JP2001162199A - エアポンプを具備したエアブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】エアブラシにおいて、圧搾空気を供給するため
に、外部機器を連結して使用することなく、エアブラシ
本体内に、圧搾空気供給機能を具備せしめる。 【解決手段】本発明のエアポンプを具備したエアブラシ
は、エアブラシ本体のハンドルの基部付近に、ヒンジを
設け、このヒンジに、回動自在に操作レバーを装着し、
この操作レバーとハンドルとの間に、エアポンプを具備
せしめ、このエアポンプから供給される圧搾空気を噴出
するエア吹出し口と、このエア吹出口から噴出する噴出
流の負圧を利用して塗料を噴霧させるための適切な位置
に配置した、塗料を噴霧するノズル又はこれと同等の機
能をもつ塗料浸潤体とによって、構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、エアコンプレッサ
ー等から供給される圧搾空気をエア吹出口から噴出さ
せ、その噴出流と共に、ノズル等から塗料を噴霧させる
吹き付け塗装具の、圧搾空気供給方法を改良したエアポ
ンプを具備したエアブラシに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、グラフィックデザインや美術工芸
分野の精密塗装に使用されているエアブラシの例を図５
及び図６に示す。図5は圧搾空気供給源として、電源接
続用コンセント211を接続して使用する駆動用電源が必
要なエアコンプレッサー210を使用するシステムであ
る。エアブラシ本体201の中央部下方に突起している接
続筒201aにエアホース207、エアフィルター208、エアホ
ース209、エアコンプレサー210を取付金具206で連結
し、このエアコンプレッサー210から供給される圧搾空
気をエア吹出口202から噴出させ、エア吹出口202の内部
にあるノズルから、塗料カップ204から供給される塗料
を噴霧させる。圧搾空気と塗料の噴出の開閉を操作レバ
ー203によって行うシステムで、調整ねじ205により、塗
料の噴出量を加減できるものもある。

【０００３】図６は圧搾空気供給源としてエアボンベ22
4を使用するシステムである。エアブラシ本体221の接続
筒221aにエアボンベ224を直接に取付金具223で連結した
り、エアホース等を介して連結してあり、このエアボン
ベ224からエア吹出口222へ圧搾空気を供給するシステム
で、使用方法については図５のシステムと同じである。
このシステムは、エアコンプレサー210の場合に必要な
電源への接続が不要となるので、どこの場所でも使用で
きる利点がある。

【０００４】又、簡易吹き付け塗装具の従来例として、
実開昭61−102584号や実開平6−57447号のようにフエル
トペン等の筆記具のペン先に浸潤しているインク塗料
を、エアブラシと同様に、霧化して噴霧するものがあ
る。特開平9−276756は精密塗装用エアブラシに、フエ
ルトペン等の筆記具のペン先に浸潤しているインク塗料
を噴霧させる機能を使い分けできるようにしたものであ
る。これらは、エアコンプレッサーやエアボンベを圧搾
空気の供給源として使用し、ここから供給される圧搾空
気をエア吹出口から吹出し、その噴出流を筆記具のペン
先に適当な角度で当てることにより、同ペン先に浸潤し
ている塗料を霧化して噴霧するものである。筆記具には
多くの色彩のインク塗料のものが揃っており、簡易的塗
装においては便利な点がある。

【０００５】図７に示す噴霧器は塗装用ではなく薬液噴
霧用であるが、基本の噴霧技術が類似しているため、塗
装用として応用が可能なので説明するものである。この
噴霧器を塗装用として使用する場合、図７の筒体241と
その内部に挿入されている、ハンドル242に連結してい
るピストン部とによって構成されるエアポンプで、圧搾
空気を供給する。片手に筒体241を持ち、別の手でハン
ドル242を持って、筒体241の後方位置から軸心に沿っ
て、前方へ押圧移動させることによって、内部の空気を
圧縮し、圧搾空気をエア吹出口241aから噴出させ、この
噴出流の負圧によって、塗料タンク243内の塗料を吸い
上げ、ノズル244から霧化して噴霧する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術例で、図
５、図６、実開昭61-102584号、実開平6-57447号、特開
平9-276756号に、共通の問題点は、圧搾空気の供給源と
して、エアコンプレッサー若しくはエアボンベを使用し
なければならないことである。エアコンプレッサーを使
用する場合、エアコンプレッサーは電源を必要とする機
械装置であり付属部品をふくめて、高額な初期投資費用
が必要であること、電源を供給できるところに使用場所
が制限されること、使用中に振動や騒音が発生し周囲に
迷惑がかかること、電気代のランニングコストがかかる
等の問題点がある。エアボンベを使用する場合は、エア
ボンベは、消耗品であるため、その大小にかかわらず内
蔵されている圧搾空気の容量に制限があり、常に予備の
エアボンベを備えておき、新しいものと交換して使用す
るので、ランニングコストの負担が大きい。又、エアボ
ンベから供給される圧搾空気の圧力が、使用初期には高
く、使用するに従い減少していくので塗装品質上の問題
点も存在している。

【０００７】従来の技術例で、図７の噴霧器を塗装用と
して使用する場合、エア吹出口241aの構造上、エア吹出
口241aから噴出される圧搾空気の噴出流が軸方向に対
し、周辺に広く拡散するので、噴出流の負圧が減少し、
塗料をノズル244へ吸い上げる力が弱くなり効率がわる
いこと、噴出流が拡散するため限定した範囲への塗装が
困難で，且つ噴霧粒子が大小混在し塗装品質がよくない
こと、エアポンプの操作には両手が必要であること、エ
アポンプの圧縮時の荷重負荷が100パーセント操作する
手にかかること等の問題点がある。

【０００８】本発明は、上記した従来技術の問題点を解
決しようとするものであり、特に、圧搾空気供給機構
を、外部機器を連結して使用することなく、エアブラシ
本体に具備せしめ、エアブラシ自体に必要な機能を全て
持たせることにより、高品質を要求されるグラフィック
デザインや美術工芸分野から、それほど高品質を要求さ
れない趣味やホビーのアート、デザイン、手工芸等の各
分野まで、その分野のニーズに適応した，安価で、いつ
でも、どこでも、自由に使用できる、利便性の高いエア
ポンプを具備したエアブラシを提供しようとするもので
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のエアブラシは、エアブラシ本体のハンドル
基部付近に、ヒンジを設け、このヒンジに、回動自在
に、操作レバーを装着し、この操作レバーとハンドルと
の間に、エアポンプを具備せしめ、このエアポンプから
操作レバーの操作によって供給される圧搾空気を噴出す
るエア吹出口と、このエア吹出口から噴出する噴出流の
負圧を利用して噴霧させるために適切な位置に配置され
た、塗料を噴霧するノズル又はこれと同等の機能をもつ
塗料浸潤体とによって構成した、エアポンプを具備した
エアブラシであって、エアブラシ自体に必要な基本機能
を全て持たせる構成としたものである。

【００１０】上記エアポンプをとりつける位置は、後記
する理由により、操作レバーとハンドルとの間で、操作
レバーの握り部よりも、ヒンジに近い位置に、取り付け
ることが効果的である。

【００１１】いろいろなニーズに適応したエアブラシの
一つとして図３のエアポンプを具備したエアブラシは、
エアポンプから供給される圧搾空気の噴出流の機能を、
最大に生かし、且つ、利便性を高くするために、エアポ
ンプを具備し圧搾空気をエア吹出口に供給可能なエアブ
ラシ本体内に、塗料供給具を着脱容易に、その塗料供給
具の塗料噴霧用の、ノズル又はこれと略同じ機能をもつ
塗料浸潤体を、エア吹出口の内面に近接させて装着した
構造のエアポンプを具備したエアブラシである。

【００１２】又、いろいろなニーズに適応したエアブラ
シの一つとして図４のエアポンプを具備したエアブラシ
は、市販されている筆記具を、塗料供給具として使用
し、圧搾空気の噴出流で、そのペン先から効果的に塗料
を噴霧するために、簡素で、且つ、最も望ましい構造に
構成したエアブラシである。エアポンプを具備し圧搾空
気をエア吹出口に供給可能なエアブラシ本体の、ヒンジ
の上方位置に、ホルダーを設け、このホルダーに筆記具
を、着脱可能に装着し、筆記具の塗料を浸潤したペン先
を、その軸方向がエアブラシ本体の先端部にあるエア吹
出口から噴出する噴出流と、適切な角度で交叉するよう
に、エア吹出口に近接させて固定可能な構造としてある
エアポンプを具備したエアブラシである。ホルダーを設
ける場合、エアブラシ本体のヒンジの上方位置に更に一
個のヒンジを設けて、ホルダーを回動自在に装着しても
よいし、又はエアブラシ本体と一体に、ホルダー部を形
成してもよい。

【００１３】上記した各手段の作用等について以下に説
明する。エアブラシ本体のハンドルと操作レバーの間に
具備されているエアポンプは、手動操作によって圧搾空
気を送りだすことができる。即ち、ヒンジを支点にして
標準位置まで、ある角度で開いている操作レバーの握り
部に指をかけながら、片手でハンドル部をもち、操作レ
バーをハンドル側へ引き寄せることにより、拡縮可能な
材料や形状でできて、中空体となっているエアポンプ
が、圧縮されて体積が減少し、内部に入っている空気が
圧縮され、逆流防止弁を有するエア取出し口から通気路
を通って、エアブラシ本体の先端部にあるエア吹出口に
圧搾空気を供給する。操作レバーでエアポンプを圧縮し
ている手の力を弱めると、エアポンプ内に装着してある
円錐コイルばねの反発力で、操作レバーは標準位置へも
どる。この時、エアポンプ内の気圧が低下するので逆流
防止弁が閉じ、吸入弁が開き吸入口から外気をエアポン
プ内に吸入する。この様にして，この動作を繰り返すこ
とにより、連続して圧搾空気を供給することができる。
エアポンプを圧縮中の状態は、非常に小さいエア吹出し
口から噴出する空気量に比較して、エア吹出口内部から
通気路とエアポンプ内にある圧搾空気の容量は大きく、
エアボンベと略同じ状態になっており、エア吹出口から
噴出する空気量と略同じ量の圧縮速度で、エアポンプを
圧縮することにより、安定した圧力の圧搾空気を供給で
きる。操作レバーで圧縮操作を繰り返すときに、圧搾空
気の圧力をより安定させるために、エア吹出口内部でエ
ア吹出口に近い位置に、少し広い空間のエアダム部を設
けてもよい。又、この手動式エアポンプは、エア吹出口
から噴出する噴出流の量や速度を、圧縮する操作を加減
することにより自由にできるので、いろいろな塗装ニー
ズの変化に対応することが可能である。これらの特徴を
もつ本発明のエアポンプを具備したエアブラシ本体は、
非常に精密な噴霧構造のエア吹出口とノズル部をもつ精
密塗装用のエアブラシから簡易式構造のエア吹出口とノ
ズル部をもつ、それほど精密性を要求されない塗装用の
エアブラシまで適用することが可能であり、いろいろな
分野の塗装ニーズに応えるためのエアポンプを具備した
エアブラシを提供することができる。実施例として後記
する。

【００１４】上記エアポンプの取り付け位置は、操作レ
バーとエアブラシ本体のハンドルとの間で、操作レバー
の握り部よりも、ヒンジに近い位置に取り付けることが
効果的である。このような取り付けをした場合、ヒンジ
から握り部までの距離が、ヒンジからエアポンプの中心
までの距離の数倍となる。エアポンプを圧縮操作する場
合、このような取り付け位置にするとテコの原理によ
り、操作レバーの握り部に必要な押圧荷重は、エアポン
プ中心位置の押圧荷重の数分の1となる。従って、エア
ポンプの圧縮操作が、小さい力で楽にできる。又、高い
圧力の圧搾空気が必要な時は、操作する人の握力の数倍
の荷重を、エアポンプ中心位置にかけることができる。
この様な取り付けをすることによって、この手動式エア
ポンプの操作を、片手で、十分に行うことができる。

【００１５】いろいろなニーズに適応したエアブラシの
一つとして、図３のエアポンプを具備したエアブラシ
は、精度の高い多色塗装の場合に、高精度の吹付塗装が
できて、且つ、短時間で容易に、色替え可能とするため
に、エア吹出口と塗料を噴霧させるノズル又はこれに相
当する塗料浸潤体との配置や形状を高精度のエアブラシ
と略同等にし、且つ塗料供給具を着脱容易なカセット方
式の構成としたものである。この様な構成にすることに
よって、エアポンプから送りだされる圧搾空気は通気路
を経由して、エアブラシ本体の先端部に穿孔されたエア
ダム部に入り、エア吹出口内面と、ノズルまたはこれに
相当する塗料浸潤体との間の狭い空間を通りぬけて、エ
ア吹出口から噴出し、この噴出流と共に、塗料が微霧化
して噴霧される。この場合、圧搾空気が無駄なく効率よ
く活用される。塗料供給具はペン形でも、角柱形等でも
よく、その片側又は両側に具備されるノズルは、円錐形
の筒状でもよく、または略同じ円錐形のフエルト等の塗
料浸潤体でもよい。そしてこの塗料供給具は色彩ペンと
兼用するものであってもよい。本発明のエアポンプを具
備したエアブラシは単体としてエアブラシ自身が、エア
ブラシ本体に圧搾空気を供給するエアポンプを具備して
おり、構造も簡素化されているので、安価で、いつで
も、どこでも自由に使用することができる。

【００１６】いろいろなニーズに適応したエアブラシの
一つとして図４のエアポンプを具備したエアブラシは、
市販のフエルトペン等の筆記具を利用して、簡易的に塗
装ができる構造のエアブラシである。エアブラシ本体の
前方先端部に、やや上向きに突起したエア吹出口を設け
てあり、エアブラシ本体に具備されているエアポンプか
ら送り出される圧搾空気が、通気路を経由して、このエ
ア吹出口から噴出し、この噴出流と、最も噴霧に適した
角度で交差するように、近接させて、塗料を浸潤したペ
ン先が位置するように筆記具を保持するホルダー部を、
エアブラシ本体のヒンジの上方部に設けた構造のエアブ
ラシである。図４のホルダーは、ヒンジの上方位置に更
に第２のヒンジを設け、このヒンジに回動自在に装着し
てあるが、エアブラシ本体の上方位置に、エアブラシ本
体と一体的に設けてもよい。この様にして着脱可能に装
着された筆記具のペン先に浸潤している塗料は、圧搾空
気の噴出流をうけて微霧化して効率よく噴霧される。簡
易式構造のエアブラシに、高価な機械装置のエアコンプ
レッサーやエアボンベを使用することは不自然であり、
独自にエアブラシ本体にエアポンプを具備している、本
発明のエアポンプを具備したエアブラシは、ニーズに適
応した望ましい製品であり、安価で、いつでも、どこで
も、自由に使用することができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を四つの実施例
に基ずき図面を参照して説明する。

【実施例１】実施例１のエアポンプを具備したエアブラ
シを図１(a)、図１(b)、図１(c)に示す。図１のエアブ
ラシは、略ピストル形のエアブラシ本体１のハンドル1a
基部付近に、ヒンジ２を設け、このヒンジ２に回動自在
に、操作レバー３を装着し、この操作レバー３とハンド
ル1aとの間で、操作レバー３の握り部3aよりも、ヒンジ
２に近い位置に、図１(b)のエアポンプ21を具備させて
ある。又、エアブラシ本体１の先端部に、その軸方向に
沿って内部に、図１(c)の噴霧ユニット41をねじ等で固
定してある。エアポンプ21の逆流防止弁本体B25に螺着
してあるエアホース組付金具28にエアホース29を組付
け、このエアホース29をエアブラシ本体１の内部を通し
て、噴霧ユニット本体42後部に螺着してあるエアホース
組付金具46に組付けて、エアポンプ21から供給する圧搾
空気の通気路を形成し、ここから噴霧ユニット本体42内
部に穿設してある通気孔42b、エアダム42aを経由して、
噴霧ユニット本体42の先端部に螺着してあるエアキャッ
プ43の内面とノズル44外面との間隙を通りエア吹出口43
aまで、圧搾空気の通気路を連通させてある。噴霧ユニ
ット本体42に螺着してあるボトル組付金具45の挿入口45
aに、塗料ボトル４に螺合してあるボトルキャップ５に
具備されているパイプ６を、Oリング等を介して、着脱
可能に、且つ、塗料漏れのないように装着し、塗料ボト
ル４に蓄えられている塗料が、パイプ６に連結している
チューブ内を通り、パイプ６内とボトル組付金具45内を
経て、噴霧ユニット本体42の突起部42c内に穿設してあ
る穿孔部42dにつながる塗料流路を経由してノズル44の
塗料噴出口44aに供給される塗料供給路を形成してあ
る。外形が略円錐形のノズル44は、エア吹出口43aの略
円錐形の内面に近接して、同軸上の噴霧ユニット本体42
の突起部42cに螺着されており、塗料噴出口44aは塗装の
ニーズにあわせて必要な口径のものをそろえる。

【００１８】図１(b)のエアポンプ21は、一つの部品ユ
ニットとして、本発明の各種エアブラシに、共通に使用
することができる。伸縮自在の蛇腹部22aを外周とした
円筒形状の中空体であるエアタンク22の開口部に、エア
ポンプベース23を密封状態に溶着してあり、このエアポ
ンプベース23とエアタンク22内の反対側の面との間に、
円錐コイルばね30が弾装してある。又、エアポンプベー
ス23には、エア取出し口24aをもつ逆流防止弁本体A24
と、エアホース組付金具28を螺着してある逆流防止弁本
体B25とが螺合固定してあり、その中空内部に球26がい
れてある。エアポンプベース23にはエア吸入口23aが設
けてありこの内側のエアタンク22内に吸気弁27を設けて
ある。

【００１９】実施例１のエアポンポを具備したエアブラ
シの作用について説明する。操作レバー3の握り部3aに
指を掛けながらエアブラシ本体1のハンドル1aを片手に
持ち、操作レバー３をハンドル1a側へ引き寄せると、エ
アタンク22の蛇腹部22aが圧縮され、エアタンク22内部
に入っている空気が圧搾され、圧搾された空気は、エア
取出口24aから球26をおしのけ、その側方を通りエアホ
ース取付金具28の搾孔を通って、エアホース29内を経て
噴霧ユニット本体42の通気孔42b、エアダム42a、に至り
エア吹出口43aから噴出する。この噴出流の負圧によ
り、塗料ボトル４から供給されている塗料がノズル44の
塗料噴出口44aから霧化して噴霧される。操作レバー３
でエアポンプ21を圧縮している手の力を弱くすると、エ
アポンプ21内に装着してある円錐コイルばね30の反発力
により、操作レバー３は元の位置へもどり、エアポンプ
21内の空気圧が低くなるので、逆流防止弁の球26がエア
取出24aを閉じ、吸気弁27が開いてエア吸入口23aから外
気を吸入する。この様な操作を繰り返すことにより、連
続して圧搾空気を供給することができる。エアポンプ21
を圧縮中の状態は、非常に小さいエア吹出口43aから噴
出する空気量に比較して、エア吹出口43a内部、通気
路、エアポンプ21内にある圧搾空気の量は大きいので、
エアボンベと同じ状態になっており、噴出量と同じ量の
圧縮速度で、エアポンプ21を圧縮することにより、安定
した圧力の圧搾空気を供給することができる。圧力の安
定をより高めるために、エア吹出口43a内の近い位置に
筒状の空間部のエアダム42aを設けてある。又、エアポ
ンプ21を圧縮する手の力を加減することにより、噴出流
の速度や量をかえることができるので、いろいろな塗装
のニーズに対応した噴霧が可能である。

【００２０】エアポンプ21の取付位置は、操作レバー３
の握り部3aよりヒンジ２に近い位置にあり、一般的設計
の場合、握り部3aにおける圧縮荷重は、テコの原理によ
り、エアポンプ21の中心にかかる圧縮荷重の約三分の一
程度になる。高い圧力の圧搾空気が必要なときは、操作
する人の握力の約三倍の荷重をエアポンプ21の中心にか
けることができる。又、本実施例のエアブラシは、塗料
ボトル４が着脱式になっているので、色替えとこれに伴
う洗浄が容易である。

【００２１】

【実施例２】実施例２のエアポンプを具備したエアブラ
シを図2(a)、図2(b)、図2(c)に示す。実施例２のエアポ
ンプを具備したエアブラシは、実施例１のエアポンプを
具備したエアブラシと比較して、噴霧ユニット81の構成
が異なるだけで、その他の圧搾空気供給方法の構成と、
塗料供給方法の構成は同じであるので、噴霧ユニット81
の構成と作用を中心に説明をおこなう。図2(a)のエアブ
ラシは、エアブラシ本体61のハンドル61a基部付近にヒ
ンジ62を設け、このヒンジ62に回動自在に操作レバー63
を装着し、この操作レバー63とハンドル61aとの間で、
操作レバー63の握り部63aよりもヒンジ62に近い位置
に、エアポンプ21が具備してあり、ここから送りだされ
る圧搾空気は、エアホース103を介して図2(c)、図2(b)
に示すエアホース組付金具102が螺着されているエア連
結金具101から噴霧ユニット本体82内に穿設してあるエ
アダム82aにはいり、突起部82bに螺着されているノズル
84の外面を通りぬけてエア吹出口83aから噴出する。塗
料は、塗料ボトル64に螺合してあるボトルキャップ65に
具備してあるパイプ66を、噴霧ユニット本体82に螺着し
てあるボトル組付金具93の挿入孔93aに着脱可能に装着
して、塗料供給路を噴霧ユニット本体82の穿孔部82cを
経由してノズル84の塗料噴出口84aまで連通させ、エア
噴出流と共に噴霧される。噴霧ユニット本体82の先端部
にエア吹出口83aを形成するエアキャップ83を螺着し、
この内面に近接させて、同心上にある突起部82bにノズ
ル84が螺着してあり、このノズル84内の軸心上に、前後
方向に摺動自在にニードル85が装着してある。ニードル
85は、穿孔部82c内の塗料を後方へ漏らさない役割を兼
ねるOリング86と、ニードル止ねじ91で固定されたニー
ドルチャック90によって保持され、Oリング押さえねじ8
7とニードルチャック90との間に弾装されているコイル
ばね89の反発力によって、常に後方に付勢されている。
噴霧ユニット本体82の後部に噴霧ユニット筒体88を螺着
してあり、この噴霧ユニット筒体88に螺合してある調整
ねじ92の円錐状孔部へ、ニードル止めねじ91の円錐状突
起部が圧接している。

【００２２】実施例２のエアポンプを具備したエアブラ
シの作用について説明する。ニードル85が、ノズル84内
を軸心に沿って前後に摺動可能な構造の噴霧ユニット81
は、塗料の噴出量を調整することができる。針状の先端
形状をしたニードル85は、ノズル84の塗料噴出口84aよ
り、その先端部が少し外に出た位置に設置してあり、ニ
ードル85が前方へ移動すると、塗料噴出口84aの口徑と
ニードル85の外徑との隙間が小さくなり塗料の噴出量が
少なくなり、後方へ移動すると、この隙間が大きくなり
塗料の噴出量が多くなる。ニードル85の前後移動は、調
整ねじ92を左右に回転することにより行い、塗装の必要
なニーズに合わせて、塗料の噴出量をきめる。調整後
は、コイルばね89の反発力により後方にニードル85は付
勢されているので安定して同じ位置に保持される。この
状態で圧搾空気がエア吹出口83aから噴出されると、こ
の噴出流と共に外に突出しているニードル85の先端部に
沿って、微霧化して塗料はふんむされる。圧搾空気の供
給方法と塗料の供給方法は実施例１と同じである。

【００２３】

【実施例３】実施例３のエアポンプを具備したエアブラ
シを図３に示す。図３のエアポンプを具備したエアブラ
シは、略ピストル形のエアブラシ本体121のハンドル121
aの基部付近にヒンジ122を設け、このヒンジ122に回動
自在に操作レバー123を装着し、この操作レバー123とヒ
ンジ122との間で、操作レバー123の握り部123aよりもヒ
ンジ122に近い位置に、図1(b)のエアポンプ21を具備し
ており、このエアポンプ21の逆流防止弁本体B25から、
エアブラシ本体121内を通り、エアブラシ本体121先端部
に螺着してあるエア連結金具128までエアホース130で連
結してある。この様にして、エアポンプ21から送り出さ
れる圧搾空気の供給路を、エア連結金具128からエアブ
ラシ本体121の先端部に穿孔されたエアダム121bを経由
してエア吹出口124aまで形成してある。エアブラシ本体
121の先端には、エア吹出口124aをもつエアキャップ124
が螺着してあり、エア吹出口124aの軸心にそって、エア
ブラシ本体121内に後方まで貫通した穿孔部を形成して
ある。この穿孔部に、片側にノズル又は塗料浸潤体126
を具備した塗料供給具125を、着脱容易に、そのノズル
又は塗料浸潤体126を、円錐状のエア吹出口124aの内面
に近接させて装着し、キャップ129で固定してある。こ
の塗料供給具125は、円筒形でも角筒形等でもよいし、
筆記具を兼用するものであってもよい。エアブラシ本体
121の穿孔部の前方に、圧搾空気を後方に漏らさないた
めのOリング127とOリング止ねじ131を装着してある。

【００２４】実施例３のエアポンプを具備したエアブラ
シの作用について説明する。実施例１のエアポンプを具
備したエアブラシと同様の方法でエアポンプ21から送り
だされる圧搾空気は、エア供給路を通りエアダム121bか
ら、円錐状のエア吹出口124a内面と略円錐形のノズル又
は塗料浸潤体126の外面とで、できた狭い隙間を、高速
で通り抜け、エア吹出口124aから噴出する。この噴出流
と共に、ノズル又は塗料浸潤体126から塗料が微霧化し
て噴霧される。このエア吹出口124aとノズル又は塗料浸
潤体126の形状と配置は、精密塗装用のものと略同じで
あり、圧搾空気も効率良く使用されるので精密な噴霧が
できる。又、多色塗装の場合に、塗料供給具125がカセ
ット方式で、着脱容易に装着されているので、色替えが
短時間ででき、これにともなう洗浄も簡単で、非常に利
便性がたかく、構成部品点数も少なく、製造コストも安
価である。又、本エアブラシはエアブラシ本体121内に
エアポンプ21を具備しているので、いつでも、どこで
も、自由に使用できる。

【００２５】

【実施例４】実施例４のエアポンプを具備したエアブラ
シを図４に示す。図4のエアポンプを具備したエアブラ
シは、略ピストル形のエアブラシ本体141のハンドル141
aの基部付近に、ヒンジ142を設け、このヒンジ142に回
動自在に操作レバー143を装着し、この操作レバー143と
ハンドル141aとの間で、操作レバー143の握り部143aよ
りもヒンジ142に近い位置に、図１(b)のエアポンプ21を
具備している。このエアポンプ21の逆流防止弁本体B25
から、エアブラシ本体141の先端部にやや上向きに、円
錐形で突起したエア吹出口144まで、エアホース149で連
結し、エアポンプ21から送り出される圧搾空気の供給路
を形成してある。又、エアブラシ本体141のヒンジ142の
上方位置に、二個目のヒンジ145を設け、このヒンジ145
に回動自在に、ホルダー146を装着し、このホルダー146
に筆記具147を、その塗料を浸潤したペン先148が、エア
吹出口144から噴出される噴出流と、その軸線とが、噴
霧に最も適した角度で交叉するように固定してある。こ
の場合ホルダー146は、ヒンジ145を設けずに、筆記具14
7の塗料を浸潤しているペン先148が最適位置になるよう
に保持できるように、エアブラシ本体141の上方部に、
これと一体のホルダー部を設けてもよい。

【００２６】実施例４のエアポンプを具備したエアブラ
シの作用について説明する。実施例１のエアポンプを具
備したエアブラシと同様の方法でエアポンプ21から送り
出される圧搾空気は、エア供給路を通りエア吹出口144
から噴出される。この噴出流は筆記具147の塗料を浸潤
しているペン先148にあたり、ペン先148に浸潤している
塗料を微霧化して噴霧する。この様にして市販のフエル
トペン等の筆記具により多色のエアブラッシングが容易
にできる。実施例４のエアブラシの特徴は、この様な簡
易形のエアブラシに、従来使用している高価なエアコン
プレッサーやエアボンベを使用することなく、エアブラ
シ本体141にエアポンプ21を具備しているので、安価
に、いつでも、どこでも、自由にしようすることができ
る。又、専用に最適条件で構成可能で、性能の良いもの
を提供できる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のエアブラ
シは、エアブラシ本体に手動操作式のエアポンプを具備
しているものであるから、噴霧に必要な圧搾空気の供給
を、他の機械装置等に依存することなく、エアブラシ自
身で可能なので、従来のエアブラシのように他の機械装
置を使用する場合に付随するいろいろな制約や問題点に
煩わされることなく、安価に、いつでも、どこでも、自
由に使用することができる。即ち、従来のエアブラシの
ように、高価なエアコンプレッサーやその関連機器、若
しくはエアボンベ等を螺合連結して使用する必要がな
く、イニシャルコストとランニングコストを大幅に低減
でき、これらに付随する前述したいろいろな問題点を解
消できる。又、本発明のエアポンプを具備したエアブラ
シの構成は、高い精度を要求される塗装用の精密なエア
吹出口とノズルとによって構成される噴霧部のエアブラ
シから、それほど高い精度を要求されない、簡易式のエ
ア吹出口と、ノズル又はこれと同じ役割をもつ塗料浸潤
体とによって構成される噴霧部のエアブラシまで、幅広
く適用できる。従って、各実施例で示したように、高品
質を要求されるグラフィックデザインや美術工芸分野か
ら、それほど高品質を要求されない趣味のアート、デザ
イン、手工芸分野まで、各分野のニーズに適応し、低価
格で、適正な性能をもつ、利便性の高いエアポンプを具
備したエアブラシを提供することが可能である。

【００２８】エアポンプの取付位置を、請求項２の様に
することによって、エアポンプの圧縮操作力を、エアポ
ンプ中心位置の数分の一に軽減することができ、形状も
略ピストル形にすることにより、片手で自由に作業がで
きる。又、高い圧力の圧搾空気が必要なときは、操作す
る人の握力の数倍の圧縮荷重を、エアポンプの中心位置
にかけることができる。

【００２９】グラフィックデザインや趣味のアート等に
おいては、精密な多色塗装が多く、精密な塗装ができて
簡単に色替えができるエアブラシが求められており、請
求項３のエアポンプを具備したエアブラシは、このニー
ズに適応するものである。エア吹出口とノズル又は塗料
浸潤体とによる噴霧部の構成が、精密塗装用の噴霧部の
構成と略同じになっており、塗料供給体はカセット方式
で、着脱容易に装着されているため、短時間で、容易
に、色替えできる。又、本発明のエアポンプを具備した
エアブラシは、それ自身が圧搾空気を供給するエアポン
プを具備しているので、安価で、いつでも、どこでも、
自由に使用することができる。

【００３０】市販されている筆記具を利用して塗装する
簡易式エアブラシにおいては、使いやすく、性能が適正
で、安価なものが求められており、請求項４のエアポン
プを具備したエアブラシは、このニーズに適応するもの
である。従来の高価なエアコンプレッサーやエアボンベ
を必要とせず、本発明のエアポンプを具備したエアブラ
シは、それ自身が圧搾空気を供給するエアポンプを具備
しており、このエアポンプから上記した様に、操作する
人の握力の約数倍の圧縮荷重で、高い圧力の圧搾空気の
噴出流を噴出し、最適位置になるように設計し配置され
ている、塗料を浸潤しているペン先に当て、効率よく塗
料を霧化して噴霧する性能をもち、安価で、いつでも、
どこでも、自由に使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１のエアブラシの側面図、(b)
本発明のエアブラシに具備されるエアポンプの拡大側面
図、(c)本発明の実施例１に使用される噴霧ユニットの
拡大縦断面図

【図２】(a)本発明の実施例２のエアブラシの側面図、
(b)本発明の実施例２に使用される噴霧ユニットの拡大
縦断面図、(c)図２(a)のA―A線拡大断面図

【図３】本発明の実施例３のエアブラシの側面図

【図４】本発明の実施例４のエアブラシの側面図

【図５】従来のエアブラシ例１のシステムの側面図

【図６】従来のエアブラシ例２の側面図

【図７】従来の噴霧器の外観斜視図

【符号の説明】

1,61,121,141……………エアブラシ本体 1a,61a,121a,141a………ハンドル 2,62,122,142……………ヒンジ 3,63,123,143……………操作レバー 3a,63a,123a,143a………握り部 4,64 ……………塗料ボトル 21 ……………エアポンプ 23a ……………エア吸入口 24a ……………エア取出口 29,103,130,149 …………エアホース 41,81 …………噴霧ユニット 44,84,126 ……………ノズル 126,148 ……………塗料浸潤体 125 ……………塗料供給具 146 ……………ホルダー 147 ……………筆記具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアブラシ本体(1,61,121,141)のハンド
   ル(1a,61a,121a,141a)基部付近にヒンジ(2,62,122,142)
   を設け、このヒンジ(2,62,122,142)に回動自在に装着し
   た操作レバー(3,63,123,143)とハンドル(1a,61a,121a,1
   41a)との間に、エアポンプ(21)を具備したエアブラシ本
   体(1,61,121,141)と、このエアポンプ(21)から操作レバ
   ー(3,63,123,143)の操作によって供給される圧搾空気を
   噴出するエア吹出口(43a,83a,124a,144)と、このエア吹
   出口(43a,83a,124a,144)から噴出する噴出流の負圧を利
   用して、塗料を噴霧させるために適切な位置に配置し
   た、塗料を噴霧するノズル(44,84,126)又はこれと略同
   じ機能をもつ塗料浸潤体(126,148)とによって、構成さ
   れてなるエアポンプを具備したエアブラシ。
2. 【請求項２】 エアポンプ(21)を、操作レバー(3,63,12
   3,143)とハンドル(1a,61a,121a,141a)との間で、操作レ
   バー(3,63,123,143)の握り部(3a,63a,123a,143a)より
   も、ヒンジ(2,62,122,142)に近い位置に装着した請求項
   １記載のエアポンプを具備したエアブラシ。
3. 【請求項３】 エアブラシ本体(121)内に、塗料供給具
   (125)を着脱容易に、その塗料供給具の塗料噴霧用の、
   ノズル又は塗料浸潤体(126)を、エア吹出口(124a)の内
   面に近接させて、装着してなる請求項１記載のエアポン
   プを具備したエアブラシ。
4. 【請求項４】 エアブラシ本体(141)のヒンジ(142)の上
   方位置に、ホルダー(146)を設け、このホルダー(146)に
   筆記具(147)を着脱可能に装着し、この筆記具(147)の、
   塗料を浸潤したペン先(148)を、その軸方向が、エアブ
   ラシ本体(141)の先端部にあるエア吹出口(144)から噴出
   する噴出流と適切な角度で交叉するように、エア吹出口
   (144)に近接させて固定可能な構造とした請求項１記載
   のエアポンプを具備したエアブラシ。