JP2001181203A - 安定性が改良されたポリペプチド組成物 - Google Patents

安定性が改良されたポリペプチド組成物

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JP2001181203A JP37720899A JP37720899A JP2001181203A JP 2001181203 A JP2001181203 A JP 2001181203A JP 37720899 A JP37720899 A JP 37720899A JP 37720899 A JP37720899 A JP 37720899A JP 2001181203 A JP2001181203 A JP 2001181203A
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マイケル・アレン・ドビンズ
Michael Rosario Defelippis
マイケル・ロザリオ・デフェリッピス
Alby David Sharknas
オールビー・デイビッド・シャークナス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリペプチドとグリセリンを含む水性非経口
医薬組成物の化学安定性を改良する手段、およびそれに
より得られる該組成物を提供する。 【解決手段】 市販グリセリン中の反応性アルデヒドを
同定し、それを減少させる手段、およびグリセリン中の
反応性アルデヒドをアッセイするための好都合な手段を
提供し、ポリペプチドとグリセリンを含む組成物の化学
安定性を証明する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】1.発明の属する分野。本発明は
ヒト医学の分野に関する。詳細には、本発明は糖尿病お
よび高血糖症を含む種々の疾病を治療するための医薬組
成物の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】2.関連技術の説明。ヒトおよび他の哺
乳動物における疾病の治療には多くのポリペプチド医薬
組成物が利用されている。ポリペプチド薬は、経口供給
後の分解性が高いため、一般的には非経口経路により供
給しなければならない。これら経路の主なものには、皮
下投与、筋肉内投与、静脈内投与、およびポンプ投与が
ある。ポリペプチド薬生成物は、慣例的に、溶液剤、懸
濁剤、または凍結乾燥生成物として薬局、病院、および
患者に供給される。液体の形の各ポリペプチド薬製剤に
は、治療法、患者の便利さ、患者の安全性、および規制
ガイドラインにより決定される、一定の長さの期間、あ
る最小限の化学的および物理的安定性が必要である。
【0003】痛みや考えられる組織損傷を避けるため、
液体ポリペプチド薬組成物は、投与部位もしくはその周
辺部位の体液と近い張性もしくはモル浸透圧濃度となる
よう設計される。この目的には、グリセリン、ブドウ
糖、マンニトール、乳糖、および塩化ナトリウムのよう
な塩などの賦形剤が用いられることが多い。等張性剤の
ようなグリセリンを用いるポリペプチド薬生成物の例に
は、活性物質としてヒトインスリン、インスリンリスプ
ロ、インスリンアスパート、グルカゴン、およびヒト成
長ホルモンを含有するものが含まれる。グリセリンも、
安定化剤、湿潤剤、乳化剤、溶媒、充填物質、抗酸化
剤、キレート化剤、および保存剤として医薬組成物に用
いられてきた[Spiegel,A.J.ら、J.Pharm.Sci.52:917-9
27(1963); Wang,Y-C.J.ら、J.Parenteral Drug Assoc.3
4:452-462(1980); Remington's Pharmaceutical Scienc
es, Mack Publishing Company, 第18版、1316頁(1990);
Li,S.ら, J.Pharm.Sci.85:868-872(1996); Sieger,G.
M.ら、米国特許第4016273号(1977年4月5日発行); Hein
z,D.N., WIPO公開公報WO98/29131(1998年7月9日)]。
【0004】あるポリペプチド製剤では、物理的不安定
性のため、等張性にするのに塩を用いることができない
が、この問題はグリセリンを用いることで解決すること
が多い。しかしながら、グリセリンは ポリペプチド生
成物の化学的不安定性に関与することが知られている。
特に、アルデヒドのようなグリセリンに存在する不純物
がポリペプチドの二量体およびポリマーを生じる共有結
合的架橋反応を開始させると考えられている(例えば、
Bello,J.ら、Arch.Biochem.Biophys.172:608-610(1976)
参照)。インスリン生成物では、そのような二量体およ
びポリマーはRobbins,D.C.ら[Diabetes 36:838-841(198
7)]; Robbins,D.C.ら[Diabetes 36:147-151(1987)];お
よびRatner,R.E.ら[Diabetes 39:728-732(1990)]に記載
のごとく抗原性および皮膚アレルギーと結びついてい
る。Brange,J.ら[Pharm.Res.9:727-734(1992)] は、こ
れらアレルギー反応を避けるには共有結合インスリン二
量体およびポリマーをできるだけ少なくすべきであると
結論づけたが、これらの目標を達成するための方法は開
示も示唆もされていない。
【0005】グリセリン中のアルデヒドは、Mohr,J.ら
[カナダ特許出願第2242591号、1998年7月13日]に記載の
ごとく自己触媒もしくは加熱酸化により形成される。Zi
els,N.W.[J.Amer.Oil Chemist's Soc.33:556-565(195
6)]が報告しているように、グリセリンを商業的に製造
し、精製するのに用いる方法は、出発物質に関わらずグ
リセリンの最終純度に大きく影響する。グリセリンは、
動物脂肪、植物、発酵、より小さい有機分子およびプロ
ピレンからの化学合成を含む多くの供給源から製造され
てきた。これらおよび他の供給源からグリセリンを製造
する方法は当業者によく知られている。Rohde,T.D.ら[T
rans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs,33:316-318(1987)]
は、動物脂肪および不特定の合成供給源から誘導された
約80%グリセリンを含む可移植ポンプに用いるための2
つのインスリン製剤を示した。この2つの製剤も、イン
スリン製剤における架橋反応の程度に影響を与える重要
な因子であるpHが異なった。糖尿病患者の治療におい
て、長いフローサイクルや低インスリンの使用は、pH
の違いや合成グリセリンの余分な精製に関与し、グリセ
リンの供給源それ自身には関与しない化学安定性の改良
を示唆した。グリセルアルデヒドは、インスリン製剤に
おいて高分子量ポリマーの形成をもたらし得るグリセロ
ール中の潜在的不純物として説明された[Brange J.ら、
Pharm.Res.9:727-734(1992); Brange,J., Stability of
Insulin, Kluwer Academic Publishers, Boston,23-36
頁(1994),Brange,J.ら、Hormone Drugs,US Pharmacopoe
ial Convention発行、 Rockville,Maryland,95-105(198
2)]。化学安定性を改良するためにグリセルアルデヒド
を定量もしくは除去する方法は開示されていなかった。
【0006】グリセリン含有製剤におけるポリペプチド
架橋問題に対する解決を妨げている1つの問題は、架橋
ポリペプチド不純物の形成をもたらすグリセリン中のア
ルデヒド不純物を測定するための簡単で、信頼できる方
法がないことである。ホルムアルデヒドは、反応性イミ
ン結合によりポリペプチドの架橋を開始することができ
る[Schwendeman,S.P.ら、PNAS 92:11234-11238(1995)、
およびFraenkel-Conrat,H.ら、JACS 70:2673-2684(194
8)]。グリセルアルデヒドおよびグリコールアルデヒド
はポリペプチド溶液中のアミノ基と反応してAcharya,A.
S.ら[PNAS 80:3590-3594(1983)、およびAcharya,A.S.ら
[Biochemistry 27:4522-4629(1988)]に記載のごとく架
橋ポリペプチドを形成する。該文献には多くのアルデヒ
ドアッセイ法があるが、医薬製剤中のポリペプチド架橋
を予測するものとしてグリセリンの反応性アルデヒド含
量を測定するのに応用するには問題がある。European P
harmacopoeia Supplement 2000[Council of Europe, St
rasbourg,France,747-751(1999)]は、そのグリセロール
に関する研究論文中でアルデヒド試験について記載して
いる。この試験にはパラロサニリン・塩酸塩試薬とコン
パレーターとして5ppmホルムアルデヒド標準溶液を使用
する。British Pharmacopoeia 1999[British Pharmacop
oeia Commission, London, pp.710-711(1999)]は、パラ
ロサニリン・塩酸塩と5ppmのホルムアルデヒドを含む標
準溶液との視覚的比較を用いてグリセリン中のアルデヒ
ドと還元物質に対する試験を開示している。「Purpal
d」試薬、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-
トリアゾール[Dickinson,R.G.ら、Chem.Commun.p.1719
(1970)]は、アルデヒドと反応し、空気、グリコール、
ワクチン、樹脂、およびプラスチック製品中のホルムア
ルデヒドの測定や肝組織切片や果物中のアセトアルデヒ
ドの検出に用いられてきた[Aldrich Technical Informa
tion Bulletin No.AL-145,Aldrich Chemical Co.]。ホ
ルムアルデヒドとアセチルアセトンの反応による着色生
成物の形成はNash,T.[Biochem.J.55:416-425(1953)]に
より報告された。この試薬は、アセトアルデヒドからの
干渉がモルベースでわずか1%であるから、ホルムアルデ
ヒドにかなり特異的であるようであった。
【0007】International Pharmacopoeia[第3版、WH
O,4:176-181(1994)]のグリセロールに関する研究論文
は、フクシン/亜硫酸溶液を用いるアルデヒドと還元物
質に対する試験を開示した。色強度を過マンガン酸カリ
ウムの0.2M溶液と比較した。「Discover the Origins o
f Some of the World's Most Consistently Pure Produ
cts; Synthetic Glycerine Products」(Dow Chemical
Company,Freeport,TX,USA,pp.10-11)という題のプロモ
ーション用小冊子において、UV分光学を用いてOPTIM
(登録商標)グリセリン99.7% USPと純度がそれより低
いグリセリン試料を比較している。アルデヒドまたは他
の有機不純物のレベルの定量的評価については示されて
いない。グリセルアルデヒドは3-メチル-2-ベンゾチア
ゾリノンヒドラゾン・塩酸塩(MBTH)と反応する。
Sawicki,E.ら[Anal.Chem.33:93-96](1961)]において、
この試薬はDL-グリセルアルデヒドと反応することが示
されたが、自己排気蒸気および汚染空気中のホルムアル
デヒドの測定のみが開示された。Paz,M.A.ら、[Arch.Bi
ochem.Biophys.109:548-559(1965)]は、L-グリセルアル
デヒドがMBTHと反応することを示し、生化学的反応
時にケトン、ケト酸、および種々のタイプのピラノース
炭化水素の存在下で微量のアルデヒドを検出するための
アッセイを開示している。Eberhardt,M.A.ら[Marine Ch
emistry 17:19-212(1985)]は、海水および細菌培養中の
アルデヒド、特にホルムアルデヒドを測定するためのM
BTHの用途を開示した。MBTHは、標準としてグル
タールアルデヒドもしくは1,5-ペンタンジアール[Gluta
raldehyde Test Kit Model GT-1,Hach(Loveland,CO,US
A)]を用いる市販のアッセイに利用される。この試験で
は1mg/Lまでのグルタールアルデヒドレベルを測定する
ために色相環を用いる。
【0008】Bailey,B.W.ら[Anal.Chem.43:782-784(197
1)]は、試薬p-フェニレンジアミンはホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、およびベンズアルデヒドと反応
したが、ホルムアルデヒドに対する選択性が高かったこ
とを示した。該試薬は空気中の低濃度のホルムアルデヒ
ドを測定するのに使用された。まとめると、ポリペプチ
ド組成物を製造する際に使用するために考慮される、グ
リセリンロット中に存在する反応性アルデヒドレベルを
測定するための簡単で、信頼できるアッセイは先行文献
には記載されていない。さらに、グリセリン中の反応性
アルデヒドレベルの低下させて医薬ポリペプチド組成物
の化学安定性を改良する方法は開示されていなかった。
Bello,J.[Biochemistry 8:4535-4541(1969)]およびBell
o,J.ら[Arch.Biochem.Biophys.172:608-610(1976)]は、
グリセリンを精製することによりグリセリン含有タンパ
ク質溶液中の架橋を防ぐことについて検討した。グリセ
リンを最初に還元剤の水素化ホウ素ナトリウムで処理し
た。還元工程に次いでグリセリンをMB-3樹脂で処理して
無機塩を除去し、最後に減圧下で蒸留した。この処理の
前または後の反応性アルデヒドレベルは示されていな
い。このグリセリン精製において達成される架橋の低下
は短命であった。グリセリンの精製は、Riddick,J.A.ら
[Techniques of Chemistry II: OrganicSolvents,Physi
cal Properties and Methods of Purification, Wiley-
Interscience,New York,p.689-690(1970)]、Diaz,Z.ら
[米国特許第4683347号、1987年7月28日発行]、Stromqui
st,D.M.ら[Ind.Eng.Chem.43:1065-1070(1951)]、および
Ziels(先に引用)にも記載されていたが、グリセルアル
デヒドのようなアルデヒドの除去は開示されていなかっ
た。Washabaugh,M.W.ら[Anal.Biochem.134:144-152(198
3)は、水素化ホウ素ナトリウムで還元し、水で4倍に希
釈し、該水性溶液を異なる樹脂を含有する4つのカラム
に通すことを含む、エチレングリコール中のアルデヒド
を低下させるための煩雑な手順を記載した。該溶液中の
アルデヒドは、MBTHおよびグリコールアルデヒド標
準を用いて定量したところ、86%減少していた。
【0009】Mohr,J.ら(先に引用)は、該溶液と還元
リン化合物を接触させることによるエチレングリコール
の精製について記載した。MBTHを用いて測定したア
ルデヒドレベルは低下していた。この方法がグリセリン
中の反応性アルデヒド含量を低下させてポリペプチド組
成物の化学安定性を改良するのに有用であることについ
ては示唆されていない。まとめると、非経口投与用の、
信頼できる安定性を有するグリセリン含有ポリペプチド
組成物を製造するという目標は3つの問題により妨げら
れてきた。第一に、架橋ポリペプチド不純物をもたらす
グリセリン中に存在するアルデヒドレベルを測定するた
めの簡単で正確なアッセイ法がなかった。第二に、ポリ
ペプチド架橋反応を最小限にするのにある供給源が他の
供給源よりよいかどうかを決定するため、種々の供給源
から製造されたグリセリンの市販のロットを評価すべき
ことは先行技術には開示も示唆もされていない。第三
に、水性、医薬ポリペプチド組成物中のアルデヒド誘導
架橋反応を排除または最小限にするためにグリセリンの
反応性アルデヒド含量を低下させる好都合で効率的な方
法がなかった。本発明者らは、驚くべきことに、グリセ
リン試料中に存在する反応性アルデヒドのレベルを正確
に測定するのに効果的に用いることができるグリセルア
ルデヒドを標準に用いる新規MBTH試験を発見した。
本発明者らは、前記アッセイにより測定したところ、グ
リセリン含有ポリペプチド製剤中の架橋レベルが該製剤
を製造するのに用いるグリセリン中の反応性アルデヒド
のレベルと強く相関することも発見した。
【0010】最も驚くべきことに、本発明者らは、本明
細書に記載のMBTH試験を用いると、非動物供給源か
ら製造された市販グリセリンロットは動物由来のグリセ
リンより低いレベルの反応性アルデヒドを含有すること
を発見した。これは、植物およびプロピレン由来グリセ
リンで証明された。プロピレン由来のグリセリンの反応
性アルデヒドレベルは特に低かった。さらに、本発明者
らは、生(き)グリセリン試料中の反応性アルデヒドレ
ベルを低下させ、化学安定性が改良されたポリペプチド
組成物を製造することができる簡単な方法を発見した。
この方法は、還元剤の使用を回避し、グリセリンの希釈
を回避し、ポリペプチド含有製剤に精製グリセリンを直
接使用するのに適合する。これら発見を組み合わせて、
既知のポリペプチド組成物に比べて化学安定性が改良さ
れた、非経口投与のための、新規グリセリン含有ポリペ
プチド組成物調製物が提供された。この安定化ポリペプ
チド組成物を疾病または病状の治療に用いることによ
り、患者に対する安全性が増大する。したがって、本発
明のある局面は、水性非経口ポリペプチド含有医薬組成
物の化学安定性を改良するための非動物性グリセリンの
用途を提供する。改良された化学安定性は、該組成物の
製造に用いるグリセリン中に存在する反応性アルデヒド
のレベルが低いことにより、形成された共有結合架橋ポ
リペプチドのレベルの低下をもたらす。より具体的に
は、本発明は、水性非経口ポリペプチド含有組成物の化
学安定性を改良するための植物またはプロピレン由来の
グリセリンの用途を提供する。本発明は、水性非経口ポ
リペプチド含有医薬組成物の化学安定性を改良するため
の、グリセルアルデヒドを標準に用いたアッセイにより
測定したアルデヒド含有量が8ppm以下である、あらゆる
供給源由来のグリセリンの用途を提供する。本発明は、
非動物供給源由来のグリセリンとポリペプチドを含む、
水性非経口医薬組成物も提供する。
【0011】本発明は、グリセルアルデヒドを標準に用
いたアッセイにより測定したアルデヒド含有量が8ppm以
下である、あらゆる供給源由来のグリセリンおよびポリ
ペプチドを含む水性非経口医薬組成物も提供する。より
詳細には、本発明の組成物は透明な溶液の形かまたはポ
リペプチドが組成物中で部分的もしくは完全に不溶性の
ままである懸濁液であってよい。該組成物は、非経口投
与される前に固体のポリペプチドがグリセリンを含む別
の希釈溶液と混合される、2パックタイプに製造された
生成物から形成することもできよう。本発明の医薬組成
物中のポリペプチドは、化学的に合成されるか、または
組換えDNA技術を用いて生合成的に生成される。本発
明には、哺乳動物の疾病を治療するための医薬として
の、または医薬を製造するのに用いるための本発明の組
成物の用途が含まれる。図1は、MBTH試験および改
良10X−GST試験により測定した非動物由来グリセ
リンの市販ロットの分析値間の直線関係(R2=0.9
0)を示す。用語「グリセリン」は、化学薬品のプロパ
ン-1,2,3-トリオール、CAS登録番号[56-81-5]、および
名前「グリセリン」またはこの分子の等価もしくは同義
の名前を用いるすべての溶液もしくは生成物を表す。グ
リセリンの実験式はC(3)H(8)O(3)であり、構造OH−C
2−CH(OH)−CH2−OHを有する。文献によっ
ては、用語「グリセロール」は化合物を示すのに用いら
れ、「グリセリン(glycerin)」は95%またはそれ以上の
グリセロールを含む精製された市販製品を表し、「glyc
erine(グリセリン)」は主要成分がグリセロールであ
る製品の商品名として用いられる。文献によっては、こ
れらの用語は互換性に用いられる。本明細書では、用語
「グリセリン」は、化学薬品のプロパン-1,2,3-トリオ
ール、および該化学薬品が95容量%またはそれ以上存在
する全ての溶液および表示を表す。「グリセリン」の水
または他の溶媒もしくは化合物による希釈は本発明の範
囲内であるが、グリセリン濃度が95容量%以下に低下す
ると、その希釈溶液自体はもはや「グリセリン」とは呼
ばない。本発明のポリペプチド組成物のグリセリン含量
は500mg/mL以下である。
【0012】グリセリンは、1779年にCarl W.Scheeleに
より最初に発見された(オリーブ油をリサージで加熱し
て生成した)。そのとき以来、グリセリンを生成するの
に物質の少なくとも5つの異なる供給源が用いられてき
た。グリセリンの1つの供給源は動物である。ウシやヒ
ツジのような動物由来のタローまたは脂肪をエステル化
し、次いで、石鹸製造の副産物としてグリセリンが生じ
る工程において鹸化する。動物脂肪はまた加水分解さ
れ、直接鹸化されてグリセリンを生じる。グリセリンの
第二の市販の供給源は植物である。一般的には、ココナ
ッツ、ヤシ、カノーラ、ダイズ、または他の植物由来の
油を用い、動物脂肪に用いるのと似た方法によりグリセ
リンを生成する。グリセリンの第三の供給源は発酵であ
る。グリセリンは、Bulthuis,B.A.ら[WIPO公開公報第WO
98/21340、1998年5月22日]およびNair,R.V.ら[WIPO公開
公報第WO98/28480、1999年6月10日]に記載されているよ
うな微生物を用い、ビート糖液のような天然の供給源か
ら、または組換えDNA技術を用いて発酵させる。グリ
セリンの第四の供給源は、炭素数3以下の有機分子を用
いて出発する化学合成である。そのような1つの手順は
メタノールを用いるものであり、Owsley,D.C.ら[米国特
許第4076758号、1978年2月28日発行]に記載されてい
る。グリセリンの第五の供給源は、石油製品から得られ
るプロピレンである。プロピレンから生成されるグリセ
リンは約1948年の始めに利用可能になった。Owsley,D.
C.ら(前記)、Kirk-Othmer[Encyclopedia of Chemical
Technlogy 12:681-694(1994)]およびRemington's Phar
maceutical Sciences[Mack Publishing Company, 第18
版、p.1316(1990)に記載のものを含む、プロピレンを
グリセリンに変換する多くの合成経路が利用可能であ
る。ある合成経路において、例えばプロピレンを塩素化
して塩化アリルとし、次いで、塩化水素酸で変換してジ
クロロヒドリンを形成し、水酸化カルシウムと反応させ
てエピクロロヒドリンを生成し、最後に加水分解してグ
リセリンを得る。グリセリンは、種々の供給源、供給業
者、および代理店から市販されている[Chemical Week,S
pecial Issue Buyer'Guide,159:321-322(1997),およびC
hemicalIndustry Europe 93; The Leading Guide for T
oday's European Chemical Industry(1993)参照]。
【0013】植物由来のグリセリン生成物には、Pricer
ine 9091[Unichema North AmericaChicago,IL,USA]、Ko
sher Superol Glycerine[Proctor and Gamble Chemical
s,Cincinnati,OH,USA]、グリセリン−99.7%[Chemical A
ssociates of Illinois, Inc.,Copley,OH,USA]、Emery
(登録商標)グリセリン−99.7% Kosher[Henkel Corpor
ation,Cincinnati,OH,USA]、およびグリセロール・無水
超純粋[EM Industries, Hawthorne,NY, USA]が含まれ
る。プロピレンから誘導されるグリセリン生成物には、
Optim(登録商標)99.7% USP[Dow Chemical Company, F
reeport TX,USA]、グリセリン、合成物[Solvay Fluorid
es,Inc,Greenwich,CT,USA]、およびOptim(登録商標)
グリセリン 99.7%、[Dow Chemical Company,Stade,Germ
any]が含まれる。プロピレン由来のグリセリンは、ポッ
プコーン粒をコーティングするための風味助長剤として
使用され[Schellhaass,S.R.,米国特許第5750166号、199
8年5月12日発行]、外科用ローション剤に低濃度で用い
られる[Scholz,M.T.ら、米国特許第5951993号、1999年9
月14日発行]。プロピレン由来のグリセリンは食物や医
薬製剤にも用いられてきた[FoodEngineering,国際版(Ch
ilton Company),p.14(1997)]。用語「非動物由来グリセ
リン」は、製造用供給物の最初の供給源が脂肪や動物の
他のいかなる大量成分ではないグリセリンを表す。非動
物由来グリセリンを製造するための供給源には、植物、
プロピレン、発酵物、およびより小さい有機分子からの
化学合成物が含まれる。本発明は、ポリペプチドとグリ
セリンを含む、水性非経口医薬組成物であって、該組成
物中のグリセリン含量が500mg/mL以下である該組成物を
提供する。好ましくは医薬組成物のグリセリン濃度は約
1mg/mL〜約300mg/mLである。より好ましくは、該組成
物のグリセリン濃度は約3mg/mL〜約100mg/mLである。よ
り好ましくは、該水性医薬ポリペプチド組成物のグリセ
リン濃度は約10mg/mL〜約30mg/mLである。より好ましく
は、該組成物のグリセリン濃度は約20mg/mL〜約25mg/mL
である。より好ましくは、該組成物のグリセリン濃度は
約22mg/mLである。別の該組成物のグリセリン濃度の好
ましい範囲は、約15mg/mL〜約18mg/mLである。より好ま
しくは、該組成物のグリセリン濃度は約16mg/mLであ
る。用語「アルデヒド」は、CHOラジカルまたは官能基
を含む有機化合物を表す。用語「反応性アルデヒド」
は、a)グリセリンの市販ロット中に不純物として存在
し、b)水性医薬組成物中のポリペプチドに存在するア
ミノ基と反応して共有結合ポリペプチド二量体および/
またはポリマーを形成するアルデヒドを表す。
【0014】用語「MBTH」は化学薬品の3−メチル
−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン・塩酸塩(CAS
登録番号[14448-67-])を表す。用語「MBTH試
験」は、グリセルアルデヒドを標準に用いてグリセリン
試料中の反応性アルデヒド含量を測定する方法を表し、
方法1に詳述している。略語「ppm」は、重量に基づ
く100万分率を表す。本発明の目的において、ppm
は、グリセルアルデヒドを標準に用い、より詳細にはM
BTH試験により測定したグリセリン試料中に存在する
反応性アルデヒドの100万分率を表す。より詳細には、
ppmはグリセリン重量に対する反応性アルデヒドの重
量を表す。例えば、グリセリンの特定ロットのMBTH
試験値が2ppmであるときは、該ロットがグリセリンの1
00万分の2のアルデヒドを含むことを意味する。これ
は、2ug/gmもしくは2mg/kgの生(き)グリセリン濃度と
等しい。グリセリン試料を別の溶媒で希釈した後に分析
する場合は、試験のppm値に希釈分を掛けて生グリセ
リン100万あたりの反応性アルデヒドに反映させる必要
がある。本発明の1つの態様は、非動物由来グリセリン
を含む水性医薬ポリペプチド組成物を提供する。好まし
くは、ポリペプチド組成物を製造するのに使用するグリ
セリンは、それを組成物に導入する時点でのグリセルア
ルデヒドを標準に用いた反応性アルデヒド含量が33ppm
またはそれ以下である。より好ましくは、グリセリンは
それを組成物に導入する時点での反応性アルデヒド値が
24ppmまたはそれ以下である。より好ましくは、該グリ
セリンの反応性アルデヒド含量は15ppmまたはそれ以下
である。より好ましくは、該グリセリンの反応性アルデ
ヒド含量は8ppmまたはそれ以下である。最も好ましく
は、本発明のポリペプチド組成物に用いるグリセリンの
反応性アルデヒド含量は3ppmまたはそれ以下である。好
ましくは、本発明のポリペプチド組成物に用いられる生
グリセリンの反応性アルデヒド含量は、グリセルアルデ
ヒドを標準に用い、本明細書に記載のMBTH試験によ
り測定される。用語「10X−GST」は、インスリン
の共有結合二量体およびポリマーの形成を促進するよう
に設計された可溶性インスリン調製物中に正常より約1
0倍多いグリセリンを混合したグリセリンストレス試験
を表す。この試験は以下の方法2に詳述している。
【0015】用語「Mod.10X−GST」は、イン
スリンの共有結合二量体およびポリマーの形成を促進す
るように設計されたインスリン懸濁組成物中に正常より
約10倍多いグリセリンを混合したグリセリンストレス
試験を表す。この試験は以下の方法3に詳述している。
用語「ポリペプチド」は、化学合成および/または組換
えDNA技術を用いる生合成により製造されたペプチド
およびタンパク質を表す。「ペプチド」は、一般的に、
ペプチド結合により繋がった3〜約100個のアミノ酸鎖
を表す。「タンパク質」は、一般的に、ペプチド結合に
より繋がった約100個以上のアミノ酸鎖を表す。ポリペ
プチドは、ジスルフィド結合のような共有結合や非共有
結合的相互作用により共に繋がった1本またはそれ以上
のアミノ酸鎖を含んでいてよい。用語「ペプチド」およ
び「タンパク質」は互換的に用いることがある。本発明
の組成物に組み込まれたポリペプチドは、天然のL-アミ
ノ酸や、D-アミノ酸のような非天然アミノ酸を含んでい
てよい。ポリペプチドのアミノ酸配列は動物もしくは他
の生物の天然のポリペプチドと同じであるか、または該
配列が種々の点で変化している類似体であってよい。ポ
リペプチド類似体では、1またはそれ以上のアミノ酸
が、該ポリペプチドのN-末端、C-末端、もしくは内部の
部分に加わるか、欠失するか、または他のアミノ酸で置
換されていてよい。ポリペプチド類似体は当該分野でよ
く知られている。本発明の組成物に組み込まれるポリペ
プチドは、ポリペプチドのアミノ酸側鎖、N-末端アミノ
基、またはC-末端カルボキシル基に有機化学基が付着す
ることにより修飾されていてもよい。そのような修飾物
は、本明細書ではポリペプチドの「誘導体」と呼ぶ。ポ
リペプチド誘導体の例には、アミノ酸のアスパラギンま
たはトレオニンの側鎖に天然の多糖類が結合しているグ
リコペプチドが含まれる。他の誘導体化基にはポリエチ
レングリコールが含まれる。ポリペプチド誘導体は当該
分野でよく知られている。本発明の組成物に取り込まれ
るポリペプチドは、医薬的に許容される塩の形を含む種
々の形で存在していてよい。ポリペプチドの医薬的に許
容される塩は、ポリペプチド中のあらゆる1またはそれ
以上の荷電基と、あらゆる1またはそれ以上の医薬的に
許容される無毒性カチオンもしくはアニオンとの間に形
成される塩を意味する。有機および無機塩には、例え
ば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、トリ
ス、カルシウム塩、亜鉛塩、もしくはマグネシウム塩、
および塩酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、フマ
ル酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、
リン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、
アスコルビン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼン
スルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、プロピオン酸
塩、炭酸塩などのような酸から調製される塩が含まれ
る。
【0016】本発明の組成物に組み込まれるポリペプチ
ドは、古典的(溶液相)法、固相法を含む化学合成法、
半合成法、または当業者に周知の他の方法により製造す
ることができよう。本発明の組成物に組み込まれるポリ
ペプチドは、組換えDNA技術を用いる生合成により製
造することもできよう。例えば、Chance,R.E.ら、米国
特許第5514646号(1996年5月7日発行)、Chance,R.E.
ら、EPO公開公報第383472号(1996年2月7日)、Brange,
J.ら、EPO公開公報第214826号(1987年3月18日)、およ
びBelagaje,R.M.ら、米国特許第5304473号(1994年4月1
9日発行)参照。rDNA技術を用い、ポリペプチドま
たはその前駆体を、細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵
母、または真菌を含むあらゆる宿主細胞を用いて生合成
することができよう。細菌、酵母、または哺乳動物細胞
を用いる生合成がより好ましい。E.coliまたは酵母を用
いる生合成が最も好ましい。哺乳動物細胞およびトラン
スジェニック動物を用いる生合成の例は、Hakola,K.[Mo
lecular and Cellular Endocrinology, 127:59-69(199
7)]に記載されている。本発明の組成物に組み込むもの
から特に除外されるポリペプチドは、動物の組織、腺、
臓器、血液、尿、または他のあらゆる大量成分から単離
することにより製造されるポリペプチドである。除外さ
れるポリペプチドの例は、ブタの膵臓から産生されるブ
タインスリンである。本発明は1またはそれ以上の遊離
アミノ基を有するあらゆるポリペプチドに適用されると
考えられる。本発明の範囲の一般性を制限することな
く、いくつかの特定のポリペプチドおよびポリペプチド
群は、読む者がよりよく解るよう命名されよう。本発明
の組成物に含まれる好ましいポリペプチド群は、組換え
ヒトインスリン、組換えブタインスリン、および組換え
ウシインスリンからなる。本発明の組成物に含まれる別
の好ましいポリペプチド群は、単量体インスリン類似体
からなる。例えば、Balschmidt,P.ら、米国特許第51643
66号(1992年11月17日発行)、Brange,J.ら、米国特許
第5618913号(1997年4月8日発行)、Chance,R.E.ら、米
国特許第5514646号(1996年5月7日発行)、Ertl, J.
ら、EPO公開公報第885961号(1998年12月23日)参照。B
28位のアミノ酸残基がAsp、Lys、Ile、Le
u、Val、またはAlaであり、B29位のアミノ酸残
基がLysまたはProである単量体インスリン類似体
が特に好ましい。最も好ましい単量体インスリン類似体
は、Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン、Asp
(B28)-ヒトインスリン、およびLys(B3)Ile(B28)-
ヒトインスリンである。
【0017】本発明の組成物に含まれる別の好ましいポ
リペプチド群は、インスリン類似体の等電点が約7.0〜
約8.0であるインスリン類似体からなる。この類似体をp
I-シフトインスリン類似体と呼ぶ。最も好ましいpI-シ
フトインスリン類似体群は、Arg(B31)Arg(B32)-
ヒトインスリンおよびGly(A21)Arg(B31)Arg(B
32)-ヒトインスリンからなる。本発明の組成物中に含ま
れる別の好ましいポリペプチド群は、インスリン誘導体
およびインスリン類似体誘導体からなる。本発明の組成
物に含まれるさらに好ましいポリペプチド群は、インス
リンのアシル化誘導体およびインスリン類似体のアシル
化誘導体である。より好ましいポリペプチド群は、アシ
ル基が直鎖、飽和脂肪酸からなるインスリンのアシル化
誘導体およびインスリン類似体のアシル化誘導体であ
る。直鎖飽和脂肪酸の例には、炭素の長さがC4、C
6、C8、C10、C12、C14、C16、およびC
18のものが含まれる。本発明の組成物に含まれる最も
好ましいポリペプチド群は、パルミトイル(C16)お
よびミリストイル(C14)直鎖脂肪酸がLys(B29)
残基のイプシロン(ε)アミノ基に結合しているパルミ
トイル-ε-Lys(B29)-ヒトインスリンおよびミリスト
イル-ε-Lys(B29)-des(B30)-ヒトインスリンからな
る。本発明の組成物に組み込まれる別の好ましいポリペ
プチド基は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP−1)、
GLP−1アナログ、GLP−1の誘導体およびGLP
−1類似体の誘導体からなる。当該分野の習慣により、
GLP−1(7−37)OHのアミノ末端は7番に割り当
てられ、カルボキシ末端は37番に割り当てられる。G
LP−1類似体および誘導体のより詳細な説明は、Hoff
mann,J.A.[WO/9929336(1999年6月17日公開)]に記載さ
れている。本発明の組成物に組み込まれるより好ましい
ポリペプチド群は、天然GLP−1(7−36)NH
2、天然GLP−1(7−37)OH、Val(8)−GL
P−1(7−37)OH、およびGly(8)−GLP−1
(7−37)OHからなる。本発明の組成物に組み込まれ
るより好ましいポリペプチド群は、レプチン、レプチン
類似体、レプチン誘導体、およびレプチン類似体の誘導
体からなる。より好ましいポリペプチド群は、グリコシ
ル化レプチン類似体からなる。天然レプチンの配列のよ
り詳細な説明およびレプチン類似体の例は、Beals,J.M.
ら、[EPO849276(1998年6月24日公開)]に記載されてい
る。
【0018】本発明の組成物に組み込まれる別の好まし
いポリペプチド群は、完全長ヒト上皮小体ホルモンPT
H(1−84)、PTH(1−38)およびPTH(1−3
4)のような断片、ならびにその類似体および誘導体か
らなる[Chan,C-M.ら、WIPO公開公報WO99/29337(1999年
6月17日)参照]。より好ましいポリペプチド群は、ヒト
PTH(1−34)およびヒトPTH(1−84)からな
る。本発明の組成物に組み込まれる別の好ましいポリペ
プチド群は、組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)ならび
にその組換え類似体および誘導体である。FSHは、Sh
omeら[J.Prot.Chem.,7:325-339(1988)]に記載のごとく
αおよびβサブユニットが非共有結合的に結合している
ヘテロ二量体糖タンパク質である。より好ましいポリペ
プチド群は、組換えヒトFSH、および天然にコードさ
れたβサブユニットの1、2、3またはそれ以上のC−
末端アミノ酸残基が欠失している組換えFSH類似体な
らびにそのグリコシル化誘導体からなる。本発明の組成
物に組み込まれる別の好ましいポリペプチド群は、組換
えヒト成長ホルモン(HGH)、組換えウシ成長ホルモ
ン(BGH)、ならびにその類似体および誘導体からな
る。より好ましいポリペプチド群は組換えHGHおよび
組換えBGHである。本発明の医薬組成物中のポリペプ
チドは生物学的に活性である。この活性は、該ポリペプ
チドとレセプターおよび/または生物学的効果をもたら
す他の細胞内もしくは細胞外部位との相互作用により生
じ、in vitroまたはin vivoで証明することができよ
う。用語「水性」は、水を含む液体溶媒を表す。水性溶
媒系は水のみを含んでいるか、水に加えて1またはそれ
以上の混和性溶媒を含んでいてよく、糖や他の賦形剤の
ような溶解した溶質を含んでいてよい。
【0019】本発明で用いている用語「水性、非経口医
薬組成物」は、水分含量が少なくとも500mg/mLである非
経口投与用の医薬組成物を意味する。用語「医薬
(の)」は、疾病の治療に用いる医療物質または調製物
を含むことを意味する。本発明の医薬組成物は生物活性
を有するポリペプチドを含む。該組成物は、その医薬的
用途に適し、一致するように製造される。用語「化学安
定性」は、ポリペプチド組成物中の反応性アルデヒドに
より起きる共有結合ポリペプチド二量体およびポリマー
の相対形成速度を表す。「安定な」製剤では、該共有結
合二量体およびポリマーの形成速度が許容される程に制
御されており、該速度が時間とともに許容できない程に
増加することがない。化学安定性は、当該分野で周知の
方法により評価することができよう。サイズ排除HPL
Cで化学安定性を測定する例は、本明細書に記載の10
X−GSTおよび改良10X−GST法に包含される。
用語「非経口(の)」は、必要な患者に腸以外を通して
薬剤を供給または投与することを意味する。本発明のポ
リペプチド組成物の好ましい非経口投与経路は皮下、筋
肉内、静脈内、経皮、および心臓である。医薬用途のポ
リペプチド製剤の開発初期に、製剤に賦形剤を含有させ
るべきかを決める実験を行う。通常、製剤は、患者およ
び規制機関の安全性および安定性に関する要求にかなう
安定で有効な製品を提供するのに必要な、最小の数およ
び量の賦形剤を含むよう設計される。安定性に関する要
求には物理的安定性と化学安定性が含まれる。グリセリ
ンを用いる製剤では、アルデヒドにより生じるポリペプ
チドの共有結合による架橋により、製造された製品を正
常に貯蔵している際にその形成を最小限にしなければな
らないある種のポリマーが生じる。1例として、インス
リン溶液では、製品の冷蔵保存期間を通じて、高分子量
タンパク質のレベルを1.5%以下に維持する必要がある[U
SP 2000、United States Pharmacopeial Convention,In
c.,Rockville,MD,USA(1999)]。製造業者は、患者に対す
る製品の安定性を保証するためのこの種の保存期間の仕
様(specification)に常に適合するよう努力する。
【0020】グリセリン含有ポリペプチド組成物では、
アルデヒドで生じる共有結合による重合反応は関心が持
たれる領域である。市販のいかなるロットのグリセリン
も、適切な反応性を試験することなくヒトに用いるポリ
ペプチド製剤に組み込むことは賢明ではない。事実、市
販の供給源から得られるグリセリンのバッチ毎に、それ
を用いて製剤化したポリペプチド製品が確実に安定性の
仕様を満たすようにいくつかの方法で評価されよう。グ
リセリンの妥当性を試験するための1つの方法は実際に
医薬製品の小バッチを製造し、次いで、通常の保存条件
下で通常の有効期限の期間を通して、一般的にはHPL
Cにより、ポリマー製剤を評価する。この方法は時間が
かかり過ぎ、過度な分析手段を要するため実際的ではな
い。市販グリセリンロットの適正さを評価するよりよい
方法は、共有結合的ポリペプチドポリマーの形成速度を
加速することである。この反応は、保存温度を増加させ
るか[Brange,J., Galenics of Insulin, Springer-Ver
lag(1987)]、もしくはグリセリンレベルを正常レベル以
上に増加させるか、またはその両方により加速すること
ができよう。加速「ストレス」試験の2つの例には、下
記方法2および3に記載の10X−GST試験と改良1
0X−GST試験がある。典型的U100インスリン製
品では、インスリンは濃度3.5mg/mLまたは約600nmole/m
Lで存在する。正常なインスリン製剤にみられるグリセ
リンレベルは16mg/mLまたは約174000nmole/mLである。
グリセリンのあるロットで反応性アルデヒドのレベルが
例えば10ppmである場合は、正常インスリン製剤中の反
応性アルデヒド濃度はわずか約1.74nmole/mL、すなわ
ち、インスリンより345倍少ないであろう。このグリセ
リンレベルを10倍増加させても、反応性アルデヒドはま
だインスリンよりモル基準で34倍低いが、反応性アルデ
ヒドとインスリン分子の反応速度は増加するであろう。
方法2および方法3に記載の加速試験では、上昇した温
度(30℃)と上昇したグリセリンレベル(10倍)の両方
を用いる。適切に制御された条件下では、製造したポリ
ペプチド製剤の相対安定性は加速安定性試験により確実
に予測される。これは最終製剤に用いるすべての成分が
試験溶液中に含まれているからである。
【0021】加速安定性試験の結果から、共有結合ポリ
マー形成の相対速度は、正常保存条件下では形成速度と
相関する。この相関は、例えば、ある範囲の温度につい
てArrhenius方程式を用いるか、もしくは反応性アルデ
ヒドの各分子と2分子までのポリペプチドの提唱された
反応メカニズムに基づく定量的計算を用いるか、そして
/または製剤の相対ポリマー形成速度を比較することに
よる分析的考察に基づく。ポリペプチド組成物の安定性
に対する仕様制限を確立する方法は当業者によく知られ
ている。これらの考察から、加速試験におけるポリマー
形成の最大レベル、例えば30℃で1週間あたり1%が、
正常な有効期限条件下で十分な安定性を達成することを
高度に保証するために満たさなければならない仕様限界
として確立されよう。信頼できる結果が得られるにも関
わらず、加速製剤ロット評価法には多くの欠点がある。
第一に、特に製品化組成物を製造するのに用いる方法と
同じ方法で該医薬組成物を製造しなければならない場合
には、医薬組成物の多くの試料の製造に多大な時間がか
かる。種々の製剤各々の反応性アルデヒドと各ポリペプ
チドの反応速度は予測できないため、各ポリペプチド製
剤は独立して試験する必要がある。第二に、ポリペプチ
ド組成物の多くの試料を製造するには、貴重な物質を浪
費し、特に治療的ポリペプチド自身の浪費が多い。第三
に、架橋反応を加速することはできるが、信頼できる定
量を行うのに十分な架橋不純物を生じるのに必要な時間
が1週間またはそれ以上かかることがある。第四に、ポ
リペプチド組成物中の架橋生成物のレベルを測定するた
めのアッセイ方法は、複雑で時間がかかり、高価であ
る。典型的には、該アッセイ法には、専用カラム、オペ
レーターのための特別な訓練と、アッセイを行い、デー
タを収集し、結果を判断するのにかなり長い時間を要す
る、HPLCによるアッセイが含まれる。各グリセリン
バッチの直接分析は加速安定性試験の欠点を回避する。
本発明のある局面は、グリセリン中の反応性アルデヒド
の同一性とレベルを測定する方法を提供することであ
る。特に、新規HPLC法(方法4)は、グリセリンの
市販のロットにアルデヒドが存在すること、およびその
相対濃度を測定するために開発された。その結果は、試
験したグリセリンすべての供給源について、グリセルア
ルデヒドが主要なアルデヒド不純物であり、はるかに低
レベルのホルムアルデヒドと、さらに低レベルのグリコ
ールアルヒドが存在することを示した。ホルムアルデヒ
ドレベルは、動物およびプロピレン由来グリセリンより
植物由来グリセリンの方が幾分高かった。しかし、グリ
セリンロットのスクリーニング試験として、この方法に
は上記HPLC分析と関連した欠点がある。
【0022】本発明の別の局面は、グリセリンの市販ロ
ット中の反応性アルデヒドを、簡単かつ確実に定量する
ための、グリセルアルデヒドを標準に用いる新規比色ア
ッセイを提供する。このアッセイは下記方法1に詳述し
たMBTH試験である。実施例1に示すようにこのアッ
セイは、HPLCアッセイ(方法4)でグリセリンの市
販ロット中の主要な反応性アルデヒドとして同定された
グリセルアルデヒドとの反応において非常に高いモル吸
光係数を示す。最も有用なことに、MBTH試験は、加
速安定性試験、すなわち、改良10X−GST試験と優
れた相関性を示す(実施例2および図1参照)。動物、
植物、およびプロピレン由来のグリセリンロットについ
て良好な相関係数が得られた。ポリペプチド製剤、過剰
なインキュベーション時間、および複雑なHPLC系を
用いる不十分な加速試験に代わって、MBTH試験を用
いるグリセリンロットの簡単な直接分析が発明された。
MBTH試験により測定される反応性アルデヒドレベル
の仕様限界を得るには、例えば、単に図1に示すような
相関直線を用い、加速安定性試験により決定される仕様
限界の直線と交わるMBTH反応性アルデヒドレベルを
求めることができよう。例えば図1から、改良10X−
GST試験により決定される1%ポリマー増加の仕様限
界はMBTH試験で14ppmの仕様限界をもたらす。仕様
限界(specification limit)とは製品化ポリペプチド
組成物を製造するのに用いるグリセリンロットに許容さ
れる反応性アルデヒドの最高レベル(MBTHによる)
である。架橋ポリペプチドの下限レベル、または該組成
物が必要な有効期限の安定性に合格するためのより大き
な保証を所望する場合は、より低い仕様限界を確立して
よい。これらの理由に基づいて、本発明の非経口水性医
薬ポリペプチド組成物を製造するのに用いる非動物由来
グリセリン中の反応性アルデヒド含量に対する一般的な
最大仕様限界は、グリセルアルデヒドを標準に用いるM
BTH試験により33ppmと決定された。非動物由来グリ
セリンに対するより好ましい仕様限界は、24ppmであ
る。より好ましい仕様限界は15ppmである。より好まし
い仕様限界は8ppmである。最も好ましい仕様限界は3ppm
である。本発明者らは、MBTH試験を用い、種々の製
造業者から得た新鮮および古い市販グリセリンロットを
評価した。最も驚くべきことに、動物由来グリセリン
は、植物由来グリセリン(4-153ppm、n=29)またはプロ
ピレン由来グリセリン(0-169ppm, n=41)より高い範囲
のアルデヒド含量(10-1069ppm、n=19)を有することが解
った。動物由来のグリセリンロットの平均反応性アルデ
ヒドレベルも非動物供給源由来のグリセリンロットより
高かった。
【0023】本明細書に記載のMBTH試験を用い、製造日
がアッセイ前1〜48ヶ月の範囲であることが解っている
市販グリセリンロットも評価した。実施例3に記載のこ
れら試験は、同等の製造からの期間において、植物また
はプロピレン由来のグリセリンロットは動物から製造し
たグリセリンロットより反応性アルデヒドの平均レベル
がかなり低いことを明確に示した。製造方法、およびグ
リセリンの製造業者、供給業者、および荷送り人が用い
る保存時間および保存条件に固有の不確実性により、こ
れらデータは非経口投与に用いるポリペプチド組成物を
製造するためのグリセリンの非動物由来供給源を選ぶの
に明らかな利点を示した。非動物由来グリセリンでも反
応性アルデヒドレベルは製造からの期間と共に増加する
ので(表2参照)、利用できる最も新鮮なグリセリンの
市販ロットを選んでポリペプチド組成物を製造するのに
用いることも有利である。ポリペプチド組成物を製造す
るのに用いるグリセリンの種々の市販供給源を考慮する
と、非動物由来のグリセリンが明らかに好ましい。プロ
ピレンや植物由来のグリセリンの市販ロットがより好ま
しい。水性非経口医薬ポリペプチド組成物に非動物由来
グリセリンを使用することにより、一般的には、グリセ
リン中の反応性アルデヒド含量がより低いため化学安定
性が改良されるであろう。改良された化学安定性とグリ
セリンの反応性アルデヒド含量との相関を、本明細書に
記載の実施例4−8のレプチン類似体、ヒトインスリ
ン、およびインスリン類似体の組成物について説明す
る。本発明の好ましい態様は、非動物由来グリセリンを
用い、ポリペプチドを含む水性非経口医薬組成物の化学
安定性を改良することである。より好ましい態様は、プ
ロピレンまたは植物供給源由来のグリセリンを用いてポ
リペプチド組成物の化学安定性を改良することである。
最も好ましい態様は、プロピレン由来のグリセリンを用
いてポリペプチド組成物の化学安定性を改良することで
ある。実施例9−27には、非動物供給源由来のグリセ
リンを含むポリペプチド組成物の製造法を記載してい
る。本発明の別の好ましい態様は、ポリペプチド、およ
び非動物供給源由来のグリセリンを含む水性非経口組成
物である。より好ましい態様は、植物またはプロピレン
由来のグリセリンを含むポリペプチド組成物である。最
も好ましい態様は、プロピレン由来のグリセリンを含む
ポリペプチド組成物である。表2のデータに示すよう
に、非動物供給源由来の市販グリセリンロットを選択す
ることは、例えば3ppmまたはそれ以下の極めて低い反応
性アルデヒドレベルが得られることを保証するものでは
ない。製造された医薬ポリペプチド組成物について、動
物または非動物由来の供給源からの市販グリセリンの購
入ロットは、所望の仕様限界にかなうほど反応性アルデ
ヒドレベルが充分低くはない。すなわち、本発明の他の
局面は、グリセリンの反応性アルデヒド含量を低下させ
る方法である。特に、実施例8に記載している様に、該
方法は生グリセリンと、遊離アミノ基を含む高分子樹脂
および乾燥剤を接触させることを含む。アミン含有樹脂
の種類、乾燥剤の性質、ならびにグリセリン、ポリマ
ー、および乾燥剤間の接触の物理的配置はアルデヒドの
除去に重要とは思われない。ポリマーと乾燥剤を精製グ
リセリンから分離するための多くの技術も実施可能であ
る。したがって、非動物供給源由来、好ましくは新たに
製造した植物またはプロピレン由来の、より好ましくは
プロピレン由来のグリセリンの市販ロットを選択した
後、反応性アルデヒド含量を、グリセルアルデヒド標準
物を用いるアッセイにより測定する。反応性アルデヒド
含量が特定の医薬ポリペプチド組成物について定めた仕
様限界以下である場合は、所望する化学安定性のレベル
が達成されることが確実であり、該グリセリンを組成物
中に直接組み込むことができよう。
【0024】反応性アルデヒド含量が特定の医薬ポリペ
プチド組成物について定めた仕様限界以上である場合
は、本明細書に記載の方法で処理することにより、該グ
リセリンの反応性アルデヒド含量を低下させることがで
きよう。このようにして、例えば、45ppmまたはそれ以
上の反応性アルデヒド含量を有する非ヒト由来グリセリ
ンロットの反応性アルデヒド含量を33ppm以下に低下さ
せ、次いでポリペプチド組成物中に組み込むことができ
よう。あるいはまた、動物由来グリセリンの市販ロット
を選択し、その反応性アルデヒド含量を、グリセルアル
デヒド標準物を用いるアッセイにより測定することがで
きよう。反応性アルデヒド含量が8ppm以下である場合
は、所望する化学安定性のレベルが達成されることが確
実であり、該グリセリンを組成物中に直接組み込むこと
ができよう。反応性アルデヒド含量が8ppm以上である場
合は、本明細書に記載の方法で処理することにより、該
グリセリンの反応性アルデヒド含量を低下させることが
できよう。このように、反応性アルデヒド含量が例えば
24ppmの動物由来グリセリンロットの反応性アルデヒド
含量を2ppmに低下させ、次いで、ポリペプチド組成物に
組み込むことができよう。本発明の水性非経口医薬組成
物はその化学安定性を改良するため非動物供給源由来の
グリセリンを含んでいてよい。本明細書の実施例4−8
は、非動物供給源由来のグリセリンを含む医薬ポリペプ
チドの溶液および懸濁液組成物の化学安定性が改良した
ことを明瞭に示している。化学安定性を改良する別の方
法として、本発明の水性非経口医薬組成物は、反応性ア
ルデヒド含量が8ppm以下である動物供給源由来のグリセ
リンを含んでいてよい。定義によれば、本発明の組成物
の含水量は少なくとも500mg/mLである。本発明のポリペ
プチド組成物のグリセリン含有量は少なくとも500mg/mL
である。本発明はグリセリンを含むあらゆるポリペプチ
ド組成物に応用されると考えられる。そのようなポリペ
プチド組成物は他の成分や賦形剤を含むことが多く、そ
のような組成物を製造するのに通常用いられる方法で製
造される。本発明の一般性を限定することなく、以下に
組成物、賦形剤、およびその製造方法を開示し、読者に
よりよく説明する。
【0025】本発明は、水、ポリペプチド、および非動
物由来グリセリンを含む組成物を提供する。特に、本発
明は少なくとも1つのポリペプチドまたはその医薬的に
許容される塩を含む組成物を提供する。本発明に用いる
ことができるポリペプチドの濃度範囲には、約1.0μg/m
L〜約100mg/mLの濃度が含まれるが、投与経路に応じて
より低い濃度やより高い濃度が実施可能である。ポリペ
プチド濃度は、好ましくは約5.0μg/mL〜約20mg/mL、最
も好ましくは約20μg/mL〜約10mg/mLである。患者を治
療するのに必要な用量、製剤中のポリペプチドの有効
性、および該ポリペプチドの安定性に基づき、当業者は
本発明組成物に組み込む適切なポリペプチド濃度を知る
であろう。グリセリンに加えて等張性物質のような他の
賦形剤、保存剤、プロタミン、緩衝剤、可溶化剤、界面
活性剤、抗酸化剤、溶液安定化剤、および金属カチオン
を、ポリペプチドに通常用いられる製剤に応じて、本発
明の組成物に用いることができよう。本発明のポリペプ
チド組成物に用いるのにさらに他の賦形剤を利用するこ
とができる。本発明の医薬組成物は、当該分野でよく知
られた種々の方法により製造することができよう。本発
明は、実施可能な組成物中に成分を加える順序を規定す
る必要はない。ポリペプチドの性質、治療的応用、およ
び所望の製剤に基づいて、当業者は本発明の組成物を製
造するための適切な手順や添加順序を知るであろう。本
発明によれば、植物またはプロピレン由来のグリセリン
は、十分新鮮であれば、同じ組成物における動物由来グ
リセリンの知られた用途に比べてポリペプチド組成物の
化学安定性を改良するために大いに自信を持って直接用
いられよう。しかしながら、本発明の完全な広さは、ポ
リペプチド組成物に用いるグリセリンを上記の方法で最
初に試験することで明確に理解されよう。好ましくは、
グリセリンの反応性アルデヒド含量はポリペプチド組成
物中に組み込む2週間前以内に測定される。より好まし
くは、グリセリンの反応性アルデヒド含量はポリペプチ
ド組成物中に組み込む3日前以内に測定される。あるい
はまた、動物由来グリセリンは、上記方法および時間枠
で試験すると、グリセリンの反応性アルデヒド含量が8p
pm以下であれば化学安定性を改良するのに大いに自信を
持って本発明のポリペプチド組成物にも用いられよう。
本発明の水性非経口医薬組成物は、医薬として、または
哺乳動物の病気を治療する医薬を製造するのに用いられ
る。より詳細には、インスリンもしくはインスリン類似
体もしくは誘導体、またはGLP-1もしくはGLP-1類似体も
しくは誘導体がポリペプチドである場合は、糖尿病また
は高血糖症の治療に医薬を用いることができよう。本発
明のポリペプチド組成物は、透明溶液剤、懸濁液混合物
として、または第二バイアルからの希釈液で再構成され
る凍結乾燥もしくは乾燥ポリペプチドのバイアルを含む
2バイアルパッケージとして患者に利用可能にすること
ができよう。好ましいポリペプチド組成物は透明溶液剤
および懸濁液混合物である。本発明の組成物は、当業者
に理解される種々の非経口的供給方法によりそれを必要
とする患者に投与することができよう。好ましい方法に
は、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、肺投与、経皮
供給、および内部もしくは外部ポンプ投与が含まれる。
より好ましい供給方法は、皮下および筋肉内注射であ
る。驚くべきことに、保存中、本発明の組成物は既知の
組成物より化学安定性が高かった。
【0026】方法1 MBTH試験 「MBTH溶液」は、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒド
ラゾン塩酸塩(MBTH)約20-25重量%および塩化ナトリウ
ム約75-80重量%の固体混合物約250mgを全量100mLの水に
溶解して作製する。「塩化第二鉄溶液」は、プロピレン
グリコール中の塩化水素酸約5重量%、および塩化第二
鉄(FeCl3)約20-35重量%を含む溶液約5.4mgをとり、サ
ルファミン酸約1.5gを加えて製造する。次に、この混合
物を水で希釈して全量100mLとする。アッセイするグリ
セリンロットの試料約50mg〜約400mgを15-mL試験管中に
正確に計量する。水1.0mLを加える。次に、MBTH溶液4.0
mLを加え、調製物を完全に混合する。次に、該溶液を沸
騰水浴中で60±5秒間加熱する。5分間、周囲温度に冷
却した後、塩化第二鉄溶液5.0mLを加え、完全に混合す
る。約30分間またはそれ以上周囲温度に冷却した後、分
光光度計を用い、624nmで溶液の吸光度を測定する。ブ
ランク試験溶液はグリセリンを除く以外は上記通りに製
造する。標準曲線は、グリセルアルデヒドの水溶液100
μg/mLをさらに水で希釈し、約0.5μg/mL〜約10μg/mL
のグリセルアルデヒド標準物を作製することにより得ら
れる。次に、標準溶液を試験試薬で処理する。標準物お
よび試験溶液の吸光度からブランクの吸光度を引いた
後、グリセリン試料中の反応性アルデヒドレベルをグリ
セルアルデヒド標準曲線から定量する。反応性アルデヒ
ド含量がグリセルアルデヒド標準物0.5μg/mL以下にな
ったグリセリン試料については、グリセルアルデヒド標
準物を用いて得た最良適合ラインに外挿することにより
反応性アルデヒド含量を決定する。試料は一般にトリプ
リケートで操作する。このアッセイに用いたすべての水
はアルデヒドを含まないことが好ましい。
【0027】方法2 10X グリセリンストレス試験(10X-GST) 10X グリセリンストレス試験(10X-GST)によりインス
リン組成物中の共有結合二量体およびポリマーの形成を
測定する。試験するグリセリンを、グリセリンの最終濃
度が160mg/mL、すなわち、本製剤に通常用いるグリセリ
ンレベルの10倍となるように、Humulin(登録商標)R
(U40, Eli Lilly & Co., IndianapolisIN, USA)に加
える。得られた製剤の1部分標本を30℃で7日間インキ
ュベートし、第二の部分標本を同じ期間、冷凍保存す
る。次に、2つの部分標本の高分子量タンパク質(HMW
P)レベルを、変性条件下のサイズ排除HPLCクロマトグ
ラフィ(例えば、Zorbax GF250 Specialカラム、移動相
pH7.5の0.1Mリン酸アンモニウム緩衝液65分およびアセ
トニトリル35分、214nmで検出)により測定する。試験
製剤におけるHMWPの増加は、30℃試料のHMWP濃度から凍
結コントロールのHMWP濃度を引いた分である。
【0028】方法3 改良10X グリセリンストレス試験(Mod.10X-GST) Humulin(登録商標)N(U40, Eli Lilly & Co., Indian
apolis IN, USA) 1mLを、試験するグリセリン約160mg
(約128μl)に加える。このグリセリンレベルは市販製
品にみられる通常レベルの約10倍である。Humulin(登
録商標)N U40の別の1mLを水128μlに加える。両試料
を30℃で7日間保存する。次に、2つの部分標本の高分
子量タンパク質(HMWP)レベルを、変性条件下のサイズ排
除HPLCクロマトグラフィ(例えば、「Protein-Pak 125
インスリンアッセイ保証」のラベルがあるWatersカラ
ム、Waters Corporation (Milford, MA, USA)パート番
号20574、移動相 L-アルギニン1mg/mL溶液65分、アセト
ニトリル20分、および氷酢酸15分)により測定する。試
験試料を少量の9.6N HClで酸化して可溶化し、次いで分
析する。試料中のHMWPの増加は、30℃試料のHMWP濃度か
ら水を加えたコントロールのHMWP濃度を引いた分であ
る。
【0029】方法4 グリセリン中の誘導化アルデヒドのHPLC分析 試験するグリセリンロットの試料160mgを、3.5mLガラス
バイアルを用い、アセトニトリル中の0.5mg/mLの2-ジフ
ェイルアセチル-1,3-インダンジオン-1-ヒドラゾン
((DPIH)、Rideout,J.M.ら、Clin.Chim.Acta 161:29-
35(1986)およびSwarin,S.ら、J.Liquid Chromatography
6:425-444(1983)参照)1mLで誘導体化する。トリフル
オロ酢酸10μLを加え、バイアルを密栓し、周囲温度で2
0rpmで3時間回転させる。グリセリンはアセトニトリル-
DPIH試薬溶液と混合できないが、バイアルを回転させる
ことにより、グリセリンはバイアル表面に薄い層となっ
て広がり、二重層表面の接触は最大となる。グリセリン
中のアルデヒドとケトンはDPIHと反応し、アセトニトリ
ル-DPIH試薬溶液中に抽出されるアジンを形成する。次
に、該溶液を、Zorbax Rx C8 HPLCカラム(Mac-Mod Ana
lytical Inc. Chadds Ford, PA, USA)に注射する。アジ
ンを、30分間の操作中に48%B混合物から66%B混合物ま
で段階的に移行する溶液A(水中0.1%TFA)と溶液B
(アセトニトリル中0.1%TFA)から作製される段階勾配
により分離する。誘導体を、290nmの分光光度計を用い
るか、または425nmで励起し、525nmで放射する蛍光分光
光度計を用いて検出する。アルデヒド標準物を、溶出順
に、グリセルアルデヒド、グリコールアルデヒド、ヒド
ロキシプロピオンアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、およびプロピオンアルデヒドに分ける。
以下の実施例は、単に本発明をさらに例示するために示
す。本発明の範囲は以下の実施例のみからなるものと解
釈してはならない。
【0030】
【実施例】実施例1 アルデヒド試験の選択性 植物由来グリセリンの試料を表1に示す一定レベルのア
ルデヒドに加えた。次に、加えたグリセリン試料を本明
細書に記載のMBTH試験(方法1)および他の3試験によ
りアッセイした。「Nash」試験については、グリセリン
中のアルデヒドをpH7.5のリン酸緩衝液中に抽出し、次
いで、過剰な酢酸アンモニウムの存在下でアセチルアセ
トンを用いて誘導体化した(du Chatinierら、Analytic
al Letters 22:875-883(1989))。着色反応生成物を分光
光度計を用い415nmで定量した。「Purpald」試験では、
試薬4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリ
アゾール(Adlrich Chemical Company)を1N NaOHに溶
解した。次に、この溶液を水で希釈したグリセリン溶液
に加えた。エアレーション後、分光光度計を用い401nm
で溶液の吸光度を測定した。European Pharmacopoeia(P
h.Eur.)試験では、グリセリン溶液をパラロサニリン塩
酸塩溶液と混合した(European Pharmacopoeia 1997, 9
06-907, Council ofEurope,Strasbourg)。1時間後、55
0nmの吸光度を分光光度計で測定した。各試験ごとの吸
光度値を、加えた各試料に対するグリセリン混合反応か
らグリセリン非混合試料の反応を引くことにより計算し
た。吸光度は各アルデヒドにつきモルベースで計算し、
表1に示している。負の値は、吸光度値がアルデヒドを
加えることにより実質的に低下したことを意味する。
【0031】
【表1】グリセリンに加えたアルデヒドのモル吸光度 nd=測定せず
【0032】Nash法は、いかなるアルデヒドでも大きな
吸光度を生じなかった。Purpald法はグリコールアルデ
ヒドに対して高感度であったが、グリセルアルデヒドで
は吸光度を生じなかった。European Pharmacopoeia法
は、ホルムアルデヒドで中等度の吸光度を生じたが、グ
リセルアルデヒドの測定では比較的感度が低かった。こ
の実験は、比較した4試験のうちMBTH試験においてグリ
セルアルデヒド1モルあたりの最大吸光度信号が得られ
たことを明瞭に示した。HPLC分析(方法4)により、グ
リセルアルデヒドは市販のグリセリンロット中にみられ
る主要な反応性アルデヒドであることが示された。MBTH
試験では、市販グリセリンロット中に低レベルで存在す
ることがHPLC分析(方法4)で示されている反応性アル
デヒドであるホルムアルデヒドやグリセルアルデヒドに
ついても大きな吸光度値が得られた。すなわち、MBTH試
験はグリセリン中の反応性アルデヒドレベルを測定する
感度のよい方法である。
【0033】実施例2 MBTH試験と改良10X-GST試験の相関 グリセリンの新鮮および古い市販ロットの反応性アルデ
ヒド含量を本明細書に記載のMBTH試験により測定した。
グリセリンの各試料も改良10X-GST試験で評価した。混
合プロピレンおよび植物由来グリセリン試料(各n=39お
よびn=25)について図1に示した結果は、MBTH試験で測
定した反応性アルデヒド含量(<100ppm)と改良10X-GS
T試験で測定したインスリン製剤の共有結合HMWPピーク
に強い直線相関があることを示す(R2=0.90、基点を
通るベストフィットラインについて)。動物由来グリセ
リン試料(n=19)もこれら試験間で強い直線相関(R2
=0.93、データ示さず)を示した。
【0034】実施例3 古い市販グリセリンロットの反応性アルデヒド含量 製造日が解っているグリセリンの市販ロットを製造日か
ら1〜48ヶ月間、周囲温度で保存した。各グリセリン
ロットについて、反応性アルデヒド含量を本明細書に記
載のMBTH試験により測定した。これらロットから得たデ
ータを以下の表2に示す。
【表2】3供給源由来グリセリンロット中の反応性アル
デヒドの分析 SEM=平均の標準誤差 *=統計的差、p=0.003 Wilcoxian Rank Sum検定により計算
【0035】これらのデータは、明らかに、プロピレン
および植物由来の古いグリセリンの反応性アルデヒドレ
ベルが動物由来グリセリンより低い範囲であることを示
す。これらデータも植物およびプロピレン供給源由来の
グリセリンロットの平均反応性アルデヒド含量/平均保
存月数が動物供給源由来のグリセリンロットよりはるか
に低いことを示している。表2の最終列のデータは、各
グリセリンロットの反応性アルデヒド含量をその製造日
からの保存月数で割って得られた。これら計算値は非動
物由来グリセリンの反応性アルデヒド/保存月数が動物
由来グリセリンより統計学的に有意に低いレベルである
ことを示す。
【0036】実施例4 レプチン製剤の安定性 ヒトレプチン類似体Asp(72),Asp(100)-Ob(配列番号
6、Beals,J.M.ら、WO98/28335,1998年6月24日公開)
を用い、濃度220mg/mLのグリセリンを含む製剤を製造し
た。グリセリン試料1(反応性アルデヒド=1ppm、MBTH
試験による)はプロピレン由来であり、グリセリン試料
2(アルデヒド=85ppm、MBTH試験による)は植物供給
源由来であった。各製剤はpH7.8に調整した10mMリン酸
緩衝液中にタンパク質15.2mg/mLを含んでいた。各試料
製剤50mLを同時に製造し、ろ過滅菌した。次に、部分標
本(3mL)を無菌的に無菌5-mLガラスバイアルに満た
し、栓をし、封をし、次いで、5℃および25℃で3、
7、10、および24日間保存した。溶液を、解離条件
下で、TosoHaas TSK-GEL G3000SW-XLカラム(TosoHaa
s、Montgomeryville,PA,USA)および0.1Mリン酸ナトリ
ウム、0.1M硫酸ナトリウム、および0.6%ドデシル硫酸ナ
トリウム(pH8.5)を用いるサイズ排除HPLCにより分析
した。ポリペプチドの溶出ピークを214nmの紫外線級光
度により検出した。主要タンパク質ピークに加え、2つ
のより早い溶出(すなわち、より大きい分子量)ピーク
が観察された。これらの1つは共有結合二量体であり、
より早い溶出ピーク面積の90%以上に相当した。他のよ
り早い溶出ピークは二量体より大きな共有結合タンパク
質ポリマーを含んでいた。試料製造日において、より早
い溶出ピーク面積の組み合わせは試料の全クロマトグラ
フピーク面積の0.31%〜0.33%に相当したが、二量体ピー
クは全クロマトグラフピーク面積の0.30%〜0.32%に相当
した。すべての試料は、試験を通して透明かつ無色であ
った。総タンパク質のパーセンテージで表した高分子量
タンパク質ピーク(二量体およびより大きい分子量ピー
クの合計)の増大を下記表3に示す。出発タンパク質溶
液を用いる場合と同様、より早い溶出ピークはすべての
試料においてほぼ二量体によるものであった。
【0037】
【表3】高分子量タンパク質ピークの増加(総タンパク
質に対する%) この実験は、ヒトレプチンアナログAsp(72)Asp(100)-Ob
について、反応性アルデヒド含量の低いグリセリンを含
む製剤(試料1)では反応性アルデヒド含量が高いグリ
セリンを含む比較組成物(試料2)より、5℃および25
℃の両方で保存中の高分子量タンパク質不純物の形成が
少なかった。
【0038】実施例5 インスリンおよびインスリン類似体製剤の安定性 3つの異なる市販グリセリンロットの反応性アルデヒド
含量をMBTH試験により定量した。グリセリン試料3はプ
ロピレン由来であり(反応性アルデヒド1ppm)、グリセ
リン試料4および5は動物由来であった(反応性アルデ
ヒドはそれぞれ45および156ppm)。濃度各100単位/mL
の、製造された2つのヒトインスリン製剤(可溶性Huma
lin剤(登録商標)およびNPH結晶懸濁剤)および4つの
製造された製剤Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン(可
溶性Humalog(登録商標)、NPL結晶Lys(B28)Pro(B29)-
ヒトインスリン-プロタミン懸濁剤、およびLisPro Low
Mixと呼ばれるHumalog(登録商標):NPLの一定の混合物
(25:75、Humalog(登録商標):NPL、Roach,P.ら、Diab
etes Care 22:1258-1261(1999)参照)、およびLisPro M
id Mix(50:50、Humalog(登録商標):NPL)を、最終グ
リセリン濃度が160mg/mLとなるようにグリセリン試料
3、4、および5に加えた。30℃で7日間後、各製剤の
高分子量タンパク質(HMWP)パーセントの増加を方法3
のごとく測定した。HMWPレベルの増加を以下の表4に示
【0039】
【表4】30℃で7日間後の高分子量ピークの増加(総タ
ンパク質の%) この実験の結果は、明らかに非動物由来グリセリンを使
用することにより動物由来グリセリンを用いて製造した
同様の組成物に比べて改良された安定性を有するポリペ
プチドの溶液剤、懸濁剤、および混合溶液剤/懸濁剤が
得られることを示している。
【0040】実施例6 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁剤の製造 U100濃度のLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン類似体懸
濁剤(Humalog(登録商標)NPL, Eli Lilly & Co., Ind
ianapolis, IN, USA)に対応する組成物を、さらに精製
していないグリセリンの4市販ロットを用いて製造し
た。最初に、3つのグリセリンロットの反応性アルデヒ
ドレベルを、方法1に記載のごとくMBTH試験により測定
した。グリセリンロットを10X グリセリン負荷試験(方
法2)および改良10X グリセリン負荷試験(方法3)を
用いても評価した。これら分析の結果を下記表5に示
す。
【0041】
【表5】Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁剤の製
造に用いたグリセリンロットの分析 nd=試験せず
【0042】Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン製剤を
製造するため、いくつかの中間体溶液を製造した。3.52
mg/mLのm-クレゾールおよび1.43mg/mLのフェノール(89
重量%で計算)を含む「保存剤ストック溶液」を脱イオ
ン水を用いて調製した。各グリセリン試料の「グリセリ
ンストック溶液」を水で160mg/mLに調製した。「亜鉛ス
トック溶液」は、ZnO溶液を10% HClで酸化することによ
り調製した。「保存剤−グリセリン−亜鉛溶液」は、1.
76mg/mL m-クレゾール、0.715mg/mLフェノール、16mg/m
Lグリセリン、およびバルクLys(B28)Pro(B29)-ヒトイン
スリン物質中に存在する亜鉛と合わせて合計25μg/mLの
亜鉛濃度を含む溶液を生じるのに十分な適切な容量の
「保存剤ストック溶液」、「グリセリンストック溶
液」、および「亜鉛ストック溶液」を混合することによ
り調製した。この時「保存剤ストック溶液」は約pH4.7
であった。次に、Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン
(バルク亜鉛結晶)を、下記「U200Lys(B28)Pro(B29)-
ヒトインスリン溶液」中で200単位(U)/mLまたは約7.0
mg/mLの濃度とするのに十分なレベルで「保存剤−グリ
セリン−亜鉛溶液」に加えた。Lys(B28)Pro(B29)-ヒト
インスリンの溶解は、10% HClの小部分標本を加えてpH
を約2.8に低下させることにより室温で行った。溶液の
不純物を除去した後、各々のpHを10% HClの小部分標本
を加えて約7.3に再調整した。脱イオン水中の75.6mg/mL
の第二リン酸ナトリウム・7水和物溶液の容量を、この
溶液中の第二リン酸ナトリウム・7水和物溶液の濃度を
3.78mg/mLとするに十分なレベルで加えた。溶液中のす
べての物質が溶解し終えるまで攪拌した後、10% NaOHを
加えて4つのLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン溶液を
それぞれ約pH7.4に調整した。脱イオン水を加えてLys(B
28)Pro(B29)-ヒトインスリンの200U/mL溶液を得、次い
で、これを0.22ミクロンSterivex GVフィルター(Milli
pore Products Division, Bedford,MA,USA)でろ過し
た。これら4溶液を「U200 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトイン
スリン溶液」と呼ぶ。「プロタミンストック溶液」は、
下記最終「プロタミン−保存剤−グリセリン溶液」中の
プロタミン遊離塩基が0.6mg/mLに等しい濃度となるよう
に「保存剤ストック溶液」に固体硫酸プロタミン(シロ
ザケ)を溶解することにより調製した。45分間攪拌した
後、脱イオン水中の、75.6gm/mL第二リン酸ナトリウム
・7水和物溶液の容量を加え、最終「プロタミン−保存
剤−グリセリン溶液」中の第二リン酸ナトリウム・7水
和物溶液の濃度を3.78mg/mLとした。次いで、10%塩
化水素酸を少量加え、該溶液をpH7.4に調整した。次
に、160mg/mLの「グリセリンストック溶液」の容量を加
え、各溶液中に16mg/mLグリセリンを含む溶液を得た。
脱イオン水を加えて終量を調整し、4つの「プロタミン
−保存剤−グリセリン」溶液を0.22ミクロンSterivex G
Vフィルターでろ過した。4つのU200 Lys(B28)Pro(B29)
-ヒトインスリン溶液および4つのプロタミン−保存剤
−グリセリン溶液のそれぞれを15℃で平衡化した後、各
溶液の等量を混合し、15℃で61時間インキュベーション
した。この実験で調製して得られた4つの懸濁液製剤の
各1mLは、おおよそ、Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリ
ン3.5mg、第二リン酸ナトリウム・7水和物3.78mg、グ
リセリン16mg、m-クレゾール1.76mg/mL、フェノール0.7
15mg、亜鉛25μg、およびプロタミン0.3mgを含んでい
た。
【0043】実施例7 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁剤の安定性 実施例6に記載のグリセリンの種々のロットを用いて調
製したLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリンの4つの懸濁
液製剤を30℃で12週間までインキュベーションした。種
々の時間で、試料中の高分子量タンパク質(HMWP)レベ
ルを、改良10X-GST試験(方法3)に記載のサイズ排除H
PLCクロマトグラフィにより測定した。安定性の結果を
下記表6に示す。
【0044】
【表6】種々のグリセリンロットを用いて製造したLys
(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁剤中のHMWPレベル この実験の結果は、明らかにプロピレン由来のグリセリ
ンが動物由来グリセリンを用いて製造した懸濁剤に比べ
てLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁液製剤の化学
安定性を改良したことを示す。
【0045】実施例8 グリセリン中の反応性アルデヒドレベルの低下 プロピレン由来ロットからのグリセリン(3.0mg)を、
それぞれ、攪拌棒を含む5つのビーカーに入れた。5つ
のビーカーを、植物由来グリセリンのロットを用いて同
様に調製した。無水硫酸マグネシウム(MgSO4)約50mg
を、各セットの4つのビーカーに加えた。MgSO4を加え
た各セットの3つのビーカーに、計量した量の、Advanc
ed ChemTech Inc.(Louisville, KY, USA)から得た以下
の重合樹脂の1つを加えた:樹脂A、トリス(2-アミノ
エチル)アミン樹脂(0.7mmol/g、100-200メッシュ)
0.1g; 樹脂B、TantaGel S NH2樹脂(0.3mmol/g、9
0um)0.2g;樹脂C、アミノメチルポリスチレン樹脂
(0.7mmol/g、100-200メッシュ)0.1g。10個すべての
ビーカーを、窒素雰囲気下でグローブバッグ中の攪拌プ
レート上に置き、約60℃で攪拌した。24時間攪拌した
後、試料をセルロース膜を通してプラグ−ろ過し、方法
1記載のMBTH試験によりその反応性アルデヒド含量(pp
m)を分析した。いくつかのグリセリン試料は改良10X-GS
T試験(方法3)によっても評価した。この実験の結果
を下記表7に示す。
【0046】
【表7】重合アミン樹脂によるグリセリン試料処理の結
nd=試験せず これらデータは、明らかに、記載した精製方法が市販グ
リセリンロット中の反応性アルデヒド濃度を大きく低下
させたことを示す。改良10X-GST試験で試験したインス
リン懸濁剤において、アミノメチルポリスチレン(樹脂
C)で精製したグリセリンロットはHMWPピークを増加さ
せなかったが、非精製グリセリンロットはHMWPピークの
レベルの有意な増加をもたらした。
【0047】実施例9 ヒトインスリン溶液剤 組換えヒトインスリン(35mg)を0.01N HCl 約5mLに溶
解する。酸化亜鉛溶液(1mL、0.1N HClに溶解した酸化亜
鉛として亜鉛0.17mg/mL)を加え、次いで、水中のm-クレ
ゾール25mgおよび70mMリン酸ナトリウム緩衝液1mLを加
える。次に、プロピレン由来の新たに製造したグリセリ
ン160mgを加える。溶液を1N NaOHで約pH7.4に調整し、
水で総量約10mLに希釈する。このポリペプチド組成物各
1mLは、ヒトインスリン約3.5mg、グリセリン約16mg、7
mMリン酸ナトリウム、m-クレゾール約2.5mg、および亜
鉛約0.017mgを含む。
【0048】実施例10 ヒトインスリン懸濁剤 ヒトインスリン−プロタミン結晶の懸濁剤を、最初に組
換えヒトインスリン35mgを0.01N HClの5mLに溶解し、次
いで、m-クレゾール21.6mgおよびフェノール6.5mgを加
える。次に、プロピレン由来グリセリンの160mg/mL水性
溶液1mL、0.1N HCl中の酸化亜鉛(0.25mg/mL亜鉛)1m
L、およびプロタミン(遊離塩基ベースで)2.7mgを加
え、次いで水で総量約9mLに希釈する。次に、38mg/mL
第二リン酸ナトリウム・7水和物溶液の溶液(1mL)を
加え、pHを約8とする。得られた溶液をpH7.4に調整
し、約19℃で約24時間結晶を進行させる。この懸濁液各
1mLは、ヒトインスリン約3.5mg、グリセリン約16mg、
プロタミン約0.27mg(遊離塩基ベースで)、亜鉛約0.02
5mg、m-クレゾール約2.16mg、フェノール約0.65mg、お
よび二塩基リン酸ナトリウム約3.8mgを含む。
【0049】実施例11 ヒトインスリン70/30混合物 実施例10記載の懸濁剤70分を含む混合物を実施例9記
載のヒトインスリン溶液30分と混合する。この調製物は
いずれもプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例12 ヒトインスリン50/50混合物 実施例10記載の懸濁剤50分を含む混合物を実施例9記
載のヒトインスリン溶液50分と混合する。この調製物は
いずれもプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例13 ヒトインスリン30/70混合物 実施例10記載の懸濁剤30分を含む混合物を実施例9記
載のヒトインスリン溶液70と混合する。この調製物はい
ずれもプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例14 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン溶液 組換えLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン(35mg)を0.0
1N HCl約5mLに溶解する。0.1N HClに溶解した酸化亜鉛
の溶液(0.2mg/mL亜鉛)1mLを加え、次いでm-クレゾー
ル31.5mgおよび70mMリン酸緩衝水溶液を加える。次に、
プロピレン由来グリセリン160mgを加える。溶液を1N Na
OHで約pH7.4に調整し、水で総量約10mLに希釈する。こ
のポリペプチド組成物各1mLは、 組換えLys(B28)Pro(B
29)-ヒトインスリン約3.5mg、グリセリン約16mg、7mMリ
ン酸ナトリウム、m-クレゾール約3.15mg、および亜鉛約
0.02mgを含む。 実施例15 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン懸濁剤 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリンのNPH-様結晶の懸濁
剤を実施例6記載の方法を用い、プロピレン由来グリセ
リンを用いて製造する。
【0050】実施例16 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン75/25混合物 実施例15に記載のLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン
懸濁液75分を含む混合物を実施例14記載のLys(B28)Pr
o(B29)-ヒトインスリン溶液25分と混合する。この調製
物ではそれぞれプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例17 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン50/50混合物 実施例15に記載のLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン
懸濁液50分を含む混合物を実施例14記載のLys(B28)Pr
o(B29)-ヒトインスリン溶液50分と混合する。この調製
物ではそれぞれプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例18 Lys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン25/75混合物 実施例15に記載のLys(B28)Pro(B29)-ヒトインスリン
懸濁液25分を含む混合物を実施例14記載のLys(B28)Pr
o(B29)-ヒトインスリン溶液75分と混合する。この調製
物ではそれぞれプロピレン由来グリセリンを用いる。 実施例19 Asp(B28)-ヒトインスリン溶液 組換えAsp(B28)-ヒトインスリン(35mg)を0.01N HCl約
5mLに溶解する。0.1NHClに溶解した酸化亜鉛の1mL溶液
(0.2mg/mL亜鉛)、次いで、m-クレゾール17mgおよびフ
ェノール15mgを加える。プロピレン由来のグリセリン16
0mg、次いで、70mMリン酸緩衝水溶液1mLを加える。次
に、溶液を1N NaOHで約pH7.4に調整し、水で総量約10mL
に希釈する。このポリペプチド組成物各1mLは、Asp((B
28)-ヒトインスリン3.5mg、グリセリン約16mg、約7mMホ
スフェート、m-クレゾール約1.7mg、フェノール約1.5m
g、および亜鉛約0.02mgを含む。 実施例20 Asp(B28)-ヒトインスリン70/30混合物 Asp(B28)-ヒトインスリン溶液を、Asp(B28)-ヒトインス
リン76.5mgを、0.2N HCl約0.32mLを含む水に溶解し、0.
4mg/mLの塩化亜鉛溶液約0.16mLを加えることにより製造
する。次に、水中の硫酸プロタミン(プロタミン遊離塩
基約4.5mgと等価)、次いでm-クレゾール17.2mg、フェ
ノール15mg、プロピレン由来グリセリン160mg(すべて
水に溶解した)からなる混合物を加える。得られた約pH
2.7の溶液を水10mLで希釈し、約30℃で平衡化する。こ
の溶液にm-クレゾール17.2mg、フェノール15mg、リン酸
2ナトリウム・2水和物25mg、およびプロピレン由来グ
リセリン160mgを含む溶液(pH9)10mLを加え、約30℃に
平衡化する。約30℃に2日間置いた後、結晶を完結さ
せ、不溶性NPH-様結晶中に存在するAsp(B28)-ヒトイン
スリン約70%と溶液中に30%の懸濁混合物を生じる。
【0051】実施例21 Asp(B28)-ヒトインスリン50/50混合物 Asp(B28)-ヒトインスリン溶液を、Asp(B28)-ヒトインス
リン76.5mgを、0.2N HCl約0.32mLを含む水に溶解し、0.
4mg/mLの塩化亜鉛溶液約0.16mLを加えることにより製造
する。次に、水中の硫酸プロタミン(プロタミン遊離塩
基約3.2mgと等価)、次いでm-クレゾール17.2mg、フェ
ノール15mg、プロピレン由来グリセリン160mg(すべて
水に溶解した)からなる混合物を加える。得られた約pH
2.7の溶液を水10mLで希釈し、約30℃で平衡化する。こ
の溶液にm-クレゾール17.2mg、フェノール15mg、リン酸
2ナトリウム・2水和物25mg、およびプロピレン由来グ
リセリン160mgを含む溶液(pH9)10mLを加え、約30℃に
平衡化する。約30℃に2日間置いた後、結晶を完結さ
せ、不溶性NPH-様結晶中に存在するAsp(B28)-ヒトイン
スリン約50%と溶液中の50%の懸濁混合物を生じる。 実施例22 Asp(B28)-ヒトインスリン30/70混合物 Asp(B28)-ヒトインスリン溶液を、Asp(B28)-ヒトインス
リン76.5mgを、0.2N HCl約0.32mLを含む水に溶解し、0.
4mg/mLの塩化亜鉛溶液約0.16mLを加えることにより製造
する。次に、水中の硫酸プロタミン(プロタミン遊離塩
基約2.0mgと等価)、次いでm-クレゾール17.2mg、フェ
ノール15mg、プロピレン由来グリセリン160mg(すべて
水に溶解した)からなる混合物を加える。得られた約pH
2.7の溶液を水10mLで希釈し、約30℃で平衡化する。こ
の溶液にm-クレゾール17.2mg、フェノール15mg、リン酸
2ナトリウム・2水和物25mg、およびプロピレン由来グ
リセリン160mgを含む溶液(pH9)10mLを加え、約30℃に
平衡化する。約30℃に2日間置いた後、結晶を完結さ
せ、不溶性NPH-様結晶中に存在するAsp(B28)-ヒトイン
スリン約30%と溶液中に70%の懸濁混合物を生じる。 実施例23 ミリストイル-ε-Lys(B29)-des(B30)-ヒトインスリン溶
液 インスリン誘導体ミリストイル-ε-Lys(B29)-des(B30)-
ヒトインスリン(37mg)を0.01N HCl約5mLに溶解する。
0.1N HClに溶解した酸化亜鉛溶液(0.17mg/mL亜鉛)1m
L、次いでm-クレゾール32mg、70mMリン酸緩衝水溶液1m
L、次いでプロピレン由来グリセリン160mgを加える。溶
液を約pH7.9に調整し、水で総量約10mLに希釈する。こ
のポリペプチド組成物各1mLは、ミリストイル-ε-Lys
(B29)-des(B30)-ヒトインスリン約3.7mg、グリセリン約
16mg、7mMリン酸ナトリウム、m-クレゾール約3.2mg、お
よび亜鉛約0.017mgを含む。
【0052】実施例24 Gly(A21)Arg(B21)Arg(B32)-ヒトインスリン溶液剤 インスリン類似体Gly(A21)Arg(B31)Arg(B32)-ヒトイン
スリン(37mg)を0.01N HCl約5mLに溶解する。0.1N HClに
溶解した酸化亜鉛溶液(0.80mg/mL)1mLを加える。ベン
ジルアルコール(100mL)、次いで、植物由来グリセリ
ン188mgを加える。溶液を約pH4.0に調整し、水で総量約
10mLに希釈する。このポリペプチド組成物各1mLは、Gl
y(A21)Arg(B31)Arg(B32)-ヒトインスリン約3.7mg、グリ
セリン約16mg、亜鉛約0.08mg、およびベンジルアルコー
ル10mgを含む。 実施例25 Gly(8)-GLP-1溶液剤 Gly(8)-GLP-1(10mg)を0.01N NaOH約5mLに溶解する。
次に、m-クレゾール(20mg)、次いで、本明細書に記載
のMBTH試験により測定した反応性アルデヒド含量が2ppm
である動物由来グリセリン160mgを加える。溶液をpH8.0
に調整し、水で総量10mLに希釈する。このポリペプチド
組成物各1mLは、Gly(8)-GLP-1約1mg、グリセリン約16m
g、およびm-クレゾール2mgを含む。 実施例26 ヒトレプチン溶液 組換えヒトレプチン(10mg)を0.01NNaOH約5mLに溶解す
る。次に、m-クレゾール(30mg)、次いで、植物由来グ
リセリン160mg、および70mMリン酸緩衝水溶液1mLを加え
る。溶液をpH8.0に調整し、水で総量10mLに希釈する。
このポリペプチド組成物各1mLは、ヒトレプチン約1m
g、グリセリン約16mg、7mMリン酸ナトリウム、およびm-
クレゾール3mgを含む。 実施例27 ヒトFSH溶液 組換えヒトFSH(5mg)を10mMリン酸ナトリウム溶液(pH
7.4)に加える。この溶液に、m-クレゾール30mg、次い
でプロピレン由来グリセリン160mgを加える。溶液をリ
ン酸ナトリウム溶液(pH7.4)で総量10mLに希釈する。
このポリペプチド溶液各1mLはFSH 0.5mg、10mMリン酸
ナトリウム、m-クレゾール3mg、およびグリセリン16mg
を含む。本発明の原理、好ましい態様、および操作方法
を先に明細書中に記載した。しかし、それらは例示であ
って制限的なものではなく、本明細書で保護しようとす
る本発明が開示した特定の形に限定されると解釈しては
ならない。当業者は、本発明の精神から離れることなく
改変や変更を行うことができよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 MBTH試験および改良10X−GST試験
により測定した非動物由来グリセリン市販ロットの分析
値間の直線関係(R2=0.90)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マイケル・ロザリオ・デフェリッピス アメリカ合衆国46280インディアナ州イン ディアナポリス、サンタ・アニタ・コート 10906番 (72)発明者 オールビー・デイビッド・シャークナス アメリカ合衆国46237インディアナ州イン ディアナポリス、キャリー・ドライブ7069 番 Fターム(参考) 4C076 AA11 AA22 BB11 CC21 DD26 DD37 DD38Q FF36 FF63 4C084 AA02 AA03 BA44 DB34 MA16 MA66 NA03 ZC352

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリセルアルデヒドを標準として用いる
    アッセイにより測定したアルデヒド含量が8ppm以下であ
    るグリセリン、およびポリペプチドを含む水性非経口医
    薬組成物。
  2. 【請求項2】 非動物供給源由来のグリセリン、および
    ポリペプチドを含む水性非経口医薬組成物。
  3. 【請求項3】 グリセルアルデヒドを標準として用いる
    アッセイにより測定したグリセリンのアルデヒド含量が
    8ppm以下である請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 ポリペプチドがヒトインスリン、インス
    リン類似体、ヒトインスリン誘導体、またはインスリン
    類似体の誘導体である請求項1〜3のいずれかに記載の
    組成物。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドおよびグリセリンを含む水
    性非経口医薬組成物の化学安定性を改良するための、グ
    リセルアルデヒドを標準として用いるアッセイにより測
    定したアルデヒド含量が8ppm以下であるグリセリンの、
    該組成物のグリセリン成分としての使用。
  6. 【請求項6】 ポリペプチドおよびグリセリンを含む水
    性非経口医薬組成物の化学安定性を改良するための、該
    組成物のグリセリン成分としての、非動物由来グリセリ
    ンの使用。
  7. 【請求項7】 該ポリペプチドがヒトインスリンまたは
    その類似体もしくは誘導体、またはヒトインスリン類似
    体の誘導体である請求項7記載の方法。
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