JP2001207974A - オイルポンプ - Google Patents

オイルポンプ

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JP2001207974A
JP2001207974A JP2000018311A JP2000018311A JP2001207974A JP 2001207974 A JP2001207974 A JP 2001207974A JP 2000018311 A JP2000018311 A JP 2000018311A JP 2000018311 A JP2000018311 A JP 2000018311A JP 2001207974 A JP2001207974 A JP 2001207974A
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JP
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oil pump
rotor
inner rotor
oil
outer rotor
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JP2000018311A
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English (en)
Inventor
Masao Sagara
政夫 相良
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Toyo Advanced Technologies Co Ltd
Original Assignee
Toyo Advanced Technologies Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単かつ低コストの構成で、特に高温時にお
けるオイルリークを有効に抑え、優れた吐出流量性能の
維持を可能にする。 【解決手段】 ポンプケーシング21内に、ポンプ室V
1,V2,…を形成するインナーロータ31及びアウタ
ーロータ32を収容したオイルポンプ。アウターロータ
32を例えば鉄系焼結合金のように比較的線膨張係数の
低い材料で構成する一方、インナーロータ31を例えば
アルミニウム合金のように前記アウターロータ32より
も線膨張係数の高い材料で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の自動変速機
等に設けられるオイルポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなオイルポンプとし
て、互いに噛み合う形状のインナーロータとアウターロ
ータとをハウジング内に回転可能に収容して両ロータ同
士の接触点同士の間にポンプ室を形成し、かつ、両ロー
タの回転中心を所定量だけ偏心させるとともに、前記イ
ンナーロータにこれを回転駆動するための駆動軸を連結
したものが知られている(例えば実開平7−22088
号公報参照)。このオイルポンプでは、前記インナーロ
ータ及びこれに噛合するアウターロータの同期回転に伴
い、ポンプハウジングに形成された吸入溝から両ロータ
間のポンプ室内にオイルが吸入され、このポンプ室内で
加圧されてから同じくポンプハウジングに形成された吐
出溝を通じてポンプ外へ吐出されることになる。
【0003】このタイプのオイルポンプでは、前記イン
ナーロータ及びアウターロータの材質として、耐摩耗性
に優れた鉄系焼結合金などの鉄系素材が用いられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記オイルポンプの最
も重要な特性として吐出流量特性が挙げられる。例え
ば、車両の自動変速機にオイルを供給するための自動変
速機用オイルポンプでは、運転温度、圧力、エンジン回
転数などに応じて、適正な吐出流量を確保することが望
まれ、特に高温でのアイドル回転時に最も多くの吐出流
量が要求される。
【0005】ところが、従来のオイルポンプでは、運転
温度が上昇するのに伴い、オイルの粘性が低下して当該
オイルがポンプ中の各隙間からリークする量が増えるた
め、特に吐出流量が要求される高温時(例えば135℃)
に十分な吐出流量性能が得られなくなるおそれがある。
中でも、インナーロータの歯先とアウターロータの歯先
との間の歯先隙間や、インナーロータとハウジングとの
間のインナーサイド隙間からのオイルリークが吐出流量
に与える影響は著しい(全体の約70%)。
【0006】その解決策として、加工精度の向上により
前記各隙間のバラツキを減らし、これによって当該隙間
の設定値を小さく抑えることが考えられるが、前記加工
精度の向上には限度があり、有効な解決策とはいえな
い。また、ギアの大型化による吐出流量増大も考えられ
るが、これに伴うポンプ全体の大型化及びコスト上昇は
避けられない。
【0007】本発明は、このような事情に鑑み、簡単か
つ低コストの構成で、特に高温時におけるオイルリーク
を有効に抑え、優れた吐出流量性能の維持を可能にする
オイルポンプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、オイル吸入溝
及びオイル吐出溝を有するハウジングと、このハウジン
グ内に回転可能に収容される内歯車状のアウターロータ
と、このアウターロータに内側から噛み合う歯車状をな
し、アウターロータの内側にこのアウターロータの回転
中心と異なる点を中心に回転可能に収容され、このアウ
ターロータとの間にポンプ室を形成するインナーロータ
とを備えたオイルポンプにおいて、前記インナーロータ
を前記アウターロータの材料よりも線膨張係数の高い材
料で構成したものである。
【0009】この構成によれば、インナーロータの線膨
張係数がアウターロータの線膨張係数よりも高いため、
両ロータの線膨張係数差に起因して、温度上昇に伴いイ
ンナーロータとアウターロータとの間の歯先隙間が減少
する。従って、冷間時における前記歯先隙間の設定に余
裕をもたせてポンプ組み上げを確実に可能としながら、
高温時には前記線膨張係数差による歯先隙間減少作用に
よって当該歯先隙間からのオイルリークを効果的に抑止
することができ、その結果、良好な吐出流量性能を維持
することができる。従って、特に高温時に優れた吐出流
量性能が要求されるオイルポンプ、例えば車両の自動変
速機にオイルを供給するための自動変速機用ポンプにき
わめて好適となる。
【0010】両ロータの具体的な材質としては、例えば
前記インナーロータをアルミニウム合金により構成し、
前記アウターロータを鉄鋼材料により構成したものが好
適である。
【0011】特に、前記アウターロータの材質として
は、耐摩耗性が高く、また、鉄鋼材料の中でも線膨張係
数の比較的低い鉄系焼結合金が好適である。
【0012】一方、前記インナーロータをアルミニウム
合金で構成する場合、その中でも比較的耐摩耗性の高い
アルミニウム−シリコン系合金で構成するのがより好ま
しい。
【0013】また、同じ鉄鋼材料であっても線膨張係数
に差があるため、両ロータを鉄鋼材料で構成することも
可能である。例えば、前記インナーロータを比較的線膨
張係数の高いオーステナイト系ステンレス鋼により構成
し、前記アウターロータを比較的線膨張係数の低い鉄系
焼結合金で構成しても、その線膨張係数差によって高温
時における歯先隙間の減少作用を得ることが可能であ
る。
【0014】さらに、前記ハウジングを前記インナーロ
ータの材料よりも線膨張係数の低い材料で構成すれば、
その線膨張係数差によって高温時にハウジングとインナ
ーロータとの間のインナーサイド隙間も減少させること
が可能であり、これにより当該インナーサイド隙間から
のオイルリークも抑止することが可能になる。
【0015】具体的には、前記インナーロータをアルミ
ニウム合金で構成し、前記アウターロータ及びハウジン
グを鉄鋼材料、より好ましくは鉄鋼材料の中でも比較的
線膨張係数の低い鉄系素材で構成したものが好適であ
る。この場合、前記アウターロータは耐摩耗性の高い鉄
系焼結合金で構成する一方、前記ハウジングは製造容易
で安価な鋳鉄(例えば片状黒鉛鋳鉄)で構成することに
よりコスト低減を図ることができる。
【0016】ところで、冷間時における歯先隙間の設定
値によっては、当該歯先隙間が温度上昇により0または
マイナスになるまで減少する場合も考え得るが、例えば
前記インナーロータに設けられた嵌入穴に当該インナー
ロータへ回転駆動力を伝達するための駆動軸が嵌合され
る構造においては、その嵌入穴の内周面と駆動軸外周面
との間の隙間(ロータ内径隙間)を十分に確保しておく
ことにより、このロータ内径隙間によって前記歯先隙間
の減少を吸収することが可能であり、これにより、高温
時での隙間消滅によるロータ回転不良を回避することが
可能である。
【0017】特に、前記インナーロータの材料を前記駆
動軸の材料よりも線膨張係数の高い材料(例えばアルミ
ニウム合金)としておけば、その線膨張係数差によって
高温時にインナーロータと駆動軸との間のロータ内径隙
間が増大し、その増大分と前記歯先隙間の減少分とを相
殺できるため、冷間時におけるロータ内径隙間を必要以
上に大きく設定しなくても、高温時の良好なロータ回転
を保証することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0019】この実施の形態にかかるオイルポンプ20
は、図2に示すようにボルト10等で締結されるポンプ
ケーシング21及びポンプカバー22を備え、これらポ
ンプケーシング21及びポンプカバー22によってハウ
ジングが構成されている。図1はそのうちポンプカバー
22を取り外した状態を示している。
【0020】ポンプケーシング21は、図略のボルトに
よって変速機等の機器(図2ではトルクコンバータ1
2)に固定されるようになっている。
【0021】ポンプケーシング21の周縁部には、図1
に示すような吸入側接続口24及び吐出側接続口25が
設けられ、これらの接続口24,25は、油路26,2
7をそれぞれ介してポンプ中央のオイル吸入溝28及び
オイル吐出溝29に連通されている。
【0022】ポンプケーシング21の中央部には、円形
状のロータ作動室30が設けられており、このロータ作
動室30内に、互いに噛合されるトロコイド状のインナ
ーロータ31及びアウターロータ32が挿入されてい
る。
【0023】前記ポンプカバー22の中央からは、前記
インナーロータ31及びポンプケーシング21の中央部
を貫通して前記機器側に突出する筒部22aが延び、こ
の筒部22aの周囲に筒状の駆動軸23(図2の例では
トルクコンバータ12の出力軸に連結された軸)が設け
られている。
【0024】この駆動軸23は、ポンプケーシング21
の内周面に固定された滑り軸受14によって回転可能に
保持されるとともに、その回転駆動力が前記インナーロ
ータ31に伝わるように当該インナーロータ31と嵌合
している。すなわち、駆動軸23は、図3に示すよう
に、その周面の一部がフラット面23aとされた異形断
面を有しており、この駆動軸23が図4に示す所定のロ
ータ内径隙間CIをもって嵌入される形状の貫通穴31
aが前記インナーロータ31の中央部に形成されてい
る。
【0025】なお、図3において31bは、前記貫通穴
31aのフラット面に形成された油流通溝である。
【0026】図1に示すように、上記インナーロータ3
1及び駆動軸23の中心軸X1と、上記アウターロータ
32及びロータ作動室30の中心軸X2は互いに偏心し
ており、軸X1回りのインナーロータ31の回転(図1
では反時計回り方向の回転)に伴ってアウターロータ3
2が同方向に軸X2を中心として回転するようになって
いる。
【0027】前記インナーロータ31の外周面及びアウ
ターロータ32の内周面には、互いに噛合可能な歯(図
例ではトロコイド状の歯)が形成され、その噛合状態で
両ロータ31,32がロータ作動室30内に回転可能に
収容されている。そして、両ロータ31,32の接触点
(シール点)同士の間に、上記ポンプカバー22とポン
プケーシング21とで挾まれたポンプ室V1,V2,…
が形成されている。この実施の形態では、あるポンプ室
(例えば図1に示すポンプ室V2)の下流側シール点P
2がオイル吐出溝29の仕切り最終位置E2に到達した
時点で上記ポンプ室V2よりも上流側のポンプ室V1の
上流側シール点P1がオイル吸入溝28の仕切り最終位
置E1に到達するように各部の位置が設定されている。
【0028】上記アウターロータ32には、各ポンプ室
からアウターロータ32の外周面にまで至る複数の径方
向溝44が形成されており、ポンプケーシング21のロ
ータ作動室30の内周面には径方向内側に開口する所定
長さの周方向溝46が形成されている。これら径方向溝
44及び周方向溝46は、ポンプ室V2内の圧力も吐出
圧と略等しい圧力に保持するための手段であり、本発明
では特に必須のものではない。
【0029】このオイルポンプにおいて、前記駆動軸2
3が回転し、その回転力がインナーロータ31に伝達さ
れると、インナーロータ31が中心軸X1を中心として
図3反時計回り方向に回転し、このインナーロータ31
と噛み合うアウターロータ32は同方向に中心軸X2を
中心として僅かに遅れた速度で回転する。これらの回転
により、吸入側接続口24から油路26及びオイル吸入
溝28を通じてポンプ室内にオイルが供給され、このオ
イル室がオイル吐出溝29に連通された時点から、当該
オイル吐出溝29を通じて外部にオイルが吐出される
(例えば図1に示すポンプ室V2を参照)。
【0030】次に、本発明の特徴であるオイルポンプ2
0の各部品の構成材料について説明する。
【0031】まず、アウターロータ32の材料は、従来
のオイルポンプと同様、耐摩耗性に優れた機械構造用の
鉄系焼結合金とされ、その線膨張係数αは約(11〜13)
×10- 6/℃である。これに対し、インナーロータ31
は、前記アウターロータ32の材料よりも線膨張係数の
高いアルミニウム合金によって形成されている。このア
ルミニウム合金の中でも、比較的耐摩耗性に優れたアル
ミニウム−シリコン合金がより好適である(線膨張係数
αは約(16〜21)×10-6/℃)。
【0032】ポンプケーシング21及びポンプカバー2
2の材料は、この実施の形態では鋳鉄であり、その線膨
張係数αは前記アルミニウム合金の線膨張係数αよりも
低い11×10-6/℃である。
【0033】なお、このオイルポンプ20のインナーロ
ータ31に連結される駆動軸23は、特に材質は問わな
いが、一般には機械構造用炭素鋼(例えばS43CやS
55C、S45C)が用いられるので、インナーロータ
31の材質を前記アルミニウム合金とすれば、必然的に
その線膨張係数は駆動軸23のそれよりも高くなる。
【0034】以上のような材料設定をすれば、ポンプの
運転温度の上昇に伴い、インナーロータ31とアウター
ロータ32の線膨張係数の差分だけ両ロータ31,32
同士の隙間(図4に示す歯先隙間CT)が狭まるととも
に、インナーロータ31とポンプケーシング21及びポ
ンプカバー22との線膨張係数の差分だけ両者の隙間
(図2に示すインナーサイド隙間CSI)も狭まってくる
ので、前記温度上昇に起因するオイルの粘度の低下にも
かかわらず、前記各隙間CT,CSIからのオイルリーク
量を抑えることができ、その結果、高温運転時にも十分
な吐出流量を確保することが可能になる。
【0035】なお、従来のオイルポンプ(すなわち両ロ
ータ31,32の材質が等しいオイルポンプ)でも、予
め前記歯先隙間CTやインナーサイド隙間CSIを小さく
設定しておけば、理論上リークを抑えることは可能なの
であるが、ポンプ各部品の寸法には必ずバラツキがある
ので、前記隙間をあまりシビアに設定すると、そのバラ
ツキ分だけ前記隙間が0もしくはマイナスとなり、組み
付けが不良になってしまう。従って従来は、加工精度の
飛躍的向上がない限り、前記隙間を小さく設定すること
は困難だったのである。
【0036】これに対して前記両ロータ31,32の線
膨張係数に差を与える手段を用いれば、冷間での組み付
け時には前記隙間に余裕をもたせて確実な組上げを行い
ながら、オイル粘度が低下する高温運転時には熱膨張作
用を利用して前記隙間を狭めることにより、リークを抑
えることが可能となる。
【0037】また、オイル粘性の高い冷間時には、前記
インナーサイド隙間CSIやアウターサイド隙間(ポンプ
ハウジング21及びポンプカバー22とアウターロータ
32との間の隙間;図2参照)CSOが小さいとポンプ内
の油圧加振力が増えて振動伝播により騒音が助長される
おそれがあるため、前記サイド隙間CSI,CSOを大きく
しなければならないのに対し、高温運転時はオイル粘性
が下がって前記油圧加振力が低くなるためにサイド隙間
SI,CSOを小さくしても支障がないという事情がある
が、この騒音抑止の観点からみても、油圧加振力が減る
高温時にのみインナーサイド隙間CSIを狭めるようにし
た本発明は非常に優れているといえる。
【0038】ところで、本発明にかかるオイルポンプの
各部品の材質は以上のものに必ずしも限られない。例え
ば、同じ鉄鋼材料であっても、鉄系素材とオーステナイ
ト系ステンレス鋼とでは線膨張係数にかなりの差がある
ため、その使い分けによって線膨張係数差をもたせるこ
とが可能である。例えば18-8ステンレス鋼(SUS304)の
線膨張係数αは17×10-6/℃であり、さらに、このよう
なオーステナイト系ステンレス鋼にモリブデンなどの硬
質粒子を加えるとさらに線膨張係数が上がることが確認
されているので、かかるオーステナイト系ステンレス鋼
をインナーロータ31の材料とし、アウターロータ32
を前記のような鉄系素材にて構成することにより、同様
の効果を得ることが可能である。
【0039】また、軽量化を目的にポンプケーシング2
1やポンプカバー22をアルミニウム合金などで構成す
ることも可能である。この場合、ポンプケーシング21
とインナーロータ31の線膨張係数がほぼ同等となるの
で高温時のインナーサイド隙間CSIは狭まらないが、歯
先隙間CTは狭まるのでリーク抑制効果は発揮される。
これに対し、前記例のようにポンプケーシング21及び
ポンプカバー22とインナーロータ31との間でも線膨
張係数差をもたせることにより、高温時に歯先隙間CT
だけでなくインナーサイド隙間CSIも狭めることが可能
となり、リーク抑止効果はさらに高まることとなる。
【0040】・各隙間の設定について 本発明にかかる構成では、高温運転時に歯先隙間CT
次第に狭小となっていくが、仮にこの歯先隙間CTが0
もしくはマイナスとなっても、これを吸収できるような
ロータ内径隙間(インナーロータ31と駆動軸23との
隙間)CIを確保しておけば、支障なくインナーロータ
31の回転を続行することができる。しかも、上述のよ
うに駆動軸23は一般に機械構造用炭素鋼などの鉄鋼材
料で構成されるので、これよりも線膨張係数の高い材料
(例えばアルミニウム合金)によってインナーロータ3
1を形成すれば、運転温度の上昇に伴う前記ロータ内径
隙間CIの増加と前記歯先隙間CTの減少とを相殺して支
障のないロータ回転を続けることが可能になる。すなわ
ち、組み上げ時でのロータ内径隙間CIを必要以上に大
きく設定しなくても良好な運転を保証できるのである。
【0041】具体的には、図4に示す各隙間を次の関係
式(式)が成立するように設定すれば、ポンプケーシ
ング21内での各部品の径方向隙間がなくなってしまう
ことによる回転不良を防ぐことが可能になる。
【0042】(CB+CT+CI)min>CJmax … ここで、CBはアウターロータ32の外周面とポンプケ
ーシング21の内周面との間のボディ隙間、(CB+CT
+CI)minは隙間CB,CT,CIのバラツキを考慮した
寸法最小値の総和、CJは駆動軸23の外周面と滑り軸
受14の内周面との間の軸受隙間、CJmaxは当該軸受隙
間CJのバラツキ最大値である。その具体的な設定例に
ついては次の実施例の項で述べる。
【0043】
【実施例】1)材料の選定について オイルポンプ各構成部品の好適な材料選定例を以下に示
す。
【0044】(1)アウターロータ…機械構造用鉄系焼結
合金(JASO規格のI-2-1D)を用いる。その成分は、主成
分FeにCuが2%、Cが1%混在したもので、機械的
特性は、密度:6.9g/cm2、ヤング率:(13〜15)×103kg
f/mm2、熱膨張率:(11〜13)×10-6/℃、硬さ:HRB
70〜90、引張強さ:40kgf/mm2である。
【0045】(2)インナーロータ…アルミニウム−シリ
コン合金を使用。
【0046】(3)ポンプハウジング及びポンプカバー)
…片状黒鉛鋳鉄を使用。
【0047】(4)駆動軸の滑り軸受…表面にアルミニウ
ム合金をコーティングした鉄系素材を使用(基本的に線
膨張係数は駆動軸とほぼ同等)。
【0048】かかる材質選定をした本発明にかかるオイ
ルポンプと、従来のオイルポンプ(構成部品がすべて鉄
系素材のもの)とについて吐出流量特性を対比するため
の実験を行った。その結果を図5に示す。同図において
直線L1は従来ポンプの温度−吐出流量特性、直線L2
は本発明にかかるオイルポンプの温度−吐出流量特性を
示している。
【0049】両直線L1,L2を対比すると、運転温度
20℃の常温時では両ポンプの吐出流量はともに約8L/
minであるのに対し、温度上昇に伴って吐出流量の差が
大きくなり、運転温度135℃では、従来ポンプの吐出流
量が直線L1に示されるように5.16L/minまで下がっ
ているのに対し、本発明にかかるオイルポンプでは直線
L2に示されるように吐出流量を6.59L/minまで維持
することが可能となっている。
【0050】2)各隙間の設定について 前記材質設定を前提として、前記式にかかる各隙間の
常温時(20℃)の寸法を次のように設定する。
【0051】 ボディ隙間CB :90〜150μm(バラツキ 60μm) 歯先隙間CT :20〜130μm(バラツキ110μm) ロータ内径隙間CI:25〜100μm(バラツキ 75μm) 軸受隙間CJ :40〜 90μm(バラツキ 50μm) この寸法設定下で運転温度が135℃まで上昇した状態を
考察する。まず、ボディ隙間CBは温度が上昇してもほ
とんど変化しないので、その最小値は高温時でも90μm
のままである。
【0052】これに対して歯先隙間CTは、温度上昇に
伴い、インナーロータとアウターロータとの熱膨張差分
だけ減少する。具体的には、20℃から135℃までの温度
上昇に伴って44μm減少するので、この歯先隙間CTの1
35℃における最小値は、20−44=−24μmすなわち負の
値となる。
【0053】ところが、逆にロータ内径隙間CIは、イ
ンナーロータと駆動軸との熱膨張差分だけ増大する。具
体的には、20℃から135℃までの温度上昇に伴って28μ
m増大するので、このロータ内径隙間CTの135℃におけ
る最小値は、25+28=53μmとなる。
【0054】従って、前記式の左辺の値は次のように
なる。
【0055】 (CB+CT+CI)min=90−24+53=119μm これに対し、前記式の右辺である軸受隙間CJの最大
値CJmaxは温度上昇にかかわらず90μmであるので、前
記式は十分に満たされる。すなわち、この寸法設定に
よれば、高温時に歯先隙間CTが減少しても、その減少
分をボディ隙間CBやロータ内径隙間CI(特にロータ内
径隙間CI)によって吸収することができ、ロータ作動
室30内での隙間総和が軸受隙間CJよりも小さくなっ
てしまうことに起因する回転不良を防ぐことができる。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明は、互いに噛み合い
ながら回転するアウターロータ及びインナーロータを備
えたオイルポンプにおいて、前記インナーロータを前記
アウターロータの材料よりも線膨張係数の高い材料で構
成したものであるので、冷間時のポンプ組み上げは確実
に可能としながら、高温運転時にはオイルリークを有効
に抑えて良好な吐出流量性能を維持することができる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるオイルポンプにお
いてポンプカバー等を取り除いた状態を示す正面図であ
る。
【図2】前記オイルポンプの断面側面図である。
【図3】前記オイルポンプにおけるインナーロータと駆
動軸との嵌合状態を示す断面正面図である。
【図4】前記オイルポンプにおける各隙間を示す断面側
面図である。
【図5】本発明にかかるオイルポンプ及び従来のオイル
ポンプの温度−吐出流量特性を示すグラフである。
【符号の説明】
20 オイルポンプ 21 ポンプケーシング(ハウジングを構成) 22 ポンプカバー(ハウジングを構成) 23 駆動軸 31 インナーロータ 32 アウターロータ V1,V2 ポンプ室
フロントページの続き Fターム(参考) 3H041 AA02 BB04 CC15 CC20 DD03 DD05 DD33 DD36 3H044 AA02 BB03 CC14 CC19 DD03 DD05 DD23 DD26 3J063 AA01 AC04 BA10 BA11 BB23 BB50 CA01 XC02 XC03 XD03 XD24 XF30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オイル吸入溝及びオイル吐出溝を有する
    ハウジングと、このハウジング内に回転可能に収容され
    る内歯車状のアウターロータと、このアウターロータに
    内側から噛み合う歯車状をなし、アウターロータの内側
    にこのアウターロータの回転中心と異なる点を中心に回
    転可能に収容され、このアウターロータとの間にポンプ
    室を形成するインナーロータとを備えたオイルポンプに
    おいて、前記インナーロータを前記アウターロータの材
    料よりも線膨張係数の高い材料で構成したことを特徴と
    するオイルポンプ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のオイルポンプにおいて、
    前記インナーロータをアルミニウム合金により構成し、
    前記アウターロータを鉄鋼材料により構成したことを特
    徴とするオイルポンプ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のオイルポンプにおいて、
    前記アウターロータを鉄系焼結合金により構成したこと
    を特徴とするオイルポンプ。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載のオイルポンプに
    おいて、前記インナーロータをアルミニウム−シリコン
    系合金により構成したことを特徴とするオイルポンプ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のオイルポンプにおいて、
    前記インナーロータをオーステナイト系ステンレス鋼に
    より構成し、前記アウターロータを鉄系焼結合金により
    構成したことを特徴とするオイルポンプ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のオイル
    ポンプにおいて、前記ハウジングを前記インナーロータ
    の材料よりも線膨張係数の低い材料で構成したことを特
    徴とするオイルポンプ。
  7. 【請求項7】 請求項2記載のオイルポンプにおいて、
    前記インナーロータをアルミニウム合金で構成し、前記
    アウターロータ及びハウジングを鉄鋼材料で構成したこ
    とを特徴とするオイルポンプ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のオイルポンプにおいて、
    前記アウターロータを鉄系焼結合金で構成し、前記ハウ
    ジングを鋳鉄で構成したことを特徴とするオイルポン
    プ。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のオイル
    ポンプにおいて、前記インナーロータにこのインナーロ
    ータへ回転駆動力を伝達するための駆動軸が嵌入される
    嵌入穴を設けるとともに、当該インナーロータの材料を
    前記駆動軸の材料よりも線膨張係数の高い材料としたこ
    とを特徴とするオイルポンプ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のオイ
    ルポンプにおいて、当該オイルポンプは車両の自動変速
    機にオイルを供給するための自動変速機用ポンプである
    ことを特徴とするオイルポンプ。
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