JP2001164356A - ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置 - Google Patents
ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置Info
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Abstract
方法と、その実施に適した装置を提供すること。 【解決手段】真空排気された成膜室1内の蒸発源3から
蒸発させたグラファイト粒子を、該蒸発源の上方の加熱
されたモリブデン、タングステン、タンタル、レニウム
等の耐熱金属製の反射板5により反射させて加熱された
試料ホルダー7面上に堆積させ、その堆積中にイオンビ
ームCを該試料ホルダー面上の堆積物に照射する。蒸発
源は電子ビームにより加熱されるものとし、イオンビー
ムにはアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの希ガスのイオ
ンのイオンビームを使用することが好ましい。成膜室内
には上記イオンビーム生成用のガス以外を導入しない。
Description
DDの保護膜など素材表面に硬いダイヤモンドライクカ
ーボン膜を形成する方法と装置に関する。
膜として形成する方法として、例えば図1に示すよう
な、成膜室a内にガス源bから導入したCH4ガス等の
カーボン系のガスをマイクロ波放電により電離して試料
ホルダーd上に薄膜状に堆積させ、この薄膜を試料ホル
ダーdの背後の加熱ヒーターcで加熱してダイヤモンド
ライクカーボン膜とする方法が知られている。
仕切バルブe、高真空ポンプf、仕切バルブg及び低真
空ポンプhを順次に設けた真空排気系と、セラミックウ
インドウi及び導波管jを介して設けたマイクロ波発振
器kとが接続される。該セラミックウインドウiは、該
成膜室aの側方のくびれた部分の奥部に設けられて成膜
室aの真空圧と導波管jの大気圧とを仕切り、該くびれ
た部分の外周にソレノイドコイルpが設けられる。ま
た、該くびれた部分には、仕切バルブl、ガス流量調整
器m、仕切バルブn及び圧力調整器oを介して該ガス源
bが接続される。該導波管jの側部には、マイクロ波の
節腹を調整するためのチュナーqが設けられる。r及び
sは真空排気系及び成膜室の真空破壊用のベントバル
ブ、tは試料取出し窓である。
真空ポンプf及び低真空ポンプhを作動させて成膜室a
内を真空排気し、その室内の圧力が133×10-6Pa以
下に到達した時点でマイクロ波発振器kからマイクロ波
を出力し、セラミックウインドウiを介して成膜室a内
へ導入する。これと同時にガス導入系統の仕切バルブ
l、nを開き、ガスボンベのガス源bから例えばCH4
ガスをガス流量調整器mの調整と圧力調整器oにより2
次圧力を約1気圧に設定して成膜室a内へ所定量供給す
る。そして、ソレノイドコイルpに通電してこれを励磁
し、該成膜室a内に所定の磁場を発生させる。この磁場
とマイクロ波発振器kからのマイクロ波とが結合し、該
成膜室a内に導入されたCH4ガスが電離されてメタン
のプラズマが発生する。該プラズマはソレノイドコイル
pによって形成された磁場配位に沿うように進行し、試
料ホルダーd上に電離したメタンが降り注ぎ堆積してゆ
き、CとHとが混合した膜が形成される。適当な厚さに
堆積したところで加熱ヒーターcで試料ホルダーdを高
温に加熱すると、膜中に含有しているHが抜けていき、
純度の高いCが残る。このあと真空中で試料ホルダーd
が室温に近い温度まで冷却されたら、仕切バルブsを開
放して成膜室aを大気圧に戻し、試料取出し窓tから試
料ホルダーdを取り出す。
に、グラファイトを収容した電子ビーム蒸発源uを設け
ると共に、該蒸発源uの上方に、遮蔽板vと加熱された
Mo製の反射板w及びその反射方向の前方の試料ホルダ
ーdとを設け、ガス導入管xから水素ガスを導入しなが
ら該グラファイトを蒸発させて原子レベルで蒸着を行
い、ダイヤモンド膜を成長させようとする方法(Jorna
of Crystal Growth 99(1990)1188−1191)も提案
されている。この場合、該蒸発源uから蒸発するグラフ
ァイト粒子は、約1600℃に加熱された反射板wで反
射されて約800℃に加熱された試料ホルダーd上に膜
状に堆積し、その反射時に蒸気が原子レベルに分解され
るために細かい粒径でCVD特有のダストやドロプレッ
ト等が少ないカーボン膜を形成することができる。
のガスをマイクロ波プラズマで分解する方法では、CH
4等を材料として使用しているので、試料ホルダーに堆
積した膜中には1つのCが4つのHを伴い、多量のHが
膜中に混入し、膜を加熱しても膜中のHを全部抜き取る
ことが困難で、膜中に残るHのために膜の硬さが低減さ
れてしまう不都合があった。また、前記図2の方法で
も、水素ガス雰囲気で成膜が行われるため、膜中にHの
混入が避けられず、やはり膜の硬さが低減され、ダイヤ
モンドに近い硬さの膜は得られない。
ン膜を形成する方法と、その実施に適した装置を提供す
ることを目的とするものである。
れた成膜室内の蒸発源から蒸発させたグラファイト粒子
を、該蒸発源の上方の加熱された耐熱金属製の反射板に
より反射させて加熱された試料ホルダー面上に堆積さ
せ、その堆積中にイオンビームを該試料ホルダー面上の
堆積物に照射することにより、硬いダイヤモンドライク
カーボン膜を形成するようにした。該蒸発源に電子ビー
ム蒸発源を使用し、該イオンビームにはアルゴン、ヘリ
ウム、ネオンなどの希ガスのイオンのイオンビームが使
用される。該成膜室内には該イオンビーム生成用のガス
以外を導入しないでグラファイト粒子の堆積を行うこと
が好ましい。
膜室内にグラファイトを収容した蒸発源を設け、該蒸発
源の上方に加熱された耐熱金属製の反射板を傾斜させて
設けるとともに該反射板の反射方向に加熱装置を備えた
板状の試料ホルダーを設け、該試料ホルダーの板面に向
けてイオンビームを照射するイオン源を設けた装置によ
り的確に実施することができ、該試料ホルダーをその板
面方向に旋回自在に設けることが好ましい。該反射板
は、モリブデン、タングステン、タンタル、レニウムの
耐熱金属で製作される。
を説明すると、同図に於いて符号1は真空排気系2によ
り真空排気された成膜室を示し、該成膜室1内の下方
に、純度99.99のグラファイトDがルツボに収容さ
れて電子ビームEにより加熱蒸発される蒸発源3を設
け、該蒸発源3の上方の蒸発領域に背後の加熱ヒーター
4により例えば1600℃に加熱されるMoなどの高耐
熱性の金属で製作した反射板5が設けられる。該反射板
5は該蒸発源3の蒸発中心軸6に対して傾斜して設けら
れ、該反射板5の反射方向前方に成膜が施されるSi板
などの試料ホルダー7を設けた。該試料ホルダー7の背
後には、これに形成された膜を加熱するための加熱ヒー
ター8を設け、該蒸発源3の上方には、これより蒸発す
るグラファイト粒子Aが該試料ホルダー7に直接向かう
ことを防止する遮蔽板9が設けられる。
空ポンプ11、仕切バルブ12及び低真空ポンプ13を
順次に接続して構成した。14は真空破壊用のベントバ
ルブ、15は試料ホルダー7の取出し用の扉である。
備えるところであり、該蒸発源3から蒸発したグラファ
イト粒子Aは加熱されたMoの反射板5により反射さ
れ、反射粒子Bが試料ホルダー7にグラファイトが薄膜
状に堆積物となって堆積し、該反射板5で反射される際
に、粒径の大きい分子状のグラファイト粒子が原子状に
分解されるので、試料ホルダー7に粒径が細かくダスト
やドロプレットの少ない原子状のグラファイト粒子の薄
膜を形成することができるが、成膜室内が水素ガス雰囲
気にあるため該薄膜中にH原子が混入し、該薄膜を加熱
しても硬度が大きくならない欠点があり、本発明では、
該成膜室1内を真空のクリーンな雰囲気にすると共にイ
オンビームCを導入してこれを該試料ホルダー7に堆積
しつつある膜状の堆積物に照射することで、前記欠点を
解消して硬度の大きいダイヤモンドライクカーボン膜を
得るようにした。
ン源16を設けるとともに該試料ホルダー7をその成膜
面に該反射板5からの反射グラファイト粒子Bと該イオ
ン源16からのイオンビームCの両方の照射を受けるよ
うに傾斜して設け、成膜中は回転軸17により該試料ホ
ルダー7をその面方向に回転させて均一な堆積とイオン
照射を受けるようにした。該イオン源16は公知のもの
で、そのイオン引出口を碍子18を介して成膜室1に取
り付け、ガス源19から圧力調整器20、仕切バルブ2
1、流量調整器22及び仕切バルブ23を介して導入さ
れた定量のガスを放電によりイオン化すると共に引出電
極によりイオン引出口から該試料ホルダー7に向けてビ
ーム状にイオンが放射される。24はイオン源の放電用
電源、25はイオン引出用電源である。
排気系2により例えば1×10-5Paに排気し、この状態
で該蒸発源3のルツボに充填した成膜材料のグラファイ
トに電子ビームEを照射し、これを溶融気化する。気化
したグラファイト粒子は、原子状(C)あるいは分子状
(C2、C3)となって上方へ飛行する。このグラファイ
ト粒子は、加熱されたMo製の反射板5に到達するが、
該反射板5が1600℃の高温に加熱されているため、
これに接触した分子状のグラファイト粒子は解離して原
子状化が進み、例えば97%が原子状のグラファイト粒
子となって試料ホルダー7上に堆積し、成膜室1内にガ
ス分子が殆ど存在しないので緻密でダストやドロプレッ
トの少ないグラファイト膜が堆積する。この堆積中に、
仕切バルブ21、23を開放し、ガス源19のガスボン
ベから例えばアルゴンガスを流量調整器22と2次圧力
を約1気圧に調整した圧力調整器20で制御してイオン
源16内へ導入すると共に放電用電源24から電力を供
給することで、イオン源16内でアルゴン等のプラズマ
を発生させ、この状態でイオン引出用電源25から例え
ばプラス100V程度の電位を引出電極に与え、プラズ
マ中のイオンを100eVのエネルギーをもってビーム
状に加速し、これを堆積中の原子状のグラファイト膜に
照射する。グラファイト膜は通常の堆積では結晶化しな
がら堆積するが、その堆積中にエネルギーを持ったイオ
ンを衝突させることでエネルギーを付与を受け、結晶化
したグラファイトの構造が崩れてアモルファス化すると
共に格子間距離が小さくなり、硬質で緻密な膜すなわち
非常に硬いダイヤモンドライクカーボン膜が形成され
る。
の電子ビームにより加熱蒸発させることで、不純物の混
入の少ないグラファイト粒子をクリーンな成膜室1内へ
蒸発させることができる。該反射板5には、Moに限ら
ず他の耐熱性の大きい材料を使用することができ、イオ
ンビームCにはアルゴン以外の不活性なイオンを使用し
てもよい。イオンのエネルギーの大きさは、堆積したグ
ラファイトをスパッタしない程度に設定される。
内を真空排気系2により1×10 -5Paに排気し、Mo製
の反射板5を1600℃に加熱すると共にSi製の試料
ホルダー7は800℃に加熱し、この状態で蒸発源3に
用意した純度99.99%のグラファイト粉末Dに電子
ビームEを照射して溶融蒸発させた。これと同時にイオ
ン源16に1気圧に調整したアルゴンガスを供給し、放
電用電源24から200Wの電力を投入してイオン源1
6内にアルゴンプラズマを発生させ、グラファイト粒子
が堆積中の試料ホルダー7の成膜面に引出電極に100
Vを与えて100eVのアルゴンイオンビームCを照射
した。
は、反射板5で反射されて原子状に解離されて試料ホル
ダー7に堆積するが、その堆積中に該イオンビームCが
照射されているため、該グラファイト膜がアモルファス
化し、その堆積厚さが100nmになったところで蒸発
及びイオンビームCの照射を止めた。該試料ホルダー7
に堆積した膜の硬度を測定したところ、ビッカース硬度
でHV=3000であった。この膜は、従来の方法で得
られる膜よりも大幅に硬く、ダイヤモンドに近いダイヤ
モンドライクカーボン膜であった。
度は、ビッカース硬度でHV=2000、図1の方法で
製作した膜は、HV=2300であった。
排気された状態の成膜室内で電子ビームで加熱されて蒸
発するグラファイト粒子を加熱された反射板で反射させ
て試料ホルダーに堆積する際に、イオンビームを照射す
るようにしたので、堆積した不純物の混入の少ない膜を
アモルファス化し且つ格子間距離を小さくして硬質で緻
密なダイヤモンドライクカーボン膜を形成できる効果が
あり、請求項7乃至9の構成の装置により本発明を適切
に実施できる効果がある。
説明図
法の説明図
4・8 加熱ヒーター、5 反射板、7 試料ホルダ
ー、16 イオン源、C イオンビーム、
Claims (9)
- 【請求項1】真空排気された成膜室内の蒸発源から蒸発
させたグラファイト粒子を、該蒸発源の上方の加熱され
た耐熱金属製の反射板により反射させて加熱された試料
ホルダー面上に堆積させ、その堆積中にイオンビームを
該試料ホルダー面上の堆積物に照射することを特徴とす
るダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。 - 【請求項2】上記の耐熱金属が、モリブデン、タングス
テン、タンタル、レニウムであることを特徴とする請求
項1に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方
法。 - 【請求項3】上記蒸発源に電子ビーム蒸発源を使用し、
上記イオンビームにはアルゴン、ヘリウム、ネオンなど
の希ガスのイオンのイオンビームを使用することを特徴
とする請求項1又は2に記載のダイヤモンドライクカー
ボン膜の形成方法。 - 【請求項4】上記成膜室内には上記イオンビーム生成用
のガス以外を導入しないことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン
膜の形成方法。 - 【請求項5】真空排気された成膜室内の蒸発源から蒸発
させたグラファイト粒子を、該蒸発源の上方の加熱され
た耐熱金属製の反射板により反射させて加熱された試料
ホルダー面上に堆積させ、その堆積中にイオンビームを
該試料ホルダー面上の堆積物に照射して作製したことを
特徴とするダイヤモンドライクカーボン膜。 - 【請求項6】上記の耐熱金属が、モリブデン、タングス
テン、タンタル、レニウムであることを特徴とする請求
項5に記載のダイヤモンドライクカーボン膜。 - 【請求項7】真空排気された成膜室内にグラファイトを
収容した蒸発源を設け、該蒸発源の上方に加熱された耐
熱金属製の反射板を傾斜させて設けるとともに該反射板
の反射方向に加熱装置を備えた板状の試料ホルダーを設
け、該試料ホルダーの板面に向けてイオンビームを照射
するイオン源を設けたことを特徴とするダイヤモンドラ
イクカーボン膜の形成装置。 - 【請求項8】上記の耐熱金属が、モリブデン、タングス
テン、タンタル、レニウムであることを特徴とする請求
項7に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成装
置。 - 【請求項9】上記試料ホルダーをその板面方向に旋回自
在に設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載のダ
イヤモンドライクカーボン膜の形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34912599A JP4408505B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34912599A JP4408505B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001164356A true JP2001164356A (ja) | 2001-06-19 |
JP4408505B2 JP4408505B2 (ja) | 2010-02-03 |
Family
ID=18401670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34912599A Expired - Lifetime JP4408505B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4408505B2 (ja) |
-
1999
- 1999-12-08 JP JP34912599A patent/JP4408505B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP4408505B2 (ja) | 2010-02-03 |
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