JP2001181517A - シート状成形体および積層体 - Google Patents

シート状成形体および積層体

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JP2001181517A
JP2001181517A JP36946799A JP36946799A JP2001181517A JP 2001181517 A JP2001181517 A JP 2001181517A JP 36946799 A JP36946799 A JP 36946799A JP 36946799 A JP36946799 A JP 36946799A JP 2001181517 A JP2001181517 A JP 2001181517A
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sheet
less
resin
filler
laminate
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JP36946799A
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English (en)
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Masaharu Tanaka
正治 田中
Hachiro Hirano
八朗 平野
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低誘電率化等の高周波特性を備えかつ厚みが規
制される用途に適したシート状成形体の提供。 【解決手段】最大粒子径が50μm以下、粒子密度が
0.5g/cm3以下であり、かつ体積基準ふるい上積
算分布で(d10−d90)/d50で示す粒度勾配が2.0
以下、d50が20μm以下である微小中空ガラス球状体
からなるフィラーを、樹脂との合量中に5〜60質量%
配合した樹脂組成物を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状成形体お
よび積層体、特には高周波回路を搭載した電子機器用に
最適な低誘電率化および低誘電正接化を可能とした、優
れた高周波特性を有するシート状成形体および積層体に
関する。詳しくは、電子・電気部品、半導体分野等の絶
縁材料、樹脂封止用材料、積層板用等において厚みが規
制されるシート状で使用される用途に好適に使用できる
シート状成形体および積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子技術の革新は目覚ましく、電子機器
の小型化は留まることを知らない。これをもたらした要
因としては、実装技術の高密度化、半導体の高集積化お
よび半導体パッケージの小形化技術があげられる。高集
積化したデバイスは必然的に高速化し、また、高速化自
体が時代の要請となっているため、コンピュータおよび
その周辺機器、デジタル通信機器等のクロック周波数は
民生用においてすでに数GHzが主流となっている。
【0003】また、高度情報化社会は、多様化するメデ
ィアの高密度媒体として通信衛星の民生利用を推進し、
小形化した電子機器は移動体通信・携帯電話などの新た
な需要を生み出している。これら新しいメディアは、既
存の周波数割当の範囲を避けるため、また携帯無線電話
には多くのチャンネルを確保する必要上、高周波域が割
り当てられている。このような背景により、高周波回路
を搭載した電子機器は急増している。
【0004】以上のような背景から、高速・高周波回路
に対応できる、誘電率が低くかつ誘電正接の低い高周波
特性を有する材料が求められている。従来このような目
的に使用できるものとしては、一般的には空気およびそ
の他の不活性ガスを樹脂に導入する方法があげられる。
この場合の導入方法としては、化学発泡、ガス発泡など
が知られている。
【0005】この技術は、独立気泡が形成し難いこと、
成形時の温度に非常に厳密さが要求されること、大がか
りな設備が必要になることなどの難点がある。特に、厚
みが規制されかつ表面平滑性が要求される電子機器用な
どの用途にシート状成形体としての要求を満足するのが
困難である。すなわち、気泡径の調整が難しく、表面に
気泡に起因するホールが生じたり、場合によってはシー
トの貫通が起こり、表面の平滑性を損なったり、絶縁層
としての機能に支障を来すおそれがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低誘電率化
効果や低誘電正接化効果をもたらす高周波特性を備えか
つ厚みが規制される用途に適したシート状の成形体およ
び積層体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、最大粒子径が
50μm以下、粒子密度が0.5g/cm3以下であ
り、かつ(d10−d90)/d50で示す粒度勾配が2.0
以下、d50が20μm以下である微小中空ガラス球状体
からなるフィラーを、樹脂との合量中に5〜60質量%
配合した樹脂組成物を成形してなるシート状成形体を提
供する。また、最大粒子径が50μm以下、粒子密度が
0.5g/cm3以下であり、かつ(d10−d90)/d
50で示す粒度勾配が2.0以下、d50が20μm以下で
ある微小中空ガラス球状体からなるフィラーを、樹脂と
の合量中に5〜60質量%配合した樹脂組成物を多孔性
基材に含浸してなるシート状成形体を提供する。ただ
し、d10、d50、d90は、レーザー散乱式粒度測定装置
を使用して測定した体積基準ふるい上積算分布の値がそ
れぞれ10%、50%、90%となる粒子径である。ま
た、上記のシート状成形体を基板に積層してなる積層体
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、微小中空ガラス
球状体からなるフィラーは、シート状成形体および積層
体を低誘電率化および低誘電正接化する作用を有する。
微小中空ガラス球状体のd50が20μmを超える場合、
または、最大粒子径が50μmを超える場合は、多層プ
リント基板を構成する電気絶縁層として使用されるなど
の、厚みが規制される用途においては、微小中空ガラス
球状体が層厚中に収まりきれなくなり、表面欠点の発生
や製品歩留の低下を招く可能性が高くなるのでシート状
成形体として満足できるものとはならない。
【0009】微小中空ガラス球状体の粒度勾配が2.0
を超える場合には、一般的に粒径分布が広くなると各粒
子の粒子密度にも分布が生じやすく、相対的に粒子密度
が低い大粒子においては、加工工程で過大な応力を生じ
て破砕しやすく、使用目的に対して充分な低誘電率化効
果や低誘電正接効果を発揮できなくなる可能性が高くな
るので好ましくない。上記範囲中好ましい粒度勾配は
1.8以下である。
【0010】また、粒子密度が0.5g/cm3を超え
ると充分な低誘電率化効果や低誘電正接効果が得られな
くなる。より好ましい粒子密度は0.4g/cm3以下
である。なお、本発明において、d10、d50、d90は、
レーザー散乱式粒度測定装置により、また、粒子密度
は、乾式自動密度計により、それぞれ測定される。
【0011】本発明に使用される微小中空ガラス球状体
は、以下の方法により好ましく製造される。まず、ガラ
ス調合原料は、加熱によりガラス化するものであり、一
般には、互いに異なる複数の原料が目標とするガラス組
成になるような割合で調合される。ガラス原料として
は、ケイ砂、シラス、真珠岩、松脂岩、黒曜石、シリカ
ゲル、ゼオライト、ベントナイト、ソーダ灰、ホウ砂、
ホウ酸、亜鉛華、石灰、リン酸カルシウム、硫酸ナトリ
ウム、アルミナが例示される。
【0012】このガラス調合原料には発泡剤が含有され
る。発泡剤は、ガラス調合原料が加熱によりガラス化さ
れ球状になる際にガスを発生して、ガラス化した溶融ガ
ラスを中空体にする作用を有する。具体的には、ナトリ
ウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウ
ム、バリウム、アルミニウムおよび亜鉛の硫酸塩、炭酸
塩、硝酸塩、酢酸塩、ならびに各種原料に含まれる結晶
水が例示される。
【0013】発泡剤の含有量の調節は、本発明の粒度お
よび粒子密度を得るために極めて重要であり、例えば炭
酸塩の場合、ガラス調合原料中のCO2換算で1〜15
質量%となるように含有することが好ましい。炭酸塩の
含有量が1質量%以下になると、発泡が不充分で得られ
る微小中空ガラス球状体の真密度が0.5g/cm3
上と大きくなるので好ましくない。また逆に、炭酸塩の
含有量が15質量%以上になると発泡ガス量が多すぎて
粒子内部に留まらずに外部に放出され、その結果、微小
中空ガラス球状体が得られなくなるので好ましくない。
【0014】ガラス調合原料より得られるガラスとして
は、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、石
英ガラス等が例示される。ホウケイ酸塩ガラスは、Si
2−B23−Na2Oを主成分としたガラスであり、ア
ルミノケイ酸塩ガラスは、SiO2−Al23−Na2
またはSiO2−Al23−CaOを主成分としたガラ
スであり、石英ガラスは、二酸化ケイ素(SiO2)か
らなる単一成分のガラスあり、本発明における微小中空
ガラス球状体のガラス成分としていずれも好適に使用さ
れる。
【0015】こうしたガラス調合原料は、次に湿式粉砕
される。湿式粉砕に使用する液体としては可燃性液体、
なかでも噴霧燃焼時のスラリーの液体と同じものを使用
すると製造工程が簡略化されるので好ましい。湿式粉砕
工程における液体中のガラス調合原料の濃度は、噴霧時
のスラリー中のガラス調合原料の濃度と同一になるよう
に液体の量を調整しておくと製造工程が簡略化されるの
で好ましい。
【0016】使用する湿式粉砕機は、ボールミルやビー
ズミルに代表される媒体撹拌型ミルがその微粉砕能力よ
り好ましいが、その他の湿式粉砕機も使用できる。粉砕
機材質よりのコンタミネーションは微小中空ガラス球状
体の収率の低下を招くため、接液部の材質としては、ア
ルミナ、ジルコニア、アルミナ・ジルコニア複合セラミ
ックス等の磨耗の少ないものまたはガラス調合原料の一
部と同じ組成の材料を選定することが望ましい。
【0017】湿式粉砕後のガラス調合原料の平均粒子径
は、目標とするd50および粒度勾配を有する微小中空ガ
ラス球状体が効率的に得られること、および均一な組成
の微小中空ガラス球状体が得られることから、2μm以
下であることが好ましい。
【0018】このスラリーの分散および分散安定化のた
めに、分散剤、分散安定剤を添加してもよい。分散剤と
しては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤、高分子系界面活性剤等を使
用できるが、なかでも高分子アニオン系界面活性剤が特
に好ましく、例えばアクリル酸とアクリル酸エステルと
の共重合体であって酸価が5〜100mgKOH/g程
度の大きな酸価を有する酸含有アクリルオリゴマー等の
酸含有オリゴマー等が好ましい。このような高分子アニ
オン系界面活性剤はスラリーの分散および分散安定化に
寄与する他に、スラリーの粘度を低く抑制できて好都合
である。
【0019】こうして得られたガラス調合原料が、スラ
リーとしての所定濃度になっていない場合は不足分の液
体を添加して、ガラス調合原料が所定濃度になるように
調整する。スラリー中のガラス調合原料の濃度は5〜5
0質量%が好ましく、10〜40質量%がさらに好まし
い。スラリー中のガラス調合原料の濃度が5質量%未満
の場合は、スラリーを形成する可燃性液体の原単位が上
昇するので好ましくない。逆に、50質量%を超える
と、スラリーの粘度が上昇して取り扱いが不便になり、
また噴霧時の微粒液滴化にも支障を来すので好ましくな
い。
【0020】ついで、このスラリーを二流体ノズルを使
用したり、圧力を加えて噴霧して液滴とする。生成した
液滴には、ガラス調合原料が含有される。この液滴の大
きさは、大きすぎると加熱による燃焼が不安定となった
り、大粒子が生成するので好ましくない。一方、小さす
ぎると得られるガラス組成が均一になりにくくなり、微
小中空ガラス球状体の収率が低下するので好ましくな
い。好ましい液滴の大きさは0.1〜70μmの範囲で
ある。
【0021】液滴は、加熱されることにより、ガラス調
合原料が溶融されガラス化するとともに、ガラス中の発
泡成分がガス化し微小中空ガラス球状体が形成される。
加熱手段としては、燃焼、電気加熱、等が使用できる。
加熱温度は、ガラス調合原料のガラス化する温度に依存
する。具体的には、300〜1500℃の範囲である。
本発明においては、スラリーの液体成分が可燃性液体で
あるので、これが燃焼して発熱しガラスの溶融に寄与す
る。
【0022】形成された微小中空ガラス球状体は、サイ
クロン、バグフィルタ、スクラバや充填塔等を用いた方
法により回収される。次に、回収粉体中の未発泡品を除
去し、発泡品のみを水による浮選法により回収する。低
密度の発泡品を選別する場合には、比重の軽いアルコー
ル等で浮選する方法が有効である。ついで、50μm以
下の最大粒子径となるよう分級処理を行う。分級処理と
しては特に限定されないが、風力式分級機やふるい分け
装置等を用いた方が好ましい。
【0023】上記方法により製造される微小中空ガラス
球状体は、レーザー散乱式粒度測定装置で測定したd50
が20μm以下、かつ粒度勾配が2.0以下であり、か
つ乾式自動密度計で測定した粒子密度が0.5g/cm
3以下であり、低誘電率化および低誘電正接化等を付与
するに充分な中空度を有し、さらには分級機により50
μm以上の粒子径をもつものを除くことにより、表面の
高平滑性を要求される用途や複合材料の厚みが規制され
る用途に対しても極めて好適なものを集めることができ
る。
【0024】粒子強度についても、静水圧による体積基
準での10%体積減少時の破壊強度は、粒子密度0.5
g/cm3で50MPa以上の水準を示し、例えば樹脂
用フィラーとして使用し、シート状に成形するに際して
も破砕しない充分な強度を有する。また粒子密度0.4
g/cm3では静水圧による体積基準での10%体積減
少時の破壊強度は20MPa以上、さらに粒子密度0.
3g/cm3では静水圧による体積基準での10%体積
減少時の破壊強度は5MPa以上である。
【0025】このようにして得られた微小中空ガラス球
状体は、シート状成形体の樹脂組成物用のフィラーとし
て最適である。また、化学的耐久性向上や熱硬化性樹脂
または熱可塑性樹脂との密着性向上等の物性改良のため
に、例えば、微小中空ガラス球状体表面にペルヒドロポ
リシラザンを塗布してシリカ膜に転換させることによ
り、微小中空ガラス球状体表面をシリカ層で被覆し、さ
らにシランカップリング剤により表面処理を行うことも
好ましい。
【0026】本発明において樹脂としては、熱硬化性樹
脂および熱可塑性樹脂のいずれもが使用できる。熱硬化
性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、キシレン樹脂、アル
キド樹脂、メラミン樹脂等があげられる。
【0027】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリ酢酸ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリ
ル樹脂、ABS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(ア
ルキルビニルエーテル)共重合体(PTFE)、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合
体(ETFE)等のフッ素樹脂があげられる。
【0028】本発明において、樹脂組成物は、樹脂と微
小中空ガラス球状体からなるフィラーを必須成分とし、
必要に応じ溶剤、硬化助剤、カップリング剤等が添加さ
れて構成される。また目的を損なわない範囲で、繊維状
強化材、充填材、添加剤、安定剤、難燃剤を単独でまた
はそれらを併用して配合できる。
【0029】本発明において、樹脂組成物中におけるフ
ィラーの配合割合としては、樹脂とフィラーの合量中に
5〜60質量%とすることが必要である。5質量%未満
では、十分な低誘電率化効果および低誘電正接化効果が
得られず、60質量%以上では、均一な組成の樹脂組成
物を得ることが困難となる。より好ましい配合割合は1
0〜50質量%である。
【0030】本発明はこのような特定されたフィラーを
特定量含有するシート状樹脂組成物成形体および積層体
であるが、成形体および積層体として優れた高周波特性
を有している。すなわち、これらは低誘電率化でかつ低
誘電正接化を可能とする特性を備えている。
【0031】具体的には、同じシート状成形体または積
層体として比較して、本発明のフィラーを含有する樹脂
組成物を使用して得られたものの方が、フィラーを配合
しない樹脂組成物を使用して得られたものより、10%
以上好ましくは20%以上の低誘電率化を容易に可能と
し、さらに好ましくは低誘電正接化も同様に可能とす
る。
【0032】すなわち、本発明のシート状成形体または
積層体の誘電率および誘電正接が、フィラーを配合しな
いシート状成形体または積層体の誘電率および誘電正接
と比較して、いずれも90%以下、好ましくは80%以
下となっている高周波特性を有する成形体または積層体
を容易に得ることができる。本発明において、フィラー
を配合する成形体または積層体と、配合しない成形体ま
たは積層体について、誘電率および誘電正接を比較する
場合、シート状成形体としては成形体同士(表面処理し
たものは同じ表面処理したもの同士)の、また、積層体
としては積層体同士の比較を意味する。誘電率および誘
電正接は、JIS K6911に記載された相互誘導ブ
リッジ法(変成器ブリッジ法)により測定される。
【0033】本発明において、フィラーを含む樹脂組成
物からシート状成形体を作製する方法については特に限
定されない。一般的には、均一な組成が得られるよう組
成物を充分に撹拌、混合することが好ましい。ついで微
小中空ガラス球状体フィラーを樹脂組成物中に均一に分
散させることを目的に、高温ニーダー、スクリュー式押
出混練機、同方向二軸押出機等を用いて樹脂を溶融した
状態でシート状に成形することが好ましい。
【0034】また、多層プリント基板の積層板用等とし
て使用する場合、樹脂組成物を、ガラス繊維織布、ガラ
ス繊維不織布、アミド繊維織布、ポリエステル繊維織
布、ポリエステル繊維不織布、ポリテトラフルオロエチ
レン不織布等およびこれらの混抄不織布、混織布等のシ
ート状の多孔性基材に含浸させることでシート状に成形
する。紙またはフィルムなどを基材として用いてその表
面に所定の樹脂組成物の被膜を施しシート状の成形体と
してもよい。
【0035】さらに、これらのシート状成形体の1枚ま
たは複数枚を他の基板上に積層して高周波特性の優れた
シート状積層体とする。この場合の基板としては、金
属、セラミック、ガラス、シリコン、樹脂など、が適し
ている。
【0036】本発明のシート状成形体または積層体とし
ては、一般的には、厚み1.0mm以下のものが特に有
用であるが、薄いものでは50μm以下のフィルム状の
ものでもよく、また厚いものでは2.0mm程度の積層
体としてもよい。
【0037】また本発明のシート状成形体および積層体
は、低誘電率化効果および低誘電正接化効果のみになら
ず、軽量化効果、断熱効果、耐熱効果、遮音効果、光散
乱効果、耐衝撃性等をもたらす様々な機能も有している
ので、樹脂組成物の使用目的に応じて種々の複合効果を
発揮する幅広い用途を持つシート状成形体として使用で
きる。
【0038】
【実施例】[例1(実施例)]二酸化ケイ素85.0
g、炭酸カルシウム22.5g、ホウ酸18.2g、第
二リン酸カルシウム5.0g、炭酸リチウム2.0g、
硫酸ナトリウム6.7g、ホウ砂14.2g、分散剤
(花王社製、商品名ホモゲノールL−1820)7.7
gを灯油600g中に混合した後、媒体撹拌ミルを使用
して湿式粉砕することでガラス調合原料のスラリーを得
た。使用した媒体撹拌ミルは、内容積1400cm3
あり、ビーズは平均粒径0.65mmφのジルコニア製
のものを1120cm3入れて使用した。運転条件は回
転数2500rpm、時間30minであった。
【0039】得られたガラス調合原料のスラリーを二流
体ノズルにて噴霧し、火炎を近づけることで着火し噴霧
燃焼を行い、微小中空ガラス球状体を製造した。微小中
空ガラス球状体はバグフィルタにて回収後、水に混合し
水浮上品を遠心分離することで水浮上品のみをスラリー
として回収し、これを減圧濾過器で固形物を分離した後
120℃で静置乾燥して、水浮上粒子を得た。水浮上粒
子の形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれ
も真球状であった。これらの粒子は、X線回折測定の結
果、ガラス質であることが確認された。
【0040】ついで、該水浮上粒子をポリエステル製1
7μmの網をセットしたターボスクリーナー(ターボ工
業社製、形式TS125×200)で分級し、ふるい下
品を回収した。ふるい下品の粒度を、レーザー散乱式粒
度測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックHR
A モデル9320−X100、以下においても同じ)
で測定したところ、d50は9.5μmであり、体積基準
ふるい上積算分布において、d10は13.3μmであ
り、d90は6.8μmで粒度勾配は0.684であっ
た。また乾式自動密度計(島津製作所社製、商品名アキ
ュピック1330、以下においても同じ)で測定した水
浮上品の粒子密度は0.39g/cm3であった。
【0041】ついで、エポキシ樹脂としてエピコート1
52(油化シェル社製、エポキシ当量175)100質
量部に、テトラヒドロ無水フタル酸85質量部、イミダ
ゾール系硬化剤1質量部を溶解したものに、上記微小中
空ガラス球状体からなるフィラーを15質量部配合して
樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、注型法によりエ
ポキシ樹脂硬化物を作成し、20cm角、3mm厚のシ
ート状に切り出し試験片とした。
【0042】得られたシートの両面に導電銀ペーストを
塗布し、誘電率および誘電正接を日本工業規格(JIS
C6481)に準拠して測定(以下、同じ)したとこ
ろ、誘電率は2.8、誘電正接は0.012であった。
【0043】[例2(比較例)]微小中空ガラス球状体
を使用しなかったこと以外は、例1と同様にしてシート
状成形体を得た。得られた成形体の誘電率は3.2、誘
電正接は0.014であった。
【0044】[例3(実施例)]テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体
(旭硝子社製、商品名アフロンPFA P−62X)1
00質量部に、例1の微小中空ガラス球状体からなるフ
ィラー15質量部を添加し、同方向二軸押出機を使用
し、シリンダー温度350℃、圧力100MPaの条件
で、ペレットを作成した。さらに、このペレットを37
0℃、0.5MNの荷重で20cm角、1mm厚のシー
トに圧縮成形し、両面をアルミニウム蒸着(厚み0.1
μm)した。このシート状成形体の誘電率は1.6、誘
電正接は0.0002であった。
【0045】[例4(比較例)]微小中空ガラス球状体
を使用しなかったこと以外は、例3と同様にして20c
m角、1mm厚の両面アルミニウム蒸着したシート状成
形体を得た。得られたシート状成形体の誘電率は2.
1、誘電正接は0.0003であった。
【0046】[例5(実施例)]二酸化ケイ素17.5
g、炭酸カルシウム4.5g、ホウ砂7.8g、第二リ
ン酸カルシウム1.0g、硫酸ナトリウム0.6g、炭
酸カリウム0.4g、分散剤(花王社製、商品名ホモゲ
ノールL−1820)1.6gを混合しガラス調合原料
を作成し、これをボールミルを使用して湿式粉砕しガラ
ス調合原料のスラリーを得た。使用したボールミルは内
容積500cm3の卓上式ボールミルで、ボールは10
〜15mmφのアルミナ製のものを約250cm3程度
入れ使用した。その中に、前記ガラス調合原料と灯油1
50gを入れ、回転数100rpmで、8時間湿式粉砕
しガラス調合原料のスラリーを得た。
【0047】得られたガラス調合原料のスラリーを二流
体ノズルにて噴霧させ、火炎を近づけることで着火し噴
霧燃焼を行い、ガラス化とともに微小中空ガラス球状体
を製造した。得られた微小中空ガラス球状体は、バグフ
ィルタにて回収後、水に混合し遠心分離することで水浮
上品のみをスラリーとして回収し、これを減圧濾過器で
固形物を分離した後120℃で静置乾燥して、水浮上粒
子を得た。水浮上粒子の形状を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、いずれも真球状であった。これらの粒子
は、X線回折測定の結果、ガラス質であることが確認さ
れた。
【0048】ついで、該水浮上粒子をポリエステル製2
4μmの網をセットした例1と同じターボスクリーナー
で分級し、ふるい下品を回収した。ふるい下品の粒度を
例1と同じレーザー散乱式粒度測定装置で測定したとこ
ろ、d50は10.5μmであり、体積基準ふるい上積算
分布において、d10は16.2μmであり、d90は6.
5μmで粒度勾配は0.92であった。また例1と同じ
乾式自動密度計で測定した粒子密度は0.38g/cm
3であった。また、静水圧による体積基準での10%体
積減少時の破壊強度は40MPaであった。
【0049】エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名エ
ピコート1001、エポキシ当量480)100質量部
にジシアンジアミド3質量部、硬化剤として2−エチル
−4−メチルイミダゾール0.2質量部溶解したもの
に、予めペルヒドロポリシラザンで処理を行いさらにシ
ランカップリング剤で表面処理を行なった上記微小中空
ガラス球状体からなるフィラーを40質量部配合して樹
脂組成物を得た。この樹脂組成物を坪量70g/m2
ガラス繊維織布(旭シュエーベル社製)に含浸、乾燥さ
せ樹脂量59質量%のシート状に成形したプリプレグを
得た。
【0050】このプリプレグ11枚を重ね合わせ、その
上下に銅箔(厚み35μm)を重ね、温度170℃、圧
力8MPaで90分間積層成形し、板厚1.6mmの銅
張り積層板を得た。得られた積層板の誘電率は3.6、
誘電正接は0.013であった。
【0051】[例6(比較例)]微小中空ガラス球状体
を使用しなかったこと以外は、例5と同様にして樹脂組
成物、プリプレグを得、さらに銅張り積層板を得た。得
られた積層板の誘電率は4.9、誘電正接は0.026
であった。
【0052】
【発明の効果】本発明のシート状成形体および積層体
は、低誘電率化および低誘電正接化可能な、特定の粒
径、粒度分布および密度を有する微小中空状の球状体か
らなるフィラーを特定量配合した樹脂組成物からなるも
ので、厚みが規制される優れた高周波特性を必要とする
高速、高周波回路などの用途に極めて好適に使用でき
る。また、本発明のシート状成形体および積層体は、電
子・電気部品、半導体分野等の絶縁材料、樹脂封止用材
料、積層板用等の分野でも好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/10 H01L 23/10 A Fターム(参考) 4F071 AA42 AB28 AE17 AF40 AH12 BB01 BC07 4F100 AG00A AG00H AK01A AR00A AT00B BA01 BA02 CA23A DE04A DE04H DJ00A EJ82A GB41 JA13A JA13H JA20A JA20H JG05 YY00A 4J002 BB031 BB101 BB121 BD041 BD101 BD151 BD161 BE041 BF021 BG001 BN151 CG001 CL001 CM041 DL006 FA096 FD016 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最大粒子径が50μm以下、粒子密度が
    0.5g/cm3以下であり、かつ(d10−d90)/d
    50で示す粒度勾配が2.0以下、d50が20μm以下で
    ある微小中空ガラス球状体からなるフィラーを、樹脂と
    の合量中に5〜60質量%配合した樹脂組成物を成形し
    てなるシート状成形体。ただし、d10、d50、d90は、
    レーザー散乱式粒度測定装置を使用して測定した体積基
    準ふるい上積算分布の値がそれぞれ10%、50%、9
    0%となる粒子径である。
  2. 【請求項2】最大粒子径が50μm以下、粒子密度が
    0.5g/cm3以下であり、かつ(d10−d90)/d
    50で示す粒度勾配が2.0以下、d50が20μm以下で
    ある微小中空ガラス球状体からなるフィラーを、樹脂と
    の合量中に5〜60質量%配合した樹脂組成物を多孔性
    基材に含浸してなるシート状成形体。ただし、d10、d
    50、d90は、レーザー散乱式粒度測定装置を使用して測
    定した体積基準ふるい上積算分布の値がそれぞれ10
    %、50%、90%となる粒子径である。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のシート状成形体
    を基板に積層してなる積層体。
  4. 【請求項4】請求項1もしくは2に記載のシート状成形
    体または請求項3に記載の積層体の誘電率が、前記フィ
    ラーを配合しないシート状成形体または積層体の誘電率
    と比較して、90%以下となっている高周波特性を有す
    る成形体または積層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002120A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Nippon Polyester Co Ltd アンチブロッキング板材又はフィルム
WO2015046256A1 (ja) * 2013-09-27 2015-04-02 旭硝子株式会社 樹脂組成物、その製造方法及びその使用

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JP2006002120A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Nippon Polyester Co Ltd アンチブロッキング板材又はフィルム
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