JP2001205389A - ダイカスト用鋳型及びその製造方法 - Google Patents
ダイカスト用鋳型及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2001205389A JP2001205389A JP2000012182A JP2000012182A JP2001205389A JP 2001205389 A JP2001205389 A JP 2001205389A JP 2000012182 A JP2000012182 A JP 2000012182A JP 2000012182 A JP2000012182 A JP 2000012182A JP 2001205389 A JP2001205389 A JP 2001205389A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mold
- filler
- particles
- casting
- die casting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Mold Materials And Core Materials (AREA)
- Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋳造時に型くずれせず,鋳造後の崩壊性に優
れ,かつ,差込不良を抑制することができる,ダイカス
ト用鋳型及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 金属および/または無機物の粒子を主成
分とする鋳型用粒子10を粒子間隙が存在する状態で固
化して形成した基材11と,粒子間隙に充填した固形の
充填材2とよりなる。基材11は,鋳型用粒子10をバ
インダにより接合して固化してあることが好ましい。鋳
型用粒子10は,鉄,銅,アルミニウム,SiC,アル
ミナ,ムライト,シリカ,ジルコンより選ばれた1種又
は2種以上の粒子であることが好ましい。充填材2は,
液相と固相との相変態点が100℃以下の物質であるこ
とが好ましい。
れ,かつ,差込不良を抑制することができる,ダイカス
ト用鋳型及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 金属および/または無機物の粒子を主成
分とする鋳型用粒子10を粒子間隙が存在する状態で固
化して形成した基材11と,粒子間隙に充填した固形の
充填材2とよりなる。基材11は,鋳型用粒子10をバ
インダにより接合して固化してあることが好ましい。鋳
型用粒子10は,鉄,銅,アルミニウム,SiC,アル
ミナ,ムライト,シリカ,ジルコンより選ばれた1種又
は2種以上の粒子であることが好ましい。充填材2は,
液相と固相との相変態点が100℃以下の物質であるこ
とが好ましい。
Description
【0001】
【技術分野】本発明は,低コストで容易に作製でき,か
つ崩壊が容易なダイカスト用鋳型(中子含む)およびそ
の製造方法に関する。
つ崩壊が容易なダイカスト用鋳型(中子含む)およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ダイカストは,精密鋳造技術の一つであ
り,精密に加工した金型に高速高圧で溶湯を圧入し,急
冷凝固させて寸法精度および鋳肌の優れた鋳物を製造す
ることができる。そのため,ダイカストは,機械部品等
の精密鋳造品の量産に広く利用されている。
り,精密に加工した金型に高速高圧で溶湯を圧入し,急
冷凝固させて寸法精度および鋳肌の優れた鋳物を製造す
ることができる。そのため,ダイカストは,機械部品等
の精密鋳造品の量産に広く利用されている。
【0003】
【解決しようとする課題】ところで,ダイカストは,上
記のごとく鋳型として金型を用いる。金型は,繰り返し
使用できるという利点はあるが,非常に高価である。そ
のため,例えば試作だけを行いたい場合や,途中で形状
変更をしたい場合には,量産効果が出せずに非常にコス
ト高となる。
記のごとく鋳型として金型を用いる。金型は,繰り返し
使用できるという利点はあるが,非常に高価である。そ
のため,例えば試作だけを行いたい場合や,途中で形状
変更をしたい場合には,量産効果が出せずに非常にコス
ト高となる。
【0004】この対策として,ダイカストに重力鋳造の
場合の砂型のような粉末型を用いることが考えられる。
しかしながら,この場合には,これを構成する粉末の粒
子間隙に溶湯が進入するという差込不良が生じ,優れた
鋳肌,寸法形状が得られない。これは,上記のごとく溶
湯を高速高圧力で圧入することによるものである。ま
た,この問題は,中空部形成用の鋳型である中子におい
ても同様である。
場合の砂型のような粉末型を用いることが考えられる。
しかしながら,この場合には,これを構成する粉末の粒
子間隙に溶湯が進入するという差込不良が生じ,優れた
鋳肌,寸法形状が得られない。これは,上記のごとく溶
湯を高速高圧力で圧入することによるものである。ま
た,この問題は,中空部形成用の鋳型である中子におい
ても同様である。
【0005】上記差込不良対策として,例えば特開平6
−023476号公報に示されているごとく,特別な塗
型材を粉末型の表面に塗布する方法がある。しかしなが
ら,この方法では,塗型材を塗布するという工程が増
え,造型工程が複雑化し,造型コストが高くなる。ま
た,この方法では,鋳型が部分的に陥没して形状不良が
生ずる場合がある。
−023476号公報に示されているごとく,特別な塗
型材を粉末型の表面に塗布する方法がある。しかしなが
ら,この方法では,塗型材を塗布するという工程が増
え,造型工程が複雑化し,造型コストが高くなる。ま
た,この方法では,鋳型が部分的に陥没して形状不良が
生ずる場合がある。
【0006】また,特開平5−318024号公報に示
されるように,氷もしくはドライアイスで中子を造型す
る方法が提案されている。しかしながら,この方法で
は,造型後,鋳造までの間に,上記氷もしくはドライア
イスが溶けて中子形状が崩れてしまい,設計通りの鋳物
が得られないという問題がある。
されるように,氷もしくはドライアイスで中子を造型す
る方法が提案されている。しかしながら,この方法で
は,造型後,鋳造までの間に,上記氷もしくはドライア
イスが溶けて中子形状が崩れてしまい,設計通りの鋳物
が得られないという問題がある。
【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,鋳造時に型くずれせず,鋳造後の崩壊性
に優れ,かつ,差込不良を抑制することができる,ダイ
カスト用鋳型及びその製造方法を提供しようとするもの
である。
されたもので,鋳造時に型くずれせず,鋳造後の崩壊性
に優れ,かつ,差込不良を抑制することができる,ダイ
カスト用鋳型及びその製造方法を提供しようとするもの
である。
【0008】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,金属およ
び/または無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子を粒
子間隙が存在する状態で固化して形成した基材と,上記
粒子間隙に充填した固形の充填材とよりなることを特徴
とするダイカスト用鋳型にある。
び/または無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子を粒
子間隙が存在する状態で固化して形成した基材と,上記
粒子間隙に充填した固形の充填材とよりなることを特徴
とするダイカスト用鋳型にある。
【0009】本発明において最も注目すべきことは,上
記鋳型用粒子により上記基材を形成すると共に,該基材
の上記粒子間隙に上記固形の充填材を充填していること
である。
記鋳型用粒子により上記基材を形成すると共に,該基材
の上記粒子間隙に上記固形の充填材を充填していること
である。
【0010】次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明のダイカスト用鋳型は,上記のごとく,鋳型用粒
子を用いて作製した基材と上記充填材とより構成してあ
る。そのため,上記ダイカスト用鋳型は,従来の金属塊
を切削加工等して得られる金型の場合と比べて,容易か
つ低コストで素早く作製することができる。
本発明のダイカスト用鋳型は,上記のごとく,鋳型用粒
子を用いて作製した基材と上記充填材とより構成してあ
る。そのため,上記ダイカスト用鋳型は,従来の金属塊
を切削加工等して得られる金型の場合と比べて,容易か
つ低コストで素早く作製することができる。
【0011】また,上記ダイカスト用鋳型は,基材の粒
子間隙が上記固形の充填材の充填により塞がれている。
そのため,上記ダイカスト用鋳型を用いた場合には,高
圧高速で圧入された溶湯の粒子間隙への浸入を防止する
ことができる。また,塗型材を塗布した場合と異なり,
鋳型表面のみを覆うのではなく,内部の粒子間隙を上記
充填材により充填しているので,上記基材が内部に陥没
するという不具合も防止することができる。それ故,上
記ダイカスト用鋳型を用いて得られた鋳物は,差込不良
が無く,形状,鋳肌が非常に優れたものとなる。
子間隙が上記固形の充填材の充填により塞がれている。
そのため,上記ダイカスト用鋳型を用いた場合には,高
圧高速で圧入された溶湯の粒子間隙への浸入を防止する
ことができる。また,塗型材を塗布した場合と異なり,
鋳型表面のみを覆うのではなく,内部の粒子間隙を上記
充填材により充填しているので,上記基材が内部に陥没
するという不具合も防止することができる。それ故,上
記ダイカスト用鋳型を用いて得られた鋳物は,差込不良
が無く,形状,鋳肌が非常に優れたものとなる。
【0012】また,上記ダイカスト用鋳型は,上記鋳型
用粒子よりなる基材と,上記充填材とよりなる。そのた
め,鋳造後においては,上記基材の鋳型用粒子同士の接
合状態を解除させることにより,容易に上記ダイカスト
用鋳型を崩壊させることができる。
用粒子よりなる基材と,上記充填材とよりなる。そのた
め,鋳造後においては,上記基材の鋳型用粒子同士の接
合状態を解除させることにより,容易に上記ダイカスト
用鋳型を崩壊させることができる。
【0013】次に,請求項2の発明のように,上記基材
は,上記鋳型用粒子をバインダにより接合して固化して
あることが好ましい。この場合には,上記鋳型用粒子同
士の接合を容易に行うことができ,上記基材を容易に形
成することができる。上記バインダとしては,いわゆる
熱硬化性鋳型用としては,フェノール樹脂等がある。ま
た,いわゆる常温自硬性鋳型用のバインダとしては,フ
ラン樹脂,フェノール樹脂,ウレタン樹脂および水ガラ
ス等がある。
は,上記鋳型用粒子をバインダにより接合して固化して
あることが好ましい。この場合には,上記鋳型用粒子同
士の接合を容易に行うことができ,上記基材を容易に形
成することができる。上記バインダとしては,いわゆる
熱硬化性鋳型用としては,フェノール樹脂等がある。ま
た,いわゆる常温自硬性鋳型用のバインダとしては,フ
ラン樹脂,フェノール樹脂,ウレタン樹脂および水ガラ
ス等がある。
【0014】そして,前者のバインダを用いる場合に
は,上記鋳型用粒子とバインダとを混合したものを焼成
することにより,鋳型用粒子同士を接合させて上記基材
を固化形成することができる。また,後者のバインダを
用いる場合には,上記鋳型用粒子とバインダとを混合し
たものと反応ガスとを接触させて上記バインダを反応固
化させることにより上記基材を固化形成することができ
る。
は,上記鋳型用粒子とバインダとを混合したものを焼成
することにより,鋳型用粒子同士を接合させて上記基材
を固化形成することができる。また,後者のバインダを
用いる場合には,上記鋳型用粒子とバインダとを混合し
たものと反応ガスとを接触させて上記バインダを反応固
化させることにより上記基材を固化形成することができ
る。
【0015】また,請求項3の発明のように,上記鋳型
用粒子は,鉄,銅,アルミニウム,SiC,アルミナ,
ムライト,シリカ(珪砂),ジルコンより選ばれた1種
又は2種以上の粒子であることが好ましい。
用粒子は,鉄,銅,アルミニウム,SiC,アルミナ,
ムライト,シリカ(珪砂),ジルコンより選ばれた1種
又は2種以上の粒子であることが好ましい。
【0016】上記鋳型用粒子として金属を用いた場合に
は,溶湯を充填した際の溶湯からの放熱を素早く行うこ
とができ,急冷凝固を促進することができる。これによ
り従来の金型を用いた場合とほぼ同様の微細組織を有す
る鋳物表面を得ることができる。このような金属粉末を
使用した場合の効果を容易に得るためには,特に,上記
鉄,銅,アルミニウムを用いることが好ましい。これら
は,優れた熱伝導性を有していると共に粉末の入手が比
較的容易で安価であるためである。
は,溶湯を充填した際の溶湯からの放熱を素早く行うこ
とができ,急冷凝固を促進することができる。これによ
り従来の金型を用いた場合とほぼ同様の微細組織を有す
る鋳物表面を得ることができる。このような金属粉末を
使用した場合の効果を容易に得るためには,特に,上記
鉄,銅,アルミニウムを用いることが好ましい。これら
は,優れた熱伝導性を有していると共に粉末の入手が比
較的容易で安価であるためである。
【0017】上記鋳型用粒子として無機物を用いる場合
には,強度,寸法精度等に優れた基材を形成することが
できる。この場合の無機物粒子としては,特にSiC,
アルミナ,ムライト,シリカ,ジルコンを用いることが
好ましい。これらは,優れた強度,低熱膨張率を有する
と共に入手が比較的容易であるためである。
には,強度,寸法精度等に優れた基材を形成することが
できる。この場合の無機物粒子としては,特にSiC,
アルミナ,ムライト,シリカ,ジルコンを用いることが
好ましい。これらは,優れた強度,低熱膨張率を有する
と共に入手が比較的容易であるためである。
【0018】また,請求項4の発明のように,上記充填
材は,液相と固相との相変態点が100℃以下の物質で
あることが好ましい。この場合には,上記基材の粒子間
隙に対して,上記充填材を液相の状態で充填し,その後
冷却することにより充填材を容易に固化することがで
き,上記の優れたダイカスト用鋳型を容易に作製するこ
とができる。
材は,液相と固相との相変態点が100℃以下の物質で
あることが好ましい。この場合には,上記基材の粒子間
隙に対して,上記充填材を液相の状態で充填し,その後
冷却することにより充填材を容易に固化することがで
き,上記の優れたダイカスト用鋳型を容易に作製するこ
とができる。
【0019】また,前記相変態温度が100℃を超える
物質を用いた場合には,熱硬化樹脂が分解しやすくな
り,型が分解するおそれがある。なお,上記粒子間隙へ
の充填は,例えば,基材を液状の充填材に浸漬して自然
に浸透させる方法,或いは,基材の一端から積極的に吸
引する方法等により行うことができる。
物質を用いた場合には,熱硬化樹脂が分解しやすくな
り,型が分解するおそれがある。なお,上記粒子間隙へ
の充填は,例えば,基材を液状の充填材に浸漬して自然
に浸透させる方法,或いは,基材の一端から積極的に吸
引する方法等により行うことができる。
【0020】また,請求項5の発明のように,上記充填
材は,氷であることが好ましい。即ち,氷は,通常0℃
以上において液相の水となるので,上記基材の粒子間隙
への充填が非常に容易である。そして,水の状態で充填
した後に,例えば液体窒素等を用いた冷却を行うことに
より,容易に固形の氷に相変態させることができる。
材は,氷であることが好ましい。即ち,氷は,通常0℃
以上において液相の水となるので,上記基材の粒子間隙
への充填が非常に容易である。そして,水の状態で充填
した後に,例えば液体窒素等を用いた冷却を行うことに
より,容易に固形の氷に相変態させることができる。
【0021】また,請求項6の発明のように,上記充填
材は,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した
後に固体として析出しうる物質とすることもできる。こ
の場合にも,上記性質を有する物質を水に溶かして水溶
液とし,液体状態で上記基材の粒子間隙への充填を行う
ことができる。そのため,充填作業を非常に容易に行う
ことができる。そして,充填材の固化は,上記水溶液の
水を蒸発させることにより析出させて行うことができ
る。
材は,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した
後に固体として析出しうる物質とすることもできる。こ
の場合にも,上記性質を有する物質を水に溶かして水溶
液とし,液体状態で上記基材の粒子間隙への充填を行う
ことができる。そのため,充填作業を非常に容易に行う
ことができる。そして,充填材の固化は,上記水溶液の
水を蒸発させることにより析出させて行うことができ
る。
【0022】なお,この場合においても,上記粒子間隙
への水溶液の充填は,例えば,基材を液状の充填材に浸
漬して自然に浸透させる方法,或いは,基材の一端から
積極的に吸引する方法等により行うことができる。ま
た,上記固体として析出しうる物質の濃度は,各の物質
の最大溶解度であることが好ましい。
への水溶液の充填は,例えば,基材を液状の充填材に浸
漬して自然に浸透させる方法,或いは,基材の一端から
積極的に吸引する方法等により行うことができる。ま
た,上記固体として析出しうる物質の濃度は,各の物質
の最大溶解度であることが好ましい。
【0023】また,請求項7の発明のように,上記充填
材は,NaCl又はK2CO3であることが好ましい。こ
の場合には,水溶液の作製,水の蒸発(乾燥)による充
填材の析出固化を容易に行うことができる。
材は,NaCl又はK2CO3であることが好ましい。こ
の場合には,水溶液の作製,水の蒸発(乾燥)による充
填材の析出固化を容易に行うことができる。
【0024】また,請求項8の発明のように,上記ダイ
カスト用鋳型は中空部成形用の中子とすることもでき
る。この場合には,中空部を有する鋳物をダイカストに
より作製する際において,その中空部の形状,鋳肌を優
れた状態に仕上げることができると共に,鋳造後の崩壊
を容易に行うことができる。
カスト用鋳型は中空部成形用の中子とすることもでき
る。この場合には,中空部を有する鋳物をダイカストに
より作製する際において,その中空部の形状,鋳肌を優
れた状態に仕上げることができると共に,鋳造後の崩壊
を容易に行うことができる。
【0025】次に,請求項9の発明は,金属および/ま
たは無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子とバインダ
との混合粉末を焼成して,粒子間隙が存在する状態で固
めた基材を作製する基材作製工程と,液相と固相との相
変態点が100℃以下の物質よりなる充填材を準備し,
該充填材を液状化した状態で上記粒子間隙に充填する充
填工程と,上記充填材を上記相変態点よりも低い温度に
冷却して固化する固化工程とを含むことを特徴とするダ
イカスト用鋳型の製造方法にある。
たは無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子とバインダ
との混合粉末を焼成して,粒子間隙が存在する状態で固
めた基材を作製する基材作製工程と,液相と固相との相
変態点が100℃以下の物質よりなる充填材を準備し,
該充填材を液状化した状態で上記粒子間隙に充填する充
填工程と,上記充填材を上記相変態点よりも低い温度に
冷却して固化する固化工程とを含むことを特徴とするダ
イカスト用鋳型の製造方法にある。
【0026】この製造方法によれば,液相と固相との相
変態点が100℃以下の物質よりなる充填材を用いた上
記の優れたダイカスト用鋳型(中子)を容易に製造する
ことができる。なお,上記充填材充填後の冷却方法とし
ては,例えば,液体窒素を吹き付ける方法等をとること
ができる。
変態点が100℃以下の物質よりなる充填材を用いた上
記の優れたダイカスト用鋳型(中子)を容易に製造する
ことができる。なお,上記充填材充填後の冷却方法とし
ては,例えば,液体窒素を吹き付ける方法等をとること
ができる。
【0027】また,請求項10の発明は,金属および/
または無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子とバイン
ダとの混合粉末を焼成して,粒子間隙が存在する状態で
固めた基材を作製する基材作製工程と,水溶性であると
共にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体として析出し
うる物質よりなる充填材を準備し,該充填材の水溶液を
上記粒子間隙に充填する充填工程と,上記充填材の水溶
液を乾燥させて上記充填材を固体として析出させる析出
工程とを含むことを特徴とするダイカスト用鋳型の製造
方法にある。
または無機物の粒子を主成分とする鋳型用粒子とバイン
ダとの混合粉末を焼成して,粒子間隙が存在する状態で
固めた基材を作製する基材作製工程と,水溶性であると
共にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体として析出し
うる物質よりなる充填材を準備し,該充填材の水溶液を
上記粒子間隙に充填する充填工程と,上記充填材の水溶
液を乾燥させて上記充填材を固体として析出させる析出
工程とを含むことを特徴とするダイカスト用鋳型の製造
方法にある。
【0028】この製造方法によれば,水溶性であると共
にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体として析出しう
る物質よりなる充填材を用いた優れたダイカスト用鋳型
(中子)を容易に製造することができる。なお,上記水
溶液の乾燥,即ち溶媒である水の蒸発は,放置による自
然乾燥,積極的に加熱する強制乾燥のいずれでもよい。
にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体として析出しう
る物質よりなる充填材を用いた優れたダイカスト用鋳型
(中子)を容易に製造することができる。なお,上記水
溶液の乾燥,即ち溶媒である水の蒸発は,放置による自
然乾燥,積極的に加熱する強制乾燥のいずれでもよい。
【0029】また,請求項11の発明のように,水溶性
であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体とし
て析出しうる物質よりなる充填材を用いる場合には,上
記充填工程および上記析出工程は複数回繰り返し行うこ
とが好ましい。即ち,上記水溶液の乾燥による析出を行
った場合には,粒子間隙を埋め尽くすことが困難であ
る。そのため,上記充填工程と上記析出工程とを繰り返
すことにより,粒子間隙に残存する空間を小さくするこ
とができ,充填材の充填効果をさらに高めることができ
る。
であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した後に固体とし
て析出しうる物質よりなる充填材を用いる場合には,上
記充填工程および上記析出工程は複数回繰り返し行うこ
とが好ましい。即ち,上記水溶液の乾燥による析出を行
った場合には,粒子間隙を埋め尽くすことが困難であ
る。そのため,上記充填工程と上記析出工程とを繰り返
すことにより,粒子間隙に残存する空間を小さくするこ
とができ,充填材の充填効果をさらに高めることができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるダイカスト用鋳型及びその
製造方法につき,図1〜図5を用いて説明する。本例で
は,実験的に,鋳型の一方の面に本発明の粉末型である
ダイカスト用鋳型1を用い,他方の面は従来と同様の金
型を用いた例を示す。
製造方法につき,図1〜図5を用いて説明する。本例で
は,実験的に,鋳型の一方の面に本発明の粉末型である
ダイカスト用鋳型1を用い,他方の面は従来と同様の金
型を用いた例を示す。
【0031】まず,本例のダイカスト用鋳型1は,図1
に示すごとく,無機物のムライト粒子を主成分とする鋳
型用粒子10を粒子間隙が存在する状態で固化して形成
した基材11と,粒子間隙に充填した固形の充填材2と
しての氷とよりなる。このダイカスト用鋳型1を作製す
るに当たっては,まず,平均粒径75μmの均質なムラ
イトと,バインダとしての熱硬化性樹脂であるフェノー
ルレジンを準備し,これらを混合した。次いで,この混
合粉末を所望形状に成形して,粒子間隙が存在する状態
で固化した基材を作製すべく,温度200℃で焼成する
基材作製工程を行った。なお,基材の形状は,本例では
焼成前に所望形状に整えてその後焼成を行ったが,焼成
後に切削等により所望形状を得ることも勿論可能であ
る。
に示すごとく,無機物のムライト粒子を主成分とする鋳
型用粒子10を粒子間隙が存在する状態で固化して形成
した基材11と,粒子間隙に充填した固形の充填材2と
しての氷とよりなる。このダイカスト用鋳型1を作製す
るに当たっては,まず,平均粒径75μmの均質なムラ
イトと,バインダとしての熱硬化性樹脂であるフェノー
ルレジンを準備し,これらを混合した。次いで,この混
合粉末を所望形状に成形して,粒子間隙が存在する状態
で固化した基材を作製すべく,温度200℃で焼成する
基材作製工程を行った。なお,基材の形状は,本例では
焼成前に所望形状に整えてその後焼成を行ったが,焼成
後に切削等により所望形状を得ることも勿論可能であ
る。
【0032】次に,液相と固相との相変態点が100℃
以下の物質よりなる充填材として,水を準備した。そし
て,該充填材を液状化した状態で上記基材の粒子間隙に
真空吸引して充填する充填工程を行った。次いで,上記
充填材を上記相変態点よりも低い温度に冷却して固化す
る固化工程として,上記基材に液体窒素を吹き付けた。
そして,この冷却により上記水が約−15℃の氷になる
ように制御した。これにより,直方体形状の上記ダイカ
スト用鋳型1が得られた。
以下の物質よりなる充填材として,水を準備した。そし
て,該充填材を液状化した状態で上記基材の粒子間隙に
真空吸引して充填する充填工程を行った。次いで,上記
充填材を上記相変態点よりも低い温度に冷却して固化す
る固化工程として,上記基材に液体窒素を吹き付けた。
そして,この冷却により上記水が約−15℃の氷になる
ように制御した。これにより,直方体形状の上記ダイカ
スト用鋳型1が得られた。
【0033】次に,本例においては,図2に示すごと
く,主型31に上記ダイカスト用鋳型1をセットすると
共にこれに金型32を対向させてキャビティ7を有する
鋳型セット30を構成した。鋳型セット30の下方に
は,溶湯注入用の加圧ピン41を有するスリーブ40を
配設した。加圧ピン41はその下方の加圧シリンダ42
によって加圧されるように構成されている。そして,鋳
型30は,同図に示すごとく,支持台5によって支持し
た。
く,主型31に上記ダイカスト用鋳型1をセットすると
共にこれに金型32を対向させてキャビティ7を有する
鋳型セット30を構成した。鋳型セット30の下方に
は,溶湯注入用の加圧ピン41を有するスリーブ40を
配設した。加圧ピン41はその下方の加圧シリンダ42
によって加圧されるように構成されている。そして,鋳
型30は,同図に示すごとく,支持台5によって支持し
た。
【0034】次に,上記鋳型セット30を用いて,AD
C12合金を温度620℃,射出圧力720kg/cm
2,射出速度3.0m/sの条件で鋳造し,鋳物を作製
した。本例では,比較のために,上記と同様の基材のま
まで氷の充填を行わなかった2種類の鋳型(比較例C
1,C2)を準備し,それぞれを用いて上記と同様の条
件により鋳物を作製した。上記比較例C1においては,
鋳型用粒子として平均粒径200μmの珪砂を,フェノ
ールレジンよりなるバインダで固化したもの用いた。ま
た,比較例C2においては,鋳型用粒子として平均粒径
75μmのムライト粒子を,フェノールレジンよりなる
バインダで固化したもの用いた。
C12合金を温度620℃,射出圧力720kg/cm
2,射出速度3.0m/sの条件で鋳造し,鋳物を作製
した。本例では,比較のために,上記と同様の基材のま
まで氷の充填を行わなかった2種類の鋳型(比較例C
1,C2)を準備し,それぞれを用いて上記と同様の条
件により鋳物を作製した。上記比較例C1においては,
鋳型用粒子として平均粒径200μmの珪砂を,フェノ
ールレジンよりなるバインダで固化したもの用いた。ま
た,比較例C2においては,鋳型用粒子として平均粒径
75μmのムライト粒子を,フェノールレジンよりなる
バインダで固化したもの用いた。
【0035】本例のダイカスト用鋳型1(実施例E1と
する)により得られた鋳物の断面写真を図3に,上記比
較例C1により得られた鋳物の断面写真を図4に,上記
比較例C2により得られた鋳物断面写真を図5に,それ
ぞれ図面代用写真として示す。これらの写真は,鋳物と
鋳型の境界部の断面を56倍に拡大したものである。
する)により得られた鋳物の断面写真を図3に,上記比
較例C1により得られた鋳物の断面写真を図4に,上記
比較例C2により得られた鋳物断面写真を図5に,それ
ぞれ図面代用写真として示す。これらの写真は,鋳物と
鋳型の境界部の断面を56倍に拡大したものである。
【0036】まず図3に示すごとく,実施例E1の場合
には,鋳物8と鋳型1との境界部においては,ほとんど
差込が無く,わずかに(約0.015mm)鋳型1内へ
の溶湯の浸入が見られたのみである。なお,この若干の
浸入は,溶湯充填時にその伝熱により充填材2としての
氷の表面が水に変化したことによる影響だと考えられ
る。
には,鋳物8と鋳型1との境界部においては,ほとんど
差込が無く,わずかに(約0.015mm)鋳型1内へ
の溶湯の浸入が見られたのみである。なお,この若干の
浸入は,溶湯充填時にその伝熱により充填材2としての
氷の表面が水に変化したことによる影響だと考えられ
る。
【0037】一方,図4に示すごとく,比較例C1の場
合には,0.5mm近い非常に深い差込不良が見られ
た。これは珪砂の平均粒径が比較的大きいことが原因で
あると考えられる。また,図5に示すごとく,比較例C
2の場合には,珪砂の場合よりも平均粒径が小さい分,
差込の深さも小さく0.3mm程度となったがが,製品
とはなり得ない状態の差込不良が残存した。また,図示
は省略するが,得られた鋳物の外観においても,実施例
E1は所望形状に近い形状が得られたが,比較例C1,
C2の場合には,上記の差込不良によってその差込部分
が突起した状態の所望形状からかけ離れた形状となっ
た。
合には,0.5mm近い非常に深い差込不良が見られ
た。これは珪砂の平均粒径が比較的大きいことが原因で
あると考えられる。また,図5に示すごとく,比較例C
2の場合には,珪砂の場合よりも平均粒径が小さい分,
差込の深さも小さく0.3mm程度となったがが,製品
とはなり得ない状態の差込不良が残存した。また,図示
は省略するが,得られた鋳物の外観においても,実施例
E1は所望形状に近い形状が得られたが,比較例C1,
C2の場合には,上記の差込不良によってその差込部分
が突起した状態の所望形状からかけ離れた形状となっ
た。
【0038】以上の結果から,本例のダイカスト用鋳型
1を用いた場合には,従来の砂型等の粉末型を用いた場
合と比べて,格段に形状,鋳肌が優れた鋳物をダイカス
トにより作製できることがわかる。また,本例の鋳型1
(実施例E1)は,従来の砂型と同様に,約200℃程
度まで加熱すれば,バインダが炭化して,容易に型を崩
壊させることができる。
1を用いた場合には,従来の砂型等の粉末型を用いた場
合と比べて,格段に形状,鋳肌が優れた鋳物をダイカス
トにより作製できることがわかる。また,本例の鋳型1
(実施例E1)は,従来の砂型と同様に,約200℃程
度まで加熱すれば,バインダが炭化して,容易に型を崩
壊させることができる。
【0039】実施形態例2 本例においては,実施形態例1のダイカスト用鋳型1に
おける充填材の充填工程を,液体窒素を用いて約−80
℃となるようにして鋳型を作製した。その他は実施形態
例1と同様とした。そして,得られたダイカスト用鋳型
を用いて実施形態例1と同様に鋳物を作製した。
おける充填材の充填工程を,液体窒素を用いて約−80
℃となるようにして鋳型を作製した。その他は実施形態
例1と同様とした。そして,得られたダイカスト用鋳型
を用いて実施形態例1と同様に鋳物を作製した。
【0040】得られた鋳物(実施例E2とする)の断面
写真を図6に図面代用写真として示す。同図より知られ
るごとく,本例で得られた鋳物8の断面は,金型を用い
た場合と同様に,全く差込が見られない優れた状態とな
った。これは,実施形態例1の実施例E1の場合よりも
さらに低温で氷を形成したことにより,溶湯充填時にお
いても充填材としての氷の溶融がほとんどなかったため
であると考えられる。
写真を図6に図面代用写真として示す。同図より知られ
るごとく,本例で得られた鋳物8の断面は,金型を用い
た場合と同様に,全く差込が見られない優れた状態とな
った。これは,実施形態例1の実施例E1の場合よりも
さらに低温で氷を形成したことにより,溶湯充填時にお
いても充填材としての氷の溶融がほとんどなかったため
であると考えられる。
【0041】実施形態例3 本例は,実施形態例1における充填材2としての氷に代
えて,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した
後に固体として析出しうる物質であるK2CO3およびN
aClを充填材として用いた例である。K2CO3の20
%水溶液を用いたものを実施例E3,NaClの5%水
溶液を用いたものを実施例E4とする。
えて,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が蒸発した
後に固体として析出しうる物質であるK2CO3およびN
aClを充填材として用いた例である。K2CO3の20
%水溶液を用いたものを実施例E3,NaClの5%水
溶液を用いたものを実施例E4とする。
【0042】具体的には,実施形態例1と同様に基材1
1を作製し,これに,80℃に加熱した充填材の水溶液
を真空吸引して粒子間隙に充填する充填工程を行った。
次いで,充填材の水溶液を,室温で自然乾燥させること
により乾燥させて上記充填材を固体として析出させる析
出工程を行った。また,本例では上記充填工程と析出工
程とは,それぞれ1回のみ行った。
1を作製し,これに,80℃に加熱した充填材の水溶液
を真空吸引して粒子間隙に充填する充填工程を行った。
次いで,充填材の水溶液を,室温で自然乾燥させること
により乾燥させて上記充填材を固体として析出させる析
出工程を行った。また,本例では上記充填工程と析出工
程とは,それぞれ1回のみ行った。
【0043】そして,得られたダイカスト用鋳型を用い
て実施形態例1と同様の鋳型セットを組み上げ,これを
用いて実施例1と同様に鋳物をそれぞれ作製した。実施
例E3,E4ともに,ほぼ同様の形状,鋳肌状態のもの
が得られた。代表として,実施例E3において得られた
鋳物の断面写真を図7に図面代用写真として示す。
て実施形態例1と同様の鋳型セットを組み上げ,これを
用いて実施例1と同様に鋳物をそれぞれ作製した。実施
例E3,E4ともに,ほぼ同様の形状,鋳肌状態のもの
が得られた。代表として,実施例E3において得られた
鋳物の断面写真を図7に図面代用写真として示す。
【0044】同図より知られるごとく,実施例E3で得
られた鋳物の断面は,実施例E1と同様に,鋳物8と鋳
型1との境界部においては,ほとんど差込が無く,わず
かに鋳型1内への溶湯の浸入が見られたのみである。な
お,この若干の浸入は,上記充填工程および析出工程を
1回のみ行った場合には,水の乾燥後に粒子間隙内に隙
間が残存するためであると考えられる。
られた鋳物の断面は,実施例E1と同様に,鋳物8と鋳
型1との境界部においては,ほとんど差込が無く,わず
かに鋳型1内への溶湯の浸入が見られたのみである。な
お,この若干の浸入は,上記充填工程および析出工程を
1回のみ行った場合には,水の乾燥後に粒子間隙内に隙
間が残存するためであると考えられる。
【0045】実施形態例4 本例では,実施形態例3における充填工程および析出工
程を複数回行って,粒子間隙をほとんど完全に塞いだ例
である。その他は実施形態例3と同様である。この場合
にも,充填材としては,実施形態例3と同様にK2CO3
とNaClとを用い,上記と同様の水溶液にして充填工
程を行った。K2CO3を用いたものを実施例E5,Na
Clを用いたものを実施例E6とする。
程を複数回行って,粒子間隙をほとんど完全に塞いだ例
である。その他は実施形態例3と同様である。この場合
にも,充填材としては,実施形態例3と同様にK2CO3
とNaClとを用い,上記と同様の水溶液にして充填工
程を行った。K2CO3を用いたものを実施例E5,Na
Clを用いたものを実施例E6とする。
【0046】そして,得られたダイカスト用鋳型を用い
て実施形態例1と同様の鋳型セットを組み上げ,これを
用いて実施例1と同様に鋳物をそれぞれ作製した。実施
例E5,E6ともに,ほぼ同様の形状,鋳肌状態のもの
が得られた。代表として,実施例E5において得られた
鋳物の断面写真を図8に図面代用写真として示す。
て実施形態例1と同様の鋳型セットを組み上げ,これを
用いて実施例1と同様に鋳物をそれぞれ作製した。実施
例E5,E6ともに,ほぼ同様の形状,鋳肌状態のもの
が得られた。代表として,実施例E5において得られた
鋳物の断面写真を図8に図面代用写真として示す。
【0047】同図より知られるごとく,実施例E5で得
られた鋳物の断面は,金型を用いた場合と同様に,全く
差込が見られない優れた状態となった。これは,実施形
態例3の場合と異なり,粒子間隙がほとんど完全に充填
材によって埋められていたためであると考えられる。
られた鋳物の断面は,金型を用いた場合と同様に,全く
差込が見られない優れた状態となった。これは,実施形
態例3の場合と異なり,粒子間隙がほとんど完全に充填
材によって埋められていたためであると考えられる。
【0048】実施形態例5 本例においては,基材の鋳型用粒子10の種類による鋳
物の鋳造組織への影響を,従来の金型の場合と比較して
調査した。まず,平均粒径75μmのムライト粒子(無
機物粒子)を利用して実施例E1と同様に作製したダイ
カスト用鋳型(実施例E7)と,平均粒径150μmの
鉄粉(金属粒子)を利用して実施例E1と同様に作製し
たダイカスト用鋳型(実施例E8)と,全体がSKD6
1よりなる金型(比較例C3)とを準備した。そして,
各型を用いて実施形態例1と同様に鋳型セット30を構
成し,実施形態例1と同様に鋳物を作製した。
物の鋳造組織への影響を,従来の金型の場合と比較して
調査した。まず,平均粒径75μmのムライト粒子(無
機物粒子)を利用して実施例E1と同様に作製したダイ
カスト用鋳型(実施例E7)と,平均粒径150μmの
鉄粉(金属粒子)を利用して実施例E1と同様に作製し
たダイカスト用鋳型(実施例E8)と,全体がSKD6
1よりなる金型(比較例C3)とを準備した。そして,
各型を用いて実施形態例1と同様に鋳型セット30を構
成し,実施形態例1と同様に鋳物を作製した。
【0049】得られた鋳物の断面組織観察結果を図面代
用写真としての図9〜図11に示す。これらはいずれも
倍率200倍の写真である。図9,図10に示すごと
く,実施例E7,E8のいずれの粉末型の場合も,差込
不良はほとんど見られなかった。しかしながら,図9に
示すごとく,実施例E7の鋳型用粒子としてムライト粒
子を用いた場合の鋳物表面は,大きな初晶Alデンドラ
イトと共晶が混在した組織となった。一方,図10に示
すごとく,実施例E8の鉄粉を用いた場合には,初晶A
lデンドライトでわかるように組織は細かくなった。そ
してこれは,図11に示した金型を用いた場合(比較例
C3)と同様の緻密な鋳造組織となった。
用写真としての図9〜図11に示す。これらはいずれも
倍率200倍の写真である。図9,図10に示すごと
く,実施例E7,E8のいずれの粉末型の場合も,差込
不良はほとんど見られなかった。しかしながら,図9に
示すごとく,実施例E7の鋳型用粒子としてムライト粒
子を用いた場合の鋳物表面は,大きな初晶Alデンドラ
イトと共晶が混在した組織となった。一方,図10に示
すごとく,実施例E8の鉄粉を用いた場合には,初晶A
lデンドライトでわかるように組織は細かくなった。そ
してこれは,図11に示した金型を用いた場合(比較例
C3)と同様の緻密な鋳造組織となった。
【0050】次に,本例では,鋳物の強度を測定した。
具体的には,各鋳物から引張試験片を切りだし,その引
張試験を行った。測定結果を図12に示す。同図より知
られるごとく,鉄粉を用いた場合(実施例E8)は,金
型を用いた場合(比較例C3)と同程度の引張強さ(約
30kg/cm2)となった。一方,ムライト粒子を用
いた場合(実施例E7)は,20kg/cm2となり,
組織の粗大化による強度の低下が認められた。
具体的には,各鋳物から引張試験片を切りだし,その引
張試験を行った。測定結果を図12に示す。同図より知
られるごとく,鉄粉を用いた場合(実施例E8)は,金
型を用いた場合(比較例C3)と同程度の引張強さ(約
30kg/cm2)となった。一方,ムライト粒子を用
いた場合(実施例E7)は,20kg/cm2となり,
組織の粗大化による強度の低下が認められた。
【0051】実施形態例6 本例は,実施例E1における基材の固化方法を,バイン
ダを用いる方法に代えて加圧成形とした例である。具体
的には,水と平均粒径75μmの砂粒子を混錬し,加圧
成形した後,−80℃で凍結させてダイカスト用鋳型を
形成した。この鋳型を用いて,実施例E1と同条件で鋳
造し,鋳物を作製した。作製した鋳物の外観(図示略)
は,実施例E1の場合と同様に,型割れなどの外観状の
不具合はなく,また差込も認められず,本発明品の有効
性が認められた。
ダを用いる方法に代えて加圧成形とした例である。具体
的には,水と平均粒径75μmの砂粒子を混錬し,加圧
成形した後,−80℃で凍結させてダイカスト用鋳型を
形成した。この鋳型を用いて,実施例E1と同条件で鋳
造し,鋳物を作製した。作製した鋳物の外観(図示略)
は,実施例E1の場合と同様に,型割れなどの外観状の
不具合はなく,また差込も認められず,本発明品の有効
性が認められた。
【0052】なお,上記各実施形態例ではキャビティを
形成するダイカスト用鋳型について例を示したが,ダイ
カスト用の中子を上記粉末鋳型と同様の構成とすること
もでき,この場合も上記と同様の作用効果が得られる
形成するダイカスト用鋳型について例を示したが,ダイ
カスト用の中子を上記粉末鋳型と同様の構成とすること
もでき,この場合も上記と同様の作用効果が得られる
【0053】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,鋳造時
に型くずれせず,鋳造後の崩壊性に優れ,かつ,差込不
良を抑制することができる,ダイカスト用鋳型及びその
製造方法を提供することができる。
に型くずれせず,鋳造後の崩壊性に優れ,かつ,差込不
良を抑制することができる,ダイカスト用鋳型及びその
製造方法を提供することができる。
【図1】実施形態例1における,ダイカスト用鋳型の構
造を示す説明図。
造を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,ダイカスト用鋳型を用
いて構成した鋳造装置を示す説明図。
いて構成した鋳造装置を示す説明図。
【図3】実施形態例1における,実施例E1の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図4】実施形態例1における,比較例C1の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図5】実施形態例1における,比較例C2の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図6】実施形態例2における,実施例E2の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図7】実施形態例3における,実施例E3の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図8】実施形態例4における,実施例E5の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図9】実施形態例5における,実施例E7の鋳物の金
属組織を示す図面代用写真。
属組織を示す図面代用写真。
【図10】実施形態例5における,実施例E8の鋳物の
金属組織を示す図面代用写真。
金属組織を示す図面代用写真。
【図11】実施形態例5における,比較例C3の鋳物の
金属組織を示す図面代用写真。
金属組織を示す図面代用写真。
【図12】実施形態例5における,実施例E7,E8お
よび比較例C3の鋳物の引張強さを示す説明図。
よび比較例C3の鋳物の引張強さを示す説明図。
1...ダイカスト用鋳型, 10...鋳型用粒子, 11...基材, 2...充填材,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 17/22 B22D 17/22 Q R Fターム(参考) 4E092 AA01 AA02 AA03 AA09 AA16 BA09 CA10 4E093 NA01 NB08 NB09 QA02 QA04 QB07
Claims (11)
- 【請求項1】 金属および/または無機物の粒子を主成
分とする鋳型用粒子を粒子間隙が存在する状態で固化し
て形成した基材と,上記粒子間隙に充填した固形の充填
材とよりなることを特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項2】 請求項1において,上記基材は,上記鋳
型用粒子をバインダにより接合して固化してあることを
特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記鋳型用粒
子は,鉄,銅,アルミニウム,SiC,アルミナ,ムラ
イト,シリカ,ジルコンより選ばれた1種又は2種以上
の粒子であることを特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
上記充填材は,液相と固相との相変態点が100℃以下
の物質であることを特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項5】 請求項4において,上記充填材は,氷で
あることを特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項において,
上記充填材は,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が
蒸発した後に固体として析出しうる物質であることを特
徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項7】 請求項6において,上記充填材は,Na
Cl又はK2CO3であることを特徴とするダイカスト用
鋳型。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
上記ダイカスト用鋳型は中空部成形用の中子であること
を特徴とするダイカスト用鋳型。 - 【請求項9】 金属および/または無機物の粒子を主成
分とする鋳型用粒子とバインダとの混合粉末を焼成し
て,粒子間隙が存在する状態で固めた基材を作製する基
材作製工程と,液相と固相との相変態点が100℃以下
の物質よりなる充填材を準備し,該充填材を液状化した
状態で上記粒子間隙に充填する充填工程と,上記充填材
を上記相変態点よりも低い温度に冷却して固化する固化
工程とを含むことを特徴とするダイカスト用鋳型の製造
方法。 - 【請求項10】 金属および/または無機物の粒子を主
成分とする鋳型用粒子とバインダとの混合粉末を焼成し
て,粒子間隙が存在する状態で固めた基材を作製する基
材作製工程と,水溶性であると共にその水溶液の溶媒が
蒸発した後に固体として析出しうる物質よりなる充填材
を準備し,該充填材の水溶液を上記粒子間隙に充填する
充填工程と,上記充填材の水溶液を乾燥させて上記充填
材を固体として析出させる析出工程とを含むことを特徴
とするダイカスト用鋳型の製造方法。 - 【請求項11】 請求項10において,上記充填工程お
よび上記析出工程は複数回繰り返し行うことを特徴とす
るダイカスト用鋳型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000012182A JP2001205389A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | ダイカスト用鋳型及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000012182A JP2001205389A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | ダイカスト用鋳型及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001205389A true JP2001205389A (ja) | 2001-07-31 |
Family
ID=18539935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000012182A Pending JP2001205389A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | ダイカスト用鋳型及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001205389A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017213599A (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 株式会社デンソー | 鋳造用中子およびその製造方法 |
-
2000
- 2000-01-20 JP JP2000012182A patent/JP2001205389A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017213599A (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 株式会社デンソー | 鋳造用中子およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5927373A (en) | Method of constructing fully dense metal molds and parts | |
US4808360A (en) | Method of producing mold for slip casting and method of molding slip casting | |
JPH02188460A (ja) | セラミックコア及び他の種物品を製造する方法 | |
US10471497B2 (en) | Three-dimensional printed metal-casting molds and methods for making the same | |
US20170297086A1 (en) | Process for providing metal castings using the lost foam method | |
US20060243421A1 (en) | Soluble casting core for metal matrix composite components and method of producing thereof | |
KR100565102B1 (ko) | 인베스트먼트 주조 주형 및 제조방법 | |
US3441078A (en) | Method and apparatus for improving grain structures and soundness of castings | |
US7013948B1 (en) | Disintegrative core for use in die casting of metallic components | |
JP2001205389A (ja) | ダイカスト用鋳型及びその製造方法 | |
EP0502580A1 (en) | Casting mould | |
KR101761046B1 (ko) | 정밀 주조용 중자 및 그 제조 방법, 정밀 주조용 주형 | |
US20090250185A1 (en) | Methods for casting stainless steel and articles prepared therefrom | |
EP3431206B1 (en) | Apparatus and method for investment casting core manufacture | |
JP7557409B2 (ja) | セラミックコア | |
KR20020055054A (ko) | 고압주조용 코어의 제조방법 및 오일 갤러리가 포함된엔진용 피스톤의 주조방법 | |
KR100893960B1 (ko) | 거친 외부 표면을 갖는 경합금 베어링 부시의 제조 방법 | |
JPS6030549A (ja) | 細孔を有する鋳物の製造法 | |
KR100439200B1 (ko) | 정밀주조용 수용성 세라믹 중자 조성물 및 이를 이용한 세라믹 중자의 제조방법 | |
JPS6092806A (ja) | セラミツクス製品の製造法 | |
JP2004283859A (ja) | 水溶性中子及びその製造方法 | |
Kamble et al. | Sub‐Zero Additive Manufacturing: A Green Solution to Pattern Making in the Investment Casting Industry | |
JPH04371341A (ja) | 精密鋳造用積層鋳型材料と鋳型及びその製造方法 | |
US10722939B2 (en) | Production of multi-passage hollow casting | |
JP2002194456A (ja) | 大型肉厚の金属−セラミックス複合材料の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060321 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081017 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081028 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090127 |