JP2001144155A - 半導体解析装置および解析方法 - Google Patents

半導体解析装置および解析方法

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JP2001144155A
JP2001144155A JP32799799A JP32799799A JP2001144155A JP 2001144155 A JP2001144155 A JP 2001144155A JP 32799799 A JP32799799 A JP 32799799A JP 32799799 A JP32799799 A JP 32799799A JP 2001144155 A JP2001144155 A JP 2001144155A
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semiconductor
energy
electron
light
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Takashi Namura
高 名村
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Matsushita Electronics Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のオージェ電子分光装置では界面準位の
帯電により、PN接合間の電位差を検出できない。 【解決手段】 本発明では、従来のオージェ電子分光装
置の機能に加え、試料表面に試料のバンドギャップより
大きくかつ試料の仕事関数より小さいエネルギーを持つ
光を照射する機能11と、その光強度を変調しそれと同
期したオージェ電子強度の変動成分を検出する機能1
2,13を付加した構成を有している。また、試料表面
を照射する光の光軸の近くに、光軸の調整を行う複数個
の光検出器を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】半導体装置の微細化はMOSト
ランジスタの最小ゲート長でいわゆるディープサブミク
ロンの領域に達し、PN接合の形状についても、従来は
深さ方向の一次元的な制御で十分であったのが、横方向
の制御の重要性が増しており、高性能と高信頼性を実現
するうえで、半導体装置を構成するPN接合の横方向の
広がりを解析する技術が切望されている。
【0002】ここで、MOS型トランジスタにおいて基板
とPN接合を形成しているドレイン電極を例にとり、P
N接合の横方向制御(「ドレインエンジニアリング」)
の重要性が増した歴史をたどってみる。MOS型トランジ
スタは飽和電流とホットキャリア信頼性を同時に確保す
るためにゲート電極の下のドレイン電極PN接合部の電
界強度があまり大きくならないように工夫する必要があ
る。この電界強度はドレイン電極の横方向のキャリアプ
ロファイルに強く依存する。従来、半導体装置の基板表
面における平面寸法の最小値が1μmかそれより少し小
さいサブミクロンの世代には、このドレイン電極のPN
接合で発生する電界を弱めるために、LDD構造などの
横方向のキャリアプロファイルを改良したドレイン電極
構造が用いられていた。LDD構造は、通常、ゲート電
極のサイドウォールを形成する工程の前後でドレイン電
極を形成する不純物のイオン注入を行い、前者の注入量
を制限することで作製される。すなわち、LDD構造
は、ドレイン電極のうちゲート電極に近い横方向のキャ
リア濃度を抑え、そのことによって電界強度を緩和する
というものである。この構造のドレイン電極の深さは、
およそ0.2〜0.3μmである。ところが、平面寸法
の最小値が0.2μmより小さいディープサブミクロン
世代以降は、ドレイン電極も0.05μmを切るような
寸法でキャリアプロファイルを制御する必要があり、単
純に不純物イオン注入のエネルギーを減少させ注入深さ
を小さくしたり、熱処理を減少させることで不純物の拡
散を防いだりする方法では限界があった。そこで、ドレ
イン電極を形成する不純物と反対の導電型の不純物をド
レイン電極を形成するイオン注入よりやや深い位置にイ
オン注入するいわゆるポケット注入が必要となってい
る。この方法では反対の導電型のイオン注入について、
イオン種や注入エネルギー、注入量、入射角などを選べ
るので、ドレイン電極端のキャリアプロファイル制御の
自由度が増し、高性能なデバイスが実現できるものと期
待されている。しかし、このようなプロセスの複雑化に
より、キャリアプロファイルの測定が困難となってお
り、さらに、不純物がドナーやアクセプタとして活性化
される割合も問題となることも分かってきており、ドレ
イン電極作製方法の最適化が技術的に難しくなってい
る。
【0003】本発明は、ディープサブミクロン世代のキ
ャリアプロファイルの測定という新たな課題に対応する
半導体解析装置とその利用方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】従来からある横方向のPN接合評価技術
のうち代表的なものを挙げると、(1)MOSトランジス
タの電気特性から横方向の接合間距離を推定する方法
や、(2)劈開などにより露出した断面を化学的にエッ
チングし、PN接合を顕在化する方法がある。
【0005】このうち、(1)の方法は、実効的な接合
間距離を求める方法であり、MOSトランジスタの性能を
最適化する構造的指針を得るには不十分である。また、
(2)の方法は、化学エッチングの条件によって得られ
る結果が大きく異なるので、再現性の点で問題がある。
【0006】これらの従来の技術に対し、新たな試みも
なされている。そのほとんどは、断面を露出させ、そこ
に、電子ビームや、導電性プローブを走査し、得られる
信号の変化よりPN接合を判定するものであり、例え
ば、電子ビームの場合は二次電子やオージェ電子の変化
などをとらえ、導電性プローブの場合は、容量や抵抗の
変化などをとらえる。これらの方法は、いずれも多くの
技術的な課題をかかえており、実用化はこれからの段階
といえる。
【0007】ここで、電子ビームを利用する方法の一つ
として、従来のオージェ電子分光装置を用いた物理解析
の方法と、オージェ電子分光装置をPN接合評価へ応用
する従来の取り組みについて述べる。
【0008】オージェ電子とは原子の電子軌道間で起こ
るオージェ遷移(オージェ崩壊)過程に伴って原子より
放出される電子のことで、オージェ遷移過程は電子線照
射等によって引き起こされる。オージェ電子は関係する
電子軌道に特有のエネルギーを持つので、逆に放出され
た電子の運動エネルギーとその強度からその元素と存在
量を特定することが可能である。さらに、オージェ電子
は固体と相互作用してすぐに減衰するので、固体表面か
ら通常数nmの深さの情報のみを反映しており、オージ
ェ電子を観察することによって表面に極めて敏感な情報
を得ることが出来る。
【0009】従来のオージェ電子分光装置の構造を図2
に示す。図2において21は電子銃、22は走査用電磁
コイル、23は電子エネルギー分析装置、24はイオン
銃、25は被測定試料である。
【0010】図2には詳しく記載しないが、電子銃21
は、電子線を偏向して走査するための走査用電磁コイル
22の他に、電子を放出する陰極と電子を加速する電極
系、電子を収束させる電磁レンズなどから構成されてい
る。また、電子エネルギー分析装置23は、所望するエ
ネルギーを持つ電子を選択的に透過するエネルギーフィ
ルターと透過した電子を検出する高感度の電子検出器な
どから構成されている。また、イオン銃24は試料表面
をスパッタにより削り試料内部を露出するために用い
る。
【0011】試料表面25より放出される様々なエネル
ギーをもつ電子の中から、元素固有のエネルギーを有す
るオージェ電子を電子エネルギー分析装置23により検
出することにより、試料の元素組成を知ることが出来
る。走査用電磁コイル22により電子線を試料表面で走
査しながら逐次同様の測定をすることによって注目する
元素の二次元的な分布を得ることが出来る。さらに、イ
オン銃24で表面を削りながら測定を行うことにより注
目する元素の深さ方向の分析も可能である。このよう
に、オージェ電子分光装置を応用することによって試料
の組成に関する三次元的な情報を容易に得ることが出来
る。従って、物理解析に極めて有効な技術であり、半導
体装置等の材料解析に広く利用されている。
【0012】さて、このオージェ電子分光装置により、
半導体装置のPN接合を評価する基本的な原理は、以下
の様なものである。オージェ電子は、電子軌道間の遷移
に伴う電子放出であるので、その運動エネルギーは原子
の化学状態が決まれば一定に決まる。ただし、オージェ
電子を発生する原子の存在する位置の電位がオージェ電
子検出装置の基準電位と異なれば、電子が飛行している
間にその分だけ電子が加速または減速されるので、検出
されたときのオージェ電子の運動エネルギーがシフトす
る。すなわち逆にこの運動エネルギーのシフト量からオ
ージェ電子を発生した原子が存在している位置の電位の
情報が得られる。従って、元素分析と同時に、表面の電
位をとらえることが出来る。
【0013】一方、バルクの半導体では、平衡状態にお
ける電位差(拡散電位)とキャリア濃度の変化の間には
以下の関係がある。なお、この時の電位の基準は半導体
の価電子帯をとっても良いし、伝導帯をとっても良く、
同様にオージェ遷移に関わる電子軌道の電位を基準にと
っても良い。
【0014】 nn/np=pp/pn=exp(eVd/kT) (1) ここで、nn、np、pp、pnはそれぞれPN接合のN側の
電子濃度、P側の電子濃度、P側の正孔濃度、N側の正
孔濃度であり、nn/npおよび、pp/pnは電子または
正孔のPN両側の濃度の変化率を表している。また、V
dはPN接合間の電位差(拡散電位)でeは電気素量、
kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。従って、試
料表面のオージェ電子の運動エネルギーシフトの分布
(つまりV dの分布)から試料表面の電位分布が得ら
れ、そこから、(1)式の関係を用いれば、キャリア濃
度の相対分布が得られるので、PN接合の形状を二次元
的に解析できると期待されている。なお、(1)式では
濃度比が得られるだけなので、濃度の絶対値を得るに
は、基準とする適当な1点の濃度をあらかじめ知ってお
く必要がある。シリコン基板のキャリア濃度などを基準
にすれば良い。
【0015】ここで、オージェ電子の運動エネルギーシ
フト量をオージェスペクトルのシフトから算出する方法
を説明しておく。
【0016】まず、電子エネルギー分析装置で実際に測
定される「オージェスペクトル」の意味を明確にするた
め、一般に固体表面から放出されるオージェ電子の運動
エネルギーの分布について若干解説する。
【0017】実際に固体表面から放出される特定の軌道
間の遷移に関わるオージェ電子をエネルギー分析する
と、ある運動エネルギーでピークを持ち一定の運動エネ
ルギーの広がりをもって検出される。この運動エネルギ
ーの広がりは、電子エネルギー分析装置のエネルギー分
解能をいくら良くしても消えない。この運動エネルギー
の広がりの主な原因は、オージェ電子が固体内部の原子
で発生してから真空中へ脱出するまでの間に、固体内部
で様々な非弾性散乱を受け、運動エネルギーの一部を失
うためである。
【0018】図3(a)は実際にシリコン表面から検出さ
れるオージェスペクトルのうち89eV付近のスペクトル
を模式的に示したものである。このオージェスペクトル
はオージェ遷移がL軌道と価電子軌道(価電子軌道はM
軌道)で起こり、その結果、価電子軌道から電子が放出
されたことにより発生する。なお、測定の都合で、同じ
波形の微分波形を検出器からの出力として得る場合もあ
るが、ここでは微分しないもとの波形を「オージェスペ
クトル」と考えることにする。オージェ電子の運動エネ
ルギーは、関係する電子軌道のエネルギーの差で与えら
れる。ピークの位置が73eVと89eVの二つあるのは、
関係するL軌道や価電子軌道が、それぞれ単一のエネル
ギーでなく少しずつエネルギーの異なる複数の軌道を含
んでいるためである。89eVのピークに対応するオージ
ェ遷移のおこる確率が最も高いため、そのピーク強度が
最も大きくなっている。また、オージェスペクトルの形
状に注目すると、低エネルギー側に尾を引いた形になっ
ている。低エネルギー側にスペクトルが広がった部分
は、オージェ電子が、非弾性散乱によりその運動エネル
ギーの一部を失ったことを示している。また、もう一つ
注意すべきことは、図3(a)にも示したように、オージ
ェスペクトルがかなり大きなバックグランド信号を伴う
ことである。このバックグランドはプローブ電子が固体
であるシリコンと様々な非弾性散乱を繰り返した結果発
生した二次電子であり、二次電子は広いエネルギー範囲
を持つため、ピークエネルギー近傍の狭い範囲で見ると
ほぼ一定のバックグランド信号となる。以上述べたよう
な特徴を持つオージェスペクトルは、試料の材質が決ま
り、プローブ電子のエネルギーや入射角、電子エネルギ
ー分析装置の検出角などが決まれば、上記のような一定
の形状となるので、この形状の特徴から逆にオージェ電
子の起源(元素および関わった軌道)を特定することも
可能である。
【0019】なお、試料表面の電位が正または負にシフ
トした場合は、オージェ電子が原子から放出されてから
検出器に達するまでの間に表面電位のシフト分だけ減速
または加速されるので、オージェスペクトルはこれに応
じて、形状をほぼ一定に保ったまま、表面電位のシフト
量に等しい大きさだけ低エネルギー側または高エネルギ
ー側にシフトする。ただし、電位のシフト量が大きい場
合や、電位のシフトが空間的に分布している場合は、オ
ージェスペクトルの形状が変化する場合があるが、仕事
関数の変化やPN接合による電位の変化はせいぜい数V
迄であり形状の変化は無視できる。図3(b)は、表面の
電位が正または負にシフトした場合のオージェスペクト
ルの変化を示したものである。図中、Aは試料表面の電
位が1V正にシフトしたためにオージェスペクトルが1
V低エネルギー側にシフトした場合、Bは表面電位の変
化がない場合、Cは試料表面の電位が1V負にシフトし
たためにオージェスペクトルが高エネルギー側に1Vシ
フトした場合のスペクトルを示しており、表面の電位の
変化に応じてオージェスペクトルがシフトする様子を示
している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の構
成によるオージェ電子分光装置で、PN接合の解析を試
みる場合、半導体試料の表面の界面準位が電荷を帯びる
ことにより、検出されるオージェ電子の運動エネルギー
が変化するので、実際には、オージェスペクトルのシフ
トからPN接合間の電位差(Vd)を正確に測定するこ
とができないという問題を有していた。
【0021】ここで、界面準位の帯電の性質を補足する
ため、「バンドの曲がり」および「フェルミレベルのピ
ニング」(平木昭夫ほか訳:「表面の物理学」、日刊工
業新聞社、1991年、p.111.)という概念につ
いて述べる。界面準位のエネルギーはバンド構造におけ
る価電子帯と伝導帯の間に分布し、中和した状態はフェ
ルミレベルがほぼバンドの中央付近にある場合に対応す
る。一方、P型半導体やN型半導体では、バルクのフェ
ルミレベルは、それぞれ、価電子帯や伝導帯の近くのバ
ンド内に位置している。熱平衡状態では、P型半導体や
N型半導体におけるバルクと表面のフェルミレベルの不
連続を解消するように界面準位が帯電して空乏層をつく
り「バンドの曲がり」を伴ってフェルミレベルが平らに
なる。このとき界面準位も帯電によってフェルミレベル
の位置がずれるが、もともと界面準位は単位面積および
単位エネルギー当たりの準位密度が極めて高いために帯
電によるフェルミレベルのズレは僅かである。よって、
表面のフェルミレベルの位置がバルクの導電型に依ら
ず、あたかもフェルミレベルが表面でほぼバンドの中央
付近に固定されたかのようにふるまう「フェルミレベル
のピニング」が起こる。この「フェルミレベルのピニン
グ」は、PN接合間の電位差(Vd)とPN接合を横切
る表面の電位の変化との相関をなくすように作用するの
で、オージェスペクトルのシフトからPN接合間の電位
差(Vd)を測定したい場合には極めて都合が悪い。
【0022】本発明は、オージェ電子分光を半導体装置
のPN接合評価に利用する場合に、従来問題となってい
た界面準位の悪影響を解消し、半導体装置のPN接合構
造を正確に解析する手段とその使用方法を提供すること
を目的としており、微細化の進む半導体装置の横方向の
PN接合の精密な制御が可能となり、半導体装置の性能
や信頼性を極限まで向上させることができる。
【0023】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の半導体解析装置は、従来のオージェ電子分光
装置の機能に、試料表面に試料のバンドギャップより大
きくかつ試料の仕事関数より小さいエネルギーを持つ光
を照射する機能と、その光強度を変調しそれと同期した
オージェ電子強度の変動成分を検出する機能を付加した
構成を有している。また、試料表面より放出される特定
のオージェ電子の運動エネルギーの微小変位を検出する
方法として、オージェスペクトルにおけるピーク近傍の
最大傾斜付近に電子エネルギー分析装置の分析エネルギ
ーを固定した時の信号強度と、ピークから分離したとこ
ろに電子エネルギー分析装置の分析エネルギーを固定し
た時の信号強度とを記録し、後者に対する前者の比を求
める方法を用いている。また、試料表面を照射する光の
光軸の近くに複数個の光検出器を備え、光軸の調整を行
うことができる。
【0024】つまり、これら光照射などの手段と方法に
より、オージェスペクトルのシフトの位置的変化から、
PN接合間の電位差(Vd)、さらに、(1)式からキ
ャリア濃度の空間分布を、表面の凹凸に影響されること
なく、しかも高い空間分解能で精度良く検出可能な半導
体解析装置が実現できる。
【0025】本発明の第1の発明は、通常のオージェ電
子分光装置の機能である電子線走査と放出電子のエネル
ギー分光装置に加えて、試料表面に光を照射する手段を
備えたことを特徴とする半導体解析装置であり、光を照
射して半導体内部にキャリアを発生させ、試料表面の帯
電した界面準位にキャリアを供給し、これを中和するこ
とができる。すなわち、半導体試料の表面に存在する界
面準位の影響による表面電位の変化を打ち消して、PN
接合間の電位差(Vd)を正確に測定できるという効果
が得られる。
【0026】本発明の他の発明は、光を照射する手段に
おいて、試料表面に照射する光のエネルギーを半導体試
料のエネルギーギャップより大きく、かつ、同半導体試
料の仕事関数より小さいように制限したことを特徴とす
る請求項1記載の半導体解析装置であり、試料表面から
の不要な電子の放出を抑制することができる。すなわ
ち、高いSN比の測定を安定して実現できるという効果
が得られる。
【0027】本発明の他の発明は、光を照射する手段に
おいて、試料表面を照射する光の強度を周期的に変調す
る変調手段と、変調信号と同期して電子検出手段の出力
の強度と位相とを抽出する同期検波手段とを備えたこと
を特徴とする請求項1および請求項2記載の半導体解析
装置であり、照射する光の振幅を、光により発生したキ
ャリアが界面準位の帯電を余り中和しない程度に弱く設
定することにより、この界面準位の帯電により生じた空
乏層を発生したキャリアが移動するために生ずる交流光
起電力を測定することができる。すなわち、界面準位の
帯電により生じた表面の空乏層の厚さと、そこがP型で
あるかN型であるかを検出できるという効果が得られ
る。
【0028】本発明の他の発明は、光を照射する手段に
おいて、試料表面を照射する光の光軸の近くに複数個の
光検出器を備えたことを特徴とする請求項1および請求
項2および請求項3記載の半導体解析装置であって、照
射光の光軸がこの光検出器の位置にさしかかった場合に
光軸と検出器の距離を検出器の出力より判断することが
できる。すなわち、試料周辺に配置される分析のための
装置を妨害する観察窓を設けるなどして試料表面からの
反射光等を観察しなくても入射光の光軸を正確に調整す
ることが可能となるという効果が得られる。
【0029】本発明の他の発明は、試料表面より放出さ
れる特定のオージェスペクトルのピークの微小変位を検
出するために、このピーク近傍の最大傾斜付近に検出器
の分析エネルギーを固定した時の信号強度と、ピークか
ら分離したところに検出器の分析エネルギーを固定した
時の信号強度とを記録し、後者に対する前者の比を求め
ることを特徴とした半導体解析方法であって、ピーク強
度の変動の要因のうち、表面の凹凸による検出感度の変
化の成分を容易に除去することができる。すなわち、少
ない測定回数で、表面の凹凸による信号強度の変化と分
離してピークのシフトを反映した情報の抽出が可能とな
るという効果が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】まず、本発明の第1の実施の形態
について、図面を参照しながら説明する。
【0031】図1は本発明の半導体解析装置の構成とそ
の動作を示すものであり、図1において、11は強度可
変光源、12は変調信号発生器、13はロックインアン
プ、14はプローブ電子線軌道、15は放出電子軌道、
16は試料照明光、17は光検出器である。
【0032】以上のように構成された第1の実施の形態
による半導体解析装置について、以下その動作を説明す
る。
【0033】まず、電子銃21により放出された電子は
プローブ電子線軌道14を描いて半導体試料25に入射
する。電子線は走査用電磁コイル22によって半導体試
料25の表面の所望の位置に照射できる。半導体試料2
5の表面から放出される放出電子は放出電子軌道15の
様に電子エネルギー分析装置23によって特定のエネル
ギー成分に分別されてその強度が検出される。電子電流
の強度はロックインアンプ13を通して出力される。半
導体試料25には同時に、強度可変光源11により試料
照明光16を照射することが出来る。試料表面における
照明光の照射範囲は電子線を照射している位置を含むよ
うに設定出来る。
【0034】従って、上記の動作により、電子線を照射
する間、半導体試料表面に光を照射することで、半導体
の内部には光の作用による電子正孔対が発生している。
この電子正孔対は、界面準位の帯電によって生じた電界
によって移動し、その帯電を中和する作用を持つ。従っ
て、光照射によって、界面準位の帯電によって表面に生
じた電位のズレが緩和される。すなわち、光照射による
キャリアの生成という非熱平衡を強制的に導入すること
によって「フェルミレベルのピニング」による「バンド
の曲がり」が解消され、オージェスペクトルのピークの
シフト量からPN接合間の電位差(Vd)を検出するこ
とが可能になる。この測定をプローブを走査しながら実
行すれば、Vdの面内分布を得ることが出来、さらに、
(1)式を用いれば、キャリア濃度の面内分布に変換す
ることも可能である。
【0035】以上のように本実施の形態によれば、界面
準位の問題を回避した正確なキャリア分布の評価が可能
になり、デープサブミクロンの半導体装置の開発に要求
される重要な解析技術を提供するものである。
【0036】次に、第2の実施の形態の半導体解析装置
について述べる。本形態は第1の実施の形態における半
導体解析装置において、照明光源の光のエネルギーを限
定したものである。
【0037】照明光源の光を、半導体試料のバンドギャ
ップよりは大きいが仕事関数よりは小さいエネルギーを
持つ波長の光と限定すれば、キャリアの発生効果はある
が、光照射単独で試料表面から電子放出すなわち光電子
放出が起こることはない。
【0038】シリコンの場合、バンドギャップは室温で
約1.08eV、一方、仕事関数はキャリアの濃度に依存
するが、少なくとも真空を基準とした伝導体までのエネ
ルギー4.05eV以上はあるので、光のエネルギーとし
ては1.08eV〜4.05eVすなわち、1115nm〜3
06nmの波長を用いればよい。また、光の吸収は波長が
短いほど強くなるので、表面でキャリアを効率よく発生
するには短波長の方が有利となる。
【0039】本実施の形態では、波長が633nmのHe-N
eレーザーまたは、緑色(約500nm)の半導体レーザ
ーを使用している。何れの光源を用いる場合も、界面準
位の帯電を打ち消すのに必要な数mW/cm-2の強度の光照
射を行っても、オージェスペクトルのバックグランドが
増加せず、高SN比の測定が維持できた。
【0040】このように、第2の実施の形態を適用する
ことにより、さらに、光電子による信号のバックグラン
ドの増加を防ぎ、SN比の高い測定が保証される。
【0041】次に、第3の実施の形態による半導体解析
装置について述べる。本形態による半導体解析装置は、
第1の実施の形態と第2の実施の形態における半導体解
析装置の機能に加えて、照射光の強度を変調する手段
と、電子エネルギー分析装置の出力を光変調信号によっ
て同期検波する手段とを備えている。
【0042】まず、変調信号発生器12による正弦波形
信号により、強度可変光源11の出力を正弦波状に変化
させる。ロックインアンプ13に電子エネルギー分析装
置23の出力と変調信号発生器12の信号を入力し、変
調信号による同期検波を行う。ロックインアンプ13の
出力として、変調信号周波数成分を持つ信号強度および
変調信号に対する位相のずれが検出される。
【0043】照明光源として、ここでは緑色(波長約5
00nm)の半導体レーザーを使用し、半導体レーザー
の駆動電流を変調信号に比例して変化させることで出力
を変調した。駆動電流は、直流バイアスに変調信号に比
例した正弦波を重畳したものである。駆動電流の最小値
は、レーザー発振の閾値電流を下回る正の値を取るよう
に設定した。その結果、レーザー光の出力波形は、正弦
波状(直流成分が伴った正弦波)となり、瞬間最小出力
値を0Wに出来た。なお、駆動電流の最大値はレーザー
光出力のピーク強度を数百μW/cm2以下と低くなるよう
に設定した。また、変調周波数の設定は可変であるが、
通常は、位置を変化させて多数の測定点をとる必要か
ら、下限を1kHz以上とした。一方、上限は半導体の
光応答速度に依存するので試料によって大きく異なるこ
とが予想される。結局、試料に応じ、1kHz〜100
kHz範囲で調整した。
【0044】以上の機能を利用して半導体のPN接合を
解析する方法を以下に述べる。
【0045】本実施の形態では、変調する照射光のピー
ク強度を数百μW/cm2以下と低く設定しているので、界
面準位の帯電があまり緩和されない。その場合、光強度
を正弦波的に変化させると、その振幅に比例した光起電
力Vacが試料表面発生する。オージェ分光装置でこの光
起電力Vacを検出するには、光起電力Vacによってオー
ジェスペクトルのピークエネルギーに時間変化が生じる
ことを利用すればよい。
【0046】つぎに、オージェスペクトルのピークエネ
ルギーの時間変化を簡単に測定する方法を図3(c)を用
いて説明する。図3(c)は、時間的に変動しているオー
ジェスペクトルの各瞬間の形状を示した模式図で、電子
エネルギー分析を瞬時に行った場合に想定される波形で
ある。図中Dは表面電位が相対的に最も正にシフトした
瞬間のスペクトル、Fは表面電位が相対的に最も負にシ
フトした瞬間のスペクトル、Eは平均的なスペクトル位
置である。例えば、P型半導体試料の表面に強度を変調
した光を照射する場合、光強度が強いほど界面準位の負
の帯電が減少し、表面の帯電が相対的に正の方向に変化
するので、オージェスペクトルが低エネルギー側(Dの
方向)にシフトする。また、N型半導体試料の表面に強
度を変調した光を照射する場合は、光強度が強いほど界
面準位の正の帯電が減少し、表面の帯電が相対的に負の
方向に変化するので、オージェスペクトルは高エネルギ
ー側(Fの方向)にシフトする。そこで、Eの波形にお
けるオージェスペクトルの最大傾斜付近に検出器の分析
エネルギーを固定しておけば、光の周期的な強度変調に
伴って信号強度が周期的に変動するので、これを同期検
波すれば、ピークの変化の振幅に比例した出力を得るこ
とが出来る。電子エネルギー分析器の分析エネルギーを
(i)に固定したとき、ピークエネルギーが高エネルギー
側と低エネルギー側に少し変化すると、これに伴って検
出器の出力が(I)から(I)'および(I)"に大きく変化する
様子が示されている。なお、実際には光強度を弱く設定
しているので、光を照射しない状態と、光を照射してい
るときの平均的なスペクトルとをほぼ同一と見なせる。
したがって、分析エネルギーの調整は光照射を切った状
態で実施すれば十分である。
【0047】ここで、光強度を正弦波状に変化させるこ
とによって振幅に比例した光起電力Vacが発生する機構
を説明する。例えば、緑色(500nm)より短波長の半
導体レーザーを用いた場合、シリコンへの光の侵入深さ
が1μm以下になるので、バンドの曲がりにより空乏化
した表面の厚さと同程度であり、光により発生したキャ
リアのほとんどが空乏層に引き寄せられる。一方、空乏
層容量は空乏層の厚さWに反比例するので、結局発生す
る電圧の振幅はV=Q/Cの関係から、空乏層の厚さW
に比例することになる。Gを光照射による単位面積単位
時間当たりのキャリア生成個数とし、以上の関係を数式
化すると以下の(2)式のようになり、光強度の振幅を
一定にして光起電力の振幅Vacを測定すれば空乏層の幅
Wを見積もることが出来る。 Vac=qG/ωC=qGW/ωε=qGW/2πfε (2) または、 W=Vacωε/qGW=2πfVacε/qGW (2’) ここで、ωは光の変調角周波数、fは光の変調周波数、
Cは単位面積当たりの空乏層容量、εは誘電率である。
さらに、この方法は、空乏層を光照射で発生したキャリ
アが移動することによる起電力を測定するので、空乏層
の極性によってキャリアの移動する方向すなわち起電力
の極性が異なる。別の表現をすれば、空乏層の極性によ
って起電力の位相が180度異なる。具体的には、P型
半導体では光強度が強いほどオージェスペクトルが低エ
ネルギー側にシフトし、逆に、N型半導体では光強度が
強いほどオージェスペクトルが高エネルギー側にシフト
する。従って、光起電力の位相から空間電荷層の極性す
なわちP型半導体かN型半導体かが判断できる事にな
る。特にPN接合の境界では位相が反転するので接合面
を容易に判定することが出来る。なお、位相は同期検波
器の出力の極性や、位相出力で得ることができる。
【0048】一方、空間電荷層の厚さWは、表面でのフ
ェルミレベルのピニング位置がミッドギャップ近くと仮
定すれば、そのアクセプタ濃度(P型半導体の場合)ま
たはドナー濃度(N型半導体)と次式の関係にあるの
で、この関係と(2)式で求まるWを用いてドナーまた
はアクセプタの濃度Nを見積もることが出来る。
【0049】 W=√(2εφ/qN) (3) または N=2εφ/qW2 (3’) ここで、εは誘電率、φはピニングにより生じたバンド
の曲がりであり、0.5eV前後の値に設定する。バルク
中ではドナーまたはアクセプタの濃度Nはキャリア濃度
と等しいと見なせるので、以上の方法でNを求めればキ
ャリア濃度の空間分布を知ることが出来る。
【0050】以上のように、第2の実施の形態によれ
ば、キャリア濃度の空間分布と表面がP型であるかN型
であるかを同時に判定することが出来る優れた方法を提
供するものである。
【0051】次に、第4の実施の形態による半導体解析
装置について述べる。本形態は、第1の実施の形態また
は第2の実施の形態または第3の実施の形態の半導体解
析装置に加えて照射光に対する光検出機能を有する半導
体解析装置であることを特徴とする。
【0052】本実施の形態では、第1の実施の形態(図
1)において試料照明光16の光軸の位置を確認するの
に、光検出器17の信号を利用する。光軸の位置をずら
すと4つの光検出器の検出する信号がそれぞれの光軸と
の重なり程度に比例して出力が変化する。照射光の強度
分布が回転対称なガウス分布である場合、光検出器を試
料の4方向に対称に設置しておけば、4つの検出器の信
号が一致したときに試料の中心に光が照射されることに
なる。
【0053】他の方法として、試料表面からの反射光に
よって照射位置を確認できる場合もあるが、通常は、反
射の方向からの観察が困難であったり、窓から観察しよ
うとすると、オージェ電子分光装置にSEM(走査型電
子顕微鏡)の機能が備わっている場合に、SEMの二次
電子検出に用いるシンチレータに迷光が入り、SEM観
察が妨げられることがある。
【0054】以上のように、この実施の形態によって、
確実に照射光の光軸を確認することが可能なうえ、外部
からの迷光を遮断できるので、光照射が確実に出来、か
つ光軸調整の際にSEMの機能も妨害することがないと
いう利点が得られ、一つの真空装置でオージェ電子分光
とSEMといった複数の解析装置を利用する場合に、光
照射がこれらの解析装置へ影響することがないので、同
時測定などが可能となり、解析効率が著しく向上する。
【0055】次に、第5の実施の形態による方法につい
て述べる。この方法は、請求項1および請求項2および
請求項3記載の発明による半導体解析装置の何れにも適
用できる。
【0056】実際の半導体試料の解析では多くの場合、
観察したい試料の表面は理想的な平面ではなくある程度
の凹凸があるのが普通である。凹凸がある場合は、完全
な平面の場合と異なり、電子線の入射方向や検出器の設
置方向によってオージェ電子を検出する効率が、凹凸の
影響により観察場所に依存して異なることになる。この
凹凸の影響を取り除くため、本実施の形態では、「オー
ジェスペクトルにおけるピーク近傍の最大傾斜付近に検
出器の分析エネルギーを固定した時の信号強度と、ピー
クから分離したところ(バックグラウンド)に検出器の
分析エネルギーを固定した時の信号強度とを記録し、」
「後者に対する前者の比を求めるという方法」をとって
いる。バックグラウンドはエネルギーによる信号強度の
変化がほとんどないので、バックグラウンド強度の変化
は検出感度の変化を反映している。従って、この方法に
より、サンプルの表面の傾斜が変化してオージェ電子の
検出効率が変化しても、バックグラウンドの強度により
検出効率の変化を補正することになるので、ピークのシ
フト量を正確に捉えることが出来る。
【0057】従来は、いちいち分析エネルギーを連続的
に変化させることによってピークエネルギーを特定する
必要があり、必要なデータ量が膨大となり、測定時間も
増加した。本実施の形態では、極めて少ない測定回数
で、表面の凹凸による信号強度の変化と分離してピーク
エネルギーのシフトを反映した情報の抽出が可能とな
る。
【0058】なお、当然のことであるが、第3の実施の
形態では本実施の形態を適用する場合、バックグランド
の強度については同期検波しないことにする。
【0059】本実施の形態による方法を、図4を参照し
て説明する。図4は、第1の実施の形態または第2の実
施の形態による半導体解析装置および、第3の実施の形
態による半導体解析装置に、本実施の形態による方法を
適用した場合の、試料の形状と、以上の方法で得られる
信号波形の空間分布図である。
【0060】図4(a)は、半導体試料表面の形状とPN
接合の位置を示してある。また、図中に示したようにプ
ローブ電子線は試料に対し垂直方向から入射し、試料表
面から斜め方向に放出した電子が電子エネルギー分析装
置に入る。図4(b)は分析エネルギーをオージェスペク
トルのピークの位置に固定して、光照射を行わない場合
の位置による信号の変化で、PN接合の位置とは関係な
く、表面の凹凸を反映している。図4(c)は、分析エネ
ルギーをピークから最大傾斜にずらし、かつ光照射を行
った場合で、表面の凹凸の影響による信号強度の変化と
PN接合によりピークの位置が変化する影響が現れてい
る。図4(d)は、ピークから外れた位置でのバックグラ
ウンドの信号強度の変化を示しており、表面の凹凸の影
響で電子エネルギー分析装置の検出感度が変化し、バッ
クグラウンドの信号強度が変化している。図4(e)は、
各位置における(c)の信号強度と(d)のバックグラウンド
の信号強度との比率を計算したもので、表面の凹凸から
分離してPN接合の構造が検出されている。PN接合を
横切るときに電子または正孔の濃度が単調に増加または
減少するのに対応して、信号強度もこれに従って単調増
加している。なお、分析エネルギーをずらす方向をピー
クの反対側にした場合は単調減少となる。この信号の変
化は表面電位の変化であるので、これを(1)式のVd
に等しいと見なせば、キャリア濃度の比率の空間分布を
見積もることが出来、さらに既知量であるシリコン基板
のキャリア濃度を用いればキャリア濃度の絶対値の分布
が得られる。
【0061】次に、本実施の形態による方法を、第3の
実施の形態による半導体解析装置に適用した場合につい
て簡単に説明する。図4(f)は、照射光の強度を下げさ
らに強度変調し、分析エネルギーをピークの最大傾斜部
に設定し同期検波を行った場合の結果で、やはり、上記
のバックグランドの信号(d)との比率を求めた結果であ
る。凹凸の影響による波形の歪みがない。この場合はP
とNで検出される信号の極性が変化しているのと、PN
接合の近くではキャリア濃度が下がるために空乏層の幅
Wが増加し信号強度が増加する点で第2の実施の形態に
よる測定波形(e)とはカーブの形状が異なる。この曲線
から(2)式と(3)式を利用して、キャリア濃度の分
布が得られる。第2の実施の形態による測定波形(e)と
ここで述べた第3の実施の形態による測定波形(f)のい
ずれの方法でもキャリア濃度分布の評価が可能である
が、同期検波することにより接合の位置が極性の反転す
る位置になるので、第3の実施の形態による方法ではP
N接合位置の判定が容易になる利点がある。
【0062】以上のように本実施の形態に依れば、試料
表面の凹凸がある場合でも、検出感度の変化を補正しか
つ、短い測定時間でキャリア濃度の空間分布を測定する
ことが可能となるので、短時間で精度の高い解析を実現
できる。
【0063】なお、これまでに述べた実施の形態では、
光源としてHe-Neレーザーや緑色の半導体レーザーを紹
介したが、波長の条件さえ満足すれば、これをArレーザ
ーなどの他のレーザーに置き換えても良いし、必要なら
フィルターやYAGレーザー等の光照射手段を用いても良
いことは言うまでもない。
【0064】また、光源の強度を変調するのにファラデ
ー素子を用いる方法を紹介したが、これを、機械式のチ
ョッパーや電気光学素子や液晶など一般に用いられる方
法を利用できることは言うまでもない。また、半導体レ
ーザーや発光ダイオードを利用する場合は動作電流を変
調することで出力を変調しても良いことは言うまでもな
い。また、変調波形として正弦波状の実施の形態を示し
たが、これを、三角波や鋸歯状波や矩形波やそれ以外の
周期波形に置き換えて良いことは言うまでもない。
【0065】なお、光を照射する代わりに、電子線の強
度を増加させることにより、電子正孔対の生成を兼ねる
ことも可能であるが、この方法では電流の増加による電
子線の照射損傷により、かえって界面準位が増加した
り、あるいは結晶欠陥を生成して実効的なキャリア濃度
が増減するなどの悪影響が無視できなくなることや、電
子電流を増やすと空間電荷効果などによって電子ビーム
の径を細く絞るのが困難となり、ラインプロファイルや
二次元像を取得する場合の線分解能や空間分解能が低下
する問題が生じる。光照射はこのような問題を回避でき
る優れた手段である。
【0066】以上のように、本実施の形態によれば、オ
ージェ電子分光装置に、試料表面に光を照射する手段
と、照射する光の強度を周期的に変調する変調手段と、
変調信号と同期して電子検出手段の出力の強度と位相と
を抽出する同期検波手段と、光の光軸を検出する光検出
手段とを備えることにより、半導体の価電子帯や伝導帯
や内核電子軌道のエネルギー、キャリア濃度などを検出
可能な半導体解析装置が実現できる。
【0067】
【発明の効果】以上のように本発明は従来のオージェ電
子分光装置に、試料表面に光を照射する手段と、照射す
る光の強度を周期的に変調する変調手段と、変調信号と
同期して電子検出手段の出力の強度と位相とを抽出する
同期検波手段と、照射光の位置を検出する光検出器とを
備えることにより、半導体の価電子帯や伝導帯のエネル
ギー、キャリア濃度などの分布を高感度に検出可能な優
れた半導体解析装置を実現できるものである。この技術
を用いることで、微細化の進む半導体装置の横方向のP
N接合の位置を正確に測定することが可能となり、半導
体装置の性能を極限まで向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における走査電子顕
微鏡の構成図
【図2】従来のオージェ電子分光装置の構成図
【図3】半導体試料表面のオージェスペクトルを示す図
【図4】試料形状図および電子エネルギー信号波形の空
間分布図
【符号の説明】
11 強度可変光源 12 変調信号発生器 13 ロックインアンプ 14 プローブ電子線軌道 15 放出電子軌道 16 試料照明光 17 光検出器 21 電子銃 22 走査用電磁コイル 23 電子エネルギー分析装置 24 イオン銃 25 半導体試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F067 AA00 AA21 AA45 BB01 CC17 EE04 HH06 JJ05 KK05 LL00 QQ02 2G001 AA03 AA07 BA09 CA03 DA01 FA12 FA21 GA01 GA06 GA09 GA10 GA13 JA03 KA01 KA12 LA11 MA05 4M106 AA10 BA02 BA05 CB02 DH04 DH11 DH24 DH32 DH33 DJ11 DJ17 DJ18 DJ19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体試料表面に光を照射する照明手段
    と、前記半導体試料表面を所定のビーム径をもつ電子線
    で走査する電子線走査手段と、前記半導体試料表面から
    発生する電子を運動エネルギー分析して検出する電子エ
    ネルギー分析手段とを備えた半導体解析装置。
  2. 【請求項2】 半導体試料表面を照射する光のエネルギ
    ーが前記半導体試料のエネルギーギャップより大きく、
    かつ、前記半導体試料の仕事関数より小さいことを特徴
    とする請求項1に記載の半導体解析装置。
  3. 【請求項3】 半導体試料表面を照射する光の強度を周
    期的に変調する変調手段と、変調信号と同期して電子検
    出手段の出力の強度と位相とを抽出する同期検波手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の半導体解析
    装置。
  4. 【請求項4】 半導体試料表面を照射する光の光軸の近
    くに複数個の光検出器を備えたことを特徴とする請求項
    1に記載の半導体解析装置。
  5. 【請求項5】 半導体試料表面より放出される特定のオ
    ージェ電子の運動エネルギーの微小変位を検出する際
    に、オージェスペクトルにおけるピーク近傍の最大傾斜
    付近に電子エネルギー分析装置の分析エネルギーを固定
    した時の第1の信号強度と、前記ピークから離れたとこ
    ろに前記電子エネルギー分析装置の分析エネルギーを固
    定した時の第2の信号強度とを求め、前記第2の信号強
    度に対する前記第1の信号強度の比を求めることを特徴
    とする請求項1に記載の半導体解析方法。
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