JP2001214424A - ダム施工方法、水力発電方法 - Google Patents

ダム施工方法、水力発電方法

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JP2001214424A
JP2001214424A JP2000026560A JP2000026560A JP2001214424A JP 2001214424 A JP2001214424 A JP 2001214424A JP 2000026560 A JP2000026560 A JP 2000026560A JP 2000026560 A JP2000026560 A JP 2000026560A JP 2001214424 A JP2001214424 A JP 2001214424A
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dam
fish
power generation
sand
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JP2000026560A
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English (en)
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Norio Takei
典夫 竹井
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WAMONDO KK
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WAMONDO KK
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/20Hydro energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダムを建設しても肥沃な農地、森林を水没さ
せることなく、発電コストを大規模ダムより安く、電力
調整、洪水調整、利水及び砂防の諸機能を持たせ、生態
系および環境の破壊を防止し、ダム湖の堆砂を永久的に
完全に防止する。 【解決手段】 最上流部にダム2を造り、導水管5の長
さを河川の最上流から山地の麓の平野部の水力発電所8
まで延長する。河床1の岩石を砕石機で径が5cm以下
になるように粉砕して導水管5に容易に吸引されるよう
にし、河床1の砂礫を吸引排出し、河床1が逆勾配にな
るようにする。導水管5に吸い込まれた土砂は、水力発
電所8の水車に入る前に砂礫分離装置7で分離する。水
は水力発電所8に導く。岩石と砂礫はサージタンク1
3、16まで摺動して行く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水力発電、揚水
発電、洪水調整、利水、砂防の諸機能を有する水力発電
方法に関する方法に係り、更には、分水嶺上まで揚水し
た多雨地帯の水を、水力発電をしながら乾燥地帯まで流
送をするためにも用いられる水力発電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油はあと40年余りで枯渇する。その
ため、あと20年で石油価格が大暴騰して、火力発電に
は石油は使えなくなる。それは産油国が石油枯渇時期を
引き伸ばそうとして大幅な減産をするからである。石油
価格の大暴騰の前に石油火力発電を全廃して、再生可能
な自然エネルギーで代替して置かなければならない。自
然エネルギーである太陽光、風力、地熱、波力と比べ、
水力は発電コストが安く、かつ供給量も多いので、近年
水力発電の開発促進が各方面から強く要請されてい
る。しかるに、従来の水力発電は、下記に述べる欠点が
あり、地元住民、環境保護団体、および人権擁護団体な
どの反対が強く、新たな電源開発は極めて厳しい状況に
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】(1)大規模ダムは広
大で肥沃な農地と森林と住居を水没させ、流域住民の生
活基盤を奪ってしまう。その代替で与えられた土地は痩
せた土地である場合が多く、立ち退かされた流域住民か
ら強い不満の声が上がっている。それは、上流の森林か
ら流下する落葉、動物の死骸などの有機物が栄養分とな
り、灌漑や洪水により大昔から供給せれ続け肥沃な土壌
を形成され、川沿いの土地は肥沃である。一方、川から
離れた土地は水の供給は無く、森林からの栄養分の補給
もなく痩せた土地が多い。
【0004】(2)多くの犠牲を払った大規模ダムは、
100年で土砂で埋まり、発電量調整、洪水調整、利水
調整、砂防などの諸機能を失い、投資対効果が小さい。
【0005】(3)中小規模のダムは広大な土地の水没
はない反面、流れ込み式で電力調整、洪水調整、利水調
整などの諸機能がない。また、集水流域面積が小さく、
それに比例して流量と発電量も少なくなり、発電コスト
が30円/KWhと石油火力の6円/KWhと比べて高
い。
【0006】(4)ダムは上流から流下する有機物を塞
き止めるため、ダム湖は富栄養化して、アオコなどの植
物プランクトンを異常繁殖させ、その死骸が湖底に堆積
し汚泥になる。その分解には大量の酸素を消費し、低層
水は酸欠水になる。この酸欠水が風や水流の影響で上層
部に上昇すると、多くの魚や水性昆虫を死滅させる。ま
た富栄養化した水は悪臭を放ち、トリハロ・メタンの発
生原因になり、上水道としての水質を低下させる。一
方、有機物の流下が無くなったダム下流は貧栄養化し、
植物プランクトン、それを餌にする動物プランクトン、
更に、それを餌にする魚介類を激減させ、河口沿海域の
漁場を衰退、消滅させる。即ちダムにより食物連鎖が切
断され、生態系の破壊が起きている。
【0007】(5)ダムや砂防堰堤により魚の溯上が妨
げられ、回遊魚を激減させる。淡水魚の種類の半数以上
は、一生の間に海と川を往復する習性を持つ通し回遊魚
である。その多くが堰やダムによって回遊経路を遮断さ
れ、分布域が極端に狭めら生息数が激減する。
【0008】(6)最近は堰に人工魚道を設置されるこ
とが多くなっているが、その設計に際しては総ての回遊
魚を通過させることは考慮されていなので、溯上力の弱
い魚は溯上できず、種の絶滅を起きている。
【0009】(7)川を下る降下魚が在来型水力発電の
取水口に迷い込み、水車通過時の猛烈な圧力変化で魚の
内臓が破裂し、多くの魚が死滅している。
【0010】そこでこの発明は、従来技術が抱えるこの
ような問題点を解決することを課題とするものであり、
その目的とする所は、ダムを建設しても肥沃な農地、森
林を水没させることなく、発電コストを大規模ダムより
安く、電力調整、洪水調整、利水および砂防の諸機能を
持たせ、生態系および環境の破壊を防止し、ダム湖の堆
砂を永久的に完全に防止するダム施工方法および水力発
電方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、潜孔
魚道を設置したダム堰堤と一体構造に集魚プールと魚類
の産卵や稚魚の成長に適した浅場を構築するダム施工方
法である。
【0012】請求項2の発明は、浅場隣接する地山に滞
水層に達する暗渠工、ボーリング排水工を施工して、人
工的な湧水を造り、その水を水路を経由して、あるいは
直接に前記の浅場に流入させるダム施工方法である。
【0013】請求項3の発明は、河川に回遊魚が溯上で
きない滝などの障害物があるとき、その下流にダムを造
って、原子力、風力などの余剰電力を使って、そのダム
湖に揚水し、ダム湖の水位を上昇させて、河川溯上の障
害物を水没させ(その時の水位をH1とする)前記の集
魚プールまで溯上可能にする。その上流のダム湖の水位
が所定の水位H2になり集魚プールとの落差が所定の値
Δh以下になった時、前記の潜孔魚道の水門を開き、集
魚プールの魚を上流のダム湖に溯上させる。このような
ダムを山地の麓から河川の最上流までダムを階段状に造
り、回遊魚が上流まで溯上できるようにする水力発電方
法である。
【0014】請求項4の発明は、ダムより上流に突出し
た取水用導水管および、その途中の枝管の先端取水口に
はフロートタンクを付け、所定日数の間、土砂を吸引し
たらフロートタンクに圧搾空気を入れ浮上させ、それを
圧搾空気を水中で噴出させ、その反力で未だ土砂吸引が
不十分な場所に移動し、取水口を沈設せる水力発電方法
である。
【0015】請求項5の発明は、山地の麓に水力発電所
を設置し、水系の本流および主要な支流の最上流部から
中流部、下流部にかけて多数のダムを造り、その取水用
導水管の水をゲートバルブを介して導水本管に合流させ
水力発電所に導水する水力発電方法である。
【0016】請求項6の発明は、多数のダムを落差30
0m以上の高落差グループ、300〜30mの中落差グ
ループ、30m以下の低落差グループに分け、高落差の
導水本管はペルトン水車へ、中落差の導水本管はフラン
シス水車へ、低落差の導水本管はプロペラ水車またはカ
ップラン水車へ導水する水力発電方法において、水力発
電を開始する時は、各落差の導水本管内の水の標高に最
も近い標高のダムAの前記ゲートバルブを開き発電に使
い、そのダムの水位が前記の所定の限界水位H2まで下
がった時、次に標高が高く、かつダム水位がH1以上の
ダムBのゲートバルブを開き発電に使い、そしてダムA
の潜孔魚道の水門を開き、ダムAとその下流の集魚プー
ルとの落差がなくなった時、ダムAの潜孔魚道の水門と
ゲートバルブを閉じ、これを繰り返して標高の高いダム
から低いダムへ順次ゲートバルブを開閉して発電し、発
電を停止している間を利用して、低下した導水本管水位
を高くし、その方法は導水本管内の水の標高より高く、
最も近い標高のダムのゲートバルブを開いて注水し、両
者の落差が無くなった時、そのゲートバルブを閉じ、次
に高い標高のダムのゲートバルブを開き注水し、これを
繰り返し導水本管内の水の標高を高め、以上のような無
駄のないゲートバルブと潜孔魚道水門の開閉をコンピュ
ーターで瞬時に判断させ、またダムに揚水する場合も、
どのダム湖から揚水させるのが最適か溯上魚の溯上状況
から的確な判断を下せるような水力発電方法である。
【0017】請求項7の発明は、取水用導水管に吸引さ
れた土砂混じりの水を砂礫分離タンク内周に接線方向に
流入させ、タンク内に旋回流を起こし、その遠心力で掃
流状態で流れ下った岩石は岩石排出管に、砂礫は排砂管
に流入させる。浮遊状態で流れ下った細砂、シルト、粘
土等の水より比重の大きい粒子は遠心力で旋回流の外側
に押出され、タンク内壁面に層状に集積し、塊状になり
タンクの底に沈降し、比重の軽い空気は遠心力により旋
回流の中心部に凝集させて、気泡として浮上させ、タン
ク上部の空気弁からタンク外に排出する水力発電方法で
ある。
【0018】請求項8の発明は、タンク内壁面上に複数
の土砂浮上防止リングを付け上昇流を抑制し、遠心力で
旋回流の外側に押し出された細砂等が上昇しないように
する水力発電方法である。
【0019】請求項9の発明は、砂礫分離タンク内面の
土砂による摩耗を防止するために、短時間に取替え可能
なライニングをし、そのライニング方法はタンク内周に
等しく、土砂浮上防止リングの上下の間隔に等しい高さ
のリング状のライニング材を製作し、リングの最外周面
には紅色着色のウレタンゴムの2mm厚さの層をコーテ
ィングし、そしてライニングが摩耗した時、紅色着色の
ウレタンゴムの層が露出し、取替え時期の接近が一目で
判るようにし、ライニングの貼り付け作業は、タンク内
壁面に予め粘着させておいた両面粘着面に粘着して貼り
付け、また、上下の土砂浮上防止リングにボルト・ナッ
トで止める施工方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】(1)図1は在来型の流れ込み式
の水力発電である。在来型の基本的な考え方は、水圧鉄
管7は摩耗に弱く、上流から流下する土砂はできるだけ
ダム貯水池3、沈砂池4および上部水槽6に沈積させ、
水圧鉄管に土砂を流入させないという考え方である。な
お図1において、1は川床、2はダム、5は導水トンネ
ル、8は水力発電所、9は峰である。この考え方ではダ
ム湖が土砂で埋まることは避けられない。また同時に有
機物も塞き止め、環境破壊が起こる。この二つの問題を
解決するためには、この基本的考え方を否定して、全く
逆の考え方をしなければならない。即ち上流から流下す
る土砂や有機物を導水管で積極的に吸引し下流に流し、
ダム湖に一切土砂や有機物(汚泥)を堆積させないと言
う考え方である。
【0021】この方法では大きな径の岩石が10m/s
ecの高速で導水管内を流れるので、導水管は摩耗して
僅か半年で孔が開き使えなくなる。この対策として考案
したのが、この発明の発明者である竹井典夫が発明した
登録番号1698219『粘着材層を含む積層ライニン
グを具えるラインパイプ及びその施工方法』(以下、新
連続ライニング工法と略称する)である。新連続ライニ
ング工法は、耐摩耗性が在来の導水鋼管(水圧鉄管)よ
り200倍も優れ、ライニングは100年間は取り替え
ずに済む。またライニングが摩耗する一年前に取り替え
時期が接近したことが容易に判るようになっており、一
年以内に取り替え用の新しいライニングを容易して置け
ば良い。取り替えは2Km長さの管路を僅か3時間で取
り替えが出来るなどの特長を有している。このように1
00年経過ごとにライニングだけの取替えを繰り返せ
ば、導水管は全く摩耗していないので、その耐用年数は
永久的になる。
【0022】この新技術と後で述べる本発明(以下 新
水力発電方式と言う)を結合させてダムの堆砂、有機物
の流下塞き止めによる環境破壊の問題は解決できる。
【0023】(2)在来型の流れ込み式水力発電の発電
コストが高くなる原因の一つに水圧鉄管の溶接継ぎに多
大な費用と工期がかかり、かつ高度の熟練を要し、溶接
と溶接部検査は技量認定の合格者でなければ作業できな
いなどの制約条件がある。この対策として発明したの
が、本発明の発明者である竹井典夫の登録番号1986
144『管継手構造』(以下、新鋼管継手と略称する)
である。総ての在来継手は長所もある反面、欠点を持っ
ているが、新鋼管継手はあらゆる点で欠点がない理想的
な継手である。即ち、新鋼管継手は自封性構造で高圧で
も漏洩せず、ジャッキで圧入するだけで接続でき、未経
験者でも作業可能で作業性に優れ、可撓性、伸縮性を有
し、大地震の遭遇しても破損せず、継手部の工場加工を
無人化された量産工場で行えば、どの継手よりも安い継
手になる等の特長を持っている。この特長の一つの作業
性は、何百本の管を一列に配列してジャッキで一括して
圧入し、1Km長さのパイプラインを40分で圧入接続
が可能である。この新鋼管継手と以下で述べる新水力発
電方式とを結合すれば、発電コストは大規模ダムより安
くなり、かつ電力調整、洪水調整、利水、砂防の諸機能
を合わせ持ったダムが建設できる。
【0024】(3)在来型の流れ込み式水力発電は、落
差を大きく出来なかった。その理由は、水圧鉄管の摩耗
のため内面塗装補修が3年に一度の割合で必要であり、
水圧鉄管長さが長い程、水力発電の停止期間が長くな
り、その補修期間の間は発電できず溢水電力損失が大き
くなる。また、鋼管溶接継ぎは多大な費用と工期が必要
である。そこで水圧鉄管は極力短くする必要があり、落
差を大きくできなかった。
【0025】図2は新水力発電の概念図である。新連続
ライニング工法と新鋼管継手の二つの新技術は、この制
約条件を取り除き導水管の長さを河川の最上流から山地
の麓の平野部の水力発電所8まで延長でき、落差を最大
化して何千メートルにすることも可能である。導水管に
吸い込まれた土砂は、水車に入る前に砂礫分離装置7で
分離される。なお、図2において、1は川床、3は貯水
池、5は導水管、6は取水口、9は峰、12は排砂管、
13、16はサージタンク、14、17はゲートバル
ブ、15は砂礫集積所である。
【0026】在来型は図1のように落差を大きくするた
めに、上部水槽6を設置できる峰9が必要であったが、
新水力発電方式では最上流部にダム2が造れる。また在
来型は図1のように貯水量は僅かで、直ぐに土砂で埋ま
り、発電量の調整、洪水調整、利水、砂防などの諸機能
は殆ど期待できないが、新水力発電方式は、河床の岩石
を砕石機で径が5cm以下になるように粉砕して導水管
に容易に吸引されるようにし、河床の砂礫を吸引排出
し、河床が逆勾配になるようにする。そして貯水容量は
在来型の何十倍にも増大させる。これは大規模ダム並に
電力需要のピーク時には貯水容量が増加した相当分の何
十倍も多く電力供給が可能になる。更に大規模ダム並に
洪水調整、利水、砂防などの諸機能を果たすことができ
る。
【0027】(4)導水管先端の取水口位置は定期的に
その位置を変え、ダム湖の湖底に堆積する土砂や汚泥を
隅々まで吸引して排出することが可能できる。図3は湖
底の土砂や汚泥を吸引する説明図である。ダムより上流
に突出した導水管5は、1m長さの鋼管を可撓性のある
新鋼管継手で接続しているので、その先端の取水口6は
位置を変えることができる。突出導水管の途中には複数
の枝管22を設置し、これはピアノ線補強のゴムホース
でその先端の取水口の位置も変えることができる。各取
水口6は所定の日数の間 一定の場所で土砂を吸引した
なら、発電停止の時に取水口6に取り付けてあるフロー
トタンク21に圧搾空気を送ってタンク21内の水を追
い出して、取水口6を水面上に浮上させる。そしてフロ
ートタンク21に設置しているノズルから圧搾空気を水
中に噴出してフロートタンク21を土砂が堆積している
場所に移動して、そこに沈設させる。なお、図3におい
て、1aは元の川床、24はグラウトカーテンである。
【0028】土砂が堆積している場所の発見する方法の
一つとして、湖底を碁盤の目のように区画し、その区画
に取水口が沈設して土砂を吸引した日付をコンピュータ
ーに記憶させておき、最も古い日付の区画が土砂が堆積
している確率が高いと見做す方法である。このような方
法で上流から流下する土砂や有機物を総て下流に流し、
ダム湖の土砂堆積と有機物塞き止めによる富栄養化の問
題を解決する。
【0029】(5)一つの水系の本流や支流に多数のダ
ムを造り、大規模ダムと同等の集水流域面積にして、一
つの発電所に大規模ダム並の流量の水を導水することが
できる。図4はそれの概念図で、○印のある位置にダム
を造くる。○の添字a,b,cは落差のグループを表
し、ダムと水力発電所との落差が300m以上の高落差
をaグループとしてペルトン水車へ、落差300〜30
mの中落差をbグループとしてフランシス水車へ、落差
が30m以下の低落差をcグループとしてプロペラ水車
またはカップラン水車へ 落差の高・中・低の別の導水
管で水車へ送水することを意味する。○の中の数字は、
高・中・低の落差グループ内のダムの標高の高い順位を
表している。河川の本流、主な支流には導水本管を河川
敷沿い図4の点線のように敷設する。河川が大きく蛇行
している場所は、そこをトンネルで貫通してトンネル内
配管にする。各ダムの取水用導水管は、ゲートバルブを
介して導水本管と合流させる。
【0030】(6)各種のセンサーを各ダム、導水本
管、集魚プール等に設置して、適切なゲートバルブと潜
孔魚道水門の開閉を行い、効率的な発電、揚水発電、洪
水調節、砂防、利水、溯上魚の溯上と降河などが行える
ようにする。
【0031】(7)水力発電を開始する際は、導水本管
内の水位に最も近いダムAのゲートバルブを開く。その
ダムAの水位が潜孔魚道水門の開く水位H2に達するま
で使いきり、ダムAの魚道水門を開き、次に標高の高い
ダムで、かつ水位がH1(前記溯上障害物を水没させる
水位)以上のダムBのゲートバルブを開いて導水本管に
注水する。ダムAとその下流の集魚プールの落差が無く
なった時、ダムAのゲートバルブと魚道水門を閉じる。
H1以上に水位の高いダムの水を優先的に水力発電に使
い、水位がH2になるまで使い切るのは、ダムの水位を
高水位に放置して不意に豪雨に襲われた時に無効放流を
することがないようにするためであり、また魚道水門を
開いて溯上魚を溯上させるためである。また水位がH1
に達していないダムの水を水力に使わないのは、そのダ
ム湖に生息する溯上魚を上流の集魚プールに容易に溯上
させるためである。
【0032】(8)発電停止時間を利用して導水本管内
の水の標高を高めるようにダムの水を注水する。その方
法は、導水本管内の水の標高より少し高い標高のダムの
ゲートバルブを開いて注水し、両者の標高が等しくなっ
たら、ゲートバルブを閉じ、次に標高の高いダムの水を
導水本管に注水する。これを繰り返し、導水本管内の水
の標高を高め、次の発電再開に備える。
【0033】(9)ダムそれぞれには水力発電に適した
ダム、利水に適したダム、洪水調整に適したダムなど適
性がある。適性に応じて下記のようにゲートバルブの開
閉を行い、貯水を発電に使ったり、水を貯留したりす
る。
【0034】1)ダム湖の貯水量の割りに流入水量の多
いダムは、水力発電に適し、電力需要のピーク時にはダ
ム湖の最低限度の水位H2まで貯水を使い切る。そして
ゲートバルブを閉じて、次の水力発電時までに貯水して
おく。一般的には本流、支流の上流部のダムはこの適性
のダムが多い。
【0035】2)貯水容量の大きいダムは利水、および
揚水発電の上池に適する。常に一定水量を確保し、それ
以上の余分な水量が貯水できた時、その余分な水量を発
電に使う。また、雪解けや梅雨の増水時は予測できるの
で、その時期の2〜3か月前よりそれを見込んで他の月
より水力発電に多く使って水位を下げ、洪水調整容量を
増大させて置く。
【0036】3)貯水容量が大きいが流入水量の少な
く、河床勾配の小さいダムは洪水調整用ダムおよび揚水
発電の上池に適している。このダムは、揚水時以外はダ
ム湖の水位を低く抑え、所定の水位以上になると、貯水
を発電に使い、水位が所定限度以上に上がらないに管理
する。
【0037】(10)豪雨が200〜400mm降って
もダムに流入する水量は70〜80%であり、残りの2
0〜30%の多くは図5、図6図示の透水性岩盤2を通
って地下へ浸透する。地下浸透は在来の大規模ダムでは
逸水損失であるが、新水力発電方式では、地下浸透水は
何十日後、下のダムの何処かで湧水としてダムに流れ込
むので損失ではなく、透水層が地下ダムとして、何十日
の間にわたって水を貯留し、利水上、洪水調整上好まし
いことである。なお、図5、図6において、1は不透水
性岩盤、3はグラウトカーテンである。
【0038】また下流のダムの魚の産卵や稚魚の成育に
適した浅場に人工的な湧き水として流入させることがで
きる。それは透水層に浸透した水は図7のB−B´断面
図である図9に図示するように透水層の滞水層にボーリ
ング排水孔を施工して、溝を経由して浅場に流入させる
方法である。ダム建設に際しては、図5のようにダム建
設位置は、ダム上流側面が不透水牲岩盤1の上にし、か
つグラウトカーテン3をしてダムの下に水が浸透しない
ようにすれば、ダム堤体に下から揚圧力が作用すること
はない。
【0039】(11)在来型のダムを造ると魚の生息数
が減少するが、新水力発電方式では魚の生息数はダムを
造る前より増加する。その理由は; 1)天然の河川でも回遊魚の溯上を妨げる滝などの障害
物があり、それ以上溯上できず、生息範囲が制限され
る。生息範囲が制限されれば生息数も制限される。階段
式魚道を造れば溯上力の強い魚は溯上できるが、溯上力
の弱い魚は溯上できない。新水力発電方式では溯上力の
弱い魚でも容易に溯上できる。その方法は、図7に図示
するように、滝などの障害物の下流にダムを造り、その
水位が滝などの障害物を水没させるような水位H1にす
る。そして各ダムの下流側にダム堰堤と一体構造に集魚
プールと浅場を造る。図7は滝や段差が水没した時の状
態を示す。この時、溯上魚は小川を溯上して集魚プール
に達する。集魚プールに集まった魚は、そこで休憩して
潜孔魚道の水門が開くまで待機する。上のダム湖の水位
が水力発電で下がり、集魚プールとの落差Δhが所定の
値になった時、魚道水門が開き、上のダム湖の水が集魚
プールに流入する。溯上魚は、その流れを体で感じ、流
れに逆らって魚道を通過して上のダム湖に溯上する。
【0040】落差Δhの所定の値とは、魚道内の最大流
速Vが溯上魚の溯上速度と等しくなった時を言う。溯上
魚の溯上速度は毎秒体長の10倍の速度である。それか
ら下記の式で落差Δhを求める。
【0041】魚の体長10倍/秒=魚道の最大速度V=
(2g・Δh)1/2 g:重力の加速度 このようにすると、溯上力の弱い小形の魚でも、その溯
上速度(突進速度)に合わせて魚道流速を決めているの
で、溯上ができる。落差Δhが無くなり魚道内流速がゼ
ロになれば、魚道水門を閉じる。
【0042】当ダム湖の水位を上げてる途中で電力需要
のピークを迎えた時は、発電は他のダムの貯水を使い、
当ダムは、滝などの障害物が水没して、溯上魚が集魚プ
ールに溯上してしまうまで、ゲートバルブは閉じたまま
にしておく。
【0043】2)ダム堰堤と一体構造に図7に図示して
いるような水深80cm以下の浅場を集魚プールの両側
に造る。浅場が地山に接する所に溝を造り、地山からの
湧水や地表水が流れ込むようにする。天然の湧水が少な
い時は、図9に図示しているような滞水層に達するボー
リング排水孔を施工する。地表水は地山の森林から枯れ
葉、昆虫の死骸などの有機物を伴って流入する。溝や浅
場は水深80cm以下で底まで溶存酸素と太陽光が行き
渡り、有機物を発酵分解して、植物プランクトンの栄養
源になり、それを増殖させ、それを餌にする動物プラン
クトン、それを餌にする魚や水棲昆虫などを繁殖させ、
魚の産卵、稚魚の育成に適し、魚にとって理想的な環境
である。天然の浅場は、必ずしも理想的とは言えず、大
洪水があると魚の卵や稚魚は河口まで押し流されてしま
う。
【0044】3)在来型の水力発電の取水口に降下魚が
迷い込み、水車通過時の急激な圧力変化で多くの魚が内
臓破裂させて死なせている。新水力発電方式の取水口は
6m/sec以上の洪水並の激流であり、魚はかかる激
流に合うと、突進速度でそこから離れ、穏やかな流れの
所に避難する習性があり、取水口に迷い込むことはな
い。
【0045】(12)ダム湖および導水管は水力発電だ
けでなく、揚水発電の上池および揚水管としても使う。
揚水発電の下池は、発電所下流の河川敷を深く長く掘削
して貯水池にする。各集魚プール、ダム湖には魚群探知
機を設置し、溯上魚の数からダム揚水の優先順位を決め
る。それに合わせゲートバルブの開閉を行う。揚水と同
時に回遊魚を集魚プールに溯上させる。潜孔魚道の溯上
が夜間になる時は、潜孔魚道、集魚プールの周辺を照明
で明るくして、溯上魚の溯上を促す。揚水の動力は風
力、地熱、太陽光、原子力の余剰電力を使う。
【0046】(13)導水管に吸い込まれた土砂は水車
に入る前に、砂礫分離装置で遠心力で分離する。
【0047】 遠心力f=mv2/r m:物体の質量 v:円周上の速さ r:円周上の速さ この式から砂礫の比重は2.7で水より大きいので遠心
力で分離できる。
【0048】図10に砂礫分離装置を示す。図10にお
いて、5Aは水圧鉄管、18は土砂浮上防止リング、1
9は空気弁、20はフランジ継手、21は内視鏡自動駆
動装置である。図10のB−B´断面図である図12に
図示するように導水管5は砂礫分離タンク7の内周に接
するように取り付けられ、導水管からの水流により旋回
流が起こる。導水管内を掃流状態で流下した岩石は、フ
ルイ8の上を通過して遠心力で岩石排出管11に転がり
込む。フルイの上を通過時にフルイの目を通って下に落
ちた砂は、旋回流の遠心力で排砂管12の中に流れ込
む。岩石排出管と排砂管の先端部の仕切り弁14と17
は常時は閉めておく。従って、両管内は滞水状態である
が、岩石と砂礫は圧力振動で液状化しており、ある程度
の勾配を付けることによって数キロメートル先のサージ
タンクA16およびサージタンクB13まで摺動して行
く。なお、砂礫分離タンク7は、ダンプカーで運搬でき
る大きさに設計される。
【0049】この圧力振動の一つは発電時の水車に当た
る水の反力、もう一つは負荷変動時の衝撃波である。な
お、排砂管内が砂礫で満杯になった時は、仕切り弁を開
いて、砂礫集積場に放出する。このことは岩石排出管に
就いても同様である。
【0050】細砂、シルト、粘土は、導水管内を浮遊状
態で流れ下る。除くべき砂の粒径は0.1mm以上で,
それの水中での沈降速度は、図14の図表(野崎次男、
「水車の摩耗を考慮した沈砂池の容量および断面積の決
定に就いて」電力土木、No.218,1989)から
0.6cm/secと大変遅く、重力よる分離は困難で
ある。
【0051】なお、水車の型式及び落差で除くべき砂の
粒径は次の通りである。
【0052】水車の型式 除くべき砂の粒径(mm) カプラン 1〜3以上 フランシス 0.4〜1以上 ペルトン 0.2〜0.4以上落差(m) 除くべき砂の粒径(mm) 100〜200 0.6〜1.0以上 200〜300 0.5〜0.6以上 300〜500 0.3〜0.5以上 500以上 0.1〜0.3以上 そこで遠心力で細砂、シルト、粘土を旋回流の外側に集
めて、分離する。砂礫分離タンクの水は旋回しながら上
昇して行くが、砂礫分離タンクの内壁に図13のように
土砂浮上防止リング18を内壁に付けると、内壁近くの
区域は、上昇流を抑制され、旋回流だけになる。その区
域に集められた細砂、シルトおよび粘土は旋回しながら
遠心力で内壁面に層状に集積する。細砂、シルトおよ
び、粘土の微粒子が何百も集まると見掛上の粒径が大き
くなり、粒径が大きくなると沈降速度が大きくなり、内
壁から剥離して下に落ちる。
【0053】有機物も導水管内を流れ下ってくる。有機
物は水より比重が僅かに大きいだけなので、遠心力で分
離されず、水と共に水車を経由して河川に放流される。
そして、有機物は河川の溶存酸素で発酵分解され、無機
の栄養塩になる。これは植物プランクトンの栄養源であ
り、増殖させ、それを餌にする動物プランクトン、更に
それを餌にする魚介類を増殖させ、食物連鎖が連結され
る。これにより、在来型ダムで問題になっている食物連
鎖の切断による生態系の破壊、環境破壊の問題が解決す
る。
【0054】流水中に溶け込んでいる空気を構成してい
る気体成分は、水の比重と比べ非常に小さいので、遠心
力でタンクの中心部に凝集され、気泡になってタンク上
部に浮上し、そこに設置している空気弁19でタンク外
に排出される。流水中に気体の溶解量が多いほど、水車
のキャビテーションが大きく、水車効率が低下するが、
遠心力で水中の空気を抜くことによってキャボテーショ
ンが軽減される。
【0055】砂礫分離タンクの内壁は土砂混じりの水が
高速で流れるため、激しい摩耗性環境である。そこで、
タンク内壁に軟質ゴムでライニングし、そのライニング
が摩耗すれば容易に分かるようにし、ライニングだけを
短時間で取替えできるようにする。そうすると、タンク
の本体は全く摩耗しないので、タンクの耐用年数を永久
的にできる。その方法は、タンク内周に合わせて円筒状
ゴムライニングをっ製作する。その円筒の外周に紅色着
色ポリウレタンゴムを2mm厚さにコーティングする。
ライニングするタンク内壁面に両面粘着剤を貼り付け
る。そこに導水管、排砂管、岩石排出管、水圧鉄管の接
続フランジ部の孔をマンホールとして、円筒状ゴムライ
ニング材を入れる。両面粘着剤にプライマーを塗布し
て、しの表面を軟化して粘着しやすくし、ライニング材
の上下を上下の土砂浮上防止リングとボルトナットで止
めながら、順次にライニングを壁面にローラーで圧着し
ながら全周を粘着する。何十年使用後、ライニングが摩
耗すると最外周の紅色着色ポリウレタンゴムの層が露出
する。定期的に内視鏡でタンク内をチェックしておれば
容易に発見できる。ポリウレタンゴムは耐摩耗性に優れ
ているので、その状態でも一年以上は摩耗に耐えるの
で、一年以内に新しい円筒状ゴムライニング材を製作し
取替える。こうした取替えを繰り返せば、タンクは全く
損傷していないので、永久的に使用できる。
【0056】
【発明の効果】以上に述べたところから明らかなよう
に、この発明によれば、次のような顕著な効果を奏する
ことができる。 (1)流下する土砂を総て導水管で吸引して下流に流す
ので、永久的に貯水量は減少することなく、発電量調
整、洪水調整、利水、砂防などの諸機能が低下すること
はない。 (2)流下する有機物は総て導水管で吸引して下流に流
すので、在来型水力発電のような食物連鎖の切断による
生態系の破壊、環境破壊を起こさない。 (3)一つの水系に多数の中小規模のダムを造り、それ
を一つの発電所に水を集める方式なので、水没するのは
河川敷だけであり、大規模ダムのように膨大な肥沃な農
地や山林、住居を水没させ、生活基盤を奪うことはな
い。 (4)大規模ダムと比べ、落差は何倍も大きくなり、貯
水量も滞水層の貯水量を加える大きくなり、発電量は何
倍にもなる。従って発電コストは大規模ダムより安くな
る。 (5)堰堤高さの高い大規模ダムは、大きな水圧がダム
に負荷され、ダムサイトの水密性を確保するため大規模
な基礎工事が必要で、これの長期の工期が必要である。
新水力発電方式は堰堤高さが大規模ダムの約1/10の
中小規模ダムであり、ダムに負荷される水圧も約1/1
0である。中小規模ダムが多数であっても同時着工でき
るので、一地点のダムの工期と同じになり、全部の工期
も約1/10に短縮できる。 (6)滞水層を地下貯水層として活用し、そこに大量の
水を貯留しているので、渇水期でもダムは干上がる事も
なく、集中豪雨にも、多数のダム湖とそれに繋がる透水
層中の未飽和部分に貯水し、渇水期に湧き水としてダム
に流入させる事ができる。 (7)多数のダムを揚水発電の上池とし、発電所の下流
の河川を深く掘削して下池として導水管を揚水管として
使い、揚水発電を兼ねさせることができる。 (8)溯上力の弱い小型の溯上魚を最上流の貯水池まで
溯上させることができる。また降下魚も取水口に向かわ
せることなく、潜孔魚道を経由して安全に降河させるこ
とができる。 (9)ダム堰堤と一体構造で浅場が造ると堰堤高さに対
し堰堤幅が浅場幅だけ増加するので、堰堤の安定性が増
し、柔らかい岩盤の上でもダムが造れる。 (10)浅場は周辺の地山から溝を通って湧き水が流れ
込み、また滞水層に達するボーリング孔から人工的湧き
水を流れ込ませ、地山の地表水と共に森林の有機物が流
れ込み、水深が常に浅く保たれ、底まで溶存酸素や太陽
光が行き渡り、魚の産卵、稚魚の育成に理想的な環境が
形成され、天然の浅場より沢山の稚魚が育成される。 (11)多雨地帯の水を低廉な費用と短い工期で乾燥地
帯へ流送できる。図16は旱魃と砂漠化の脅威にさらさ
れている地域である。黒く塗られている地域が旱魃が多
発し砂漠化の脅威にさらされている。早急な潅漑を必要
としている。この他に既に砂漠になった地域があり、こ
れを加えると世界の陸地の4割が潅漑を必要としてい
る。この対策として多雨地帯の水を旱魃と砂漠化の脅威
にさらされている地域に流送する計画が世界の各地で研
究されている。しかし、何処も実行に至っていない。そ
れは多雨地帯と乾燥地帯の間に横たわる分水嶺の巨大で
長距離トンネル掘削に30年の工期と膨大な費用が発生
し、収益性が悪いからである。
【0057】本発明の新水力発電方式と新鋼管継手と新
連続ライニング工法の三つの新技術を結合させれば、工
期を3年に短縮し、収益性の高い事業に変えることがで
きる。在来技術で工期が30年であれば、それだけ投資
金額のリターンが遅れ、金利を8%とすると複利計算で
初期投資金額が30年後には8倍になり、それを受益者
が負担することになり、収益性を著しく悪化させるが、
工期を3年に短縮すれば経済性効果は非常に大きい。
【0058】図15はその概念図である。新水力発電方
式は、分水嶺に近くの標高の高い地点に多数のダムを建
設できる。かつ土砂でダム湖が埋まることなく、永久的
に貯水量を維持できる。
【0059】そのダムの水の一部は多雨地帯に流して水
力発電して、ダム湖に流入する土砂や有機物を排出しな
ければならないが、残りの大部分は分水嶺の直下にトン
ネルを堀り、それの両端を塞いで地下貯水槽にする。そ
の地下貯水槽に揚水する。その動力は分水嶺上に多数建
設した風力発電と多雨地帯の水力発電所に流下した時に
生じた水力エネルギーを使う。分水嶺直下の地下貯水槽
の水を乾燥地帯ヘ導水管で流送し、導水管を多数分岐さ
せ、その分岐管の先端に水力発電所と貯水槽をを設置す
る。最も近い発電所と最も遠い発電所の間隔を200K
m以上にし、その間に多数の発電所を設置すれば、各発
電所の電力需要の時間差により、電力負荷変動が平準化
され、効率的な発電ができる。
【0060】多くの場合、越えるべき分水嶺は一つでは
なく、幾つも越えなければならない。その場合は分水嶺
と分水嶺の間にダムを造り、第一の分水嶺の地下貯水槽
の水を水力発電をしながら落とし、その水を第二の分水
嶺の地下貯水層に風力発電などのエネルギーで揚水し、
これを繰り返し幾つもの分水嶺を越える。分水嶺を越え
る度に、水力と風力のエネルギーが得られ、収益性を一
層改善する。分水嶺直下の地下貯水槽から乾燥地帯の水
力発電所までの距離は短い場合で600Km,長い場合
は2000Km近い。このパイプラインを何十本も敷設
しなければならないが、新鋼管継手は何百本の鋼管を並
べて置いて、ワイヤー牽引式ジャッキで一括して圧入接
続するので、一日に20Kmの超高速敷設が可能であ
り、短工期で敷設が終了できる。新連続ライニング工法
も同様に超高速ライニングが可能である。両工法とも現
場作業は単純化され、未経験者でも直ぐに作業ができる
ので、失業者に多くの雇用機会を与えることができる。
特にこのプロジェクを低開発国ですれば、貧困層に多く
の雇用機会を与え、貧困からの脱出を可能にし、貧困な
るが故に子供を多く生み、人口爆発の原因になっている
問題も解決し、国際社会への貢献度は大きい。
【0061】新連続ライニング工法の最も大きな特長
は、パイプラインの耐用年数を永久化できることであ
る。在来の鋼管で膨大な工費と工期を費やしてパイプラ
インを敷設し、定期的なメンテナンスをしても、50年
後には鉄屑になってしまうが、新連続ライニング工法で
ライニングしたパイプラインは何千年、何万年もの長き
に渡って人工の川として水を送り続けることができる。
これも事業収益性を大幅に改善する。風力発電も重点的
に開発しなければならない自然エネルギーの一つであ
る。しかし、風力発電には二つの欠点があり、それが開
発にブレーキを掛けている。その一つは、発電量にムラ
が大きく、発電量の半分以上が余剰電力になる。もう一
つは風の強い地点は電力消費地から遠隔地にある場合が
多く、送電設備費が多く掛かることである。この二つの
欠点は新水力発電方式と組み合わせ、余剰電力を揚水の
動力として使い、風力エネルギーを導水管内を流れる流
体の運動エネルギーに変え、乾燥地帯の電力消費地に送
れば、二つの欠点を取り除くことができる。以上のよう
にして乾燥地帯の送られた水は塩分を含んでいないの
で、塩害の恐れはなく、節水灌漑ができる。乾燥地帯は
日照時間が長く、空気が乾燥しているので、病害虫の被
害が少なく、塩分を含まない良質の水が供給されれば、
最も生産性の高い農耕地と森林地帯になると言われてい
る。それは、砂漠の中のオアシスが農林業で高い生産性
を発揮していることで立証されている。乾燥地帯を農耕
地帯に変えれば、今、人口爆発や砂漠化で問題になって
いる食糧危機が回避できる。乾燥地帯に植林して広大な
森林地帯にし、大気中の炭酸ガスを樹木の形で固定すれ
ば、地球温暖化の問題は解決する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の流れ込み式水力発電方式の説明図であ
る。
【図2】実施の形態による水力発電方式の説明図であ
る。
【図3】上流を深く掘削した貯水池と取水口の説明図で
ある。
【図4】多数ダムによる集水流域面積増大の概念図であ
る。
【図5】ダム地点の地質の一例を示す説明図である。
【図6】貯水池の横断面の地質の一例を示す説明図であ
る。
【図7】回遊魚の遡上、魚の産卵と稚魚育成の浅場の説
明図である。
【図8】図7のA−A´断面図である。
【図9】図7のB−B´断面図である。
【図10】砂礫分離装置の説明図である。
【図11】図10のA−A´断面の水の流れ図である。
【図12】図10のB−B´断面の水の流れ図である。
【図13】砂礫分離装置の内壁ゴムライニングの説明図
である。
【図14】砂の粒径と砂の静水中の沈降速度のデータを
示す図である。
【図15】多雨地帯の水を乾燥地帯へ送水する構成図で
ある。
【図16】旱魃と砂漠化の脅威にさらされている地域の
説明図である。
【符号の説明】
1 川床 2 ダム 3 貯水池 5 導水管 6 取水口 7 砂礫分離タンク 8 水力発電所 9 峰 12 排砂管 13、16 サージタンク 14、17 ゲートバルブ 15 砂礫集積所
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F03B 13/08 F03B 13/08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜孔魚道を設置したダム堰堤と一体構造
    に集魚プールと魚類の産卵や稚魚の成長に適した浅場を
    構築するダム施工方法。
  2. 【請求項2】 浅場隣接する地山に滞水層に達する暗渠
    工、ボーリング排水工を施工して、人工的な湧水を造
    り、その水を水路を経由して、あるいは直接に前記の浅
    場に流入させるダム施工方法。
  3. 【請求項3】 河川に回遊魚が溯上できない滝などの障
    害物があるとき、その下流にダムを造って、原子力、風
    力などの余剰電力を使って、そのダム湖に揚水し、ダム
    湖の水位を上昇させて、河川溯上の障害物を水没させ
    (その時の水位をH1とする)前記の集魚プールまで溯
    上可能にする。その上流のダム湖の水位が所定の水位H
    2になり集魚プールとの落差が所定の値Δh以下になっ
    た時、前記の潜孔魚道の水門を開き、集魚プールの魚を
    上流のダム湖に溯上させる。このようなダムを山地の麓
    から河川の最上流までダムを階段状に造り、回遊魚が上
    流まで溯上できるようにする水力発電方法。
  4. 【請求項4】 ダムより上流に突出した取水用導水管お
    よび、その途中の枝管の先端取水口にはフロートタンク
    を付け、所定日数の間、土砂を吸引したらフロートタン
    クに圧搾空気を入れ浮上させ、それを圧搾空気を水中で
    噴出させ、その反力で未だ土砂吸引が不十分な場所に移
    動し、取水口を沈設せる水力発電方法。
  5. 【請求項5】 山地の麓に水力発電所を設置し、水系の
    本流および主要な支流の最上流部から中流部、下流部に
    かけて多数のダムを造り、その取水用導水管の水をゲー
    トバルブを介して導水本管に合流させ水力発電所に導水
    する水力発電方法。
  6. 【請求項6】 多数のダムを落差300m以上の高落差
    グループ、300〜30mの中落差グループ、30m以
    下の低落差グループに分け、高落差の導水本管はペルト
    ン水車へ、中落差の導水本管はフランシス水車へ、低落
    差の導水本管はプロペラ水車またはカップラン水車へ導
    水する水力発電方法において、 水力発電を開始する時は、各落差の導水本管内の水の標
    高に最も近い標高のダムAの前記ゲートバルブを開き発
    電に使い、そのダムの水位が前記の所定の限界水位H2
    まで下がった時、次に標高が高く、かつダム水位がH1
    以上のダムBのゲートバルブを開き発電に使い、そして
    ダムAの潜孔魚道の水門を開き、ダムAとその下流の集
    魚プールとの落差がなくなった時、ダムAの潜孔魚道の
    水門とゲートバルブを閉じ、これを繰り返して標高の高
    いダムから低いダムへ順次ゲートバルブを開閉して発電
    し、 発電を停止している間を利用して、低下した導水本管水
    位を高くし、その方法は導水本管内の水の標高より高
    く、最も近い標高のダムのゲートバルブを開いて注水
    し、両者の落差が無くなった時、そのゲートバルブを閉
    じ、次に高い標高のダムのゲートバルブを開き注水し、
    これを繰り返し導水本管内の水の標高を高め、 以上のような無駄のないゲートバルブと潜孔魚道水門の
    開閉をコンピューターで瞬時に判断させ、またダムに揚
    水する場合も、どのダム湖から揚水させるのが最適か溯
    上魚の溯上状況から的確な判断を下せるような水力発電
    方法。
  7. 【請求項7】 取水用導水管に吸引された土砂混じりの
    水を砂礫分離タンク内周に接線方向に流入させ、タンク
    内に旋回流を起こし、その遠心力で掃流状態で流れ下っ
    た岩石は岩石排出管に、砂礫は排砂管に流入させる。浮
    遊状態で流れ下った細砂、シルト、粘土等の水より比重
    の大きい粒子は遠心力で旋回流の外側に押出され、タン
    ク内壁面に層状に集積し、塊状になりタンクの底に沈降
    し、比重の軽い空気は遠心力により旋回流の中心部に凝
    集させて、気泡として浮上させ、タンク上部の空気弁か
    らタンク外に排出する水力発電方法。
  8. 【請求項8】 タンク内壁面上に複数の土砂浮上防止リ
    ングを付け上昇流を抑制し、遠心力で旋回流の外側に押
    し出された細砂等が上昇しないようにする水力発電方
    法。
  9. 【請求項9】 砂礫分離タンク内面の土砂による摩耗を
    防止するために、短時間に取替え可能なライニングを
    し、そのライニング方法はタンク内周に等しく、土砂浮
    上防止リングの上下の間隔に等しい高さのリング状のラ
    イニング材を製作し、リングの最外周面には紅色着色の
    ウレタンゴムの2mm厚さの層をコーティングし、そし
    てライニングが摩耗した時、紅色着色のウレタンゴムの
    層が露出し、取替え時期の接近が一目で判るようにし、 ライニングの貼り付け作業は、タンク内壁面に予め粘着
    させておいた両面粘着面に粘着して貼り付け、また、上
    下の土砂浮上防止リングにボルト・ナットで止める施工
    方法。
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