JP2001189861A - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置

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JP2001189861A JP37553799A JP37553799A JP2001189861A JP 2001189861 A JP2001189861 A JP 2001189861A JP 37553799 A JP37553799 A JP 37553799A JP 37553799 A JP37553799 A JP 37553799A JP 2001189861 A JP2001189861 A JP 2001189861A
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学 山添
Ryosuke Iguchi
良介 井口
Okinobu Tsuchiya
興宜 土屋
Yuji Akiyama
勇治 秋山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 輝度のヒストグラムに基づく複数の補正処理
として、色バランス等に関する画像補正と印刷画像の濃
度を調整する濃度補正とを一連の処理として行ない、し
かものヒストグラムの生成に関する処理を効率化する。 【解決手段】 画像補正処理のための第1のヒストグラ
ム作成を行い(S10)、それに基づいて、色かぶり、コ
ントラストおよび彩度補正の画像補正処理を行い(S2
0)、次に、濃度補正処理(S30)で用いるヒストグラ
ムを、上記画像補正処理で新たな輝度データの生成に伴
って作成する。これにより、画像補正および濃度補正を
一連の処理として行うことができるとともに、その処理
で用いられるヒストグラムの生成を効率化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像処理方法およ
び画像処理装置に関し、例えば、デジタル写真画像など
の原画像における色かぶりやコントラスト等の補正であ
る画像補正処理およびその原画像を印刷出力する際の印
刷画像の濃度補正処理を行うための画像処理方法および
画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードコピー技術、特にフルカラ
ーのハードコピー技術が急速に発展しつつある。特に、
インクジェット方式による印刷技術は、インクドットに
よる粒状感の低減などにより、その印刷画質が銀塩写真
と同等のものとなりつつあり、また、その比較的簡易な
印刷方式によって広く普及しているものである。
【0003】一方で、プリンタ、スキャナ、デジタルカ
メラといったいわゆる周辺機器が高性能化かつ低価格化
しつつあり、一般のユーザが写真画像をデジタルデータ
として扱うことも一般化してきている。
【0004】このような点から、インクジェット方式に
よるプリンタと高画素のデジタルカメラ等とを用い、撮
像画像またはそれを加工した画像等の忠実な再現も可能
となってきている。
【0005】このような撮像画像を印刷するシステムで
は、基本的に印刷デバイスであるプリンタなどによって
実現できる濃度範囲が、デジタルカメラ等のそれとは異
なるという問題がある。例えば、インクジェット方式の
プリンタの場合、撮像された画像の濃度に対して高濃度
部において実現可能な濃度が比較的低いという問題があ
る。これは、デジタルカメラを用いる場合に限らず、ス
キャナなどの光学的な画像読取りデバイスを用いたシス
テムやCRT等のディスプレーの画像を印刷するシステ
ムでも同様である。そして、以上のような本質的な問題
によって、撮像等した画像を印刷すると、実際の色に比
べて明るすぎたりまたは暗すぎるといった場合がある。
【0006】このような課題を軽減するため、例えば、
本出願人は、画像の特性に応じて自動的に画像の濃度を
補正する方法(以下、ATC:Automatic Tone Control
と略す)を提案している。
【0007】これは、例えば、図3に示すように、最高
濃度の異なる印刷出力機器において、高濃度部、つまり
例えば輝度信号によって表される画像データにおけるシ
ャドー部によって実現される濃度が、相対的に低い出力
デバイスB(例えばインクジェットプリンタ)を用いて印
刷するときは、同図に示すようなγ曲線(破線)で原画像
データを補正することにより、画像全体の濃度を増大さ
せ、高濃度出力が可能な出力デバイスA(例えば銀塩写
真機)の出力濃度に全体として近付けることができる。
以下、この濃度補正を「ATC補正」または「濃度補正」
という。
【0008】一方、従来、オリジナルの撮像画像等にお
ける、色かぶりや露出不足(コントラスト不良)あるいは
彩度不良等の好ましくない現象を補正する方法が、例え
ば、特願平10−177272号において提案されてい
る。以下、このようなオリジナル画像における好ましく
ない現象の補正を行うことを「画像補正」という。
【0009】以上の濃度補正および画像補正のいずれの
処理においても、原画像における輝度信号の輝度値毎に
その輝度値の画素数を累積したヒストグラムを用いて補
正を行うのが一般的である。
【0010】このヒストグラムを求める場合、特に、普
及している多くのインクジェットプリンタのようなラス
タプリンタに対するプリンタドライバの処理では、ペー
ジデータをラスタライズする際、1ページ全てを一度ラ
スタライズし、これにより、複数の画像がある場合に
は、それを判定してどこにいくつの画像が配置されてい
るかなどを解析する、解析フェーズを必要とする。つま
り、ヒストグラムを求めるのに、上述の一連の濃度補正
や画像補正の処理とは別に、ページ全体を解析(パス)す
る処理、すなわち、ページない画像の画素ごとにそのデ
ータを調べる処理をページ全体に対して行う処理を必要
とする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のイ
ンクジェットプリンタ等のラスタプリンタ対するプリン
タドライバの処理では、上述の画像補正および濃度補正
の双方の処理を一連の画像処理として行う場合、それぞ
れの補正処理ついて解析フェーズが必要となり、処理効
率が低下するという問題がある。
【0012】この解析フェーズの処理時間は、主にアプ
リケーションに依存するが、例えば、ドロー系のソフト
ウエアにおいては、画像を細かく分割して送くるものも
あるために、数十分を要する場合もある。このため、上
記画像補正に加え、ATC補正(濃度補正)のためのさら
なる解析フェーズを設けることは、技術的には可能であ
っても著しく効率を低下させるものであるといえる。
【0013】本発明は、上記問題点を解消するためにな
されたものでり、その目的とするところは、ヒストグラ
ムに基づき画像に関する複数の補正処理が行われる画像
処理において、ヒストグラム生成処理による画像処理効
率の低下を抑制することが可能な画像処理方法および画
像処理装置を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、複数の補正処理とし
て画像補正と濃度補正を一連の処理として行うことが可
能な画像処理方法および画像処理装置を提供することに
ある。
【0015】特に、画像補正された画像に対して濃度補
正を行うことにより、適切な濃度補正を行えるようにす
ることを他の目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
画像データから当該画像の成分に関して求められるヒス
トグラムに基づいて画像データの補正を行う画像処理方
法であって、複数種類の補正を経時的に行ない、該複数
種類の補正のうち先行して行われる補正の際に、当該先
行する補正処理に伴ってその後の補正で用いるヒストグ
ラムを作成することを特徴とする。
【0017】また、画像データから当該画像の成分に関
して求められるヒストグラムに基づいて画像データの補
正を行う画像処理方法であって、複数種類の補正を経時
的に行ない、該複数種類の補正のうち先行して行われる
補正に際して用いられたヒストグラムに基づき、その後
の補正で用いるヒストグラムを作成することを特徴とす
る。
【0018】さらに、画像データから当該画像の成分に
関して求められるヒストグラムに基づいて画像データの
補正を行う画像処理方法であって、第一のヒストグラム
に基づいて画像データの第一の補正処理を行ない、第二
のヒストグラムに基づいて当該画像データに基づき印刷
装置によって印刷される印刷画像の濃度補正に関する成
分の補正処理であって前記第一の補正処理とは異なる第
二の補正処理を行うステップを有したことを特徴とす
る。
【0019】本発明の他の形態では、画像データから当
該画像の成分に関して求められるヒストグラムに基づい
て画像データの補正を行う画像処理装置であって、複数
種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正のうち
先行して行われる補正の際に、当該先行する補正処理に
伴ってその後の補正で用いるヒストグラムを作成するこ
とを特徴とする。
【0020】また、画像データから当該画像の成分に関
して求められるヒストグラムに基づいて画像データの補
正を行う画像処理装置であって、複数種類の補正を経時
的に行ない、該複数種類の補正のうち先行して行われる
補正に際して用いられたヒストグラムに基づき、その後
の補正で用いるヒストグラムを作成することを特徴とす
る。
【0021】さらに、画像データから当該画像の成分に
関して求められるヒストグラムに基づいて画像データの
補正を行う画像処理装置であって、第一のヒストグラム
に基づいて画像データの第一の補正処理を行なう第一補
正手段と、第二のヒストグラムに基づいて当該画像デー
タに基づき印刷装置によって印刷される印刷画像の濃度
補正に関する成分の補正処理であって前記第一のの補正
処理とはことなる第二の補正処理を行う第二補正手段と
を具えたたことを特徴とする。
【0022】以上の構成によれば、輝度のヒストグラム
などに基づいて複数の補正処理、例えば、第一の補正処
理として色かぶりやコントラストの補正などが行われ、
第二の補正として印刷画像の濃度に関する補正が行われ
る場合に、これを一連の連続した処理として行うことが
できるとともに、それぞれの補正に用いるヒストグラム
の作成を、先行する補正処理によもなって作成したり、
先行する補正処理で作成したヒストグラムに対しその補
正処理と同様の処理を行って作成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。 <第1実施形態>図1は、本発明の一実施形態にかかる
印刷システムの概略構成を示すブロック図である。本シ
ステムは、概略、ホストコンピュータ100、プリンタ
106およびモニタ105を有して構成されるものであ
る。すなわち、ホストコンピュータ100には、例えば
インクジェット方式のプリンタ106とモニタ105が
双方向通信可能に接続されている。
【0024】ホストコンピュータ100は、OS(オペ
レーティングシステム)102を有し、また、このOS
100による管理下においてそれぞれの処理を行う、ワ
ードプロセッサ、表計算、画像処理、インターネットブ
ラウザ等のアプリケーション101、このアプリケーシ
ョンによって発行され、出力画像を示す各種描画命令群
(イメージ描画命令、テキスト描画命令、グラフィック
ス描画命令)を処理して印刷データを作成するプリンタ
ドライバ103、および同様にアプリケーション101
が発行する各種描画命令群を処理してモニタ106に表
示を行うモニタドライバ104を同様のソフトウエアと
して有している。
【0025】また、ホストコンピュータ100は、上述
のソフトウエアによって動作可能な各種ハードウエアと
して中央演算処理装置CPU108、ハードディスクド
ライバHD107、ランダムアクセスメモリ(RAM)1
09、リードオンリーメモリ(ROM)110、入力イン
タフェース113等を備える。すなわち、CPU108
は、上述のソフトウエアに従った処理にかかる信号処理
を実行し、ハードディスクドライバ107によって駆動
されるハードディスクにはデジタルカメラ111によっ
て撮像した画像データが格納され、また、上記ソフトウ
エアが格納される。ROM110にも同様に、上述の各
種ソフトウエアが予め格納されており、必要に応じて読
み出されて用いられる。また、RAM109は、上記C
PU108による信号処理実行のワークエリア等として
用いられる。また、マウス、キーなどの入力デバイス1
12による入力は入力インターフェース113を介して
入力し、ОS102による処理に供される。
【0026】図1に示される実施形態として、例えば、
一般的に普及しているIBM社のAT互換機のパーソナ
ルコンピュータにMicrosoft社のWindows98をOSとして
使用し、任意の印刷処理が可能なアプリケーションをイ
ンストールし、モニタとプリンタを接続したものを挙げ
ることができる。
【0027】以上の構成を有したプリントシステムにお
いて、ユーザーは、アプリケーション101によってモ
ニタ105に表示された表示画像に基づき、同様にアプ
リケーションによる処理を介して文字などのテキストに
分類されるテキストデータ、図形などのグラフィックス
に分類されるグラフィックスデータ、自然画などに分類
されるイメージ画像データなどからなる画像データを作
成することができる。
【0028】そして、この作成した画像データの印刷出
力がユーザーによって指示されると、アプリケーション
101はOS102に印刷出力要求を行うとともに、グ
ラフィックスデータ部分をグラフィックス描画命令、イ
メージ画像データ部分をイメージ描画命令として構成し
た、出力画像を示す描画命令群をOS102に発行す
る。これに対し、OS102はアプリケーションの印刷
出力要求を受け、その印刷を行うプリンタに対応したプ
リンタドライバ103に描画命令群を発行する。
【0029】プリンタドライバ103は、OS102か
ら入力した印刷要求と描画命令群を処理しプリンタ10
5で印刷可能な形態の印刷データを作成してプリンタ1
05に転送する。この場合に、プリンタ105がラスタ
ープリンタである場合は、プリンタドライバ103はO
S102からの描画命令に対して、順次画像補正処理を
行い、そして順次RGB24ビットページメモリにラス
タライズし、すべての描画命令をラスタライズした後に
RGB24ビットページメモリの内容をプリンタ105
が印刷可能なデータ形式、例えばCMYKデータに変換
を行いプリンタに転送する。
【0030】図2は、プリンタドライバ103で行われ
る処理を示す図である。プリンタドライバ103の処理
は、大別して、画像・濃度補正処理120とプリンタ用
補正処理121からなる。
【0031】画像・濃度補正処理120は、OS102
から入力した描画命令群に含まれる輝度信号R、G、B
からなる色情報に対して、画像・濃度補正処理を行う。
詳しくは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の色
情報を基に、後述の画像補正処理および濃度補正処理
(自動階調補正処理)を行う。一方、プリンタ用補正処理
部121は、まず画像・濃度補正処理120によって補
正された色情報の描画命令をラスタライズし、R、G、
B24ビットのページメモリにラスター画像を生成す
る。そして、所定の画素毎に印刷を行うプリンタの色再
現性に依存したシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー
(Y)、ブラック(K)データを生成し、プリンタ105に
転送する。
【0032】次に、画像・濃度補正処理120の処理で
ある画像補正処理および濃度補正処理について説明す
る。
【0033】図4は、この処理の手順を示すフローチャ
ートである。画像・濃度補正処理は、同図に示すよう
に、大別してヒストグラム作成処理(ステップS10)、
画像補正処理(ステップS20)および濃度補正処理(ス
テップS30)の3つの処理に分けられる。また、図6
は、この画像・濃度補正処理における主に信号の変換を
概念的に示す図である。
【0034】(ヒストグラム作成、ハイライト/シャド
ーポイント決定)ステップS10におけるこの処理で
は、画像補正処理および濃度補正処理の前提として、ヒ
ストグラムを求め、そのヒストグラムに基づきハイライ
ト/シャドーポイント決定、画像種判定が行われる。
【0035】まず、入力されたRGBの画像信号を、画
像の明るさに関する成分である輝度Yと色味に関する成
分である色差信号C1、C2に変換する(図6に示すB
1)。その変換式は以下のように表されるものである。 Y(輝度)=0.30×R+0.59×G+0.11×B C1(色差)=R−Y C2(色差)=B−Y 次に、変換された各信号Y、Cr、Cbの内、輝度に相
当する信号Yについて、画像データにおける各画素毎の
輝度値(信号Yの値)を調べ、0〜255で示されるそれ
ぞれの輝度値毎にその輝度を有する画素の度数を集計
し、輝度のヒストグラム(度数分布)を作成する。
【0036】すなわち、本実施形態で扱う画像データR
GBは各8ビット(256階調)データであるので輝度
Yも256の深さに変換される。よって輝度ヒストグラ
ムは0から255までの256の輝度値の画素がそれぞ
れ何度数あるかを計算することになる。
【0037】このように作成されたヒストグラムは、例
えば、画像データが全体的に明るい画像を示すときは図
8に示すように高輝度側に分布が偏り、一方、全体的に
暗めの画像を示すときは図9に示すように低輝度側に分
布が偏ったものとなる。
【0038】なお、上述の輝度ヒストグラムの作成は、
画像全体における輝度の度数分布を調べるのが目的とし
てなされることから、度数の集計は必ずしも全画素につ
いて行う必要はなく、例えば1600(画素)×1200
(画素)の画像データに対しては、横に15(画素)ずつ、
縦に11(画素)ずつ間引いた画素について集計を行って
もよいし、あるいはそれらの画素それぞれについて周囲
画素との平均値を用いてもよい。
【0039】次に、上述のようにして求めたヒストグラ
ムから、ハイライトポイントとシャドーポイントを決定
する。その方法としては、例えば特開昭60-57594号公報
に開示されたものを用いることができる。すなわち、ヒ
ストグラムにおいて、輝度の最大(輝度値255)および
最小(輝度値0)からそれぞれ低輝度側および高輝度側へ
向かって累積したそれぞれの累積度数が、予め設定した
所定の累積度数、例えば、全画素数の1%にそれぞれ対応
する輝度値をハイライトポイントおよびシャドーポイン
トとするものである。
【0040】また、色差C1、C2ついて同様に累積値
を演算し、これを後述の色かぶり補正処理で、ハイライ
トポイントおよびシャドーポイントそれぞれの輝度値が
属する画素における平均色差量を算出するデータとして
用いる。このため、本実施形態では、次のようにデータ
保持を行う。0から255の構造体配列変数の形式で、
度数、C1累積値、C2累積値の3メンバーを設定し、
各画素ごとの演算結果を各メンバーに反映(インクリメ
ント)していく。
【0041】以上のように輝度ヒストグラムを生成し、
このヒストグラムからハイライトポイントとシャドーポ
イントを決定する。本実施形態では、たとえば35万画
素数の画像データに関して、その約1%に相当する35
00をしきい値として設定し、輝度値0、輝度値255
の各端からそれぞれ高輝度側および低輝度側方向に累積
度数値が上記しきい値になる点をそれぞれシャドーポイ
ント、ハイライトポイントと定める。
【0042】具体的には、輝度nの画素の度数をYnと
おくとき、Y0+Y1+……と累積度数を求めていき、
この累積度数が3500を越えたときの輝度値をシャド
ーポイントの輝度値(k)とする。
【0043】次いで、このシャドーポイントである輝度
kの画素における平均色差量を求める。前述の通り、輝
度ヒストグラム作成時に輝度値ごとの色差信号の累積値
が計算されている(輝度nの画素の累積色差をC1nt
otal,C2ntotalとする)ので、シャドーポ
イントの輝度値kでの平均色差量C1k、C2kは以下
のように求めることができる。
【0044】C1k=C1ktotal/Yk C2k=C2ktotal/Yk 同様にY255+Y254+……と累積度数を求めてい
き、この累積度数が3500を越えたときの輝度値をハ
イライトポイントの輝度値(w)とし、そのハイライト
ポイントである輝度値の画素の平均色差量C1w、C2
wを次のように求めることができる。
【0045】C1w=C1wtotal/Yw C2w=C2wtotal/Yw 以上により、「C1,C2,Y」色空間において、ハイ
ライトポイント(C1w,C2w,Yw)とシャドーポ
イント(C1k,C2k,Yk)を求めることができ
る。
【0046】なお、本実施形態では、輝度値0と輝度値
255の輝度位置から累積度数を求めたが、輝度値1と
輝度値254から求めるなど所定のオフセットを有して
いてもよい。
【0047】上記のハイライトポイントおよびシャドー
ポイント求めた後、上記で求めたヒストグラムの形状か
ら簡易的に画像の種別を判定し、例えば、グラフィック
ス画像のような写真画像ではない画像の場合は、以下の
処理を行わずに画像補正処理を終了してもよい。この判
定方法は、例えば特願平10―177134号において
開示されている方法によって行うことができる。 (画像補正処理;色かぶり、コントラストおよび彩度補
正)次に、図4におけるステップS20において、ステ
ップS10で上記のように決定されたハイライトポイン
トおよびシャドーポイントに基づいた画像補正処理を行
う。本実施形態では画像補正処理として、上述の式で求
めた輝度および色差信号で表せられる原画像の色かぶり
を補正する色かぶり補正、同原画像の輝度のコントラス
トを調整するコントラスト補正、および同原画像に基づ
いて印刷される画像の見栄えをよくするための彩度補正
を行う。
【0048】すなわち、ヒストグラムを求めた原画像の
「C1,C2,Y」色空間におけるハイライトポイン
ト、シャドーポイントに基づいて色かぶり補正と輝度の
コントラスト補正を行う。
【0049】仮に、上記原画像に色かぶりがなく理想的
な画像であるとすれば、無彩色はR=G=Bであるか
ら、上述の式からも明らかなようにハイライトポイン
ト、シャドーポイントの色差量の演算値はいずれも0と
なる。つまり、画像を表す色立体が、それを表す図5
(a)に示すような状態にあるとき、この画像は理想的
であり、色かぶりはないといえる。
【0050】しかし、色かぶりがある場合には、図5
(b)に示す如く、かぶっている色相方向に、かぶりの
程度に比例して(C1w,C2w,Yw)と(C1k,
C2k,Yk)を結ぶ直線(色立体軸)に傾きが生じ
る。
【0051】すなわち、色かぶり補正は、この色立体軸
とY軸が一致するように原画像を表す色立体を変換する
ことによって行う。その方法としては、色立体を回転、
平行移動させることでも達成できるし、座標系を変換す
ることでも達成できる。本実施形態では、まず原画像の
色立体(例えば図5(b)に示す色立体)において、色立体
軸のシャドーポイントを原点とするような並行移動を行
い、その座標系において、シャドーポイントすなわち原
点を中心に色立体軸がY軸と平行(一致)になるように回
転する。3次元空間中で回転軸と回転角度が定っている
系で、座標系を所望の角度で回転させる回転行列を求め
る手法は公知の技術であるから個々ではその詳細な説明
は省略する。
【0052】次に、輝度のコントラストの補正として、
本実施形態では、シャドーポイントの輝度を"0"あるい
はそれに近い値(例えば"10")、ハイライトポイントの
輝度を"255"あるいはそれに近い値(例えば"245")に補
正することによって行う。これは、上記の色かぶり補正
で色立体軸がY軸に一致させられた色立体を輝度軸(Y
軸)方向に拡大(縮小)することに相当する。
【0053】さらに、彩度補正は次のように行うことが
できる。彩度は、色差信号を用いて表現すれば、それぞ
れの色差信号の輝度軸からの距離に相当するものである
(彩度をSで表すと、S2=C12+C22)。従って、た
とえば彩度を一律に20%増す場合は、色差C1、C2
をそれぞれ1.20倍(ここで1.20は彩度係数)す
ることで達成される。すなわち、色立体において(C
1,C2)平面内での拡大(縮小)を行うことになる。
【0054】この点から、本実施形態では、上記輝度の
コントラストを補正するための輝度軸方向の拡大(縮
小)率を色立体全体に適用し、輝度コントラストの補正
にともなって彩度補正も自動的に行うようにする。な
お、ユーザーが特に所望の彩度補正を望めば、その彩度
係数を与えることにより、輝度補正と彩度補正を別処理
として行ってもよいことは勿論である。
【0055】以上のように、原画像の各画素の信号を輝
度と色差信号(C1,C2,Y)に変換し(図6に示す
B1)、この3次元色空間中で原画像を表す色立体を回
転、平行移動および拡大(縮小)することによって、色
空間(C1′,C2′,Y′)に変換し(図6に示すB
2)、色かぶり補正、コントラスト補正および彩度補正
を同時もしくは別々に行うことができる。
【0056】(第2のヒストグラム作成)以上、ステップ
S20の処理として説明した画像補正(図6に示すB2)
によって輝度信号に補正が加えられ、図6に示すよう
に、新たな輝度および色差信号Y′、C1′、C2′が
得られる。この結果、輝度ヒストグラム分布は変化す
る。このため、次のステップS30で行う濃度補正処理
のため、第2のヒストグラムを作成する。
【0057】本実施形態では、このヒストグラム作成を
上述した画像補正の処理に関連させてその処理と同時に
行ない、これにより、ヒストグラム作成の効率化を図
る。すなわち、上記画像補正処理では、上述のように3
次元色空間における原画像の並行移動および回転移動を
行うが、これは、具体的には、各画素毎に座標で表せら
れる輝度および色差信号値(Y、C1、C2)の座標変換
である。そこで、本実施形態では、この座標変換処理の
際に同時にその変換後の輝度信号Y′をその輝度値の度
数として累積する。これにより、上述したステップS2
0の画像処理が終了した時点で、濃度補正に必要な第2
のヒストグラムは作成されていることになる。
【0058】(濃度補正)次に、ステップS30では、以
上のようにして求めた第2の輝度ヒストグラムに基づき
第2の補正処理である濃度補正(ATC補正)を行う。こ
のように、本実施形態によれば、上述の画像処理した結
果に基づき、以下で濃度補正条件を設定するためのヒス
トグラムを作成することができる。これにより、適切な
濃度補正条件を設定することができる。
【0059】図7は、この濃度補正処理を示すフローチ
ャートである。
【0060】ハイライトポイント判定部 ステップS301のハイライトポイント算出処理では、
上記第2のヒストグラムから処理対象である画像におけ
るハイライトポイントを算出する。このハイライトポイ
ントの算出方法は上記画像補正の際の方法と同様であ
る。
【0061】すなわち、輝度信号Yの上記第2ヒストグ
ラムにおいて輝度範囲の最高輝度値(輝度値255)か
ら、順に低輝度側に向かいながら各輝度値の度数を累積
し、ここで求めた累積度数が、例えば、処理対象である
画像データの全画素数の1.0%と一致した輝度値、ま
たは最初に全画素数の1.0%を越えた輝度値を求め、
この点をハイライトポイント(以下、「HLP」ともいう)
とする。
【0062】次に、このようにして求めたHLPと輝度
値について予め定めた閾値Thを用いてこれらの大きさ
を比較し、 HLP>Thとき、画像は明るい画像、H
LP≦Thときは、画像は暗い画像と判定する。すなわ
ち、この処理によって明暗について2種の画像に判別す
る。なお、本実施形態で用いる閾値Thは、比較的高輝
度の値を用い、例えば220等を用いる。
【0063】例えば、図8に示す明るめの画像のヒスト
グラムでは、HLPが閾値Thを越えて(HLP>T
h)おり、従って、明るい画像と判定される。この場
合、前述したようにヒストグラムは全体的に高輝度側に
分布が偏っており、結果的にHLPも高輝度側に位置し
ている。一方、図9に示す暗めの画像のヒストグラムで
は、HLPが閾値Thよりも低く(HLP≦Th)、暗
い画像と判定される。この場合、全体的に低輝度側に輝
度分布が偏っており、HLPも低輝度側に位置すること
から、このような判定が行われる。
【0064】以上のように処理対象画像のヒストグラム
からハイライトポイントを求め、これに基づいて画像の
全体的な明暗を判別することにより、図10にて後述さ
れるように、判別された明暗に応じて、補正対象である
画像の低輝度領域の分布に関連させて補正の程度、すな
わち、γ値を異ならせることができる。例えば、暗い画
像と判別された場合は、同じ低輝度領域の分布(低輝度
領域の割合)でも明るい画像と判断される場合より、小
さなγ値で補正する(濃度を高くする;暗くする)確率を
より低くすることができ、これにより、全体的に暗い画
像で、例えば低輝度領域の分布が比較的少ない画像につ
いては全体的に低濃度で印刷することが可能となり、印
刷画像における高濃度部のいわゆる潰れを防止できる。
一方、明るい画像と判断される場合は、逆に、小さなγ
値で補正する(濃度を高くする;暗くする)確率をより高
くすることができ、これにより、プリンタ等の印刷デバ
イスが本来的に有している比較的低濃度の出力特性を補
った印刷を行うことができる。
【0065】なお、HLPの算出は、必ずしも上述した
方法によって求める必要はなく、従来知られている方式
を適宜用いてもよい。
【0066】低輝度領域の画素数判定(γパラメータ
判定) 次に、ステップS302において、ハイライトポイント
判定によって明暗2種に大別された画像について、上記
第2ヒストグラムを用いて低輝度領域分布の判定を行
う。
【0067】この低輝度領域の画素数判定処理では、ま
ず、ステップS3021で処理対象画像の全画素数に対
する所定の低輝度領域の累積度数の割合であるSlowを求
める。これは、低輝度領域の分布をより詳細に求めるこ
とにより、補正の程度、すなわちγ値について適切なも
のを求め、特に、印刷画像の低濃度部におけるいわゆる
潰れを生じさせることなく全体的な濃度の増大を図るこ
とを可能とするものである。
【0068】最初に、前処理として、低輝度領域での累
積度数Sを求める。この低輝度領域での累積度数Sは、
ヒストグラムにおいて輝度範囲の最低輝度値(輝度値
0)から高輝度側に向かって所定の輝度値までの累積度
数として求められるものである。本実施形態では、最大
輝度値(輝度値255)の1/4となる輝度値(輝度値
64)までの累積度数を低輝度領域の累積度数Sとして
求める。
【0069】次に、上述のように求めた低輝度領域の累
積度数Sが、全画素数に占める割合Slowを算出する。
【0070】すなわち、ここで、Slow=(低輝度領域の
累積度数S)/(全画素数)(%)である。
【0071】なお、前述のヒストグラム集計の際に、画
素を間引いて、間引きヒストグラムを作成した場合に
は、上記Slowの定義式での分母は、ヒストグラム作成の
対象となった画素数である。
【0072】次に、ステップS3022において上記で
求めたSlowを用いてγ値(γパラメータ)の判定を行う。
【0073】この判定は、具体的には、図10に示すテ
ーブルのSlowが属する範囲を決定する処理である。すな
わち、このSlowの範囲は、上述のHLP判定に応じた画
像の明暗により範囲を異ならせるものであり、明るい画
像と判定されたものについて、Slow=0〜30、Slow
31〜60、Slowが61以上の3種の範囲に分類され
る。一方、HLP判定で、暗い画像と判定されたものに
ついては、 Slow=0〜15、Slow=16〜30、Slow
が31以上の3種の範囲に分類される。
【0074】例えば、図8に示す明るめの画像の場合、
斜線で示した領域の全画素数に対する割合がSlowとな
る。この例では、Slowは全画素数の10%となり、従っ
て、上記HLP判定で明るい画像と判断されるととも
に、Slowは、0〜30の範囲と判定される。一方、図9
に示す暗めの画像の例では、斜線で示した領域Slowは、
全画素数の40%となり、したがって、上記HLP判定
で暗い画像と判断されるとともに、Slowは31以上の範
囲と判定される。
【0075】ここで、仮に、上述のように累積度数の割
合を用いず、前述のシャドウポイント(ヒストグラムに
おける最小輝度値から順番に高輝度側に向かいながらそ
れぞれの度数を累積し、例えば全画素数の1.0%と一
致または最初に越えた値となった輝度値)のみを用いて
低輝度部の分布を判定する方法を用いた場合には、低輝
度領域の実際の分布状態が適切に反映されない、画像の
明るさについての判定を行うこととなる。例えば、シャ
ドウポイント自体は比較的高めの輝度値を示しつつも、
実際には、シャドウポイント周辺の輝度値に度数分布の
ピークがあって低輝度領域の度数分布自体は少ない画像
の場合、明るめの画像であると誤った判定をして小さな
γ値(濃度を高くする輝度補正)が選択され、結果として
画像上の比較的大きな部分を占める暗い部分が潰れてし
まうことがある。
【0076】これに対し、上述の実施形態のように、低
輝度領域における累積度数を求め、この累積度数の全画
素数に占める割合Slowを用いることにより、より実際の
低輝度分布が反映された画像の明暗を判定を行うことが
でき、上述のような、暗めの画像についても適切な階調
補正を行うことができる。
【0077】なお、上記実施形態では、Slowの範囲につ
いて輝度値0〜60の範囲を均等に区分したが、より詳
しく低輝度領域の情報を求める場合は、低輝度領域をい
くつかに分割してそれぞれに対して場合分けを行っても
よいし、また、Slowが0〜30までは2倍、31〜60
までは1倍して足し合わせるといった重み付けをしても
よい。
【0078】補正γ値決定 以上の低輝度領域の画素数判定処理により、低輝度領域
の割合Slowが属する範囲が決定されることにより、処理
対象画像は、図10に示されるように、明3種、暗3種
の計6種に分類されることになる。そして、次のステッ
プS303では、図10に示すテーブルを用いてγ値を
決定する。
【0079】本実施形態のγ値は、図11に示す補正テ
ーブル(補正曲線)から明らかなように、0.8、1.0
または1.2が設定される。なお、このγ値は、前述し
たようにより明るく(印刷画像において、より濃度が低
く)補正する程度を表すものであり、個々の入力輝度値
に対する補正の割合を示すものではない。個々の入力値
に対する補正の割合は、同図のそれぞれのテーブルを表
す曲線で表されるものである。
【0080】上記6種に分類された画像に関するγ値の
決定は、図10に示すテーブルを用い、例えば上記HL
P判定が明るい画像の判定の場合、Slow=0〜30のと
きはγ=0.8、Slow=31〜60のときはγ=1.0
(つまり補正せず)、Slowが61以上のときはγ=1.
2といったように設定される。具体的には、後述のよう
にそれぞれのγ値に応じた補正用ルックアップテーブル
(LUT)が用意される。
【0081】図8に示す明るめの画像の場合、HLPは
閾値Thより大きく且つSlowは10%であるので、図1
1に示すテーブルより、この画像は明るい画像と判定さ
れ、γ値は0.8に設定される。このγ値決定により、
比較的高い輝度領域まで暗くする(印刷濃度を高くする)
補正がなされ、全体的に最適な濃度の印刷画像となる。
また、低輝度領域の画素に割合が少ないことから、画像
の潰れる部分が少なくて済む。
【0082】一方、図9に示す暗めの画像では、HLP
がThより小さく且つSlowが40%であるため、図10
に示すテーブルによって、γ値は1.2に設定される。
このγ値設定により、印刷される画像全体が明るくな
り、特に画像の40%を占める低輝度部分が明るくな
り、濃度のバランスがとれた印刷画像となる。
【0083】なお、上記の説明では、ハイライトポイ
ント判定において、画像の明るさの判定を2段階で行っ
たが、より最適なγ値を求めるために、明るい画像、中
間画像、暗い画像といった3段階以上に場合分けしてよ
り詳細な判定を行ってもよい。その場合、低輝度領域
の画素数判定は図10に示したSlowの閾値に加え、中間
画像の場合、例えばSlow=0〜20でγ=0.8、Slow
=21〜40でγ=1.0、Slowが41以上でγ=1.
2とすることができる。
【0084】(LUT作成)以上説明したγ判定処理を終
了すると、ステップS303でLUT作成を行う。すな
わち、γ判定処理で得られたγ値に基づいて輝度補正の
ためのルックアップテーブル(LUT)を作成する。
【0085】本実施形態のLUTは、上述のようにして
得られたγ値の逆数を各入力輝度信号の最大輝度に対す
る比に累乗したものに最大輝度値を乗じて得られるもの
を出力輝度信号とする補正を行うものであり、輝度範囲
の全ての値(輝度値0〜255)に対応して、上記γ値
を用いた補正関係で得られる全ての輝度値を記したもの
である。すなわち、LUT L[Y]は、入力輝度信号
をY、出力輝度信号をY‘とすると、Y’=255×
[(Y/255)1/ γ]なる式によって表される変換を
行い、動的に作成される。すなわち、対象画像の処理ご
とに作成されるものである。このように補正テーブルを
動的に作成することにより、必要となるメモリ量を削減
することができる。
【0086】なお、上記LUTは、動的に作成する代わ
りに上記γ値毎に、予めメモリ上に静的に用意してもよ
いことは勿論である。
【0087】(補正)次に、ステップS305で、上記作
成したLUT L[y]によって、処理対象画像の輝度
値YをY”=L[Y’]とする変換を行い、輝度補正を
行う(図6に示すB3)。
【0088】さらに、輝度補正のされた輝度信号Y”お
よび上記画像補正処理で変換された画像の色差信号C
1’、C2’をR、G、B信号に戻し、補正された画像
信号R'、G'、B'を作成する(図6に示すB4)。こ
の逆変換は以下の式により行うことができる。
【0089】R’=Y’+C1’ G’=Y’−(0.3/0.59)×C1’−(0.11/0.59)×
C2’ B’=Y’+C2’ 以上の通り、原画像の各画素データに基づきヒストグラ
ムを作成し、所定の輝度値から累積して所定度数に相当
する輝度値の画素データを検出し、この検出された画素
データに基づき3次元色空間で色バランスを補正するこ
とにより、少ない処理負荷で確実に色かぶりを補正する
ことを可能とした画像処理方法を提供でき、かつ、特に
低輝度部が少ないような画像に関しては、ATC補正部
においてγ補正を施すことによって、より好適な濃度レ
ベルの出力結果を得ることできる。
【0090】そして、上記画像補正と濃度補正で用いる
ヒストグラムの作成を効率的に行うことができる。 <第2の実施形態>上述の第1の実施形態では、第2の
ヒストグラムを作成する場合、前述したように、原画像
の画像補正処理が完了したとき初めて第2のヒストグラ
ムを得ることができる。つまり、現画像の画素ごとの補
正という観点からは、画像補正を全て行った後であらた
めて濃度補正の処理を行うことになる。この第1の実施
形態によれば、前述したように、画像処理を行った画像
に対してあらためてページ全体をパスしヒストグラム情
報を収集するという解析フェーズを必要としないという
効果を得ることができる。しかし、その場合でも補正の
ためのフェーズを別に必要とする。すなわち、第1の実
施形態では、まずページ全体を解析し、ページ内におか
れた1つあるいは複数の画像それぞれに対してヒストグ
ラム情報を収集する第1ステップと、それに基づいて画
像補正を行い、かつ、第2のヒストグラムを作成する第
2のステップと、第2のヒストグラムに基づいて濃度補
正を行う第3のステップの3回のステップ、すなわち、
3回のパスでプリンタドライバによる画像・濃度補正処
理を完了する。
【0091】ヒストグラムの精度は第1の実施形態によ
る方法の方が高いが、上述のように、ラスタプリンタに
対するプリンタドライバの処理としては、ページをパス
する回数が増すことは、処理速度低下の原因となる。す
なわち、このような処理をプリンタドライバで実行する
場合は、このパス数は少ないことが望ましい。
【0092】そこで、本実施形態では、第2のヒストグ
ラムをより簡易的に求めることにより、全体のパス数を
少なくするものである。すなわち、画像補正処理のコン
トラスト補正で、上述したように画像のハイライトポイ
ントとシャドーポイントを求め、それらを例えば輝度値
245あるいは10に移動する処理を行う。従って、図12
に示すように、画像補正処理で求めた第1ヒストグラム
をコントラスト補正と同様、平均的に輝度方向に引き延
ばしたものを第2のヒストグラムとして用いる。
【0093】ここで、ヒストグラムを引き延ばすことに
よって、ヒストグラムの分布に隙間(すなわち、0度数
となるところ)が生じる場合があるが、これに対して
は、単純に補間してならすなどの処理を行うことができ
る。例えば、第1のヒストグラムを引き延ばしたことに
よって、輝度値100と101に0度数が生じたとき
は、輝度値99と102の度数から線形的に輝度値10
0と101の度数によって補間することができる。
【0094】このようにして簡易的に求めた第2のヒス
トグラムから第1の実施形態で上述した濃度補正のため
の補正テーブルを予め作成し、画像補正において輝度値
の変換(補正)を行った直後に、上記予め作成した濃度補
正テーブルによる処理を行うことによって、画像補正と
濃度補正とを同時の処理として行うことができる。すな
わち、ヒストグラム情報の収集にかかる解析のための1
回のステップ(パス)と、画像補正および濃度補正のステ
ップ(パス)の2回のステップによって画像補正および濃
度補正にかかる画像処理を完了することができる。
【0095】なお、本実施形態の他の処理は第1の実施
形態と同様である。 <第3の実施形態>上記実施形態では、画像補正処理と
ATC処理(濃度補正)は、一連の連続した処理として説
明したが、これはユーザの指示によってそれらの処理を
個別に設定することもできる。
【0096】例えば、図13に示すようなユーザーイン
ターフェースにおいて、「フォトデータ補正(画像補正)」
と「自動階調補正(ATC)」の両者がチェックされた場合
には、第1の実施形態で説明したように一連の連続した
処理として行い、ATCのみがチェックされた場合に
は、最初に求めた第1のヒストグラムをそのままATC
処理に適用して濃度補正を行うことができる。
【0097】このようにユーザーは、補正処理に関して
任意に処理を細かく設定することが可能となり、必要に
応じた印刷出力結果を得ることが可能となる。 <他の実施形態>本発明は上述のように、複数の機器
(たとえばホストコンピュータ、インタフェース機器、
リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用し
ても一つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)
からなる装置に適用してもよい。
【0098】また、前述した実施形態の機能を実現する
ように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイ
スと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータ
に、前記実施形態機能を実現するための図4、図7に示
すようなソフトウェアのプログラムコードを供給し、そ
のシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるい
はMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デ
バイスを動作させることによって実施したものも本発明
の範疇に含まれる。
【0099】またこの場合、前記ソフトウェアのプログ
ラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現するこ
とになり、そのプログラムコード自体、およびそのプロ
グラムコードをコンピュータに供給するための手段、例
えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発
明を構成する。
【0100】かかるプログラムコードを格納する記憶媒
体としては例えばフロッピーディスク、ハードディス
ク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気
テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いるこ
とができる。
【0101】またコンピュータが供給されたプログラム
コードを実行することにより、前述の実施形態の機能が
実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコン
ピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティング
システム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と
共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもか
かるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれるこ
とは言うまでもない。
【0102】さらに供給されたプログラムコードが、コ
ンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続され
た機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後その
プログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボード
や機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一
部または全部を行い、その処理によって前述した実施形
態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言
うまでもない。
【0103】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、輝度のヒストグラムなどに基づいて複数の補
正処理、例えば、第一の補正処理として色かぶりやコン
トラストの補正などが行われ、第二の補正として印刷画
像の濃度に関する補正が行われる場合に、これを一連の
連続した処理として行うことができるとともに、それぞ
れの補正に用いるヒストグラムの作成を、先行する補正
処理によもなって作成したり、先行する補正処理で作成
したヒストグラムに対しその補正処理と同様の処理を行
って作成することができる。
【0104】この結果、ヒストグラム作成に関して効率
的な補正処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプリントシステム
の構成を示すブロック図である。
【図2】上記システムにおけるプリンタドライバの処理
を示す図である。
【図3】印刷出力デバイスの違いによる、実現できる濃
度の違いを説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像補正処理およ
び濃度補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)および(b)は、上記画像補正のうち主に色
かぶり補正を説明する図である。
【図6】上記プリンタドライバの処理のうち画像補正処
理として行われる自動階調補正処理における主に信号変
換の構成を示す図である。
【図7】上記濃度補正処理の手順を示すフローチャート
である。
【図8】上記補正処理の処理対象である画像が明るい画
像である場合のヒストグラムを示す図である。
【図9】上記補正処理の処理対象である画像が明るい画
像である場合のヒストグラムを示す図である。
【図10】上記濃度補正処理で用いるテーブルの内容を
示し、画像の種類に応じたγ値の定め方を説明する図で
ある。
【図11】γ値に応じた輝度補正テーブルの変換特性曲
線を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態にかかるヒストグラム
の作成を説明する図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態にかかるユーザ
ーインターフェースを示す図である。
【符号の説明】
100 ホストコンピュータ 101 アプリケーション 102 ОS(オペレーティングシステム) 103 プリンタドライバ 104 モニタドライバ 105 モニタ 106 プリンタ 107 HD 108 CPU 109 RAM 110 ROM 120 画像補正処理 121 プリンタ用補正処理
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 興宜 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 秋山 勇治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5B057 CA01 CA08 CA12 CA16 CB01 CB08 CB12 CB16 CE11 CE17 CE18 CH01 CH07 CH11 DB02 DB06 DB09 DC23 5C077 LL19 MP08 NN02 NP01 PP15 PP32 PP34 PP37 PP52 PP53 PQ08 PQ12 PQ19 PQ22 PQ23 TT02 5C079 HB01 HB04 HB12 KA12 LA12 LA31 MA01 MA04 MA11 NA05 NA13 PA03 5L096 AA02 AA06 FA14 FA37 GA28 GA40 GA53 MA03

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像データから当該画像の成分に関して
    求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正を
    行う画像処理方法であって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正の際に、当該先行する補正処
    理に伴ってその後の補正で用いるヒストグラムを作成す
    ることを特徴とする画像処理方法。
  2. 【請求項2】 前記先行する補正処理で生成される画像
    の成分について度数を累積することによりヒストグラム
    を作成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理
    方法。
  3. 【請求項3】 画像データから当該画像の成分に関して
    求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正を
    行う画像処理方法であって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正に際して用いられたヒストグ
    ラムに基づき、その後の補正で用いるヒストグラムを作
    成することを特徴とする画像処理方法。
  4. 【請求項4】 前記その後の補正で用いるヒストグラム
    は、前記先行する補正で用いられるヒストグラムに当該
    先行する補正の処理と同様の処理を施すことにより作成
    することを特徴とする請求項3に記載の画像処理方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の補正には、前記画像データに
    基づいて印刷装置によって印刷される印刷画像の濃度補
    正に関して前記成分を補正する処理が含まれることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理
    方法。
  6. 【請求項6】 前記濃度補正に関する成分の補正は、画
    像データが示す画像の明るさに関する成分の値の画素数
    に関するヒストグラムから前記画像の明るさの度合いを
    判別し、該判別に基づいて前記画像データの明るさに関
    する成分を補正する程度を定め、該定められた補正の程
    度に従い当該成分を補正することを特徴とする請求項5
    に記載の画像処理方法。
  7. 【請求項7】 前記画像処理方法は、前記ヒストグラム
    において、前記成分値の範囲においてその最大値または
    最小値からの累積度数が所定の値を示す成分値を求め、 前記ヒストグラムにおいて、前記最小値または最大値か
    ら所定の成分値までの累積度数を求め、 前記求めた成分値および累積度数に基づいて前記明るさ
    の度合いを判別し、該判別に基づいて前記補正する程度
    を定めるステップを有することを特徴とする請求項6に
    記載の画像処理方法。
  8. 【請求項8】 前記補正する程度を定めるステップは、
    前記累積度数のヒストグラムの全画素数に占める割合に
    基づいて前記明るさの度合いを判別することを特徴とす
    る請求項7に記載の画像処理方法。
  9. 【請求項9】 前記成分値は、画像データが示す輝度値
    であることを特徴とする請求項7または8に記載の画像
    処理方法。
  10. 【請求項10】 前記補正する程度を定めるステップ
    は、前記成分値に基づいて当該画像を明るさに関して複
    数段階に判別し、該判別した複数段階の明るさ毎に当該
    補正する程度を異ならせて定めることを特徴とする請求
    項8または9のいずれかに記載の画像処理方法。
  11. 【請求項11】 前記補正する程度を定めるステップ
    は、前記割合に基づき、前記複数段階の明るさ毎に当該
    画像の明るさの分布を複数段階で判別し、該判別した複
    数段階の明るさの分布毎に当該補正する程度を異ならせ
    て定めることを特徴とする請求項10に記載の画像処理
    方法。
  12. 【請求項12】 前記成分は、画像の輝度成分であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の
    画像処理方法。
  13. 【請求項13】前記濃度補正に関する成分の補正は、印
    刷装置であるインクジェットプリンタの特性を考慮した
    濃度であることを特徴とする請求項1ないし11のいず
    れかに記載の画像処理方法。
  14. 【請求項14】 画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理方法であって、 第一のヒストグラムに基づいて画像データの第一の補正
    処理を行ない、 第二のヒストグラムに基づいて当該画像データに基づき
    印刷装置によって印刷される印刷画像の濃度補正に関す
    る成分の補正処理であって前記第一の補正処理とは異な
    る第二の補正処理を行うステップを有したことを特徴と
    する画像処理方法。
  15. 【請求項15】 前記第二のヒストグラムは、前記第一
    の補正処理に伴って作成されることを特徴とする請求項
    14に記載の画像処理方法。
  16. 【請求項16】 前記第二のヒストグラムは、前記第一
    の補正処理で生成される画像の成分について度数を累積
    することにより作成されることを特徴とする請求項15
    に記載の画像処理方法。
  17. 【請求項17】 前記第二のヒストグラムは、前記第一
    の補正処理に際して用いられたヒストグラムに基づき作
    成されることを特徴とする請求項14に記載の画像処理
    方法。
  18. 【請求項18】 前記第二のヒストグラムは、前記第一
    の補正処理で用いられるヒストグラムに当該第一の補正
    処理と同様の処理を施すことにより作成されることを特
    徴とする請求項17に記載の画像処理方法。
  19. 【請求項19】 前記第一および第二の補正処理は、そ
    れぞれが選択されることにより、当該二つの補正処理が
    経時的に行われ、それぞれが個々に選択されるそれぞれ
    選択された補正処理が行われる請求項14ないし18の
    いずれかに記載の画像処理方法。
  20. 【請求項20】 画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理装置であって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正の際に、当該先行する補正処
    理に伴ってその後の補正で用いるヒストグラムを作成す
    ることを特徴とする画像処理装置。
  21. 【請求項21】 画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理装置であって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正に際して用いられたヒストグ
    ラムに基づき、その後の補正で用いるヒストグラムを作
    成することを特徴とする画像処理装置。
  22. 【請求項22】 画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理装置であって、 第一のヒストグラムに基づいて画像データの第一の補正
    処理を行なう第一補正手段と、 第二のヒストグラムに基づいて当該画像データに基づき
    印刷装置によって印刷される印刷画像の濃度補正に関す
    る成分の補正処理であって前記第一のの補正処理とはこ
    となる第二の補正処理を行う第二補正手段とを具えたた
    ことを特徴とする画像処理装置。
  23. 【請求項23】 情報処理装置によって読取り可能にプ
    ログラムを格納した記憶媒体であって、 該プログラムは、画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理プログラムでであって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正の際に、当該先行する補正処
    理に伴ってその後の補正で用いるヒストグラムを作成す
    る画像処理プログラムであることを特徴とする記憶媒
    体。
  24. 【請求項24】 情報処理装置によって読取り可能にプ
    ログラムを格納した記憶媒体であって、 該プログラムは、画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理プログラムであって、 複数種類の補正を経時的に行ない、該複数種類の補正の
    うち先行して行われる補正に際して用いられたヒストグ
    ラムに基づき、その後の補正で用いるヒストグラムを作
    成する画像処理プログラムであることを特徴とする記憶
    媒体。
  25. 【請求項25】 情報処理装置によって読取り可能にプ
    ログラムを格納した記憶媒体であって、 該プログラムは、画像データから当該画像の成分に関し
    て求められるヒストグラムに基づいて画像データの補正
    を行う画像処理プログラムであって、 第一のヒストグラムに基づいて画像データの第一の補正
    処理を行ない、 第二のヒストグラムに基づいて当該画像データに基づき
    印刷装置によって印刷される印刷画像の濃度補正に関す
    る成分の補正処理であって前記第一のの補正処理とはこ
    となる第二の補正処理を行うステップを有した画像処理
    プログラムであることを特徴とする記憶媒体。
  26. 【請求項26】 入力画像のハイライトポイントおよび
    シャドーポイントに応じた第一の補正処理を行い、 画像における濃度を上げるために、前記補正処理が行わ
    れた入力画像におけるシャドー領域の割合に応じて、該
    入力画像に対する補正条件を求め、 前記求められた補正条件に基づき、前記補正処理が行わ
    れた入力画像に対して第2の補正処理を行うことを特徴
    とする画像処理方法。
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