JP2001182874A - 油井管用ねじ継手およびその製造方法 - Google Patents
油井管用ねじ継手およびその製造方法Info
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- JP2001182874A JP2001182874A JP36528199A JP36528199A JP2001182874A JP 2001182874 A JP2001182874 A JP 2001182874A JP 36528199 A JP36528199 A JP 36528199A JP 36528199 A JP36528199 A JP 36528199A JP 2001182874 A JP2001182874 A JP 2001182874A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】腐食による破断の危険性が低く、かつ優れた耐
引張性能と耐曲げ性能を発揮する内外径の制約が厳しい
スリム型の油井管用ねじ継手とその製造方法を提供す
る。 【解決手段】ボックス部の外径が鋼管の本体部外径の
1.00〜1.07倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内
径の0.90から1.00倍であるインテグラル方式の
油井管用ねじ継手であり、少なくとボックス部内奥の危
険断面の近傍に位置する雌ねじ部分からこれに隣接する
ねじ無し部にかけての外面側表層部分を除いた部位の材
料強度をその他の部位および鋼管本体の材料強度よりも
高くする。
引張性能と耐曲げ性能を発揮する内外径の制約が厳しい
スリム型の油井管用ねじ継手とその製造方法を提供す
る。 【解決手段】ボックス部の外径が鋼管の本体部外径の
1.00〜1.07倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内
径の0.90から1.00倍であるインテグラル方式の
油井管用ねじ継手であり、少なくとボックス部内奥の危
険断面の近傍に位置する雌ねじ部分からこれに隣接する
ねじ無し部にかけての外面側表層部分を除いた部位の材
料強度をその他の部位および鋼管本体の材料強度よりも
高くする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下に埋蔵された
原油や天然ガスなどの探査、生産に使用される油井管の
ねじ継手に関し、特に管本体と継手部との径差が小さい
スリム型であるにもかかわらず優れた耐引張性能と耐曲
げ性能を発揮する油井管用ねじ継手に関する。
原油や天然ガスなどの探査、生産に使用される油井管の
ねじ継手に関し、特に管本体と継手部との径差が小さい
スリム型であるにもかかわらず優れた耐引張性能と耐曲
げ性能を発揮する油井管用ねじ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】背景:今日、数千mもの地下に埋蔵され
ている原油、天然ガスなどの探査、生産に使用される油
井管を接続する手段としては、ねじ継手が広く用いられ
ている。
ている原油、天然ガスなどの探査、生産に使用される油
井管を接続する手段としては、ねじ継手が広く用いられ
ている。
【0003】これらの油井は、埋蔵環境の悪化などによ
り、深井戸化が進んでいる。また、従来の垂直井に代わ
って、より広い範囲から埋蔵物を汲み上げることが可能
な傾斜井や水平井といったものが主流になりつつある。
このため、使用される油井管やねじ継手に対する要求性
能は、一段と厳しくなってきている。
り、深井戸化が進んでいる。また、従来の垂直井に代わ
って、より広い範囲から埋蔵物を汲み上げることが可能
な傾斜井や水平井といったものが主流になりつつある。
このため、使用される油井管やねじ継手に対する要求性
能は、一段と厳しくなってきている。
【0004】油井には、1本の井戸に1本の油井管のみ
が配置されるのではなく、通常、ケーシングと呼ばれる
大径の油井管の中に小径管を同心円状に挿入し、最後に
チュービングと呼ばれる汲み上げ用の管を通す構造にな
っており、径が小さい内側の管ほど地中への埋設長さが
長くなっている。この油井における油井管の配置と構造
は、ストリングデザインと呼ばれている。
が配置されるのではなく、通常、ケーシングと呼ばれる
大径の油井管の中に小径管を同心円状に挿入し、最後に
チュービングと呼ばれる汲み上げ用の管を通す構造にな
っており、径が小さい内側の管ほど地中への埋設長さが
長くなっている。この油井における油井管の配置と構造
は、ストリングデザインと呼ばれている。
【0005】油井の開発コスト削減や生産効率を向上さ
せるために、管本体と継手部との径差が小さいスリム型
と呼ばれるねじ継手がしばしば用いられる。つまり、前
述したように、油井管は同心円状に配置されるため、油
井管本体の外径と継手部の外径との径差が大きいほど、
すき間が多いストリングデザインとなり、非効率とな
る。これに対し、継手部の外径と内径が油井管本体のそ
れとほぼ同じか僅かしか違わないスリム型のねじ継手を
使用する場合には、上記のすき間を極力小さくすること
ができる。その結果、油井の掘削径を小さくすることが
できたり、より太いチュービングを配置することができ
るようになり、油井の開発コスト削減や生産効率の向上
につながるからである。
せるために、管本体と継手部との径差が小さいスリム型
と呼ばれるねじ継手がしばしば用いられる。つまり、前
述したように、油井管は同心円状に配置されるため、油
井管本体の外径と継手部の外径との径差が大きいほど、
すき間が多いストリングデザインとなり、非効率とな
る。これに対し、継手部の外径と内径が油井管本体のそ
れとほぼ同じか僅かしか違わないスリム型のねじ継手を
使用する場合には、上記のすき間を極力小さくすること
ができる。その結果、油井の掘削径を小さくすることが
できたり、より太いチュービングを配置することができ
るようになり、油井の開発コスト削減や生産効率の向上
につながるからである。
【0006】本来、ねじ継手には、(a) 自重による引張
荷重に耐えうること、(b) 内部または外部の流体が漏洩
しないこと、(c) 腐食性の不純物を含むガスや原油など
による腐食疲労破壊を防止すること、などの性能が要求
される。しかし、スリム型のねじ継手は、その外径を小
さくした代償として前記(a) の耐引張性能が犠牲にな
り、中には油井管本体の引張強度の半分に満たないもの
もある。
荷重に耐えうること、(b) 内部または外部の流体が漏洩
しないこと、(c) 腐食性の不純物を含むガスや原油など
による腐食疲労破壊を防止すること、などの性能が要求
される。しかし、スリム型のねじ継手は、その外径を小
さくした代償として前記(a) の耐引張性能が犠牲にな
り、中には油井管本体の引張強度の半分に満たないもの
もある。
【0007】さらに、前述したように、傾斜井や水平井
が増加している近年では、井戸の屈曲部における曲げ負
荷や埋設時に作用する大きな圧縮負荷に耐えなければな
らず、ねじ継手に要求される強度性能がより一段と高度
化してきている。しかし、同時に厳しい経営環境の中で
油井を開発し、かつ生産効率を向上させなければなら
ず、このためこれらの要求を同時に満たすことが可能な
スリム型で、かつ優れた強度性能を有するねじ継手の需
要が急速に高まってきている。
が増加している近年では、井戸の屈曲部における曲げ負
荷や埋設時に作用する大きな圧縮負荷に耐えなければな
らず、ねじ継手に要求される強度性能がより一段と高度
化してきている。しかし、同時に厳しい経営環境の中で
油井を開発し、かつ生産効率を向上させなければなら
ず、このためこれらの要求を同時に満たすことが可能な
スリム型で、かつ優れた強度性能を有するねじ継手の需
要が急速に高まってきている。
【0008】油井管用ねじ継手の基礎知識:一般的なス
リム型のねじ継手としては、ねじ部、シール部およびト
ルクショルダ部をひとつずつ備え、かつシール部がねじ
部より内面側、トルクショルダ部がねじ部より外面側に
設置された、いわゆる内面シール、外面ショルダ形式の
継手がある。
リム型のねじ継手としては、ねじ部、シール部およびト
ルクショルダ部をひとつずつ備え、かつシール部がねじ
部より内面側、トルクショルダ部がねじ部より外面側に
設置された、いわゆる内面シール、外面ショルダ形式の
継手がある。
【0009】図1は、上記の内面シール、外面ショルダ
形式のスリム型のねじ継手の一例を示す模式的縦断面図
である。この継手は、一方の鋼管10の端部外周面にテ
ーパ状の雄ねじ12を有するいわゆるピン部11と、他
方の鋼管20の端部内周面にテーパ状の雌ねじ22を有
するいわゆるボックス部21とからなっている。
形式のスリム型のねじ継手の一例を示す模式的縦断面図
である。この継手は、一方の鋼管10の端部外周面にテ
ーパ状の雄ねじ12を有するいわゆるピン部11と、他
方の鋼管20の端部内周面にテーパ状の雌ねじ22を有
するいわゆるボックス部21とからなっている。
【0010】ピン部11の最先端部外周面には、通常、
ピン先端に向かって先細りする円錐面または曲線の回転
体面のシール形成用ねじ無し部13が設けられている。
このシール形成用ねじ無し部13は、対応するボックス
部21の最深部内周面に設けられたシール形成用ねじ無
し部23よりもわずかに大きい外径を有し、ねじの螺合
によりシール形成用ねじ無し部13と23が嵌合される
ことによってメタルタッチシールが形成される。
ピン先端に向かって先細りする円錐面または曲線の回転
体面のシール形成用ねじ無し部13が設けられている。
このシール形成用ねじ無し部13は、対応するボックス
部21の最深部内周面に設けられたシール形成用ねじ無
し部23よりもわずかに大きい外径を有し、ねじの螺合
によりシール形成用ねじ無し部13と23が嵌合される
ことによってメタルタッチシールが形成される。
【0011】そして、トルクショルダ部は、テーパ状ね
じ部12、22およびメタルタッチシール部の嵌合代を
適正にコントロールする役目をする。すなわち、ねじの
締め付けとともにボックス部21の先端に設けたトルク
ショルダ形成用端面24がピン部11の先端から遠い方
の継手構造端部に設けられたトルクショルダ形成用肩部
14に突き当たることにより締め付け力が発生し、かつ
テーパ状ねじ部12、22とメタルタッチシール部の嵌
合代が設計許容範囲内に保たれた状態で接続を終了でき
る仕組みになっている。
じ部12、22およびメタルタッチシール部の嵌合代を
適正にコントロールする役目をする。すなわち、ねじの
締め付けとともにボックス部21の先端に設けたトルク
ショルダ形成用端面24がピン部11の先端から遠い方
の継手構造端部に設けられたトルクショルダ形成用肩部
14に突き当たることにより締め付け力が発生し、かつ
テーパ状ねじ部12、22とメタルタッチシール部の嵌
合代が設計許容範囲内に保たれた状態で接続を終了でき
る仕組みになっている。
【0012】一般に、構造体に力が作用する場合、ある
部位に発生する平均応力は、作用力をその部位の荷重方
向に対し垂直な断面の面積で単純に除すことにより求め
ることができ、作用力が一定ならば、その通過する断面
積が小さいほど平均応力は高くなる。
部位に発生する平均応力は、作用力をその部位の荷重方
向に対し垂直な断面の面積で単純に除すことにより求め
ることができ、作用力が一定ならば、その通過する断面
積が小さいほど平均応力は高くなる。
【0013】油井管用のねじ継手においては、引張また
は圧縮の作用力が通過する断面積が最も小さい部分を危
険断面と呼び、一般的には、ピン部11またはボックス
部21のそれぞれの管先端から遠い方のねじ噛み合い部
端15の断面16または25の断面26となる。この危
険断面16と26は、その名の通り、ねじ継手において
破損や破断が最も生じやすい部位である。
は圧縮の作用力が通過する断面積が最も小さい部分を危
険断面と呼び、一般的には、ピン部11またはボックス
部21のそれぞれの管先端から遠い方のねじ噛み合い部
端15の断面16または25の断面26となる。この危
険断面16と26は、その名の通り、ねじ継手において
破損や破断が最も生じやすい部位である。
【0014】そして、ピン部11の危険断面16または
ボックス部21の危険断面26のうち、小さい方の面積
を油井管本体の横断面積で除した値を継手効率と呼び、
継手の引張強度性能の目安としている。スリム型のねじ
継手は、継手部の肉厚の制約により、この継手効率が概
ね50〜80%程度であり、したがい引張強度性能も油
井管本体に対しこの比率以上になることはない。
ボックス部21の危険断面26のうち、小さい方の面積
を油井管本体の横断面積で除した値を継手効率と呼び、
継手の引張強度性能の目安としている。スリム型のねじ
継手は、継手部の肉厚の制約により、この継手効率が概
ね50〜80%程度であり、したがい引張強度性能も油
井管本体に対しこの比率以上になることはない。
【0015】従来技術の概要:そこで、スリム型の従来
ねじ継手は、危険断面の断面積を大きくすることにより
引張強度性能の向上を図っており、危険断面を含む継手
部全体の肉厚を厚くしたものが多い。
ねじ継手は、危険断面の断面積を大きくすることにより
引張強度性能の向上を図っており、危険断面を含む継手
部全体の肉厚を厚くしたものが多い。
【0016】さらに、スリム型のねじ継手にも適用可能
な方法としては、特開昭62−151692号公報や特
開平7−63289号公報に示される方法がある。すな
わち、前者の公報に示される方法は、継手を構成するピ
ン部またはボックス部を成形すべき油井管本体の管端部
分に焼入れ焼戻し処理を施し、継手部全体の高強度化を
図る方法である。
な方法としては、特開昭62−151692号公報や特
開平7−63289号公報に示される方法がある。すな
わち、前者の公報に示される方法は、継手を構成するピ
ン部またはボックス部を成形すべき油井管本体の管端部
分に焼入れ焼戻し処理を施し、継手部全体の高強度化を
図る方法である。
【0017】一方、後者の公報に示される方法は、ボッ
クス部であるカップリングの両端に、雄ねじ切れ上がり
部に隣接するピン部の外周面に接触し、該部を拘束する
ねじ無し内周面を備えた延長部を設ける方法である。
クス部であるカップリングの両端に、雄ねじ切れ上がり
部に隣接するピン部の外周面に接触し、該部を拘束する
ねじ無し内周面を備えた延長部を設ける方法である。
【0018】確かに、前者の公報に示される方法によれ
ば、継手部の肉厚を増加させることなく、所望の引張性
能を備えたスリム型のねじ継手が製造できる。また、後
者の公報に示される方法によれば、ピン部側の危険断面
部に相当する雄ねじ切れ上がり部に作用する曲げ応力の
低減化が図れ、耐曲げ性能を向上させるることができ
る。
ば、継手部の肉厚を増加させることなく、所望の引張性
能を備えたスリム型のねじ継手が製造できる。また、後
者の公報に示される方法によれば、ピン部側の危険断面
部に相当する雄ねじ切れ上がり部に作用する曲げ応力の
低減化が図れ、耐曲げ性能を向上させるることができ
る。
【0019】従来技術の問題点:しかし、危険断面を含
む継手部全体の肉厚を厚くした従来のスリム型ねじ継手
は、寸法の制約上、油井管本体に対する継手部の外径の
増加代または継手部の内径の減少代を大きくできない。
このため、その継手効率はせいぜい80〜90%程度に
しかならず、耐引張性能が十分でないという欠点を有し
ている。
む継手部全体の肉厚を厚くした従来のスリム型ねじ継手
は、寸法の制約上、油井管本体に対する継手部の外径の
増加代または継手部の内径の減少代を大きくできない。
このため、その継手効率はせいぜい80〜90%程度に
しかならず、耐引張性能が十分でないという欠点を有し
ている。
【0020】また、上記前者の公報に示される方法を採
用したねじ継手は、腐食性の不純物を含むガスや液体が
直接触れる継手の内外表面が高強度化されているため、
応力腐食割れの問題を回避することが困難であるという
欠点を有している。尤も、前記の応力腐食割れは、焼戻
し温度を高くすれば発生し難くなる。しかし、この場合
には、強度の向上代が小さくなり、継手部全体の厚肉化
を余儀なくされ、スリム型のねじ継手は得られない。
用したねじ継手は、腐食性の不純物を含むガスや液体が
直接触れる継手の内外表面が高強度化されているため、
応力腐食割れの問題を回避することが困難であるという
欠点を有している。尤も、前記の応力腐食割れは、焼戻
し温度を高くすれば発生し難くなる。しかし、この場合
には、強度の向上代が小さくなり、継手部全体の厚肉化
を余儀なくされ、スリム型のねじ継手は得られない。
【0021】さらに、上記後者の公報に示される方法
は、これをスリム型のねじ継手に適用した場合、継手外
径の制約からボックス部の両端部に設けられる延長部の
肉厚を薄くせざるを得ず、該部の曲げ剛性が小さくなっ
てしまう。その結果、当該延長部の作用曲げ荷重の負担
能力が低下し、本来の効果がほとんど現れなくなってし
まうため、スリム型のねじ継手には適用できないという
欠点を有している。
は、これをスリム型のねじ継手に適用した場合、継手外
径の制約からボックス部の両端部に設けられる延長部の
肉厚を薄くせざるを得ず、該部の曲げ剛性が小さくなっ
てしまう。その結果、当該延長部の作用曲げ荷重の負担
能力が低下し、本来の効果がほとんど現れなくなってし
まうため、スリム型のねじ継手には適用できないという
欠点を有している。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、継手
部の外径または内径が厳しい制約を満たすスリム型のね
じ継手であるにもかかわらず、腐食による破断の危険性
が低く、しかも優れた耐引張性能と耐曲げ性能を発揮す
るいわゆるスリム型の油井管用ねじ継手とその製造方法
を提供することにある。
部の外径または内径が厳しい制約を満たすスリム型のね
じ継手であるにもかかわらず、腐食による破断の危険性
が低く、しかも優れた耐引張性能と耐曲げ性能を発揮す
るいわゆるスリム型の油井管用ねじ継手とその製造方法
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)、(2)の油井管用ねじ継手、および下記(3)
のボックス部の製造方法と下記(4)のピン部の製造方
法にある。
(1)、(2)の油井管用ねじ継手、および下記(3)
のボックス部の製造方法と下記(4)のピン部の製造方
法にある。
【0024】(1)一方の鋼管の管端部外周面に形成さ
れた雄ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内
周面に形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ
部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成
部を有するボックス部とからなり、少なくともシール部
とトルクショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボ
ックス部の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.0
7倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から
1.00倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手
において、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する
雌ねじ部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外
面側表層部分を除いた部位の材料強度がその他の部位お
よび鋼管本体の材料強度よりも高い油井管用ねじ継手。
れた雄ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内
周面に形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ
部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成
部を有するボックス部とからなり、少なくともシール部
とトルクショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボ
ックス部の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.0
7倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から
1.00倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手
において、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する
雌ねじ部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外
面側表層部分を除いた部位の材料強度がその他の部位お
よび鋼管本体の材料強度よりも高い油井管用ねじ継手。
【0025】(2)一方の鋼管の管端部外周面に形成さ
れた雄ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内
周面に形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ
部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成
部を有するボックス部とからなり、少なくともシール部
とトルクショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボ
ックス部の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.0
7倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から
1.00倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手
において、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する
雌ねじ部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外
面側表層部分を除いた部位の材料強度、およびピン部基
部の危険断面の近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣
接するねじ無し部にかけての内面側表層部分を除いた部
位の材料強度が、それぞれその他の部位および鋼管本体
の材料強度よりも高い油井管用ねじ継手。
れた雄ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内
周面に形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ
部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成
部を有するボックス部とからなり、少なくともシール部
とトルクショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボ
ックス部の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.0
7倍、ピン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から
1.00倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手
において、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する
雌ねじ部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外
面側表層部分を除いた部位の材料強度、およびピン部基
部の危険断面の近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣
接するねじ無し部にかけての内面側表層部分を除いた部
位の材料強度が、それぞれその他の部位および鋼管本体
の材料強度よりも高い油井管用ねじ継手。
【0026】(3)上記(1)または(2)に記載の油
井管用ねじ継手を構成するボックス部の製造方法であっ
て、雌ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を機械加工によって形成した後、そのボッ
クス部内奥の危険断面の近傍に位置するねじ部からこれ
に隣接するねじ無し部(ただし、シール形成用ねじ無し
部を除く)にわたる部分に表面焼入れ処理を施し、当該
部分の外面側表層部分を除いた部位の材料強度をその他
の部位および鋼管本体の材料強度よりも高くするボック
ス部の製造方法。
井管用ねじ継手を構成するボックス部の製造方法であっ
て、雌ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクシ
ョルダ形成部を機械加工によって形成した後、そのボッ
クス部内奥の危険断面の近傍に位置するねじ部からこれ
に隣接するねじ無し部(ただし、シール形成用ねじ無し
部を除く)にわたる部分に表面焼入れ処理を施し、当該
部分の外面側表層部分を除いた部位の材料強度をその他
の部位および鋼管本体の材料強度よりも高くするボック
ス部の製造方法。
【0027】(4)上記(2)に記載の油井管用ねじ継
手を構成するピン部の製造方法であって、雄ねじ部、シ
ール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成部を機
械加工によって形成した後、そのピン部基部の危険断面
の近傍に位置するねじ部からこれに隣接するねじ無し部
(ただし、シール形成用ねじ無し部を除く)にわたる部
分に表面焼入れ処理を施し、当該部分の外面側表層部分
を除いた部位の材料強度をその他の部位および鋼管本体
の材料強度よりも高くするボックス部の製造方法。
手を構成するピン部の製造方法であって、雄ねじ部、シ
ール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成部を機
械加工によって形成した後、そのピン部基部の危険断面
の近傍に位置するねじ部からこれに隣接するねじ無し部
(ただし、シール形成用ねじ無し部を除く)にわたる部
分に表面焼入れ処理を施し、当該部分の外面側表層部分
を除いた部位の材料強度をその他の部位および鋼管本体
の材料強度よりも高くするボックス部の製造方法。
【0028】上記(2)に記載の本発明のねじ継手は、
ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する雌ねじ部分
からこれに隣接するねじ無し部にかけての外面側表層部
分を除いた部位の材料強度と、ピン部基部の危険断面の
近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣接するねじ無し
部にかけての内面側表層部分を除いた部位の材料強度が
ほぼ同等であることが好ましい。
ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する雌ねじ部分
からこれに隣接するねじ無し部にかけての外面側表層部
分を除いた部位の材料強度と、ピン部基部の危険断面の
近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣接するねじ無し
部にかけての内面側表層部分を除いた部位の材料強度が
ほぼ同等であることが好ましい。
【0029】また、上記(1)と(2)に記載の本発明
のねじ継手は、材料強度の肉厚方向への強化深さが、当
該強化部肉厚の0.4〜0.9倍にされているものであ
ることが好ましい。
のねじ継手は、材料強度の肉厚方向への強化深さが、当
該強化部肉厚の0.4〜0.9倍にされているものであ
ることが好ましい。
【0030】上記の本発明は、以下に述べる知見に基づ
いて完成させた。
いて完成させた。
【0031】本発明のための基礎的検討:本発明者等
は、上記の課題を達成するために、以下に述べる基礎的
検討を行った。すなわち、前述した図1に示す一般的な
スリム型のねじ継手を適正な締結トルクで締結した後、
油井管本体の降伏荷重に継手効率を乗じた大きさの引張
荷重を負荷する弾塑性有限要素法を実施した。そして、
この引張荷重負荷状態での継手各部の発生応力と変形の
様子を調べた。
は、上記の課題を達成するために、以下に述べる基礎的
検討を行った。すなわち、前述した図1に示す一般的な
スリム型のねじ継手を適正な締結トルクで締結した後、
油井管本体の降伏荷重に継手効率を乗じた大きさの引張
荷重を負荷する弾塑性有限要素法を実施した。そして、
この引張荷重負荷状態での継手各部の発生応力と変形の
様子を調べた。
【0032】その結果、図2に示すように、ボックス部
21の危険断面26からメタルタッチシール部23に至
るまでのねじ無し部27が絞られ、この影響から継手有
効断面が急激に変化する危険断面26およびメタルタッ
チシール部23近傍の継手外表面付近28が逆に外向き
に反る。これらの絞り変形および反り変形により生じる
継手軸方向の引張応力が初めに負荷した引張荷重に重畳
され、ねじ無し部27の内表面、危険断面26およびメ
タルタッチシール部23近傍の継手外表面付近28は、
相当応力でみて、他の部位よりも非常に高い応力レベル
になっていた。
21の危険断面26からメタルタッチシール部23に至
るまでのねじ無し部27が絞られ、この影響から継手有
効断面が急激に変化する危険断面26およびメタルタッ
チシール部23近傍の継手外表面付近28が逆に外向き
に反る。これらの絞り変形および反り変形により生じる
継手軸方向の引張応力が初めに負荷した引張荷重に重畳
され、ねじ無し部27の内表面、危険断面26およびメ
タルタッチシール部23近傍の継手外表面付近28は、
相当応力でみて、他の部位よりも非常に高い応力レベル
になっていた。
【0033】一方、ピン部11においては、危険断面1
6からトルクショルダ形成用肩部14に至るまでのねじ
無し部17で径が大きくなる向きに反り、その影響から
継手有効断面が急激に変化する危険断面16およびトル
クショルダ部14の継手内表面付近18で内向きに反
り、ボックス部21の場合と同様に、両反りの発生に伴
って生じる継手軸方向の引張応力が初めに負荷した引張
荷重に重畳され、これらの部位が相当応力でみて他の部
位よりも高い応力レベルになっていた。
6からトルクショルダ形成用肩部14に至るまでのねじ
無し部17で径が大きくなる向きに反り、その影響から
継手有効断面が急激に変化する危険断面16およびトル
クショルダ部14の継手内表面付近18で内向きに反
り、ボックス部21の場合と同様に、両反りの発生に伴
って生じる継手軸方向の引張応力が初めに負荷した引張
荷重に重畳され、これらの部位が相当応力でみて他の部
位よりも高い応力レベルになっていた。
【0034】これは、次のような力学的機構が働いたた
めである。すなわち、スリム型のねじ継手の内部を通過
する軸力の力線は、図3に符号Lを付して示すような軌
跡をとる。この力線Lは、継手に大きな引張力を作用さ
せると、できるだけ荷重と同じ方向に沿おうとする。そ
のため、力線Lが油井管本体の肉厚中心よりも内面側を
通過しているピン部11の肉薄部は径が大きくなる向き
に反ろうとし、逆に力線Lが油井管本体の肉厚中心より
も外面側を通過しているボックス部21の肉薄部は径が
小さくなる向きに反ろうとするためである。
めである。すなわち、スリム型のねじ継手の内部を通過
する軸力の力線は、図3に符号Lを付して示すような軌
跡をとる。この力線Lは、継手に大きな引張力を作用さ
せると、できるだけ荷重と同じ方向に沿おうとする。そ
のため、力線Lが油井管本体の肉厚中心よりも内面側を
通過しているピン部11の肉薄部は径が大きくなる向き
に反ろうとし、逆に力線Lが油井管本体の肉厚中心より
も外面側を通過しているボックス部21の肉薄部は径が
小さくなる向きに反ろうとするためである。
【0035】次に、前述したのと同じ図1に示す一般的
なスリム型ねじ継手を適正な締結トルクで締結するとと
もに、上記と同じ継手降伏荷重を負荷した引張状態で、
30.5m当たり20度の曲げに相当する曲げモーメン
トを負荷する弾塑性有限要素法の解析を実施し、この複
合荷重負荷状態での継手各部の発生応力と変形状態を調
べた。
なスリム型ねじ継手を適正な締結トルクで締結するとと
もに、上記と同じ継手降伏荷重を負荷した引張状態で、
30.5m当たり20度の曲げに相当する曲げモーメン
トを負荷する弾塑性有限要素法の解析を実施し、この複
合荷重負荷状態での継手各部の発生応力と変形状態を調
べた。
【0036】その結果、曲げの背側、すなわち、管の横
断面に引張の最大垂直応力が発生する側で、かつ前述の
単純引張負荷時に高い応力レベルにあったボックス部2
1の危険断面26およびこれに隣接するねじ無し部27
において降伏応力を超える非常に高い継手軸方向の引張
応力が発生し、塑性変形していた。
断面に引張の最大垂直応力が発生する側で、かつ前述の
単純引張負荷時に高い応力レベルにあったボックス部2
1の危険断面26およびこれに隣接するねじ無し部27
において降伏応力を超える非常に高い継手軸方向の引張
応力が発生し、塑性変形していた。
【0037】これに対し、同じ曲げの背側にあるピン部
11では、単純引張負荷時に高い応力レベルにあった危
険断面16およびこれに隣接するねじ無し部17の継手
軸方向引張応力も同様に高くなっていたが、前述のボッ
クス部側の危険断面26およびこれに隣接するねじ無し
部27よりは継手軸方向引張応力の増加代が少なかっ
た。
11では、単純引張負荷時に高い応力レベルにあった危
険断面16およびこれに隣接するねじ無し部17の継手
軸方向引張応力も同様に高くなっていたが、前述のボッ
クス部側の危険断面26およびこれに隣接するねじ無し
部27よりは継手軸方向引張応力の増加代が少なかっ
た。
【0038】また、曲げの腹側、すなわち、管の横断面
に圧縮の最大垂直応力が発生する側では、逆に単純引張
負荷時よりも応力レベルが低下していた。
に圧縮の最大垂直応力が発生する側では、逆に単純引張
負荷時よりも応力レベルが低下していた。
【0039】これは、曲げの背側では、初めに負荷した
引張荷重に、曲げにより管または継手部断面に発生した
引張応力と、ボックス部とピン部の危険断面およびこれ
に隣接するねじ無し部付近の反りの発生に伴って生じる
局所的な引張応力とが重畳され、非常に高い軸方向の引
張応力状態となるのに対し、曲げの腹側では反りの発生
に伴って生じた引張応力が曲げにより発生した圧縮応力
によって打ち消されるため、応力レベルが低下したので
ある。
引張荷重に、曲げにより管または継手部断面に発生した
引張応力と、ボックス部とピン部の危険断面およびこれ
に隣接するねじ無し部付近の反りの発生に伴って生じる
局所的な引張応力とが重畳され、非常に高い軸方向の引
張応力状態となるのに対し、曲げの腹側では反りの発生
に伴って生じた引張応力が曲げにより発生した圧縮応力
によって打ち消されるため、応力レベルが低下したので
ある。
【0040】以上の事実より、実際の井戸における使用
状態下でのスリム型ねじ継手の強度上の最弱部は、ボッ
クス部およびピン部の各危険断面とそれに隣接した各ね
じ無し部付近であることがわかった。また、傾斜井や水
平井のように、自重による引張りと曲げが同時に負荷さ
れる使用状態下での最弱部は、上記の最弱部のうち、曲
げの背側に位置するボックス部の危険断面とそれに隣接
したねじ無し部付近であるとの結論を得た。
状態下でのスリム型ねじ継手の強度上の最弱部は、ボッ
クス部およびピン部の各危険断面とそれに隣接した各ね
じ無し部付近であることがわかった。また、傾斜井や水
平井のように、自重による引張りと曲げが同時に負荷さ
れる使用状態下での最弱部は、上記の最弱部のうち、曲
げの背側に位置するボックス部の危険断面とそれに隣接
したねじ無し部付近であるとの結論を得た。
【0041】本発明に特有の技術的思想:上記の結論よ
り、スリム型のねじ継手の耐引張性能および耐曲げ性能
を向上させるためには、ボックス部の危険断面部および
これに隣接したねじ無し部付近の強度を何らかの方法で
高めてやればよい。また、ピン部側の危険断面部および
これに隣接したねじ無し部付近の強度も何らかの方法で
高めてやれば、継手全体の強度がより向上することが確
認された。
り、スリム型のねじ継手の耐引張性能および耐曲げ性能
を向上させるためには、ボックス部の危険断面部および
これに隣接したねじ無し部付近の強度を何らかの方法で
高めてやればよい。また、ピン部側の危険断面部および
これに隣接したねじ無し部付近の強度も何らかの方法で
高めてやれば、継手全体の強度がより向上することが確
認された。
【0042】上記各部分の強度を高くするには、管端部
の外径と肉厚が所定の寸法に成形された油井管本体を準
備し、この油井管本体の管端部に、切削加工により、所
定のねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショ
ルダ形成部を形成した後、得られたボックス部さらには
ピン部の危険断面部とこれに隣接するねじ無し部のみに
熱処理を施し、その際、当該部分の継手表面にまで熱処
理の影響が及ばないようにすればよい。
の外径と肉厚が所定の寸法に成形された油井管本体を準
備し、この油井管本体の管端部に、切削加工により、所
定のねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショ
ルダ形成部を形成した後、得られたボックス部さらには
ピン部の危険断面部とこれに隣接するねじ無し部のみに
熱処理を施し、その際、当該部分の継手表面にまで熱処
理の影響が及ばないようにすればよい。
【0043】継手表面にまで熱処理の影響が及ばない熱
処理の方法としては、高周波焼入れ、火炎焼入れ、レー
ザー焼入れ等の方法が適用可能である。これらの方法
は、その熱処理範囲をごく狭い範囲にコントロールする
ことができ、かつ熱処理ひずみによる変形がほとんど生
じない。このため、危険断面付近の不完全ねじ部のよう
な複雑な形状部位に対しても熱処理後の再切削を含めた
形状矯正等は不要である。特に、高周波焼入れは、処理
時間が短くて済み、かつ当該部分の肉厚内部までの高強
度化効果が最も大きい。したがって、熱処理方法として
は、高周波焼入れ法を用いるのが、最も好ましい。
処理の方法としては、高周波焼入れ、火炎焼入れ、レー
ザー焼入れ等の方法が適用可能である。これらの方法
は、その熱処理範囲をごく狭い範囲にコントロールする
ことができ、かつ熱処理ひずみによる変形がほとんど生
じない。このため、危険断面付近の不完全ねじ部のよう
な複雑な形状部位に対しても熱処理後の再切削を含めた
形状矯正等は不要である。特に、高周波焼入れは、処理
時間が短くて済み、かつ当該部分の肉厚内部までの高強
度化効果が最も大きい。したがって、熱処理方法として
は、高周波焼入れ法を用いるのが、最も好ましい。
【0044】本発明による課題解決の内容:本発明によ
り、最初に述べた従来技術の課題が如何に解決されたか
を述べる。まず、ボックス部の危険断面部とこれに隣接
するねじ無し部の材料強度がその他の部位および鋼管本
体の材料強度よりも高い本発明のスリム型のねじ継手に
おいては、次の機構により課題が解決される。
り、最初に述べた従来技術の課題が如何に解決されたか
を述べる。まず、ボックス部の危険断面部とこれに隣接
するねじ無し部の材料強度がその他の部位および鋼管本
体の材料強度よりも高い本発明のスリム型のねじ継手に
おいては、次の機構により課題が解決される。
【0045】適正な締結トルクにより締め付けられた本
発明のねじ継手に引張荷重を作用させると、従来のスリ
ム型ねじ継手とほぼ同様の応力、変形が生じる。しか
し、ボックス部の危険断面部とこれに隣接するねじ無し
部の強度が高いため、従来のねじ継手の降伏荷重以上の
引張負荷によっても塑性変形しない。さらに、塑性変形
が発生しないために、ボックス部の危険断面部とこれに
隣接するねじ無し部に発生する反りの大きさも小さく抑
えられ、この反りの発生に伴って生じる引張応力が小さ
く抑えられるという相乗効果により、継手降伏強度が大
幅に向上するのである。
発明のねじ継手に引張荷重を作用させると、従来のスリ
ム型ねじ継手とほぼ同様の応力、変形が生じる。しか
し、ボックス部の危険断面部とこれに隣接するねじ無し
部の強度が高いため、従来のねじ継手の降伏荷重以上の
引張負荷によっても塑性変形しない。さらに、塑性変形
が発生しないために、ボックス部の危険断面部とこれに
隣接するねじ無し部に発生する反りの大きさも小さく抑
えられ、この反りの発生に伴って生じる引張応力が小さ
く抑えられるという相乗効果により、継手降伏強度が大
幅に向上するのである。
【0046】そして、上記の高強度化は、継手内外表面
を除いて高強度化されているので、その継手内外表面が
内部または/および外部を流れる腐食性のガスや液体に
曝されても部分腐食することがなく、従来のスリム型ね
じ継手と同等の耐応力腐食割れ性を有している。
を除いて高強度化されているので、その継手内外表面が
内部または/および外部を流れる腐食性のガスや液体に
曝されても部分腐食することがなく、従来のスリム型ね
じ継手と同等の耐応力腐食割れ性を有している。
【0047】また、ボックス部の危険断面部とこれに隣
接するねじ無し部のみの高強度化に加え、ピン部の危険
断面部とこれに隣接するねじ無し部のみが高強度化され
た本発明のスリム型のねじ継手においては、その継手降
伏強度がより一層向上する。
接するねじ無し部のみの高強度化に加え、ピン部の危険
断面部とこれに隣接するねじ無し部のみが高強度化され
た本発明のスリム型のねじ継手においては、その継手降
伏強度がより一層向上する。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様につい
て述べる。
て述べる。
【0049】スリム型のねじ継手は、継手部内外径の制
約のため、通常はインテグラル方式である。したがっ
て、本発明においても、インテグラル方式の継手に限定
する。また、本発明の継手は、大径のケーシング用継手
から最も小径のチュービング用の継手に至るまで全ての
サイズに対し適用可能である。
約のため、通常はインテグラル方式である。したがっ
て、本発明においても、インテグラル方式の継手に限定
する。また、本発明の継手は、大径のケーシング用継手
から最も小径のチュービング用の継手に至るまで全ての
サイズに対し適用可能である。
【0050】継手内部の構成にもさまざまな形態があ
る。前述の図1に示したのは、一般的なスリム型の継手
であるが、この他、メタルタッチシール部がねじ部より
外面側に配置された外シール形式やトルクショルダ部が
ねじ部より内面側に配置された内ショルダ形式、さらに
はねじ部が2段からなり、そのねじ部とねじ部の間にメ
タルタッチシール部またはトルクショルダ部が配置され
た中間シール、中間ショルダ形式のものやこれらのうち
いくつかを組み合わせたのものもある。
る。前述の図1に示したのは、一般的なスリム型の継手
であるが、この他、メタルタッチシール部がねじ部より
外面側に配置された外シール形式やトルクショルダ部が
ねじ部より内面側に配置された内ショルダ形式、さらに
はねじ部が2段からなり、そのねじ部とねじ部の間にメ
タルタッチシール部またはトルクショルダ部が配置され
た中間シール、中間ショルダ形式のものやこれらのうち
いくつかを組み合わせたのものもある。
【0051】本発明の継手は、ねじ部、シール部および
トルクショルダ部を少なくとも1カ所ずつ有する継手に
対し適用可能である。しかし、継手内部での応力腐食割
れを回避する観点からは、ねじ部の内側および外側の両
方にメタルタッチシール部またはトルクショルダ部が配
置された継手が最も適している。
トルクショルダ部を少なくとも1カ所ずつ有する継手に
対し適用可能である。しかし、継手内部での応力腐食割
れを回避する観点からは、ねじ部の内側および外側の両
方にメタルタッチシール部またはトルクショルダ部が配
置された継手が最も適している。
【0052】次に、本発明の油井管用ねじ継手を構成す
る各部の望ましい範囲について述べる。
る各部の望ましい範囲について述べる。
【0053】本発明において、高強度化する必要のある
部分は、前述したように、ボックス部さらにはピン部の
危険断面とこれに隣接するねじ無し部である。具体的に
は、図1中に左下がり斜線を付して示すように、ねじの
噛み合い端からそれぞれ2山分だけねじ部側に入った位
置から、これに連続する不完全ねじ部、さらには肉薄に
なっているねじ無し部全域にわたる領域で、かつ肉厚方
向には当該部分の肉厚の0.4〜0.9倍の部分であ
る。
部分は、前述したように、ボックス部さらにはピン部の
危険断面とこれに隣接するねじ無し部である。具体的に
は、図1中に左下がり斜線を付して示すように、ねじの
噛み合い端からそれぞれ2山分だけねじ部側に入った位
置から、これに連続する不完全ねじ部、さらには肉薄に
なっているねじ無し部全域にわたる領域で、かつ肉厚方
向には当該部分の肉厚の0.4〜0.9倍の部分であ
る。
【0054】ねじ部側の高強度化開始位置を上記のよう
にするのは、各部の危険断面部からおおよそ1山分だけ
ねじ部側に入った位置から高強度化すれば、十分な効果
が得られ、これ以上ねじ部側に入った部分を高強度化し
てもその効果は変わらず、加工コストが高くなるだけで
ある。また、反対側のねじ無し部の範囲も同様で、肉薄
になっているねじ無し部までを高強度化すれば、十分な
効果が得られるからである。
にするのは、各部の危険断面部からおおよそ1山分だけ
ねじ部側に入った位置から高強度化すれば、十分な効果
が得られ、これ以上ねじ部側に入った部分を高強度化し
てもその効果は変わらず、加工コストが高くなるだけで
ある。また、反対側のねじ無し部の範囲も同様で、肉薄
になっているねじ無し部までを高強度化すれば、十分な
効果が得られるからである。
【0055】さらに、肉厚方向には当該部分の肉厚の
0.4倍以上の肉厚部分を高強度化するのは、肉厚の
0.4倍以上の肉厚部分を高強度化しないと十分な効果
が得られないからである。また、肉厚方向の高強度化深
さを当該部分の肉厚の0.9倍以下にするのは、反対側
の表面(ボックス部は外面、ピン部は内面)まで高強度
化すると、耐応力腐食割れ性が確保できなくなるからで
ある。
0.4倍以上の肉厚部分を高強度化するのは、肉厚の
0.4倍以上の肉厚部分を高強度化しないと十分な効果
が得られないからである。また、肉厚方向の高強度化深
さを当該部分の肉厚の0.9倍以下にするのは、反対側
の表面(ボックス部は外面、ピン部は内面)まで高強度
化すると、耐応力腐食割れ性が確保できなくなるからで
ある。
【0056】高強度化の程度は、当該部表面のビッカー
ス硬さ(Hv)基準で、油井管本体や継手部の他の部位
よりも15〜50%、好ましくは25〜50%程度高く
すれば十分である。また、ボックス部とピン部の危険断
面とこれに隣接するねじ無し部の両方を高強度化する場
合には、両者の強度をほぼ同等にするのがよい。
ス硬さ(Hv)基準で、油井管本体や継手部の他の部位
よりも15〜50%、好ましくは25〜50%程度高く
すれば十分である。また、ボックス部とピン部の危険断
面とこれに隣接するねじ無し部の両方を高強度化する場
合には、両者の強度をほぼ同等にするのがよい。
【0057】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づき述べ
る。
る。
【0058】表1に示す化学組成を有し、本体部の外径
が101.6mm、内径が88.3mm、肉厚が6.6
5mmで、両管端部にアップセット加工が施され、内外
表面のビッカース硬さ(Hv)が230、降伏強度が7
60MPaの油井管を準備した。
が101.6mm、内径が88.3mm、肉厚が6.6
5mmで、両管端部にアップセット加工が施され、内外
表面のビッカース硬さ(Hv)が230、降伏強度が7
60MPaの油井管を準備した。
【0059】
【表1】
【0060】次いで、準備した油井管に、図1に示した
のと同様の構造で、継手効率がいずれも55%の外径1
02.1mmのボックス部と、先端部の内径が86.3
mmのピン部を切削成形した。
のと同様の構造で、継手効率がいずれも55%の外径1
02.1mmのボックス部と、先端部の内径が86.3
mmのピン部を切削成形した。
【0061】その後、得られたボックス部とピン部の種
々異なる部分に高強度化のため熱処理を施し、表2に示
す5種類のねじ継手を作製した。
々異なる部分に高強度化のため熱処理を施し、表2に示
す5種類のねじ継手を作製した。
【0062】すなわち、継手代符Aはボックス部の危険
断面とこれに隣接するねじ無し部のみを本発明の方法に
従って高強度化した本発明例の継手、継手代符Bはボッ
クス部とピン部両方の危険断面とこれに隣接するねじ無
し部のみを本発明の方法に従って高強度化した本発明例
の継手、継手代符Cはボックス部とピン部両方の危険断
面とこれに隣接するねじ無し部を、反対側の継手表面に
到るまで高強度化した比較例の継手である。
断面とこれに隣接するねじ無し部のみを本発明の方法に
従って高強度化した本発明例の継手、継手代符Bはボッ
クス部とピン部両方の危険断面とこれに隣接するねじ無
し部のみを本発明の方法に従って高強度化した本発明例
の継手、継手代符Cはボックス部とピン部両方の危険断
面とこれに隣接するねじ無し部を、反対側の継手表面に
到るまで高強度化した比較例の継手である。
【0063】また、継手代符Dはボックス部とピン部両
方に高強度化のための熱処理を施さない切削加工のまま
の従来例の継手、継手代符Eはボックス部およびピン部
とも、肉厚全体の強度を管本体部からその先端に向かっ
て順次高くした前述した特開昭62−151692号公
報に示される従来例の継手である。
方に高強度化のための熱処理を施さない切削加工のまま
の従来例の継手、継手代符Eはボックス部およびピン部
とも、肉厚全体の強度を管本体部からその先端に向かっ
て順次高くした前述した特開昭62−151692号公
報に示される従来例の継手である。
【0064】なお、熱処理は高周波焼入れ法を用いて行
い、継手代符AとBについては、肉厚方向の強化深さが
3±0.5mmで、ボックス部については強化部肉厚の
0.65±0.11倍、ピン部については強化部肉厚の
0.68±0.12倍になるように調整した。また、そ
の強化の程度は、強化部表面のビッカース硬さ(Hv)
が油井管本体の約1.3倍になる300程度になるよう
に焼戻し温度を種々変えて調整した。
い、継手代符AとBについては、肉厚方向の強化深さが
3±0.5mmで、ボックス部については強化部肉厚の
0.65±0.11倍、ピン部については強化部肉厚の
0.68±0.12倍になるように調整した。また、そ
の強化の程度は、強化部表面のビッカース硬さ(Hv)
が油井管本体の約1.3倍になる300程度になるよう
に焼戻し温度を種々変えて調整した。
【0065】そして、いずれのねじ継手もトルク196
0N・mで締結した後、下記の各試験に供した。
0N・mで締結した後、下記の各試験に供した。
【0066】
【表2】
【0067】複合荷重試験:油井管本体の降伏強度に継
手効率を乗じた大きさの引張荷重と、油井管本体の降伏
強度に継手効率を乗じた応力の80%の応力が油井管本
体の周方向に発生する内圧とを同時に負荷し、この状態
でさらに30.5m当たり20度に相当する曲げ荷重を
負荷し、漏れの発生の有無を調べた。そして、漏れの発
生が認められなかったものについては、試験後にねじの
螺合を解き、目視観察を行って各部の変形状態を調べ
た。
手効率を乗じた大きさの引張荷重と、油井管本体の降伏
強度に継手効率を乗じた応力の80%の応力が油井管本
体の周方向に発生する内圧とを同時に負荷し、この状態
でさらに30.5m当たり20度に相当する曲げ荷重を
負荷し、漏れの発生の有無を調べた。そして、漏れの発
生が認められなかったものについては、試験後にねじの
螺合を解き、目視観察を行って各部の変形状態を調べ
た。
【0068】腐食試験:油井管本体の降伏強度に継手効
率を乗じた応力の80%に相当する引張荷重を負荷した
まま、腐食性ガス(1体積%H2S、残部CO2)をバブ
リングした温度25℃の5質量%NaCl水溶液中に5
00時間浸漬した後、ねじの螺合を解き、目視観察を行
って割れの発生の有無を調べた。
率を乗じた応力の80%に相当する引張荷重を負荷した
まま、腐食性ガス(1体積%H2S、残部CO2)をバブ
リングした温度25℃の5質量%NaCl水溶液中に5
00時間浸漬した後、ねじの螺合を解き、目視観察を行
って割れの発生の有無を調べた。
【0069】以上の試験結果を、表3に示した。
【0070】
【表3】
【0071】表3から明らかなように、本発明例のねじ
継手(継手代符A、B)は、複合荷重試験において漏れ
が発生せず、耐引張性能および耐曲げ性能に優れてい
た。また、ねじの各部の変形も、ボックス部のみを高強
度化した継手代符Aのピン部の危険断面に隣接するねじ
無し部に僅かな変形が認められただけで、致命的な変形
の発生は認められなかった。さらに、腐食試験において
も割れは発生せず、耐応力腐食割れ性も優れていた。
継手(継手代符A、B)は、複合荷重試験において漏れ
が発生せず、耐引張性能および耐曲げ性能に優れてい
た。また、ねじの各部の変形も、ボックス部のみを高強
度化した継手代符Aのピン部の危険断面に隣接するねじ
無し部に僅かな変形が認められただけで、致命的な変形
の発生は認められなかった。さらに、腐食試験において
も割れは発生せず、耐応力腐食割れ性も優れていた。
【0072】これに対し、比較例のねじ継手(継手代符
C)は、複合荷重試験において漏れが発生せず、耐引張
性能および耐曲げ性能に優れ、しかもねじの各部に変形
は発生していなかったが、腐食試験において割れが発生
し、耐応力腐食割れ性が悪かった。
C)は、複合荷重試験において漏れが発生せず、耐引張
性能および耐曲げ性能に優れ、しかもねじの各部に変形
は発生していなかったが、腐食試験において割れが発生
し、耐応力腐食割れ性が悪かった。
【0073】また、従来例のねじ継手(継手代符D)
は、腐食試験において割れが発生せず、耐応力腐食割れ
性は良好であったが、複合荷重試験において漏れが発生
し、耐引張性能および耐曲げ性能が悪かった。
は、腐食試験において割れが発生せず、耐応力腐食割れ
性は良好であったが、複合荷重試験において漏れが発生
し、耐引張性能および耐曲げ性能が悪かった。
【0074】さらに、特開昭62−151692号公報
に示される従来例のねじ継手(継手代符E)は、複合荷
重試験において漏れが発生せず、耐引張性能および耐曲
げ性能に優れ、しかもねじの各部に変形は発生していな
かったが、腐食試験において強度の遷移部位に割れが発
生し、耐応力腐食割れ性が悪かった。
に示される従来例のねじ継手(継手代符E)は、複合荷
重試験において漏れが発生せず、耐引張性能および耐曲
げ性能に優れ、しかもねじの各部に変形は発生していな
かったが、腐食試験において強度の遷移部位に割れが発
生し、耐応力腐食割れ性が悪かった。
【0075】
【発明の効果】本発明のスリム型の油井管用ねじ継手
は、優れた耐引張性能、耐曲げ性能を有し、かつ耐応力
腐食割れ性に優れている。
は、優れた耐引張性能、耐曲げ性能を有し、かつ耐応力
腐食割れ性に優れている。
【図1】一般的なスリム型の油井管用ねじ継手を示す模
式的縦断面図である。
式的縦断面図である。
【図2】継手降伏荷重で引っ張ったときのスリム型ねじ
継手の変形態様を示す模式的縦断面図である。
継手の変形態様を示す模式的縦断面図である。
【図3】スリム型ねじ継手の内部を通過する軸力線の軌
跡を示す模式的縦断面図である。
跡を示す模式的縦断面図である。
10、20:鋼管(油井管本体)、 11:ピン部、 12:雄ねじ、 13:ピン部側のシール形成用ねじ無し部、 14:ピン部側のトルクショルダ形成用肩部、 15:ピン部側のねじ噛み合い部端、 16:ピン部の危険断面、 17:ピン部側のねじ無し部、 18:ピン部側のトルクショルダ形成用肩部の内表面付
近、 21:ボックス部、 22:雌ねじ、 23:ボックス部側のシール形成用ねじ無し部、 24:ボックス部側のトルクショルダ形成用端面、 25:ボックス部側のねじ噛み合い部端、 26:ボックス部の危険断面、 27:ボックス部側のねじ無し部、 28:ボックス部側のシール部の外表面付近、
近、 21:ボックス部、 22:雌ねじ、 23:ボックス部側のシール形成用ねじ無し部、 24:ボックス部側のトルクショルダ形成用端面、 25:ボックス部側のねじ噛み合い部端、 26:ボックス部の危険断面、 27:ボックス部側のねじ無し部、 28:ボックス部側のシール部の外表面付近、
Claims (6)
- 【請求項1】一方の鋼管の管端部外周面に形成された雄
ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ
形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内周面に
形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ部、シー
ル形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成部を有す
るボックス部とからなり、少なくともシール部とトルク
ショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボックス部
の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.07倍、ピ
ン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から1.00
倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手におい
て、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する雌ねじ
部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外面側表
層部分を除いた部位の材料強度がその他の部位および鋼
管本体の材料強度よりも高い油井管用ねじ継手。 - 【請求項2】一方の鋼管の管端部外周面に形成された雄
ねじ部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ
形成部を有するピン部と、他方の鋼管の管端部内周面に
形成された前記ピン部の各部に対応する雌ねじ部、シー
ル形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成部を有す
るボックス部とからなり、少なくともシール部とトルク
ショルダ部とがそれぞれ1ヶ所あり、しかもボックス部
の外径が鋼管の本体部外径の1.00〜1.07倍、ピ
ン部の内径が鋼管の本体部内径の0.90から1.00
倍であるインテグラル方式の油井管用ねじ継手におい
て、ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置する雌ねじ
部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての外面側表
層部分を除いた部位の材料強度、およびピン部基部の危
険断面の近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣接する
ねじ無し部にかけての内面側表層部分を除いた部位の材
料強度が、それぞれその他の部位および鋼管本体の材料
強度よりも高い油井管用ねじ継手。 - 【請求項3】ボックス部内奥の危険断面の近傍に位置す
る雌ねじ部分からこれに隣接するねじ無し部にかけての
外面側表層部分を除いた部位の材料強度と、ピン部基部
の危険断面の近傍に位置する雄ねじ部分からこれに隣接
するねじ無し部にかけての内面側表層部分を除いた部位
の材料強度がほぼ同等である請求項2に記載の油井管用
ねじ継手。 - 【請求項4】材料強度の肉厚方向への強化深さが、当該
強化部肉厚の0.4〜0.9倍である請求項1〜3のい
ずれかに記載の油井管ねじ継手。 - 【請求項5】請求項1または2に記載の油井管用ねじ継
手を構成するボックス部の製造方法であって、雌ねじ
部、シール形成用ねじ無し部およびトルクショルダ形成
部を機械加工によって形成した後、そのボックス部内奥
の危険断面の近傍に位置するねじ部からこれに隣接する
ねじ無し部(ただし、シール形成用ねじ無し部を除く)
にわたる部分に表面焼入れ処理を施し、当該部分の外面
側表層部分を除いた部位の材料強度をその他の部位およ
び鋼管本体の材料強度よりも高くするボックス部の製造
方法。 - 【請求項6】請求項2に記載の油井管用ねじ継手を構成
するピン部の製造方法であって、雄ねじ部、シール形成
用ねじ無し部およびトルクショルダ形成部を機械加工に
よって形成した後、そのピン部基部の危険断面の近傍に
位置するねじ部からこれに隣接するねじ無し部(ただ
し、シール形成用ねじ無し部を除く)にわたる部分に表
面焼入れ処理を施し、当該部分の外面側表層部分を除い
た部位の材料強度をその他の部位および鋼管本体の材料
強度よりも高くするボックス部の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36528199A JP2001182874A (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 油井管用ねじ継手およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36528199A JP2001182874A (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 油井管用ねじ継手およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001182874A true JP2001182874A (ja) | 2001-07-06 |
Family
ID=18483883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36528199A Pending JP2001182874A (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 油井管用ねじ継手およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001182874A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009084348A1 (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-09 | Nihonkansen Kogyo Kabushiki Kaisha | 金属被接合部材の接合方法及び接合構造 |
CN114026309A (zh) * | 2019-08-09 | 2022-02-08 | 日本制铁株式会社 | 钢管用螺纹接头 |
-
1999
- 1999-12-22 JP JP36528199A patent/JP2001182874A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009084348A1 (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-09 | Nihonkansen Kogyo Kabushiki Kaisha | 金属被接合部材の接合方法及び接合構造 |
US8388796B2 (en) | 2007-12-27 | 2013-03-05 | Nihonkansen Kogyo Kabushiki Kaisha | Method and structure for bonding metal member to be bonded |
CN114026309A (zh) * | 2019-08-09 | 2022-02-08 | 日本制铁株式会社 | 钢管用螺纹接头 |
CN114026309B (zh) * | 2019-08-09 | 2023-06-20 | 日本制铁株式会社 | 钢管用螺纹接头 |
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