JP2001200336A - 材質変動の小さい冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

材質変動の小さい冷延鋼板およびその製造方法

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JP2001200336A JP2000007937A JP2000007937A JP2001200336A JP 2001200336 A JP2001200336 A JP 2001200336A JP 2000007937 A JP2000007937 A JP 2000007937A JP 2000007937 A JP2000007937 A JP 2000007937A JP 2001200336 A JP2001200336 A JP 2001200336A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材質変動の小さい冷延鋼板およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.0025%以下、Si:0.05
%以下、Mn:0.05%〜0.35%、P:0.008%以下、S:0.0
15%以下、sol.Al:0.005%〜0.06%、N:0.0010%〜0.
0040%以下、Nb:0.01%〜0.04%、Ti:0.015%〜0.045
%、B:0.0005%以下を含有し、且つ、3C+P≦0.0125、4
P≦Ti、(14Ti)/(48N):1.7〜7.3を満足する冷延鋼板。
前記鋼板は、熱間圧延、冷間圧延、連続焼鈍を経て製造
され、熱間圧延時の仕上げ温度は870℃超え、仕上げ圧
延から巻取るまでの中間温度は720℃以下および巻取温
度は560℃〜700℃、また連続焼鈍時の焼鈍温度は780℃
〜880℃とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用鋼板等に
用いられる鋼板およびその製造方法に関し、特に高い成
形性を有するとともに、材質変動の小さい冷延鋼板およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車ボディ用鋼板に対しては、
部品の一体成形化による部品点数の削減、およびプレス
工程の省力化の両者を満足させる極めて高いプレス成形
性が要求されるようになってきている。このような高い
プレス成形性が要求され成形条件が過酷な場合には、プ
レス成形の歩留まりに対して、材料特性の変動がより大
きく影響し、コイル内およびコイル間での材質のバラツ
キを小さくすることが重要な特性となってくる。特に、
フロントフェンダやサイドパネルの様に複雑な形状を一
体成形する場合、シワや割れの感受性が高まるととも
に、寸法精度のバラツキが大きくなるため、材質の変動
を小さくすることが急務となっている。
【0003】このような問題に対し、特開昭59-197526
号公報、特開平8-3686号公報、特開平8-232045号公報に
は、材質均一性を高める技術が開示されている。
【0004】特開昭59-197526号公報では、極低炭素鋼
にTi、Nbを複合添加し、且つ、Ti量およびNb量は、C、N
添加量に応じて規制し、TiはTiNを形成させNを固定し、
Cは(Ti、Nb)C複合析出物を熱間圧延の仕上時に形成させ
て、疎に析出させ材質の安定を図っている。
【0005】特開平8-3686号公報、特開平8-232045号公
報では、極低炭素鋼にTiあるいはTi、Nbを複合添加し、
且つ、Mn≦0.15、S≧0.004として添加S量に対し、MnSの
析出量を規制して、コイル内の材質安定化を図ってい
る。
【0006】また、特開平8-3686号公報においては、Ti
4C2S2を、特開平8-232045号公報においてはTi、Nb含有
炭硫化物をそれぞれ析出させ、コイル内の材質安定化を
図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
59-197526号公報に記載の技術は、Pを0.15%以下で添加
しており、P量が0.01%以上含まれた場合、NKK技報、No
145、(1995)、P.19に示される様に(Fe、Ti)P化合物を熱
間圧延時に形成するため、(Ti、Nb)C複合化合物の形成
が抑制される場合があり、P添加量の変動により析出物
の形態が変化するため、安定した材質が得られない。ま
た、成分範囲(C:0.007%以下、Si:0.8%以下、Mn:1.0%以
下、P:0.15%以下、N:0.008%以下)が広く、鋳造チャージ
間での成分変動により材質が変化し、安定した材質が得
られない。また、コイル長手方向の材質についても記述
がない。
【0008】また、特開平8-3686号公報、特開平8-2320
45号公報に記載の技術も特開昭59-197526号公報と同様
に、(Fe、Ti)P化合物の成形の影響を考慮しておらず、
また、鋳造チャージ間での変動に対しては、全く記述さ
れていない。
【0009】本発明は、以上の問題に鑑みなされたもの
で、プレス工程省略において要求される高い成形性を備
えた、材質変動の小さい冷延鋼板およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、極低炭素
鋼板のプレス成形性とコイル内およびコイル間での材質
変動を支配する諸因子について詳細に検討を行った。そ
の結果を以下に説明する。
【0011】コイル内の材質変動については、 ・ランナウトテーブル上での熱履歴の違いにより炭窒化
物の析出状態が異なって、コイルT、B部で材質が変動し
ていた。 ・炭窒化物等の析出物をランナウトテーブル前の熱間圧
延:仕上熱延中に生成させること、そしてランナウトテ
ーブル上での冷却すなわち仕上げ圧延から巻取るまでの
中間温度を制御することで、コイル内の材質変動は大幅
に向上することを見出した。また、コイル間での材質変
動については、 ・材質変動の大部分はチャージごとの成分変動によるも
のであること ・チャージごとの成分変動は、特に影響の大きなC、N、
P、Ti量を適正に制御することで成形性を高めつつ、材
質変動が小さくなることを見出した。
【0012】本発明は、これらの知見に基づいてなされ
たもので、上記の課題は次の発明により解決される。 [1] 重量%で、C:0.0025%以下、Si:0.05%以下、M
n:0.05%〜0.35%、P:0.008%以下、S:0.015%以
下、sol.Al:0.005%〜0.06%、N:0.0010%〜0.0040%
以下、Nb:0.01%〜0.04%、Ti:0.015%〜0.045%、
B:0.0005%以下を含有し、且つ、3C+P≦0.0125、4P≦T
i、(14Ti)/(48N):1.7〜7.3を満足することを特徴とす
る材質変動の小さい冷延鋼板。
【0013】[2] 上記記載の鋼に熱間圧延、冷間圧延、
連続焼鈍を施し冷延鋼板を製造するに際し、熱間圧延時
の仕上げ温度(FT)を870℃超え、仕上げ圧延から巻取
るまでの中間温度を720℃以下および巻取温度(CT)を5
60℃〜700℃、また連続焼鈍時の焼鈍温度を780℃〜880
℃とすることを特徴とする材質変動の小さい冷延鋼板の
製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細をその限定理
由とともに説明する。まず成分の限定理由を説明する。
Cは本発明において、重要な要件である。優れた成形
性、完全非時効性を得るために、CはNbCあるいはTiCと
して析出させければならない。しかし、NbCは析出形態
により強度に影響を及ぼし材質変動の要因であることか
ら、少ない方が好ましく、その構成元素であるCは0.002
5%以下とする。また、コイル間(鋳造チャージ間)の
変動を含めて、極めて高い材質均一性を得るに、好まし
い範囲としてCは0.0020%以下とする。
【0015】Siは冷延鋼板の場合、過剰に添加されると
化成処理性が劣化し、溶融亜鉛めっきの場合はめっき密
着性が劣化する。以上より、Siは0.05%以下とする。
【0016】Mnは鋼中のSをMnSとして析出させ、スラブ
の熱間割れを防止する。本発明においては、TiによりS
が固定されるため、通常よりもMnは低くても問題ない。
しかしMnが0.05%未満では溶銑予備処理コストが上昇す
るため、下限は0.05%とする。一方、Mnが0.35%を超え
ると固溶強化によりコイル間(鋳造チャージ間)のバラ
ツキが大きくなるため、上限は0.35%とする。
【0017】Pは本発明において、重要な要件である。P
は、焼鈍時に(Fe、Ti)P系化合物を形成し、TiCを形成す
るためのTi量を低減させ、材質の均一性を劣化させる。
また、PはMn同様に固溶強化元素であり、含有量が増え
るとコイル間(鋳造チャージ間)のバラツキが大きくな
る。以上より、Pは0.008%以下とする。さらに極めて高
い材質均一性を得るために、Pは好ましくは0.006%以下
とする。
【0018】Sは不可避不純物として鋼中に存在する。
含有量が増えると延性が劣化するとともに、TiSを形成
し、TiCを形成するための有効Ti量が減少する。以上の
理由により、Sは0.015%以下とする。
【0019】sol.Alは、NをAlNとして固定する元素であ
るが、本発明ではTi添加によりTiNとしてNを固定するた
め、通常よりAl添加量を低減することができる。また、
本発明では、Al脱酸することでTiの酸化を抑制し、有効
Ti量を確保するとともに、表面欠陥の発生を抑制する。
以上より、sol.Alは0.005%〜0.06%、好ましくは0.01
%〜0.06%とする。
【0020】Nは本発明において、重要な要件である。
優れた成形性、完全非時効性を得るために、NはTiNとし
て析出させなければならない。しかし、TiNの析出の大
半をγ→α変態後に行うと、ランナウトテーブル上の冷
却の変動により、大きく材質が変動してしまう。そのた
め、熱間圧延仕上圧延中に十分に析出させるには、Nは
0.0010%以上が必要となる。なお、極めて高い材質均一
性を得るために、好ましくは0.0016%以上とする。ま
た、Nが高すぎると、延性低下など材質劣化を招くため
0.0040%以下とし、高い材質を得るには、好ましくは0.
0035%以下とする。以上より、Nは0.0010%〜0.0040
%、好ましくは0.0016%〜0.0035%とする。
【0021】Nbは固溶Cを固定し、成形性を向上させる
ため重要な元素である。しかし、Nbが0.010%未満で
は、十分にCを固定することができず、特性が得られな
い。一方、Nbが0.04%を超えると固溶Nbが増大し、ラン
ナウトテーブル上での冷却の変動により、析出形態が大
きく変化し、材質の変動を招くと同時に、延性も低下す
るためNbは0.01〜0.04%とする。さらに、安定して高い
材質を得るために、好ましくは0.016〜0.03%とする。
【0022】Tiは本発明において、重要な要件である。
Tiは、固溶NをTiNとし、固溶CをTiCとして固定し、成形
性を向上させるため重要な元素である。しかし、Tiが0.
015%未満では、熱間圧延における仕上圧延中に析出す
る事ができず、材質の変動が大きくなる。一方、Tiが0.
045%を超えるとTiCの析出が顕著となり、ランナウトテ
ーブル上での冷却の影響を受けやすくなり、コイル内で
の材質変動が大きくなる。以上よりTiは0.015%〜0.045
%とする。さらに、極めて高い材質安定性を得るため
に、好ましくは0.020%〜0.040%とする。
【0023】Bは、材質安定および耐二次加工脆性の向
上のため、添加する。ただし、多量の添加は延性の低下
を招くため、上限を0.0005%とする。
【0024】3C+Pは、本発明においてコイル間(鋳造チ
ャージ間)の材質変動を小さくするための重要な要件で
ある。Cは、NbとNbCを、TiとTiCをそれぞれ形成し、C量
の変動により析出量が変化するため、材質のバラツキの
原因となる。また、Pは固溶強化元素として強度を上昇
させるため、同様に添加量のバラツキが材質の変動を大
きくする。そのため、コイル間(鋳造チャージ間)での
変動が大きくなる。そこで、CとPの添加量を適切に制御
することで、バラツキを低減することができる。
【0025】コイル間の材質変動に及ぼすCとP量の影響
を調査するため、Si:0.01%、Mn:0.20%、S:0.008
%、sol.Al:0.03%、N:0.0020%、Nb:0.020%、Ti:
0.030%とし、Cを0.0005%〜0.0040%の範囲で、Pを0.0
02%〜0.020%の範囲で変化させた鋼に、スラブ加熱温
度:1200℃、FT:890〜910℃、仕上げ圧延から巻取るま
での間の中間部(1/3〜2/3位置)における平均温度(中間
温度):680〜710℃、CT:630〜650℃、冷圧率:75%、
焼鈍温度:830〜850℃、調質圧延:0.7%の条件で熱間
圧延、冷間圧延、調質圧延および連続焼鈍を施した。図
1に連続焼鈍後のコイル間の材質変動に及ぼすCとP量の
影響を調べた結果を示す。ここで、コイル間の材質変動
は、各コイルのミドル部(M部)から引張試験片を採取
し、目標TS:300MPaに対するTSの変化量(△TS(MPa))
を指標として評価した。
【0026】図1より、CおよびPともに低いほど材質変
動が小さくなり、Pの方が材質変動に対してより影響が
大きい事がわかる。また、図中に示す3C+P≦0.0125の領
域でバラツキが小さくなり、さらに、3C+P≦0.0110の領
域できわめて高い安定性が得られることがわかる。以上
より、3C+Pは0.0125以下、好ましくは0.0110以下とす
る。
【0027】4P≦Tiは、本発明においてコイル内の材質
変動を小さくするための重要な要件である。Pは、熱延
板段階で(Fe、Ti)P化合物を形成し、焼鈍時の再結晶温
度を上昇させるとともに、TiCを形成するためのTi量を
低減させる。そのため、Pを多く含む場合、P添加量の変
動により焼鈍温度に対する材質の感受性が強くなり、コ
イル内の材質のバラツキが大きくなる。そこで、材質を
安定させるためにはTi量に対して十分にPを低減するこ
とが重要となる。
【0028】コイル内の材質変動に及ぼすCとP量の影響
を調査するため、C:0.0015%、Si:0.01%、Mn:0.20
%、S:0.008%、sol.Al:0.03%、N:0.0020%、Nb:
0.020%とし、Pを0.002%〜0.020%の範囲で、Tiを0.00
5%〜0.050%の範囲で変化させた鋼に、スラブ加熱温
度:1200℃、FT:890〜910℃、仕上げ圧延から巻取るま
での中間温度:680〜710℃、CT:630〜650℃、冷圧率:
75%、焼鈍温度: 830(T部)→850℃(B部)、調質圧延:
0.7%の条件で熱間圧延、冷間圧延、調質圧延および連
続焼鈍を施した。図2に連続焼鈍後にコイル内の材質変
動に及ぼすCとP量の影響を調べた結果を示す。ここで、
コイル内の材質変動はコイルトップ部(T部:3m)、ミ
ドル部(M部)およびボトム部(B部:3m)から引張試
験片を採取し、M部との差をΔTS(=TS(T部、B部)−
TS(M部))を測定して、最大値をコイル内の材質変動
の指標とした。
【0029】図2より、PはTi量に対し、低いほど材質変
動は小さくなり、図中に示す4P≦Tiの領域でバラツキが
小さくなることがわかる。さらに、5P≦Tiの領域できわ
めてバラツキが小さくなることがわかる。以上より、4P
≦Ti、好ましくは、 5P≦Tiとする。
【0030】(14Ti)/(48N)は材質を安定化させる重要な
成分比であり、本発明の重要な要件である。(14Ti)/(48
N)が小さい場合、TiNが極めて微細に析出し、強度が上
昇し材質が劣化する。よって良好な材質を得るには(14T
i)/(48N)は1.7以上必要となる。一方、(14Ti)/(48N)が
大きい場合、Ti量増大と同様にTiCの析出が顕著とな
り、ランナウトテーブル上での冷却の影響を受けやすく
なり、コイル内での材質変動が大きくなる。よって安定
な材質を得るには(14Ti)/(48N)は7.3以下とする。以上
より、(14Ti)/(48N)は1.7〜7.3、さらに、極めて高い材
質を得るには、2.1〜6.4とする。
【0031】なお、さらに他の元素として、C固定の目
的でV、Zrを0.04%以下の範囲で、一種または二種添加
してもよい。次に本発明の材質変動の小さい冷延鋼板の
製造方法について説明する。
【0032】本発明鋼板は熱間圧延、酸洗、冷間圧延、
焼鈍などの一連の工程を経て製造され、必要に応じてめ
っき処理がなされる。
【0033】まず、連続鋳造等によりスラブとした後、
熱間圧延を行う。熱延圧延はスラブ加熱後圧延する方
法、連続鋳造後短時間の加熱を施してあるいは該加熱工
程を省略して直ちに圧延する方法のいずれでもよいが、
優れた表面性状を付与するためには、一時スケールのみ
ならず熱間圧延時に生成する二次スケールについても十
分に除去するのが好ましい。なお、熱間圧延中において
は、バーヒータにより加熱を行ってもよい。また、仕上
げ温度(FT)は材質確保のため、870℃超えとする。
【0034】仕上げ圧延から巻取るまでの中間温度は、
析出物を一定に制御し、材質変動を小さくするために、
本発明において重要な要件である。仕上熱延後から巻取
りまでの冷却段階で、適切にNbCの析出を制御しない場
合、析出物のサイズ分布が不均一となり、コイル内での
安定した材質を得ることができない。すなわち、巻取る
までの冷却段階での析出を抑制し、巻取り後に均一に析
出および粗大化させることが重要である。
【0035】仕上げ圧延から巻取るまでの中間温度とコ
イル内の材質変動を調査するため、C:0.0021、Si:0.0
1、Mn:0.20、P:0.006、S:0.008、sol.Al:0.03、N:0.002
5、Nb:0.022、Ti:0.028とした鋼について、スラブ加熱
温度:1200℃、仕上げ温度(FT):890〜910℃とし、仕
上げ圧延から巻き取るまでの中間温度を種々変化させ熱
間圧延を行った。図3に仕上げ圧延から巻き取るまでの
中間温度とコイル内の材質変動(TS)の関係を示す。
ここで、コイル内の材質変動はコイルトップ部(T部:3
m)、ミドル部(M部)およびボトム部(B部:3m)か
ら引張試験片を採取し、目標TS:300MPaに対して最も変
動の大きいTSを測定してコイル内の材質変動の指標とし
た。
【0036】図3より、中間温度が720℃以下で材質変動
が小さくなり、安定した材質が得られることがわかる。
以上より、中間温度は720℃以下とする。
【0037】熱間圧延時の巻取りでは析出物を粗大化さ
せ、延性を向上させる。しかし、巻取温度が560℃未満
では析出物が十分に粗大化しないため、焼鈍温度の依存
性が強くなり材質変動が生じる。一方、700℃を超える
場合、結晶粒が粗大となり安定して高いr値が得られな
い。このため、巻取温度は560℃〜700℃とする。
【0038】次いで、上記により得られた熱間圧延板を
酸洗により脱スケールし、その後、冷間圧延を行う。冷
間圧延率は50%〜85%が好ましい。
【0039】次いで、焼鈍を行う。連続焼鈍における焼
鈍温度は材質変動に影響を及ぼす。焼鈍温度が780℃未
満の場合、硬質化し、一方、880℃を超えの場合、異常
粒成長を生じて材質劣化を招く恐れがある。このため、
変動が小さく安定した材質を得るには焼鈍温度は780℃
〜880℃の範囲とする。
【0040】焼鈍後の冷延鋼板は電気めっきまたは溶融
めっきによって亜鉛系めっきを施すことができる。本発
明鋼板は冷延鋼板表面に電気めっきまたは溶融めっきに
よって亜鉛系めっきを施して亜鉛系めっき鋼板として使
用することもでき、この場合にもパネル加工後に所望の
表面品質と成形性を得ることができる。亜鉛系めっきと
しては、純亜鉛めっき、合金化めっき(亜鉛めっき後に
合金化加熱処理して得られた亜鉛めっき)、亜鉛ーNi合
金めっきなどがあげられる。
【0041】また、めっきを施した後に有機皮膜処理を
施してもよい。以上より、本発明の材質変動の小さい冷
延鋼板が得られる。
【0042】
【実施例】[実施例1]表1に示す成分と残部がFeおよび不
可避不純物からなるNo.1〜15の鋼を溶製後、連続鋳造に
よりスラブとし、1200℃に加熱後、FT880℃〜910℃、中
間温度680〜710℃、CT630〜650℃で熱間圧延を行い、板
厚3.2mmの熱延板とした後、板厚0.80mmまで冷間圧延を
行った。次いで、連続焼鈍(焼鈍温度:830(T部)→850℃
(B部))、溶融亜鉛めっきを施した。連続焼鈍、溶融亜鉛
めっきでは、焼鈍後460℃で溶融亜鉛めっき処理を行
い、直ちにインライン合金化処理炉で500℃でめっき層
の合金化処理を行った。連続焼鈍、溶融亜鉛めっき後、
圧下率0.7%の調質圧延を行った。表2にこれらの鋼板の
機械的特性を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】なお、ここで、機械特性値はJIS5号引張試
験で得られる値からなり、YP,TS,EL,r値は、下
記式による平均値である。 面内平均X=([X0]+2[X45]+[X90])/4 但し、X:YP,TS,EL,r値 [X0]:鋼板圧延方向でのX [X45] :鋼板圧延方向に対し45°方向でのX [X90] :鋼板圧延方向に対し90°方向でのX
【0046】表2より、成分、かつ関係式3C+P≦0.012
5、4P≦Ti、(14Ti)/(48N):1.7〜7.3を満足する本発明
例において、鋼板1〜5のTSの材質変動が10MPa以内とな
り、また、コイル内でもTSの変動が5MPa以内であり、優
れた材質安定性が得られることがわかる。特に3C+P≦0.
0110、4P≦Ti、(14Ti)/(48N):2.1〜6.4を満足する本発
明鋼の場合、極めて優れた材質安定性が得られることが
わかる。また、El:50%以上、r値:1.9以上であり、T,
M,Bのいずれも安定して高く、成形性にも優れているこ
とがわかる。
【0047】一方、比較例では目標TS:300MPaに対して
TSの変動が20MPa以上であり、コイル間での材質変動が
大きいとともに、コイル内のT、B部において強度が高く
なり、材質変動が大きくなる。特に、3C+Pが本発明範囲
外となった場合、強度が高くなり、関係式の4P≦Tiを満
足しない場合、コイル内での材質変動が大きくなる。
【0048】[実施例2]表1に示すNo.1、2の鋼を溶製
後、連続鋳造によりスラブとし、1200℃に加熱後、FT88
0℃〜910℃、中間温度660〜760℃、CT500℃〜650℃で熱
間圧延を行い、板厚3.2mmの熱延板とした後、板厚0.8mm
まで冷間圧延を行った。その後、焼鈍温度:750℃〜900
℃において連続焼鈍あるいは連続焼鈍後、溶融亜鉛めっ
きを施した。連続焼鈍、溶融亜鉛めっきでは、焼鈍後46
0℃で溶融亜鉛めっき処理を行い、直ちにインライン合
金化処理炉で500℃でめっき層の合金化処理を行った。
焼鈍、亜鉛めっき後、圧下率0.7%の調質圧延を行っ
た。表3にこれらの鋼板の機械的特性を示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3より、製造条件が本発明範囲内である
本発明例において、優れた材質安定性が得られることが
わかる。
【0051】一方、製造条件が本発明範囲外の比較例で
は、材質変動が大きく、特に、中間温度が高い場合、コ
イル内T、M、B部間での材質変動が大きいことがわか
る。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、材質変
動の小さい冷延鋼板を得ることができる。本発明鋼板
は、鋳造チャージ内およびコイル内での材質変動を低減
させるとともに、高い成形性を有するため、プレス成形
用に使用される材料として最適であり、さらに自動車パ
ネル等の成形条件が過酷でプレス成形工程において高い
歩留まりが要求される場合においても使用することがで
き、産業上、極めて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍後のコイル間の材質変動に及ぼすCとP
量の関係を示す図。
【図2】連続焼鈍後にコイル内の材質変動に及ぼすCとP
量の関係を示す図。
【図3】仕上げ圧延から巻き取るまでの中間温度とコイ
ル内の材質変動(TS)の関係を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 浩平 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 宮本 明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中村 清治 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 三塚 賢一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中島 勝巳 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA15 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EB01 EB02 FC04 FC05 FE02 FE03 FH01 FJ05 FJ06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.0025%以下、Si:0.05%
    以下、Mn:0.05%〜0.35%、P:0.008%以下、S:0.015
    %以下、sol.Al:0.005%〜0.06%、N:0.0010%〜0.00
    40%以下、Nb:0.01%〜0.04%、Ti:0.015%〜0.045
    %、B:0.0005%以下を含有し、且つ、3C+P≦0.0125、4
    P≦Ti、(14Ti)/(48N):1.7〜7.3を満足することを特徴
    とする材質変動の小さい冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼に熱間圧延、冷間圧延、
    連続焼鈍を施し冷延鋼板を製造するに際し、熱間圧延時
    の仕上げ温度を870℃超え、仕上げ圧延から巻取るまで
    の中間温度を720℃以下および巻取温度を560℃〜700
    ℃、また連続焼鈍時の焼鈍温度を780℃〜880℃とするこ
    とを特徴とする材質変動の小さい冷延鋼板の製造方法。
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