JP2001195502A - 建築生産情報確定工程の最適化方法及び最適化システム - Google Patents

建築生産情報確定工程の最適化方法及び最適化システム

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JP2001195502A
JP2001195502A JP2000258177A JP2000258177A JP2001195502A JP 2001195502 A JP2001195502 A JP 2001195502A JP 2000258177 A JP2000258177 A JP 2000258177A JP 2000258177 A JP2000258177 A JP 2000258177A JP 2001195502 A JP2001195502 A JP 2001195502A
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Shuzo Furusaka
秀三 古阪
Katsuyoshi Minemasa
克義 峰政
Norikazu Katsuyama
典一 勝山
Kenji Ito
健司 伊藤
Katsuki Fujisawa
克樹 藤沢
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 建築生産情報確定工程を作成することのでき
る建築生産情報確定工程の最適化方法を提案する。 【解決手段】 記憶装置100は、初期工程データ1
10、フロート最適化結果工程データ120、平準化最
適化結果工程データ130を記憶する。CPU/RAM
200の、フロートを用いた最適化プログラム230
は、ランダムのフロート作成モジュール231、作業ブ
ロック作成モジュール232、コスト評価モジュール2
33を含んでなり、作業平準化最適化プログラム260
は、ランダムのフロート作成モジュール261、出面算
出モジュール262、平準化率算定モジュール263を
含んでなり、出力表示装置300は、フロート最適化結
果工程データ120及び/又は平準化最適化結果工程デ
ータ130をネットワーク工程表として出力表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実施設計図書や施
工図、製作図のような建築生産に必要な情報を設計者や
施工者等が確定していく工程を、様々な観点から最適化
した形で作成することのできる建築生産情報確定工程の
最適化方法及び最適化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】建築プロジェクトは設計と施工が組織的
に分立して実施されるものであり、一般的に、建築生産
情報は以下のような過程を踏んで作成・確定されてい
く。 (1)設計者は建築主と打ち合わせを行いながら、設計
図書の内容を確定していく。ここで、設計者による設計
図書の内容の確定は、設計段階で完了して施工段階にま
でずれこまないことが建前であるが、実際には設計内容
の細部の確定は、施工段階にまでずれこむことが多い。 (2)施工者のうち元請の現場所長は、設計者が作成し
た設計図書に基づいて建築プロジェクトの内容を検討
し、部分に分けて必要な専門工事業者、部品製造者に発
注する。 (3)元請、専門工事業者及び部品製造者は自らの施工
及び製造のための施工図及び製作図を作成し、設計者の
検討・承認を得て、実際の部品製造、工事に取りかか
る。施工図及び製作図の作成スケジュールは元請、専門
工事業者及び部品製造者がそれぞれの生産業務に支障な
い形で設定し、元請が調整して確定する。また、施工図
および製作図の内容の確定時期は、それぞれの生産工程
から逆算して定まる期限と、プロジェクト全体の工期と
を勘案して、元請の現場所長の個人的経験に基づいて確
定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の建築生産情報の確定過程には、次のような問
題があった。 (1)膨大な工種・工程を含む建築生産情報の確定過程
を、プロジェクト全体の目標工期や目標工事費を確実に
達成するように調整し、これを工程表として作成するこ
とは、熟練した元請現場所長の個人的経験を駆使しても
極めて困難であり、各建築生産情報の確定時期の把握ミ
スによって、プロジェクトの工期や工事費に致命的な悪
影響が及ぶこともある。 (2)建築生産情報を早期に確定させることによって獲
得できる利益は、風聞としては従来から指摘されてきた
が、技術として定量的に把握することができるものでは
なかった。すなわち、建築生産情報の確定時期が早まれ
ば早まるほど工程上ゆとりができ、工事費の面でも抑制
可能な範囲が広くなると考える施工者は、建築生産情報
の確定時期を可能な限り早めようとするが、建築生産情
報確定の早期化により享受できる利益(例えば、プロジ
ェクト全体の工事費の削減)を設計者及び建築主に定量
的に説明できなかったため、設計内容を充実させるべく
施工段階においても設計内容の検討を続け、工事工程に
間に合う範囲で可能な限り遅く建築生産情報の検討・承
認を行おうとする設計者及びこのような設計者の姿勢を
支持する建築主を説得できず、その結果、建築生産情報
の確定時期が遅延したり、工期短縮や工事費抑制の機会
を逃すことが多かった。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、施工者の資質
・経験に依存せずに、様々な観点から最適化した建築生
産情報確定工程を作成することのできる建築生産情報確
定工程の最適化方法及び最適化システムを提案すること
によって、プロジェクトの目標工期・目標工事費を確実
に達成するとともに、建築生産情報の確定時期によって
プロジェクトの工期・工事費に及ぶ影響を定量的に提示
することを可能ならしめる点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の請求項1
に係る建築生産情報確定工程の最適化方法は、実施設計
開始から施工図作成完了までの領域の建築生産情報を確
定していく工程を最適化する方法であって、任意の手段
で工程ネットワークを作成する第一ステップと、この工
程ネットワークに含まれる各作業について、Expli
citフロートとImplicitフロートの合計範囲
内で使用フロートを変化させ、この使用フロート中のI
mplicitフロートに応じた前記各作業についての
工事費変分を演算して全作業について合計することによ
り、初期全体工事費変分を求める第二ステップと、さら
に前記使用フロートを変化させ、この使用フロート中の
Implicitフロートに応じた前記各作業について
の工事費変分を演算して全作業について合計することに
より、新全体工事費変分を求める第三ステップと、前記
初期全体工事費変分と前記新全体工事費変分とを比較
し、両者のうち小さい方を選択してこれを前記初期全体
工事費変分に置き換える第四ステップと、前記第三ステ
ップと前記第四ステップとを指定回数繰り返すことによ
り、最小全体工事費変分を求める第五ステップと、この
最小全体工事費変分に係る使用フロートに対応した工程
ネットワークを決定する第六ステップと、を含んでなる
ことを特徴とする。
【0006】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、ExplicitフロートやImplicitフロ
ートを使用することにより各作業の作業開始日及び作業
終了日を早期化させることを目的とするものであるが、
その際にImplicitフロートの使用が工事費を増
加させることに着目して、全体工事費変分(ここでは全
体工事費の増分)を最小とするExplicitフロー
トやImplicitフロートの使用数を求め、これに
対応した工程ネットワークを得るものである。すなわ
ち、この最適化方法によれば、工事費の増加を極力抑え
るという条件下で最大限早期化した工程ネットワークを
決定することが可能となる。なお、Explicitフ
ロートとは、各作業に見込まれる余裕の工期のうち費用
の増加を伴わないで短縮可能なものを意味し、Impl
icitフロートとは、各作業に見込まれる余裕の工期
のうち、短縮にあたって作業人工の追加投入などのため
に工事費の増加を伴うものを意味する。
【0007】本発明の請求項2に係る建築生産情報確定
工程の最適化方法は、請求項1に記載の建築生産情報確
定工程の最適化方法において、第二ステップで初期全体
工事費変分を求める前、及び、第三ステップで新全体工
事費変分を求める前に、各作業の終了日がKeyDat
eよりも後でないことを確認することを特徴とする。
【0008】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、工程の早期化を図る際、工程全体の早期化を指向す
ることに加えて、特定の作業に、守るべき確定期日をK
eyDate(キーデート)として設定し、全体の早期
化とあわせて部分工程の早期化を可能にするものであ
る。すなわち、この最適化方法によれば、工事費の増加
を極力抑えること、特定作業について設定された作業終
了日を守っていること、の二条件下で最大限早期化した
工程ネットワークを決定することが可能となる。
【0009】本発明の請求項3に係る建築生産情報確定
工程の最適化方法は、請求項1又は請求項2に記載の建
築生産情報確定工程の最適化方法において、第二ステッ
プで求められる初期全体工事費変分及び第三ステップで
求められる新全体工事費変分がいずれも、各作業につい
ての使用フロートを変化させたことによって当該作業が
リードタイムを確保した場合に、そのリードタイムに応
じて演算された工事費減分を当該全作業について合計し
て求められた全体工事費減分を差し引いたものであるこ
とを特徴とする。
【0010】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、請求項1又は請求項2に記載の建築生産情報確定工
程の最適化方法に、工程ネットワークの早期化により発
生する工事費面のメリットを定量化して加味するもので
ある。具体的には、各作業の早期化によってメリットが
発生する場合、どの程度の早期化によってコスト削減が
可能となるかを「リードタイム」として「日」の単位で
与え、このリードタイムを達成した場合には、それに応
じて設定されている工事費減分を発生させ、これを当該
全作業について合計した全体工事費減分を、工事費変分
に含ませる。すなわち、この最適化方法は、工程の早期
化によって工事費が増加するという観点だけでなく、工
程の早期化によって工事費が減少するという観点をも採
り入れたものであり、このような工事費の増加分及び減
少分の工事全体についての総合的な収支として全体工事
費変分を捉え、その最小値に対応した工程ネットワーク
を求めることが可能となる。
【0011】次に、本発明の請求項4に係る建築生産情
報確定工程の最適化方法は、実施設計開始から施工図作
成完了までの領域の建築生産情報を確定していく工程を
最適化する方法であって、任意の手段で工程ネットワー
クを作成する第一ステップと、この工程ネットワークの
各作業系列で発生するNetworkフロートを変化さ
せ、前記各作業系列に属する各作業同士が同時並行検討
関係を満足していることを確認した上で、前記各作業系
列についての初期平準化率を求める第二ステップと、さ
らに前記Networkフロートを変化させ、前記各作
業系列に属する各作業同士が同時並行検討関係を満足し
ていることを確認した上で、前記各作業系列についての
新平準化率を求める第三ステップと、前記初期平準化率
と前記新平準化率とを比較し、両者のうち大きい方を選
択してこれを前記初期平準化率に置き換える第四ステッ
プと、前記第三ステップと前記第四ステップとを指定回
数繰り返すことにより、最大平準化率を求める第五ステ
ップと、この最大平準化率に係るNetworkフロー
トに対応した工程ネットワークを決定する第六ステップ
と、を含んでなることを特徴とする。
【0012】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、請求項1乃至請求項3に記載された建築生産情報確
定工程の最適化方法のように各作業に含まれるExpl
icitフロートやImplicitフロートを変化さ
せるのではなく、工程ネットワークの各作業系列で発生
するNetworkフロートを変化させることにより全
体工程を早期化するものであるが、その際に使用労務の
集中を避けるべく、各作業系列毎の平準化率を求め、こ
れを最大とするようなNetworkフロートに対応す
る工程ネットワークを得るものである。すなわち、この
最適化方法によれば、使用労務を極力平準化するという
条件下で最大限早期化した工程ネットワークを決定する
ことが可能となる。
【0013】本発明の請求項5に係る建築生産情報確定
工程の最適化方法は、請求項4に記載の建築生産情報確
定工程の最適化方法において、第二ステップで初期平準
化率を求める前、及び、第三ステップで新平準化率を求
める前に、各作業系列の一日ごとの出面を演算し、これ
が指定出面上限を超えないことを確認することを特徴と
する。
【0014】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、工程の早期化を図る際に、各作業系列についての平
準化率を最大化することにより使用労務の大まかな集中
を避けるだけでなく、各作業系列の一日ごとの出面が指
定出面上限を超えないことを確認することにより使用労
務の部分的な集中をも避けるようにしたものである。す
なわち、この最適化方法によれば、使用労務を極力平準
化すること、各作業系列の一日ごとの出面が一定値以下
であること、の二条件下で最大限早期化した工程ネット
ワークを決定することが可能となる。
【0015】本発明の請求項6に係る建築生産情報確定
工程の最適化方法は、請求項4又は請求項5に記載の建
築生産情報確定工程の最適化方法において、第二ステッ
プで初期平準化率を求める前、及び、第三ステップで新
平準化率を求める前に、各作業の終了日がKeyDat
eよりも後でないことを確認することを特徴とする。
【0016】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、工程の早期化を図る際、工程全体の早期化を指向す
ることに加えて、特定の作業に、守るべき確定期日をK
eyDate(キーデート)として設定し、全体の早期
化とあわせて部分工程の早期化を可能にするものであ
る。すなわち、この最適化方法によれば、使用労務の全
体的な集中及び部分的な集中を極力避けること、特定作
業について設定された作業終了日を守っていること、の
二条件下で最大限早期化した工程ネットワークを決定す
ることが可能となる。
【0017】さらに、本発明の請求項7に係る建築生産
情報確定工程の最適化方法は、請求項1乃至請求項3の
いずれか一項に記載の建築生産情報確定工程の最適化方
法によって決定された、最小全体工事費増分に係る使用
フロートに対応した工程ネットワークを、請求項4乃至
請求項6のいずれか一項に記載の建築生産情報確定工程
の最適化方法の第一ステップで作成された工程ネットワ
ークとみなして、最大平準化率に係るNetworkフ
ロートに対応した工程ネットワークを決定することを特
徴とする。
【0018】かかる建築生産情報確定工程の最適化方法
は、請求項1乃至請求項3に記載された建築生産情報確
定工程の最適化方法を行った後、請求項4乃至請求項6
に記載された建築生産情報確定工程の最適化方法を一連
の流れとして行うことにより、少なくとも、工事費の増
加を極力抑えること、使用労務の全体的な集中を避ける
こと、という二条件下で最大限早期化した工程ネットワ
ークを決定することができるものであり、総合的な観点
から最適化された工程ネットワークを決定(作成)する
ことができる。
【0019】一方、本発明の請求項8に係る建築生産情
報確定工程の最適化システムは、実施設計開始から施工
図作成完了までの領域の建築生産情報を確定していく工
程を最適化するシステムであって、例えば図8に示すよ
うに、記憶装置(100)と、CPU/RAM(20
0)と、出力表示装置(300)とを備え、記憶装置
(100)は、初期工程データ(110)、フロート最
適化結果工程データ(120)をそれぞれ、各作業毎
に、工数、作業担当人数、使用可能Explicitフ
ロート数、使用可能Implicitフロート数、初期
使用フロート数、KeyDate、同時並行検討グルー
プ番号、作業系列番号、リードタイム、早期化コストの
形で記憶し、CPU/RAM(200)は、フロート最
適化用データI/Oプログラム(220)、フロートを
用いた最適化プログラム(230)、フロート評価結果
出力プログラム(240)、最適化結果画面表示プログ
ラム(280)を実行し、フロートを用いた最適化プロ
グラム(230)は、ランダムのフロート作成モジュー
ル(231)、作業ブロック作成モジュール(23
2)、コスト評価モジュール(233)を含んでなり、
出力表示装置(300)は、フロート最適化結果工程デ
ータ(120)をネットワーク工程表として出力表示す
ることを特徴とするものであり、請求項1、請求項2、
請求項3に係る建築生産情報確定工程の最適化方法を容
易に行うことができる。
【0020】また、本発明の請求項9に係る建築生産情
報確定工程の最適化システムは、実施設計開始から施工
図作成完了までの領域の建築生産情報を確定していく工
程を最適化するシステムであって、例えば図8に示すよ
うに、記憶装置(100)と、CPU/RAM(20
0)と、出力表示装置(300)とを備え、記憶装置
(100)は、初期工程データ(110)、平準化最適
化結果工程データ(130)をそれぞれ、各作業毎に、
工数、作業担当人数、使用可能Explicitフロー
ト数、使用可能Implicitフロート数、初期使用
フロート数、KeyDate、同時並行検討グループ番
号、作業系列番号、リードタイム、早期化コストの形で
記憶し、CPU/RAM(200)は、作業平準化用デ
ータI/Oプログラム(250)、作業平準化最適化プ
ログラム(260)、作業平準化最適化評価結果出力プ
ログラム(270)、最適化結果画面表示プログラム
(280)を実行し、作業平準化最適化プログラム(2
60)は、ランダムのフロート作成モジュール(26
1)、出面算出モジュール(262)、平準化率算定モ
ジュール(263)を含んでなり、出力表示装置(30
0)は、平準化最適化結果工程データ(130)をネッ
トワーク工程表として出力表示することを特徴とするも
のであり、請求項4、請求項5、請求項6に係る建築生
産情報確定工程の最適化方法を容易に行うことができ
る。
【0021】さらに、本発明の請求項10に係る建築生
産情報確定工程の最適化システムは、実施設計開始から
施工図作成完了までの領域の建築生産情報を確定してい
く工程を最適化するシステムであって、例えば図8に示
すように、記憶装置(100)と、CPU/RAM(2
00)と、出力表示装置(300)とを備え、記憶装置
(100)は、初期工程データ(110)、フロート最
適化結果工程データ(120)、平準化最適化結果工程
データ(130)をそれぞれ、各作業毎に、工数、作業
担当人数、使用可能Explicitフロート数、使用
可能Implicitフロート数、初期使用フロート
数、KeyDate、同時並行検討グループ番号、作業
系列番号、リードタイム、早期化コストの形で記憶し、
CPU/RAM(200)は、フロート最適化用データ
I/Oプログラム(220)、フロートを用いた最適化
プログラム(230)、フロート評価結果出力プログラ
ム(240)、作業平準化用データI/Oプログラム
(250)、作業平準化最適化プログラム(260)、
作業平準化最適化評価結果出力プログラム(270)、
最適化結果画面表示プログラム(280)を実行し、フ
ロートを用いた最適化プログラム(230)は、ランダ
ムのフロート作成モジュール(231)、作業ブロック
作成モジュール(232)、コスト評価モジュール(2
33)を含んでなり、作業平準化最適化プログラム(2
60)は、ランダムのフロート作成モジュール(26
1)、出面算出モジュール(262)、平準化率算定モ
ジュール(263)を含んでなり、出力表示装置(30
0)は、フロート最適化結果工程データ(120)及び
/又は平準化最適化結果工程データ(130)をネット
ワーク工程表として出力表示することを特徴とするもの
であり、請求項7に係る建築生産情報確定工程の最適化
方法を容易に行うことができる。
【0022】そして、本発明の請求項11に係る建築生
産情報確定工程の最適化システムは、請求項8乃至請求
項10のいずれか一項に記載の建築生産情報確定工程の
最適化システムにおいて、例えば図8に示すように、C
PU/RAM(200)が外部データ読込み用プログラ
ム(210)を実行することを特徴とするものであり、
あらゆる工程ネットワークを初期工程データ(110)
として読み込んで最適化することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を適宜参照しつ
つ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】1. 建築生産情報確定工程の構築 以下、建築生産情報確定工程についてのルールと制約条
件を明らかにし、建築生産情報確定工程の作成の考え方
および作成手順を提案する。具体的には以下のとおりで
ある。 (1)一連の建築生産情報確定工程の中で、実施設計開
始後から施工図作成完了までの領域の工程を作成する。 (2)建築生産情報確定工程に含まれるフロートを吟味
し、工程短縮に活用する「個別の建築生産情報確定工程
のルール」を明らかにする。 (3)建築生産情報確定の先行・後続および同時並行検
討の関係から、「複数の建築生産情報の相互関係に基づ
く確定工程のルール」を明らかにする。 (4)工事費の抑制や工期短縮に役立つ確定早期化の条
件と阻害要因を明らかにし、建築生産情報の「確定早期
化」のルールを明らかにする。以上のルール、条件を反
映させた「建築生産情報確定工程の作成」を行い、工程
早期化の操作可能性を吟味する。あわせてその活用によ
り期待される効果を予測する。
【0025】1−1. 建築生産情報確定工程の領域と
作業内容 1−1−1. 本発明における建築生産情報確定工程の
領域 本発明では、対象とする建築生産情報確定工程の領域
を、「実施設計開始以後」から「施工図の検討・承認」
まで扱う。以下に、その理由を記載する。建築プロジェ
クトにおける設計者の行為のうち、企画設計、基本設計
の段階では、その作業内容は、発注者との打ち合わせ、
資料検討など、求める建築空間への試行錯誤を経て発注
者の希望を具現化するための作業が主となる。これらの
作業は、多人数で取り組めば早期化が図れる、といった
性質のものではなく、個々のプロジェクトにおける作業
担当人数と作業量は、プロジェクト固有の条件によって
変化し、標準化が難しい。また、設計者の行為において
も、頭の中で構想を練ったりする作業を、「工数」とい
う概念で捉えることには限界がある。さらに、企画設
計、基本設計の段階では、企画、計画の立案後、発注者
との打合せを経て、設計内容に大きな変更を加えること
が多分にあり、この「立案−打ち合わせ−変更」のプロ
セスの繰り返しによって、設計内容が確定していく側面
を持つ。この繰り返しは、プロジェクトによって大きな
差異が存在し、「工程」という概念で捉えることは難し
い。一方、実施設計段階における、設計者の作業内容
は、「設計内容の詳細化」と「実施設計図書の作成」で
ある。これらの作業は、基本設計の段階で設計内容が十
分に吟味され、実施設計開始後に大きな変更を伴うよう
なことがない限り、比較的に、その作業量を定量化して
捉えやすい。また、これらの作業内容は、労務の投入を
増加することによって、早期化を図ることが可能であ
る。また、生産担当者による「施工図、製作図作成」と
「整合チェック」、発注者と設計者による「施工図、製
作図の検討・承認」の各作業も、大幅な設計変更を伴わ
なければ、その作業量を定量化しやすい。作業内容につ
いても、実施設計段階と同様に、労務投入量の増加によ
って早期化を図ることが可能である。以上の理由から、
本発明においては、発明の目的とする、「建築生産情報
確定工程の作成」ならびに「建築生産情報確定工程の最
適化」を行う上で考慮すべき作業領域として、「実施設
計開始以後」から「施工図、製作図の検討、承認」まで
を発明領域と定義し、上述の確定工程作成とその最適化
を行う。
【0026】1−1−2. 各段階における作業内容 本発明における、建築生産情報の流れのモデルと、設計
者、主施工者、専門技術別生産者、部品・部材製造者の
各主体の関わり方を図1に示す。
【0027】 実施設計段階 実施設計段階における建築生産情報確定のために設計者
が行う作業は、「設計内容の検討」と「実施設計図書の
作図・修正」である。実施設計段階においては、設計内
容の検討を行った後、実施設計図書の作図・修正を行う
という、「検討−作図・修正」の流れを繰り返して建築
生産情報が確定していく。本発明では、実施設計段階に
おける作業内容を、設計内容検討作業の繰り返しををま
とめて「検討」作業、作図・修正作業の繰り返しを総称
して「作図」作業として、当該図面の「作図」作業の先
行作業として「検討」の作業が存在すると仮定する。そ
して、それぞれの中に、不確定要素を持つ打ち合わせ時
間、待ち時間が含めて表現される。この不確定要素およ
び作業の短縮可能な部分が余裕の工期を構成する。 施工図作成段階 施工図作成段階における建築生産情報確定のために、設
計者が行う作業は、「設計内容の詳細な検討」とそれに
基づいて、施工者からの建築生産情報を「検討・承認」
することであり、主施工者が行うべき作業は、建築生産
情報の「作成」と各専門技術別施工者や部品製造者が作
成したものに対する「整合チェック」である。その過程
は、設計者、主施工者の間で、数度にわたるチェック、
検討、打合せ、作図修正の後、設計者の検討・承認が行
われ情報が確定する。しかし、本発明における建築生産
情報確定工程では、煩雑を避けるため、主施工者や専門
技術別生産者、部品・部材製造者による施工図・製作図
作成から主施工者の整合チェックまで含めて、設計者の
検討に入るまでを「作図」とし、検討開始以後を設計者
による詳細な検討も含めて「検討・承認」とみなしてい
る。そして、実施設計段階と同様に、それぞれの中に、
不確定要素を持つ打ち合わせ時間、待ち時間が含めて表
現され、この不確定要素および作業の短縮可能な部分が
余裕の工期を構成する。
【0028】1−2. 個別の建築生産情報確定工程の
ルール 本発明では、建築生産情報確定工程の遅延回復への活用
のされ方を考慮して、上記のように、建築生産情報確定
工程に見込まれる余裕の工期を、作業工程に含まれるフ
ロートとして、費用の増加を伴わないで短縮可能なEx
plicitなフロートと、短縮にあたって、作業人工
の追加投入などのために工事費の増加を伴うImpli
citなフロートに分けて考える。図2に示すように、
通常の工期短縮にあたってはExplicitなフロー
トを、大幅な短縮にあたってはImplicitなフロ
ートも使い、圧縮の程度によっては工事費増を伴うと考
える。
【0029】1−3. 複数の建築生産情報の相互関係
に基づく確定工程のルール 建築生産情報の確定順序は生産工期からの逆算と発注者
や設計者が確定しやすい順序とを勘案して決まる。ここ
では、建築生産情報特有の確定の順序について取りまと
める。対象とする建築生産情報は、表1に示すように、
実施設計段階における意匠系実施設計図書(12種
類)、構造系実施設計図書(5種類)、機械系実施設計
図書(5種類)、電気系設計図書(4種類)、施工図
作成段階(14種類)の計41種類である。
【0030】
【0031】1−3−1. 建築生産情報の相互関係に
基づく確定工程のルール 建築生産情報の相互関係に基づく確定順序に関する制約
は、確定工程を作る上での基本的なルールとなる。建築
生産情報の確定順序に関する制約は、図3〜図6に示
す、実施設計段階の「先行・後続関係」「同時並行検討
関係」と施工図作成段階の「先行・後続関係」「同時並
行検討関係」である。
【0032】(1) 実施設計段階 先行・後続関係の場合の制約条件(図3参照) 実施設計において先行・後続関係にある場合は、後続の
図面の作図は、先行する図面の作図完了後でないと着手
できない(d≧0) 同時並行検討の場合の制約条件(図4参照) 実施設計において同時並行検討関係にある場合は、検討
期間が重ならなければならない。 (2) 施工図作成段階 先行・後続関係の場合の制約条件(図5参照) 施工図作成において先行・後続関係にある場合は、後続
図面の検討・承認は、先行する図面の検討・承認完了後
でないと着手できない(d≧0) 同時並行検討関係の場合の制約条件(図6参照) 施工図作成において同時並行検討関係にある場合は、検
討・承認期間が重ならなければならない。
【0033】1−3−2. 建築生産情報の相互関係の
特定 建築生産情報の確定過程は、以下の「先行・後続関係」
と「同時並行検討関係」で定義される。 特定の情報に基づいて後続の情報が確定する先行・
後続の関係 先行する情報が後続する情報の基本的な情報を含み、先
行情報の確定がないと後続情報が確定できない場合であ
る。建築生産プロセス上における個別の工事の前後関係
とは必ずしも一致しない。 同時並行検討し整合を図るべき関係 デザイン情報の調和や設置場所の近接、機能上のつなが
りがある建築生産情報については、発注者、設計者は相
互の関連性、全体としてのまとまりなどについて常に気
を配るもので、個別の情報を比較、照合して確定が行わ
れる。建築生産情報の先行・後続および同時並行検討の
関係を経験豊富な実務者のヒアリングを基に各図面ごと
に取りまとめたものを図7に示す。
【0034】1−4. 確定早期化のルール 建築生産情報を早期に確定することは、工程の遅延防止
に加えて、工事費の抑制、工期の短縮などの戦略的目的
のために行われる。その程度は、早期確定により期待さ
れる利益と制約条件のバランスで決まる。ここではその
モデル化のための条件を以下にまとめる。
【0035】1−4−1. 建築生産情報の作成、整合
チェックおよび検討・承認の工数と使用可能なフロート 建築生産情報早期確定のための、設計者や生産担当者に
よる図面作成、主施工者による整合チェック、および設
計者による検討・承認作業の早期集中への対応を制約条
件とするために、各作業の作業量と、前出のExpli
citフロート、Implicitフロートを設定す
る。実施設計段階において、設計者が設計内容の検討に
要する工数ならびに実施設計図書作成に要する工数と使
用可能なフロート数、施工図作成段階において、生産担
当者が建築生産情報作成と整合チェックに要する工数と
使用可能なフロート数、および設計者が検討承認に要す
る工数と使用可能なフロート数を、実務担当者へのヒア
リングを基に設定し、その一覧を表2および表3に示
す。
【0036】
【0037】
【0038】1−4−2. 作業集中回避の制約条件 建築生産情報確定を早期化する場合、二つの作業集中が
発生する。その一つは個別の建築生産情報作成の工期を
短縮することによる作業の集中であり、二つ目は複数の
建築生産情報の作成、整合チェック、および検討・承認
の作業が重なる場合の作業の集中である。 1)個別の情報の工程短縮 これは、その工程に含まれるフロートの範囲で対応す
る。それにより建築生産情報の作成、整合チェック、検
討・承認の作業の集中が発生する。これは各担当者の工
程能力に照らして検討され、Implicitフロート
の削減にあたっては工数の追加投入が行われる。 2)複数の情報の作図、整合チェック作業の重複による
作業集中 これらに対応する主施工者および設計者の建築生産情報
に関わる工程能力が重複の程度を制約する条件となる。 a.主施工者への作業集中 主施工者は自ら図面を作成するとともに、専門技術別施
工者によって作成される図面の整合チェックも行う。し
たがって、主施工者による工程の前倒しは、それらの2
つの作業に対する工程能力によって制約され、担当者の
工程能力の補強可能な範囲がその作図および整合チェッ
ク作業集中の限界となる。 b.設計者の作業集中によるもの 実施設計段階の検討作業、作図作業、施工図作成段階の
検討・承認のための、作業の早期集中に加えて、生産段
階にも続行される設計内容の再検討による作業集中があ
る。本発明では、上述の2)の作業集中に対して、建築
生産情報確定工程の工程ネットワーク上で、クリティカ
ルパス上にない作業に関して、延伸を伴わない範囲で、
Networkフロートを与えて、作業開始時間を変化
させる。1−2.で述べたExplicit、Impl
icitの両フロートを用いて短縮された工程を、Ne
tworkフロートの使用によって作業開始時間を操作
し、作業集中の回避、労務の平準化を図る。
【0039】1−4−3. KeyDateの設定によ
る工程の早期化 本発明においては、建築生産情報確定工程の早期化を図
る際、工程全体の早期化を指向することに加えて、特定
の作業に、守るべき確定期日をKeyDate(キーデ
ート)として設定し、全体の早期化とあわせて部分工程
の早期化を可能にする。早期化の際、このKeyDat
eを守った工程を作成することが、制約条件となる。
【0040】1−4−4. 早期確定による費用の抑制 建築生産情報の早期確定により、工事費の抑制、建築生
産情報作成費の抑制、工期の安定化を図ることが可能で
ある。本発明では、発明の特徴である、「発注者の意思
決定の判断材料となる情報を提供する」という観点から
検討した結果、これら早期確定によるメリットの中で、
「工事費の抑制」は、発注者の大きな関心事であること
から、工事費抑制が可能となる、建築生産情報確定工程
早期化のルールを設定する。具体的には、実務担当者に
行ったヒアリングを基に、建築生産情報早期確定によっ
て、低コストの労務、資材の調達、部品・部材の製造が
可能な生産工程の特定と、費用抑制が可能となるリード
タイム(準備期間)、費用抑制の程度、の設定を行っ
た。表4に、早期確定による費用抑制のデータ項目を挙
げる。
【0041】
【0042】なお、本発明における、「リードタイムの
確保」は、煩雑を避けるため、後述の初期工程の全作業
完了日を期限として、当該作業の完了日時と全作業完了
日との間隔がリードタイムを確保した場合、工事費抑制
の効果が発生するものとする。
【0043】2. 建築生産情報確定工程の最適化方法 次に、1.で述べたルールに基づいて作成された建築生
産情報確定工程を、最適化する方法について述べる。 具体的には、本最適化を実現するためのシステムの構
成(特にLocalSearchの手法を用いる場
合)、各作業に含まれる、Explicit、Imp
licitの2種類のフロートを用いた建築生産情報確
定工程の最適化、Networkフロートを用いた建
築生産情報確定工程の最適化、建築生産情報確定工程
の最適化手順、について、以下に記述する。
【0044】2−1. 本最適化を実現するためのシス
テムの構成 図8は、本発明に係る建築生産情報確定工程の最適化方
法を実現するためのシステム構成図であり、記憶装置
(100)と、CPU/RAM(200)と、出力表示
装置(300)とを備える。記憶装置(100)には、
初期工程データ(110)、フロート最適化結果工程デ
ータ(120)、平準化最適化結果工程データ(13
0)が、建築生産情報確定工程を構成する10種類のデ
ータ(後述する式2参照)として記憶されている。CP
U/RAM(200)では、外部データ読込み用プログ
ラム(210)、フロート最適化データI/Oプログラ
ム(220)、フロートを用いた最適化プログラム(2
30)、フロート評価結果出力プログラム(240)、
作業平準化用データI/Oプログラム(250)、作業
平準化最適化プログラム(260)、作業平準化最適化
評価結果出力プログラム(270)、最適化結果画面表
示プログラム(280)が実行される。フロートを用い
た最適化プログラム(230)は、ランダムのフロート
作成モジュール(231)、作業ブロック作成モジュー
ル(232)、コスト評価モジュール(233)を含
み、また、作業平準化最適化プログラム(260)は、
ランダムのフロート作成モジュール(261)、出面算
出モジュール(262)、平準化率算出モジュール(2
63)を含んでおり、いずれもメタヒューリスティック
(メタ解法、メタ戦略)と呼ばれるパラダイムの、Lo
cal Search(局所探索法、以下LSとする)
という手法を採用する。以下に、LSの概要を説明す
る。メタヒューリスティックとは、組み合わせ最適化問
題を解くためのヒューリスティックを有機的に結合させ
たものであり、ヒューリスティックにパラメータを追加
し、そこで生まれた自由度を用いて問題を上手く解くテ
クニックであるといえる。LSの基本構造は、暗い夜道
を懐中電灯を頼りに山登りをする人にたとえられる。い
ま、登山者は真夜中に山の中のある地点(近似解)にい
るものとする。ここでのゲームの目的を、限られた時間
内になるべく標高の低い地点に到着することであるとす
ると、夜道は暗いので、現在自分がいる場所のまわり
(近傍)以外は見ることができない。現在地点よりも低
い方向がまわりにあればその方向へ移動する。照らした
範囲内に、現在地点よりも標高が低い地点が見つからな
かったら下山をあきらめ、その時の標高が登山者のスコ
アとなる。このように、LSは、初期解xの近傍N
(x)の中でより良い解yがあれば、暫定解をx:=y
と更新した後、次のステップへ移る、という作業の繰り
返しを経て目的関数を最大化(最小化)する解法であ
る。LSの構造を擬似コードで記述すると式1のように
なる。
【0045】
【0046】2−2. 建築生産情報確定工程のデータ
構造 1.で構築した、建築生産情報確定工程のデータ構造を
整理する。最適化に際し、1.で構築した建築生産情報
確定工程は、アローダイアグラムで表現される。各作業
間の関係を決定するダミーアクティビティは、作業
(i,j)の形で表現し、各作業のデータは、各項目の
添字が開始ノード、終了ノードを意味する。各作業
(i,j)には式2に示す10項目の情報が含まれ、こ
れらは記憶装置(100)に記憶される。
【0047】
【0048】(1) 工数 作業(i,j)に必要とされる作業量を、「人・日」の
単位で表現する。ダミーアクティビティに関しては、工
数は0となる。 (2) 作業担当人数 作業(i,j)の作業担当人数を、「人」の単位で表現
する。 (3) 使用可能Explicitフロート数 作業(i,j)の工程短縮を行う際に、使用可能である
Explicitフロートの上限を、「人・日」の単位
で表現する。 (4) 使用可能Implicitフロート数 作業(i,j)の工程短縮を行う際に、使用可能である
Implicitフロートの上限を、「人・日」の単位
で表現する。 (5) 使用フロート数 上述(3),(4)の各使用可能フロート数の合計の範
囲内で、当該作業で使用するフロート数を「人・日」の
単位で表現する。 (6) KeyDate 作業(i,j)に、KeyDateを設定して最適化を
行う場合、実施設計開始から何日目までに当該作業を終
了させるかを、「日」の単位で与える。KeyDate
を設定しない作業に関しては、0となる。 (7) 同時並行検討グループ番号 作業(i,j)が、同時並行検討関係をもつ情報群の要
素である場合、そのグループ番号が当てはまる。同時並
行検討関係を持たない作業に関しては、0になる。 (8) 作業系列番号 作業(i,j)をどの担当者が行うかを表す番号(表5
参照)である。
【0049】
【0050】(9) リードタイム 作業(i,j)の早期化によって、早期確定によるメリ
ットが発生する場合、どの程度の早期化によってコスト
削減が可能となるかを「日」の単位で与える。なお、こ
のリードタイムを考慮するのは、本発明で捉える建築生
産情報確定工程の中で、各生産情報の最終確定となる、
発注者、設計者による、施工図、製作図の「検討・承
認」作業である。 (10) 早期化コスト 作業(i,j)が上述のリードタイムを確保した場合に
発生するコスト削減量を、工事費に対する削減割合で与
える。
【0051】また、本発明においては、各作業系列ごと
に、出面の上限Uを設定して、各作業系列の出面がこ
の上限を超えないようにする(式3参照)。
【0052】
【0053】2−3. 各作業に含まれるフロートを用
いた建築生産情報確定工程の最適化ここでは、建築生産
情報確定工程の各作業に含まれる、Explicit、
Implicitの2種類のフロートを用いた、建築生
産情報確定工程の最適化方法を記述する。各作業に含ま
れるフロートを利用した最適化では、Implicit
フロート使用による工事費増分を目的関数として、Ke
yDateの制約を守った上で、Implicitフロ
ート使用による工事費増分を最小にする建築生産情報確
定工程を構築する。本最適化における目的関数式は、式
4にて与えられる。
【0054】
【0055】具体的には、近傍探索として、各作業のフ
ロート使用数を変化させ、工程ネットワークを構築、K
eyDateの制約条件を守っているかを判定した上
で、Implicitフロート使用によるコスト変分を
算出、初期解との比較検討を行う。最適化のフローは図
9で与えられ、以下に最適化フローの解説を行う。
【0056】(1) 外部データの読込み まず、任意の手段で工程ネットワークを作成し、この工
程ネットワークを特定する各データ(式2参照)を、C
PU/RAM(200)の外部データ読込み用プログラ
ム(210)により読込み、初期工程データ(110)
として記憶装置(100)に記憶する。なお、予め記憶
装置(100)に初期工程データ(110)が記憶され
ている場合には、このステップは不要である。
【0057】(2) データの取込み 次に、記憶装置(100)に記憶されている初期工程デ
ータ(110)を、フロート最適化データI/Oプログ
ラム(220)によりCPU/RAM(200)に取込
み、これを初期解とする。
【0058】(3) 使用フロート数の変化 ランダムのフロート作成モジュール(231)により、
使用フロート数を変化させる作業をランダムに選択し、
使用可能Explicitフロート数と使用可能Imp
licitフロート数の合計の範囲内で、使用フロート
数を発生させる。
【0059】(4) 工数、作業担当人数、使用フロー
ト数を用いた作業ブロックの作成 作業ブロック作成モジュール(232)により、各作業
のデータから、フロートを用いての早期化を行い、縦軸
を作業担当人数、横軸を作業日数とする、作業ブロック
を作成する。その作業は、以下の手順で行われる。
【0060】 作業日数の算出と標準作業ブロックの
作成 工数Mi,jと作業担当人数Ni,jから、式5にした
がって作業日数Di,jを算出する。
【0061】
【0062】縦軸を作業担当人数Ni,j、横軸を作業
日数Di,jとして、作業ブロックを作成する。この作
業ブロックを、標準作業ブロックと定義する(図10参
照)。
【0063】 初期使用フロート数による作業日数の
短縮 使用フロート数FFi,jから、式6を用いて、フロー
ト使用によって短縮されるフロート短縮日数FDi,j
を求め、短縮された日数分を標準作業ブロックから取り
去る。
【0064】
【0065】使用フロート数FFi,jから、短縮可能
な日数をフロート短縮日数FDi,j、短縮された作用
日数を実作業日数RDi,j、実際に作業日数短縮に用
いられるフロート数を実使用フロート数RFi,jとす
る(図11参照)。
【0066】 フロートの性質の特定と作業ブロック
の完成 の実使用フロート数から、式7を用いて、Expli
citフロートとして処理できるものと、Implic
itフロートとして労務の上積みを伴うものに区分す
る。
【0067】
【0068】本発明においては、実使用フロート数RF
i,jが使用可能Explicitフロート数EF
i,jを超えた場合、超過分はImplicitフロー
トとして、労務の上積みを行うものとする。
【0069】次に、式8を用いて、実使用Implic
itフロート数の上積みを行う。
【0070】
【0071】Implicitフロートの使用分は、作
業の終盤部分で1日あたり1人工の労務を追加投入する
として考え、これにより、初期作業日数RDIi,j
最終追加投入日数RD2i,j、作業担当人数Ni,j
と最終担当人数RNi,jからなる作業ブロックが作成
される(図12参照)。
【0072】(5) 作業ブロックの配置 作業ブロック作成モジュール(232)により、(4)
までの作業で、各作業に関して作業ブロックを作成す
る。その後、PERT(Program Evalua
tion and Review Techniqu
e)手法を用いて最早開始日を算出し、各作業(i,
j)の最早開始日を作業開始日STi,jとする工程ネ
ットワークを作成する。なお、PERTとは、工程計画
において、作業の順序関係、所要時間等を与えて、工程
計画を論理的に(定量的に)作成するネットワーク手法
の1つの方法であって、工程の最長時間、各アクティビ
ティの最早開始時刻、最遅開始時刻、最早完了時刻、最
遅完了時刻とともに、各作業の余裕時間を計算すること
ができるものである。
【0073】(6) KeyDateの吟味 作業ブロック作成モジュール(232)により、(5)
で作成した工程ネットワークに対して、KeyDate
(KDi,j)を守った工程が作成できているか吟味す
る。具体的には、KeyDateを指定した作業に関し
て当該作業の終了日にあたる、作業開始日に実作業日数
を加えたものがKDi,jを守っているか、式9で確認
する。
【0074】
【0075】式9を満足させることができれば、次のプ
ロセスに進み、KeyDateを守ることができなけれ
ば、「(3) 使用フロート数の変化」に、指定回数を
超えない範囲で戻る。
【0076】(7) Implicitフロート使用に
よる工事費増分の算出 コスト評価モジュール(233)により、各作業におけ
るImplicitフロート数の合計を算出し、式10
に示すようにImplicitフロート1人工使用時の
工事費増加割合を乗じて、Implicitフロート使
用による工事費の増分Cを算出する。
【0077】
【0078】(8) 初期解との比較 コスト評価モジュール(233)により、式11を用い
て、上述の過程で求められたCと、初期解のImpli
citフロート使用による工事費増分Cを比較する。
【0079】
【0080】式11を満足することができれば、次のプ
ロセスに進み、満足できない場合は、「(3) 使用フ
ロート数の変化」に戻る。
【0081】(9) 初期解の書換 KeyDateの制約条件を守った上で、初期解の工事
費増分を下回ることができた場合、本プロセスでの解を
新たな初期解とする。
【0082】(10) 終了条件の判断 定められた回数の探索を行ったかどうかを判断し、指定
回数に達していれば探索を終了し、最終的な初期解に対
応する各データ(式2参照)を、フロート最適化データ
I/Oプログラム(220)によりフロート最適化結果
工程データ(120)として記憶装置(100)に記憶
する。指定回数未満であれば「(2)データの取込み」
のプロセスに戻る。
【0083】(11) 結果の書き出し フロート評価結果出力プログラム(240)及び最適化
結果画面表示プログラム(280)により、記憶装置
(100)に記憶されたフロート最適化結果工程データ
(120)に対応する工程ネットワーク図を出力表示装
置(300)に出力表示する。
【0084】以上のフローによって各作業に含まれるフ
ロートを利用した最適化を行い、次いで、Networ
kフロートを用いた最適化を行う。
【0085】2−4. Networkフロートを用い
た建築生産情報確定工程の最適化 本実施形態では、「2−3. 各作業に含まれるフロー
トを用いた最適化」を行った後に、「Networkフ
ロートを用いた最適化」を行う。Networkフロー
トを用いた最適化において目的関数となるのは各作業系
列の平準化率であり、最適化のプロセスは式12で与え
られる。
【0086】
【0087】具体的には、最適化を行う作業系列を指定
した上で、Networkフロートの発生、系列ご
との出面の算出、系列ごとの平準化率の算出、初期
解との比較、初期解の書換、というプロセスでおこな
う。図13に、Networkフロートを用いた最適化
のフローを示し、以下に解説を行う。
【0088】(0) 外部データの読込み まず、任意の手段で工程ネットワークを作成し、この工
程ネットワークを特定する各データ(式2参照)を、C
PU/RAM(200)の外部データ読込み用プログラ
ム(210)により読込み、初期工程データ(110)
として記憶装置(100)に記憶する。ただし、本実施
形態では、既に記憶装置(100)に記憶されているフ
ロート最適化結果工程データ(120)をベースとして
Networkフロートを用いた最適化を行うため、こ
のステップは不要である。
【0089】(1) 最適化作業系列の指定 最適化を行う作業系列を指定して、指定された作業系列
について最適化を行う。
【0090】(2) データ取込み 次に、記憶装置(100)に記憶されている初期工程デ
ータ(110)(ここではフロート最適化結果工程デー
タ(120))を、作業平準化用データI/Oプログラ
ム(250)によりCPU/RAM(200)に取込
み、これを初期解とする。
【0091】(3) 使用Networkフロート数の
変化 ランダムのフロート作成モジュール(261)により、
指定された作業系列に属するダミーアクティビティに対
して、Networkフロートを変化させる。これは、
大きく2つの作業に分類される。 Networkフロートの発生 まず、指定された作業系列に属するダミーアクティビテ
ィの中から、Networkフロートを変化させる作業
を抽出する。そして、抽出された作業に関して、トータ
ルフロートの範囲内でNetworkフロートを発生さ
せる。 作業ブロックの再配置 Networkフロートの使用による、工程ネットワー
クの補正を行う。具体的には、各作業の最早開始日にN
etworkフロートを加えたものを、当該作業の実作
業開始日として、PERT手法を用いて、最早開始日と
トータルフロートの再計算を行う。その結果求められる
各作業の最早開始日を実作業開始日RSTi,jとす
る。
【0092】(4) KeyDateの吟味 ランダムのフロート作成モジュール(261)により、
(3)で新たに作成した工程ネットワークに対して、K
eyDate(KDi,j)を守った工程が作成できて
いるか吟味する。具体的には、KeyDateを指定し
た作業に関して当該作業の終了日にあたる、実作業開始
日に実作業日数を加えたものがKDi,jを守っている
か、式13で確認する。
【0093】
【0094】式13を満足させることができれば、次の
プロセスに進み、KeyDateを守ることができなけ
れば、「(3) 使用Networkフロート数の変
化」に、指定回数を超えない範囲で戻る。
【0095】(5) 同時並行検討関係の吟味 ランダムのフロート作成モジュール(261)により、
指定された作業系列の中に、同時並行検討の関係にある
作業群が含まれている場合、「同時並行検討関係」の制
約条件を守っているかを吟味する。各作業の同時並行検
討グループ番号WGi,jが等しいものに関して、同時
並行検討グループ内の任意の2つの作業に関して、式1
4による判別を、すべての組み合わせに関して行う。
【0096】
【0097】すべての組み合わせに関して式14を満足
する場合には、次のプロセスへ進み、満足することがで
きなければ、「(3) 使用Networkフロート数
の変化」に、指定回数を超えない範囲で戻る。
【0098】(6) 出面の算出 出面算出モジュール(262)により、指定された系列
の1日ごとの出面を算出する。これにより、作業系列と
時間の関数である、式15の時間担当人数関数u(g,
t)が求められる。
【0099】
【0100】(7) 出面の吟味 出面算出モジュール(262)により、指定された系列
が、系列の出面上限Uを守っているか、式16で吟味
する。
【0101】
【0102】式16を満足できれば次のプロセスへ進
み、満足することができなければ、「(3) 使用Ne
tworkフロート数の変化」に、指定回数を超えない
範囲で戻る。
【0103】(8) 平準化率の算出 平準化率算出モジュール(263)により、指定された
作業系列に関して、式17を用いて、平準化率LR
算出する(図14参照)。
【0104】
【0105】(9) 初期解との比較 平準化率算出モジュール(263)により、指定された
系列において、式18を用いて、上述の過程で求められ
た平準化率LRと初期解の平準化率LRIを比較す
る。
【0106】
【0107】上記式17を満足できれば次のプロセスへ
進み、満足することができなければ、「(3) 使用N
etworkフロート数の変化」に、指定回数を超えな
い範囲で戻る。
【0108】(10) 初期解の書換 各種の制約条件を守った上で、初期解の平準化率を上回
ることができた場合、本プロセスでの解を新たに初期解
とする。
【0109】(11) 終了条件の判断 定められた回数の探索を行ったかどうかを判断し、指定
回数に達していれば探索を終了し、最終的な初期解に対
応する各データ(式2参照)を、作業平準化用データI
/Oプログラム(250)により平準化最適化結果工程
データ(130)として記憶装置(100)に記憶す
る。指定回数未満であれば「(2)データの取込み」の
プロセスに戻る。
【0110】(12) 結果の書き出し 作業平準化最適化評価結果出力プログラム(270)及
び最適化結果画面表示プログラム(280)により、記
憶装置(100)に記憶された平準化最適化結果工程デ
ータ(130)に対応する工程ネットワーク図を出力表
示装置(300)に出力表示する。
【0111】以上のフローによって、Networkフ
ロートを利用した最適化を行う。
【0112】
【実施例】3.実プロジェクトへの適用と検証 以下、実施の形態を通じて述べてきた、建築生産情報確
定工程の構築と最適化に関して、実プロジェクトへの適
用を行い、最適化の結果を検証する。
【0113】3−1. 対象プロジェクト 対象プロジェクトは、中高層集合住宅Aプロジェクトで
ある。Aプロジェクトの概要を表6に示す。
【0114】
【0115】3−2. 建築生産情報確定工程ネットワ
ークの作成 1.で構築した建築生産情報確定工程に関して、実務者
へのヒアリングを基に作成した工程ネットワーク図を図
15として、各項目のデータを表7、表8として示す。
【0116】
【0117】
【0118】3−3. 初期工程の作成 3−3−1. 初期工程の作成 3−2.で作成した工程ネットワークから、初期工程を
作成する。本発明における初期工程とは、3種類のフロ
ート(Explicit,Implicit,Netw
ork)を全く使わない初期計画の状態で、各作業を、
最早開始日を実作業開始日として作成した建築生産情報
確定工程を指す。図16、図17にそれぞれ初期工程の
工程表、労務山積図を示す。なお、図16に示した工程
表における白抜きの作業は、クリティカルパスを表す。
【0119】初期工程における、各作業系列の最大出面
および平準化率を表9に記す。初期工程の全作業完了日
は、334日目であった。
【0120】
【0121】3−3−2. 初期工程のNetwork
フロートを用いた最適化 3−3−1.で作成した初期工程を、Networkフ
ロートを用いて最適化を行う。なお、この最適化の際
は、各作業系列において、出面上限Uを設定せずに、
労務の平準化のみを目的として行った。図18及び図1
9に、最適化された初期工程(改良初期工程とする)の
工程表と労務山積図を示す。改良初期工程の、各系列ご
との最大出面および平準化率は、表10のとおりであ
る。
【0122】
【0123】本発明での、各作業系列の出面上限U
は、この改良初期工程における最大出面に1人を加え
たものをを採用するものとする。本最適化の結果を考察
する。 (1)系列1(実施設計・意匠系) 8種類の作業が同時並行検討関係にあることから、最適
化を行っても最大出面の下限は8人となる。そのため、
比較的自由に実作業開始時間を変化させることができる
作業に関しても、出面上限を抑えるために同時並行検討
関係作業群と作業期間が重ならない程度の移動をすれ
ば、そこで探索を終了してしまう。このため、平準化率
は8.59%と、他の系列と比較しても、低い値となっ
ている。 (2)系列2系列5(実施設計・構造系、機械系、電
気系ならびに施工図作成段階・作図) 実作業開始時間に関する自由度が高い作業が多く、高い
平準化率となっている。 (3)系列6(施工図作成段階の検討・承認) 複数人数で担当する作業が多いため、出面上限は9人と
なっている。また、工程の終盤部分の作業であることか
ら、作業開始に関する自由度が少なく、また、2つの同
時並行検討関係作業群が存在することから、系列2〜系
列5ほどの高い平準化は行われていない。
【0124】3−4. 特定作業にKeyDateを指
定した最適化 ここでは、KeyDateを利用した早期化による、建
築生産情報確定工程の最適化を行い、その結果を検証す
る。具体的には、建築生産情報の早期確定による工事費
抑制の可能性が高い作業である、「タイル製造・石加工
打込」作業に関して、表11の工事費抑制効果を設定す
る。また、ここでの工事費抑制効果の適用方法は、各作
業に含まれるフロートを用いた最適化を行ってImpl
icitフロートによる工事費増分を求めた後に、上記
の工事費抑制効果を当てはめることとする。その後、N
etworkフロートを用いた最適化を行う。
【0125】
【0126】表12に、Implicitフロートを1
人工使用することによる工事費増分の割合を示す。な
お、本発明においては、工事費における建築生産情報作
成に関する費用と工数を基に、Implicitフロー
ト1人工を使用することによる工事費増分の割合を、工
事費に対して、0.003%と設定する。
【0127】
【0128】3−4−1. 各作業に含まれるフロート
を用いた最適化結果 図20および図21に、各作業に含まれるフロートを活
用した最適化の結果に関して、工程表と労務山積図を、
表13に、本最適化による最大出面と平準化率を示す。
全作業完了日は、309日目であり、初期工程と比較し
て、25日の早期化を達成した。
【0129】
【0130】本最適化の結果を検証する。 (1) 早期化のために使用されたフロート
【0131】
【0132】本最適化において、使用されたフロートを
表14に示す。使用されたフロートは、Explici
tフロートが17人工、Implicitフロートが1
0人工であった。本最適化での使用フロートに関して、
表14を用いて以下の特徴を挙げる。
【0133】KeyDateを設定した作業とその先
行作業にフロートが使用されている KeyDateを設定された作業は、KeyDateを
守るべく、まず、当該作業のフロートによって作業日数
を短縮して、早期化を図る。次いで、当該作業の先行作
業についてもフロートを使用して早期化を行う。また、
KeyDateを設定された作業の早期化に影響を及ぼ
さない作業に関しては、フロートを用いて早期化をして
も、その効果が現れない。
【0134】本最適化におけるフロート使用に関して検
証する。まず、KeyDateを設定した「タイル・石
工事施工図」に関しては、使用できるフロートが存在し
ない。次に、当該作業の先行作業については、先行作業
である「躯体図」の「検討・承認」作業がクリティカル
パス上の作業であり、「躯体図」の「検討・承認」作業
を含めて、当該作業の先行作業に関して、フロート使用
によって早期化が図られている。また、当該作業の早期
化に影響を及ぼさない作業に関しては、フロートが使用
されていない。以上の観点から、本最適化において、K
eyDateを守った建築生産情報確定工程を作成する
ため、早期化が必要とされる作業に関してフロートが使
用されているといえる。
【0135】Explicitフロートを使用した後
に、Implicitフロートが使用されている 当該作業の先行作業にあたる作業群の全作業に関して、
実使用Explicitフロート数は、上限である使用
可能Explicitフロート数まで使用した上で、I
mplicitフロートが使用されている。この結果
は、早期化を図る際に、最初に、工事費増を伴わない余
裕部分であるExplicitフロートから使用し、工
事費増を伴うImplicitフロートの使用を極力抑
えている、といえる。
【0136】作業担当人数が1人の作業からImpl
icitフロートを使用している 本最適化においては、Explicitフロート使用に
よる早期化のみでは、KeyDateを守った工程を作
成することができなかったため、Implicitフロ
ートを使用して早期化を行っている。Implicit
フロートが使用された作業に関して検証すると、Imp
licitフロートが使用された作業は、いずれも作業
担当人数が1人の作業であり、作業担当人数が2人の作
業(「平面詳細図(機械)」の「検討・承認」作業)で
は、Implicitフロートが使用されていない。こ
の結果は、以下のように考察することができる。作業担
当人数が1人の作業に関して、フロートを使用して作業
日数を1日短縮するためには、フロートが1人工必要と
される。一方、作業担当人数が複数人の作業においてフ
ロートを用いて作業日数を1日短縮するためには、その
作業の作業担当人数分のフロート数を使用しなければな
らない。つまり、フロートによって作業日数を短縮する
場合、作業担当人数が少ない作業の方が、必要とされる
フロート数が少なくて済む。この考察を本最適化に当て
はめてみると、本最適化は、Implicitフロート
を使用して早期化を行う際に、その使用数を極力抑えら
れるように、Implicitフロートを使用する作業
を選択しているといえる。
【0137】以上の観点から、本最適化は、フロートを
使用すべき作業についてのみフロートを使用し、Imp
licitフロートの使用を極力抑えられるようなフロ
ートの使用方法となっており、最適であるといえる。
【0138】(2) 早期確定による工事費抑制の効果 本最適化における、工事費抑制効果を表15に示し、結
果を検証する。
【0139】
【0140】KeyDateを守るため、Implic
itフロートが10人工使用され、工事費は0.03%
増加する。一方、「タイル製造・石加工打込」に関し
て、リードタイムを確保することができたので、0.2
%の工事費抑制効果が発生する。この結果、工事費を
0.17%抑制することが可能となる。
【0141】以上、(1),(2)の検証より、本最適
化は、KeyDateを設定して早期化を行うことによ
り、建築生産情報作成時に工事費(具体的には設計料)
の増加を生じるが、リードタイムを確保することから発
生する工事費抑制効果によって、工事費抑制を図ること
が可能であることを示している。また、早期化を図る
際、最も効率的なフロートの使用によって早期化を行
い、Implicitフロートの使用による工事の増加
を極力抑えた最適化を行っている。
【0142】3−4−2. Networkフロートを
用いた最適化 Networkフロートを用いた最適化の結果を表16
に、工程表を図22に、労務山積図を図23に示す。
【0143】
【0144】本最適化の結果を検証する。 (1) 系列1(実施設計・意匠系) 最大出面は、出面上限である9人を下回る8人である。
8種類の作業が同時並行検討関係にあることから、最適
化を行っても最大出面の下限は8人となる。このため、
平準化率は低い値となっているが、表9の初期工程と比
較して、改善がなされている。表11の改良初期工程と
比較して、平準化率が上昇しているのは、Explic
itフロート、Implicitフロートの使用によっ
て、作業期間が短縮されているためである。 (2) 系列2(実施設計・構造系)および系列3(実
施設計・機械系) 最大出面は、上限3人を下回る2人である。表9の初期
工程、表11の改良初期工程と比較して平準化率が向上
しているのは、Explicitフロート、Impli
citフロートの使用によって、作業期間が短縮されて
いるためである。 (3) 系列4 最大出面は、上限4人を下回る3人である。Expli
citフロート、Implicitフロートが使用され
ていないため、平準化率は、初期工程よりは改善されて
いるが、改良初期工程の場合と変わらない。 (4) 系列5(施工図作成段階・作図) 最大出面6人は、出面上限6人を守っている。平準化率
に関しては、初期工程と比較して、改善がなされてい
る。改良初期工程と比較して低い値となっているのは、
Explicitフロート、Implcitフロート使
用による出面合計の減少による効果が、フロート使用に
よる効果を上回ったためである。 (5) 系列6(施工図作成段階の検討・承認) 最大出面10人は、出面上限10人を守っている。平準
化率に関しては、初期工程と比較して、改善がなされて
いる。改良初期工程より低い値となっているのは、Ex
plicitフロート、Implcitフロート使用に
よる出面合計の減少による効果が、フロート使用による
効果を上回ったためと、KeyDateの設定により、
作業開始日の自由度が制約されたためである。以上、本
最適化の検証をまとめると、平準化率に関しては、改良
初期工程との比較は、出面合計の減少などにより、初期
工程よりも明らかに改善されており、改良初期工程とは
同等程度の結果が得られている。よって、初期工程と比
較して、出面上限の制限を守った上で平準化率の改善が
行われていることから、本最適化が有効であるといえ
る。
【0145】3−5. KeyDateを設定しない最
適化 ここでは、3−4.での「KeyDateを設定した早
期化」を行わず、建築生産情報の早期確定による工事費
抑制効果を最大限享受できるような最適化を行う。
【0146】3−5−1. 各作業にフロートに含まれ
るフロートを用いた最適化 本最適化においては、建築生産情報の早期確定による工
事費抑制効果を考慮した最適化を行う。具体的には、2
−3.(7),(8)における、工事費変分の計算と初
期解との比較の際に、早期確定による工事費抑制効果を
考慮した比較を行う。以下に、そのプロセスを記述す
る。
【0147】各作業に含まれるフロートを用いた早期化
での目的関数となる工事費増分Cを、式19で定義す
る。
【0148】
【0149】これは、これまでの、Implicitフ
ロート使用による工事費増分から、工事費抑制効果のあ
る作業がリードタイムを確保した場合、その実作業終了
日に応じて発生する工事費抑制効果をひいたものであ
る。工事費抑制効果は、式20および図24で表現され
る。
【0150】
【0151】上記のCを、初期解Cciと比較し、最
適化を行う。
【0152】3−5−2. 各作業に含まれるフロート
を用いた早期化 本最適化においては、工事費抑制効果を「タイル製造・
石加工打込」、「PC版・CW製作」、「設備機器製
造」の各製造・調達過程に、表17に示すように設定し
た。図25に工程表、図26に労務山積図、表18に本
最適化による最大出面と平準化率を示す。本最適化で
は、全作業完了日は280日目となり、初期工程と比較
して、54日の早期化を達成することができた。
【0153】
【0154】
【0155】本最適化の結果を検証する。 (1) 早期化のために使用されたフロート
【0156】
【0157】本最適化において、使用されたフロートを
表19に示す。使用されたフロートは、Explici
tフロートが22人工、Implicitフロートが5
0人工であった。本最適化での使用フロートに関して、
表19を用いて以下の特徴を挙げる。 クリティカルパス上の全作業に関して、全フロート
を使用 本最適化では、早期確定による工事費抑制効果を最大限
に享受するため、建築生産情報確定工程の工期を決定す
る、クリティカルパス上の作業に関して、全てのフロー
トを用いている。 工事費抑制効果のある作業に関して、全てのフロー
トを使っている 工事費抑制効果の対象となる、「タイル製造・石加工打
込」、「PC版・CW製作」、「設備機器製造」の各製
造・調達過程の先行作業となる、「タイル・石工事施工
図」、「PC・CW製作図」、「設備機器部品図」の各
作業に関して、使用可能なフロートを全て使用してい
る。これにより、のクリティカルパス上の作業のフロ
ート使用とあわせて、工事費抑制効果を最大限に享受す
るために、最大限の前倒しが行われていることが分か
る。 工事費抑制に影響のない作業に関しては、フロート
を使用しない 3−4.と同様に、工事費抑制に影響のない作業に関し
ては、フロート消費を行わず、最も効率的なフロート使
用で、早期化を実現している。
【0158】(2) 早期確定による工事費抑制効果 本最適化における、工事費抑制効果を表20に示し、結
果を検証する。
【0159】
【0160】本最適化では、最大限の前倒しを図るた
め、Implicitフロートは50人工使用される。
これによる工事費増加割合は、0.15%となる。一
方、最大限の早期化を図った場合、工事費抑制効果に関
して、「タイル製造・石加工打込」「PC版・CW製
作」「設備機器製造」の各製造・調達過程の工事費抑制
割合が、リードタイム以上の余裕を確保したため、それ
ぞれ、0.3733%、0.72%、0.684%とな
る。これにより、全体の工事費抑制割合は1.6273
%の工事費削減となり、5.4の最適化よりも、大きな
工事費抑制を図ることができた。以上の検証から、本最
適化において、建築生産情報確定工程の早期確定による
工事費抑制の効果を最大限に享受するために、Expl
icitフロート、Implicitフロートを、最大
限に、最も効率的に使用して早期化を行った、といえ
る。
【0161】3−5−3. Networkフロートを
用いた最適化 Networkフロートを用いた最適化の結果を表21
に、工程表を図27に、労務山積図を図28に示す。
【0162】
【0163】本最適化の結果を検証する。 (1) 系列1(実施設計・意匠系) 最大出面は、出面上限である9人を下回る8人である。
8種類の作業が同時並行検討関係にあることから、最適
化を行っても最大出面の下限は8人となる。このため、
平準化率は低い値となっているが、表19の初期工程と
比較して、改善がなされている。表21の改良初期工程
と比較して、3−4.と同様に、平準化率が上昇してい
るのは、Explicitフロート、Implicit
フロートの使用によって、作業期間が短縮されているた
めである。 (2) 系列2(実施設計・構造系)および系列3(実
施設計・機械系) 最大出面は、上限3人と同じ3人である。初期工程と比
較して、平準化率が向上している。初期改良工程と比較
して、平準化率が低いのは、Implicitフロート
の使用によって、最大出面が3人となったためである。 (3) 系列4 最大出面は、上限4人を下回る3人である。Expli
citフロート、Implicitフロートが使用され
ていないため、平準化率は、初期工程よりは改善されて
いるが、改良初期工程の場合と変わらない。 (4) 系列5(施工図作成段階・作図) 最大出面6人は、出面上限6人を守っている。平準化率
に関しては、初期工程と比較して、改善がなされてい
る。初期改良工程と比較して低い値となっているのは、
Explicitフロート、Implcitフロート使
用による出面合計の減少による効果が、フロート使用に
よる効果を上回ったためである。 (5) 系列6(施工図作成段階の検討・承認) 最大出面10人は、出面上限10人を守っている。平準
化率に関しては、初期工程と比較して、改善がなされて
いる。初期改良工程より低い値となっているのは、Ex
plicitフロート、Implcitフロート使用に
よる出面合計の減少による効果が、フロート使用による
効果を上回ったためと、工事費抑制を図るために可能な
限り前倒しを行うことから、作業開始時間の自由度が低
くなったためである。以上、本最適化の検証をまとめる
と、平準化率に関しては、改良初期工程との比較は、出
面合計の減少などにより、初期工程よりも明らかに改善
されており、改良初期工程とは同等程度の結果が得られ
ている。よって、初期工程と比較して、出面上限の制限
を守った上で平準化率の改善が行われていることから、
本最適化が有効であるといえる。
【0164】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
建築生産情報確定工程の最適化方法や最適化システムに
よれば、施工者の資質・経験に依存せずに、様々な観点
から最適化した建築生産情報確定工程を作成でき、プロ
ジェクトの目標工期・目標工費を確実に達成するととも
に、建築生産情報の確定時期によってプロジェクトの工
期・工費に及ぶ影響を定量的に提示することを可能なら
しめる。すなわち、工事費の増加を極力抑えるという条
件や使用労務の全体的・部分的な集中を避けるという条
件の下で、最大限早期化した工程ネットワークを決定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】建築生産情報の流れモデルを表す図である。
【図2】本発明におけるフロートの概念図である。
【図3】先行・後続関係の場合の制約条件(実施設計段
階)を表す図である。
【図4】同時並行検討の場合の制約条件(実施設計段
階)を表す図である。
【図5】先行・後続関係の場合の制約条件(施工図作成
段階)を表す図である。
【図6】同時並行検討の場合の制約条件(施工図作成段
階)を表す図である。
【図7】建築生産情報の確定工程を表す図である。
【図8】本発明に係る建築生産情報確定工程の最適化方
法を実現するためのシステム構成図である。
【図9】各作業に含まれるフロートを利用した最適化の
フローを表した図である。
【図10】標準作業ブロックを表す図である。
【図11】実使用フロート数による作業日数の短縮を表
す図である。
【図12】作業ブロックを表す図である。
【図13】Networkフロートを用いた最適化のフ
ローを表す図である。
【図14】平準化率を表す図である。
【図15】建築生産情報確定工程ネットワーク図であ
る。
【図16】初期工程表を表す図である。
【図17】初期工程の労務山積図である。
【図18】改良初期工程表を表す図である。
【図19】改良初期工程の労務山積図である。
【図20】タイル・石施工図にKeyDateを設定し
た場合の各作業に含まれるフロートを用いて最適化した
工程表を表す図である。
【図21】タイル・石施工図にKeyDateを設定し
た場合の各作業に含まれるフロートを用いて最適化した
労務山積図である。
【図22】タイル・石施工図にKeyDateを設定し
た場合の相互関係に基づくフロートを用いて最適化した
工程表を表す図である。
【図23】タイル・石施工図にKeyDateを設定し
た場合の相互関係に基づくフロートを用いて最適化した
労務山積図である。
【図24】工事費抑制効果の変化を表す図である。
【図25】KeyDateを設定しない場合の各作業に
含まれるフロートを用いて最適化した工程表を表す図で
ある。
【図26】KeyDateを設定しない場合の各作業に
含まれるフロートを用いて最適化した労務山積図であ
る。
【図27】KeyDateを設定しない場合のNetw
orkフロートを用いて最適化した工程表を表す図であ
る。
【図28】KeyDateを設定しない場合のNetw
orkフロートを用いて最適化した労務山積図である。
【符号の説明】
100 … 記憶装置 200 … CPU/RAM 300 … 出力表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古阪 秀三 京都府京都市西京区御陵大枝山町5−14− 6 (72)発明者 峰政 克義 神奈川県茅ヶ崎市松風台21−3 (72)発明者 勝山 典一 京都府京都市北区紫竹西南町70−8 (72)発明者 伊藤 健司 神奈川県横浜市港北区日吉2−11−3 (72)発明者 藤沢 克樹 京都府京都市左京区山端大君町1−4 シ ャトー甲徳1−B

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実施設計開始から施工図作成完了までの
    領域の建築生産情報を確定していく工程を最適化する方
    法であって、 任意の手段で工程ネットワークを作成する第一ステップ
    と、 この工程ネットワークに含まれる各作業について、Ex
    plicitフロートとImplicitフロートの合
    計範囲内で使用フロートを変化させ、この使用フロート
    中のImplicitフロートに応じた前記各作業につ
    いての工事費変分を演算して全作業について合計するこ
    とにより、初期全体工事費変分を求める第二ステップ
    と、 さらに前記使用フロートを変化させ、この使用フロート
    中のImplicitフロートに応じた前記各作業につ
    いての工事費変分を演算して全作業について合計するこ
    とにより、新全体工事費変分を求める第三ステップと、 前記初期全体工事費変分と前記新全体工事費変分とを比
    較し、両者のうち小さい方を選択してこれを前記初期全
    体工事費変分に置き換える第四ステップと、 前記第三ステップと前記第四ステップとを指定回数繰り
    返すことにより、最小全体工事費変分を求める第五ステ
    ップと、 この最小全体工事費変分に係る使用フロートに対応した
    工程ネットワークを決定する第六ステップと、を含んで
    なることを特徴とする建築生産情報確定工程の最適化方
    法。
  2. 【請求項2】 第二ステップにおいて初期全体工事費変
    分を求める前、及び、第三ステップにおいて新全体工事
    費変分を求める前に、各作業の終了日がKeyDate
    よりも後でないことを確認する、ことを特徴とする請求
    項1に記載の建築生産情報確定工程の最適化方法。
  3. 【請求項3】 第二ステップにおいて求められる初期全
    体工事費変分及び第三ステップにおいて求められる新全
    体工事費変分はいずれも、 各作業についての使用フロートを変化させたことによっ
    て当該作業がリードタイムを確保した場合に、そのリー
    ドタイムに応じて演算された工事費減分を当該全作業に
    ついて合計して求められた全体工事費減分を差し引いた
    ものである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の建築生産情報確定工程の最適化方法。
  4. 【請求項4】 実施設計開始から施工図作成完了までの
    領域の建築生産情報を確定していく工程を最適化する方
    法であって、 任意の手段で工程ネットワークを作成する第一ステップ
    と、 この工程ネットワークの各作業系列で発生するNetw
    orkフロートを変化させ、前記各作業系列に属する各
    作業同士が同時並行検討関係を満足していることを確認
    した上で、前記各作業系列についての初期平準化率を求
    める第二ステップと、 さらに前記Networkフロートを変化させ、前記各
    作業系列に属する各作業同士が同時並行検討関係を満足
    していることを確認した上で、前記各作業系列について
    の新平準化率を求める第三ステップと、 前記初期平準化率と前記新平準化率とを比較し、両者の
    うち大きい方を選択してこれを前記初期平準化率に置き
    換える第四ステップと、 前記第三ステップと前記第四ステップとを指定回数繰り
    返すことにより、最大平準化率を求める第五ステップ
    と、 この最大平準化率に係るNetworkフロートに対応
    した工程ネットワークを決定する第六ステップと、を含
    んでなることを特徴とする建築生産情報確定工程の最適
    化方法。
  5. 【請求項5】 第二ステップにおいて初期平準化率を求
    める前、及び、第三ステップにおいて新平準化率を求め
    る前に、各作業系列の一日ごとの出面を演算し、これが
    指定出面上限を超えないことを確認する、ことを特徴と
    する請求項4に記載の建築生産情報確定工程の最適化方
    法。
  6. 【請求項6】 第二ステップにおいて初期平準化率を求
    める前、及び、第三ステップにおいて新平準化率を求め
    る前に、各作業の終了日がKeyDateよりも後でな
    いことを確認する、ことを特徴とする請求項4又は請求
    項5に記載の建築生産情報確定工程の最適化方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載の建築生産情報確定工程の最適化方法によって決定
    された、最小全体工事費増分に係る使用フロートに対応
    した工程ネットワークを、請求項4乃至請求項6のいず
    れか一項に記載の建築生産情報確定工程の最適化方法の
    第一ステップで作成された工程ネットワークとみなし
    て、最大平準化率に係るNetworkフロートに対応
    した工程ネットワークを決定する、ことを特徴とする建
    築生産情報確定工程の最適化方法。
  8. 【請求項8】 実施設計開始から施工図作成完了までの
    領域の建築生産情報を確定していく工程を最適化するシ
    ステムであって、 記憶装置(100)と、CPU/RAM(200)と、
    出力表示装置(300)とを備え、 記憶装置(100)は、初期工程データ(110)、フ
    ロート最適化結果工程データ(120)をそれぞれ、各
    作業毎に、工数、作業担当人数、使用可能Explic
    itフロート数、使用可能Implicitフロート
    数、初期使用フロート数、KeyDate、同時並行検
    討グループ番号、作業系列番号、リードタイム、早期化
    コストの形で記憶し、 CPU/RAM(200)は、フロート最適化用データ
    I/Oプログラム(220)、フロートを用いた最適化
    プログラム(230)、フロート評価結果出力プログラ
    ム(240)、最適化結果画面表示プログラム(28
    0)を実行し、 フロートを用いた最適化プログラム(230)は、ラン
    ダムのフロート作成モジュール(231)、作業ブロッ
    ク作成モジュール(232)、コスト評価モジュール
    (233)を含んでなり、 出力表示装置(300)は、フロート最適化結果工程デ
    ータ(120)をネットワーク工程表として出力表示す
    る、ことを特徴とする建築生産情報確定工程の最適化シ
    ステム。
  9. 【請求項9】 実施設計開始から施工図作成完了までの
    領域の建築生産情報を確定していく工程を最適化するシ
    ステムであって、 記憶装置(100)と、CPU/RAM(200)と、
    出力表示装置(300)とを備え、 記憶装置(100)は、初期工程データ(110)、平
    準化最適化結果工程データ(130)をそれぞれ、各作
    業毎に、工数、作業担当人数、使用可能Explici
    tフロート数、使用可能Implicitフロート数、
    初期使用フロート数、KeyDate、同時並行検討グ
    ループ番号、作業系列番号、リードタイム、早期化コス
    トの形で記憶し、 CPU/RAM(200)は、作業平準化用データI/
    Oプログラム(250)、作業平準化最適化プログラム
    (260)、作業平準化最適化評価結果出力プログラム
    (270)、最適化結果画面表示プログラム(280)
    を実行し、 作業平準化最適化プログラム(260)は、ランダムの
    フロート作成モジュール(261)、出面算出モジュー
    ル(262)、平準化率算定モジュール(263)を含
    んでなり、 出力表示装置(300)は、平準化最適化結果工程デー
    タ(130)をネットワーク工程表として出力表示す
    る、ことを特徴とする建築生産情報確定工程の最適化シ
    ステム。
  10. 【請求項10】 実施設計開始から施工図作成完了まで
    の領域の建築生産情報を確定していく工程を最適化する
    システムであって、 記憶装置(100)と、CPU/RAM(200)と、
    出力表示装置(300)とを備え、 記憶装置(100)は、初期工程データ(110)、フ
    ロート最適化結果工程データ(120)、平準化最適化
    結果工程データ(130)をそれぞれ、各作業毎に、工
    数、作業担当人数、使用可能Explicitフロート
    数、使用可能Implicitフロート数、初期使用フ
    ロート数、KeyDate、同時並行検討グループ番
    号、作業系列番号、リードタイム、早期化コストの形で
    記憶し、 CPU/RAM(200)は、フロート最適化用データ
    I/Oプログラム(220)、フロートを用いた最適化
    プログラム(230)、フロート評価結果出力プログラ
    ム(240)、作業平準化用データI/Oプログラム
    (250)、作業平準化最適化プログラム(260)、
    作業平準化最適化評価結果出力プログラム(270)、
    最適化結果画面表示プログラム(280)を実行し、 フロートを用いた最適化プログラム(230)は、ラン
    ダムのフロート作成モジュール(231)、作業ブロッ
    ク作成モジュール(232)、コスト評価モジュール
    (233)を含んでなり、 作業平準化最適化プログラム(260)は、ランダムの
    フロート作成モジュール(261)、出面算出モジュー
    ル(262)、平準化率算定モジュール(263)を含
    んでなり、 出力表示装置(300)は、フロート最適化結果工程デ
    ータ(120)及び/又は平準化最適化結果工程データ
    (130)をネットワーク工程表として出力表示する、
    ことを特徴とする建築生産情報確定工程の最適化システ
    ム。
  11. 【請求項11】 CPU/RAM(200)が外部デー
    タ読込み用プログラム(210)を実行することを特徴
    とする請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の
    建築生産情報確定工程の最適化システム。
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