JP2001212702A - 切削工具およびその製造方法 - Google Patents

切削工具およびその製造方法

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JP2001212702A JP2000023164A JP2000023164A JP2001212702A JP 2001212702 A JP2001212702 A JP 2001212702A JP 2000023164 A JP2000023164 A JP 2000023164A JP 2000023164 A JP2000023164 A JP 2000023164A JP 2001212702 A JP2001212702 A JP 2001212702A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下で高い靱性を有し、耐摩耗性、耐欠損
性に優れた切削工具を提供することである。 【解決手段】 WCと、鉄族金属からなる結合金属と、
硬質相とを含む超硬合金から構成され、硬質相としてZ
rO2 を有する切削工具である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、WC系超硬合金か
らなる切削工具およびその製造方法に関し、より詳しく
は特に高温での靱性や耐摩耗性に優れた切削工具および
その製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】近年、機械加工は、生産能率および加工精
度の向上や生産コストの低減などを図るべく無人化、自
動化、省力化が推し進められており、切削加工において
も高能率化(高速・高送り)が要求されている。しか
し、高速度での切削は、刃先が非常に高温となるため、
切削工具に高温での高い耐久性が求められる。また、環
境への配慮から、切削加工時に刃先冷却用の切削油を使
用しないドライ切削が望まれているが、このようなドラ
イ切削では刃先が非常に高温となるため、特に高温での
高い耐久性が求められる。
【0003】これらの要求を満たすには、切削工具の基
本特性として高温で塑性変形しない高靱性と耐摩耗性を
有することが必要である。従来、耐摩耗性や耐欠損性を
高めるために、ZrC,ZrN,HfC,HfN,VC
などをWCおよび結合層を含むWC系超硬合金に添加す
ることが提案されていた。
【0004】すなわち、特開平6−73560号公報で
は、Zrおよび/またはHfの炭化物、窒化物、炭窒化
物を添加し、且つ、切刃稜線部の最表面にWCおよび鉄
族金属のみからなる層を形成することが提案されてい
る。
【0005】特開平6−93473号公報では、Zrお
よび/またはHfの化合物とTi化合物の両方を添加
し、Zrおよび/またはHfの炭化物、窒化物、炭窒化
物で合金靱性の維持を図るとともにTi化合物を添加す
ることで合金強度を補強することが提案されている。
【0006】特開平10−18038号公報では、上記
のようなWC系超硬合金においてZrおよび/またはH
f化合物の平均粒径を1μmから10μm以下に制御す
ることにより靱性、耐塑性変形性、耐摩耗性を向上させ
ることが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記したZrおよび/
またはHfの炭化物、窒化物または炭窒化物を添加した
超硬合金からなる切削工具においては、加工条件を厳し
くした時、例えば鋳鉄の加工において切削速度を300
m/分以上とした時など、切刃稜線部分が非常に高温と
なり、切削工具の耐摩耗性と靱性が低下するという問題
があった。
【0008】従って、本発明の目的は、高温下において
も高い靱性を有し、耐摩耗性、耐欠損性に優れた切削工
具およびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意研究を重ねた結果、WCと、結合金属と、
硬質相とを含む超硬合金で構成される切削工具におい
て、硬質相としてZrO 2 を有する場合には、工具の切
刃稜線部分が非常に高温となる過酷な加工条件下におい
て、工具の表面を覆う被覆膜が部分的に摩滅して母材
(超硬合金)が露出しても、母材の摩耗が抑制され、耐
摩耗性が向上すると共に、靱性にも優れているという新
たな事実を見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】すなわち、本発明の切削工具は、WCと、
鉄族金属からなる結合金属と、硬質相とを含む超硬合金
から構成され、硬質相としてZrO2 を有することを特
徴とする。
【0011】本発明の切削工具が靱性に優れている理由
としては、切削工具の製造工程において、900〜13
00℃の温度域で焼成されて立方晶となったZrO
2 (t−ZrO2 )が焼結後の冷却過程で単斜晶のZr
2 (m−ZrO2 )に変化することにより数%の体積
膨張が生じ、このため超硬合金中に圧縮応力が加わり高
靭化が達成されるものと考えられる。本発明の切削工具
が有する高靱性は高温でも殆ど低下することがなく、こ
のため高温での耐欠損性が向上する。
【0012】また、本発明の切削工具の製造方法は、少
なくともWC、鉄族金属およびZrCを含む原料粉末を
混合粉砕し造粒する工程と、造粒した原料粉末を所望の
切削工具の形状に加圧成形する工程と、得られた成形体
を焼結する工程とを含み、焼結時に前記ZrCの一部ま
たは全部をZrO2 に酸化することを特徴とする。
【0013】本発明の方法においては、焼結時に前記Z
rCの一部または全部がZrO2 に酸化されるように、
前記原料粉末中に含まれる炭素量が、この原料粉末の組
成から計算される炭素量以下に調整されているのが好ま
しい。このように炭素量を所定値以下に制限することに
より、ZrCからZrO2 への変化が炭素によって阻害
されるのを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の切削工具は、WCおよび
結合金属を含む超硬合金で構成され、この超硬合金中に
硬質相としてZrO2 を有するものである。主成分であ
るWCは平均粒径が0.5〜5μm、好ましくは0.5
〜2μmの粒状物である。また、結合金属はCo、Ni
等の鉄族金属を主成分とするものであり、超硬合金中に
4〜20重量%の割合で含有されるのがよい。結合金属
の割合が前記範囲を越えるときは、硬さ、圧縮強さが低
下し、耐摩耗性が低下するおそれがある。一方、結合金
属の割合が前記範囲を下回るときは、WCおよび硬質相
の結合が充分でないため、靱性が不足し加工中に工具欠
損をひき起こすおそれがある。
【0015】前記超硬合金は、硬質相として、ZrO2
のほか、他のZr酸化物、例えばCaZrO3 、BaZ
rO3 、ZrO2 ・SiO4 、TiO・ZrO3 等を含
有してもよい。さらに硬質相としてZrの炭化物、窒化
物、炭窒化物等を含有してもよいが、これらのZr化合
物の存在は高温での靱性や耐摩耗性の向上に寄与するも
のではない。例えば硬質相がZrCを有する場合、工具
の刃先が非常に高温となり、ZrCが立方晶のt−Zr
2 に変化したとしても、それは母材の表面部分だけで
あり、母材の高靭化にはつながらず、逆に表面付近だけ
が体積膨張することにより表面をもろくしてしまう傾向
がある。従って、Zr化合物はZrO2を含むZr酸化
物のみであるのが好ましい。
【0016】ZrO2 の存在の確認は、公知のX線回折
によって行うことができる。例えば、単斜晶の場合に
は、X線回折の(100)面と(111)面でのピーク
2θ(°)が27.9°〜28.5°の範囲内にあるこ
とで確認できる。
【0017】前記ZrO2 の含有量に関して、ZrO2
の(100)面と(111)面の合成ピークの強度をL
1とし、WC(100)面のピーク強度をL2としたと
きの強度比LA(L1/L2)が0.1〜1.6、好ま
しくは0.13〜1.52、より好ましくは0.2〜
1.5%であるのがよい。この強度比LAは超硬合金中
のWC含有量に対するZrO2 含有量の指標となる。強
度比LAが0.1%未満の場合、または1.6%より大
きい場合には、加工条件を非常に厳しくしたとき(例え
ば鋳鉄の加工において切削速度を300m/分以上とし
たとき等)、耐摩耗性が低下するおそれがある。
【0018】また、ZrO2 を含むZr酸化物の前記硬
質相中の含有量は、0.1〜14.0体積%、好ましく
は0.16〜13.0体積%、より好ましくは0.3〜
12.0体積%の範囲であるのがよい。上記含有量が
0.1体積%未満の場合、あるいは14.0体積%を越
える場合、前記のように加工条件を非常に厳しくしたと
き(例えば鋳鉄の加工において切削速度を300m/分
以上としたとき等)、耐摩耗性が低下するおそれがあ
る。
【0019】Zr酸化物の含有量を求めるには、例え
ば、金属顕微鏡で母材の鏡面写真(倍率1000倍)を
撮影し、黒色の相の面積をパソコンの面積計算ソフトを
用いて算出すればよい。この際、撮影箇所と同一面をE
PMA(Electron Probe MicroAnalysis )でZrとO
2 の元素マッピングを撮影し、金属顕微鏡の鏡面写真と
重ね合わせ、黒色の相の部分がZr酸化物であることを
確認しておく。
【0020】前記超硬合金は、表面に化学蒸着法(CV
D法)や物理蒸着法(PVD法)などにより硬質材料か
らなる被覆膜を形成し被覆することにより被覆超硬合金
として切削工具に好適に用いることができる。被膜材質
としては、特に限定されるものではないが、例えば周期
律表4a、5a、6a元素およびAlの炭化物、窒化
物、炭窒化物、炭酸、窒化物、硼化物の1種または2種
以上が挙げられ、具体的にはTiC、TiN、TiC
N、Al2 3 などを例示することができる。これら硬
質材料を用いて単層あるいは複層の被覆膜が超硬合金
(母材)の表面に設けられる。被覆膜は約0.1〜20
μmの厚さに形成されるのがよい。
【0021】次に、本発明の切削工具の製造方法を説明
する。原料としてZrC、Co等の鉄族金属、WC、さ
らに必要に応じて炭素粉末が用いられる。これら原料粉
末は混合後、混合粉体を超硬合金製のボールミルで混合
粉砕し造粒した混合粉体を2ton/cm2 程度の圧力
で所望の切削工具形状に加圧成形し、0.01〜1to
rrの真空雰囲気中、1250℃以上の温度で10分〜
2時間焼成する。前記成形工程においては、成形体内に
空気の一部が取り込まれ、この空気が真空焼成時におい
ても成形体内に残留していることにより、前記ZrCの
一部または全部がZrO2 に酸化される。これによっ
て、硬質相としてZrO2 を有する超硬合金からなる母
材が得られる。ついで、前記したように硬質材料からな
る被覆膜で母材を被覆することにより被覆超硬合金の切
削工具が得られる。
【0022】炭素粉末は、一般にWCと鉄族金属とが固
溶体を生成して超硬合金の性能が低下するのを防止する
ために原料粉末中に添加されるが、原料粉末中の炭素量
が多いと、固溶体の生成抑制と共にZrCの酸化も抑制
されるおそれがある。これは、炭素が酸素と結合してし
まうためと考えられる。このため、本発明では、前記成
形体中に含まれる空気による前記ZrCのZrO2 への
酸化が余剰の炭素によって阻害されないように、前記原
料粉末中に含まれる炭素量(B重量%)が、この原料粉
末の組成から計算される炭素量(A重量%)以下、すな
わちB≦Aとなるように炭素量を調整するのが好まし
い。
【0023】ここで、原料粉末の組成から計算される炭
素量(A重量%)は、炭素源がWCとZrCのみの場
合、次式(i)から求められる。 A=[6.132 ×(WC量)]+[11.634×(ZrC量)] ・・・(i) 但し、 (1) 「6.132」はWC中のCの重量%であり、(1
2.01/195.85)×100から求められる。 (2) WC量は[WCの原料粉末中の割合(重量%)]/
100である。 (3) 「11.634」はZrC中のCの重量%であり、
(12.01/103.23)×100から求められ
る。 (4) ZrC量は[ZrCの原料粉末中の割合(重量
%)]/100である。 そして、上記B≦Aとなる範囲で炭素を添加すればよ
い。
【0024】原料粉末がWC、ZrC以外の他の金属炭
化物を含有する場合には、当該炭化物中のC量も上記
(i)に加算する(ただし、WCと鉄族金属とが固溶体
を形成するのを抑制するために添加されるCは含まな
い)。一方、実際の原料粉末中に含まれる炭素量は、後
述する実施例に記載のように炭素分析装置により測定す
ることができる。
【0025】上記のようにB≦Aとなる範囲で原料組成
を調製することにより、焼結過程でZrCの少なくとも
一部が成形体中に残留した空気中の酸素と反応し、Zr
2が形成されるものと考えられる。一方、B>Aとな
る場合には、炭素量が過多となった状態であるため、余
剰の炭素が空気中の酸素と反応し、ZrO2 の生成が阻
害されるおそれがある。B≦Aとしたとき、A−Bは原
料組成によっても変化するため特に限定されるものでは
ないが、通常、A−Bは0〜0.5、好ましくは0.0
3〜0.2、より好ましくは0.12〜0.17の範囲
であるのがよい。A−Bが0に近づくほど硬度や強度を
低下させる要因となる遊離炭素が出現し易くなり、他
方、A−Bが大きくなるほどCo3 3 CやCo6 6
等の脆い相が出現し易くなる。
【0026】なお、原料粉末中に実際に含まれる炭素量
(B重量%)を、この原料粉末の組成から計算される炭
素量(A重量%)以下とするには、WCの計算上のC量
に対してC量が0.1〜0.2重量%程度少ない、いわ
ゆるローカーボンタイプのWCを原料粉末として使用
し、さらにC量の微調整を行うために適量のCを別途添
加することが可能である。
【0027】また、主として成形体中に残留した空気に
由来する酸素量は、ZrO2 が前記した強度比LAで表
される範囲となるか、あるいはZrO2 を含むZr酸化
物が超硬合金中に前記した範囲となるように成形条件お
よび焼成条件を調整すればよい。
【0028】原料粉末中の配合割合は、WC粉末60〜
95重量%、鉄族金属の粉末4〜20重量%、ZrCの
粉末0.2〜25重量%、炭素粉末0〜1重量%であ
り、好ましくはWC粉末85〜95重量%、鉄族金属の
粉末4〜10重量%、ZrCの粉末0.3〜5重量%、
炭素粉末0〜0.3重量%である。この配合割合は、炭
素粉末を除く総量(M)を100重量%としたものであ
り、炭素粉末はこの総量(M)に対する配合割合で示し
ている。
【0029】また、上記した製造方法以外に、例えば原
料粉末としてZrCに代えて、またはZrCと共に、Z
rO2 粉末を添加して母材を作製してもよい。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明の
切削工具を説明するが、本発明は以下の実施例のみに限
定されるものではない。
【0031】実施例および比較例 原料粉末として、表1に示す組成のZrC、Coおよび
WCを用意した。これら原料粉末中の炭素量(B2)は
予め測定しておいた。測定結果を表1に示す。炭素量測
定にはLECO社製の炭素分析装置(WR12、標準試
料:LECO社製の501−123)を使用した。ま
た、前記式(i)に従って原料粉末中の炭素量(A)を
計算した。その値を表1に示す。上記の原料粉末には炭
素粉末を添加した。炭素粉末の添加量(B1)は原料粉
末の総量100重量%に対する割合(重量%)として表
1に示した。原料粉末を混合粉砕後、造粒し、圧力2to
n/cm2 でCNMA120412のスローアウェイチップ
形状に加圧成形し、この成形体を0.1torrの真空
雰囲気中、1450℃で1時間焼結した。得られた焼結
体につき、堀場製作所製の酸素分析装置(EMGA−6
50FA、標準試料:LECO社製の501−553)
を使用して酸素量を測定した。さらに、上記焼結体につ
き、X線回折ピーク測定を行い、ZrO2 のX線回折ピ
ーク2θ(°)を測定するとともに、ZrO2の(10
0)面と(111)面の合成ピーク強度L1とWCの
(100)面のピーク強度L2との強度比LAを求め
た。それらの結果を表1に示す。上記X線回折ピーク測
定には理学電気製のX線回折装置(RINT 110
0)を用いた。また、前記焼結体につき、金属顕微鏡で
鏡面写真(倍率1000倍)を撮影し、黒色の相の面積
をパソコンの面積計算ソフトを用いて算出し、これをZ
r酸化物の含有量(体積%)とした。上記のような金属
顕微鏡の撮像によれば、ZrO 2 を含むZr酸化物のみ
が黒色の色調となる。また、X線回折ピーク測定を行っ
て、焼結体中のZrCの存在を確認した。その結果を表
1に示す。
【0032】
【表1】 表1において、原料組成はZrCとCoとWCとで10
0重量%となる。添加炭素量(B1)は原料組成100
重量%に対する添加量(重量%)で示す。Zr酸化物
は、ZrO2 および他のZr酸化物を含んでいる。ま
た、LAはピーク強度比を、L1はZrO2 の(10
0)面と(111)面の合成ピーク強度を、L2はWC
の(100)面のピーク強度をそれぞれ示している。
【0033】表1に示すように、本発明の実施例にかか
る試料No.1〜5は、前記式(i)に従って計算した
原料粉末中の炭素量をA重量%とし、原料粉末中に実際
に含まれる炭素量をB重量%としたときA>Bとなって
いる。そして、試料No.1〜5では、焼結体中のZr
2 のX線回折ピーク2θ(°)が27.9〜28.5
の範囲で検出されていることからZrO2 を硬質層とし
て有していることがわかる。これに対して、比較例であ
る試料No.6は前記炭素量A、Bの関係がB>Aであ
るため焼結体中のZrO2 のX線回折ピークは検出され
なかった。また、表1に示すように試料No.1〜5の
うちNo.1〜3はZr酸化物の含有量が0.3〜1
2.0体積%の範囲内にあるのに対して、No.4は1
2.0体積%より多く、No.5は0.3体積%未満で
ある。ZrO2 の(100)面と(111)面の合成ピ
ークの強度をL1とし、WC(100)面のピーク強度
をL2としたときの強度比LA=L1/L2について、
試料No.1〜3は0.2〜1.5%未満の範囲である
のに対して、No.4は1.5%より多く、No.5は
0.2%未満である。さらに、表1に示すように試料N
o.1〜3のうちNo.1,2はZrC相が存在してい
ない。
【0034】実験例 実施例および比較例で得た試料No.1〜6を用いて以
下の条件で2種類の切削試験を行った。 (連続切削試験) 被削材 :鋳鉄FC250 円筒材 切削速度:450m/分 切り込み:2.0mm 送り :0.5mm/rev 切削油 :なし 切削時間:30分 測定 :ノーズの摩耗幅 (断続切削試験) 被削材 :鋳鉄FCD450、5mm幅溝4本入り円筒
材 切削速度:100m/分 切り込み:2.0mm 送り :0.5mm/rev 切削油 :あり 切削時間:10分 試験本数:1試料につき5本 評価 :欠損本数 これらの実験結果を表2に示す。表2において、評価は
以下の基準に基づいて行った。 ◎◎:特に優れていた。 ◎ :優れていた。 ○ :良好であった。 × :不良であった。
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、試料No.6は
連続切削試験でのノーズ摩耗(工具の先端角部が摩耗す
る先端摩耗)が0.28mm以上と大きく、また、断続
切削試験にて欠損が発生した。これに対して、前記原料
粉末の組成から計算される炭素量A重量%と、原料粉末
中に含まれる炭素量B重量%との関係がA>Bであり、
且つ、焼結体中のZrO2 のX線回折ピーク2θ(°)
が27.9〜28.5の範囲で検出された本発明の実施
例にかかる試料No.1〜5はノーズ摩耗が0.21m
m以下と小さく、断続切削試験でも欠損は発生しなかっ
た。このうち、ZrO2 を含むZr酸化物の含有量が
0.3〜12.0体積%の範囲にある試料No.1〜3
はノーズ摩耗が0.2mm未満と耐摩耗性に優れ、その
中でもZrC相などを有しない、硬質相中のZr化合物
としてZr酸化物のみを含む試料No.1、2は特に耐
摩耗性に優れていた。なお、本発明の実施例にかかる試
料No.1〜5はいずれも原料粉末の組成から計算され
る炭素量A重量%と、原料粉末中に含まれる炭素量B重
量%との関係がA>Bであるが、A=Bであっても構わ
ない。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、高温下で高い靱性を有
し、耐摩耗性、耐欠損性に優れているという効果があ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】WCと、鉄族金属からなる結合金属と、硬
    質相とを含む超硬合金から構成され、硬質相としてZr
    2 を有することを特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】前記ZrO2 の(100)面と(111)
    面の合成ピークの強度をL1とし、WC(100)面の
    ピーク強度をL2としたときの強度比(L1/L2)が
    0.1〜1.6%の範囲内にある請求項1記載の切削工
    具。
  3. 【請求項3】前記ZrO2 を含むZr酸化物が、前記超
    硬合金中に0.1〜14.0体積%の割合で含有されて
    いる請求項1または2記載の切削工具。
  4. 【請求項4】硬質相中に含まれるZr化合物が、前記Z
    rO2 を含むZr酸化物のみである請求項1〜3のいず
    れかに記載の切削工具。
  5. 【請求項5】前記超硬合金の表面に硬質材料からなる被
    覆層を形成した請求項1〜4のいずれかに記載の切削工
    具。
  6. 【請求項6】少なくともWC、鉄族金属およびZrCを
    含む原料粉末を混合粉砕し造粒する工程と、造粒した原
    料粉末を所望の切削工具の形状に加圧成形する工程と、
    得られた成形体を焼結する工程とを含み、焼結時に前記
    ZrCの一部または全部をZrO2 に酸化することを特
    徴とする切削工具の製造方法。
  7. 【請求項7】焼結時に前記ZrCの一部または全部がZ
    rO2 に酸化されるように、前記原料粉末中に含まれる
    炭素量が、この原料粉末の組成から計算される炭素量以
    下に調整されている請求項6記載の方法。
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