JP2001198930A - フッ素樹脂被膜形成方法、定着体製造方法、および帯電体製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂被膜形成方法、定着体製造方法、および帯電体製造方法

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JP2001198930A
JP2001198930A JP2000013886A JP2000013886A JP2001198930A JP 2001198930 A JP2001198930 A JP 2001198930A JP 2000013886 A JP2000013886 A JP 2000013886A JP 2000013886 A JP2000013886 A JP 2000013886A JP 2001198930 A JP2001198930 A JP 2001198930A
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JP2000013886A
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Masataka Kuribayashi
将隆 栗林
Shigeo Ota
茂雄 太田
Yuichi Yashiki
雄一 矢敷
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚のむらの発生が抑制されたフッ素樹脂
被膜を被塗布体上に形成するフッ素樹脂被膜形成方法を
提供する。 【解決手段】 柱状あるいは筒状の基材18をその基材
の軸方向が鉛直方向となる配置でフッ素樹脂が分散され
た溶液11中へ浸漬させる浸漬塗布を行い、その浸漬塗
布によって基材の表面に塗布された溶液を焼成すること
により基材表面にフッ素樹脂被膜を形成する方法であっ
て、基材を前記溶液中に浸漬させる浸漬工程と、その浸
漬工程で浸漬した基材を上端部と、下端部と、それら上
端部および下端部を除く中央部とに分けたときに、上端
部、中央部、および下端部の順に順次速度を下げながら
引き上げる引上工程とにより浸漬塗布を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗布体にフッ素
樹脂被膜を形成するフッ素樹脂被膜形成方法、複写機や
プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置に用いられ
る定着器の定着体を製造する定着体製造方法、およびそ
の画像形成装置に用いられる帯電器の帯電体を製造する
帯電体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ
などの電子写真方式を用いた画像形成装置が使用されて
おり、この画像形成装置は、無機または有機材料からな
る光導電性の感光体、感光体を帯電させる帯電部、感光
体にレーザを照射する露光部、感光体にトナーを供給し
て感光体上にトナー像を現出させる現像部、感光体上の
トナー像を記録紙などの記録媒体に転写する転写部、記
録媒体上に転写されたトナー像をその記録媒体に定着さ
せる定着部などによって構成されている。この画像形成
装置では、まず、感光体の表面が上記帯電部によって一
様に帯電され、上記露光部によってその帯電された感光
体上に画像信号を変調したレーザ光が照射されその感光
体表面が部分的に除電されることで感光体上に静電潜像
が形成される。静電潜像が形成された感光体上に、感光
体が帯電された極性と同じ極性に帯電したトナーが供給
されることによりその静電潜像は現像され、感光体上に
トナー像が形成される。このトナー像は、上記転写部に
より、直接、あるいは複数のロールに支えられながら循
環的に移動する中間転写体を介して記録媒体に静電的に
転写される。その記録媒体上に転写されたトナー像は、
定着部によりその記録媒体に定着されて、画像形成が完
了する。
【0003】この画像形成装置の構成要素の1つである
定着部は、一般に、循環しながらトナー像を記録媒体上
に押圧する、金属、各種プラスチック、ゴムなどからな
る定着体を有する。この定着体には、しばしば肉厚が薄
いプラスチック製のフィルムからなる変形自在なベルト
が用いられる。このようなベルトが定着体として用いら
れると、定着体と記録媒体との間のニップ幅が容易に確
保されるため、定着部全体が、ひいては画像形成装置が
小型化および高性能化される。この場合、ベルトに継ぎ
目(シーム)があると、記録媒体上に定着された画像に
その継ぎ目に起因する欠陥が生じるので、一般に継ぎ目
なしベルトが用いられる。
【0004】この定着体には記録媒体上のトナーが接触
し付着する可能性がある。この定着体からのトナーの剥
離性は、例えば、特開平7−178741号公報、特開
平6−143512号公報に記載されているように、定
着体の表面にフッ素樹脂被膜が設けられることによって
向上することが知られている。
【0005】このフッ素樹脂は溶剤に溶けないので、フ
ッ素樹脂被膜の形成用の塗料としては、フッ素樹脂を微
粒子化して水に分散した塗料(フッ素樹脂分散液)が用
いられる。この塗料が所定の基体に塗布され、乾燥さ
れ、さらに焼成されることにより定着体の表面のフッ素
樹脂被膜が形成される。
【0006】上記継ぎ目なしベルトの表面にフッ素樹脂
分散液を塗布するには、スプレー塗布法やフロー塗布法
などの方法が知られているが、生産性の観点から浸漬塗
布法が最も好ましい。この浸漬塗布法は、所定の基体を
長手方向が鉛直方向に向くように塗料に浸漬し、通常、
所定の速度で引き上げることにより、基体の表面に被膜
を形成する方法であり、生産性の他に、形成した被膜の
表面平滑性が良好で、膜厚の制御が容易である等の利点
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記フッ素
樹脂分散液が水に分散した水分散系の溶液であって、溶
媒である水の乾燥が遅いため、従来の浸漬塗布法では、
塗布中および被膜乾燥中に塗布された溶液が下方にたれ
て、最終的に形成されるフッ素樹脂被膜には上下方向
(継ぎ目なしベルトの軸方向)に膜厚のむらが発生しや
すいという問題がある。特に、全長が300mm以上の
場合、このようなむらによる膜厚の不均一は顕著とな
る。
【0008】また、この画像形成装置の構成要素の1つ
である帯電部には、例えばベルト状の、循環しながら感
光体に接触してその感光体を帯電させる帯電体を有する
ものがある。この帯電体にも、感光体上のトナーが接触
し付着する可能性があり、トナーが付着しにくいように
表面に離型性に優れたフッ素樹脂被膜が設けられた帯電
体が知られている。そして、この帯電体のフッ素樹脂被
膜の形成に際しても、上記定着体のフッ素樹脂被膜の形
成の場合と同様に、浸漬塗布法によって形成されたフッ
素樹脂被膜に膜厚のむらが発生しやすいという問題があ
る。
【0009】本発明は、以上の事情に鑑み、膜厚のむら
の発生が抑制されたフッ素樹脂被膜を被塗布体上に形成
するフッ素樹脂被膜形成方法、表面にそのようなフッ素
樹脂被膜を有する定着体を製造する定着体製造方法、お
よび表面にそのようなフッ素樹脂被膜を有する帯電体を
製造する帯電体製造方法を提供することを目標とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のフッ素樹脂被膜形成方法は、柱状あるいは筒状の被
塗布体をその被塗布体の軸方向が鉛直方向となる配置で
フッ素樹脂が分散された溶液中へ浸漬させる浸漬塗布を
行い、その浸漬塗布によってその被塗布体の表面に塗布
された溶液を焼成することによりその被塗布体の表面に
フッ素樹脂被膜を形成するフッ素樹脂形成方法であっ
て、上記被塗布体を上記溶液中に浸漬させる浸漬工程
と、上記浸漬工程で浸漬した被塗布体を上端部と、下端
部と、それら上端部および下端部を除く中央部とに分け
たときに、上端部、中央部、および下端部の順に順次速
度を下げながら引き上げる引上工程とにより浸漬塗布を
行うことを特徴とする。
【0011】上記本発明のフッ素樹脂被膜形成方法は、
上記引上工程が、上記上端部を上記中央部の引上の速さ
の2.0倍以上かつ3.5倍以下の速さで5mm以上か
つ20mm以下引き上げるものであることが好ましい。
【0012】また、上記本発明のフッ素樹脂被膜形成方
法は、上記引上工程が、上記下端部を上記中央部の引上
の速さの0.7倍以上かつ0.9倍以下の速さで30m
m以上かつ70mm以下引き上げるものであることが好
ましい。
【0013】また、上記本発明のフッ素樹脂被膜形成方
法は、上記被塗布体の延びる方向の長さが300mm以
上であるその被塗布体の表面にフッ素樹脂被膜を形成す
ることが好ましい。
【0014】上記目的を達成する本発明の定着体製造方
法は、柱状あるいは筒状の基体表面にフッ素樹脂被膜が
形成されてなる、所定の記録媒体上のトナー像を押圧し
てそのトナー像をその記録媒体に定着させる定着体を製
造する定着体製造方法であって、上記基体をその基体の
軸方向が鉛直方向となる配置でフッ素樹脂が分散された
溶液中へ浸漬させる浸漬工程と、上記浸漬工程で浸漬し
た基体を上端部と、下端部と、それら上端部および下端
部を除く中央部とに分けたときに、上端部、中央部、お
よび下端部の順に順次速度を下げながら引き上げること
によりその基体に上記溶液の塗布を行う引上工程と、上
記引上工程で上記基体上に塗布された溶液を焼成するこ
とにより上記定着体のフッ素樹脂被膜を形成する焼成工
程とを有することを特徴とする。
【0015】上記目的を達成する本発明の帯電体製造方
法は、柱状あるいは筒状の基体表面にフッ素樹脂被膜が
形成されてなる、表面に静電潜像を担持する像担持体の
その表面をその静電潜像の形成前に一様に帯電させる帯
電体を製造する帯電体製造方法であって、上記基体をそ
の基体の軸方向が鉛直方向となる配置でフッ素樹脂が分
散された溶液中へ浸漬させる浸漬工程と、上記浸漬工程
で浸漬した基体を上端部と、下端部と、それら上端部お
よび下端部を除く中央部とに分けたときに、上端部、中
央部、および下端部の順に順次速度を下げながら引き上
げることによりその基体に上記溶液の塗布を行う引上工
程と、上記引上工程で上記基体上に塗布された溶液を焼
成することにより上記定着体のフッ素樹脂被膜を形成す
る焼成工程とを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る帯電体製造方
法で製造された帯電ベルトおよび本発明に係る定着体製
造方法で製造された定着ベルトを用いた画像形成装置に
ついて説明し、その後、本発明の実施形態について説明
する。
【0017】図1は、本発明に係る帯電体製造方法で製
造された帯電ベルトおよび本発明に係る定着体製造方法
で製造された定着ベルトを用いた画像形成装置の概略構
成図である。
【0018】同図に示す画像形成装置100は、静電潜
像およびトナー像の担持体であって表面が矢印A方向に
循環する感光体1、感光体1表面に接触して感光体1表
面を一様に帯電させる帯電ベルト71を含む帯電部7、
感光体1にトナーを供給する現像部6、感光体1上のト
ナーを所定の一次転写位置で次に述べる中間転写体2に
転写する転写電極である導電性ロール25、循環して感
光体1上のトナーをその一次転写位置から所定の二次転
写位置へ搬送する中間転写体2、その二次転写位置で、
中間転写体2の、トナー像が担持された表面側に設置さ
れた転写電極であるバイアスロール3、バイアスロール
3を中間転写体2を挟んで対向するように配置されたバ
ックアップロール22、バックアップロール22に圧接
して回転する電極ロール26、中間転写体2を支持して
中間転写体2の循環をガイドする支持ロール21、2
3、24、転写媒体である記録用紙41、記録用紙41
を供給するトレー4、トレー4から記録用紙41をフィ
ードするフィードロール42、転写された記録用紙41
が搬送される通路である搬送路43、および互いに対向
して記録用紙41上のトナー像を押圧しながら挟みその
トナー像を記録用紙41上に定着させる定着ロール51
および定着ベルト52を備えた定着部5を有する。
【0019】同図に示す帯電部7は半導電性の材料によ
り円筒状に形成された循環自在な帯電ベルト71と、こ
の帯電ベルト71の円筒内に挿入され、帯電ベルト71
を感光体1と接触させるように感光体1と近接して帯電
ベルト71を支持する固定された円筒状の支持ロール7
2と、図示しない電源が接続されており上記帯電ベルト
71に給電する導電性ブラシ73と、および図示しない
モータで感光体1の表面の速度と等速に軸回転しながら
帯電ベルト71を押圧して帯電ベルト71を循環させる
円筒状の回転補助ロール74とを有する。帯電ベルト7
1の基材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンにカ
ーボンブラックを分散させた、体積抵抗率が106Ω・
cm、厚さが50μmのものが用いられる。この基材上
にフッ素樹脂からなるフッ素樹脂膜が形成される。
【0020】同図に示す定着部5は、矢印C方向に回転
するように駆動される定着ロール51と、この定着ロー
ル51が駆動されるとともに矢印Dの方向に循環するよ
うに従動する定着ベルト52と、この定着ベルト52を
上記定着ロール51に圧接して広いニップ幅のニップ領
域Nを形成する加圧パッド53と、定着ベルト52を支
える支持ロール54とを備える。
【0021】定着ロール51は、内部にハロゲンランプ
からなる加熱源を有するアルミニウム製中空ロール、ア
ルミニウム製中空ロールの表面上に積層された液状シリ
コンゴム(Liquid Silicone Rubb
er)製の弾性体層、および弾性体層の表面にフッ素樹
脂を塗布したフッ素樹脂層とで構成されている。定着ベ
ルト52は、耐熱樹脂製の無端状ベルトの基材を有して
その基材の外周面上に弾性を有する弾性層およびその弾
性層を覆いフッ素樹脂を塗布したフッ素樹脂層が形成さ
れた層構造を持つ。加圧パッド53は、金属製台座上に
シリコンゴムを一体成形してなるものである。
【0022】この画像形成装置100の動作について以
下に説明する。
【0023】感光体1は、まず、帯電部7の帯電ベルト
71の接触によって表面が一様に帯電される。その帯電
された感光体1には、図示しない露光部によってレーザ
が照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像が現
像部6によって供給されたトナーにより可視化されて、
トナー像Tが形成される。
【0024】トナー像Tは、感光体1の回転によって導
電性ロール25が配置された一次転写位置に到り、導電
性ロール25からトナー像Tのトナーが帯びている電荷
とは逆極性の電圧を印加されて静電的に中間転写体2に
一次転写される。中間転写体2は、一次転写位置で感光
体1の表面と接しながら矢印B方向へ移動するので、感
光体1上のトナー像Tの中間転写体2への一次転写は、
その移動とともに順次行われる。中間転写体2上に転写
されたトナー像は、中間転写体2の循環によってバイア
スロール3が設置された二次転写位置に搬送される。
【0025】記録用紙41が、記録用紙用トレー4に収
容された記録用紙束から、フィードロール42によって
所定のタイミングで二次転写位置の中間転写体2とバイ
アスロール3との間に給送される。トナー像をのせた中
間転写体2が、その二次転写位置で、バイアスロール3
およびバックアップロール22に挟まれて記録用紙41
に圧接されつつ、電極ロール26からバックアップロー
ル22を通してそのトナー像の極性と同極性の電圧が印
加されることにより、そのトナー像は記録用紙41に二
次転写される。中間転写体2は二次転写位置で記録用紙
41とともに矢印Bの方向に循環するように移動するた
め、その二次転写は、その移動とともに順次行われる。
【0026】トナー像が転写された記録用紙41は、搬
送路43を通り定着部5に搬送される。記録用紙41
は、定着部5内の上記ニップ領域Nで、定着ロール51
および定着ベルト52に挟まれ、記録用紙41上のトナ
ー像が、ニップ領域Nで上記定着ロール51および定着
ベルト52に加熱および加圧されることによりトナー像
が記録用紙41上に定着される。この定着により画像形
成装置100による画像形成が完了する。
【0027】この画像形成装置100を構成する、定着
部5の帯電ロール51および帯電ベルト52、並びに帯
電部7の帯電ベルト71におけるフッ素樹脂被膜は、ト
ナーの付着による汚染を防ぐために用いられている。こ
のフッ素樹脂被膜の材料としては、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体(FEP)等が好ましい。
【0028】次に、このフッ素樹脂被膜を形成する本実
施形態のフッ素樹脂被膜形成方法について詳しく説明す
る。ここでは生産性の高い浸漬塗布装置による塗布の説
明を行う。本実施形態のフッ素樹脂被膜形成方法によっ
てフッ素樹脂被膜を形成して定着ロール51および定着
ベルト52を製造する方法は、本発明の定着体製造方法
に相当し、この本実施形態のフッ素樹脂被膜形成方法に
よってフッ素樹脂被膜を形成して帯電ベルト71を製造
する方法は、本発明の帯電体製造方法に相当する。
【0029】図2は、浸漬塗布装置の概略断面図であ
る。
【0030】浸漬塗布装置20は、塗布槽12、受け器
13、タンク14、およびポンプ15を有する。塗布槽
12には、塗布槽12の下部から塗料11が供給され、
塗布槽12の上部から溢流した塗料11は、受け器13
で回収され、タンク14に溜められる。このタンク14
に溜められた塗料11は、ポンプ15により再び塗布槽
12の下部から塗布槽12に供給されるというように循
環している。また、浸漬塗布装置20は、チャッキング
16および昇降機17を有する。この昇降機17の昇降
する部分とチャッキング16とは連結している。
【0031】浸漬塗布法では、まず、チャッキング16
の下側に基体18を基体18の一方の端部(上端部)で
固定することにより取り付け、次に昇降機17によりそ
の基体18を塗布槽12に降ろして、塗料11に浸漬し
た後に引き上げることによりその基体18の外周面に塗
料11を塗布するものである。
【0032】この基体18の引上の後、塗布された塗料
11中の溶剤を乾燥させ、次いで塗料を乾燥したものを
加熱し硬化させることによってフッ素樹脂被膜が形成さ
れる。
【0033】このように浸漬塗布法によって形成された
被膜は、スプレー塗布法で形成された被膜等と比べて、
異物の混入が少なく、抵抗値や表面粗さが均一であると
いう点で優れている。
【0034】本実施形態のフッ素樹脂被膜形成方法の特
徴的な部分は、この基体が、終始一定の速度で引き上げ
られるのではなく、各段階ごとに互いに異なる速度で引
き上げられることにある。
【0035】後に実施例で示すように、従来の浸漬塗布
のように引き上げが一定の速度で行われた場合には、図
2に示すように浸漬塗布されて形成された、基材18上
のフッ素樹脂被膜は、基材18の上端部側で膜厚が薄
い。また、このフッ素樹脂被膜は、下端部側で膜厚の若
干の増加がある。この下端部側での膜厚の増加は、引き
上げの速度が遅く、塗布時間が長くなると発生しやす
い。
【0036】上端部側におけるフッ素樹脂被膜の膜厚が
薄くなる原因は、塗布直後は狙いの膜厚に塗布されるよ
うな速度で引き上げられたとしても、フッ素樹脂被膜用
の塗料11が水分散系であるため、塗布後にすみやかに
乾燥されず、下にたれることにある。また、下端部側に
おけるフッ素樹脂被膜の膜厚の増加は、塗布時間が長く
なると発生しやすいことから、やはり塗布物の中段あた
りから塗料がたれることによるものと考えられる。
【0037】このようなたれによるフッ素樹脂被膜の膜
厚の不均一さが抑制されるように、本実施形態のフッ素
樹脂被膜形成方法は、後に実施例に示す、このフッ素樹
脂被膜の膜厚が基体18の引上の速度の増加に従い増大
するという関係を利用して、上記塗布液11に浸漬した
基体18を上端部と、下端部と、それら上端部および下
端部を除く中央部とに分けたときに、上端部、中央部、
および下端部の順に順次速度を下げながら塗料11の液
面から引き上げることにより浸漬塗布を行うものであ
る。
【0038】以下では、上記中央部の引上速度を速度V
m、上記上端部の長さを長さLs、この上端部の引上速
度を速度Vs、上記下端部の長さを長さLe、この下端
部の引上速度を速度Veとする。
【0039】後に実施例に示す測定結果に基づいて、こ
の速度Vs、Ve、および長さLs、Le について検
討した結果、速度Vsが速度Vmに対してわずかに速い
だけであると基体18上に塗布された塗料のたれを抑制
する効果が薄れてしまい、逆に速度Vsが速度Vmに対
して速すぎると基体18上に塗布された塗料の膜厚が厚
くなりすぎるためかえって大きなたれが発生する。長さ
Lsについては、短すぎると速度Vsを速めたことによ
るたれ抑制効果がほとんど現れず、長すぎると膜厚の厚
い部分を作るだけとなる。また、速度Veが速度Vmに
対し遅すぎる場合や長さLeが短すぎる場合には、膜厚
の薄い部分を作ってしまう。
【0040】また、同じく実施例に示すように、定量的
には、上記上端部の引上の速度Vsは上記中央部の引上
の速度Vmの2.0倍以上かつ3.5倍以下であって、
この上端部の長さLsは5mm以上かつ20mm以下で
あることが好ましく、上記下端部の引上の速度Veは上
記中央部の引上の速度Vmの0.7倍以上かつ0.9倍以
下であって、この下端部の長さLeは30mm以上かつ
70mm以下であることが好ましい。
【0041】なお、引き上げの速度は、各区間ごとに所
定の速度をとるように限定されているわけではなく、例
えば、複数の区間に亘って連続的に変化するものであっ
てもよい。また、通常、上記基体18の延びる方向の長
さは300mm以上である。
【0042】浸漬塗布によって継ぎ目なしベルトにフッ
素樹脂被膜の塗布を行う際には、継ぎ目なしベルトを所
定の芯体に嵌めて固定することが好ましい。芯体には、
アルミニウム、ステンレス鋼等の金属のほか、フッ素樹
脂やシリコーン樹脂、あるいはこれらの樹脂で表面を被
覆した金属が用いられる。金属の場合、表面をクロムメ
ッキしたり、離型剤を塗布することも有効である。
【0043】また、継ぎ目なしベルトの樹脂材料として
は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダ
ゾール、フタル酸系ポリエステル、ポリウレタン等があ
げられる。これらの中では、強度や寸法安定性の面でポ
リイミドが特に好ましい。
【0044】また、継ぎ目なしベルトを接触帯電フィル
ムのような帯電体として使用する場合には、樹脂材料の
中に必要に応じて導電性物質を分散させる。導電性粒子
としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラッ
クを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバ、グラ
ファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金
属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモ
ン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化
物、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカ等が挙げられ
る。
【0045】また、継ぎ目なしベルトを作製するには、
まず、樹脂溶液を塗料として芯体上に塗布し、溶剤の乾
燥後、塗膜を芯体ごと所定温度で加熱し、樹脂を硬化さ
せて、被膜を形成する。形成された被膜は芯体から外
し、継ぎ目なしベルトを得る。継ぎ目なしベルトには、
さらに必要に応じて端部のスリット加工、パンチング穴
あけ加工、テープ巻き付け加工等が施される。
【0046】なお、溶剤の乾燥時に樹脂材料が下方に垂
れる場合には、芯体を横にして回転しながら乾燥させて
もよい。
【0047】フッ素樹脂の被膜を形成するには、フッ素
樹脂の水分散液を浸漬塗布して焼き付け加工する方法が
好ましい。フッ素樹脂には耐久性や静電オフセットの向
上のためにカーボン粉末が分散されていてもよい。
【0048】また、フッ素樹脂被膜の密着性が不足する
場合には、必要に応じてプライマをあらかじめ塗布する
方法がある。プライマは、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミド
イミド、ポリイミドおよびこれらの誘導体、並びにフッ
素樹脂から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むこと
が好ましい。
【0049】ポリイミド樹脂の継ぎ目なしベルト上にプ
ライマを挟んでフッ素樹脂被膜を形成するには、所定の
芯体の表面にポリイミド前駆体溶液を塗布した後、加熱
硬化してからプライマを塗布してもよいが、ポリイミド
前駆体溶液を塗布して溶剤を乾燥させ、イミド転化反応
を途中段階まで行わせ、次いでプライマとフッ素樹脂分
散液を塗布した後、加熱してイミド転化完結反応とフッ
素樹脂の焼成処理を同時に行うことにより、より効率的
にフッ素樹脂被膜を形成することができる。
【0050】継ぎ目なしベルトの厚さは3μm〜500
μmの範囲内にあることが好ましい。必要に応じて設け
られるプライマの厚さは0.5μm〜10μmの範囲内
にあることが好ましい。また、フッ素樹脂被膜の厚さは
2μm〜30μmの範囲内にあることが好ましい。
【0051】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
【0052】<ベルト形成>図2に示す浸漬塗布装置2
0はフッ素樹脂を塗布するための装置であるが、塗料と
基体を変更することにより、この浸漬塗布装置20を、
ポリイミド製のベルトを形成するための装置として転用
した。
【0053】塗料11の代わりに、ポリイミド前駆体で
あるポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液(商品
名:Uワニス、宇部興産社製)からなる塗料11’を用
いた。この塗料11’の固形分濃度は約18%であっ
た。また、基体18’として、外径30mm、長さ40
0mmのアルミニウム製円筒を用意した。なお、塗料を
入れる塗布槽12として、内径80mm、高さ500m
mの円筒容器を採用した。
【0054】このベルト形成に際しては、さらに、図3
〜図5に示すフロートを用いた。
【0055】図3は、ベルト用の塗料中に浮かぶフロー
トの様子を示す図であり、図4は、フロートを構成する
リングの断面図であり、図5は、浸漬塗布装置によるベ
ルト形成の状況を示す概略断面図である。
【0056】図3に示すように、塗料11’上に浮かべ
たフロート19’は、外径65mm、内径40mm、高
さ30mmのステンレス製の中空状リング19_1’
と、この中空状リング19_1’の内側に嵌合させた、
外径が40mmで、内面が図4に示すような下に行くほ
ど広がった曲面であって最も狭い部分の内径が30.2
4mmとなるナイロン製リング19_2’とからなる。
【0057】図5に示すように、フロート19’を塗料
11’に浮かべて動かないよう固定し、基体18’をフ
ロート19’中央部の穴に600mm/minの速度で
挿入して塗料11’に浸漬し、次いでフロートの固定を
解除し、150 mm/minの速度で基体18’を引き
上げた。基体18’には、濡れ膜厚が約120μmの被
膜11a’が形成された。引き上げ途中で基体18’と
フロート19’とが接触することはなかった。基体1
8’を引き上げた後、120℃で60分間乾燥し、次い
で350℃で1時間加熱して樹脂を硬化させた。この樹
脂の硬化により、基体18’上に40μm厚のポリイミ
ド製の継ぎ目なしベルトが得られた。
【0058】<フッ素樹脂被膜形成>図2に示す浸漬塗
布装置20を用いて、上記基体18’表面に形成された
ポリイミド製の継ぎ目なしベルトを新たに基体18とし
て、フッ素樹脂を含む塗料11の塗布を行った。その塗
料11としてPFA固形分含有量48重量%の水性ディ
スパージョン(ダイキン工業社製、商品名AD−2CR)
を用いた。この塗料11に基体18を浸漬し、以下に説
明する様々な塗布条件(基体18の引上の条件)で浸漬
塗布を実施した。浸漬塗布を終えたベルトを110℃、
30分にて加熱し水を除去後、400℃、20分間加熱
し、このベルト上の被膜を焼成することによりPFAか
らなるフッ素樹脂被膜であるPFA膜を形成した。この
PFA膜が形成されたベルトを室温まで冷やした後にそ
のベルトを基体18’から取り外し、取り外されたベル
トの上端から40mm、下端から20mmを切断して全
長340mmの定着ベルトとした。
【0059】<予備実験>図6は、塗布時の基体の引上
速度とPFA膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【0060】同図には、塗料11が塗布工程中に基体1
8の引上速度に変化がなく一定の速度で基体18が引き
上げられることによりその基体18に塗料11が塗布さ
れた際の、その引上速度と基体18の上端から150m
m(ほぼ中央)の位置での膜厚の関係が示されている。同
図の横軸は、その引上速度を表し、同図の縦軸は、最終
的に基体18上に形成されたPFA膜の膜厚を表す。同
図に示すように、引上速度が0mm/minに近いと、
PFA膜の膜厚は7μmに近づき、引上速度が増加する
につれてその膜厚がほぼ線形に増大し、引上速度が50
0mm/minでその膜厚は22μmとなった。このよ
うに、引上速度が速くなるに従って、PFA膜の膜厚は
増大する。
【0061】図7は、上端からの塗布位置とフッ素樹脂
皮膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【0062】同図には、塗料11が塗布工程中に基体1
8の引上速度に変化がなく、100mm/min、20
0mm/min、300mm/min、400mm/m
in、500mm/minというそれぞれの一定の引上
速度で基体18が引き上げられることにより基体18に
塗料11が塗布されて基体18上に最終的に形成された
PFA膜の膜厚と、基体18の上端からの基体18の軸
に沿った方向の位置(塗布位置)との関係が示されてい
る。同図の横軸は、その上端からの塗布位置を表し、同
図の縦軸は、各塗布位置における基体18上のPFA膜
の膜厚を表している。
【0063】同図に示されるように、引上速度によって
全体的な膜厚は異なるが、いずれの引上速度において
も、基体18の上端からほぼ100mmの塗布位置の範
囲に亘って膜厚が薄く、その範囲で塗料11のたれが存
在していることがわかる。また、下端部の下端からほぼ
50mmの塗布位置の範囲に亘って塗料11のたれによ
る膜厚の若干の増加があった。また、これらの範囲の間
に挟まれた中央部分においても、膜厚に若干の不均一さ
が見られた。
【0064】<実施例1〜3>以下に、上記速度Vs,
Vm,Veおよび長さLs,Leを様々に変えた各塗布
条件での浸漬塗布によるPFA膜形成の実施例を示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1は、実施例1、実施例2、実施例3そ
れぞれの、浸漬塗布の塗布条件(Vs,Vm,Ve,L
s,Le)を表している。同表の最左欄に示される実施
例1〜3それぞれと同じ段にそれらの各実施例の塗布条
件が示されている。
【0067】実施例1、実施例2、実施例3それぞれの
場合の中央部での速度Vmは、それぞれ300mm/m
in、400mm/min、200mm/minであ
り、実施例1〜3において、上端部の速度Vsは、中央
部での速度に対して、2.0倍〜3.5倍速く、下端部
の速度Veは、中央部での速度に対して、0.6倍〜
0.9倍の速度となっている。また、実施例1〜3にお
いて、速度Vsで引き上げられる上端部の長さLsは5
mm〜20mmの範囲にあり、速度Veで引き上げられ
る下端部の長さLeは30mm〜70mmの範囲にあ
る。
【0068】図8は、実施例1〜3の各塗布条件で塗布
されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグ
ラフである。
【0069】同図の横軸は、PFA膜の上端部からの塗
布位置を表し、同図の縦軸は、PFA膜の各塗布位置で
の膜厚を表している。同図では、複数の三角形それぞ
れ、複数の四角形それぞれ、複数の菱形それぞれが、実
施例1、実施例2、実施例3におけるPFA膜の各塗布
位置での膜厚の測定結果を示している。
【0070】実施例1〜3のいずれの場合にも、上端部
付近で塗料のたれによる膜厚の減少が見られるが、その
ような膜厚の減少が見られる範囲は上端部から60mm
程度と狭く、また、上端部から60mm離れた位置から
下端部までの広い範囲では均一な膜厚となっていた。
【0071】<比較例1〜11>以下に、上記速度V
s,Vm,Veおよび長さLs,Leを様々に変えた各
塗布条件での浸漬塗布によるPFA膜形成の比較例を示
す。
【0072】ここで述べる各比較例で形成されたFPA
膜は、速度Vs,Vm,Veおよび長さLs,Leの値
によって規定される塗布条件を除けば、実施例と同様に
形成されたものである。
【0073】(比較例1〜3)
【0074】
【表2】
【0075】表2は、比較例1、比較例2、比較例3そ
れぞれの、塗布条件(Vs,Vm,Ve,Ls,Le)
を表している。同表の最左欄に示される比較例1〜3そ
れぞれと同じ段にそれらの各比較例の塗布条件が示され
ている。表中のVsおよびLsの欄に横線「−」がある
比較例では、速度Vsを速度Vmより速める上記上端部
の領域がないことを意味し、表中のVeおよびLeの欄
に横線「−」がある比較例では、速度Veを速度Vmよ
り遅くする上記下端部の領域がないことを意味する。
【0076】比較例1では、引上速度Vmが300mm
/minという一定の速度で基体18の引上が行われ
た。比較例1の結果は、図7中の複数の菱形によって示
される。上述したように、上端部の上端からほぼ100
mmの塗布位置の範囲に亘って膜厚が薄く、この範囲
は、上記実施例における膜厚の薄い範囲より広い。ま
た、下端部の下端からほぼ50mmの塗布位置の範囲に
亘って塗料11のたれによる膜厚の若干の増加があっ
た。
【0077】比較例2は、実施例1で長さLeを0mm
とした場合、すなわち実施例1で上記下端部における引
上速度の調整を行わない場合に相当する。また、比較例
3は、実施例1で長さLsを0mmとした場合、すなわ
ち実施例1で上記上端部における引上速度の調整を行わ
ない場合に相当する。
【0078】図9は、比較例2〜3の各塗布条件で塗布
されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグ
ラフである。
【0079】同図の横軸および縦軸は、図8の横軸およ
び縦軸と同じものである。図9では、複数の三角形それ
ぞれ、複数の円それぞれが、比較例2、比較例3におけ
るPFA膜の各塗布位置での膜厚の測定結果を示してい
る。比較例2の場合には、同図中の点線で囲まれた部分
a2に示されるように、基体18の下端部から100m
m程度の範囲の塗布位置でPFA膜の膜厚が、基体18
の中央部の膜厚と比較して増大した。この膜厚の増大
は、上記下端部における引上速度の調整を行わなかった
ことに由来する。また、比較例3の場合には、同図中の
点線で囲まれた部分a3に示されるように、上端部から
100mm程度の範囲の塗布位置で膜厚が、基体18の
中央部付近の膜厚と比較して減少した。この膜厚の減少
は、上記上端部における引上速度の調整を行わなかった
ことに由来する。
【0080】(比較例4、5)
【0081】
【表3】
【0082】表3は、表2と同様な表であり、比較例
4、比較例5それぞれの、浸漬塗布条件(Vs,Vm,
Ve,Ls,Le)を表している。
【0083】比較例4は、実施例1で750mm/mi
nであった上記上端部における引上の速度Vsを420
mm/minに減少させた場合に相当する。また、比較
例5は、その上端部における引上の速度Vsを1600
mm/minに増大させた場合に相当する。
【0084】図10は、比較例4〜5の各塗布条件で塗
布されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示す
グラフである。
【0085】同図の横軸および縦軸は、図8の横軸およ
び縦軸と同じものである。同図では、複数の三角形それ
ぞれ、複数の円それぞれが、比較例4、比較例5におけ
るPFA膜の各塗布位置での膜厚の測定結果を示してい
る。
【0086】比較例4の場合には、同図中の点線で囲ま
れた部分a4に示されるように、基体18の上端部から
100mm程度の範囲の塗布位置でPFA膜の膜厚が、
基体18の中央部での膜厚と比較して減少した。この膜
厚の減少は、上記上端部における引上速度Vsの中央部
の速度Vmに対する速度の増加分が小さいことに由来す
る。また、比較例5の場合には、同図中の点線で囲まれ
た部分a5に示されるように、上端部から50mm〜1
00mmの塗布位置で膜厚が基体18の中央部付近の膜
厚と比較して増大しピークを持つ。この膜厚の増大は、
引上の速度Vsが中央部の速度Vmに対して速すぎるこ
とに由来する。
【0087】(比較例6、7)
【0088】
【表4】
【0089】表4は、表2と同様な表であり、比較例
6、比較例7それぞれの、浸漬塗布条件(Vs,Vm,
Ve,Ls,Le)を表している。
【0090】比較例6は、実施例1で10mmであった
上記上端部の長さLsを1mmに減少させた場合に相当
する。また、比較例7は、その上端部の長さLsを50
mmに増大させた場合に相当する。
【0091】図11は、比較例6〜7の各塗布条件で塗
布されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示す
グラフである。
【0092】同図の横軸および縦軸は、図8の横軸およ
び縦軸と同じものである。同図では、複数の三角形それ
ぞれ、複数の円それぞれが、比較例6、比較例7におけ
るPFA膜の各塗布位置での膜厚の測定結果を示してい
る。
【0093】比較例6の場合には、基体18の上端部か
ら100mm程度の範囲の塗布位置で膜厚が、基体18
の中央部の膜厚と比較して減少しており、さらに、同図
中の点線で囲まれた部分a6に示されるように、ある塗
布位置で局所的に薄くなった部分が存在した。この部分
は、上記上端部の長さLsが小さすぎて塗料11のたれ
の制御が広い範囲で行われなかったことに由来すると考
えられる。また、比較例7の場合には、同図中の点線で
囲まれた部分a7に示されるように、上端部から100
mm付近の塗布位置で膜厚が基体18の中央部付近の膜
厚と比較して増大しピークを持つ。この膜厚の増大は、
上記上端部の長さLsが大きすぎて塗料を厚く塗布しす
ぎたことに由来する。
【0094】(比較例8、9)
【0095】
【表5】
【0096】表5は、表2と同様な表であり、比較例
8、比較例9それぞれの、浸漬塗布条件(Vs,Vm,
Ve,Ls,Le)を表している。
【0097】比較例8は、実施例1で750mm/mi
nであった上記上端部における引上の速度Vsを比較例
4と同様に420mm/minに減少させ、さらに実施
例1で10mmであったその上端部の長さLsを比較例
7と同様に50mmに増大させた場合に相当する。この
比較例8の狙いは、比較例7で長さLsが大きいために
増大しすぎた膜厚を速度Vsを下げることで抑えようと
いうものである。
【0098】また、比較例9は、その上端部における引
上の速度Vsを比較例5と同様に1600mm/min
に増大させ、さらに、その上端部の長さLsを比較例6
と同様に1mmに減少させた場合に相当する。この比較
例9の狙いは、比較例5で速度Vsが速すぎて増大しす
ぎた膜厚を長さLsを短くすることで抑えようというも
のある。
【0099】図12は、比較例8〜9の各塗布条件で塗
布されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示す
グラフである。
【0100】同図の横軸および縦軸は、図8の横軸およ
び縦軸と同じものである。同図では、複数の三角形それ
ぞれ、複数の円それぞれが、比較例8、比較例9におけ
るPFA膜の各塗布位置での膜厚の測定結果を示してい
る。
【0101】比較例8および比較例9のいずれの場合に
も、基体18の上端部から100mm程度の範囲の塗布
位置で膜厚が、基体18の中央部の膜厚と比較して減少
した。また、同図中の点線で囲まれた部分a8,a9に
示されるように、その範囲内で局所的に厚い部分や薄い
部分が存在した。
【0102】(比較例10、11)
【0103】
【表6】
【0104】表6は、表2と同様な表であり、比較例1
0、比較例11それぞれの、浸漬塗布条件(Vs,V
m,Ve,Ls,Le)を表している。
【0105】比較例10は、実施例1で250mm/m
inであった上記下端部における引上の速度Veを10
0mm/minに減少させた場合に相当する。また、比
較例11は、実施例1で30mmであったその下端部の
長さLeを150mmに増大させた場合に相当する。
【0106】図13は、比較例10〜11の各塗布条件
で塗布されたPFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を
示すグラフである。
【0107】同図の横軸および縦軸は、図8の横軸およ
び縦軸と同じものである。同図では、複数の三角形それ
ぞれ、複数の円それぞれが、比較例10、比較例11に
おけるPFA膜の各塗布位置での膜厚の測定結果を示し
ている。
【0108】比較例10の場合には、基体18の下端部
から50mm程度の範囲の塗布位置で膜厚が、同図中の
点線で囲まれた部分a10に示されるように、基体18
の中央部の膜厚と比較して大きく減少した。この膜厚の
減少は、上記下端部における引上の速度Veを減少させ
すぎたため、塗料11を厚く塗布できなかったことに由
来する。また、比較例11の場合には、同図中の点線で
囲まれた部分a11に示されるように、上端部から10
0mm〜300mmの間の塗布位置の広い範囲で膜厚が
減少している。この膜厚の減少は、上記下端部の長さL
eが大きすぎて広い範囲で塗料11を厚く塗布できなか
ったことことに由来する。
【0109】以上のように、比較例1〜11において
は、広い範囲で膜厚のむらが発生していることが分か
る。それに対し、実施例1〜3では、膜厚のむらの発生
する範囲が狭く、塗布むらの発生が抑えられることが確
認された。
【0110】上記実施例の結果は、上記比較例の結果と
比較すると、均一な膜厚を有する範囲が広く好ましい結
果となっている。このため、上記上端部を引きあげる速
度Vsは上記中央部を引き上げる速度Vmの2.0倍以
上かつ3.5倍以下であって、速度Vsで引き上げる区
間の長さLsは5mm以上かつ20mm以下であること
が好ましく、上記下端部を引き上げる速度Veは上記速
度Vmの0.7倍以上かつ0.9倍以下であって、その速
度Veで引き上げる区間の長さLeは30mm以上かつ
70mm以下の範囲が好ましいとわかる。
【0111】なお、これまで述べた実施例および比較例
では、定着ベルト上のフッ素樹脂皮膜の膜厚が測定対象
であったが、このフッ素樹脂被膜の様々な塗布条件にお
ける各塗布位置での膜厚の様子は、定着ロール上のフッ
素樹脂被膜や帯電ベルト上のフッ素樹脂被膜においても
それほど違いはない。このため、この実施例および比較
例の結果は定着ロールおよび帯電ベルトに対しても適用
される。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
膜厚のむらの発生が抑制されたフッ素樹脂被膜を被塗布
体上に形成するフッ素樹脂被膜形成方法、表面にそのよ
うなフッ素樹脂被膜を有する定着体を製造する定着体製
造方法、および表面にそのようなフッ素樹脂被膜を有す
る帯電体を製造する帯電体製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る帯電体製造方法で製造された帯電
ベルトおよび本発明に係る定着体製造方法で製造された
定着ベルトを用いた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】浸漬塗布装置の概略断面図である。
【図3】ベルト用の塗料中に浮かぶフロートの様子を示
す図である。
【図4】フロートを構成するリングの断面図である。
【図5】浸漬塗布装置によるベルト形成の状況を示す概
略断面図である。
【図6】塗布時の基体の引上速度とPFA膜の膜厚との
関係を示すグラフである。
【図7】上端からの塗布位置とフッ素樹脂皮膜の膜厚と
の関係を示すグラフである。
【図8】実施例1〜3の各塗布条件で塗布されたPFA
膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフである。
【図9】比較例2〜3の各塗布条件で塗布されたPFA
膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフである。
【図10】比較例4〜5の各塗布条件で塗布されたPF
A膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフであ
る。
【図11】比較例6〜7の各塗布条件で塗布されたPF
A膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフであ
る。
【図12】比較例8〜9の各塗布条件で塗布されたPF
A膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフであ
る。
【図13】比較例10〜11の各塗布条件で塗布された
PFA膜の、塗布位置に対する膜厚変化を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 感光体 2 中間転写体 3 バイアスロール 4 トレー 5 定着部 6 現像部 7 帯電部 11,11’ 塗料 11a’ 被膜 12,12’ 塗布槽 13 受け器 14 タンク 15 ポンプ 16 チャッキング 17 昇降機 18 基体 19’ フロート 19_1’ 中空状リング 19_2’ ナイロン製リング 20 浸漬塗布装置 21,23,24 支持ロール 22 バックアップロール 25 導電性ロール 26 電極ロール 41 記録用紙 42 フィードロール 43 搬送路 51 定着ロール 52 定着ベルト 53 加圧パッド 54 支持ロール 71 帯電ベルト 72 支持ロール 73 導電性ブラシ 74 回転補助ロール 100 画像形成装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢敷 雄一 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 4F205 AA16 AC05 AE10 AG16 AG22 AG23 AH04 AR08 GA08 GB01 GC01 GF24 GN08 GN24 GN30 GW05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱状あるいは筒状の被塗布体を該被塗布
    体の軸方向が鉛直方向となる配置でフッ素樹脂が分散さ
    れた溶液中へ浸漬させる浸漬塗布を行い、該浸漬塗布に
    よって該被塗布体の表面に塗布された溶液を焼成するこ
    とにより該被塗布体の表面にフッ素樹脂被膜を形成する
    フッ素樹脂形成方法において、 前記被塗布体を前記溶液中に浸漬させる浸漬工程と、 前記浸漬工程で浸漬した被塗布体を上端部と、下端部
    と、それら上端部および下端部を除く中央部とに分けた
    ときに、上端部、中央部、および下端部の順に順次速度
    を下げながら引き上げる引上工程とにより浸漬塗布を行
    うことを特徴とするフッ素樹脂被膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記引上工程が、前記上端部を前記中央
    部の引上の速さの2.0倍以上かつ3.5倍以下の速さ
    で5mm以上かつ20mm以下引き上げるものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂被膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】 前記引上工程が、前記下端部を前記中央
    部の引上の速さの0.7倍以上かつ0.9倍以下の速さ
    で30mm以上かつ70mm以下引き上げるものである
    ことを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂被膜形成方
    法。
  4. 【請求項4】 前記被塗布体の延びる方向の長さが30
    0mm以上である該被塗布体の表面にフッ素樹脂被膜を
    形成することを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂被
    膜形成方法。
  5. 【請求項5】 柱状あるいは筒状の基体表面にフッ素樹
    脂被膜が形成されてなる、所定の記録媒体上のトナー像
    を押圧して該トナー像を該記録媒体に定着させる定着体
    を製造する定着体製造方法において、 前記基体を該基体の軸方向が鉛直方向となる配置でフッ
    素樹脂が分散された溶液中へ浸漬させる浸漬工程と、 前記浸漬工程で浸漬した基体を上端部と、下端部と、そ
    れら上端部および下端部を除く中央部とに分けたとき
    に、上端部、中央部、および下端部の順に順次速度を下
    げながら引き上げることにより該基体に前記溶液の塗布
    を行う引上工程と、 前記引上工程で前記基体上に塗布された溶液を焼成する
    ことにより前記定着体のフッ素樹脂被膜を形成する焼成
    工程とを有することを特徴とする定着体製造方法。
  6. 【請求項6】 柱状あるいは筒状の基体表面にフッ素樹
    脂被膜が形成されてなる、表面に静電潜像を担持する像
    担持体の該表面を該静電潜像の形成前に一様に帯電させ
    る帯電体を製造する帯電体製造方法において、 前記基体を該基体の軸方向が鉛直方向となる配置でフッ
    素樹脂が分散された溶液中へ浸漬させる浸漬工程と、 前記浸漬工程で浸漬した基体を上端部と、下端部と、そ
    れら上端部および下端部を除く中央部とに分けたとき
    に、上端部、中央部、および下端部の順に順次速度を下
    げながら引き上げることにより該基体に前記溶液の塗布
    を行う引上工程と、 前記引上工程で前記基体上に塗布された溶液を焼成する
    ことにより前記定着体のフッ素樹脂被膜を形成する焼成
    工程とを有することを特徴とする帯電体製造方法。
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KR101454844B1 (ko) 2014-02-21 2014-10-28 (주)효명 액상고무를 입혀서 만든 부식완충 난간 제조시스템

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