JP2001186885A - D−ホルデインプロモーターを用いたオオムギ種子における有用物質の生産方法 - Google Patents
D−ホルデインプロモーターを用いたオオムギ種子における有用物質の生産方法Info
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Abstract
ンプロモーターを用いた有用物質生産の方法と、この方
法で得られた形質転換オオムギ種子とを提供すること。 【解決手段】 以下の工程を含む、配列表の配列番号1
に記載のオオムギD−ホルデインプロモーター(pDPP
3)を用いることを特徴とする、オオムギ種子における
物質の生産方法: (1)オオムギD−ホルデインプロモーター、及びその
下流に配置された該物質の遺伝子を含む遺伝子カセット
を、オオムギのプロトプラストに導入する工程; (2)該遺伝子カセット導入プロトプラストを培養し、
形質転換細胞を得る工程; (3)該形質転換細胞を再分化させ、再分化植物を得る
工程;及び (4)該再分化植物を稔実させオオムギ種子を得る工
程。
Description
ロモーターを用いたオオムギ種子における有用物質の生
産方法に関する。
は、種子特異的に発現するタンパク質(種子貯蔵タンパ
ク質)が多量に存在し、そのうち35〜55%をアルコ
ール可溶性のホルデインが占めている(Shewry 1993, B
arley:Chemistry and Technology. pp164:American A
ssociation of Cereal Chemists)。
ノ酸組成等からB、C、D、γの4タイプに分類され、
全ホルデインに対する含量比はBが70から80%、Cが10か
ら20%、Dが5%以下である。これらの遺伝子構造は既に
明らかにされ、その発現等の知見が蓄積されつつある。
D-ホルデインに関しても翻訳領域を全て含む cDNAが単
離、構造解析されている(Hirota et al.,DDBJ,D82941,
1996)。また、D−ホルデイン遺伝子のプロモーター領
域の解析についても報告がなされ、434 bpのプロモータ
ー(Sorensen et al.,Mol.Gen.Genet.,250,750-760,199
6、Cho et al,Theol. Appl. Genet.,98,1253-1262,199
9)及び本発明者らが既に単離した1739bpのプロモータ
ー(pDPP3、配列番号1;特願平10−506801、U
S.PATENTNo.5,955,649)の解析により、D−ホルデイン
のプロモーターが確かに胚乳組織で活性を持つことが明
らかにされている。さらに、本発明者らが単離したプロ
モーター領域(pDPP3)にはプロモーターを活性化する
領域が含まれている(特願平10−506801、US.P
ATENT No.5,955,649)。
ー、特に本発明者らが単離したオオムギD−ホルデイン
プロモーター(pDPP3)を利用した種子における有用物
質の生産の報告はこれまでなく、このプロモーターが実
際に有用物質生産に利用できるということは明らかでは
なかった。
のD−ホルデインプロモーターを利用したオオムギ種子
での有用物質の生産方法を提供することである。
−ホルデインプロモーターを利用したオオムギ種子にお
ける有用物質の生産を目的として鋭意検討した結果、本
発明者らが単離したオオムギD−ホルデインプロモータ
ー(pDPP3)領域下流に、有用物質遺伝子として耐熱性
β-アミラーゼ遺伝子及び転写終結因子を連結したベク
ターを構築し、これをオオムギに導入することにより、
オオムギ種子において活性のある耐熱性β-アミラーゼ
を生産、蓄積させることができることを見出し、本発明
を完成するに至った。
載のオオムギD−ホルデインプロモーター(pDPP3)領
域の下流に所望の有用遺伝子及び転写終結因子を連結
し、オオムギに導入することにより、所望の有用遺伝子
の種子での発現及び種子中でのその産物の蓄積が可能と
なり、オオムギの種子改良あるいは種子での物質生産に
利用できる。
インプロモーター(pDPP3)、及びその下流に配置され
た該物質の遺伝子を含む遺伝子カセットを、オオムギの
プロトプラストに導入する工程; (2)該遺伝子カセット導入プロトプラストを培養し、
形質転換細胞を得る工程; (3)該形質転換細胞を再分化させ、再分化植物を得る
工程;及び (4)該再分化植物を稔実させオオムギ種子を得る工
程;を含む、前記オオムギD−ホルデインプロモーター
を用いることを特徴とするオオムギ種子における物質の
生産方法である。
て、上記カセットが挿入されたプラスミドを用いるオオ
ムギ種子における物質の生産方法である。
乳組織において発現されることを特徴とする上記のオオ
ムギ種子における物質の生産方法である。
ミラーゼである、上記のオオムギ種子における物質の生
産方法である。
ギ種子における物質の生産方法によって作られたオオム
ギ種子である。
種子における物質の生産方法によって生産された有用物
質である。
を説明する。
有用物質生産用遺伝子カセットの作製 D−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺
伝子カセットは、所望の有用遺伝子をオオムギ登熟中胚
乳組織で発現するD−ホルデインプロモーターの下流に
正の向きに連結し、さらにその下流にNOSターミネータ
ーなどの転写終結因子を連結することで作製できる。こ
こで用いることができる所望の有用遺伝子とは、その産
物、すなわちタンパク質あるいはRNAが、酵素活性、
ホルモン活性、ワクチン活性、生物に対する効果、ある
いは種子において特定の物質の含量、例えばアミノ酸含
量を増加させる効果など、産業上有用な活性あるいは効
果を持っているものであれば特に制限はない。また、所
望の有用遺伝子は、その由来生物にも特に制限はなく、
天然に存在する遺伝子に加え、それらを改変したもの、
さらには人工的に合成したものであっても良い。遺伝子
の改変あるいは合成は、慣用の方法を用いて行いうる。
転写終結因子は、D−ホルデインプロモーターによる遺
伝子の転写を終結できるものであれば、特に制限が無
く、NOSターミネーターの他、カリフラワーモザイクウ
イルス35Sターミネーター、オクトピンシンターゼター
ミネーター等も用いることができる。所望の有用遺伝子
は上記活性あるいは効果を得るために必要なDNA断片で
あり、プロモーターと転写終結因子の間に、活性あるい
は効果を発現し得る向きに挿入される。
プロモーターは、種子胚乳組織での発現調節能を持つも
のであれば用いることができるが、種子での物質生産を
目的とする場合はその活性が強いものがより望ましい。
この点で、発現活性化領域(配列番号1の1096から
1303)を含んでいる配列番号1に記載のD−ホルデ
インプロモーター(pDPP3)がこの目的に特に適してい
る。また、配列番号1に記載のD−ホルデインプロモー
ター(pDPP3)を5'末端から欠失させたプロモーターで
あっても、活性化領域を含んでいれば、種子での有用物
質生産に好適に用いることができる。
ルデインプロモーターは、種子胚乳組織での発現調節能
を持ち、種子での物質生産に用いるべくその活性が強い
ものが望ましい。すなわち、発現活性化領域を有するD
−ホルデインプロモーターが本発明に好適であり、発現
活性化領域(配列番号1の1096から1303)を含
んでいる配列番号1に記載のD−ホルデインプロモータ
ー(pDPP3)がこの目的に適している。また、配列番号
1に記載のD−ホルデインプロモーター(pDPP3)を5'
末端から欠失させたプロモーターであっても、活性化領
域を含んでいれば、種子での有用物質生産に好適に用い
ることができる。
た有用物質生産用遺伝子カセットは、制限酵素処理、DN
A連結処理、PCR、大腸菌の形質転換など遺伝子クローニ
ングに関わる操作を用いて構築されるが、これらの操作
は慣用技術を用いて行われうる。たとえば, Molecular
Cloning (Sambrook, Fritsch,Maniatis. Cold Spring
harbor Laboratory)が参考になる。
用いるD−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生
産用遺伝子カセットは、直鎖状のままで植物の染色体に
導入することも可能であり、また、後述のように任意の
プラスミドに組み込んでD−ホルデインプロモーターを
用いた有用物質生産用遺伝子発現ベクターとして使用す
ることも可能である。
有用物質生産用遺伝子発現ベクターの作製 D−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺
伝子発現ベクターは、前項のD−ホルデインプロモータ
ーを用いた有用物質生産用遺伝子カセットを任意のプラ
スミドに挿入して作製することができる。又は、任意の
プラスミドに、プロモーター、構造遺伝子、転写終結因
子を順次連結させて作製することもでき、このようにし
て作製したプラスミドも、本発明では、D−ホルデイン
プロモーターを用いた有用物質生産用遺伝子カセットを
挿入したプラスミドという。プラスミドとしては、例え
ばプラスミドpBI101など市販のものあるいは実験室で調
製したものなどいかなるものも用いることができるが目
的に応じて選択することが好ましい。例えばベクターを
大量に回収したい場合では、コピー数の多いプラスミド
を選択することが望ましい。さらに、前記プラスミドと
して、前記発現ベクターを生物等に導入した際の示標と
なる薬剤又は栄養成分などに基づく選択マーカーが備え
られているプラスミドを選択することもできる。
た有用物質生産用遺伝子発現ベクターは、制限酵素処
理、DNA連結処理、大腸菌の形質転換など遺伝子クロー
ニングに関わる操作を用いて構築されるが、これらの操
作は慣用技術によって行われうる。たとえば, Molecula
r Cloning (Sambrook, Fritsch,Maniatis, Cold Sprin
gharbor Laboratory)が参考になる。
有用物質生産用遺伝子発現ベクターあるいはD−ホルデ
インプロモーターを用いた有用物質生産用遺伝子カセッ
トの植物への導入 D−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺
伝子発現ベクターあるいはD−ホルデインプロモーター
を用いた有用物質生産用遺伝子カセットを導入する細胞
としては、再分化能を有する植物細胞、例えば、未熟胚
由来細胞、葯由来細胞が挙げられる。そのような細胞
を、常法に従い処理し、プロトプラストを作製し、次い
で遺伝子導入を行う。遺伝子導入の方法としては、公知
の方法を用いることができる(Plant Cell Report,10、5
95、(1992))。具体的には、ポリエチレングリコール法
のほかに、エレクトロポレーション法(Nature,319,791
(1986)、パーティクルガン法(Nature 327、70(1987))、
アグロバクテリウム法(Plant J.6、271(1994))など
が挙げられる。
を用いた有用物質生産用遺伝子発現ベクターあるいはD
−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺伝
子カセットが導入された植物細胞を培養し、形質転換細
胞を得る。次いで、再分化培地にて培養を行い、カルス
や胚様体の形成あるいはシュートの分化を誘導し、コロ
ニーを形成させる。形成されたコロニーを用いてさらに
植物体の再分化を促進し、再分化植物体を得る。このよ
うにして得た再分化植物体を稔実させることにより、種
子の取得が可能となる。
デインプロモーターを用いた有用物質生産用遺伝子発現
ベクターあるいはD−ホルデインプロモーターを用いた
有用物質生産用遺伝子カセットが導入された植物は形質
転換植物として形質転換以前の性質とは異なり、有用物
質産生能を備えた新しい品種あるいは系統を形成する。
得られた形質転換植物を他の品種や系統と交配させるこ
とによっても同様の特性を持つ植物を得ることができ、
これらも本発明でいうD−ホルデインプロモーターを用
いた有用物質生産用遺伝子発現ベクターあるいはD−ホ
ルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺伝子カ
セットが導入された形質転換植物に含まれる。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
伝子発現ベクター作製1.D−ホルデインプロモーター
ベクターの作製 試験圃場で育成したオオムギ(はるな二条)の緑葉を凍
結乾燥後、染色体DNAを調製した。得られた全DNA5
μgを50ユニットの制限酵素PstIで完全消化した。こ
のDNAをエタノール沈殿後10μlの滅菌水に溶解し
た。
gとPstIアダプター(宝酒造社製)5μlをライゲーシ
ョンキット(宝酒造社製)を用いて16℃、30分反応
させ連結させた。連結したDNAをエタノール沈殿後、5
μlの滅菌水に溶解し、PCR法の鋳型DNA(鋳型A)とし
た。
示す配列を持つプライマーDNAを合成した。5’-TCTCAC
GTTCAGCGGTGGTGAGAGCC-3’(プライマーDHP1),5’-
GTTCCCATTGATCTCACGTTCAGCG-3’(プライマーDHP2)。
プライマー(100μM)を1.0μl、C1プライマー(宝酒
造社製、100μM)を1.0μl、dNTP混合溶液(dNTPそれ
ぞれ2.5mM)を 4.0μl、マグネシウムを含む10xPCR緩
衝液(ベーリンガー社製)を5.0μl、耐熱性DNAポリメ
ラーゼ(Expand High Fidelity,ベーリンガー社製)を
0.5μl、さらに滅菌水を37.5 μl加え反応液とした。
反応は、サーマルコントローラー(MJ research 社製)
を用いて、最初の変性を94℃で2分間行った後、60℃で3
0秒、68℃で3分間、94℃で15秒間の反応を30回繰り返
し行った。ここで得られた増幅産物をアガロース電気泳
動によって分析したが特異的なバンドは検出できなかっ
た。
増幅産物を1.0μl,プライマーとして DHP1プライマー
(100μM)を1.0μl、C2プライマー(宝酒造社製、100
μM)を1.0μlに変更し一回目の反応と同様にして増幅
を試みた。ここで得られた増幅産物をアガロース電気泳
動によって分析したところ、約1.8Kbの特異的に増幅さ
れたバンドが検出された。
のバンドを切り出し、ガラスミルク法(バイオ101社
製)により精製後、得られたDNA断片をブランティング
キット(宝酒造社製)を用いて平滑末端化した。この断
片をクローニングベクターpUC118のHincII部位にクロー
ニングし、pDPP3クローンを得た。
製 D−ホルデインプロモーターを用いた有用物質生産用遺
伝子発現ベクターとして、耐熱性βアミラーゼ発現ベク
ター作製の各工程を図1に模式的に示す。本実施例にお
いては、有用遺伝子として耐熱性βアミラーゼを用い
た。用いた耐熱性βアミラーゼクローンの配列を配列表
の配列番号2に示した。耐熱性βアミラーゼ遺伝子は、
Proceedings of the 26th European Brewery Conventio
n(1997):83-90に記載されたものを用い、以下のように
して調製した。
ライマー(5‘-ATGGAGGTGAACGTGAAAGGC-3’)とTSA2プ
ライマー(5'-TTACATGGTGGCAGGGAG-3')を用いてPCRを
行い、得られたDNA断片をpCRIIベクター(Invitrogen)
に挿入した。得られたDNA断片挿入ベクターを増幅した
後、BamHI及びEcoRVで消化後、平滑末端化し、耐熱性β
アミラーゼ遺伝子断片として用いた。
DPP3プロモーターのマルチクローニングサイトのHindII
I部位を、HindIIIで切断し、更に平滑末端化して再度連
結させることによりNheI部位に変えたDPP3Nhe2プロモー
ターを作製し、以下の実験に用いた(図1)。D−ホル
デインプロモーターの転写終結因子にはpBI221(Clonet
ec社製)由来のNOSターミネーターを用いた。遺伝子移
入された植物細胞の選抜のための薬剤耐性マーカーとし
ては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子
(neomycin phosphotransferase, Pharmacia社製、 以
下NPTII遺伝子という)を用いた。NPTII遺伝子を、arf
プロモーター(US.PATENT No.5,773,688)の下流に連結
し、さらに転写終結因子としてNOSターミネーターを連
結したpSBG121NHを作製し、それを用いた(図1)。
示すようにして行った。先ず、DPP3Nhe2プロモーターの
BamHI-EcoRI部位にpBI221のNOSターミネーターを含むBa
mHI-EcoRI断片を挿入し、DPP3NheTベクターを構築し
た。次に、DPP3NheTベクターをBstXIで消化後、末端を
平滑化し、再び連結し、DPP3NheTBXDベクターを得た。
このベクターに薬剤耐性のカセットを導入するために、
pSBG121NHをNheIで消化後NPTII遺伝子を含む断片を、DP
P3NheTBXDのNheI部位に導入することで、DPP3NheTBXDNP
Tを得た。このDPP3NheTBXDNPTベクターは、D−ホルデ
インプロモーターとNOSターミネーターの間にPmaCI部位
とSacI部位を持っている(図1)。
後、耐熱性βアミラーゼ遺伝子断片を挿入し、該遺伝子
が機能する方向(正方向)のものを選択し、D−ホルデ
インプロモーターを用いた耐熱性ベータアミラーゼ生産
用遺伝子発現ベクターpDPTSAMYとした。このベクター
を以下のオオムギの形質転換実験に用いた。
の細胞系から得たプロトプラストにポリエチレングリコ
ール法を用いてpDPTSAMYを導入することにより行った。
ベクターは、キアゲンカラム(Quiagen社製)を用いて
精製した後、1μg/μlの濃度になるようにTE緩衝液(10
mM トリスHCl(pH7.5)、1mM EDTA)に溶解したものを用
いた。
養細胞系より単離されたプロトプラストに導入した。Ig
ri由来の未熟胚由来の細胞を酵素処理後、常法に従い酵
素処理後精製したプロトプラストを用い、基本的にFuna
tsuki et al.( Funatsuki etal.(1995) Theoritical an
d Applied Genetics 91:707-712)の方法に従い、プロト
プラストを遺伝子導入処理した。精製したプロトプラス
トを50μgのpDPTSAMYベクター、100 mMのCaCl2、0.6 M
のソルビトール、0.1% (w/v)のMES(2-(N-Morpholino)
ethanesulfonic acid、 monohydrate)を含みpHを5.7に
調整した250μlのCa-Sに懸濁した。この懸濁液に、PEG
(polyethyleneglycol、分子量1540)を40% (w/v)含む
Ca-S PEG(pH7.0)を600μl滴下し、数回の振とう後5〜10
分静置した。10 mlのLW液(Theol. Appl. Genet. 81:43
7(1991)等に記載)を加え希釈した後、遠心処理しプロト
プラストを回収した。このプロトプラストを1mlの1.8%
Sea Plaque Agarose (FMC社製)、0.4Mマルトースを含む
改変L1培地(Theol. Appl.Genet. 91:707(1995)等に記
載)に懸濁し、ナース細胞とともに培養した。
間後に、液体培地及びナース細胞を除去した。更に得ら
れたコロニーをG418(ジェネティシン、Gibco 社製)を
20もしくは25μg/ml含む液体培地(改変L1培地)にて培
養した(1次選抜)。さらに約14日間振盪培養を行った
後、1次選抜と同濃度のG418を含む再分化培地(L3培
地、Plant.Cell.Report 17:937−940(199
8)等に記載)に移して培養を続けた(2次選抜)。2次
選抜の過程でカルスや胚様体の形成、あるいはシュート
の分化をみせたコロニーについては、それぞれ独立した
プロトプラストに由来する形質転換細胞系として、G418
を含まない改変L3培地(L3培地)に移植し植物体の再分
化を促した。緑色シュートが1〜2 cmになった時点でシ
ャーレを強光下に移動し培養後、ホルモンフリーの培地
に移植し発根を促進、鉢上げを行った。
oceedings of the 26th European Brewery Convention
(1997):83-90)を用いたものを陽性対照区とした。
入を試みた区からは9系統、26個体の再分化植物が得ら
れた。なお、供試したすべてのオオムギの育成は、16
℃、16時間日長、20000〜30000ルックス照明に制御した
人工気象庫内で行った。
在しているかどうかをサザンハイブリダイゼーションを
用いて以下のようにして確かめた。再分化植物の葉1gを
液体窒素中で磨砕後、CTAB法(Murray et al. 1980, Nu
cleic Acids Res. 8:4321-4325)にて全DNAを抽出し
た。得られたDNAをHincIIで消化後、アガロースゲル電
気泳動を行い、アルカリ変性後ナイロンメンブレン(ベ
ーリンガー社製)にキャピラリーブロッティングした。
プローブとして、pDPP3の挿入断片(プロモーター全領
域)をDIG-high prime(ベーリンガー社製)を用いてラ
ベルしたものを用いた。サザンハイブリダイゼーション
はベーリンガー社のマニュアルに従い行った。ハイブリ
ダイゼーション後のメンブレンの洗浄は、2 X SSC、1%
SDSで室温下30分間の洗浄の後、0.1 X SSC、0.1 % SDS
で42℃下、30分間の洗浄を2回繰り返した。シグナルの
検出法はベーリンガー社のマニュアルに従った。得られ
た再分化植物の各系統についてサザンハイブリダイゼー
ションにて導入遺伝子の検出を行った結果、pDPTSAMYの
導入を試みた区から得られた再分化植物のうち6系統、
16個体から導入遺伝子が検出された。但しここでは、各
系統の代表で導入遺伝子が検出された場合は、その系統
に属する個体は全て導入遺伝子を持っているものとして
計算した。
る導入遺伝子の検出例を示す。これから明らかなよう
に、対照として用いた遺伝子導入していない再分化植物
から得たDNAでは内在のD−ホルデインプロモーターの
シグナルが検出されるのみであるが(図2、レーン
2)、遺伝子導入した再分化植物からは内在遺伝子以外
のシグナル、すなわち導入遺伝子が確認された(図2、
レーン1◇)。
が稔実した。
はBETAMYLキット(Megazyme International Ireland Li
mited)の指示に従って実施した。得られた稔実したpD
PTSAMY導入形質転換体の完熟種子(以後T1種子と呼ぶ)
半粒をハンマーを用いて細かく粉砕し、粉砕した種子に
システインを添加した200μLのBETAMYL抽出バッファー
Aを加え攪拌後、室温で1時間インキュベートした。こ
のサンプルを15000回転で10分間遠心分離して得られる
上清を粗酵素液とした。粗酵素液をBETAMYL希釈バッフ
ァーで1600倍希釈した後、酵素活性測定に供試した。
から抽出したβアミラーゼ粗酵素液の耐熱性を調べるた
め、酵素希釈液を50℃、53℃、56℃、59℃、62℃、65
℃、68℃、71℃、74℃で30分間インキュベートした後の
残存活性を調べた。陽性対照には、βアミラーゼプロモ
ーター下流に耐熱性βアミラーゼ遺伝子を連結したベク
ターpSBG503(Proceedings of the 26th European Brew
ery Convention(1997):83-90)を導入した個体に稔実し
た種子から調製した粗酵素液を用いた。
ていない陰性対照区には、Igriより調製した粗酵素液を
用いた。非熱処理区の活性を100とし、各熱処理区の相
対残存活性を図3に示した。結果は、陰性対照では62
℃、30分処理でほぼ活性を示さなくなるのに対して、陽
性対照及びpDPTSAMYを導入した形質転換体のT1種子か
ら抽出したβアミラーゼ粗酵素液では、62℃、30分処理
後においても高い残存活性を示すことが明らかになった
(図3)。これにより、形質転換体種子において、耐性
βアミラーゼが発現されていることが示された。
PTSAMY導入区)最低5粒から、粗酵素液を抽出し、62
℃、30分処理区の無処理区に対する相対残存活性につい
て検討した。その結果、陰性対照区、陽性対照区、 pDP
TSAMY導入区の活性の残存率は、それぞれ、1.0%、24.2
%、75.8%であった(図4)。
ー下流に有用遺伝子として耐熱性βアミラーゼ遺伝子を
連結したベクターをオオムギに導入することにより、高
率(75.8%)に目的の耐熱性βアミラーゼを発現、蓄積
できることが、今回の実験により初めて明らかとなっ
た。
に他の有用遺伝子を連結したベクターをオオムギに導入
することにより、オオムギ種子内で有用遺伝子に由来す
る有用物質の発現、蓄積が可能となることは容易に判断
できる。
のオオムギD−ホルデインプロモーター(pDPP3)下流
に有用遺伝子を連結したベクターをオオムギに導入する
ことにより、オオムギ種子において高率に目的の有用物
質を生産できることが明らかとなった。この方法を用い
れば、オオムギ種子での有用物質の生産を効率よく、有
効に行うことができ、オオムギの種子改良あるいは種子
での物質生産に利用できる。
を用いた耐熱性ベータアミラーゼ生産用遺伝子発現ベク
ターpDPTSAMYの構築方法を示す図である。
ィングによる導入遺伝子確認の結果を示す図である。レ
ーン1は、pDPTSAMY導入個体、レーン2は対照の結果で
ある。
の熱失活曲線示す図である。
熱処理後の相対残存活性を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 以下の工程を含む、配列表の配列番号1
に記載のオオムギD−ホルデインプロモーター(pDPP
3)を用いることを特徴とする、オオムギ種子における
物質の生産方法: (1)前記オオムギD−ホルデインプロモーター、及び
その下流に配置された該物質の遺伝子を含む遺伝子カセ
ットを、オオムギのプロトプラストに導入する工程; (2)該遺伝子カセット導入プロトプラストを培養し、
形質転換細胞を得る工程; (3)該形質転換細胞を再分化させ、再分化植物を得る
工程;及び (4)該再分化植物を稔実させオオムギ種子を得る工
程。 - 【請求項2】 上記遺伝子カセットとして、該カセット
が挿入されたプラスミドを用いることを特徴とする、請
求項1に記載のオオムギ種子における物質の生産方法。 - 【請求項3】 上記物質が、オオムギ胚乳組織において
発現されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
オオムギ種子における物質の生産方法。 - 【請求項4】 上記物質が、耐熱性βアミラーゼであ
る、請求項1〜3のいずれか一つに記載のオオムギ種子
における物質の生産方法。 - 【請求項5】 上記請求項1〜4のいずれか一つに記載
のオオムギ種子における物質の生産方法により得られた
オオムギ種子。 - 【請求項6】 上記請求項1〜4のいずれか一つに記載
のオオムギ種子における物質の生産方法により得られた
該物質。
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---|---|---|---|
JP37471799A JP2001186885A (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | D−ホルデインプロモーターを用いたオオムギ種子における有用物質の生産方法 |
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JP37471799A JP2001186885A (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | D−ホルデインプロモーターを用いたオオムギ種子における有用物質の生産方法 |
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- 1999-12-28 JP JP37471799A patent/JP2001186885A/ja active Pending
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