい。また、
共重合体の中でもグラフトポリマー、ブロックポリマー
が、非画像部のアルカリ現像液に対する溶解性と画像部
のアルカリ現像液に対する耐溶解性との両立の点から好
ましい。
【0089】−界面活性剤− 本発明においては、前記アルカリ現像処理液に前記ノニ
オン性界面活性剤の他に、アニオン界面活性剤、カチオ
ン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等
を更に添加してもよい。
【0090】前記アニオン界面活性剤としては、例え
ば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカ
ンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキ
ルスルホ琥珀酸エステル塩類、αオレフィンスルホン酸
塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンス
ルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレン
プロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル
スルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイ
ルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モ
ノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化
牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、
アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫
酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリ
ルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリ
ン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイ
ン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイ
ン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩
ホルマリン縮合物類等が好適に挙げられる。
【0091】前記カチオン界面活性剤としては、例え
ば、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブ
ロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレ
ンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体
等が挙げられる。前記両性界面活性剤としては、例え
ば、カルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸
類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダ
ゾリン類等が挙げられる。
【0092】前記フッ素系界面活性剤は、分子内にパー
フルオロアルキル基を含有する。このようなフッ素系界
面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカル
ボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフ
ルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型、パーフ
ルオロアルキルベタイン等の両性型、パーフルオロアル
キルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型、パーフ
ルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキ
ルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及
び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及
び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、
親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロア
ルキル基及び親油性基含有ウレタン等の非イオン型が挙
げられる。
【0093】以上のノニオン性或いはその他の界面活性
剤の内、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオ
キシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチ
レン等のポリオキシアルキレンに読み替えることもで
き、それらもまた前記界面活性剤に包含される。前記界
面活性剤は、一種単独で使用してもよいし、2種以上を
併用してもよい。前記界面活性剤の前記アルカリ現像処
理液中における含有量としては、通常0.001〜10
重量%であり、0.01〜5重量%が好ましい。
【0094】−現像安定化剤− 前記現像安定化剤としては、例えば、特開平6−282
079号公報に記載の糖アルコールのポリエチレングリ
コール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
等のテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホス
ホニウムブロマイド等のホスホニウム塩、ジフェニルヨ
ードニウムクロライド等のヨードニウム塩が好ましい例
として挙げられる。また、特開昭50−51324号公
報に記載のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、特開
昭55−95946号公報に記載の水溶性カチオニック
ポリマー、特開昭56−142528号公報に記載の水
溶性の両性高分子電解質等が挙げられる。
【0095】更に、特開昭59−84241号公報に記
載のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合
物、特開昭60−111246号公報に記載のポリオキ
シエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水
溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報に記
載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンを置換
したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−2155
54号公報に記載の重量平均分子量300以上のポリエ
チレングリコール、特開昭63−175858号公報に
記載のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開
平2−39157号公報に記載の酸又はアルコールに4
モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性
エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン
化合物等が挙げられる。
【0096】−有機溶剤− 前記有機溶剤としては、例えば、水に対する溶解度が約
10重量%以下のものが好ましく、5重量%以下のもの
がより好ましい。前記有機溶剤の具体例としては、1−
フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フ
ェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノ
ール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−
1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベン
ジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコー
ル、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベ
ンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサ
ノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシ
クロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、N
−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノー
ルアミン等が挙げられる。
【0097】前記有機溶剤の前記アルカリ現像処理液中
における含有量としては、該アルカリ現像処理液の総重
量に対して0.1〜5重量%程度である。前記含有量
は、前記界面活性剤の前記アルカリ現像処理液中におけ
る含有量と密接な関係があり、前記有機溶剤の量が増す
につれ、前記界面活性剤の量は増加させることが好まし
い。これは、前記界面活性剤の量を少なくし、前記有機
溶剤の量を多くすると、該有機溶剤が完全に溶解せず、
良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
【0098】−還元剤− 前記還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤等が挙げ
られる。これらの還元剤は、印刷版の汚れを防止するの
に役立つ。前記有機還元剤の好ましい具体例としては、
チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシ
キノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシン等のフェノ
ール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジン
等のアミン化合物等が挙げられる。前記無機還元剤の好
ましい具体例としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン
酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸、亜
ジチオン酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、ア
ンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、汚れ防
止効果が特に優れている点で、亜硫酸塩が好ましい。前
記還元剤の前記アルカリ現像処理液中における含有量と
しては、該アルカリ現像処理液の総重量に対して0.0
5〜5重量%程度である。
【0099】−有機カルボン酸− 前記有機カルボン酸としては、炭素原子数6〜20の脂
肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸等が挙げられる。
前記炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸の具体例と
しては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等
が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜12のアル
カン酸が特に好ましい。また、これらは、炭素鎖中に二
重結合を有する不飽和脂肪酸でもよいし、枝分かれした
炭素鎖のものでもよい。
【0100】前記炭素原子数6〜20の芳香族カルボン
酸の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アン
トラセン環等にカルボキシル基が置換された化合物等が
挙げられ、より具体的には、o−クロロ安息香酸、p−
クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香
酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロ
キシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3
−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香
酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナ
フトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸等が挙げら
れる。これらの中でも、ヒドロキシナフトエ酸が特に好
ましい。
【0101】前記脂肪族カルボン酸及び前記芳香族カル
ボン酸は、水溶性を高める点で、ナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等として用いるのが好ましい。前
記有機カルボン酸の前記アルカリ現像処理液中における
含有量としては、特に制限はないが、通常0.1〜10
重量%程度であり、0.5〜4重量%が好ましい。前記
含有量が、0.1重量%未満であると、その添加効果が
十分でなく、10重量%を越えても、それに見合う効果
が得られない上、併用する別の添加剤の前記アルカリ現
像処理液中への溶解を妨げることがある。
【0102】−硬水軟化剤− 前記硬水軟化剤としては、例えば、ポリリン酸並びにそ
のナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、エチ
レンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ
酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシ
エチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、
1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、1,3−
ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸等のアミノポリ
カルボン酸並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩及
びアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン
酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン
酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホ
ン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチ
レンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジ
ホスホン酸並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩及
びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0103】前記硬水軟化剤は、そのキレート化力と使
用される硬水の硬度及び量によって前記アルカリ現像処
理液中における最適含有量が変化するが、一般的には、
0.01〜5重量%程度であり、0.01〜0.5重量
%が好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満であ
るとその添加効果が十分でないことがあり、5重量%を
越えると、色抜け等画像部への悪影響が生じることがあ
る。
【0104】前記アルカリ現像処理液は、以上説明した
各成分の外、水を含有する。本発明における前記アルカ
リ現像処理液は、未使用時(保管時)には水の含有量を
少なくした濃縮液としておき、使用時には水で希釈する
ようにしておくと、運搬上有利である。この場合、前記
アルカリ現像処理液の濃縮度は、前記各成分が分離や析
出を起こさない程度が適当である。このような現像液を
用いて現像処理を行う場合の温度や処理時間は使用され
る感光層の特性により適宜選択しうるが、一般的には、
現像温度が20〜25℃、現像時間が10〜60秒間の
範囲であることが好ましい。
【0105】上記現像液及び補充液を用いて現像処理さ
れた印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス
液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処
理される。本発明の平版印刷版の製版方法における後処
理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いるこ
とができる。
【0106】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用い
られている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理
部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びス
プレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送し
ながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズル
から吹き付けて現像処理するものである。また、最近は
処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等に
よって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られて
いる。このような自動処理においては、各処理液に処理
量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理する
ことができる。また、実質的に未使用の処理液で処理す
るいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0107】本発明においては、画像露光し、現像し、
水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた
平版印刷版に不必要な画像部(例えば、原画フィルムの
フィルムエッジ跡等)がある場合には、その不必要な画
像部の消去が行われる。このような消去は、例えば、特
公平2−13293号公報に記載されているような消去
液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置し
たのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特
開平59−174842号公報に記載されているような
オプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画
像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0108】以上のようにして得られた平版印刷版は所
望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供す
ることができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版と
したい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版
をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前
に、特公昭61−2518号、同55−28062号、
特開昭62−31859号、同61−159655号の
各公報に記載されているような整面液で処理することが
好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませた
スポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整
面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方
法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、
塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、
その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与
える。
【0109】整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.
8g/m2(乾燥重量)が適当である。整面液が塗布さ
れた平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニン
グプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より
販売されているバーニングプロセッサー:「BP−13
00」)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及
び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、
180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好まし
い。
【0110】バーニング処理された平版印刷版は、必要
に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来より行われてい
る処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等
を含有する整面液が使用された場合には、ガム引き等の
いわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様
な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機
等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0111】本発明の製造方法によれば、均一で現像ラ
チチュードに優れた感光層を有する平版印刷版原版を得
られるため、一般の赤外線レーザ露光型の平版印刷版に
比較して、現像性に優れ、現像処理条件の好適な範囲が
広いという利点を有する。
【0112】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0113】(実施例1、比較例1) 〔支持体の作製〕99.5%以上のアルミニウムと、F
e0.30%、Si0.10%、Ti0.02%、Cu
0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を洗
浄化処理を施し、鋳造した。洗浄化処理には、溶湯中の
水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、
セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法
はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊
を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化して
しまわないように550℃で10時間均質化処理を行っ
た。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中50
0℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板厚
0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロール
の粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均
表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後平面性を
向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0114】次に平版印刷版支持体とするための表面処
理を行った。まずアルミニウム板表面の圧延油を除去す
るために10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒
間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間
中和、スマット除去処理を行った。次いで支持体と感光
層の密着性を良好に、かつ非画像部に保水性を与えるた
め、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処
理を行った。0.8%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを
含有する水溶液を40℃に保ち、アルミニウムコイルを
水溶液中に流しながら図6に示した間接給電セルにより
電流密度10A/dm2、デューティー比1:1の交番
波形でアノード側電気量180c/dm2を与えること
で電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソー
ダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30
%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理
を行った。
【0115】さらに耐磨耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸25%水溶液を30℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら図7に示し
た間接給電セルにより10A/dm2の直流で電解処理
を行うことで2.0g/m2の陽極酸化皮膜を作成し
た。この後印刷版非画像部としての親水性を確保するた
め、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ
2.0%水溶液を25℃に保ちアルミウェブの接触時間
が25秒となるよう通搬した。その結果Siの付着量が
3.0mg/m2となった。
【0116】この上に下記構造で示す下ぬり化合物
(1)をメタノールに溶解し、ウェット塗布量10cc
/m2のワイヤーバーで乾燥塗布量が30mg/m2とな
るよう塗布した。ついでこれを直ちに連続式通搬乾燥機
に入れ、100℃の空気を吹き付けながら10秒間乾燥
した。
【0117】
【化5】
【0118】〔平版印刷版原版の作製〕下記に示す感光
層塗布液1をウェット塗布量19cc/m2のワイヤー
バーで塗布し、先に図5に示したような乾燥装置で乾燥
した。図8は図5に示した温風による対流加熱乾燥工程
に用いる連続式通搬乾燥装置(乾燥オーブン)24の概
略構成図である。この乾燥装置は3つのセクションにわ
かれ、それぞれに給排気ダクトが設けてあり、給排気の
流量を調節することでチャンバー出入り口から空気が流
れ出さないように調節した。第1セクションは100℃
の給気温度で5秒間、第2セクションは110℃の給気
温度で20秒間、第3セクションは120℃の給気温度
で40秒間乾燥した。その後、図5に示したような直径
1000mmの加熱ロール8に接触させることで伝導過
熱乾燥方式により乾燥を行って感光層を形成し、平版印
刷版原版を得た。なお、加熱ロール8の表面温度は14
0℃、角度は、接触時間が10秒になるよう設定した。
また、感光層塗布液の乾燥に加熱ロールを使用しなかっ
た他は実施例1と同様にして平版印刷版原版を作成し、
比較例1とした。ここで、得られたプレートの搬送方向
に対する幅方向の中央部と両端部それぞれの感光層中
に、乾燥後も残留する溶剤量を、熱分解装置を装着した
ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。その際、予
め作成した検量線を用いた。なお、ここで、プレートの
中心部は幅方向の中心部の±1cmの範囲、両端部は幅
方向の端から1〜3cmの範囲とした。結果を下記表1
に示す。
【0119】 (感光層塗布液1) ・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/ アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(35/30/35) (重量平均分子量(GPC,ポリスチレン標準)50000) 2.000g ・クレゾールノボラック(m/p=6/4,重量平均分子量 4500,残存モノマー1.2wt%) 0.100g ・シアニン染料A(下記構造) 0.155g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレン スルホン酸に変えたもの 0.050g ・フッ素系界面活性剤 (F−176、大日本インキ化学工業(株)製) 0.035g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロ ホスフェート 0.030g ・メチルエチルケトン 12.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 12.0g ・γ−ブチロラクトン 24.0g
【0120】
【化6】
【0121】〔平版印刷版原版の評価〕平版印刷版をC
REO社プレートセッター Trendsetter3
244F(192チャンネルのマルチビーム搭載)で画
像露光(2400dpi)する前に、各種パラメーター
(Sr,sd,bmslope,bmcurve)の調
整を行った。次に、ドラム回転数を150rpmに固定
して出力を3〜6Wまで約10%きざみに段階的に変化
させて全面露光し、現像した。露光部の感光層が完全に
溶出した出力値をClearとし、その2倍の出力(9
W)に設定し、以下の露光はこの条件で行った。Qua
rk Express Ver.3.3で作成した出力
画像を出力ソフトAllergo RIPでRIP展開
(リニアカーブ)し、Trendsetter3244
Fで平版印刷版に出力した。
【0122】浸漬型現像槽を有する自動現像機LP−9
00H(富士写真フイルム(株)製)の現像槽に、LH
−DP(富士フイルム(株)製)を水で1:6希釈した
もの(現像液1)を22リットル仕込み、30℃に保温
した。第2浴には水道水8リットル、第3浴にはFP−
2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1とした
フィニッシングガム液を8リットル仕込んだ状態で現像
処理を行った。さらに、現像槽に、LH−DP(富士写
真フイルム(株)製)を水で1:9希釈したもの(現像
液2)を仕込み、同様の現像処理を行った。感光層塗布
液1を用いた平版印刷版原版の画像形成性を目視で評価
した。結果を下記表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】表1より、本発明により得られる平版印刷
版は、感光層の中央部と両端部における残留溶剤量に大
きな差はなく、版全体が均一に乾燥されていることがわ
かった。また、現像液の濃度が変化しても、良好な画像
形成性を発現し、現像ラチチュードに優れていることが
わかった。一方、感光層を対流加熱乾燥工程のみで乾燥
した比較例の平版印刷版原版の感光層は、中央部に比較
して両端部の残留溶剤量が多く、現像液の濃度によって
は現像されずに画像を形成しない部分があり、現像ラチ
チュードに劣っていた。
【0125】(実施例2、比較例2)実施例1で使用し
た支持体に、下記に示す感光層塗布液2をウェット塗布
量19cc/m2のワイヤーバーで塗布したのち、実施
例1と同様の工程で乾燥を行って、実施例2の平版印刷
版原版を得た。また、感光層塗布液の乾燥に加熱ロール
を使用しなかった他は実施例2と同様にして平版印刷版
原版を作成し、比較例2とした。ここで、乾燥後の各平
版印刷版原版の感光層中に残留した溶剤量を、実施例1
と同様にして測定した。結果を下記表2示す。
【0126】 (感光層塗布液2) ・クレゾールノボラック(m/p=6/4,重量平均分子量8000, 残存モノマー0.5wt%) 2.000g ・赤外線吸収染料(下記構造) 0.105g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレン スルホン酸に変えたもの 0.050g ・フッ素系界面活性剤 (F−176、大日本インキ化学工業(株)製) 0.035g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン ヘキサフルオロ ホスフェート 0.030g ・メチルエチルケトン 12.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 12.0g
【0127】
【化7】
【0128】平版印刷版を富士写真フイルム(株)製プ
レートセッター Luxcel T−9000CTP
(32チャンネルのマルチビーム搭載)で露光する前
に、各種パラメーター(focus,zoom)の調整
を行った。次に、ドラム回転数を1000rpm、レー
ザー出力を270mW(2438dpi)に固定して、
実効出力をレーザー出力の30〜100%まで5%きざ
みに段階的に変化させて露光し、現像した。露光部の感
光層が完全に溶出した出力値をClearとし、その
1.4倍の出力(90%)に設定し、以下の露光はこの
条件で行った。
【0129】Quark Express Ver.
3.3で作成した出力画面を出力ソフトCelebra
NT RIP Ver.2.2(富士写真フイルム
(株)製)でRIP展開(リニアカーブ)し、Luxc
el T−9000CTPで平版印刷版に出力した。露
光されたプレートをUNIGRAGH社製自動現像機F
LP85Pを用いて25℃にて20秒現像した。第1浴
には、現像液1を仕込んだ。第2浴には水道水、第3浴
にはFP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=
1:1としたフィニッシングガム液を仕込んだ状態で現
像処理を行った。また、第1浴を現像液4に変えて同様
の現像を行った。
【0130】 (現像液3) ・水酸化カリウム 2.4重量% ・二酸化珪素 1.8重量% ・ノニオン性界面活性剤(PEG1000和光純薬製) 0.8重量% ・クエン酸カリウム 3.0重量% ・水 92.0重量%
【0131】 (現像液4) ・水酸化カリウム 4.8重量% ・二酸化珪素 3.6重量% ・ノニオン性界面活性剤(PEG1000和光純薬製) 1.6重量% ・クエン酸カリウム 6.0重量% ・水 84.0重量%
【0132】感光層塗布液2を用いた平版印刷版原版の
画像形成性を目視で評価した。結果を下記表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】表2より、本発明により得られる平版印刷
版は、感光層の中央部と両端部における残留溶剤量に大
きな差はなく、均一に乾燥されていることがわかった。
また、シリケート系の現像液においても、現像液の濃度
が変化しても、良好な画像形成性を発現することがわか
った。一方、感光層を対流加熱乾燥工程のみで乾燥した
比較例2の平版印刷版原版の感光層は、中央部に比較し
て両端部の残留溶剤量が多く、現像液の濃度によっては
現像されずに画像を形成しない部分があり、現像ラチチ
ュードに劣っていた。
【0135】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版の製造方法によ
れば、従来の処理装置や印刷装置をそのまま利用でき、
コンピューター等のデジタル情報から直接製版可能であ
り、全体に均一な画像を形成し得る、現像液の電導度ラ
チチュードが広い感光層を有する平版印刷版原版を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る伝導過熱乾燥工程を含む平版印
刷版製造工程の概略構成図である。
【図2】 本発明の方法に用い得る加熱ロール装置の一
態様を示す概略構成図である。
【図3】 加熱ロールへのプレートの接触時間を制御す
るスイングロールを円軌道上に移動させる、ピストンと
クランク機構を備えた移動機構を示す概略構成図であ
る。
【図4】 スイングロールを楕円軌道上に移動させる、
シリンダーと棒状部材を備えた移動機構を示す概略構成
図である。
【図5】 本発明に係る対流加熱乾燥工程と伝導過熱乾
燥工程を含む平版印刷版製造工程の概略構成図である。
【図6】 アルミニウム支持体の電解砂目立て処理に使
用する間接給電セルを示す概略図である。
【図7】 アルミニウム支持体に陽極酸化被膜を形成す
る際に使用する間接給電セルを示す概略図である。
【図8】 図5に示した温風による対流加熱乾燥工程に
用いる連続式通搬乾燥装置の概略構成図である。
【符号の説明】 1 帯状物(支持体又はプレート) 4 感光層塗布液塗布装置 8 加熱ロール(伝導加熱乾燥装置) 9 スイングロール 24 乾燥オーブン(連続式通搬乾燥装置、対流加熱乾
燥装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA04 AB03 AC08 AD03 BJ10 CC11 EA10 2H096 AA06 BA09 BA11 CA20 EA04 EA23 2H114 AA04 AA23 BA01 BA10 DA03 DA34 DA52 DA53 DA59 EA01 EA02 EA08 GA01 GA38 3L113 AA08 AB02 AB05 AC01 AC32 AC67 BA32 CA01 CB21 DA24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、アルカリ可溶性高分子化合
    物と、光を吸収して発熱する化合物とを含有する感光層
    塗布液を塗布したプレートを、加熱ロールに接触させて
    乾燥する伝導加熱乾燥工程を有することを特徴とする赤
    外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版の製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に、前記感光層塗布液を塗布し
    たプレートに、送風による対流加熱方法で乾燥する対流
    加熱乾燥工程と、前記伝導加熱乾燥工程とを、順次施す
    ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線レーザー用ポ
    ジ型平版印刷版原版の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010092874A1 (ja) * 2009-02-10 2010-08-19 有限会社イクコズ スナック膨化装置及び膨化スナック菓子製造システム
EP4113647A4 (en) * 2020-08-24 2024-01-10 LG Energy Solution, Ltd. ELECTRODE DRYING DEVICE

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