JP2001196651A - 焦電型赤外線検知素子の製造方法 - Google Patents

焦電型赤外線検知素子の製造方法

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JP2001196651A
JP2001196651A JP2000003911A JP2000003911A JP2001196651A JP 2001196651 A JP2001196651 A JP 2001196651A JP 2000003911 A JP2000003911 A JP 2000003911A JP 2000003911 A JP2000003911 A JP 2000003911A JP 2001196651 A JP2001196651 A JP 2001196651A
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conductive pattern
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detecting element
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Chomei Matsushima
朝明 松嶋
Hiroyuki Yagyu
博之 柳生
Katsuji Komaki
克次 小牧
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポップコーンノイズを低減した高信頼性の焦電
型赤外線検知素子を提供する。 【解決手段】多分域化された焦電体基板の裏面に導電パ
ターンを形成し、前記導電パターンを電気的に接地した
後、焦電体基板に表面から荷電粒子を照射して裏面導電
パターンとそれに対向した表面で囲まれた領域の分極方
向を揃えて単分域化し、その後、単分域化された表面に
導電パターンを形成して、表裏の導電パターンが対向す
る領域を赤外線感受部とする。荷電粒子の照射前に、焦
電体基板の表面側に裏面側の導電パターンと対向するよ
うに導電パターンを形成しておいても良い。また、もと
もと単分域化された焦電体基板について、赤外線感受部
とする領域以外に荷電粒子を照射して多分域化しても良
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高信頼性の焦電型
赤外線検知素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱や温度の検知器として利用されている
焦電型赤外線検知素子は、通常、焦電性を持つ強誘電体
基板(以下焦電体基板)に赤外線感受部となる対向電極
を形成することによって作製されている。広く用いられ
ている焦電型赤外線検知素子においては、焦電体材料全
体が分極方向の揃った状態である単分域状態となってい
る。このような焦電体材料を用い、材料の表裏面に赤外
線感受部となる対向電極を形成することによって焦電型
赤外線検知素子が作製されている。
【0003】その基本的な断面構造を図12に示す。図
12において、1は焦電体基板、1a及び1bは、焦電
体基板1が最も大きい焦電係数を持つ方向(図中矢印P
の方向)の鉛直面で、これらの面1a及び1bに、蒸
着、スパッタリング、スクリーン印刷等の手法によって
表裏対向電極2a,2bが形成され、その領域が赤外線
感受部3として機能する。面1a側は、電極2aの形成
面であると同時に、赤外線(図中IRと表示)の入射面
ともなっている。赤外線IRの入射による感受部3の温
度上昇に応じた焦電体基板1の自発分極の変化分が電極
2a,2b上に焦電荷として出現し、引き出し線4によ
って外部回路へ導かれる。図13は図12の赤外線感受
部3を回路記号的に表したもので、矢印は図12の焦電
体基板1が最も大きい焦電係数を持つ方向Pに対応して
いる。
【0004】焦電型赤外線検知素子は、その使用目的・
性能向上等の点から、一枚の焦電体基板1上に2〜4個
の赤外線感受部3が形成されているのが一般的である。
図14は2個の赤外線感受部3が配置された一例(以下
デュアル型と言う)、図16は4個の赤外線感受部3が
配置された一例(以下クワッド型と言う)である。通
常、赤外線感受部3を構成する電極、及び外部回路への
信号取出し電極(外部回路基板との接続電極)5、及び
赤外線感受部3と外部回路基板との接続電極5の間を繋
ぐ引き出し配線2(以上をまとめて導電パターンと言
う)は、メタルマスク等を用いて、蒸着、スパッタリン
グ、スクリーン印刷等の手法により、赤外線感受部3と
同一焦電体基板1上に一括同時形成する。
【0005】この導電パターンの形成により、図14及
び図16に示す素子構造は、それぞれ図15及び図17
に示す回路図で表される赤外線感受部3の接続と等価と
なる。ただし、図16においては、一枚の焦電体基板1
の表裏面に形成された外部回路基板との接続電極5が表
裏で電気的に短絡されている場合に図17の等価回路と
なる。もちろん赤外線感受部3同士の電気的接続(直列
接続、並列接続等)は導電パターンの変更により、図1
5及び図17で示す以外のものも形成可能である。
【0006】外部回路との電気的接続は、図12に示す
ような引出線(ワイヤー)4によって行うものや、図1
8に示すような導電性接着剤7によって行うもの、また
は両者の複合等があり、例えば、図16に示すような一
枚の焦電体基板1の表裏面に導電パターンを形成して成
る焦電型赤外線検知素子においては、通常、外部回路基
板との接続電極部5は表裏が導電性接着剤7によって電
気的に短絡させられ、同時に外部回路基板の回路入力端
子部6とも導電接着される。ここで外部回路とは、焦電
型赤外線検知素子からの出力信号を処理するものであっ
て、該素子のインピーダンスが非常に高いために低イン
ピーダンス化するための処理回路、例えば図19に示す
電界効果型トランジスタ16を用いたインピーダンス変
換回路、または前記インピーダンス変換回路を含む回路
等を指す。一般に、焦電型赤外線検知素子とそれが接続
された前記外部回路基板は、所望の波長の赤外線を透過
するフィルター窓及び赤外線検知信号が出力される端子
及び前記外部回路への電力供給用端子等を具備した金属
ケース内に納められ、市販されている。
【0007】一般に、このような焦電型の赤外線検知素
子では、赤外線の入射による赤外線感受部の温度上昇
を、電気信号に変換するという原理上の理由により、熱
/電気変換効率及び応答速度を上げるためには、赤外線
感受部の熱容量を小さくし、かつ感受部以外の場所への
熱の消散を防ぐような構造がとられる。前述した外部回
路基板との接続においても、焦電型赤外線検知素子が構
成される焦電体基板1は、その外部回路との接続電極部
5のみで外部回路基板上に支持され、外部回路基板との
熱的分離を図っている。また、焦電体基板1自体も数十
μmから百μm程度の厚みにされ、熱容量の低減が図ら
れている。
【0008】広く実用化されている焦電型赤外線検知素
子では、焦電体材料そのものが最初から分域が揃えられ
ている、いわゆる単分域構造となっているものが広く使
われている。結晶育成した焦電体材料においては、分極
方向は揃っていない多分域状態である。焦電型センサと
して応用するには、分極方向が揃った単分域構造にする
ための分極処理が必要である。一般的にはこの分極処理
は、結晶育成した直後に電界を印加することにより、結
晶全体を単分域化している。
【0009】一方、分極構造を変える方法として、強誘
電体材料を応用した光第2高調波発生素子(いわゆるS
HG素子)において広く用いられる方法が知られてい
る。このSHG素子においては特定領域のみ分極を反転
した分極反転構造がとられている。この分極反転構造を
得る方法としては、例えばLiTaO3 やLiNbO3
の結晶においては、Tiを結晶表面から拡散させる方法
や電圧を印加させる方法等が広く知られている。また、
最近、電子ビーム等の荷電粒子を応用した分極反転方法
が提案されている(Wei−YungらApplied
PhysicsLetters Vol.60 19
92 pp1−3、Sunao KimuraらJap
anese Journal of Applied
Physics Vol.35(1996)pp.L3
1−L33)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述したとおり、一般
に焦電型赤外線検知素子は、数十μmから百μm程度の
厚みの焦電体基板を、出来る限り実装基板との接続面積
を低減させた、例えば片持ち、あるいは二点支持のよう
な形態で実装するため、特開昭58−182522号ま
たは特開平10−2793号に記載のあるように、外部
環境温度変化によって、焦電体基板、外部回路基板及び
両者を固着する接着剤との間に熱膨張差が生じると、焦
電体基板に圧縮、または引張り、またはねじれ等の応力
が印加され、強誘電体のもう一つの特性である圧電性に
より、応力の(変化の)大きさに応じた電荷が発生す
る。この圧電性電荷が局所的に蓄積・放電すると、突発
的な誤信号出力として観測される。このような突発的誤
出力信号は、所謂スパイクノイズ、ポップコーンノイズ
など(以下ポップコーンノイズ)と呼ばれ、焦電性及び
圧電性を有する強誘電体材料を利用した焦電型赤外線検
知素子や圧電デバイス、弾性表面波素子などに共通の課
題となっている。前記特開平10−2793号には、赤
外線感受部の周囲に略コ字型のくり抜き孔を設けて、該
感受部を焦電体基板の一部で片持ち支持させた構造にす
ることによって応力分離し、該感受部における前記圧電
性電荷の発生を回避し、前記ポップコーンノイズの低減
に極めて効果が高いことが記載されている。
【0011】また、前記ポップコーンノイズの別の原因
系として、特開昭60−3528号、特開昭61−48
215号などに記載の焦電性に起因するものが挙げられ
る。これは、焦電体基板上の赤外線感受部以外の部分に
も、外部環境温度変化によって、焦電性電荷(この電荷
は赤外線検知回路には何等寄与しない電荷であるので以
下不良電荷と呼ぶ)は発生するが、導電パターンが存在
しない面上に発生した不良電荷は束縛電荷であり、主に
焦電体基板の周囲に浮遊するイオンの付着(正確には脱
着)による再結合によって消滅する。従って、外部環境
温度変化の条件によっては、発生した不良電荷による高
電圧の補償が間に合わず、近傍の導電パターンや外部回
路基板、またはこれらを収納する金属ケースなどに放電
し、ポップコーンノイズとして出力される。
【0012】また、本発明者らの長期にわたる実験・検
討の結果、前記ポップコーンノイズの原因として、前記
圧電性に起因するものと前記焦電性に起因するものの交
互作用要因によるものがあることが判明した。即ち、外
部環境温度変化によって発生した焦電性の蓄積不良電荷
による高電圧が過大なものでなかったとしても、同時に
発生する焦電体基板、外部回路基板及び両者を固着する
接着剤との間の熱膨張差による応力や、外部からの機械
的振動などが、かかる不良電荷蓄積箇所に印加されたと
きの圧電的作用が、瞬時に該不良電荷の蓄積を助長する
ような、トリガー的な役割(以下圧電的トリガー作用な
どと言う)を果たし、近傍の導電パターンや外部回路基
板、またはこれらを収納する金属ケースなどへの放電へ
繋がり、ポップコーンノイズとして出力されるというメ
カニズムを解明するに至った。
【0013】本発明は、発明者らの鋭意検討の結果得ら
れた上記知見に基づいて考案されたもので、従来例より
もさらに大幅にポップコーンノイズを低減した焦電型赤
外線検知素子を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、多分域化された焦電体基板の
裏面に導電パターンを形成し、前記導電パターンを電気
的に接地した後、焦電体基板に表面から荷電粒子を照射
して裏面導電パターンとそれに対向した表面で囲まれた
領域の分極方向を揃えて単分域化し、その後、単分域化
された表面に導電パターンを形成して、表裏の導電パタ
ーンが対向する領域を赤外線感受部とすることを特徴と
するものである。これにより、赤外線感受部のみが単分
域化され、それ以外の部分は多分域化されている焦電型
赤外線検知素子を実現できる。
【0015】ここで、単分域化及び多分域化の意味につ
いて説明する。一般に焦電体基板と言う場合、特に断り
のない限り、全体が焦電性を有する基板を指し、大きく
単結晶基板とセラミック(焼結体)基板に区分される
が、単結晶基板については基板に切り出される前の結晶
成長体(一般にインゴットなどと言う)の段階で、セラ
ミック基板については焼結形成されたシートの段階で、
図3(a)に示すように、基板内部の自発分極8の方向
を一様にして焦電性を示すようにする分極処理(ポーリ
ング)と呼ばれる処理が施されている。この分極処理が
なされていないと、基板内の自発分極8は、図3(b)
に示すように、ランダムな方向を向いており、全体とし
て焦電性を示さない状態となっている。ランダムな方向
を持つ一つ一つの自発分極8を持つ微小な領域9を一般
に分域(あるいはドメイン)と言い、基板内に多くの分
域を持つことから、この構造(状態)を多分域構造(状
態)という。またそれに比して前述した全体の自発分極
8が揃っている構造(状態)を単分域構造(状態)と言
う。このことから前記処理は単分域化処理とも呼ばれ
る。図12に示した焦電体基板1が最も大きい焦電係数
を持つ方向Pとは、この単分域の揃った自発分極8の方
向のことである。本発明において、赤外線感受部のみが
単分域化され、それ以外の部分は多分域化されていると
は、赤外線感受部のみが焦電性を有する単分域構造を有
し、それ以外の領域は焦電性を有しない多分域構造を有
するという意味である。
【0016】このように、請求項1の発明によれば、赤
外線感受部のみが単分域化され、それ以外の部分は多分
域化されている焦電型赤外線検知素子を製造できるか
ら、赤外線感受部以外の領域で、外部環境温度変化によ
る不良電荷が発生することは無くなる。従って、焦電体
基板、外部回路基板及び両者を固着する接着剤との間の
熱膨張差による応力や、外部からの機械的振動などが同
時に発生しても、前記圧電的トリガー作用も生ぜず、か
かる要因に起因するポップコーンノイズは発生しない。
また、例えば前記特開平10−2793号に記載の通
り、赤外線感受部の周辺に貫通スリットを設けて、該感
受部を焦電体基板の一部で片持ち支持させた構造にする
ことにより外部温度の変化により発生する応力を緩和
し、該感受部における圧電性電荷の発生に起因するポッ
プコーンノイズを更に低減できることは言うまでもな
い。以上の相乗効果により、従来よりもさらに大幅にポ
ップコーンノイズを低減することができた。
【0017】また、請求項2の発明は、請求項1におい
て単分域化する領域をより均一に作製するために、荷電
粒子の照射前に、焦電体基板の表面側に裏面側の導電パ
ターンと対向するように導電パターンを形成しておくも
のである。また、請求項3の発明は、上述の請求項1、
2では元の焦電体材料が多分域状態であるのに反し、元
の焦電体材料が単分域状態である。請求項1の導電パタ
ーンは単分域化したい領域に設けるのであるが、請求項
3においては多分域化したい領域に導電パターンを設
け、荷電粒子を照射して多分域化する。
【0018】また、請求項4の発明は、請求項3におい
て多分域化する領域をより均一に作製するために、荷電
粒子の照射前に、焦電体基板の表面側に裏面側の導電パ
ターンと対向するように導電パターンを形成しておくも
のである。また、請求項5の発明は、請求項1〜4の発
明において、厚い焦電体基板を用い、一括して分極処理
を行い、その後、切断することにより適切な厚みの焦電
体材料を得る方法であり、より効率的に赤外線感受部の
みが単分域化された基板を得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1〜図3は請求項1の発明の一
実施形態を示すものである。図1及び図2に示す焦電体
基板1は、荷電粒子照射前に、図3(b)のように、基
板全体が多分域化されているものとする。図1(a)〜
(c)は焦電体基板の断面図であり、製造工程を時間的
な流れに沿って示している。図2(a)は荷電粒子照射
前の焦電体基板を表側から見た平面図、図2(b)は荷
電粒子照射前後の焦電体基板の裏側を表側より透視して
見た裏面図、図2(c)は荷電粒子照射後の焦電体基板
を表側から見た平面図である。基板1の裏面側には、図
2(b)に示すように、単分域化したい領域に導電パタ
ーンが予め構成されている。この導電パターンは、荷電
粒子照射中に基板に厚み方向の電界が印加されるよう
に、図1(a)に示すように、電気的に接地されてい
る。図1(a)は図2のA−A’線についての断面図で
ある。裏面導電パターンに相当する部分に表面から荷電
粒子を適切な電荷量になるまで照射する。本実施例にお
いては、荷電粒子として電子ビームを用いた。裏面の導
電パターンが存在する範囲内においてのみ、基板の裏面
から表面に向けて電界が印加される。この電界により電
界方向と分極方向が逆の電気双極子は反転する。
【0020】電子ビームの照射領域を走査することによ
り次々と分極反転が発生し、最終的には、図1(b)に
示すように、裏面導電パターンに相当する領域10のみ
が単分域構造となる。裏面導電パターンが無い領域11
においては、元の基板の状態である多分域構造のままで
ある。電子ビームの照射条件は、照射される材料の種類
や基板の厚みによって変わるが、ここではLiTaO3
基板について加速電圧5〜50kVの範囲で、電流値は
1〜100nAの範囲とした。また、当然ながら照射は
電子ビームを連続的にスキャンしながら行い、分域構造
が均一になるようにした。
【0021】電子ビーム照射後に、赤外線検知素子とし
ての機能をもたらすために、図1(c)及び図2(c)
に示すように、表面に赤外線感受部3及び外部回路へ信
号を取り出すための引き出し配線2及び外部回路への接
続電極部5を形成する。出来上がった焦電型赤外線検知
素子の等価回路図は図15のようになる。
【0022】以上のようにして作製した焦電型赤外線検
知素子は、前述の説明の通り、従来よりもさらに大幅に
ポップコーンノイズを低減することができる。当然、赤
外線感受部3を取り囲むように貫通スリットを設けた検
知素子においては、より一層、ポップコーンノイズを低
減することができる。
【0023】図4及び図5は請求項2の発明の一実施形
態を示すものである。図5(a),(b)に示す焦電型
赤外線検知素子の外観構造は、図2(c),(b)に示
す外観構造と同じであり、等価回路図も図15と同じで
あるが、製造工程が異なる。すなわち、本実施形態にお
いては、分極反転をより均一に行うために、図4(a)
及び図5(a)に示すように、電子ビーム照射前の焦電
体基板1において、裏面の導電パターンと対向するよう
に表面に導電パターンを形成している。照射された電子
は、表面側に設けた導電パターンによりパターン全域に
拡がり、パターン内においては電界強度が均一となり、
分極反転がより均一に発生する。本実施形態によれば、
電子ビーム照射前の焦電体基板1に既に赤外線感受部3
が形成されているので、電子ビーム照射後、そのままの
形態で赤外線検知素子とすることができる。
【0024】また、図6(a),(b)に示すような表
裏面の導電パターンを形成した基板を用いても同じ効果
が得られる。ここで、赤外線感受部3の周辺に設けられ
たコの字型のスリット12は、赤外線感受部3からの熱
拡散を防止し、赤外線に対する感度を向上させるととも
に、検知素子に加わる外力により、赤外線感受部3が受
ける応力を低減するものであり、このスリット12を形
成することによりポップコーンノイズを更に低減でき
る。
【0025】図7及び図8は請求項3の発明の一実施形
態を示すものである。本実施形態においては、荷電粒子
照射前の焦電体基板1は単分域構造となっている。図8
は荷電粒子照射前の焦電体基板1の外観構造を示してお
り、(a)は表側から見た平面図、(b)は裏側を表側
より透視して見た裏面図である。ここでは多分域化した
い領域に対応して裏面側に導電パターン13を形成して
いる。図7(a)に示すように、裏面の導電パターン1
3は電気的に接地した。ここでは荷電粒子として電子ビ
ームを用いた。また、ここで云う単分域化された焦電体
基板とは、基板内部において電気双極子が基板表面から
基板裏面に向かっているものである。この焦電体基板に
おいて表面から電子ビームを照射し、図7(b)に示す
ように、導電パターン13が形成されている領域11に
分極反転を発生させ、単分域構造から多分域構造へ変え
る。電子ビームにより電界が印加されない領域10は単
分域構造のまま残る。電子ビームの照射後、裏面の導電
パターン13をエッチング等により除去し、赤外線検知
素子として機能させるために、前述の図5(a),
(b)と同じように、表面に赤外線感受部3及び外部回
路へ信号を取り出すための引き出し配線2及び外部回路
への接続電極部5を形成する。最終的に製造される検知
素子の外観構造は、図5(a),(b)と同じであり、
等価回路図は図15と同じである。
【0026】図9及び図10は請求項4の発明の一実施
形態を示すものである。本実施形態においても焦電体基
板1は前もって単分域化されている。図10は荷電粒子
照射前の焦電体基板1の外観構造を示しており、(a)
は表側から見た平面図、(b)は裏側を表側より透視し
て見た裏面図である。ここでは、多分域化したい領域に
対応して表裏両面に対向して導電パターン13を形成し
ている。
【0027】本実施形態の焦電型赤外線検知素子は、前
述のクワッド型であり、赤外線感受部3が基板の上に4
個形成されている。また、赤外線感受部3からの熱拡散
を低減するとともに、外力による赤外線感受部3への応
力を低減するために、赤外線感受部3の周辺にはコの字
型のスリット12を設けている。図9(a)に示すよう
に裏面の導電パターン13は電気的に接地した。ここで
は荷電粒子として電子ビームを用いた。また、ここで云
う単分域化された焦電体基板とは、基板内部において電
気双極子が基板表面から基板裏面に向かっているもので
ある。この焦電体基板において表面から電子ビームを照
射し、導電パターン13が形成されている領域に分極反
転を発生させ、単分域構造から多分域構造へ変える。図
9(b)に示すように、電子ビームにより電界が印加さ
れない領域10は単分域構造のまま残り、電子ビームに
より電界が印加された領域11は多分域構造に変わる。
電子ビーム照射後、表裏面の導電パターン13をエッチ
ング等により除去し、赤外線検知素子として機能させる
ために、前述の図6(a),(b)と同じように、表面
に赤外線感受部3及び外部回路へ信号を取り出すための
引き出し配線2及び外部回路への接続電極部5を形成す
る。最終的に製造される検知素子の外観構造は、図6
(a),(b)と同じであり、等価回路図は図17と同
じである。
【0028】以上の説明では、焦電体基板として、その
ままの厚みで赤外線検知素子として機能する厚み(30
〜100μm厚み)を用いることを前提に説明したが、
例えば500μm厚み以上の焦電体基板を用い、一括し
て分極処理し、その後、基板を適切な厚みに切断して
も、赤外線感受部のみを単分域化することが可能であ
り、前述した実施形態と同じ効果が得られた。
【0029】この一括分極処理について図11により説
明する。図11(a)に示すように、多分域化した厚い
焦電体基板の表裏面に、単分域化したい領域に対応し
て、導電パターンを形成する。裏面導電パターンは電気
的に接地されている。表面から電子ビームを適切な電荷
量になるまで照射し、単分域化する。図11(b)に単
分域化された領域10を示す。その後、表裏面の導電パ
ターンをエッチング等で除去することにより、図11
(c)の状態とする。この基板をワイヤーソー等を用い
て適切な厚みに切断すると、図11(d)のようにな
り、赤外線感受部のみが単分域化された薄い基板が得ら
れる。
【0030】
【発明の効果】請求項1〜4の製造方法によれば、赤外
線感受部のみが単分域化され、それ以外の部分は多分域
化されている焦電型赤外線検知素子を製造できるから、
赤外線感受部以外の領域で外部環境温度変化による不良
電荷の発生が無く、従って、焦電体基板、外部回路基板
及び両者を固着する接着剤との間の熱膨張差による応力
や、外部からの機械的振動などが同時に発生しても、前
記圧電的トリガー作用も生ぜず、かかる要因に起因する
ポップコーンノイズは発生せず、従来よりもさらに大幅
にポップコーンノイズを低減することができる。さら
に、請求項5の製造方法によれば、厚い基板を赤外線感
受部のみが単分域化された状態にし、その後適切な厚み
に切断することにより、効率的に赤外線検知素子用基板
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に用いる焦電体基板の断面構造
の一例を製造工程に沿って示す断面図である。
【図2】請求項1の発明に用いる焦電体基板を一例とし
て示す図であり、(a)は荷電粒子照射前の焦電体基板
を表側から見た平面図、(b)は荷電粒子照射前後の焦
電体基板の裏側を表側より透視して見た裏面図、(c)
は荷電粒子照射後の焦電体基板を表側から見た平面図で
ある。
【図3】本発明に用いる焦電体基板の単分域構造と多分
域構造の説明図である。
【図4】請求項2の発明に用いる焦電体基板の断面構造
の一例を製造工程に沿って示す断面図である。
【図5】請求項2の発明に用いる焦電体基板を一例とし
て示す図であり、(a)は表側から見た平面図、(b)
は裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図6】請求項2の発明に用いる焦電体基板の他の一例
を示す図であり、(a)は表側から見た平面図、(b)
は裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図7】請求項3の発明に用いる焦電体基板の断面構造
の一例を製造工程に沿って示す断面図である。
【図8】請求項3の発明に用いる焦電体基板を一例とし
て示す図であり、(a)は表側から見た平面図、(b)
は裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図9】請求項4の発明に用いる焦電体基板の断面構造
の一例を製造工程に沿って示す断面図である。
【図10】請求項4の発明に用いる焦電体基板を一例と
して示す図であり、(a)は表側から見た平面図、
(b)は裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図11】請求項5の発明に用いる焦電体基板の断面構
造の一例を製造工程に沿って示す断面図である。
【図12】従来の焦電型赤外線検知素子の断面図であ
る。
【図13】従来の焦電型赤外線検知素子を回路記号で示
した回路図である。
【図14】従来のデュアル型の焦電型赤外線検知素子を
示す図であり、(a)は表側から見た平面図、(b)は
裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図15】従来のデュアル型の焦電型赤外線検知素子を
回路記号で示した回路図である。
【図16】従来のクワッド型の焦電型赤外線検知素子を
示す図であり、(a)は表側から見た平面図、(b)は
裏側を表側より透視して見た裏面図である。
【図17】従来のクワッド型の焦電型赤外線検知素子を
回路記号で示した回路図である。
【図18】従来の焦電型赤外線検知素子の回路基板への
接続構造の一例を示す断面図である。
【図19】従来の焦電型赤外線検知素子の外部回路の一
例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 焦電体基板 2 引き出し配線 3 赤外線感受部 5 外部回路への接続電極部 10 単分域化された領域 11 多分域化された領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小牧 克次 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 Fターム(参考) 2G065 AA04 AB02 BA13 CA21 2G066 BA02 BA51 BA55 BB11 BB13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多分域化された焦電体基板の裏面に導
    電パターンを形成し、前記導電パターンを電気的に接地
    した後、焦電体基板に表面から荷電粒子を照射して裏面
    導電パターンとそれに対向した表面で囲まれた領域の分
    極方向を揃えて単分域化し、その後、単分域化された表
    面に導電パターンを形成して、表裏の導電パターンが対
    向する領域を赤外線感受部とすることを特徴とする焦電
    型赤外線検知素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 多分域化された焦電体基板の表裏面に
    対向した導電パターンを形成し、裏面導電パターンのみ
    を電気的に接地した後、焦電体基板に表面から荷電粒子
    を照射し、表裏の導電パターンが対向する領域の分極方
    向を揃えて単分域化して赤外線感受部とすることを特徴
    とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 単分域化された焦電体基板の裏面に導
    電パターンを形成し、前記導電パターンを電気的に接地
    した後、焦電体基板に表面から荷電粒子を照射して裏面
    導電パターンとそれに対向した表面で囲まれた領域の分
    極方向を変えて多分域化し、その後、前記裏面導電パタ
    ーンを除去し、単分域領域の表裏面に対向する導電パタ
    ーンを形成して赤外線感受部とすることを特徴とする焦
    電型赤外線検知素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 単分域化された焦電体基板の表裏面に
    対向した導電パターンを形成し、裏面導電パターンのみ
    を電気的に接地した後、焦電体基板に表面から荷電粒子
    を照射し、表裏の導電パターンが対向する領域の分極方
    向を変えて多分域化し、その後、前記表裏面の導電パタ
    ーンを除去し、単分域領域の表裏面に対向する導電パタ
    ーンを形成して赤外線感受部とすることを特徴とする焦
    電型赤外線検知素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の製
    造方法において、厚い基板に荷電粒子を照射して単分域
    領域及び多分域領域を設けた後、基板を厚み方向に切断
    し、薄い多数枚の焦電型赤外線検知素子用の基板を得る
    ことを特徴とする焦電型赤外線検知素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019086441A (ja) * 2017-11-08 2019-06-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 焦電素子及びそれを備える赤外線検出装置

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