JP2001200347A - 鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP2001200347A JP2000011512A JP2000011512A JP2001200347A JP 2001200347 A JP2001200347 A JP 2001200347A JP 2000011512 A JP2000011512 A JP 2000011512A JP 2000011512 A JP2000011512 A JP 2000011512A JP 2001200347 A JP2001200347 A JP 2001200347A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無方向性電磁鋼板における、より一層の低鉄
損化を実現する方途について提案する。 【解決手段】 C:0.005 mass%以下、Si:1.0 〜4.0
mass%、Al:2.0 mass%以下(ただし、Si+Al≧2.0 ma
ss%)、Mn:0.1 〜1.5 mass%、Cr:0.5 〜3.0mass
%、S:0.0020mass%以下、N:0.0030mass%以下、
O:0.0020mass%以下およびZr:0.0015mass%以下を含
有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有する無
方向性電磁鋼板において、該鋼板の表面から板厚の1/
4の深さの面における{100 }および{111 }各方位の
X線反射面強度のランダム集合組織に対する比I(100)
およびI(111) を I(100) /I(111)≧1.20 の関係とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、モーターやトランス
等の鉄心材料として広範囲で使用される、低鉄損の無方
向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーの観点から、電気機
器の効率向上に対する要求が強く、鉄心材料についても
より一層の低鉄損化が望まれている。そのため、無方向
性電磁鋼板の鉄損を低減する技術について、様々な提案
が成されている。
【0003】すなわち、無方向性電磁鋼板の鉄損低減手
段としては、SiやAlなどの合金元素の添加量を増加し、
鋼板の電気抵抗を高める方法が一般的に知られている
が、現在の無方向性電磁鋼板のハイグレード品の鉄損レ
ベルを一層向上させるために、SiやAlなどの添加量を増
加すると、圧延性の問題ばかりでなく、ユーザーにおい
て所定の形状に打ち抜く際に金型の磨耗を早めることが
新たに問題となる。さらに、SiやAlなどの添加量の増加
は、材料のコスト高を招く不利も生じる。
【0004】また、特公平2−50190号公報には、
鋼中の不純物元素量または介在物および析出物個数を低
減することにより、鉄損を低減する方法が開示されてい
る。この方法は、鉄損低減に効果的であるが、かような
不純物低減のための鋼の高純度化は製銑および製鋼技術
に依存するものであり、無方向性電磁鋼板の製造分野に
おける鋼の高純度化は、現状の製銑および製鋼技術のほ
ぼ極限にて行っているため、高純度化による鉄損のより
一層の低減は、製銑および製鋼技術の更なる進歩を待た
なければならなかった。
【0005】一方、特開昭59−74256号、同60
−152628号および特開平3−104844号の各
公報には、介在物の個数を減少させて低鉄損化を達成す
る技術が開示されている。しかし、これらの技術におけ
る鋼中の介在物の個数を低減させることは、結局のとこ
ろ鋼の高純度化技術に依存するから、上記の技術と同
様、鉄損のより一層の改善は、製銑および製鋼技術の更
なる進歩を待たなければならなかった。
【0006】さらに、特開平8−41538号公報に
は、不純物混入を抑制し、スラブ加熱温度、巻取り温
度、熱延板焼鈍条件、冷間圧延圧下率および仕上焼鈍条
件を規定することにより、介在物を制御して鉄損を低減
する技術が開示されている。特公昭56−22931号
公報には、冷間圧延条件に工夫を凝らして集合組織を改
善し鉄損を低減する方法が開示されている。特開平8−
97023号公報には、Sbを添加して熱間圧延時のスラ
ブ加熱温度および熱間圧延後の熱延板焼鈍条件を制御す
ることにより、最終仕上げ焼鈍時の酸化を抑制する技術
が開示されている。これらの方法により確かに鉄損を改
善することが可能であるが、添加Si量および製造工程に
合った最適条件がすでに提案されている現状では、より
一層の鉄損低減は困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、現在の高いレ
ベルの要求を満たすためには、より一層の鉄損改善を達
成する方策を至急に講ずる必要がある。そこで、この発
明は、無方向性電磁鋼板における、より一層の低鉄損化
を実現する方途について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、鉄損特性の
向上を達成するために種々の検討を重ねた結果、原料
(鉄鉱石)や副原料(FeSi等)に不純物として含まれ、
また製鋼工程において溶鋼と接するレンガ等にも含まれ
る結果、鋼中に不可避に混入するZrを低減すると、著し
く鉄損特性が向上するケースがあることを知見した。そ
こで、この鉄損特性が著しく向上するケースについて詳
細な検討を行った結果、最終製品板の集合組織がある特
定の条件を満たす場合に鉄損特性が向上することを新た
に見出した。また、鋼板の電気抵抗に応じて最終製品板
の粒径を調整することにより、低鉄損が得られることも
新たに知見した。この発明は、以上の知見に基づくもの
である。
【0009】すなわち、この発明の要旨構成は、次のと
おりである。 (1) C:0.005 mass%以下、Si:1.0 〜4.0 mass%、A
l:2.0 mass%以下(ただし、Si+Al≧2.0 mass%)、M
n:0.1 〜1.5 mass%、Cr:0.5 〜3.0 mass%、S:0.0
020mass%以下、N:0.0030mass%以下、O:0.0020mas
s%以下およびZr:0.0015mass%以下を含有し、残部Fe
および不可避不純物の成分組成を有する無方向性電磁鋼
板であって、該鋼板の表面から板厚の1/4の深さの面
における{100 }および{111 }各方位のX線反射面強
度のランダム集合組織に対する比I(100) およびI(11
1) が I(100) /I(111)≧1.20 の関係を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性
電磁鋼板。
【0010】(2) 上記(1) において、鋼板の平均結晶粒
径d(μm )が鋼板の比抵抗X(μΩ・m)に関して 100X+30≦d≦ 400X+50 を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼
板。
【0011】(3) 上記(1) または(2) において、さらに
Sb:0. 005〜0.100 mass%を含有する成分組成を有する
ことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
【0012】(4) Si:1.0 〜4.0 mass%、Al:2.0 mass
%以下(ただし、Si+Al≧2.0 mass%)、Mn:0.1 〜1.
5 mass%およびCr:0.5 〜3.0 mass%を含み、C:0.00
5 mass%以下、S:0.0020mass%以下、N:0.0030mass
%以下、O:0.0020mass%以下およびZr:0.0015mass%
以下に抑制した成分組成を有する無方向性電磁鋼板用ス
ラブに、熱間圧延および冷間圧延、そして熱処理を施し
て無方向性電磁鋼板を製造するに当り、最終冷間圧延前
の平均結晶粒径を110 μm 以上に調整することを特徴と
する鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0013】(5) 上記(4) において、無方向性電磁鋼板
用スラブが、さらにSb:0. 005〜0.100 mass%を含有す
る成分組成を有することを特徴とする鉄損の低い無方向
性電磁鋼板の製造方法。
【0014】次に、この発明を導くに到った実験結果に
ついて詳しく説明する。 (実験1)真空溶解により表1に示す成分組成(Zrおよ
びSbの含有量を種々に変化)に調整した無方向性電磁鋼
板用の鋼塊(厚み220 mm)を1150℃に加熱後、熱間圧延
により板厚:2.0 mmの熱延板とした。この熱延板を焼鈍
する際に熱延焼鈍温度を種々に変化させ、冷間圧延前の
結晶粒径を変化させた。その後、冷間圧延を施して板厚
0.35mmの冷延板とした後、1000℃で1分間の仕上げ焼鈍
を施した。
【0015】
【表1】
【0016】かくして得られた製品板の集合組織を調査
するとともに、圧延方向(以下、L方向と示す)および
L方向と直交する向き(以下、C方向と示す)から30mm
×280 mmのエプスタイン試験片を各12枚合計24枚採取し
てエプスタイン試験にて鉄損を測定した。
【0017】その測定結果を、最終冷間圧延前の平均結
晶粒径と鉄損との関係に整理して図1に示す。ここに、
平均結晶粒径とは、圧延方向に平行な断面を観察した際
に、観察した領域の面積をその領域に存在する結晶粒の
数で除して求まる、結晶粒1個あたりの面積と同一の面
積を持つ、円の直径である。
【0018】同図から明らかなように、Zr含有量を低減
した鋼種AおよびCにおいては、冷間圧延前の粒径が11
0 μm 以上のときに鉄損改善効果が得られることがわか
る。さらに、鉄損改善の効果はSbが添加されている鋼種
Aの方が鋼種Cより大きいことがわかる。しかしなが
ら、Zr含有量の高い鋼種BおよびDは、Sbの添加および
無添加に関わらず、著しい鉄損改善効果が得られないこ
とがわかる。
【0019】以上の調査結果を踏まえ、上記の実験で得
られた最終製品板について、その表面から板厚の1/4
の深さの部分の板面と平行な面における{100 }および
{111 }各方位のX線反射面強度のランダム集合組織に
対する比I(100) およびI(111) について調査した。
【0020】かくして得られたI(100) およびI(111)
について、両者の比I(100) /I(111) と鉄損との関係
に整理して図2に示す。図2から明らかなように、図1
に結果を示した実験にて低鉄損が得られた鋼板は、その
I(100) /I(111) が1.2 以上にあることが判明した。
【0021】すなわち、Zr含有量を低減した成分組成を
有する無方向性電磁鋼板において、その表面から板厚の
1/4の深さの部分でのI(100) /I(111) を1.2 以上
の範囲にすることによって、低鉄損化が達成されること
が新たに判明したのである。
【0022】次に、Zrの抑制について、より具体的な調
査を行った。 (実験2)真空溶解により、表2に示すZr含有レベルを
種々に変化させた成分組成に調整した無方向性電磁鋼板
用の鋼塊(厚み220 mm)を1100℃に加熱後、熱間圧延に
より板厚:1.8 mmの熱延板とした。この熱延板に1040℃
で1分間の熱延板焼鈍を施した。これらの熱延板焼鈍後
の熱延板(すなわち、最終冷延前)の平均結晶粒径は15
3 〜164 μm であった。その後、冷間圧延機によりに板
厚0.35mmの冷延板とした後、1050℃で20秒間の仕上げ焼
鈍を施した。
【0023】
【表2】
【0024】かくして得られた製品板よりLおよびC方
向から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各12枚合計
24枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定した。
その結果を、Zr含有量と鉄損との関係として、図3に示
すように、Zrを15ppm 以下に抑制すれば、実験1で得ら
れたのと同程度の、著しい鉄損の改善効果が得られるこ
とがわかる。
【0025】(実験3)真空溶解により、表3に示すSi
およびCr含有量を種々に変化させた成分組成に調整した
無方向性電磁鋼板用の鋼塊(厚み220 mm)を1080℃に加
熱後、熱間圧延により板厚:2.2 mmの熱延板とした。こ
の熱延板に1020℃で1分間の熱延板焼鈍を施した。これ
らの熱延板焼鈍後の熱延板(すなわち、最終冷延前)の
平均結晶粒径は135 〜144 μm であった。その後、冷間
圧延によりに板厚0.35mmm の冷延板とした後、仕上焼鈍
条件を変化させることにより製品板の結晶粒径を種々に
変化させた。
【0026】
【表3】
【0027】かくして得られた製品板のLおよびC方向
から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各12枚合計24
枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定した。製
品板の平均結晶粒径と鉄損との関係を図4に示す。な
お、ここでの平均結晶粒径の定義も上述と同様である。
【0028】図4から、鋼種によって鉄損レベルは異な
るが、製品板の平均結晶粒径と鉄損との間に相関のある
ことがわかった。そこで、各鋼種毎に鉄損の低減される
平均結晶粒径の範囲を調査したところ、該範囲は鋼種に
よって微妙にずれているが、各鋼板における比抵抗をフ
ァクターとすることによって、鋼種に関わらず、鉄損の
低減が図られる平均結晶粒径の範囲を規定できることを
究明した。
【0029】すなわち、製品板の平均結晶粒径d(μ
m)を、各鋼板の比抵抗X(μΩ・m)に対して、 100
X+30≦d≦ 400X+50の範囲とすることによって、鉄
損をより低減することが可能になるのである。
【0030】以上の実験から、Zrの含有を抑制した上
で、まず製品板のI (100)/I (111)を1.20以上の範囲
に規制すること、さらには製品板の平均結晶粒径を比抵
抗との関係で規制すること、並びにSbを添加すること、
によって、鉄損の低減が有利に実現することが判明し
た。これらの規制によって、鉄損を低減する効果が得ら
れる理由については必ずしも明らかではないが、おおよ
そ以下のような理由によるものと考えられる。
【0031】従来、Zrは炭窒化物を生成して粒成長性を
阻害する元素として知られているが、Zrレベルの高い素
材は低Zrレベルの素材に比べて、冷間圧延前の粒径が同
一でもI (100)/I (111)が低くなっている。これはZr
が{111 }方位の粒の生成を促進し、{100 }方位の粒
を抑制することを示唆している。すなわち、Zrは{111
}の粒の核生成サイトとなり、磁性を劣化させる要因
となるのである。従って、Zrの含有を抑制することによ
って、低鉄損化が達成されるのである。
【0032】一方、Sbは粒界や析出物の周辺等に偏析す
る性質を持っており、Zrの炭窒化物の周りに偏析するこ
とで磁性に不利な{111 }の核生成を抑制するため、Zr
レベルが低いときには著しい相乗効果が得られる。しか
し、Zrレベルが高くなるに伴い、粒内の微細なZrの炭窒
化物が増加すると、もはや全てのZr析出物の周りにSbが
偏析することができず、Sbの効果が得られないのであ
る。
【0033】次に、I (100)/I (111)が1.20以上とな
ると磁気特性が改善される理由については、以下のこと
が考えられる。すなわち、{111 }方位粒が磁気特性を
阻害し、{100 }方位粒が磁気特性の向上に寄与するこ
とはよく知られている。従って、{111 }方位粒が{10
0 }方位粒に比べて所定の比率以上存在すると、{111
}方位粒の悪影響が顕著となり、{100 }方位粒の集
合組織改善効果が功を奏さなくなる。そして、I (100)
/I (111)≧1.20を満足する比率にて、{100 }および
{111 }方位粒が存在する場合は、{100 }方位粒の集
合組織改善効果が顕著となり、磁気特性が改善されるの
である。
【0034】ところが、製品板のI (100)/I (111)は
途中工程条件、特に冷延前粒径を制御することにより、
ある程度変化するが、Zrの含有を抑制した上で上記の条
件を制御することにより、はじめてI (100)/I (111)
≧1.20が達成されることが判明した結果、磁気特性を格
段に向上することが可能になった。
【0035】なお、集合組織については、鋼板の板厚方
向の集合組織を最も良く代表するという点から、表面か
ら板厚の1/4の深さ位置の集合組織を規定した。
【0036】さらに、製品板の平均結晶粒径dを 100X
+30≦d≦ 400X+50の範囲とすることによって、鉄損
がより低減されることについては、次の理由が考えられ
る。すなわち、渦電流損は粒径の拡大に伴い増加する反
面、履歴損は粒径の拡大に伴い減少することから、鉄損
の低減に最も寄与する最適な粒径が存在することにな
る。そして、鋼板の比抵抗が高まると、履歴損は一定で
あるが渦電流損は減少するため、相対的に全鉄損を占め
る渦電流損の割合が減少する結果、最適粒径は大きくな
る。この鋼板の比抵抗について最適粒径をまとめると、
上記した式の関係になるのである。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の各限定理由に
ついて説明する。まず、成分組成について述べる。 C:0.005 mass%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減
するのが望ましいため、その含有量は0.005 mass%以下
とする。従って、下限は特に規定する必要はないが、経
済上の理由からは下限を0.0001mass%にすることが望ま
しい。
【0038】 Si:1.0 〜4.0 mass%(ただし、Si+Al≧2.0 mass%) Siは、電気抵抗を高めて鉄損を改善するのに有用な添加
元素であり、フェライト生成元素(α-former )である
ことが知られている。この発明において最終冷間圧延前
の粒径を110 μm 以上にする必要があるから、高温でも
α単相であること、つまりγ変態しないことが好まし
い。このため、同じくα-former であるAlと併せて2ma
ss%以上の添加が必要である。ただし、Siの含有量が1.
0 mass%未満の場合は磁気特性が劣化するため、下限を
1.0 mass%とする。一方、Si含有量が4.0 mass%を超え
ると、硬度が上昇してユーザーでの打ち抜き性を劣化さ
せるため、上限は4.0 mass%とする。
【0039】Al:2.0 mass%以下 Alは、鋼の脱酸等に使用するほか、Siと同様に電気抵抗
を高めて、鉄損を向上させる上でも有用な成分である
が、含有量が2.0 mass%を超えるとSiの場合と同様に硬
度上昇による加工性の劣化を招くため、その含有量の上
限を2.0 mass%とする。なお、下限については上述した
ように、Siと併せて2mass%以上の添加が必要である。
【0040】Mn:0.1 〜1.5 mass% Mnは、スラブ加熱時の固溶S量を低減する効果が有り、
またSに起因した熱間脆性を抑制するために添加される
が、含有量が0.1 mass%未満ではその効果に乏しく、一
方1.5 mass%を超えると磁気特性の劣化を招くため、そ
の含有量は0.1〜1.5 mass%の範囲とする。
【0041】Cr:0.5 〜3.0 mass% Crは、SiやAlと同様に電気抵抗を高めて、鉄損を向上さ
せる上でも有用な成分であり、さらにSiやAlと異なり、
ほとんど硬度上昇をもたらすことがない特徴がある。こ
の電気抵抗の向上は0.5 mass%未満で効果が小さく、一
方3.0 mass%をこえると磁気特性の劣化を招くため、0.
5 〜3.0 mass%の範囲とする。
【0042】S:0.0020mass%以下 Sは、不純物成分として抑制する上で特に重要であり、
硫化物を形成して磁性を劣化させるため、その含有量を
0.0020mass%以下に抑制することが必要である。
【0043】N:0.0030mass%以下 Nは、粗大介在物の核となる窒化物を形成し、また微細
な介在物として鋼中にも存在するものであり、その含有
量が0.0030mass%を超えると鉄損の劣化を招くことにな
るから、0.0030mass%以下に制限する。
【0044】O:0.0020mass%以下 Oは、その含有量の低減が鉄損改善に直接結びつく元素
であり、特に0.0020mass%を超えるOを含んでいると鉄
損の劣化を招くため、その含有量は0.0020mass%以下と
する必要がある。
【0045】Zr:0.0015mass%以下 Zrは、主に炭化物および窒化物を形成し磁気特性を劣化
させる元素である。特に、この発明では、Sb添加と冷間
圧延前の粒径粗大化による効果を得るために、その上限
を0.0015mass%とする必要がある。このZrの混入を防止
するためには、製鋼工程において溶鋼やスラグと接触す
る耐火物レンガにZr系のレンガを用いないことが有利で
ある。
【0046】以上、基本成分について説明したが、この
発明ではさらに以下の成分を含有させることができる。
Pは、鉄損改善に有効であるが、0.15mass%を超えると
冷延性が著しく劣化するため、0.005 〜0.15mass%の範
囲で添加することが好ましい。その他の成分として、
B,Ni, Cu, Cr, Sn, Bi, Ca, GeおよびREM 等を必要に
応じて添加することができる。
【0047】一方、炭化物および窒化物を形成する元素
として、Ti, NbおよびVが挙げられ、磁気特性の劣化を
抑制するためには何れも含有量を0.005 mass%以下に抑
制することが望ましい。
【0048】次に、製造プロセスについて説明する。す
なわち、上記した成分組成に成る無方向性電磁鋼板用ス
ラブを、例えば通常の連続鋳造にて製造し、次いで熱間
圧延、そして必要に応じて熱延板焼鈍を行ってから、1
回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施す。冷間圧
延1回法の場合は、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を調
整するために、熱延板焼鈍を実施することができ、その
方法は従来から知られている連続ラインによる焼鈍でも
箱焼鈍でも、該粒径を110 μm 以上に調整できれば問題
ない。また、熱間圧延時に仕上温度や巻取り温度の高温
化やコイルの自己焼鈍等により粒径を110 μm 以上にす
ることが可能であれば、熱延板焼鈍は必ずしも必要でな
い。
【0049】一方、冷間圧延2回法の場合は、1回目の
冷間圧延の後の中間焼鈍により、最終冷間圧延前の結晶
粒径を調整する。この中間焼鈍についても、連続ライン
による焼鈍でも箱焼鈍でも、最終冷延前粒径を110 μm
以上に調整できれば問題ない。
【0050】冷間圧延圧下率については特に定めるもの
ではないが、1回法も2回法の場合も最終冷延圧下率を
40〜85%程度とすることが好ましい。
【0051】その後の最終焼鈍については、製品板の粒
径d(μm )を、鋼板の比抵抗X(μΩ・m)で定まる
100X+30≦d≦ 400X+50の範囲に制御できれば、連
続ラインによる焼鈍および箱焼鈍等の公知の焼鈍方法い
ずれもが適用可能である。
【0052】なお、ユーザで最終焼鈍を施す、いわゆる
セミプロ製品の場合は、ユーザでの最終焼鈍後の粒径が
上述の範囲であれば、この発明で所期した効果が得られ
る。一方、成品のまま使用することができる、いわゆる
フルプロ製品の場合も、ユーザで焼鈍して使用すること
は打ち抜き等の加工歪を除去できるため、鉄損特性に有
利に作用する。
【0053】その他の製鋼、熱間圧延、冷間圧延および
最終仕上焼鈍プロセスについては、公知の無方向性電磁
鋼板の製造方法が適用できる。ちなみに、特開平8−9
7023号公報には、この発明と同じくSbを添加した鋼
に熱延板焼鈍を施した上で、鉄損の改善を図る技術が開
示されているが、この発明で見出した、冷間圧延前粒径
やZr含有量に関する規制が鉄損特性向上に大きな影響を
及ぼすことについては全く記載されていない。すなわ
ち、該公報に開示の技術は、最終仕上げ焼鈍時の酸化抑
制により低鉄損を実現するものであり、この発明のよう
に集合組織制御により低鉄損を実現するものとは全く思
想を異にする。
【0054】一方、特開平8−134606号公報に
は、I (100)/I (111)を評価指標とすることが記載さ
れているが、ユーザーで実施される歪み取り焼鈍後の磁
束密度を向上させることを目的としており、この発明と
は全く目的が異なる。しかも、該公報に記載されたI
(100)/I (111)は、この発明と異なる範囲であり、当
然のことながら、この発明で認められたような、格段の
鉄損改善効果は得られていない。
【0055】
【実施例】転炉吹錬により、表4に示す成分組成に調整
した溶鋼を、それぞれ連続鋳造により厚さ220 mmのスラ
ブとした。これらのスラブは熱間圧延により、すべて1.
8mmの熱延板としたのち、コイルに巻き取った。次い
で、熱延板に必要に応じて熱延板焼鈍を施し、1回の冷
間圧延により最終仕上げ厚さ0.35mmとしたのち、最終仕
上焼鈍を施した。かくして得られた鋼板よりLおよびC
方向から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各12枚合
計24枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定し
た。
【0056】各焼鈍条件、冷間圧延前の平均結晶粒径、
製品板の平均結晶粒径、製品板のX線反射面強度および
鉄損の測定結果を、表5にまとめて示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【発明の効果】この発明によって、無方向性電磁鋼板の
低鉄損化をより一層促進する方途が与えられるから、い
わゆる低級品は勿論高級品についても、その鉄損レベル
を格段に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最終冷間圧延前の粒径と鉄損との関係を示す
図である。
【図2】 I (100)/I (111)と鉄損との関係を示す図
である。
【図3】 Zr含有量と鉄損との関係を示す図である。
【図4】 製品板の粒径と鉄損との関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森 ゆか 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 河野 正樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K033 AA01 CA03 CA07 CA09 DA01 RA03 5E041 AA02 AA19 CA02 CA04 HB05 HB07 HB11 NN01 NN06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005 mass%以下、Si:1.0 〜4.0
    mass%、Al:2.0 mass%以下(ただし、Si+Al≧2.0 ma
    ss%)、Mn:0.1 〜1.5 mass%、Cr:0.5 〜3.0mass
    %、S:0.0020mass%以下、N:0.0030mass%以下、
    O:0.0020mass%以下およびZr:0.0015mass%以下を含
    有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有する無
    方向性電磁鋼板であって、該鋼板の表面から板厚の1/
    4の深さの面における{100 }および{111 }各方位の
    X線反射面強度のランダム集合組織に対する比I(100)
    およびI(111) が I(100) /I(111)≧1.20 の関係を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性
    電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鋼板の平均結晶粒径
    d(μm )が鋼板の比抵抗X(μΩ・m)に関して 100X+30≦d≦ 400X+50 を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼
    板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、さらにSb:
    0. 005〜0.100 mass%を含有する成分組成を有すること
    を特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 Si:1.0 〜4.0 mass%、Al:2.0 mass%
    以下(ただし、Si+Al≧2.0 mass%)、Mn:0.1 〜1.5
    mass%およびCr:0.5 〜3.0 mass%を含み、C:0.005
    mass%以下、S:0.0020mass%以下、N:0.0030mass%
    以下、O:0.0020mass%以下およびZr:0.0015mass%以
    下に抑制した成分組成を有する無方向性電磁鋼板用スラ
    ブに、熱間圧延および冷間圧延、そして熱処理を施して
    無方向性電磁鋼板を製造するに当り、 最終冷間圧延前の平均結晶粒径を110 μm 以上に調整す
    ることを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、無方向性電磁鋼板用
    スラブが、さらにSb:0.005〜0.100wt %を含有する成
    分組成を有することを特徴とする鉄損の低い無方向性電
    磁鋼板の製造方法。
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