JP2001196282A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JP2001196282A
JP2001196282A JP2000009951A JP2000009951A JP2001196282A JP 2001196282 A JP2001196282 A JP 2001196282A JP 2000009951 A JP2000009951 A JP 2000009951A JP 2000009951 A JP2000009951 A JP 2000009951A JP 2001196282 A JP2001196282 A JP 2001196282A
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elastic modulus
longitudinal elastic
semiconductor
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JP2000009951A
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Yoshio Ozeki
良雄 大関
Kunio Matsumoto
邦夫 松本
Masaru Sakaguchi
勝 坂口
Isamu Yoshida
勇 吉田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】第一の目的は、半導体装置のチップ割れ耐性の
向上をコストを増加させずに実現することである。ま
た、第二の目的は、チップ割れ耐性を維持した状態で低
コスト化を実現することである。 【解決手段】半導体装置3の直交する端辺の長さL1
2の関係がL1>L2の場合、半導体装置3の長辺L1
向の縦弾性係数E1(4)と、短辺L2方向の縦弾性係数E
2(5)の関係をE1>E2とする。また、L1、L2の関係
がL1≒L2、半導体装置のL1方向の縦弾性係数E1とL
2方向の縦弾性係数E2との関係がE1>E2の場合、半導
体装置のL1方向のダイシング速度S1とL2方向のダイ
シング速度S2との関係をS1>S2とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置及びそ
の製造方法に係り、特に半導体チップ割れ耐性向上を低
コストで実現する半導体装置及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ノートパソコン、携帯電話、PH
S、PDA、ムービー、カメラ、また、メモリーカー
ド、ICカード等の電子機器や情報機器の小形化、軽量
化、薄形化に伴い、高密度実装を実現するため、50〜30
0μm程度に薄形化した半導体装置を用いることがあ
る。
【0003】半導体装置の薄形化工程は、半導体素子を
形成した500〜700μm厚程度の半導体ウェーハを薄くす
るための裏面研削、化学的エッチング、また、保護シー
トからの剥離や、個々の半導体装置に分割するためのダ
イシングを行う。
【0004】薄形化した従来の半導体装置は、大きなク
ラックを内在しているため、機械的強度を低下させる問
題を有していた。特に、ダイシングを行った場合、半導
体装置端部のチッピングが大きくなり、半導体装置の機
械的強度を大きく低下させる。
【0005】そのため、半導体装置を回路基板に実装し
たFCA(Flip Chip Attach)、C4(Controlled Collap
se Chip Connection)等のベアチップ実装構造体や、Q
FP(Quad Flat Package)等を薄形化したパッケージを
基板に実装した実装構造体の製造過程や市場において、
機械的応力や熱応力によって図4に示すような半導体装
置に割れが発生し、電気的不良になることがあった。
【0006】すなわち、図4(a)は、厚さ500μmの半
導体ウェーハの裏面を研削して100μmの厚さに薄形化
したウェーハに対してダイシングを行って個々の半導体
装置(チップ)に分離したときの薄形加工面の平面拡大
図である。図中の符号2はダイシングラインを示してお
り、このダイシングライン2に沿って半導体チップ3の
端部にチッピング31が発生している。
【0007】また、図4(b)は、この薄形化された半導
体チップ3を回路基板10上に実装したベアチップ実装
構造体12の断面構造を示しており、0.5kgf/4m
2の外力Fで湾曲させた時に、半導体チップ3に割れ
14が発生した状態を模式的に示している。なお、同図
の9は充填樹脂、11は回路基板上の配線、13は電気
的接続用のバンプをそれぞれ示している。
【0008】この半導体装置3に生じる割れ14は、半
導体装置の長辺方向の垂直な面に割れを生じることがほ
とんどである。
【0009】この割れ防止のために、従来は薄くした半
導体ウェーハに補強部材を接着してダイシングする方法
により、チッピング量を少なくし機械的強度を高くして
チップ割れ耐性を向上させる方法や、例えば特開昭62-1
42695号公報や特開平08-263616に記載されているよう
に、薄くした半導体装置を実装した実装構造体の上下面
もしくは半導体装置の端辺側に補強板を設けて全体の剛
性を向上させ、半導体装置に生じる機械的応力を低減す
る方法等が採られていた。
【0010】しかし、半導体装置のチップ割れ耐性向上
について、半導体装置の物性の方向依存性まで踏み込ん
で検討した事例はこれまでになかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】半導体装置として用い
られている一般的材料は、シリコンやGaAs等の脆性材料
であるため、これらの材料にクラック等が内在すると機
械的強度が著しく低下する。薄形化工程で機械的強度が
低下した半導体装置を回路基板に実装した実装構造体は
製造過程や市場において、機械的応力や熱応力によって
半導体装置に割れが発生し、電気的不良になる。
【0012】よって、半導体装置のチップ割れ耐性向上
は、特にメモリーカードやICカード等の薄形の半導体
装置を使用する上での基本的課題であった。そこで、従
来は上記のように何らかの補強手段を用いてこれに応え
てきたが、かなりのコスト増になっていた。
【0013】したがって、本発明の目的は、このような
従来技術の問題点を解消することにあり、半導体装置が
薄形化されても何ら特別の補強手段を設けることなく、
割れの発生を著しく低減でき、信頼性の高い半導体装置
が得られる半導体装置の構造及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0014】これによって、半導体装置のチップ割れ耐
性の向上をコストを増加させずに実現することができ、
また、チップ割れ耐性を維持した状態で低コスト化を実
現することができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、上
記目的を達成するために、半導体チップの機械的強度と
機械的応力とが半導体装置のチップ割れに対して如何に
影響するのか詳細な実験検討を行った。その結果、半導
体装置の直交する端辺の長さL1、L2の関係がL1>L2
の場合、半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数E1と短
辺L2方向の縦弾性係数E2の関係をE1>E2とすること
により、半導体装置のチップ割れ耐性が著しく向上する
と云う知見を得た。
【0016】ここで縦弾性係数Eとは、半導体装置をあ
る一定方向(例えば長辺L1方向、もしくは短辺L2
向)に引っ張ったときの弾性率(ヤング率)を意味する
ものである。
【0017】本発明に係る半導体装置は、このような新
しい知見に基づいてなされたものであり、以下に本発明
の原理を具体的に説明する。
【0018】半導体装置のチップ割れ耐性Mは、機械的
強度σSと機械的応力σLの関係から、M=σS−σLとな
る。この半導体装置のチップ割れ耐性Mの向上を実現す
るためには、半導体装置の縦弾性係数Eの方向依存性と
半導体装置端辺の長さLの関係に依存した機械的強度σ
Sと機械的応力σLをバランスよく確保してチップ割れ耐
性M=σS−σL>0を大きくする必要がある。
【0019】ここで、薄形化された半導体装置の長辺L
1方向の機械的応力σL1と短辺L2方向の機械的応力σL2
との関係を、周知の3点曲げ試験により測定する場合を
図1(c)及び図1(d)を用いて説明する。
【0020】すなわち、図1(c)は長辺L1方向の機
械的応力σL1を、図1(d)は短辺L2方向の機械的応
力σL2を測定する場合を模式的に示したものである。先
ず、所定間隔dで配置した二つの支点15a−15b上に半
導体装置3の薄形加工面を搭載し、これら二つの支点間
の中心部に向かって背面の半導体装置の素子形成面側か
ら同一負荷(外力F)を掛けて測定する。
【0021】一般的に、端辺の長さLが長いほど機械的
応力σLは大きくなるため、図1(c)及び図1(d)
に示すように、半導体装置3に同一負荷(外力F)が作
用した場合、半導体装置の長辺L1方向の機械的応力σ
L1と短辺L2方向の機械的応力σL2との関係は、図示の
ようにσL1>σL2となる。
【0022】半導体装置3の長辺L1方向のチップ割れ
耐性M1と短辺L2方向のチップ割れ耐性M2をバランス
よく確保するには、長辺L1方向の機械的強度σS1と、
短辺L2方向の機械的強度σS2との関係をσS1>σS2
なるようにする必要がある。
【0023】一方、半導体装置の機械的強度σSと縦弾
性係数Eは、同一材料の場合、σS∝ Eが成立するた
め、半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数E1と短辺L
2方向の縦弾性係数E2は、E1>E2になるように選べば
よい。
【0024】すなわち、半導体装置の長辺L1方向のチ
ップ割れ耐性M1は、半導体装置の端辺の長さL1に依存
して高い機械的応力σL1が生じた場合でも、E1>E2
関係にある縦弾性係数E1に依存して高い機械的強度σ
S1であるため、チップ割れ耐性M1を確保できる。
【0025】また、半導体装置の短辺L2方向のチップ
割れ耐性M2は、長辺方向と比べて低い機械的強度σS2
であっても、端辺の長さL2に依存して低い機械的応力
σL2となるため、両者バランスよく確保できる。
【0026】よって、半導体装置のチップ割れ耐性M
は、半導体装置の縦弾性係数Eの方向依存性と半導体装
置端辺の長さLとの関係を考慮することで、チップ割れ
耐性Mの向上をコストを増加させずに実現することがで
きる。
【0027】また、本発明は、半導体装置の直交する端
辺の長さL1、L2の関係がL1≒L2で、半導体装置のL
1方向の縦弾性係数E1とL2方向の縦弾性係数E2との関
係がE1>E2の場合には、半導体装置のL1方向のダイ
シング速度S1とL2方向のダイシング速度S2との関係
をS1>S2として、半導体装置のL1方向のダイシング
速度S1をL2方向のダイシング速度S2よりも速くする
半導体装置の製造方法により、所期の目的が達成でき
る。
【0028】以下にその理由を具体的に述べる。半導体
装置のチップ割れ耐性Mを維持するためには、上記と同
様に機械的強度σSと機械的応力σLとの関係において、
M=σS−σL>0を維持する必要がある。半導体装置の
1方向の機械的強度σS1とL2方向の機械的強度σS2
関係は、E1>E2の関係からσS1>σS2となる。
【0029】また、半導体装置のL1方向に生じる機械
的応力σL1とL2方向に生じる機械的応力σL2の関係
は、L1≒L2よりσL1≒σL2となる。このため、半導体
装置のチップ割れ耐性Mは、半導体装置の直交する端辺
の機械的強度σS1>σS2の関係に依存して、M1>M2
0となる。
【0030】ここで、半導体装置の低コスト化を実現す
るための一つの方法として、ダイシング速度Sの高速化
がある。ダイシング速度Sと機械的強度σSの関係がσS
∝1/Sであることを考慮し、半導体装置のチップ割
れ耐性Mを維持できる範囲内で、ダイシング速度を速く
することが可能となる。
【0031】よって、半導体装置のチップ割れ耐性Mを
維持できる範囲内で、半導体装置のL1方向のダイシン
グ速度S1とL2方向のダイシング速度S2との関係をS1
>S2として、半導体装置のL1方向のダイシング速度S
1をL2方向のダイシング速度S2よりも速くすること
で、低コスト化を実現することができる。
【0032】また、半導体装置の直交する端辺の長さL
1、L2の関係がL1≒L2であっても、半導体装置のL1
方向の縦弾性係数E1とL2方向の縦弾性係数E2との関
係が上記と逆の関係、すなわち、E1<E2の場合には、
半導体装置のL1方向のダイシング速度S1とL2方向の
ダイシング速度S2との関係をS1<S2として、半導体
装置のL2方向のダイシング速度S2を、L1方向のダイ
シング速度S1よりも速くすればよい。
【0033】また、本発明は、上記半導体装置およびそ
の製造方法において、半導体装置の材料がシリコンの場
合、シリコンの結晶方位〈111〉、〈110〉、〈1
12〉、〈100〉によって機械的強度はσ〈111〉
σ〈110〉=σ〈112〉>σ〈100〉の関係にあるので、
これに対応した縦弾性係数がE1>E2の関係となるよう
に結晶方位の組み合わせを適宜選択して半導体装置の直
交する端辺を構成すればよい。
【0034】具体的には、シリコン半導体装置の直交す
る端辺の長さL1、L2の関係を例えばL1>L2とした場
合、長辺L1方向に結晶方位〈111〉を、短辺L2
向に結晶方位〈110〉を選択する組み合わせ、長辺
1方向に結晶方位〈111〉を、短辺L2方向に結晶方
位〈112〉を選択する組み合わせ、長辺L1方向に
結晶方位〈110〉を、短辺L2方向に結晶方位〈10
0〉を選択する組み合わせが好ましい。
【0035】本発明の半導体装置を構成する材料として
は、シリコン単結晶に限らず非晶質シリコン、さらには
例えばGaAs等の化合物半導体でもよい。
【0036】以上説明したように、上記本発明の構成に
よれば、薄形化した半導体装置を基板に実装したFC
A、C4等のベアチップ実装構造体や、QFP等を薄形
化したパッケージを基板に実装した実装構造体の製造過
程や市場において、機械的応力や熱応力によって半導体
装置に生じる割れの発生を低減し、コストをかけずに半
導体装置の信頼性を向上させたり、信頼性を維持しなが
らコスト低減することができる。
【0037】特に、携帯電話、PHS、PDA、メモリ
ーカード、ICカード等の電子機器や情報機器におい
て、薄形化された半導体装置への補強構造を用いること
なく、小形化、軽量化、薄形化のための高密度実装を低
コスト化で実現することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明に係わる半導体装置の実施
の形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明に
係わる半導体装置の一実施の形態を示す平面図及び断面
図、図2は、本発明に係わる半導体装置の他の一実施の
形態を示す平面図、図3は、本発明の一実施の形態を具
体的に説明する斜視図で、図4は、比較例として従来の
半導体装置を基板に実装した実装構造体を示す平面図及
び断面図である。
【0039】図1、図2、図3、図4において、符号の
1は半導体ウェーハ、2はダイシングライン、3は半導
体装置(チップ)、31はチッピング、4は半導体装置
の長辺L1方向の縦弾性係数E1、同じく符号の41、4
2、43は半導体装置の長辺L1方向に平行なシリコン
の結晶方位の縦弾性係数E1、符号の5は半導体装置の
短辺L2方向の縦弾性係数E2、同じく符号の51、5
2、53は半導体装置の短辺L2方向に平行なシリコン
の結晶方位の縦弾性係数E2、6は半導体装置のL1方向
のダイシング速度S1、7は半導体装置のL2方向のダイ
シング速度S2、8はダイシング用ブレード、9は充填
樹脂、10は回路基板、11は配線、12はベアチップ
実装構造体、13は電気的接続用のバンプで、14は割
れ、15a及び15bは支点、をそれぞれ示している。
【0040】上記本発明の半導体装置は以下に特徴付け
られた二つの製造方法により得ることができる。その一
つは、ウェーハの主表面に半導体素子を形成し、裏面を
研削もしくはエッチングして厚さを300μm以下に薄
形化したウェーハから個々の半導体装置を切り出す工程
を有する半導体装置の製造方法であって、前記ウェーハ
から個々の半導体装置を切り出す工程においては、半導
体装置の直交する端辺の長さL1、L2の関係をL1>L2
とし、半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数E1と短辺
2方向の縦弾性係数E2との関係をE1>E2とした条件
下で、前記薄形化したウェーハから半導体装置を切り出
すことを特徴とする。
【0041】他の一つは、ウェーハの主表面に半導体素
子を形成し、裏面を研削もしくはエッチングして厚さを
300μm以下に薄形化したウェーハから個々の半導体
装置を切り出す工程を有する半導体装置の製造方法であ
って、前記半導体装置の直交する端辺の長さL1、L2
関係がL1≒L2、半導体装置のL1方向の縦弾性係数E1
とL2方向の縦弾性係数E2の関係がE1>E2であり、半
導体装置のL1方向のダイシング速度S1とL2方向のダ
イシング速度S2との関係をS1>S2としたことを特徴
とする。
【0042】また、半導体装置のL1方向の縦弾性係数
1とL2方向の縦弾性係数E2の関係がE1<E2のとき
は、半導体装置のL1方向のダイシング速度S1とL2
向のダイシング速度S2との関係をS1<S2とすればよ
い。
【0043】
【実施例】以下、図面にしたがって本発明の実施例を具
体的に説明する。 〈実施例1〉本発明に係わる半導体装置の一実施例につ
いて、図1を参照しながら説明する。図1(a)は、半
導体装置3の直交する端辺の長さLと縦弾性係数Eの関
係を半導体ウェーハ上に示した平面図である。
【0044】厚さ500μmのウェーハに半導体素子を形
成した後、裏面を研削して厚さ100μmとし、この薄形
化されたウェーハ1から直交するダイシングライン2に
沿って個々の半導体装置3を切り出した。
【0045】図1(b)はその半導体装置3の拡大平面
図で、半導体装置3に直交する端辺の長さL1、L2の関
係は、L1>L2である。また、半導体装置3の直交する
端辺の長さの関係に対応して、半導体装置3の長辺L1
方向の縦弾性係数(E1)4と短辺L2方向の縦弾性係数
(E2)5の関係は、E1>E2で構成される。
【0046】このように、L1>L2の関係にある半導体
装置3の長辺L1方向の縦弾性係数(E1)4をより高く
して、短辺L2方向の縦弾性係数(E2)5を低く設けて
構成するのは、コストを増加させずにM=σS−σL>0
の関係にある半導体装置3のチップ割れ耐性Mの向上を
実現するためである。
【0047】なお、チップ割れ耐性Mの向上を実現する
ための半導体装置3の機械的強度σSは、σS ∝ Eの関
係にあり、半導体装置3の機械的応力σLは端辺の長さ
の増加と共に低くなるので、上記構成の半導体装置3と
なる。
【0048】この機械的強度σSと縦弾性係数Eとの関
係について半導体装置3の一般的材料であるシリコン基
板を用いて評価した。機械的強度σSの評価は、同一形
状の3種類のシリコン基板を用いて、図1(c)及び図1
(d)に示した3点曲げ試験で行った。
【0049】機械的強度σSは、周知の計算式 σS=2
PL/3bh2 で求めることができる。式中のPは加重
(F)、Lは試料の長さ、bは試料の幅、hは試料の厚さ
である。この例では、L=4mm、b=2、h=100μ
mの条件とした。
【0050】ここで、3点曲げ試験の時に生じる機械的
応力σLの方向は、異なる縦弾性係数Eを有する3種類
のシリコンの結晶方位とした。一つ目のシリコン基板に
生じる機械的応力σLの方向は、縦弾性係数188GP
aのシリコンの結晶方位〈111〉、二つ目のシリコン
基板に生じる機械的応力σLの方向は、縦弾性係数16
9GPaのシリコンの結晶方位〈110〉および〈11
2〉、三つ目のシリコン基板に生じる機械的応力σL
方向は、縦弾性係数130GPaのシリコンの結晶方位
〈100〉とした。
【0051】その結果、機械的応力σLの方向の縦弾性
係数が188GPaの場合には、縦弾性係数169GP
aに比べ、機械的強度σSが平均で1.2培、縦弾性係
数130GPaに比べ、機械的強度σSが平均で1.5
培となり、縦弾性係数Eに依存して高い機械的強度σS
になることを確認した。
【0052】よって、半導体装置3は、図1(c)及び
図1(d)に示すように、外部負荷Fによって生じる機
械的応力σLが生じたとしても、割れが生じることなく
チップ割れ耐性を確保することができる。
【0053】次いで、図3は、半導体装置3としてシリ
コンを用いた実施例を示した図で、半導体装置の長辺L
1方向に高い縦弾性係数E1を持つシリコンの結晶方位と
し、半導体装置の短辺L2方向に低い縦弾性係数E2を持
つシリコンの結晶方位で構成した半導体装置である。
【0054】具体的には、図3(a)の半導体装置は、
半導体装置の長辺L1方向を〈111〉、短辺L2方向に
〈110〉とした半導体装置である。この場合、縦弾性
係数41(E1)=188GPa、縦弾性係数51(E2)=169
GPaであるから、E1>E2となる。
【0055】また、図3(b)の半導体装置は、半導体
装置の長辺L1方向を〈111〉、短辺L2方向に〈11
2〉とした半導体装置である。この場合、縦弾性係数42
(E1)=188GPa、縦弾性係数52(E2)=169GPa
であるから、E1>E2となる。
【0056】図3(c)の半導体装置は、半導体装置の
長辺L1方向を〈110〉、短辺L2方向に〈100〉と
した半導体装置である。この場合、縦弾性係数43
(E1)=169GPa、縦弾性係数52(E2)=130GPa
であるから、E1>E2となる。
【0057】この場合の各結晶方位における機械的強度
σSを平均値で表すと、結晶方位〈111〉の場合には
σS=1.0〜1.7GPa、結晶方位〈110〉及び〈11
2〉の場合には、いずれもσS=0.8〜1.5GPa、結晶
方位〈100〉の場合にはσS=0.3〜1.0GPaとなる。
【0058】なお、図3(a)〜図3(c)において、L
1及びL2の結晶面方位を、逆転させた比較例の場合に
は、いずれも E1<E2 となり、チップ割れ耐性が M
=σS−σL<0 となって全く実用にならなかった。
【0059】〈実施例2〉次に、本発明に係わる半導体
装置3の他の一実施例として図2を用いて説明する。図
2(a)は、半導体装置3の直交する端辺の長さLおよ
び縦弾性係数Eと、ダイシング速度Sとの関係を半導体
ウェーハ上に示した平面図である。
【0060】図2(a)の半導体装置3は、半導体装置
3の直交する端辺の長さL1、L2の関係がL1≒L2の場
合、半導体装置のL1方向の縦弾性係数(E1)4とL2
方向の縦弾性係数(E2)5の関係をE1>E2となるよ
うに構成する。この時の半導体装置のチップ割れ耐性M
は、半導体装置の直交する端辺の機械的強度σS1>σS2
の関係に依存してM1>M2となる。
【0061】ここで、半導体装置3のチップ割れ耐性M
を維持した状態で低コスト化を実現するための半導体装
置3の製造方法は、ダイシング速度Sと機械的強度σS
の関係がσS ∝ 1/Sであることを考慮して、半導体
装置のL1方向のダイシング速度(S1)6を、半導体装
置のL2方向のダイシング速度(S2)7より速くする方
法である。このようなプロセスの半導体装置3は、図2
(b)に示すように、ダイシング工程で生じる半導体装
置3の端部へのチッピングを増加させることなく、半導
体装置3のチップ割れ耐性Mを確保することができる。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、薄形化した半導体装置
を基板に実装したFCA、C4等のベアチップ実装構造
体や、QFP等を薄形化したパッケージを基板に実装し
た実装構造体の製造過程や市場において、機械的応力や
熱応力によって半導体装置に生じるクラックを防止し、
信頼性を向上させることができる。
【0063】特に、携帯電話、PHS、PDA、メモリ
ーカード、ICカード等の電子機器や情報機器におい
て、半導体装置への補強構造を用いることなく、小形
化、軽量化、薄形化のための高密度実装を低コストで実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる半導体装置で、図1
(a)は半導体装置の直交する端辺の長さと縦弾性係数
との関係を半導体ウェーハ上に示した平面図、図1
(b)は半導体装置の拡大平面図、図1(c)は図1
(b)のA−A’断面の湾曲状態図、図1(d)は図1
(b)のB−B’断面の湾曲状態図である。
【図2】本発明の他の一実施例に係わる半導体装置の製
造方法で、図2(a)は半導体装置の直交する端辺の長
さおよび縦弾性係数と、ダイシング速度の関係を半導体
ウェーハ上に示した平面図、図2(b)は半導体ウェー
ハを個々の半導体装置に分離した時の薄形加工面の拡大
平面図である。
【図3】本発明の実施例を具体的に説明する斜視図であ
る。
【図4】従来の実施の形態を示す説明図で、図4(a)
は半導体ウェーハを個々の半導体装置に分離した時の薄
形加工面の拡大平面図、図4(b)はベアチップ実装構
造体を湾曲させた時の断面図である。
【符号の説明】
1…半導体ウェーハ、 2…ダイシングライ
ン、 3…半導体装置、4、41、42、43、E1
半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数、5、51、5
2、53、E2…半導体装置の短辺L2方向の縦弾性係
数、6、S1…半導体装置のL1方向のダイシング速度、
7、S2…半導体装置のL2方向のダイシング速度、8…
ダイシング用ブレード、 9…充填樹脂、
10…回路基板、11…配線、 1
2…ベアチップ実装構造体、13…電気的接続用のバン
プ、 14…割れ、15a、15b…支点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂口 勝 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 吉田 勇 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さが300μm以下に薄形化された半導
    体装置の直交する端辺の長さL1、L2の関係がL1>L2
    であり、半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数E1と短
    辺L2方向の縦弾性係数E2との関係をE1>E2としたこ
    とを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】前記半導体装置を構成する材料がシリコン
    単結晶であり、その結晶方位〈111〉、〈110〉、〈11
    2〉、〈100〉に対応した縦弾性係数がE1>E2の関係を
    満足するように前記結晶方位の組み合わせを選択して半
    導体装置の直交する端辺を構成したことを特徴とする請
    求項1記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】ウェーハの主表面に半導体装置を形成し、
    裏面を研削もしくはエッチングして厚さを300μm以
    下に薄形化したウェーハから個々の半導体装置を切り出
    す工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記ウ
    ェーハから個々の半導体装置を切り出す工程において
    は、半導体装置の直交する端辺の長さL1、L2の関係を
    1>L2とし、半導体装置の長辺L1方向の縦弾性係数
    1と短辺L2方向の縦弾性係数E2との関係をE1>E2
    とした条件下で、前記薄形化したウェーハから半導体装
    置を切り出すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】ウェーハの主表面に半導体装置を形成し、
    裏面を研削もしくはエッチングして厚さを300μm以
    下に薄形化したウェーハから個々の半導体装置を切り出
    す工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記半
    導体装置の直交する端辺の長さL1、L2の関係がL1
    2、半導体装置のL1方向の縦弾性係数E1とL2方向の
    縦弾性係数E2の関係がE1>E2であり、半導体装置の
    1方向のダイシング速度S1とL2方向のダイシング速
    度S2との関係をS1>S2としたことを特徴とする半導
    体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】前記半導体装置のL1方向の縦弾性係数E1
    とL2方向の縦弾性係数E2の関係がE1<E2であり、半
    導体装置のL1方向のダイシング速度S1とL2方向のダ
    イシング速度S2との関係をS1<S2としたことを特徴
    とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
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