JP2001206982A - 変性ゴムおよび制振性に優れたゴム組成物 - Google Patents
変性ゴムおよび制振性に優れたゴム組成物Info
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Abstract
させた変性ゴム、および変性ゴムを含む制振性に優れた
ゴム組成物を提供することを課題とする。 【解決手段】少なくとも1種のスルホン酸化合物を、シ
ス1,4−ジエン構造を持つゴムに配合して変性化され
ヒステリシスロスの高い変性ゴム、および変性ゴムを含
有することを特徴とする制振性に優れたゴム組成物。高
変形により高いヒステリシスロスを示し、建築、土木等
の構築物の耐地震用の免震、防震、制振造体、および、
機械類、各種機器類、工芸品類などの制振、防振、除振
などのマウントや積層体に最適な機械的特性、減衰性に
優れたゴム材料である。
Description
による変性ゴムと、変性ゴムを配合して高変形により高
いヒステリシスロスを発生する制振性に優れたゴム組成
物に関する。本発明の制振性に優れたゴム組成物は、建
築、土木等の構築物の耐地震用の免震、防震、制振造
体、および、機械類、各種機器類、工芸品類などの制
振、防振、除振などのマウントや積層体に最適な機械的
特性、減衰性に優れたゴム材料に係るものである。
的性質を有する軟質板と、を交互に張り合わせた免震構
造体が防振性、吸振性等を要求される支承部材としてビ
ル、橋梁などの基礎に組み込まれて使用されている。し
かし、このような免震構造体は地震の際の横揺れ変位を
小さくするには不十分である。
構造体とダンパーとを並列に並べて使用している。ま
た、免震構造体の内部に鉛を埋め込み、地震時に鉛の塑
性変形を利用したダンピング効果を付与した免震構造体
も知られている。
高変位によりヒステリシスロスを発生する免震構造用ゴ
ム組成物を使用し、軟質板そのものにダンピング作用を
付与した免震構造体が報告されている。
を防止する手段として、その基礎部分に横方向に柔らか
い免震支承構造体を挿入することが検討され実用化され
つつある。この免震支承構造体の一つに、加硫ゴムなど
のゴム状弾性を有する材料からなる軟質層と、鋼板など
の剛性を有する材料とからなる拘束層とをそれぞれ複数
層ずつ交互に積層し、かつこの積層体の上下に、基礎お
よび建造物へのフランジを配した積層構造のものがあ
る。
軟質層に要求される最も重要な特性は、地震発生時に大
変形して地震の巨大にエネルギーが直接、建造物に伝わ
るのを抑制する特性(免震特性)と、この大変形時に変
形エネルギーを吸収して、建造物の振動を減衰する特性
(ダンピング特性)である。また、軟質層は、外力に対
する高い耐性(耐破壊特性)を有している必要もある。
に、建造物から巨大な圧縮荷重が加えられており、軟質
層はこの圧縮荷重によって外周部が外方向に膨脹して、
その表面に大きな引張応力が加わった状態となっている
ため、この引張応力によって裂けたりしないことが求め
られる。また地震発生による大変形には、軟質層に局部
的にではあるが大きな剪断変形が加えられるおそれが有
るため、この変形によって破壊されないことも求められ
る。
に従来、材料強度および伸びの点での特性を示す天然ゴ
ムを中心とした、ゴム組成物の各種の配合が検討されて
いる。
とを並列に設置する方法は設置作業が複雑となり、大幅
なコスト上昇をもたらすため有利な方法とはいえない。
また、鉛入りの免震構造体においては、大地震の際の免
震構造体の大変形時に、鋼板などの硬質板が鉛を傷つ
け、さらに傷ついた鉛がゴムなどの軟質板を傷つけるた
め、免震構造体全体の破断を引き起こし易い。
するゴムが制振性ゴム組成物として好ましいことは知ら
れているが、従来かかる高変形により高いヒステリシス
ロスを発生するゴムは知られていない。
ム状弾性を有する軟質層と、剛性を有する拘束層とを複
数層ずつ交互に積層した免震支承構造体の軟質層に、ジ
フェニルジスルフィド系化合物を配合したゴム組成物を
加硫して用いる旨の開示がある。
ジフェニルジスルフィド系化合物を配合すると、天然ゴ
ムを構成するイソプレン単位のいくつかをシス−1,4
構造からトランス−1,4構造へと構造を変化させる結
果、軟質層中でのシス−1,4構造の含有率が低下し
て、伸長結晶化の発生が抑制できるとしている。
ステリシスロス率の観点からの記載はない。
歪み率とヒステリシスロスとの間には、低い圧縮永久歪
みであれば低いヒステリシスロス率を示し、高いヒステ
リシスロス率であれば高い圧縮永久歪み率を示す。天然
ゴムにおいては低い圧縮永久歪み率が特徴となるが、そ
の反面減衰性に関与するヒステリシスロスが低下する。
制振性ゴム材料に適した性質は、低い圧縮永久歪み率と
高いヒステリシスロス率を有することであり、二律背反
の関係にある。
スロス率を上昇させた変性ゴムおよび制振性ゴム組成物
を提供することを課題とする。
を予めスルホン酸化合物と加熱処理することにより、変
性させたゴムおよびそのブレンドゴム組成物が、加硫を
行うことにより、永久歪み率の上昇を抑えてヒステリシ
スロス率を上昇させることができ、制振性に優れたゴム
組成物として利用可能であることを見出して本発明を完
成したものである。
ルホン酸化合物を、1,4−ジエン構造を持つゴムに配
合して変性されていることを特徴とする。
天然ゴム、SBR、NBR、NIR、NBIR、ブタジ
エンゴム、IR、CR、NCR、X−NBR、X−SB
Rから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
造を持つゴム100重量部に対してゴムにスルホン酸化
合物を0.01〜20重量部配合して行うのが好まし
い。
造を持つゴムにスルホン酸化合物を配合して加温するこ
とが好ましい。
で行うことがより好ましい。
なくとも1種のスルホン酸化合物を、シス1,4−ジエ
ン構造を持つゴムに配合して変性化された変性ゴムを、
未変性ゴムに配合してなるヒステリシスロスの高いこと
を特徴とする。
ム、SBR、NBR、NIR、NBIR、ブタジエンゴ
ム、IR、CR、NCR、X−NBR、X−SBR、I
IR、EPT、EPDMから選ばれる少なくとも1種で
あることが好ましい。
成物とは、建築、土木等の構築物の耐地震用の免震、防
震、制振造体、および、機械類、各種機器類、工芸品類
などの制振、防振、除振などのマウントや積層体に最適
な機械的特性、減衰性に優れたゴム材料を意味する。
ス1,4−ジエン構造を持つゴムを変性したものであ
る。シス1,4−ジエン構造を持つゴムとしては、天然
ゴムを第1に挙げることができる。また、少なくともシ
スブタジエンモノマーを含むモノマーから合成されたS
BR、NBR、NIR、NBIR、ブタジエンゴム、I
R、CR、NCRなどの合成ゴム、カルボキシル基変性
したX−NBR、X−SBRも使用することができる。
酸基を持つ無機・有機化合物を配合して加熱することで
ゴムのイソプレン構造のメチル基が変性して1,4−ト
ランス構造が増す。その結果、加硫後のゴム組成物の物
性値の指標である、圧縮永久歪みが高くなるのを抑制し
て、ヒステリシスロス%が変性処理をしなかった未変性
ゴムの2倍以上に高まる。特にp−トルエンスルホン酸
を用いて変性処理をおこなうとの第1波のヒステリシス
ロス率が80%、第3波のヒステリシスロスが50%増
加したゴム組成物が得られる。
ては、例えば、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホ
ン酸などの鎖式スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの芳香
族スルホン酸、ナフトールスルホン酸、タウリン、スル
ファニル酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルホ安息香
酸などのスルホ基の他に官能基をもつスルホン酸、フル
オロスルホン酸、クロロスルホン酸、スルファミン酸な
どの硫酸誘導体等が挙げられる。
エンスルホン酸を10重量部加えて室温、50℃、10
0℃、150℃で10分と60分処理した変性ゴムのサ
ンプルについてシスおよびトランス位におけるメチル基
の赤外線スペクトルにより測定したスペクトル吸収強度
比(図1)とNMRにより測定したメチル基の変性率を
(図2)に示した。図1および図2に示すように150
℃で変性処理するとシス構造が減少しトランス構造が増
しゴムの変性が進行している。図2では60分の加熱処
理で150℃では約40%、100℃で14%変性が進
行しており、さらに10分の加熱でも150℃で20%
の変性が進行していることが明らかである。
時にスルホン酸を加硫配合剤と共に配合して加硫条件で
処理すると加硫と同時に変性を行うことができる。ま
た、変性反応を予め別工程で行った後、加硫を行った場
合ではヒステリシスロス%の値をより高くすることがで
きる。この場合の変性反応は、スルホン酸を配合したゴ
ムを、例えば真空下で140℃で24時間加熱すること
で変性が進行する。変性処理したゴムは、その後通常の
方法で加硫することができる。このように変性反応を受
けたゴムは加硫によって期待する物性が得られる。しか
し、加硫と変性とを同時に行ってもヒステリシスロス%
の向上はレベルの差は認められるが向上が認められる。
配合してゴム組成物として制振性を付与したゴム組成物
として使用することができる。変性ゴムの配合量は、未
変性ゴム100重量部に対して1〜10重量部の範囲が
制振性を発現させるために好ましい。
ルホン酸以外に通常加硫の際に配合する加硫添加剤を加
えて加硫処理することで変性と加硫とを同時に形成され
たゴムが得られる。
0重量部に対して0.01〜20重量部の割合で配合し
て熱処理を行う。スルホン酸の量が0.01重量部未満
であると変性が進行しないので好ましくない。またスル
ホン酸の量が20重量部を超えると変性が進行しすぎて
ゴムの物性が低下するので好ましくない。より好ましく
はスルホン酸の配合量は1〜10重量部である。
で20分以上処理するとほぼ、このグラフで示し割合で
ゴムを変性させることができることが示唆される。
行してない。よって処理温度が100℃未満であると変
性の進行が遅くなり時間を要するので好ましくない。
と同様に加硫処理により所望の免震物性を持つ制振性ゴ
ム組成物が得られる。
加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、
補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着性付与剤、潤滑
剤、などを適宜添加して行うことができる。混練は、一
般のゴム加工工場で広く使用されている、混練ロール機
あるいはニーダ等の機械的練り機を用いて混練すること
ができる。
に相乗効果の付与が期待できる他のゴムを添加して使用
することができる。
合物で変性したヒステリシスロスの高いゴムをブレンド
して用いて免震積層ゴムとして使用して免震支承構造体
を形成することで制振性の効果をより高めることも可能
である。
天然ゴム、SBR、NBR、NIR、NBIR、ブタジ
エンゴム、IR、CR、NCR、X−NBR、X−SB
R、IIR、EPT、EPDMが挙げられる。
造体を構成する積層ゴム成分として使用することができ
る。また、この変性ゴムを含むゴム組成物は制振、防
振、除振を要する機械類、各種機器類、工芸品類のマウ
ントおよび積層体に使用することができる。
0)を用い、変性用のスルホン酸化合物としてはp−ト
ルエンスルホン酸を配合して140℃で1時間加熱し
た。図2に示したように約40%が変性していると推定
される。
で、おおよそ上記のグラフで示す変性進行していると推
測される。
ホン酸2重量部(No1)、5重量部(No2)配合し
て機械的にスルホン酸をゴム練り混み、次いで0.3mm
Hgの減圧下で140℃で24時間加熱処理して変性処理
をした。さらにp−トルエンスルホン酸を1重量部(N
o3)、5重量部(No4)配合したものを同じ条件で
48時間加熱して変性した。
ック(シースト600)20重量部と亜鉛華5重量部、
ステアリン酸2重量部、促進剤(MBTS)1重量部、
硫黄2.5重量部を加えて140℃で加硫を行った。
たNo2、No4は加硫ゴムのヒステリシスロス%の1
波目では80%近くなり、3波目でも50%の値を示し
圧縮永久歪みもそれほど高くはなっていない。よって変
性した後で加硫するとヒステリシスロス%の著しく高い
ゴム組成物が得られた。
ルエンスルホン酸10重量部と、カーボンブラック(シ
ースト600)20重量部と亜鉛華5重量部、ステアリ
ン酸2重量部、促進剤(MBTS)1重量部、硫黄2.
5重量部を配合して、加硫温度を50℃(No6)、1
00℃(No7)、150℃(No8)で1時間処理を
行い、加硫と変性とを同時に行った。比較試料(No
5)としてp-トルエンスルホン酸を添加しないで同じ加
硫添加物を配合して140℃で0.6時間と加硫程度同
じとゴム組成物を作製して比較したのが表2である。表
2に示すようにNO6、7、8は圧縮永久歪みの上昇も
少なく、ヒステリシスロス%が約2倍の値を有し変性が
進行してヒステリシスロス%が向上していることが分か
る。
ルエンスルホン酸を0重量部(No9)、1重量部(N
o10)、5重量部(No11)、10重量部(No1
2)と変え、加硫配合剤はカーボンブラック(シースト
600)20重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸2
重量部、促進剤(BZ)1重量部、硫黄2.5重量部を
配合して、加硫温度を150℃で0.3時間処理を行
い、加硫と変性とを同時に行った。得られたゴムの物性
を表3に示した。表3に示すようにp-トルエンスルホン
酸を添加したNo11、No12では、添加しないNo
9に比べ、ヒステリシスロス%が増加し、特にp−トルエン
スルホン酸の量を10部添加したNo12では加硫ゴムは変
性を2倍の値が得られた。
ベンゼンスルホン酸をそれぞれ1重量部(No14)、
(No16)、5重量部(No15)、(No17)配
合して、変性と加硫を実施例2の配合と150℃の温度
で行った。得られたゴムの物性を表4に示した。なお、
No13はスルホン酸を添加しない比較例である。
りヒステリシスロスの向上が認められる。
制振性ゴム組成物で構成したゴム組成物は、非変性処理
を受けないゴム組成物よりヒステリシスロス%向上し、
かつ圧縮永久歪み増加の少ないゴム組成物が得られる。
特に変性処理後の加硫ゴムは、ヒステリシスロスが未変
性加硫ゴムの場合より向上し、特に変性と加硫とを別工
程とした場合には第1波で80%、第3波で50%の高
い値を示す。したがって、制振性が求められる各用途に
適するゴム組成物として有用でる。
用い、温和な条件でゴムを変性加硫することが可能であ
る。また、変性用化合物はゴムの加硫を遅らせることは
なく、むしろ加硫を促進することができる。
ルによるシスおよびトランス位におけるメチル基の吸収
強度比のグラフである。
ルによる変性率のグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも1種のスルホン酸化合物を、
シス1,4−ジエン構造を持つゴムに配合して変性され
たことを特徴とする変性ゴム。 - 【請求項2】 前記シス1,4−ジエン構造を持つゴム
は天然ゴム、SBR、NBR、NIR、NBIR、ブタ
ジエンゴム、IR、CR、NCR、X−NBR、X−S
BRから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載
の変性ゴム。 - 【請求項3】 前記変性化は、前記シス1,4−ジエン
構造を持つゴム100重量部に対してゴムにスルホン酸
化合物を0.01〜20重量部配合して行う請求項1に
記載の変性ゴム。 - 【請求項4】 前記変性化は、前記シス1,4−ジエン
構造を持つゴムにスルホン酸化合物を配合して加温する
請求項1に記載の変性ゴム。 - 【請求項5】 少なくとも1種のスルホン酸化合物を、
シス1,4−ジエン構造を持つゴムに配合して変性され
た変性ゴムを、未変性ゴムに配合してなりヒステリシス
ロスの高いことを特徴とする制振性に優れたゴム組成
物。 - 【請求項6】 前記変性ゴムが配合されるゴムは、天然
ゴム、SBR、NBR、NIR、NBIR、ブタジエン
ゴム、IR、CR、NCR、X−NBR、X−SBR、
IIR、EPT、EPDMから選ばれる少なくとも1種
である請求項5に記載の制振性に優れたゴム組成物。
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