JP2001206293A - 水蒸気軽航空機 - Google Patents

水蒸気軽航空機

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JP2001206293A
JP2001206293A JP2000341461A JP2000341461A JP2001206293A JP 2001206293 A JP2001206293 A JP 2001206293A JP 2000341461 A JP2000341461 A JP 2000341461A JP 2000341461 A JP2000341461 A JP 2000341461A JP 2001206293 A JP2001206293 A JP 2001206293A
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JP2000341461A
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Thomas John Goodey
トーマス・ジョン・グッディ
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Individual
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    • B64B1/06Rigid airships; Semi-rigid airships
    • B64B1/24Arrangement of propulsion plant
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B64B1/00Lighter-than-air aircraft
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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  • Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
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  • Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】フリー飛翔バルーン或いは飛行船のような軽航
空機であって、エンベロープは水蒸気浮揚ガスが充填さ
れ浮力を提供する。 【解決手段】水蒸気がエンベロープ1から逃げることを
防ぎ、一方エンベロープ1の内側に凝結して溜まった水
を排水するための排水バルブ3とホース7が装備され、
この排水は大気中に放水されてもよいし、或いはこの排
水を再沸騰して水蒸気にしてエンベロープ1に戻すため
のボイラーを備えていてもよい。このボイラーの稼動率
は可変であり、一時的に水を貯水するために貯水槽を装
備する。この軽航空機が飛行船である場合には、推進手
段はこのボイラーから加圧された水蒸気を供給され、エ
ンベロープ1にその排気水蒸気を戻すスチームエンジン
SEである。水蒸気はボイラーから直接エンベロープ1
に供給され、エンベロープ1に直接供給される水蒸気及
びスチームエンジンSEに供給される水蒸気の量や比率
は可変である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に関する技術分野】本発明は水蒸気が浮揚ガスの
主たる成分として用いられ、エンベロープの内部に浮揚
ガス用の水蒸気が液化した水を排水する手段が設けら
れ、上述の液化した水を再び沸騰させて水蒸気にする装
置を備える軽航空機、即ちバルーン或いは飛行船に関わ
り、更に詳細には上記水蒸気が供給され、それをエンベ
ロープに排出するスチームエンジンによって駆動される
飛行船に関わる。
【0002】[従来技術] 「空気よりも軽い航空機」(lighter than
air craft)という用語は、以後「軽航空
機」と省略され、大気中での滞空状態の大部分が空気に
対する相対的な動きによって誘導される航空力学的揚力
によってではなく、浮力によって支持される軽航空機に
関して一般的に用いられる。この浮力は密度が通常大気
の密度よりも実質的に低いガス(浮揚ガス)が充満した
大型で通常伸縮自在のコンテナ(いわゆるエンベロー
プ)によって生成される。このような軽航空機は大気中
を進むための推進手段を備えている時は「飛行船」と称
され、いかなる推進手段も備えずに大気中を自由に浮遊
するままとされる時は「バルーン」と称される。
【0003】従来技術においては、このような軽航空機
のエンベロープを充填する浮揚ガスとして空気よりも軽
い様々なガスが用いられてきた。特に、水素、ヘリウ
ム、メタン、アンモニア、そして、熱空気が用いられて
きた。ここで、実際の空気の分子量を約29として、
(空気は分子量28の窒素が約80%、分子量32の酸
素が20%と、いくらかのより重たい二酸化炭素とより
軽いわずかな希ガスとからなる)、また1mの空気の
質量は海面上の温度15℃、標準気圧において1.22
5kgであるので、重量は12.02Nであるというこ
とを念頭において、これらの浮揚ガスがそれぞれ持って
いる長所と短所を議論していく。
【0004】(1)水素が浮揚ガスである場合 熱空気を除いて、水素は浮揚ガスとして最初に用いられ
たガスである。水素は製造が安価で且つ容易であり、屋
外でも製造可能であり、水素の分子重量が2であること
は、標準大気において11.18N/mという優れた
揚力性能を提供することを意味するが、可燃性が非常に
高いという欠点を有する。従って、水素は飛行船の全盛
期には揚力を提供するための主な手段であったが、今日
では、推進手段とした場合に発火の危険があるため、飛
行船の浮揚ガスとしては実際には使われなくなった。フ
リーバルーンにおいても安全性という点で今日では殆ど
使われていない。
【0005】(2)ヘリウムが浮揚ガスである場合 今日では、殆どの飛行船がヘリウム(He)を用いてい
る。ヘリウムは分子量が4であり(mono−)、従っ
て標準大気で10.36N/mという殆ど水素と同等
の揚力性能を提供し、不活性なので安全性は完璧であ
る。しかしながらヘリウムは非常に高価であるため厳重
に保存されなければならない。飛行船を飛行させるため
の一回分の充填にかかるヘリウムガスのコストは最近で
は、重大な要因となっている。更に、ヘリウムは不活性
元素で合成反応をしないため、個体或いは液体のいかな
る前駆物質からも化学的に製造することは不可能であ
る。また、ヘリウムを液化するためには非常な低温が必
要とされる。従って製造後にヘリウムを持ち運びする唯
一の現実的な方法は、高価で、重たく、かつ扱いにくい
シリンダーに圧縮状態で保存するというものであり、屋
外でヘリウムを充填することは難しい。
【0006】(3)メタンを浮揚ガスに用いる場合 メタン(CH、或いはコールガス)は折りにふれて浮
揚ガスとして用いられてきた。しかしながらメタンは可
燃性で、水素と比べて安全性という点でいかなる利点も
なく、分子量が16であることは標準大気で5.39N
/mという揚力性能を提供することを意味し、これは
水素の半分以下である。今日ではメタンは浮揚ガスとし
ては何のメリットもない。
【0007】(4)アンモニアが浮揚ガスである場合 アンモニア(NH)は浮揚ガスとして用いられてい
る。その分子量が17であるため標準大気で4.97N
/mという揚力性能を提供し、それは水素の揚力性能
の半分以下であり、実質的に爆発性はない。更にアンモ
ニアは適当な圧力下で容易に液化するので、運搬及び屋
外での装備も簡単である。更に、安価である。しかしな
がらアンモニアはいくらか毒性且つ腐食性があり、また
悪臭があるので浮揚ガスとして大きな利点は見いだされ
ない。
【0008】(5)熱空気が浮揚ガスである場合 通常気圧において熱空気の密度は、言うまでもなく熱空
気の絶対温度と周囲の空気の絶対温度の比率によって低
下し、従って熱空気は軽航空機の浮揚ガスとして用いる
ことができる。熱空気を実際に用いる場合、揚力を現実
的に長時間維持するためには、エンベロープを通して外
に熱が逃げるために温度が下がり、その比熱はかなり低
いので、熱空気は連続的に再加熱されなければならな
い。そのような大きい容量の空気(常にガス状に止ま
る)を加熱する唯一の実際的な方法はガスバーナーから
炎を直接エンベロープに投入することである。非常に重
要な追加的な利点は、再加熱の割合を変えることによっ
て簡単且つ便利にクラフトの浮力制御が行えることであ
る。熱空気は非常に安価で容易に野外で生産することが
でき、その利用及び生成は比較的安全である。熱空気利
用のフリーバルーンは今日では非常に一般的であり、飛
行船にも熱空気は利用されている。しかしながら、浮揚
ガスとしての熱空気の主な不利な点は、提供できる揚力
が低いことである。実際に、エンベロープ内の熱空気の
平均温度は約100℃から120℃の間、即ち373゜
Kと393゜Kの間であり、120℃は通常操縦可能な
最大の浮揚熱空気温度である。標準大気における外気の
温度は288゜Kであり、このことは、1m3の熱空気
が提供することのできる揚力は約2.74Nから3.1
9Nの間を変化することを意味し、それは水素によって
得られる揚力の約1/4である。これは、所与の有効搭
載量を持ち上げるために必要とされるエンベロープがか
なり大きくなければならないことを意味する。
【0009】飛行船において、熱空気を浮揚ガスとして
用いる上での更なる重要な欠点は、典型的な再加熱方法
がガスバーナーから直接的にエンベロープに炎を投入す
るというものなので、大気圧に対して正圧を維持するこ
とが困難或いは不可能なことである。(無論エンベロー
プの上部は外部の大気圧に対してやや正圧であるが、エ
ンベロープの下方に向かって開口部に近い部分は正圧は
ない)。従って、通常のごとくエンベロープが何らかの
硬質部材で支持されていなければ、エンベロープは必然
的にフロッピィであり、大気中で高いスピードを維持す
ることはできない。更に、エンベロープにフィン等を取
付けたり、車をつり下げたりすることは難しくなる。
【0010】従来技術における浮揚ガス性能 上述の従来技術、5浮揚ガスの利点及び欠点は図面の図
1Aとして提示した表の1〜6列に要約されており(影
のない部分)、密度及び提供できる揚力の実際の数値が
図面の図1Bとして提示した表の初めの5行に示されて
いる。
【0011】上述のごとく、実際に実行された従来技術
においては、どの浮揚ガスも理想的なものとはいえず、
事実、従来技術において使用された浮揚ガスの全てが1
つ或いはそれ以上のタイプの重大な欠点を有している。
【0012】従来の飛行船におけるエンベロープ内圧力
制御 上述したごとく、熱空気が浮揚ガスとして用いられた従
来の飛行船は加圧されておらず、エンベロープは底部に
開口があって、エンベロープ内の空気を熱するために
は、ガスバーナーの炎が下から真っ直ぐに直接開口に向
かって上げられた。正圧されていない結果として、この
ような熱空気飛行船はスポーツなどの特別な目的にはわ
ずかに利用できるが、非常に満足に動作するというわけ
ではない。
【0013】熱空気以外の従来技術の浮揚ガスが利用さ
れた全ての軟式飛行船或いは半硬質飛行船のエンベロー
プは閉じられており、周囲気圧よりいくから高めに加圧
されている。(いわゆる硬質飛行船で、構造的にその硬
性に何も貢献しない浮揚ガスを充填した膜状のバッグを
内部に備える飛行船は、ここでは議論、或いは考慮され
ないものとする)。このような加圧された飛行船では、
もしエンベロープの内側の圧力と外側の大気圧の差が非
常に大きくなるとエンベロープは伸張しすぎて破損する
か或いは破裂する可能性さえあり、もしこの気圧差が小
さくなり過ぎるとエンベロープはその硬性を失ってフロ
ッピィになり、大気中で十分なスピードを維持すること
ができなくなるばかりでなく、フィンや車体などエンベ
ロープにぶら下がっているものの重量が歪みをもたらす
ので、静止している時でもエンベロープの物理的な形状
を維持できなくなるおそれがある。
【0014】さて、この圧力差は大変動揺しやすい。動
揺する最も大きな要因は、飛行船が高度を変えるに伴っ
て必然的に外部の大気圧力が変わるということである。
また、圧力差の動揺はエンベロープに注がれる太陽光線
の量(いわゆる日射)が変化することから生じる温度変
化により浮揚ガスの圧力が変化すること、或いは外部の
温度変化が要因となる。更に、外部気圧が気候の変更に
伴って大きく変わる可能性があり、このことも又圧力差
を乱す原因となる。従って、現行の操縦状況では、適当
なレベルに圧力差を維持するために飛行船のエンベロー
プ内の圧力レベルを調整する手段を提供することが必要
となってきた。
【0015】上述の熱空気以外の従来技術の浮揚ガスに
おいては、圧力差の低下に応じて必要時にエンベロープ
に供給するための余分なガスを飛行船に搭載することは
実際的に不可能であったし、逆に圧力差の増大に応じて
必要な時にいくらかのガスを取り除くことも不可能であ
った。言い換えると、もし飛行中にエンベロープ内の浮
揚ガスの圧力が不十分になり始めると、問題解決のため
に更に追加のガスを供給することは不可能であった。ま
た、逆にもし飛行中にエンベロープ内の浮揚ガスの圧力
が過剰になり始めると、問題を取り除くために浮揚ガス
のいくらかを一時的に取り除くことは不可能であった。
(勿論単に浮揚ガスを排気することは可能であったが、
その逆は不可能であった)。従って、過去において広く
実際的に採用されていた飛行船のエンベロープ内圧力制
御のシステムはエンベロープ内に一つか或いは複数のバ
ロネットを搭載することであった。それらのバロネット
はファン或いはその他適当な装置によってエンベロープ
の外側の大気中の空気が加圧されたエアバッグであっ
た。この加圧された空気供給は圧力差を調整するために
バロネットを膨張させたり収縮させたりするように制御
することができる。
【0016】しかしながら、このようなバロネット及び
それらを適切に加圧するための手段を準備することは飛
行船の初期コストを増大させる。更に、飛行中にこれら
のバロネットに圧縮空気を適切に供給することは飛行船
の操縦を複雑にする。
【0017】従来技術の飛行船における推力 最初に飛んだ飛行船は1852年のヘンリ・ジファード
のものであり、スチームエンジンが動力であった。しか
しながら、推進装置の重量は非常に大きく、更に外付け
の内燃機関のような炉から浮揚ガス(水素であった)が
発火する非常に大きな危険があった。本発明の出願人は
完全な詳細を知る手だてはないが、このスチームエンジ
ンは間違いなくボイラー、往復ピストン、クランク、燃
料供給装置、及び駆動用水供給装置をそなえ、更にはコ
ンデンサを装備していたと思われる。二番目に飛んだ飛
行船は、1884年に飛行したレナード・アンド・クレ
ブスのもので、バッテリーという電気的動力源であっ
た。このコンセプトはバッテリーの重量ゆえに、実際的
でないことが証明された。その後飛行船はガソリン或い
はディーゼルのどちらかによる内燃機関を動力源とし
た。これらのエンジンは効率はよいが、飛行船に搭載さ
れた場合には頻繁にメンテナンスを必要とする。更に、
これらのエンジンは厳重に消音手段が施されないかぎり
非常にうるさく、必要な消音装置は重たい。
【0018】従来の飛行船における揚力制御(P8) 今日の実用的な飛行船は、浮揚ガスにヘリウムを用い、
このヘリウムはコスト面から緊急時を除いて排気される
べきではなく、ヘリウムの圧力は周囲気圧と等しい。こ
のことは、飛行船の総揚力(飛行船の総揚力は浮揚ガス
によって置き換えられた空気の重さに等しい)は一定で
あることを意味する。従って燃料の消費によって飛行船
の重さが飛行中に必然的に徐々に減少していくという問
題が生じる。飛行船の重量が軽いということは当然利点
であると考えられるかもしれないが、実際には飛行船は
直ぐに軽くなり過ぎて垂直方向の操縦が非常に困難にな
る。にもかかわらず、今までにヘリウムを通常排気する
ことは真剣に検討されていない。
【0019】この問題を克服するために様々な方法が試
みられた。いくつかの複雑な飛行船では、エンジンの排
気ガスから水を凝縮するコンデンサが装備されており、
この装置は飛行船の重量を概ね一定に保つことができ
る。しかしながら、このようなコンデンサは重たくて高
価である。戦前のツェッペリンのいくつかは、飛行中に
エンベロープの外の雨水を集めてバラストにため、この
手段は有益であった。今日では、飛行船は飛行に可能な
限りの状態まで重量を加え、この方法は短時間の飛行に
は十分である。しかしながら、問題がのこる。フリーバ
ルーンの揚力は浮揚ガスを適当に暖めることで変化する
ことがあり、この場合のバルーンは「ロジェ」と称され
る。本出願人はこのシステムが実際に動力飛行船(熱空
気飛行船以外で)に採用されているケースを知らない。
【0020】浮揚ガスとしての水蒸気の概念 水蒸気即ち水或いはHOの蒸気相を浮揚ガスとして用
いることは過去において提案されたことがある。本発明
者が捜すことのできたそのような提案のより早いものは
1815年のケイレイの動力飛行船に関するものであ
る。米国特許第3,456,903, 米国特許第3,
897,032, 及び米国特許第4,032,085
において、パプストは水蒸気を浮揚ガスとして用いる動
力飛行船に関して様々な概念を提起している。更に、コ
ールマン等の米国特許第5,890,676も関連があ
ると見なされるであろう。しかしながら、これらの提案
のどれも実際のハードウェア(軽航空機)に結実してい
ない。
【0021】更に、本発明者は個人的な口頭での会話に
おいて、過去にブライアン・ボーランドが人が乗り、底
部が大気に向かって開放していて、水蒸気を浮揚ガスと
するフリーバルーンで飛ぶことを考えたと知らされた。
しかしながら、本発明者はこの事実の法律的意味を確認
することができない。何故なら、実際の飛行には到達し
なかったようであるが、この概念が公表されたかどう
か、或いはどの程度公表されたか、また、この方法がど
のくらいまで進んだかも不明だからである。
【0022】一方では、それ自体は既知のタイプの熱空
気フリーバルーンで、浮揚ガスは熱空気(超高温ではな
い)と水蒸気が湿度100%までミックスされたものか
らなる。(この水蒸気の絶対量は比較的少ない)。エン
ベロープは黒い素材、典型的にはゴミ袋に用いられる黒
いポリエチレンが使われ、バルーンは日差しの強い日に
飛ばされる。バルーンが上昇し、熱い浮揚ガスが冷める
と、エンベロープの内側に露が生成され、太陽光線が黒
いプラスチック素材の外側に照射してこの露を温め再び
蒸気化し、それによって太陽熱を非常に効率的に浮揚ガ
スに転換して熱く維持する。水蒸気が追加揚力に寄与す
るのは非常に少ない量であり、重要なのは熱変換であ
る。フランスでは、フリーバルーンは「ブレット・ド・
オレンジ」と称される。ラジオゾンデを装備したそのよ
うな小さなバルーンはかなりな高度を達成しているが、
勿論日中に機能するだけである。人が乗った飛行が試み
られたことがあるかどうかは知られていない。
【0023】浮揚ガスとしての水蒸気の一般的特徴 水素の分子量は18であり、従ってもし一定量の水蒸気
が標準大気の温度と圧力で存在すれば(液相になるの
で、このことは勿論不可能である)約4.56N/m
の揚力を供給する。しかしながら実際には、標準大気で
はガス相に止まるためには、水蒸気は100℃、即ち3
73゜Kという最小温度に維持されなければならない。
このことは標準大気の空気中でそのような水蒸気が提供
する揚力は、水蒸気の温度の高さに伴って上記の揚力よ
りも大きいことを意味し、計算によれば、揚力は約6.
26N/mである。これはヘリウムが提供する揚力の
約60%で、熱空気の提供する揚力の2倍或いはそれ以
上である(熱空気の全体的温度による)。
【0024】水蒸気は実質的に非腐食性であり、毒性も
なく悪臭もない。発火しないし、どこでも水を沸騰させ
て簡単に製造することができる。コストに関しては使え
る水が10℃であるとすると1kgのこの水を100℃
に熱するために90kCalの熱が必要であり、100
℃で水蒸気に変換するために、更に540kCalが必
要であり、合計630kCalである。典型的な燃料油
の発熱量(calorific value)は10,
000kCal/kgで、従って、非効率を考慮しても
1kgの燃料油を燃焼させれば、約10kgの水蒸気を
生成するのに十分なエネルギーを供給する。燃料油は大
量でも安価なので、水蒸気1kgを製造するコストは極
めて低いとみなされる。
【0025】軽航空機の浮揚ガスとしての水蒸気の特徴
は図1Aの表の第7列(影つき部分)に要約されてお
り、その密度の実際の数値と水蒸気が提供する揚力は図
1Bの表の第6列に示されている。
【0026】発明によって解決される問題点水蒸気を浮揚ガスとして用いる場合の難点 上述の考察に基づいて、フリーバルーン及び飛行船共に
水蒸気は浮揚ガスとして極めて有望にみえるが、実際の
使用に際しての主な障害は、エンベロープを通して熱が
逃げるので、水蒸気浮揚ガスは当然極めて速やかに水に
凝結し、エンベロープの内側表面を流れ落ちるというこ
とである。いかなる従来技術においても、この凝結の量
を計量するための提案、実験によるもの、推定或いは推
測によるものもなされていないようである。従って水蒸
気を浮揚ガスとして用いる明らかな利点にもかかわら
ず、完全で十分根拠のある数値或いは設計を含むいかな
る実用化もなされていない。
【0027】発明の目的 従って、本発明の目的は上述の問題を克服するために少
なくとも主に水蒸気からなる浮揚ガスを用いる軽航空機
を提供することである。本発明の更なる目的は優れた揚
力性能を持つ浮揚ガスを充填した軽航空機を提供するこ
とである。本発明の更なる目的は安全性のある浮揚ガス
を充填した軽航空機を提供することである。本発明の更
なる目的は安価な浮揚ガスを装備した軽航空機を提供す
ることである。本発明の更なる目的は野外で簡単に配備
できる浮揚ガスを充填した軽航空機を提供することであ
る。本発明の更なる目的は非腐食性の浮揚ガスを充填し
た軽航空機を提供することである。本発明の更なる目的
は無害な浮揚ガスを充填した軽航空機を提供することで
ある。本発明の更なる目的は経済的に実用化できる軽航
空機を提供することである。本発明の更なる目的は揚力
制御が簡単な軽航空機を提供することである。本発明の
更なる目的は単純で信頼性の高い推力手段によって推進
される軽航空機を提供することである。本発明の更なる
目的は効率の高い推力手段を備えた軽航空機を提供する
ことである。本発明の更なる目的は安価な燃料油によっ
て推進される軽航空機を提供することである。本発明の
更なる目的は地上で簡単に格納できる軽航空機を提供す
ることである。本発明の更なる目的は静かに操縦できる
軽航空機を提供することである。本発明の更なる目的は
環境に優しい軽航空機を提供することである。本発明の
更なる目的は頻繁なメンテナンスを必要としない軽航空
機を提供することである。本発明の更なる目的は正の圧
力差において操縦され、構造が簡単な軽航空機を提供す
ることである。本発明の更なる目的は正の圧力差におい
て操縦され、製造が安価な軽航空機を提供することであ
る。本発明の更なる目的は、正の圧力差において操縦さ
れ、操縦が簡単な軽航空機を提供することである。本発
明の更なる目的は、操縦中にエンベロープ内の圧力と外
大気の圧力差制御が容易且つ簡単な軽航空機を提供する
ことである。
【0028】発明の概要 本発明者の概念は、主として水蒸気からなる浮揚ガスを
用いる軽航空機で、エンベロープの内側底部に溜まった
水を排水し、一方ではエンベロープからガスが逃げるの
を防ぐ手段を提供するというものである。この排水され
た水は大気中に放出されても良いし、或いはボイラーで
水蒸気にされてエンベロープに戻されても良い。その間
浮揚ガスはエンベロープから逃げないようにしなければ
ならない。更に、本発明者は、もし飛行船が水蒸気或い
は主として水蒸気からなる混合物を浮揚ガスとして用い
るならば、この飛行船の推進装置にスチームエンジンを
用いることは実用的であると同時に確実に利点となる、
と考えた。更に、本発明者は、使われる浮揚ガスが主と
して水蒸気である軽航空機においては、エンベロープを
通して浮揚ガスの熱が逃げるのを阻止するために特に適
したガスを一定量水蒸気浮揚ガスに混合するという利点
があると、考えた。
【0029】発明の説明 本発明の一つの側面に従って、エンベロープと、エンベ
ロープの内側底部に溜まった水をエンベロープから排水
する手段と、一方エンベロープからガスが逃げるのを防
ぐ手段を有する軽航空機が提示された。更にこの排水さ
れた水を大気中に放出する手段、バラストを搭載する手
段、及び排水放出手段が排水された水を大気中に放出す
る率とほぼ同率でバラストを大気中に放出する手段を有
する。バラストが水の場合にはバラスト放出手段は水流
制御バルブでよい。更に、溜まった水を沸騰してエンベ
ロープにその水蒸気を供給する手段を有する。沸騰手段
の稼働率は可変であり、溜まった水の少なくとも一部を
一時的に貯水する手段が更に含まれ得る。この飛行船が
動力飛行船の場合は、エンベロープに水蒸気を供給する
手段は、軽航空機を推進する動力源となり、沸騰手段か
ら加圧された水蒸気を供給され排気された水蒸気はエン
ベロープに供給されるスチームエンジンを含み得る。エ
ンベロープに水蒸気を供給する手段は更に、沸騰手段か
ら直接にエンベロープに水蒸気を供給してスチームエン
ジンに水蒸気をバイパスするバイバス導管を含み、更
に、沸騰手段がバイパス導管及びスチームエンジンに供
給する水蒸気の量や割合を変更可能にする手段を含む。
水通過及びガス遮断手段は低い位置に取り付けられたト
ラップバルブを含み、バルブシートと一定量よりも低い
量の水がフロートの周囲にある時バルブシートに隣接し
て遮断し液状水がバルブシートをとおることを防止し、
一定量よりも大きい量の水が前記フロートの周囲にある
時バルブシートから浮力によって持ち上げられ、バルブ
シートを開放し液状水がバルブシートを通ることを可能
にするバルブフロートを備える。実用では、エンベロー
プは主として水蒸気からなる浮揚ガスを充填される。上
記のいずれの場合にも、エンベロープを断熱する手段が
更に含まれてもよい。
【0030】本発明の別の態様では、主として水蒸気か
らなり、エンベロープを通しての熱喪失を防ぐために特
に適した封止ガスを少量混合した浮揚ガスを充填したエ
ンベロープを備える軽航空機が提示される。封止ガスは
空気、ゼノン、クリプトン、アルゴン、二酸化硫黄、ヘ
キサン、クロロホルム、或いは100℃及び大気圧下で
ガス相で、且つ比較的高い分子量を持つ物質で、15℃
及び大気圧下でも又、ガス相であることが望ましい。封
止ガスの重量比率は約5%以下である。
【実施例の説明】
【0031】第1実施例 構造 図2は本発明の軽航空機の第1実施例の垂直平面断面図
を示す模式図であり、充填用トラックを伴う。この第1
実施例はそのエンベロープが概ね従来型で、際だった特
徴は、使われる浮揚ガスが主として水蒸気からなり、即
ち水(HO)を沸騰させて生成した水蒸気であり、さ
らに、熱喪失を防ぐために特に適したいわゆる封止ガス
が一定量追加される。このガスの性質は後述される。
【0032】バルーンのエンベロープは全般にわたって
参照番号1によって表され、球形の上部1aと、尖った
底端部1cに終結する円錐形底部1bとからなる。バス
ケット2はエンベロープ1の下側にライン2aと2bと
によって吊るされる。エンベロープ1はいくらか封止ガ
スを混合された水蒸気(水のガス相)で充満される。
【0033】操作 この第1実施例フリーバルーンは以下に記述されるよう
に操作される。しぼんだ状態を最初に地上で膨張させる
ためにウォータタンクWT、高能力ボイラーシステムB
及び水蒸気供給ホースHを装備したスチームトラックT
が準備される。このバルーンを膨張させるため、ホース
Hはエンベロープ1の内部と連通するようエンベロープ
に取り付けられた適当なコネクタ(図示されない)に接
続されており、ボイラーBはウォータタンクWTの水を
ボイルするように操作され、その結果生成された水蒸気
がホースHを通してエンベロープ1に供給される。エン
ベロープ1に適切に水蒸気が充填されると、或いは充填
中に適量の封止ガスが混入されると、バルーンは飛行し
はじめ、スチームトラックTを地上に残して切り離され
る。
【0034】選択的には、エンベロープ1は離陸に際し
て完全に充填される必要はなく、従ってエンベロープ内
に利用できる追加の空間が残っていることになる。この
ような場合には、言うまでもなく、エンベロープ1のベ
ースの圧力は大気圧以上には上がらない。いずれの場合
でも、この第1実施例の軽航空機を正圧力で操作する理
由はない。何故ならバルーンであって、空気に対抗して
移動する理由はないからである(上昇と下降をのぞ
く)。従って、エンベロープ1は硬性を得るために正の
圧力によって膨張させられる必要はない。
【0035】エンベロープ1に水蒸気が供給されると直
ちに水蒸気の熱はエンベロープの生地を通して外に逃げ
ることは避けられず、従って水滴がエンベロープの内表
面に凝結し始める。これらの水滴は間もなくエンベロー
プ1の底部の一番低い地点、即ちエンベロープの底端部
1cに向かってぽたぽたと落ち始める。この液水は実質
100℃の温度でこの底端部1Cに溜まり始め、この実
施例1においては、この液水は継続的に溜まっていく。
更に、一定の操作環境においては、エンベロープ1内の
スチームのいくらかは凝結して浮遊する水滴となっても
直ぐにはエンベロープ内側表面に付着しないで、エンベ
ロープ1内の内部空間に霧として止まる。この好適な第
一実施例では、エンベロープ内のスチームの温度を維持
する手段が何もないので、飛行時間に制限があることは
避けられない。しかしながら、後述するように浮揚ガス
に混合された封止ガスが熱喪失を大いに低減するので、
飛行可能時間が延長される。
【0036】以下に、封止ガスを混合した水蒸気を浮揚
ガスとして用いるこの第1実施例フリーバルーンの長所
及び短所を記載する。 水素及びヘリウムバルーンとの比較 上記バルーンで用いられる浮揚ガスによってもたらされ
る揚力性能は、水素或いはヘリウムの60%であり(封
止ガスの量は非常に微量なのでこの関連では無視してよ
い)、この点において本発明は著しく不利である。更
に、飛行時間は浮揚ガスの温度が下がることにより制限
されている。しかしながら、このバルーンは水素におけ
る過度の危険及びヘリウムの法外な高コストを避けるこ
とができる。更に、野外でヘリウムを充填する非常な困
難を完全に免れており、水蒸気は実際に水素よりも現地
での製造が簡単である。
【0037】熱気球との比較 実際に水素及びヘリウムバルーンは今日では殆ど使われ
ていないので、フリーバルーンについての比較で重要な
のは熱空気である。論点を絞るために、第1実施例のフ
リーバルーンにおいて、エンベロープが直径10m、従
って堆積が4,500m(底部円錐形部1bを含
む)、表面積が約1,300mのバルーンについて考
察する。このバルーンは例えば、現在キャメロンバルー
ン(Cameron Ballons)によって販売さ
れている体積が約3970mのモデルN140と似て
いる。
【0038】熱空気を浮揚ガスとして用いる従来のケー
スでは、上述したように、実施の際、許容できる浮揚熱
気の温度120℃における最大総揚力は約14,355
Nであり、従って飛行可能な最大総重量は1,460k
gである。実際には、最大浮揚空気温度120℃は過度
に高いため、実施の際にはエンベロープ全体にわたって
得ることは殆ど不可能で、通常の揚力はこの数値よりも
低い。一方、浮揚ガスに蒸気を用いる場合、総揚力は実
質的に2倍の約28,170Nとなり、総重量約2,8
70kgを飛行させ得る。このことは、従来技術に比較
して大きな利点である。
【0039】更に、飛行時間に関しては、この水蒸気バ
ルーンのエンベロープの内部の温度は100℃均一であ
り、標準大気における外気の温度は15℃なので、エン
ベロープの内側と外側の空気の温度差は85℃である。
一方、熱空気を浮揚ガスとして用いるこれと同程度のサ
イズの従来型のバルーンの場合は、上述したようにエン
ベロープ内の平均温度は第1実施例の総揚力の半分を得
るためでさえ、最大120℃である必要があり、温度差
は105℃である。従って、明らかに、本発明の場合の
熱喪失の比率は熱空気を浮揚ガスとして用いる場合に比
べてかなり小さくなり、従って飛行時間はそれに応じて
長くなる。更に、水蒸気浮揚ガスに封止ガスを混合する
ことで更に大幅に熱喪失を低減できる。
【0040】水蒸気フリーバルーンの安全性について バルーンのエンベロープが充填される時及び飛行中に
は、水蒸気は安全性についての実質的な問題はない。し
かしながら、飛行中、バスケット2が地上にぶつかる瞬
間の直前の危急の期間中に、エンベロープ内の浮揚ガス
を全て放出するためにエンベロープを裂く必要がある。
さて、そのような大量の水蒸気をバスケットに乗ってい
る操縦士と他の乗員の近くで放出すれば、水蒸気の熱の
ために火傷の危険があるかもしれない。しかしながら、
フリーバルーンの場合、通常着陸時にはバスケットが先
に地上にぶつかりエンベロープはその後で風下に向かっ
て落ち着くのでこの危険は大きくはない。上述の水蒸気
フリーバルーンにおいては、エンベロープ1が着陸して
水蒸気浮揚ガスが放出される間、バスケット2は操縦士
及び乗員から十分離れているように、バスケットをつり
下げるライン2a及び2bをいくらか長くすることが望
ましいと判断され得る。
【0041】封止ガス 本発明者の、適当な封止ガスを混合することは、水蒸気
を充填した容器からの熱喪失を低減するのに効果的であ
るという意見はオリバー・ライル著「水蒸気の有効利
用」HMSO、1947、頁294の後述の文章に基づ
いている。
【0042】「水蒸気中の空気の実際の熱変換率の影響
に関する情報は殆どない。American Inst
itute of Chemical Enginee
rs1935によってある結果が公表されたが、以下に
示すのは水蒸気サイドのみに関しての空気の熱変換率で
ある。 もし上記の数字が正確であれば、空気を完全に取り除く
ことが最重要課題であることを意味する。
【0043】この文はボイリングパンのような熱する表
面を通して熱変換率を最大にするという見地から書かれ
ているが、水蒸気バルーンの水蒸気浮揚ガスに僅かの空
気を混合することは、大気中への熱喪失を低減するため
に効果的である可能性があることを示唆している。
【0044】更に、本発明者は封止ガスとして空気以外
のガスを用いることを考えた。現時点では、この熱障壁
封止効果を発生させる物理的現象は不明であるが、エン
ベロープの内側表面の次面として封止ガスの層が形成さ
れて、水蒸気の凝結を妨げる。しかしながら、一般的に
は熱伝導率が高いガスよりも熱伝導率が低いガスのほう
がより効率的であると考えられる。
【0045】したがって、以下のようなガスが封止ガス
として有効であろう。(400゜Kでの熱伝導率mW/
m.゜Kが〔〕内に示される):ゼノン(7.3);ク
リプトン(12.3);アルゴン(22.6);二酸化
硫黄(14.3);n−ヘキサン(23.4);および
クロロホルム(11.1)。(比較すると、400゜K
において空気の熱伝導率はこの単位では33.3であ
る。)
【0046】ノンエレメンタルガスに関するかぎり一般
的に分子量が増大すると熱伝導率が下がる。従って、1
00℃、大気圧下でガス相で比較的高い分子量をもつ物
質は封止ガスとしてふさわしい候補と考えられる。更
に、封止ガス物質は15℃、大気圧下でガス相の物質は
飛行後に続く排気時にエンベロープの生地から蒸発する
点で有利である。封止ガスの重量の割合を約5%以上に
増やすことには殆ど利点はない。この封止ガスを水蒸気
浮揚ガスに混合する考えは本発明の以下に説明されるど
の実施例にも応用され、それぞれのケースで追加的な利
点を提供するであろう。
【0047】第2実施例 構造 第3図は第1実施例を示す第2図と同様の断面模式図で
あり、本発明の第2実施例のフリーバルーンを示す図で
ある。この図において、第2実施例の要素は第2図に示
された第1実施例の要素と対応しており、同様の機能を
有しているものは同様の参照番号によって示されてい
る。したがって繰り返しを避けるために、第2実施例の
説明は主として上述の第1実施例とは異なる特徴にしぼ
られる。第2実施例では、凝結した水はエンベロープ1
の底端部1cの底部に凝結水排水バルブ3が装着され、
凝結水排水ホース4の上端部はエンベロープ1を通って
排水バルブ3に連結される。こうして、凝結水排水バル
ブ3は凝結水ホース4とエンベロープ1の内側の連通を
制御する。第2実施例においては、排水ホース4の底端
部はバスケット2の下側で大気中に向かって開放されて
いる。
【0048】凝結水排水バルブ3の構造はその拡大断面
模式図である第4図に示されている。この排水バルブ3
はエンベロープの尖った底端部1cの上部内側表面に固
定されており、概ねシリンダー型で尖った底端部Eを有
しスライド自在に内側に受容され、且つその密度は10
0℃の水の密度よりもやや低いフロートFを有するシリ
ンダー部材3aからなる。凝結水排水ホース4の上端部
はバルブ本体3aの内側に突き出ており上方に向かった
円錐形シート3bを備え、下方に向かって突き出ている
フロートFのとがった底端部Eを受容する。流体の通路
となる充填穴3cと3dは円錐型シート3bの上端部よ
りも低い位置で、バルブ3の空洞のシリンダー3aの底
部を貫通し、排気穴3eはバルブ本体3aの上面部にお
いて排気用に貫通している。
【0049】操作 エンベロープ1が水蒸気を充填された時、排水バルブ3
は第4図と同様の拡大断面模式図2つからなる第5図に
おいて示されているように機能する。エンベロープの生
地を通して外大気に熱が失われることによりエンベロー
プ1内の水蒸気が凝結して内側表面に付着し、この水滴
のいくらかは下方に落ちて実質的に100℃の水となっ
てエンベロープ1のとがった底端部1cに貯水する。こ
の貯水された水の表面レベルSがフロートFが揺れるよ
うになる危急のレベル以下に止まっている間は、第5図
に示されているように、フロートFのとがった底端部E
は円錐形シート3bに接着して、ホース4の上端部を閉
じ、ホース4とエンベロープ1の内部の連通を遮る。こ
の状態では、エンベロープの尖った底端部1cに蓄積さ
れた水或いはエンベロープ1内の蒸気のいずれもホース
4を通って下方に流れる可能性はない。一方、エンベロ
ープ1の尖った底端部1cに蓄積された水の表面レベル
SがフロートFが揺れる危急のレベルより上がると第5
B図に示されているようにフロートFのとがった底端部
Eは円錐形シート3bから上に浮いてシート3bを開放
し、ホース4は穴3cと3dを介してエンベロープ1の
内部と連通する。この状態では、蓄積された水の表面レ
ベルSは明らかに円錐形シート3bの頂部よりも高いの
で、エンベロープ1内の蒸気がホース4を通って下方に
逃げる危険性はない。逆に、エンベロープ1の尖った底
端部1cに溜まった水だけがホース4を通って下方に流
出して放出される。結果として、この構造のバルブ3は
エンベロープ1の底部に溜まった水を放出し、エンベロ
ープ内の蒸気がこの通路を介して逃げることを確実に防
ぐことが知られる。
【0050】第2実施例で凝結水バルブ3を備えること
の結果は、凝結水がエンベロープの底部に貯水する水蒸
気バルーンと比較した時、飛行時間を大幅に延長すると
いう事実であり、その理由を以下に述べる。
【0051】上述した第2実施例のバルーン及び比較す
る水蒸気バルーンにおいて、540kCalの熱がエン
ベロープ1の生地を通して失われるのに要する(特有
の)時間をP秒とする。このP秒は外部大気の温度のみ
に影響される、何故ならば、どちらのケースでもエンベ
ロープ1内には熱力学的平衡が共通である水と水蒸気が
入っているので、エンベロープ1内の内側の温度は均一
100℃である。この熱喪失は1kg、標準大気で体積
1.70mの水蒸気を僅かに0.001mの水に凝
結する。従って、両ケースにおいて喪失する総揚力は2
0.47Nである。しかしながら、比較水蒸気バルーン
の場合には1kgが凝結した水はエンベロープの底端部
で増え続けるウォータープールに不用な荷重として止ま
り、9.81Nにまで増大する。この比較用水蒸気バル
ーンの場合、したがって、純揚力の喪失はP秒ごとに総
量20.47Nであり、一方第2実施例の場合には、エ
ンベロープ1内の不用な凝結水はバルブ3を介して継続
的に排水されホース4を介して下方に流れバルーンから
放出されるので、純揚力の喪失はP秒ごとに10.66
Nだけである。従って、飛行時間はこれに対応して延長
され、事実、ほぼ2倍となる。
【0052】バラスト補償及びバルーンの操縦 通常、人が乗ったフリーバルーンは、離陸上昇時は制御
不能なのでめったに余分な揚力をもって飛ぶことはな
い。この議論に無関係な熱気球は除外して、離陸時には
適当な量のバラスト(典型的には水或いは砂が用いられ
る)が、純揚力を低く且つ必要とされる値に低減するた
めに搭載される。バルーンは放されて許容範囲内、制御
可能なスピードで上昇する。その後バラストは垂直操縦
を実行するために適切に放出される。
【0053】第2実施例のフリーバルーンの場合には、
バラストは飛行を維持するために継続的に放出される必
要がある、なぜなら、揚力は上記定義された時間Pごと
に10.66N(1.09kg)ずつ減少する。事実、
もし離陸時にWkgのバラストを搭載して僅かな浮力を
持つようにしておくと、飛行は最大(W/1.09)x
P秒間持続する。そして、垂直制御はバラスト放出率を
変えることによって、簡単且つパワフルに実行される
(そのようなバラスト放出制御はそれ自体従来技術なの
で図3には示されていない)。
【0054】自動バラスト放出装置を含む実施例の変更
例 図6及び図7に示されている変更例は、第2実施例のバ
ルーンが飛行中に継続的に飛行レベルを維持するための
バラスト放出率(P秒こどに1.09kg)は、図3の
凝結水排水ホース4を介して大気中に放出される水蒸気
揚力ガスからの凝結水の放出率(P秒ごとに1kg)と
殆ど同量であるという結果を利用している。
【0055】図6は図2及び図3と同様の縦断面図であ
り、この変更例によるフリーバルーンを表わしており、
バラスト水放出制御バルブVを更に含んでいる。エンベ
ロープ1からバルブ3を通って排水される凝結水の流れ
は、凝結水排水ホース4aを通ってこのバルブVの一つ
の開口に供給される。そしてバラストタンクBTからで
るバラスト水流はバラストタンク連結ホース4bを通っ
てこのバルブのもう一つの開口に供給される。制御バル
ブVの機能はこの凝結水排水流とほぼ同量に保つように
バラスト水の流れを制御し、一方、前述の排水流を妨害
しないようにすることである。バラスト水流と排水され
た凝結水は合体し排水ホース4cを通って放出される。
【0056】図7はこのバラスト水放出制御バルブVの
可能な構造の一例を示す拡大縦断面模式図であって、こ
のバルブVの具体例の様々な他の可能性は、本明細書の
開示に基づいて、過度の実験をしなくても、当業者には
明らかであろう。アーム13はこのバルブの本体10内
で概ね水平に延長し、枢軸点14の中央部分の近傍で枢
着する。アーム13はバルブVの本体10の内部で概ね
水平に広がり、枢軸点14においてその中心点近くで枢
着されている。回転可能なダンパ15は短時間の間この
枢軸点14のまわりでアーム13の回転を消すが、長時
間に亘ってアーム13の回転を実質的に妨害するわけで
はない。エンベロープ1から排水された凝結水の流れは
凝結水排水ホース4aを通って第1のファネル11へ注
がれて、落下の衝撃を緩和し、第1のファネル11から
位置Pの近傍においてアーム13に注いで衝撃を与え
る。次に凝結水流はアーム13から流れ落ちてバルブ本
体10の底部に集められそこから凝結水ホース4cを通
って排出される。
【0057】一方、バラストタンクBTからのバラスト
水流は水量を制御する制御バルブ21を介して接続ホー
ス4bを通り、バルブ21の排水導管23から第2ファ
ネル12の中に注ぎこんでその流入の衝撃を緩和し、そ
の後位置Qの近傍でアーム13のもう一方に注がれて衝
撃を与える。次にこのバラスト水流はアーム13から落
ちてバルブ本体10の底部に集められそこから排水ホー
ス4cを通って上述の凝結水流と一緒に排出される。
【0058】ファネル11と12の高さと、位置PとQ
のアーム枢軸位置14(調整可能)からの距離は、アー
ム13がファネル11からの凝結水の水流が第2ファネ
ル12からのバラスト水の流量のとほぼ同じになるとき
に平衡(全トルクには影響されない)になるように選択
されている。更に、アーム13の回転はクランク16に
伝達されて第1リンクロッド17を駆動して枢軸点19
で枢着されているクランク18を回転して、コントロー
ルバルブ21のゲート22で開閉する第2リンクロッド
20を引くかあるいは押すかして、バラスト水の流れを
制御する。
【0059】上述した平衡状態からスタートして、もし
(たとえば)凝結水流の量が増加すれば位置Pにおいて
アーム13にかかる圧力は増加し、アーム13とクラン
ク16は図において反時計周りに回転し、ロッド17を
押してクランクら18を反時計周りに回転させ、ロッド
20を引いてゲートバルブ22をいくらか開放する。こ
の作用はバラスト水流が凝結水流と同じになるまで増加
させる。この時点でアーム13の回転は新たな平衡点で
停止する。さらに、もし凝結水流が減少すれば、上述と
逆の動作が発生する。そのようにしてバルブVの全体的
な動作はバラスト水流を制御して、凝結排水流を制限す
ることなくバラスト水流を凝結水流とほぼ同じに保つ。
回転ダンパ15はシステムハンティングを回避するため
に設けられる。
【0060】本変更例の操作 本飛行船の安定した飛行を維持するために必要とされる
バラスト水放出の主な部分は上述の自動バルブによって
処理される。しかしながら、操縦士はバラスト水放出率
をモニタし常に僅かの修正を行うことを要求されるであ
ろう。操縦士はファネル11および12の1つあるいは
両方をシフトすることによって行うか、あるいは自分で
バラストを放出するか、あるいはバルブ21(或いはア
ーム13)のゲート22を傾ける等の適当な手段によっ
て行う。
【0061】第3実施例 構造 第8図は第2図及び第6図と同様の断面模式図であり、
本発明の第3実施例であるフリーバルーンを表してい
る。この図において、第3実施例の要素は第2図から第
5図までに示された第1実施例及び第2実施例の要素に
対応しており、同様の機能を有するものは同様の参照記
号で表されている。説明は繰り返しを避けるために第1
実施例及び第2実施例とは異なる特徴について主として
焦点をあてる。この第3実施例の際だった特徴は、再沸
騰された凝結水によって水蒸気浮揚ガスが継続的に再生
されることである。
【0062】第3実施例では上述した第2実施例と実質
的に同様な方式で、エンベロープ1のとがった底端部1
cの底部に凝結水排水バルブ3が装着され、凝結水排水
ホース4の上端部は排水バルブ3に接続される。しかし
ながら、第3実施例においては、排水ホース4の底端部
は水蒸気再生装置5に接続されており、水蒸気再生装置
5に排水を放出する。この水蒸気再生装置5は又水蒸気
供給ホース6によってエンベロープ1と連通し、ホース
はエンベロープの円錐形部分1bを通ってエンベロープ
のとがった底端部1cよりもいくらか高い位置でエンベ
ロープ1内に開放されている。
【0063】水蒸気再生装置5は燃料油、石炭、或いは
コークのような化石燃料の燃焼を動力源とするのが便利
であり(原理的には核燃料を用いることも可能である
が)貯水槽WR、燃料槽FR、特に示されてはいないが
バーナーを備えたボイラーBからなり、特に図示されて
いないが、発火装置、制御装置等からなる。これらの部
品及び相互作用を具体化する様々な方法は、本明細書に
記述された機能に基づいて(必要以上の試験をしなくて
も)当業者には明らかであろう。水蒸気再生装置5の機
能は排水ホース4を介してエンベロープの尖った底端部
1cに溜まった凝結水を受け取り、操縦者が利点がある
と考えた場合、貯水槽WRに一定量の水を貯水し、ボイ
ラーBを用いて貯水槽WRの水を望ましく且つ可変的な
割合で水蒸気にし、外部の大気の圧力と同等或いは僅か
に高い圧力で、水蒸気供給ホース6を介してエンベロー
プに水蒸気を供給する。
【0064】操作 地上でしぼんだバルーンを膨張させる最初の膨張用に水
蒸気再生装置5のボイラーBを通常使うことは考えられ
ていない。何故なら沸騰能力はそのような作業に十分で
はない場合もあり、またこのボイラーBは調整された、
即ち一度沸騰され、溶解していた個体が浄化された凝結
水にのみ用いられるよう確保しておかれるのが望まし
い。代わりに、エンベロープ1の地上での最初の膨張用
は、第1実施例の操作に関して上述したスチームトラッ
クTのような外部水蒸気供給装置(特に図示されていな
い)が通常は準備される。選択的には、離陸前に貯水槽
WRに保存水が貯水されてもよい。第1実施例のよう
に、場合によってはエンベロープ1は離陸に際して完全
に膨張されなくてもよく、それゆえエンベロープ内部に
いくらかの空間が使用可能部分としてのこる。何れにし
ても、エンベロープ1が水蒸気で適切に充填された時、
第3実施例のこのフリーバルーンはスチームトラックT
を地上に残して飛び始めるために放される。
【0065】エンベロープ1に水蒸気が供給されると直
ぐ、水蒸気の熱はエンベロープの生地を通して外大気に
逃げ始めることは避けがたく、従って水滴がエンベロー
プの内側表面に凝結し始める。これらの水滴は間もなく
エンベロープ1の一番低い地点、即ち、エンベロープの
底端部1cに向かってぽたぽたと落ちていく。かくして
実質100℃の温度の水が尖った底端部1cに貯水し始
め、この温水は凝結水バルブ3と排水ホース4を介し
て、水蒸気再生装置5の貯水槽WRに貯水される。
【0066】第3実施例のバルーンでは、この貯水槽W
Rにたまった排水は、揚力維持のために再沸騰される。
操縦士はボイラーBを操作することによってこれを行
う。即ち、ボイラーBは燃料槽FRの適当な量の燃料を
燃焼させて貯水槽WRの熱水の好ましい量を水蒸気に変
換する。この水蒸気は水蒸気供給ホース6を介してエン
ベロープ1の内部空間に戻される。
【0067】さて、場合によっては、エンベロープ1内
の水蒸気のいくらかは、凝結して浮遊する液体になって
も、エンベロープの内部表面に直ぐに付着しないで、あ
る種の霧として気嚢の内部空間に止まる。これらの浮遊
する水滴を再び水蒸気に変換するために、場合によって
は、操縦者はエンベロープ1内へ水蒸気を供給する際
に、現在の周囲大気圧における水の沸点よりもやや高い
温度で水を沸騰させて、超高温水を供給するように水蒸
気再生装置5を操作することも可能である。このような
水蒸気内に存在する余分の熱は(水蒸気は超加熱されて
いるが現在の周囲大気圧よりも実質的に高い圧力下にあ
るわけではない)エンベロープの内側の空間で放熱して
浮遊する水滴を再沸騰させる。
【0068】明らかに、このフリーバルーンの揚力を一
定値に維持するために、凝結水を再沸騰させる率とエン
ベロープ1の内部面における水の凝着率は等しくなけれ
ばならない。しかしながら現在ある従来型の熱気球での
操作と類似の方法で、操縦者がこのバルーンの揚力を様
々に変更することは可能である。もし操縦者がボイラー
Bの再沸騰率を下げると、現時点の水の凝着率はボイラ
ーBによる水の再沸騰率よりも高くなり、水は貯水槽W
Rに徐々に貯水し始め、バルーンは徐々に揚力を失う。
一方ではもし操縦者が現時点でのボイラーBの再沸騰率
を現時点での水の凝着率より高くすれば、バルーンは徐
々に揚力を獲得しはじめ、この揚力増大は貯水槽WRに
十分な量の水があり、またエンベロープ1内に利用可能
な十分な空間がある間は継続可能である。
【0069】水蒸気を上昇ガスとして用いる第3実施例
のフリーバルーンの利点及び欠点を以下に述べる。 水素及びヘリウムバルーンとの比較 本バルーンで用いられた水蒸気が提供する揚力性能は水
素及びヘリウムバルーンの60%であるので、この点に
おいて本発明は著しく不利である。更に、揚力維持のた
めだけに水蒸気再生装置5を装備する必要があり重量的
に不利であるが、一方で水素及びヘリウムバルーンの場
合に対応するいかなる装置も必要としない。しかしなが
ら、本発明の場合浮力制御が可能でありこの特徴は重要
な利点である。更に、このバルーンは水素による高い危
険性とヘリウムの高コストという問題を避けることがで
きる。その上、前述したように、野外でヘリウムを充填
する非常な困難を完全に回避でき、水素に比べて水蒸気
は現地での製造がより簡単である。
【0070】熱気球との比較 再び、第3実施例による本バルーンの真に重要な比較
は、プロパンバーナーによって熱せられた熱空気を浮揚
ガスとして用いる従来型の熱気球との間でなされるべき
である。熱空気に対する水蒸気の利点は顕著であるよう
にみえる。論点を絞るために、第3実施例による、直径
が10m、従って体積が(円錐形の底部1bを含む)が
約4,500mで、表面積が約1,300mのバル
ーンについて検討する。
【0071】揚力比較 熱空気を浮揚ガスとして用いる従来型においては、詳細
に前述したように、最大操縦許容浮揚空気温度120℃
においてさえ、有効な最大総揚力は約14,355Nで
あり、従って飛行可能な最大重量は約1,460kgと
なる。実際には揚力これよりはかなり低い。一方、水蒸
気を浮揚ガスとして用いる場合は、総揚力は実質的に約
2倍の28,170Nになり、飛行可能な総重量は約
2,870kgとなる。しかしながら、純揚力、即ち実
行荷重という点においては、従来型のプロパン動力熱気
球に対する本発明の利点は、以下に述べる点を考慮する
と総揚力におけるほどは優れていない。
【0072】(1)本発明の場合、いかなる瞬間におい
ても、エンベロープ1内に一定量の凝結水が存在し、そ
の幾らかはエンベロープ1の内側表面に水滴になって凝
着し、やがて水滴となって下方に落ちる過程にあり、上
述のごとく、幾らかは霧状である。この凝結水の重量は
完全に寄生的である。 (2)第3実施例における水蒸気再生装置5は従来型の
熱気球で標準的に用いられるプロパンバーナー及びタン
クのセットよりも重量が大きいことは間違いない。
【0073】従って、問題は上記2点によって生じる余
分の質量がどのくらいになるかということである。完全
な規模で実行されていないので、質量について正確な数
字を提示することは不可能である。
【0074】しかしながら、(1)に関しては、ポリエ
チレンとシリコンの混合物をコーティングしたリップ−
ストップナイロンからなるバルーン生地を用いた小規模
な実験によると、どの時点においてもエンベロープの内
側表面1mに付着し且つ流れ落ちる水の体積は、平均
で、約80cmであり、言うまでもなく、この付着し
て流れ落ちる水の量はエンベロープ内表面の問題となる
部分の傾斜によって変化する。これらの実験はかなり正
確に測定していると考えられる。従って、上記例示のバ
ルーンの寄生水の質量の上限は、約100kg位だろ
う。
【0075】更に、(2)関しては、本発明者は、凝結
水タンク、燃料タンク、ボイラー、及びバーナーに伴う
余分の重量が、プロパンタンク及びプロパンバーナーに
比較して300kg以上であるとは考えていない。それ
よりかなり少ない可能性もある。更に、予定した飛行時
間が長くなれば、(2)に関する重量的不利はより小さ
くなる、なぜならば、(a)1kgあたりの燃料油(固
形燃料ではなく燃料油が用いられたならば)の発熱値は
LPGのそれよりも大きく、(b)所与の量の燃料油を
貯蔵するためのタンクの重量は同量のLPGを入れるに
必要なシリンダーの重量よりもかなり軽く(個体燃料の
貯蔵庫の重量はもっと軽い)、(c)以下に説明するよ
うに、このバルーンの揚力維持のために1時間当たりに
必要な熱エネルギーは従来型の熱気球に比べるとかなり
小さい、からである。
【0076】従って、第3実施例の水蒸気を浮揚ガスと
して用いるフリーバルーンは、熱空気を浮揚ガスとして
用いる同程度のサイズの熱気球と比べて、純揚力を大い
に増大すると考えられる。或いは、言い換えれば、同じ
正味重量を持ち上げるために、もし水蒸気が浮揚ガスと
して用いられるならば、熱空気の場合に比べてかなり小
さなエンベロープでよいということである。この場合、
かなり小型になったエンベロープの表面積はかなり低減
され、以下に説明される改善レベルにおいて燃費を更に
改善することができる。
【0077】燃費比較 第3実施例による水蒸気を浮揚ガスとして用いる本バル
ーンのエンベロープの内側の温度は均一100℃であ
り、標準大気では外気の温度は15℃なのでエンベロー
プの内側と外側の温度差は約85℃である。一方、熱気
を浮揚ガスとして用いる同程度のサイズの従来型のバル
ーンの場合には、上述したようにエンベロープ内部の平
均温度は本発明のバルーンの総揚力の半分を得るためで
さえ120℃に保たれる必要があり、エンベロープの内
部と外部の温度差は約105℃である。従って明らかに
本発明の場合の熱喪失率は熱空気を浮揚ガスとして用い
る従来技術に比べるとかなり小さくなる。勿論、どちら
の場合にも、熱喪失率はガス、熱空気或いは水蒸気を再
加熱するための燃費率とは相関(平衡)関係にあるはず
であり、従って本実施例によるバルーンの操作中の1時
間当たりの燃費は同程度のサイズの従来技術によるバル
ーンに比べるとかなり小さくなる。
【0078】さて、ボイラーBは水を沸騰する際100
%効率的でないことは避けられず、いいかえれば、この
水蒸気バルーンを操縦中には幾らかの熱がボイラーBか
ら消耗される。しかしながら、従来型の熱気球のように
エンベロープの底に開いた穴を通してエンベロープの内
側に直接バーナーによりLPGの炎を入射する空気加熱
方法は効率的にみえるが、実際にはそれほどではない。
何故なら、このようなバーナーは下方の外部空気を一定
量排気ガス流に取り込み(エンベロープ内の空気だけを
燃焼させることは論理的に可能であるが、実現はされて
いない)同量の補充空気が下方に面したエンベロープの
開口から外に排出される。この置換された空気は冷たく
はないが、目標温度120℃よりも低いので従来技術に
おいてもかなりの量の熱が消耗される。両ケースにおけ
る非効率性は比較可能であり、事実、浮揚ガスへの熱交
換においては、ボイラー装置のほうがプロパンバーナー
よりも効率が良い。
【0079】何れにしても、ボイラーの非効率を考慮し
ても、水蒸気を浮揚ガスとして用いる第3実施例のバル
ーンは同程度のサイズの従来型熱空気を浮揚ガスとして
用いる熱気球に比べて、燃費を大幅に低減し揚力は大い
に増大される。
【0080】第4実施例 構造 図9は図2、図3、図6及び図8に類似の部分断面模式
図であり、第4実施例のフリーバルーンを表している。
この図においては、第4実施例の要素は図2から図6に
示された第1、第2、及び第3好適実施例の要素に対応
しており、同様の機能は同様の参照符号で表わされ、第
4実施例の説明は繰り返しを避けるために、第1、第2
及び第3実施例とは異なる特徴について主に焦点を会わ
せて論じられる。第4実施例は上述の第3実施例と同様
であるが、エンベロープ1が断熱材スラブSで覆われて
いるという追加の特徴を有している。使用後にエンベロ
ープを折り畳むために断熱材Sが柔軟性のある材質であ
ることは必至である。運搬中のバルーンエンベロープの
体積を低減するために断熱材は損傷なしに圧縮可能であ
ると好都合である。
【0081】利点 このような柔軟性のある断熱材スラブSはエンベロープ
1内の水蒸気の熱喪失を低減するために極めて効果的で
ある。その効果は材質とその厚みによるが、更に10或
いはそれ以上の要因によって熱喪失を低減し、かくして
燃費を低減すると考えられる。このケースについて再び
上述の直径が10m、体積が約4,500m、及び表
面積が約1,300mのエンベロープを有するバルー
ンを例にとって、同程度のサイズの従来型の熱気球と比
較しながら議論する。熱空気ではなく水蒸気を浮揚ガス
として用いることによって得られる余分の総揚力はおお
よそ14,000Nであり、エンベロープ1の表面の断
熱材の仮定追加重量500kgを持ち上げるためにはこ
の余分の総揚力の半分以下を使うだけである。このこと
はエンベロープの生地の1mにつき380グラムの断
熱材の使用を可能にする。
【0082】「PrimaLoft」(商標)という材
料について参照するが、その主な特性は米国特許第4,
588,635及び第5,043,207号に記載され
ている。特に、その熱伝導率は約0.28BTU−in
/ft.hr.゜Fであり、その密度は約8゜kg/
である。従って上記380g/mの面密度は厚み
がほぼ2インチで、熱喪失は約0.14BTU/f
.hr.゜F.である(上記熱伝導率は面と面によ
って計測されたものであり、水蒸気バルーンの場合はエ
ンベロープの外部の熱せられた空気の層のゆえに更に可
成りな断熱効果があるので、上記の数字は控えめである
と思われる)。この熱喪失率は約0.69kCal/m
.hr.℃である。本明細書によれば、例示されたバ
ルーンのエンベロープ全体からの熱喪失は、ボイラーB
の非効率を考慮にいれると、外部温度15℃で1時間当
たり76 mCal以上であり、おそらく8kgの燃料
の燃焼を代替する。この数字は比較的大きなこのような
バルーンにおいては極めて低い燃費であり、上記引用の
ような断熱値を完全に実現することは様々な要因により
難しいかもしれないが、純揚力の低減及び地上でのエン
ベロープの取扱いがより困難になるという犠牲を払って
もエンベロープに断熱材をかぶせることは熱喪失率及び
燃費を低減するのに効果的であることは明らかである。
【0083】第5実施例 構造 図10は第3実施例を示す図8に対応する縦断面図であ
り本発明の軽航空機の第5実施例を示している。この図
において第5実施例の要素は図2から図9までに示され
る第1、第2、第3及び第4実施例の要素に対応し同様
の機能は同様の参照記号で表されており、第5実施例の
説明は繰り返しを避けるために第1から第4実施例とは
異なる特徴について主に焦点をしぼる。
【0084】この第5実施例はそのエンベロープは概ね
従来型の外形を有する軟式飛行船であり、この飛行船の
際だった特徴は用いられる浮揚ガスが水蒸気であること
である。このエンベロープ1のもう1つの際だった特徴
はBFで示される前部バロネットとBAで示される後部
バロネットを組み込んだバロネットシステムであって、
ともに膨張された状態で図10に示されている。ついで
ながら、水素やヘリウムのような従来のガスを浮揚ガス
として用いる従来型の飛行船とは対照的に、水蒸気浮揚
ガスの僅かな漏洩は飛行中にはかなりな量になり得るの
でエンベロープ1の生地は浮揚ガス(この場合は水蒸
気)に対して完全に非浸透性である必要がある。対照的
に、言うまでもなく、水素或いはヘリウムを用いる従来
型の飛行船では、飛行中に上昇ガスを補充することは極
めて実際的ではなく、従ってそのような従来型の飛行船
のエンベロープは実質的に非浸透性であることが要求さ
れ、エンベロープを作る生地は大変高価なものとなる。
【0085】エンベロープ1の最下部は1cで表され、
車体2は最下部1cの下部でエンベロープ1に固定され
る。車体2は水蒸気再生装置5からなり、水蒸気再生装
置5は凝結水排水ホース4によって最下部1cに接続さ
れ、更に最下部1cよりいくらか高い位置でエンベロー
プに挿入されてエンベロープ1内で開放されている水蒸
気供給ホース6によってエンベロープに連通する。また
凝結水排水バルブ3は上述した第3及び第4実施例の凝
結水排水バルブ3と概ね相似であり、エンベロープ1内
で凝結水排水ホース4の上端部に接続され、第3及び第
4実施例と全く同様にホース4とエンベロープ1の連通
を制御して、エンベロープ1の最下部1cに溜まった水
が水蒸気再生装置5に排水されるようにして、一方この
通路を通ってエンベロープ1内の水蒸気が逃げることを
防ぐ。更に、車体2はガソリン或いはディーゼルエンジ
ンのような内燃機関、それ自体は従来型のエンジンEか
らなり、プロペラPを駆動してこの飛行船を空気中で推
進させる。更に車体2は、特に図示されず説明もされな
いが、適切な圧力レベルで前部バロネットBF及び後部
バロネットBAに適切に外部の空気を供給し、これらバ
ロネットからの排気を適切に制御するため、それ自体は
従来型の手段が備わっている。
【0086】第5実施例の水蒸気再生装置5は第3実施
例のそれと概ね同様に作動するが、操縦士の制御のもと
で、周囲圧力よりもやや高い圧力で水蒸気を供給するこ
とが可能である。
【0087】この飛行船は以下に説明されるように操作
される。再び、前述と同様の理由で、しぼんだ状態を地
上で最初に膨張させる時、水蒸気再生装置5のボイラー
Bを通常使用することは考えられていない。代わりに、
地上でエンベロープを最初に膨張させるために通常は、
上述の水蒸気トラックTのようなのような外部水蒸気供
給手段(特に図示されていない)が準備される。第5実
施例の場合には前部バロネットBF及び後部バロネット
BAがエンベロープに組み込まれており、離陸前にまず
これらのバロネットは適当な量の空気を充填され(実際
には地上レベルでこれらのバロネットは殆ど或いは完全
に充満されるべきである)、その後エンベロープの主た
る体積は(バロネットBF及びBAは含まれない)完全
に水蒸気で充満され、外部大気圧よりやや高い適当な圧
力で加圧され、よってエンベロープ1は正の圧力でいく
らか膨張されてそれによって硬くされる。エンベロープ
1が適切に充満された時、この飛行船は飛び始めるため
に離されてよい。選択的且つ好ましくは、離陸前に貯水
槽WRにいくらか水をためておいてもよい。
【0088】操作 前述した本発明のバルーンの実施例の場合と同様に、エ
ンベロープ1に水蒸気が供給されると直ぐに、エンベロ
ープの生地を通して熱が外の大気中に逃げるので、水滴
がエンベロープの内側表面に凝結し始め、これらの水滴
はエンベロープの最下部1cに向かって落ち始める。か
くして、実質100℃の熱水が部分1cに貯水し始め、
本発明の第3実施例で説明したように、この熱水は凝結
水排水バルブ3と排水ホース4を介して水蒸気再生装置
5の熱水貯水槽WRに貯水される。
【0089】この飛行船の揚力を維持し、また硬性を確
保するための正圧力差を維持するために貯水槽WRに貯
水された熱水は再沸騰されるべきである。操縦者は、貯
水槽WR内の熱水の好ましい量を水蒸気に変換し、水蒸
気供給ホース6を介してエンベロープ1内の内部空間に
水蒸気を供給するボイラーBを操作して、これを行な
う。第3実施例と同様に、場合によっては操縦者は現在
の周囲気圧における水の沸点よりも高い温度でエンベロ
ープ1内に水蒸気を供給するよう水蒸気再生装置5を制
御し、即ちエンベロープ内部の浮遊している霧状の水滴
を水蒸気に戻すために超加熱された水蒸気を供給するよ
うに操作するのが有利な場合もあるであろう。
【0090】第3実施例のバルーン場合のように、操縦
者はこの飛行船の揚力を様々に変更出来る。もし操縦者
がボイラーBの再沸騰率を下げるとエンベロープ1内の
水分の凝結率がボイラーBの再沸騰率よりも高くなりエ
ンベロープ1内の水蒸気の量は徐々に減少し始めて飛行
船は徐々に揚力を失っていく。このとき、概してエンベ
ロープ1の硬性を保持するためにエンベロープの内側と
外大気の圧力差を適切に維持することを目的として、バ
ロネットBFとBAとに余分の空気を徐々に供給する必
要がある。この作業は貯水槽WRに余分の水を貯水する
許容量がある時(操縦的に得策であれば、水は船外に排
水することができるが)、またバロネットBF及びBA
に空気を入れる余分の空間がある時に継続可能である。
更に、この作業の進行中にエンベロープ1の生地の弾性
をある程度利用して、エンベロープに必要な硬性度によ
り決定される許容可能な下限にまで圧力差を下げ、それ
によってエンベロープ1の生地を収縮させ、エンベロー
プ1の容積を低減し、従って、総揚力も低減する。一
方、操縦者が、エンベロープ1の内部の水凝結率よりも
ボイラーBの再沸騰率を高くすると、エンベロープ1内
の水蒸気の量は徐々に増大し飛行船は徐々に揚力を増大
し始める。この時バロネットBF及びBAから空気は徐
々に排気され始め、エンベロープ1の硬性を維持するた
めの適切な圧力差を維持することになる。これは貯水槽
WR内に利用できる水が十分にある間継続可能であり、
バロネットBF及びBAが完全に空になるまで続く。更
に、この作業の進行中にエンベロープ1の生地の弾性を
ある程度利用して、エンベロープに必要な硬性度により
決定される許容範囲の上限まで圧力差を上げ、エンベロ
ープ1の生地がある程度拡張して、エンベロープ1の体
積が増大し、従って総揚力が増大する。
【0091】更に、この飛行船が飛行中に、おそらくは
燃料の消費によって過度に軽くなって、バロネットBF
及びBAの空気の量を変えることなく揚力を低減するこ
とが望ましい場合には、エンベロープ1内の水蒸気ガス
の幾らかを排気して相当する量の空気を大気中から吸い
上げて置き換えることは完璧に実行可能である。この動
作は飛行中にあと戻りすることはできない。なぜならエ
ンベロープ1内の全ての空気を除去する唯一の方法は完
全に空気を抜いて再び水蒸気を充満させることであり、
これはもちろん地上でのみ出来ることである。しかしな
がら、ある一定の操縦状況においては有効な操作であり
得る。
【0092】利点 第5実施例の水蒸気を浮揚ガスとして用いる飛行船の長
所及び短所は以下の如くである。熱空気をガスとして用
いる飛行船はその軟性のため、本発明者は真剣な飛行体
と考えていない。水素はその危険性のため今日では用い
られていないので、ヘリウムをガスとして用いる加圧さ
れた飛行船のみが比較の対象である。
【0093】水蒸気を浮揚ガスとして用いるこの飛行船
の揚力性能はヘリウム使用の60%だけなので、本第5
実施例飛行船はこの点でヘリウム飛行船に比べて著しく
劣っている。更に、揚力維持のために水蒸気再生装置5
を搭載する必要があるが、ヘリウム使用の場合には対応
する装置は必要ない。従って、同じ純揚力、即ち同じ荷
重を確保するために水蒸気を浮揚ガスとして使用する飛
行船の体積はヘリウム使用に比べると2倍以上を要す
る。それゆえ、ヘリウム飛行船と比べると、表面積は約
2/3倍、即ち約1.6倍になり推進に要するエネル
ギー、即ちエンジンEの燃費は同様に増大するであろ
う。しかしながら、等しい揚力を確保する場合の水蒸気
飛行船はより大きいにもかかわらず、水蒸気飛行船は浮
揚ガスを完全に遮断する必要がないので、その製造にか
かるコストはヘリウム飛行船よりも実際に低いはずであ
る。エンベロープを通して多少の水蒸気が外にしみ出す
が、操縦に大きな影響はないのでより安価な生地で気嚢
を製造することができる。
【0094】本発明において飛行船の浮力制御は上述の
如く様々に異なる方法が可能であり、これは重要な利点
である。このことは重たい荷物の運搬を目的とする大き
な飛行船の実施形態として大いに有益である。しかしな
がら、第5実施例における最も重要な利点はヘリウムの
高コストを確実に回避できるという点である。野外でヘ
リウムを充填する困難も回避される。
【0095】浮揚ガスとして用いる水蒸気が極めて安価
で簡単に製造できるという事実の著しく有益な結果は、
操縦者が操縦的に望ましいと考える場合には浮揚ガスを
排気するために、何の心配もせずにエンベロープを裂け
るという点である。事実、どんな飛行の終了時にもエン
ベロープが裂かれるというのはありそうなことである。
このことは従来技術の浮揚ガスがヘリウムの場合にはコ
ストを考慮すると実際的でない。
【0096】別法では、ボイラーBは飛行終了時に停止
され、エンベロープは中の水蒸気が凝結して、徐々にし
ぼんでいくままに放置しておいてよい。何れの場合にも
地上での格納は、膨張状態で格納されるヘリウム飛行船
に比較すると格段に容易である。しかしながら、第5実
施例の飛行船は必要であれば、エンベロープ内の水蒸気
を次の飛行まで水蒸気状態を維持しておくことは少ない
費用で可能であり、数週間も可能である。
【0097】水蒸気飛行船の安全性について 浮揚ガスとして水蒸気を使用する飛行船においては、エ
ンベロープ1が充填されて飛行する間は何ら実質的な安
全性の問題は存在しない。しかしながら、エンベロープ
が一定の距離をおいて風下に落ちるフリーバルーンの場
合と対照的に、飛行船のエンベロープは裂かれた時に車
体の周り或いはそのすぐそばに落ちるので、上述のよう
に着陸時にエンベロープが裂かれる場合には操縦者を火
傷させる危険は大きい。
【0098】このような危険を防ぐことのできる操作上
の手順を以下に述べる。エンベロープを裂く手順は2段
階で行なわれる。まず初めに、着陸の寸前或いは着陸時
に、パイロットはエンベロープ1の頂上に50cm或い
はそれ以上程度の小さな裂け目をつくり、同時に高能力
の空気送入器(図示されていない)を使って強い外気流
を下からエンベロープ1内に送り込む。従ってエンベロ
ープ内の水蒸気は速やかに且つ無害に上方に排気され、
一方、エンベロープは速やかに中身が空気に入れ替わる
間、車体の上部で緊張し浮かんでいる。言うまでもなく
この行程の間にエンベロープが提供する揚力は速やかに
ゼロになるので、飛行船も速やかにしっかりと着陸す
る。実質的に全ての水蒸気が排気された時、火傷の危険
はなくなる。次に、パイロットは空気送入器の操作をス
トップし、同時にエンベロープにもっと長い切れ目をい
れて中の空気(凝結した水蒸気の残りが混合されている
ので、中の空気はかなり高温で且つ浮力を持っている)
を直ちに排気する。このときエンベロープは車体の周り
或いはすぐそばに落ちてくるが、残りの空気の熱容量は
非常に小さいので、極めて安全である。
【0099】エンベロープ1を裂くにふさわしい二段階
の手順は、抵抗ワイヤ片(ニクロムワイヤのような)を
取り入れてもよい。エンベロープを裂くそれぞれの段階
で、パイロットはこのワイヤの適当な分量に電圧がかか
るようにし、ワイヤは熱せられ、エンベロープの生地の
適当に決められた通路に沿って突通して溶かす。ワイヤ
に近いエンベロープの部分は取替えが簡単にしておく
と、次の飛行時にエンベロープの空気遮断性が容易に回
復できるので便利である。選択的には、エンベロープの
これらの部分をジッパー付けの部分にすることも可能で
ある。これらの扱いについての図面はないが、上述の説
明だけで当業者にとっては明らかであろう。
【0100】第6実施例 構造 図11は第5実施例を表わす図10に対応する縦断面模
式図であり、本発明の軽航空機の第6実施例を表わし、
図12は車体の拡大縦断面模式図である。これらの図面
では第6実施例の要素は図10に示された第5実施例の
要素に対応しており、同様の機能は同様の参照記号によ
って示されており、繰り返しを避けるために、第6実施
例の説明は上述した第5実施例と異なる特徴について主
として焦点を絞る。
【0101】第6実施例は再び水蒸気を浮揚ガスとして
使用する軟式飛行船である。この飛行船のエンベロープ
1は前バロネット及び後バロネットを装備しており、上
述した第5実施例と実質的に同様である。しかしなが
ら、第6実施例の際だった特徴は推進手段は内燃機関で
はなく、SEで表わされている往復スチームエンジン或
いはスチームタービンによる。
【0102】スチームエンジンSEはエンベロープ1の
内部に浮揚ガスとしてスチームを供給する同じボイラー
Bから供給される高圧水蒸気によって動力される。エン
ジンSEに供給される水蒸気は、プロペラPを駆動する
ための回転エネルギーを供給してエンジンSEを操作す
るために使われた後で、水蒸気排気ホース7を介してエ
ンベロープ内に排気される。従ってボイラーBは二重の
目的をもつように製造されなければならない、即ちエン
ジンSEを駆動するために高圧の水蒸気を供給でき、ま
たエンジンを介してではなく水蒸気供給ホース6を介し
て直接にエンベロープ1に低圧水蒸気を供給できなけれ
ばならない。進行中の操作要求に応じてボイラーBは高
圧水蒸気及び低圧水蒸気を可変的な量と割合で供給でき
るタイプでなければならない。そのようなボイラーを設
計するための様々な可能性は過度な実験を行うまでもな
く本明細書の説明に基づいて、当業者にとっては明らか
であろう。
【0103】利点 スチームエンジンSEを本飛行船の推進手段として用い
ることの利点は、ボイラーBとバーナー等が、揚力及び
推力のために水蒸気を生成するという二つの目的に使わ
れることである。更に、スチームエンジンSEはエンベ
ロープ1がコンデンサの役目を果たすので、コンデンサ
を必要としない。かくして、本発明のこの観点から、飛
行船の推進にスチームエンジンを使うことは、幾つかの
部品を二つの目的に用いることによって重量を大いに節
約でき、実用的な可能性となり得る。一般的に、スチー
ムエンジンがより高い動力レベルで操作されると、飛行
船のエアスピードはより速くなり、従ってエンベロープ
1の生地を通して生じる水蒸気浮揚ガスの熱喪失率はよ
り低くなるとことを意味する。言い換えれば、エンジン
SEを通過する水蒸気の凝結が大きいほど、エンベロー
プ1の水蒸気凝結能力は大きい。
【0104】更に、スチームエンジンは通常静かに駆動
することで、重たいサイレンサーを必要とせず、本飛行
船を環境にやさしい飛行船とする。更に、往復スチーム
エンジンのトルクは低rpmで最高であり、スチームエ
ンジンSEは高トルク低回転速度で駆動することが可能
且つ最適なので、ギアボックスを用いることなくプロペ
ラPをゆっくりと回転することが出来る。このことはプ
ロペラPは大型でスロースピン型であってよいことを意
味する。大型でスロースピンのプロペラは、特に飛行船
のような低いスピードで推力効果が優れていることが知
られている。また、エンジンSEの低回転速度は作動間
隔が伸び、ノイズの発生を更に低減できることを意味す
る。
【0105】第7実施例 構造 図13は第5実施例を表わす図10に対応する縦断面図
であり、本発明の軽航空機の第7実施例を表わしてい
る。この図において、第7実施例の要素は図10に示さ
れた第5実施例の要素に対応しており、同様の機能は同
様の参照記号で示されており、本第7実施例の説明は繰
り返しを避けるために上述された第5実施例と異なる特
徴に焦点を当てる。
【0106】本第7実施例は再びエンベロープ1は従来
型の外形をもつ軟式飛行船であり、際だった特徴は浮揚
ガスが水蒸気であることである。しかしながら、第7実
施例の第5実施例とは異なる特徴はエンベロープ1がバ
ロネットを含んでいないことである。更に、エンベロー
プ1は弾性をもつように作られる。
【0107】第5実施例と同様に車体2がエンベロープ
1に取り付けられている。車体2と水蒸気再生装置5の
詳細な説明は上述の第5実施例と同様なので省略する。
【0108】操作 第7実施例の飛行船は以下のように操作される。再び、
以前と同様の理由で、しぼんだ状態の飛行船を地上で最
初に膨張させるために水蒸気再生装置5のボイラーBを
通常使用することは考慮されていない。そのかわり、エ
ンベロープ1の地上における最初の膨張は、上述した第
1実施例で示したスチームトラックのような外部の水蒸
気供給装置(特に図示されない)によってなされる。第
7実施例の場合にはエンベロープ1は離陸前に完全に水
蒸気を充填され、大気圧よりもいくらか高い好ましいレ
ベルの圧力で加圧され、従って弾性力に対して正圧に膨
張されて硬性を得る。エンベロープ1が適切に充填され
ると本飛行船は放されて飛行をはじめる。選択的且つ望
ましくは、離陸前に貯水槽WRにいくらか水を貯水して
おいてもよい。
【0109】上述した他の実施例と同様に、エンベロー
プ1に水蒸気が充填されるとすぐエンベロープ1の生地
を通して熱喪失が生じるためにエンベロープの内側表面
に水滴が凝結し始め、水滴はエンベロープの最下部1c
に向かって落ち始める。かくして実質100℃の水が1
c部分に貯水し始め、この熱水は凝結水排水バルブ3と
排水ホース4を介して水蒸気再生装置5の熱水貯水槽W
Rに貯水される。
【0110】貯水槽WRに貯水された熱水は本飛行船の
揚力を維持し、また正の圧力差を維持して硬性を維持す
るために、その圧力の上限(エンベロープ1が拡張しな
いように決定される)と下限(エンベロープのある程度
の硬性を維持するように決定される)間の正の圧力差を
維持すように再沸騰されなければならない。操縦者はボ
イラーBを操作して貯水槽WR内の適当な量の熱水を水
蒸気に変換し、水蒸気供給ホース6を介してエンベロー
プ1の内部に水蒸気を供給する。第3実施例から第6実
施例の場合には、場合によっては、操縦者は水蒸気再生
装置5を操作して、現在の周囲気圧における沸点よりも
高い温度でエンベロープ1内に水蒸気を供給し、即ち、
超高温水蒸気を供給してエンベロープ1内で霧の形で浮
遊している水滴を水蒸気に再変換する。
【0111】かくして、第7実施例においてエンベロー
プ1はバロネットを含まないので、大いに簡略化されて
おり、また操作或いは監視を必要とするバロネットの圧
力ファンがないので、飛行船の操縦は簡略化され、これ
らは著しい利点である。しかしながら、上述したよう
に、操縦者は一方では高圧力によるエンベロープ1の損
傷を避け、また一方では低圧力によりエンベロープが撓
んだり垂れたりすることを防ぐために、飛行船の高度、
天候、或いは日射等の変化によって生じる圧力差の傾向
に応じて、貯水槽WRの水を水蒸気再生装置で再沸騰さ
せ、水蒸気の再沸騰率を増大したり、減少したりするこ
とが要求される。弾性の高い生地を用いてエンベロープ
を製造すれば、圧力差をあまり変化させなくても浮揚ガ
ス(水蒸気)が拡張したり収縮するゆとりが生じて圧力
制御の助けとなるだろう。また、先行技術においてはエ
ンベロープが浮揚ガスを完全に遮断する必要があった
が、この要求は緩和されるので、エンベロープ1の生地
を選択するに当たって、特別に高価でなくても十分に弾
性のある生地を選ぶことが容易になるであろう。上述し
た第5実施例及び第6実施例の場合のように、操縦者は
本飛行船の揚力をさまざまに変化させることが可能であ
るが、いくらか異なる方法であることを以下に示す。も
し操縦者がボイラーの再沸騰率を下げて、エンベロープ
の内部表面に付着する凝結水の凝結率をボイラーBによ
る水の再沸騰率よりも高くすると、エンベロープ1内の
水蒸気の圧力は低下し始め、エンベロープ1はその弾性
ゆえにしぼみ始めて飛行船は揚力を失っていく。この時
エンベロープ1内と外部の気圧の圧力差は当然低下する
が、操縦者はエンベロープ1が必要とする硬性をなくす
まで圧力差が低下しないように確実に操作しなければな
らない。一方もし操縦者がエンベロープ1内の水の凝結
率よりもボイラーBの再沸騰率が高くなるように操作す
ると、エンベロープ1内の水蒸気の圧力は上がり始めエ
ンベロープはその弾性に抗して拡張し始めるので、飛行
船は揚力を確保し始める。この時エンベロープ1内と外
部大気の圧力差が上がりエンベロープ1が拡張を増大す
るが、操縦者はエンベロープ1が拡張しすぎて損傷しな
いように安全を確保しなければならない。言い換えれ
ば、操縦者はエンベロープ1の生地の弾性限界がエンベ
ロープの表面のどの方向のどの点においても生地の弾性
が限界を越えないように安全を確認しなければならな
い。また、エンベロープ1の弾性が高いことは、圧力差
の変化に対応して体積を変える余裕が得られ、揚力制御
を材質的に助けることになる。特に、エンベロープの材
質の周囲方向よりも縦方向においてより弾性があるほう
が有利である。
【0112】上述の第5実施例に従って、もし飛行中に
第7実施例の飛行船が漸進的な燃料消費のために甚だし
く軽くなったら、場合によってはエンベロープ1内の水
蒸気浮揚ガスをいくらか排気し、同量の大気中の空気を
吸い上げて入れ替えることは極めて実行可能なことであ
る。
【0113】水蒸気を浮揚ガスとして用いる本飛行船の
利点及び欠点は第5実施例のそれらと類似しているが、
追加された利点はバロネットを搭載する必要がなく、バ
ロネット制御も必要がないことである。この概念は水蒸
気を浮揚ガスとして用いることと特別な相乗効果を持っ
ている。何故なら、水蒸気を浮揚ガスとして用いる場合
にのみ飛行中にエンベロープに追加の浮揚ガスを供給す
ることが可能であり、或いはエンベロープから浮揚ガス
を一時的に排気、置換が可能だからである。
【0114】
【発明の開示】本発明は様々な具体例を参照して提示さ
れ説明されたが、特定の具体例の形式や詳細は本発明の
範囲を逸脱することなく変更可能である。様々な具体例
の概念はまた、様々な方法で結合することが可能であ
る。例えば、第4実施例で開示された、軽航空機のエン
ベロープを伸縮自在な断熱材で覆うという概念は、本発
明のどの具体例にも当てはまり、特に第5から第7実施
例の飛行船の実施例に当てはまる。同様に、第7実施例
で開示された飛行船のエンベロープにバロネットを搭載
しないという概念は、本発明のいずれの飛行船の実施例
にも当てはまり、特にスチームエンジンが推進に用いら
れる第6実施例に当てはまる。その他の変更例も可能で
ある、例えば、第1実施例に関して説明したように、水
蒸気浮揚ガスに一定量の封止ガスを混合することは、他
の実施例の水蒸気浮揚ガスにも可能である。従って本発
明の範囲は特定の実施例のおそらくは全く偶然の詳細に
よるのではなく、請求の範囲によってのみ決定されるべ
きである。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 様々な浮揚ガスの特性を要約した表。
【図1B】 適切な温度における様々な浮揚ガスの1
3あたりのニュートン、実際の密度と揚力を示す表。
【図2】 本発明の第1実施例のフリーバルーンの垂
直断面模式図であり、またエンベロープ充填用トラック
の模式図である。
【図3】 第2図と同様の垂直断面模式図であり、第
2実施例のフリーバルーンを示しており、凝結水排水バ
ルブを含んでいる。
【図4】 凝結水排水バルブの拡大垂直断面模式図で
ある。
【図5A】 図4と同様の拡大垂直断面模式図であ
り、凝結水排水バルブの操作を表わす。
【図5B】 図4と同様の拡大垂直断面模式図であ
り、凝結水排水バルブの操作を表わす。
【図6】 図2及び図3と同様の垂直断面模式図であ
り、第2実施例の変更例によるフリーバルーンを表わし
ており、追加として、バラスト放水制御バルブを含んで
いる。
【図7】 上記バラスト放水制御バルブの拡大垂直断
面模式図である。
【図8】 図2及び図3と同様の垂直断面模式図であ
り、第3実施例のフリーバルーンを示しており、水蒸気
再生装置を組み込んでいる。
【図9】 図2、図3及び図8と同様の垂直断面模式
図であり、第4実施例のフリーバルーンを表わし、エン
ベロープは断熱材を含んでいる。
【図10】 垂直水平断面模式図であって第5実施例
のエンジン動力の飛行船を表わす。
【図11】 図10と同様の垂直水平断面模式図であ
って、第6実施例のスチームエンジンによって推進され
る飛行船を表わす。
【図12】 拡大垂直断面模式図であり、第6実施例
の飛行船の車を表わす。
【図13】 図10及び11と同様の垂直水平断面模
式図であり、第7実施例のエンベロープがバロネットを
組み込んでいない飛行船を表わしている。
【符号の説明】
1 エンベロープ 2 バスケット 2a、2b ライン T 水蒸気供給トラック 3 凝結水排水バルブ 4 凝結水排水ホース 5 水蒸気再生装置 6 水蒸気供給ホース S 断熱材スラブ E エンジン P プロペラ 7 水蒸気排気ホース SE スチームエンジン

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンベロープと、前記エンベロープの
    内側底部に溜まった液状水を前記エンベロープから排水
    し、一方前記エンベロープからガスが逃げるのを防ぐ手
    段を備える軽航空機。
  2. 【請求項2】 前記軽航空機がフリーバルーンであっ
    て、前記液状排水を大気中に放出する手段を更に備える
    請求項1に記載の軽航空機。
  3. 【請求項3】 バラストを搭載する手段を更に備えた
    請求項2に記載された軽航空機。
  4. 【請求項4】 前記液状排水を大気中に放出する放出
    手段と、ほぼ同率で前記バラストを大気中に放出する手
    段を更に備えた請求項3に記載の軽航空機。
  5. 【請求項5】 前記バラストが水であって、前記バラ
    スト放出手段が水流制御バルブである請求項4に記載の
    軽航空機。
  6. 【請求項6】 前記排水した液状水を沸騰して水蒸気
    にする手段と、前記水蒸気を前記エンベロープに供給す
    る手段を更に備えた請求項1に記載の軽航空機。
  7. 【請求項7】 前記沸騰手段の稼働率が変更可能であ
    る請求項6に記載の軽航空機。
  8. 【請求項8】 前記排水した液状水の少なくとも一部
    分を一時的に貯蔵する手段を更に備える請求項7に記載
    の軽航空機。
  9. 【請求項9】 前記軽航空機は動力飛行船であり、前
    記エンベロープに前記水蒸気を供給する手段は前記軽航
    空機を推進する原動力を生産するスチームエンジンを備
    え、前記スチームエンジンは前記沸騰手段からの加圧さ
    れた水蒸気を供給され又排気された水蒸気は前記エンベ
    ロープに供給される請求項6から8のいずれかに記載の
    軽航空機。
  10. 【請求項10】 前記エンベロープに前記水蒸気を供
    給する手段は前記沸騰手段から前記スチームエンジンを
    バイパスして直接に水蒸気を前記エンベロープに供給す
    るバイバス導管を更に備える、請求項9に記載の軽航空
    機。
  11. 【請求項11】 前記エンベロープに前記水蒸気を供
    給する手段は前記沸騰手段から前記バイパス導管と前記
    スチームエンジンへの水蒸気供給の量と率を変化する手
    段を更に備える請求項10に記載の軽航空機。
  12. 【請求項12】 前記液状水排出ガス遮断手段が前記
    底部近傍に位置し、バルブシートと一定量よりも低い量
    の水が前記フロートの周囲にある時前記バルブシートに
    隣接して遮断し液状水が前記バルブシートをとおること
    を防止し、一定量よりも大きい量の水が前記フロートの
    周囲にある時前記バルブシートから浮力によって持ち上
    げられ、前記バルブシートを開放し液状水が前記バルブ
    シートを通ることを可能にするバルブフロートを備えた
    トラップバルブを備える請求項1に記載の軽航空機。
  13. 【請求項13】 主として水蒸気からなる浮揚ガスを
    充填したエンベロープと、前記エンベロープの内側底部
    に溜まった前記浮揚ガスから凝結した液状水を前記エン
    ベロープから排水し、一方前記エンベロープから前記浮
    揚ガスが逃げるのを防ぐ手段を備える軽航空機。
  14. 【請求項14】 前記軽航空機がフリーバルーンであ
    って、前記液状排水を大気中に放出する手段を更に備え
    る請求項13に記載の軽航空機。
  15. 【請求項15】 バラストを搭載する手段を更に備え
    た請求項14に記載された軽航空機。
  16. 【請求項16】 前記液状排水を大気中に放出する放
    出手段と、ほぼ同率で前記バラストを大気中に放出する
    手段を更に備えた請求項15に記載の軽航空機。
  17. 【請求項17】 前記バラストが水であって、前記バ
    ラスト放出手段が水流制御バルブである請求項16に記
    載の軽航空機。
  18. 【請求項18】 前記排水した液状水を沸騰して水蒸
    気にする手段と、前記水蒸気を前記エンベロープに供給
    する手段を更に備えた請求項13に記載の軽航空機。
  19. 【請求項19】 前記沸騰手段の稼働率が変更可能で
    ある請求項18に記載の軽航空機。
  20. 【請求項20】 前記排水した液状水の少なくとも一
    部分を一時的に貯蔵する手段を更に備える請求項19に
    記載の軽航空機。
  21. 【請求項21】 前記軽航空機は動力飛行船であり、
    前記エンベロープに前記水蒸気を供給する手段は前記軽
    航空機を推進する原動力を生産するスチームエンジンを
    備え、前記スチームエンジンは前記沸騰手段からの加圧
    された水蒸気を供給され又排気された水蒸気は前記エン
    ベロープに供給される請求項18から20のいずれかに
    記載の軽航空機。
  22. 【請求項22】 前記エンベロープに前記水蒸気を供
    給する手段は前記沸騰手段から前記スチームエンジンを
    バイパスして直接に水蒸気を前記エンベロープに供給す
    るバイバス導管を更に備える、請求項21に記載の軽航
    空機。
  23. 【請求項23】 前記エンベロープに前記水蒸気を供
    給する手段は前記沸騰手段から前記バイパス導管と前記
    スチームエンジンへの水蒸気供給の量と率を変化する手
    段を更に備える請求項22に記載の軽航空機。
  24. 【請求項24】 前記液状水排出ガス遮断手段が前記
    底部近傍に位置し、バルブシートと一定量よりも低い量
    の水が前記フロートの周囲にある時前記バルブシートに
    隣接して遮断し液状水が前記バルブシートをとおること
    を防止し、一定量よりも大きい量の水が前記フロートの
    周囲にある時前記バルブシートから浮力によって持ち上
    げられ、前記バルブシートを開放し液状水が前記バルブ
    シートを通ることを可能にするバルブフロートを備えた
    トラップバルブを備える請求項13に記載の軽航空機。
  25. 【請求項25】 前記エンベロープを断熱する手段を
    更に備える上記請求項のいずれかに記載された軽航空
    機。
  26. 【請求項26】 主として水蒸気からなる浮揚ガスを
    充填したエンベロープを備える軽航空機であって、前記
    エンベロープを通して熱が逃げるのを防ぐために特に適
    した封止ガスを少量混合する。
  27. 【請求項27】 前記封止ガスが空気である請求項2
    6に記載された軽航空機。
  28. 【請求項28】 前記封止ガスがゼノンである請求項
    26に記載された軽航空機。
  29. 【請求項29】 前記封止ガスがクリプトンである請
    求項26に記載された軽航空機。
  30. 【請求項30】 前記封止ガスがアルゴンである請求
    項26に記載された軽航空機。
  31. 【請求項31】 前記封止ガスが二酸化硫黄である請
    求項26に記載された軽航空機。
  32. 【請求項32】 前記封止ガスがn−ヘキサンである
    請求項26に記載された軽航空機。
  33. 【請求項33】 前記封止ガスがクロロホルムである
    請求項26に記載された軽航空機。
  34. 【請求項34】 前記封止ガスが100℃及び大気圧
    下でガス相であり、且つ比較的高い分子量を持つ物質で
    ある請求項26に記載された軽航空機。
  35. 【請求項35】 前記封止ガスが15℃及び大気圧下
    でガス相である物質である請求項26に記載された軽航
    空機。
  36. 【請求項36】 前記封止ガスの重量の比率が約5%
    以下である、請求項26から35のいずれかに記載され
    た軽航空機。
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