JP2001143654A - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents
飛行時間型質量分析装置Info
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Abstract
供する。 【解決手段】 複数の扇形電場によって閉軌道を構成
し、イオンが閉軌道を複数回周回可能とする。この閉軌
道上にイオントラップが配置される。イオントラップ
は、作動させないときに閉軌道を進行するイオンが通過
できる様な通過口を有する。閉軌道からイオンを取り出
すための出射軌道が設けられる。イオントラップはその
内部にイオンを蓄積することができる。また、蓄積され
たイオンをイオントラップ内からパルス的に追い出して
軌道上を進ませるように、イオントラップの各電極に追
い出しのためのパルス直流電圧が印加される。
Description
析計(TOFMS)に関するものである。
ては、一定の加速エネルギーで加速した試料イオンが質
量に応じた飛行速度を持つことに基づき、一定距離を飛
行するのに要する飛行時間を計測して質量を求める。
オン源の条件が同一の場合、イオンの飛行距離に比例す
る。従って、高分解能を実現するためには飛行距離を大
きくすれば良いが、通常、それは装置の大型化に結びつ
く。
小型化を両立させるため、例えば、電場を用いてイオン
の飛行方向を変えてUターンさせることが行われてい
る。さらには、電場の数を増して閉じた軌道を構成し、
この軌道上でイオンを1回以上周回させることにより、
長い飛行距離を実現しようとする試みもある。
を構成する場合、鍵となるのは、閉じた軌道に対するイ
オンの入出射のための機構である。すなわち、閉じたイ
オン軌道にイオンを入射させる機構と、周回軌道からイ
オンを検出器へ向けて出射させる技術である。
ンが周回する閉軌道を有し、この閉軌道にイオンを打ち
込み、取り出しすることにより、飛行距離を長くするこ
とと装置の小型化を両立させた飛行時間型質量分析計を
提供することにある。
め、本発明は、試料イオンを閉じた軌道に沿って飛行さ
せて質量分析する飛行時間型質量分析計において、前記
軌道上にイオントラップを配置したことを特徴としてい
る。
れる一対のエンドキャップ電極と、該エンドギャップ電
極の間に配置されるリング電極とから構成され、該一対
のエンドギャップ電極には、イオンが通過する通過口が
設けられていることを特徴としている。
施の形態を説明する。図1は本発明を実施した飛行時間
型質量分析計の一例を示すイオン光学図である。図1に
おいて、旋回角度が180°よりも小さい4つの扇形電
場E1,E2,E3,E4を8の字の湾曲部分に配置するこ
とにより、8の字状の閉じたイオン軌道Aが形成され
る。この軌道Aは、4つの扇形電場E1〜E4内の円形軌
道A1〜A3と、扇形電場間を結ぶ4つの直進軌道A12,
A23,A34,A41から構成されている。
中には、イオントラップ1が配置されている。イオント
ラップ1は、基本構成として、イオン軌道(直進軌道A4
1)がリングの中心軸を通るように配置されるリング電極
2と、このリング電極2を間に挟むように間隔を置いて
対向配置される一対のエンドキャップ電極3,4とを含
む。リング電極2の内側のエンドキャップ電極3,4に
より囲まれた空間がトラップ領域となる。エンドキャッ
プ電極3,4のイオン軌道と交差する位置には、イオン
がイオントラップを通過出来るように通過口5,6が設
けられている。更に、前記トラップ領域へ試料ガスを導
入するための導入管7及び導入された試料ガスを電子衝
撃によりイオン化するための電子銃8が設けられてい
る。
の回路構成の概略を示す図である。図2に示すように、
リング電極2及びエンドキャップ電極3,4には、連動
関係にある3接点切換スイッチS2,S3,S4を介し
てa,b,c3種類のモードで電圧(接地含む)がそれぞ
れ供給される。すなわち、aモードでは、エンドキャッ
プ電極3,4は接地電位とされ、リング電極2にはトラ
ップ用の高周波電圧が高周波電源9より供給される。b
モードでは、リング電極2及びエンドキャップ電極3,
4には、直流電源10,11,12より直流電圧V2,
V3,V4がそれぞれ供給される。更に、cモードで
は、すべての電極は接地される。
へ取り出すための扇形電場13及び取り出されたイオン
を検出するイオン検出器14が設けられている。扇形電
場13は、取り出しを行うとき付勢され、それ以外の時
は付勢されず、イオンは扇形電場に設けられた通過口を
介して直進する。
に、切換スイッチS2,S3,S4は、aモードに設定
される。aモードでは、トラップ領域にイオンを安定に
トラップする四重極電界が形成される。そして、導入管
7からこの領域に導入されたガスが電子銃8からの電子
による衝撃を受けて生成されたイオン(正イオン)は、こ
のトラップ領域に蓄積されて行く。
導入は停止され、次いで、切換スイッチS2,S3,S
4は、短時間bモードに設定された後、cモードに設定
される。このbモードでは、リング電極2及びエンドキ
ャップ電極3,4には、直流電源10,11,12より
直流電圧V2,V3,V4がそれぞれ供給されるが、V
2,V3,V4には、V2>V3>V4の関係が与えら
れているため、トラップ領域には正イオンを図1におけ
る上方へ押し出す電場が形成され、その電場により、ト
ラップ領域に蓄積されていたイオンは、等しいエネルギ
ーを与えられつつパルス的にイオントラップ1から押し
出され、扇形電場E1へ向かって飛行を開始する。
ス的に取り出されたイオンは、扇形電場E1,E2,E
3,E4を順次通過してイオントラップ1へ戻って来る
が、このときにはイオントラップ1の各電極はcモード
にて接地電位に設定されているため、イオンは加減速を
受けず通過口5,6を介してイオントラップを通過する
ことができる。そして、イオントラップを通過したイオ
ンは、再度扇形電場E1,E2,E3,E4を順次通過
し、これを繰り返すことにより、周回を重ねることにな
る。その間に、イオンは、その速度に応じて展開され
る。
時点で、取り出し用扇形電場13を付勢すると、質量に
応じて展開されたイオンは次々と周回軌道から取り出さ
れ、検出器14に入射して検出される。
イミングは、周回軌道上で最も軽いイオンを先頭として
展開されているイオンの先頭が扇形電場13に到達する
直前から最後尾が通過し終わるまでの期間である。
おけるイオンの周回軌道上にイオントラップを配置した
本発明では、イオントラップに蓄積されたイオンを飛行
時間型質量分析装置の軌道上に追い出して質量分析を行
うことができる。また、イオントラップ内にイオンを単
に蓄積するだけでなく、種々の実験(例えばイオントラ
ップにより予め蓄積するイオンの質量を選択しておく、
あるいはイオントラップ内に蓄積されたイオンにレーザ
ー光を照射してイオンをこわすなど)を行った後にイオ
ンを軌道上に追い出して質量分析することも可能であ
る。
離を行った特定のイオン種をイオントラップ内に捕捉す
ることによって、イオントラップ内でさらなる実験を行
うことができる。外から飛行してきたイオンをイオント
ラップ内に捕捉するには、イオントラップの各電極にイ
オンを追い出したときの加速電圧を、イオンがイオント
ラップに入射する瞬間にパルス的に印加し、その後リン
グ電極に高周波電圧を印加してトラップ領域にイオンを
安定にトラップする四重極電界が形成されるようにすれ
ばよい。
導入してイオン化したが、別の場所で生成されたイオン
を外からトラップ領域内に導入するようにしても良い。
図4はこのような考え方に基づく他の実施例の構成を示
している。本実施例では、外部のイオン源21で生成さ
れたイオンを、イオン周回軌道上へ導く扇形電場22が
設けられている。この扇形電場22により周回軌道上へ
導かれたイオンは、イオントラップ内に導入されて蓄積
される。また、本実施例では、取り出し用扇形電場を設
けずに、扇形電場E2を発生するための電極の一方に、
取り出し穴を設け、取り出しの際には扇形電場E2の強
度を零としてイオンを直進させ、その取り出し穴を介し
て周回軌道外へイオンを取り出し、イオン検出器へ導い
て検出するようにしている。
されたイオンをイオントラップ内に導入し蓄積するが、
蓄積後にイオンをパルス的に取り出して周回軌道に乗
せ、質量に応じて展開させて検出する過程は、先の実施
例と全く同一である。
イオンを、閉じた軌道に沿って飛行させて質量分析する
飛行時間型質量分析計において、前記軌道上にイオント
ラップを配置したため、小型でありながらイオンの周回
回数を増やして飛行距離を延ばすことができる飛行時間
型質量分析装置が実現される。
概略を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】試料イオンを、閉じた軌道に沿って飛行さ
せて質量分析する飛行時間型質量分析装置において、前
記軌道上にイオントラップを配置したことを特徴とする
飛行時間型質量分析装置。 - 【請求項2】前記イオントラップは、対向配置される一
対のエンドキャップ電極と、該エンドギャップ電極の間
に配置されるリング電極とから構成され、該一対のエン
ドギャップ電極には、イオンが通過する通過口が設けら
れていることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質
量分析装置。 - 【請求項3】前記イオントラップは、その内部において
イオンを生成させることが可能になっていることを特徴
とする請求項1又は2記載の飛行時間型質量分析装置。 - 【請求項4】前記イオントラップへの高周波の供給を停
止して、パルス電圧を印加することによってイオントラ
ップ内部のイオンを飛行時間型質量分析装置のイオン軌
道へ取り出し得るようになっていることを特徴とする請
求項3記載の飛行時間型質量分析装置。 - 【請求項5】前記イオントラップを構成する電極にパル
ス電圧を印加することによって軌道上にあるイオンをイ
オントラップ内部にトラップし得るようになっているこ
とを特徴とする請求項3記載の飛行時間型質量分析装
置。 - 【請求項6】前記閉軌道は、複数の扇形電場の組み合わ
せにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の飛行時間型質量分析計。
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