JP2001138030A - 砂型鋳造による鋳物製品の製造方法 - Google Patents

砂型鋳造による鋳物製品の製造方法

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JP2001138030A
JP2001138030A JP32320899A JP32320899A JP2001138030A JP 2001138030 A JP2001138030 A JP 2001138030A JP 32320899 A JP32320899 A JP 32320899A JP 32320899 A JP32320899 A JP 32320899A JP 2001138030 A JP2001138030 A JP 2001138030A
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casting
shot blasting
shot
impact energy
steel ball
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JP32320899A
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Toshiji Matsui
利治 松井
Masami Takagi
正己 高木
Noriyuki Nakajima
範之 中島
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Asahi Tec Corp
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Asahi Tec Corp
Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳物製品の疲労強度を損なわずに靱性を向上
させることができる砂型鋳造による鋳物製品の製造方
法。 【解決手段】 溶湯10を砂型11のキャビティに注湯
する注湯工程と、キャビティ12内の溶湯を凝固させて
鋳物14を形成する凝固工程と、砂型11から取り出さ
れた鋳物14の表面14aに粒子媒体17により衝撃を
加えて鋳物14の表面部分に付着した砂16を除去する
ショットブラスト処理工程と、ショットブラスト処理に
より低下した鋳物14の靱性をその鋳物14が元来有す
る靱性に回復させるためにショットブラスト処理後に鋳
物14をアニーリングするアニーリング処理工程と、ア
ニーリング処理により低下した鋳物14の疲れ強さをシ
ョットブラスト処理後の鋳物14が有する疲れ強さと同
等以上にするためにアニーリング処理後の鋳物14の表
面14aにショットブラスト処理により加えた衝撃エネ
ルギー量よりも小さい衝撃エネルギー量を粒子媒体18
により加えるショットピーニング処理工程とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疲れ強さと靱性と
を兼ね備えた砂型鋳造による鋳物製品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、砂型鋳造による鋳物製品の鋳
造方法では、図1に示すように、砂型1のキャビティ2
に湯口3から溶湯4を注湯し、その溶湯4を凝固させ
て、図2に示す鋳物5を製造している。
【0003】この鋳物5にはその表面に砂が付着してお
り、従来、この砂を除去するために、図2に示すよう
に、粒子媒体としての鋼球6を鋳物5の表面5aに衝突
させて砂を除去するというショットブラスト処理を行っ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このシ
ョットブラスト処理を鋳物5の表面5aに衝突させて、
鋳物5に衝撃を加えると一般に圧縮残留応力が増加して
疲れ強さが増加するが、反面、鋳物5の表面部分が加工
硬化を起こすため鋳物5の靱性(特に伸び)が低下する
という問題点がある。
【0005】その低下した靱性の向上を図るためには、
ショットブラスト処理が施された鋳物をアニーリング処
理(焼鈍、熱処理)することが考えられるが、このアニ
ーリング処理を行うと、鋳物製品の疲れ強さが低下する
という問題点がある。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みて為されたも
ので、その目的とするところは、靱性を損なわずに疲れ
強さを向上させることのできる砂型鋳造による鋳物製品
の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の砂型鋳
造による鋳物製品の製造方法は、溶湯を砂型のキャビテ
ィに注湯する注湯工程と、前記キャビティ内の溶湯を凝
固させて鋳物を形成する凝固工程と、前記砂型から取り
出された鋳物の表面に粒子媒体により衝撃を加えて該鋳
物の表面部分に付着した砂を除去するショットブラスト
処理工程と、該ショットブラスト処理により低下した鋳
物の靱性を当該鋳物が元来有する靱性に回復させるため
に前記ショットブラスト処理後に前記鋳物をアニーリン
グするアニーリング処理工程と、該アニーリング処理に
より低下した鋳物の疲れ強さを前記ショットブラスト処
理後の鋳物が有する疲れ強さに戻すかそれ以上にするた
めに前記アニーリング処理後の鋳物の表面に前記ショッ
トブラスト処理により加えた衝撃エネルギー量よりも小
さい衝撃エネルギー量を粒子媒体により加えるショット
ピーニング処理工程とからなることを特徴とする。
【0008】この場合、粒子媒体には鋼球を用いること
が望ましく、ショットピーニング処理工程で鋳物に加え
る衝撃エネルギー量をショットブラスト処理工程で鋳物
に加える衝撃エネルギー量よりも小さくするには、ショ
ットピーンニング処理工程で用いる鋼球の直径をショッ
トブラスト処理工程で用いる鋼球の直径よりも小さくす
る、ショットピーンニング処理工程で用いる鋼球の硬さ
をショットブラスト処理工程で用いる鋼球の硬さよりも
軟らかいものを用いる、ショットピーンニング処理工程
で用いる鋼球の速度をショットブラスト処理工程で用い
る鋼球の速度よりも遅くするか、ショットピーンニング
処理工程において粒子媒体により鋳物に衝撃を加える時
間をショットブラスト処理工程において粒子媒体により
鋳物に衝撃を加える時間よりも短くすると良い。
【0009】なお、その衝撃エネルギー量を客観的に測
定するには、アークハイト値を用いれば良い。
【0010】請求項6に記載の砂型鋳造による鋳物製品
の製造方法は、溶湯を砂型のキャビティに注湯する注湯
工程と、前記キャビティ内の溶湯を凝固させて鋳物を形
成する凝固工程と、前記砂型から取り出された鋳物の表
面に粒子媒体を衝突させてその表面部分に付着した砂を
除去することによって該表面部分に加工硬化が生じて疲
れ強さが増加すると共に前記鋳物が元来有する靱性が低
下するショットブラスト処理工程と、前記加工硬化によ
り低下した鋳物の靱性を当該鋳物が元来有する靱性に回
復させるために前記ショットブラスト処理後の鋳物をア
ニーリングすることにより前記表面部分の硬度が低下し
て前記疲れ強さが減少するアニーリング処理工程と、前
記鋳物が元来有する靱性の低下を回避しつつ前記アニー
リング処理工程により低下した疲れ強さを前記ショット
ブラスト処理工程後の疲れ強さに回復させるために前記
ショットブラスト処理工程による表面部分の硬度よりも
低い硬度が該表面部分に得られるように当該表面部分に
粒子媒体により衝撃を加えるショットピーニング処理工
程とからなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を参照しつつ説明する。
【0012】ここで説明する鋳物製品の材料は、ダクタ
イル鋳鉄であり、例えば、図3に示す化学組成を有す
る。この化学組成を有する材料を溶成し、図4の工程模
式図に示すように、その溶湯10を砂型11のキャビテ
ィ12に湯口13から注湯する。そして、その溶湯10
を凝固させて鋳物14を鋳造する。次に、砂型11を破
壊して鋳物14を取り出し、熱処理炉15に入れて、こ
の鋳物14をフェライト化熱処理により熱処理する。そ
のフェライト化熱処理によるヒートサイクルは例えば図
5に示すヒートパターンに従って行われる。
【0013】次に、ショットブラスト処理により鋳物1
4に付着した砂16を除去する。このショットブラスト
処理には粒子媒体として例えば鋼球17を用いる。その
鋼球17の直径は例えば2mm、その硬度はロックウエ
ル硬度HRC40、鋼球17の速度は50(m/s)、
全体として鋳物14の表面部分14aに衝撃を加えた時
間は240秒である。このショットブラスト処理では、
付着した砂を飛ばすという目的から、衝撃エネルギーを
弱くすることはできない。なお、粒子媒体としては、球
形に限らず不定形のものを用いても良い。
【0014】このようなショットブラスト処理を行うこ
とにより、鋳物14の表面部分14aに付着している砂
16が除去されてその表面粗さが改善され、面精度が向
上する。と同時に、鋳物14の表面部分が加工硬化を起
こし、表面部分14aの硬度が増すと共に疲労強度が増
加する。その反面、その鋳物14の材料物質が元来有す
る靱性が低下する。その靱性の低下は鋳物14の肉厚が
薄くなればなるほど大きい。
【0015】次に、この鋳物14をアニーリング処理す
る。この鋳物14のアニーリングは650°Cの温度で
2時間行い、その後炉冷する。このアニーリング処理に
より、鋳物14が元来保有している靱性が回復するが、
その反面、疲労強度が低下する。
【0016】そこで、このアニーリング処理後、鋳物1
4にショットピーニング処理を行う。このショットピー
ニング処理工程では、ショットブラスト処理工程で鋳物
14の表面部分14aに加える衝撃エネルギー量よりも
低い衝撃エネルギー量を鋳物14の表面14aに加え
る。
【0017】ここでは、このショットピーニング処理に
は、同様に鋼球18を用い、その鋼球18の直径は例え
ば1mm、その硬度はロックウエル硬度HRC40、鋼
球18の速度は20(m/s)、全体として鋳物14の
表面14aに衝撃を加える時間は240秒である。
【0018】このように、ショットブラスト処理工程で
鋳物14の表面14aに加える衝撃エネルギー量よりも
低い衝撃エネルギー量を鋳物14の表面14aに加える
と、鋳物14の疲労強度は向上し、その靱性の低下は免
れる。
【0019】発明者は、上記の結論が妥当であること
を、鋳物14の表面粗さRzと鋳物14の伸び率との関
係、鋳物14の表面粗さRzと鋳物14の疲労強度との
関係、ショットブラスト処理による鋳物14の表面14
aからの深さと硬度との関係、表面からの深さと圧縮残
留応力との関係、表面硬度と最大圧縮残留応力との関係
を示すグラフを解析することによって得た。これらのグ
ラフは実験データを解析することによって得られたもの
である。
【0020】なお、この表面粗さRzと伸び率との解析
には、図6(a)に示す試験片19を砂型により鋳造す
ることにより行った。また、表面粗さRzと疲労強度の
解析には、図6(b)に示す試験片20を砂型により鋳
造することにより行った。ここで、疲労強度試験は片振
り4点曲げ疲労試験によるものである。
【0021】図7はその試験片19の表面粗さRzと伸
び率との関係を示すグラフである。この図7において、
NO2で示す黒丸印は、フェライト化熱処理後の試験片
19の表面粗さRzと伸びとの関係を示している。この
試験片19にショットブラスト処理を行うと、NO3の
黒三角印で示すように、試験片19の表面粗さRzが改
善される。ここでは、表面粗さRzは220μm程度か
ら120μm程度に改善されている。しかしながら、そ
の伸び率はその試験片19が表面粗さ120μmのとき
にその試験片19の材料物質が元来保有すべき伸び率よ
りも低下している。これは、ショットブラスト処理によ
り試験片19の表面19aが加工硬化を起こすからであ
る。
【0022】この試験片19にアニーリング処理を行う
と、ショットブラスト処理による硬化が低下し、NO4
の三角印で示すように、試験片19はその表面粗さが1
20μmのときにその材料物質が元来保有すべき伸び率
にまで回復する。次に、ショットピーニング処理を行う
と、NO5のスター印で示すように、更に試験片19の
表面粗さRzが改善される。一方、その伸び率は若干低
下するが、ショットブラスト処理時の伸び率よりも大き
い。
【0023】図8は試験片20の表面粗さRzとその疲
労強度(繰り返し数107回での疲労限応力)との関係
を示すグラフである。この図8において、NO6で示す
黒丸印はフェライト化熱処理後の鋳物としての試験片2
0の疲労限応力と表面粗さRzとの関係を示している。
この試験片20にショットブラスト処理により強い衝撃
エネルギー量を加えると、NO7の黒三角印で示すよう
に表面粗さRzが改善される。ここでは、表面粗さRz
は220μm程度から120μm程度に改善されてい
る。また、その試験片20の疲労強度も向上している。
一方、そのフェライト化熱処理直後の試験片20にショ
ットピーニング処理により弱い衝撃エネルギー量を加え
ると、NO8の黒四角印で示すように、強い衝撃エネル
ギーを加えたときに得られる表面粗さRzよりも表面粗
さRzの改善される程度は小さい。ここでは、表面粗さ
Rzは220μm程度から180μ程度に改善される。
その一方、疲労限応力は強い衝撃エネルギー量を試験片
20の表面20aに加えたときに得られる疲労限応力に
近づく。
【0024】次に、ショットブラスト処理を行った試験
片20をアニーリング処理すると、加工硬化に起因する
残留応力が低下してNO9の黒三角印で示すように、そ
の疲労限応力が低下する。次いで、このアニーリング処
理後の試験片20にショットピーニング処理を行うと、
NO10のスター印で示すように、疲労限応力が向上す
る。なお、この図8において、スター印は、その試験片
20のショットピーニング処理後の実測値を示す。
【0025】この図7、図8に示す伸び率と表面粗さと
の関係を示すグラフ、疲労限応力と表面粗さとの関係を
示すグラフから明らかなように、鋳物にショットブラス
ト処理を行った後、アニーリング処理を行って、鋳物の
靱性を回復させた後、ショットブラスト処理により鋳物
の表面に加える衝撃エネルギー量よりも低い衝撃エネル
ギー量を鋳物の表面に加えることによって、疲れ強さと
靱性とを兼ね備えた特性にすることができる。
【0026】なお、その図7において、符号X1は鋳物
の材料物質が元来保有すべき伸び率と表面粗さとの関係
を示す直線であり、その図8において、符号X2はその
鋳物の材料物質が元来保有すべき疲労限応力と表面粗さ
との関係を示す直線であり、表面粗さRzが改善される
と伸び率及び疲労限応力が増加することが見てとれる。
【0027】従って、当初から表面粗さRzを良好にす
れば靱性を向上させることもできるが、通常、砂型11
には砂を結合するための結合材が含まれており、溶湯1
0を砂型11に注湯すると、結合材がガス化し、きめの
細かな砂を用いて砂型11を用いて鋳物を製造すること
にすると、通気性が悪くなって、鋳物にガス欠陥や巣が
発生し、これによって、鋳物製品の不良率が増加するた
め、砂型11に用いる砂には粗いものを用いざるを得
ず、このため、鋳物14の表面粗さを当初から良好に形
成することは難しい。
【0028】以下に、鋳物の材料が元来保有すべき靱性
の低下を回避しつつ疲労強度をショットブラスト処理工
程後の疲労強度に回復させることができる理由について
更に考察する。
【0029】一般に、金属材料では、圧縮残留応力が大
きいと疲労強度が高いと考えられる。また、その金属材
料の硬度が大きいと靱性が小さいと考えられる。そこ
で、鋳物製品の表面硬度と最大圧縮残留応力との関係、
硬度とその表面からの深さとの関係、圧縮残留応力と表
面からの深さとの関係について、実験を行って、図9〜
図11に示すグラフを得た。
【0030】図9はその鋳物製品としての試験片19
(20)の表面硬度と最大圧縮残留応力との関係を実験
データから得たグラフである。この図9から明らかなよ
うに、表面硬度が増加すると、最大圧縮残留応力は増加
するが、ビッカース硬度にして220程度以上になると
飽和し、表面硬度がそれ以上大きくなると、最大圧縮残
留応力はほとんど一定となる。これは、表面硬度が22
0以上になると、疲労強度が飽和して一定値に近づくこ
とを意味している。
【0031】図10は圧縮残留応力と試験片19(2
0)の表面からの深さとの関係を実験データから得たグ
ラフである。その図10において、黒丸印は衝撃エネル
ギーを試験片19(20)に加えなかったときの表面か
らの深さと圧縮残留応力との関係を示すプロットであ
り、黒四角印は鋼球18により弱い衝撃エネルギー量を
試験片19(20)に加えたときの表面からの深さと圧
縮残留応力との関係を示すプロットであり、黒三角印は
鋼球17により強い衝撃エネルギー量を試験片19(2
0)に加えたときの表面からの深さと圧縮残留応力との
関係を示すプロットであり、試験片19(20)に全く
衝撃エネルギーを加えなかったときの圧縮残留応力は表
面からの深さによらず一定であり、かつ、ほとんど
「0」に等しいとみなすことができる。
【0032】これに対して、鋼球17により強い衝撃エ
ネルギー量を試験片19(20)に加えた場合には、そ
の圧縮残留応力は深いところにまで達し、例えば、深さ
0.25mmのところでも200MPa程度ある。これ
に対して、鋼球18により弱い衝撃エネルギー量を試験
片19(20)に加えた場合には、その圧縮残留応力は
深いところまで達するが、鋼球17により強い衝撃エネ
ルギー量を試験片19(20)に加えた場合に較べて、
その圧縮残留応力は小さく、例えば、深さ0.25mm
のところでは100MPa程度である。一方、表面深さ
「0」近傍のところの最大圧縮残留応力は鋼球17によ
り強い衝撃エネルギー量を試験片19(20)に加えた
場合と同じ程度であり、400MPaである。
【0033】これは、ショットブラスト処理時に試験片
19(20)に加えられる衝撃エネルギー量よりも弱い
衝撃エネルギー量を試験片19(20)に加えることに
よっても疲労限応力をショットブラスト処理時に得られ
る疲労限応力に近づけることができることを意味してい
る。
【0034】図11はその試験片19(20)のビッカ
ース硬度と表面からの深さとの関係を示すグラフであ
り、黒丸印は衝撃エネルギーを試験片19(20)に加
えなかったときの表面からの深さと硬度との関係をプロ
ットしたものであり、そのビッカース硬度は深さによら
ずほとんど一定であり、例えば、150程度である。黒
三角印は鋼球17により強い衝撃エネルギー量を試験片
19(20)に加えたときの表面からの深さと硬度との
関係を示すプロットであり、表面近傍のビッカース硬度
は250よりも高く、表面からの深さが深くなるに従っ
て徐々にビッカース硬度が減少し、衝撃エネルギーを試
験片19(20)に加えなかったときの硬度値に接近す
る。黒四角印は鋼球18により弱い衝撃エネルギー量を
試験片19(20)に加えたときの表面からの深さと硬
度との関係を示すプロットであり、鋼球17により強い
衝撃エネルギーを試験片19(20)により加えたとき
のビッカース硬度よりも低いが、衝撃エネルギーを試験
片19(20)に加えなかったときのビッカース硬度よ
りも高く、表面近傍のビッカース硬度は240程度であ
る。また、そのビッカース硬度は表面からの深さが深く
なるに従って徐々にビッカース硬度が減少し、鋼球によ
る衝撃エネルギーを試験片19(20)に加えなかった
ときの硬度値に接近する。
【0035】その硬度は、伸び率(靱性)に関係する量
であるので、図9〜図11に示すグラフから、ショット
ブラスト処理により鋳物製品の表面部分に得られた硬度
よりも低い硬度が得られるような衝撃エネルギー量をア
ニーリング処理後の鋳物製品に加えれば、靱性の低下を
回避しつつ疲労限応力をショットブラスト処理時の疲労
限応力と同等にすることが可能であると理解できる。
【0036】このようにして得られた鋳物製品は、靱性
と疲れ強さとの双方の特性を要求される自動車部品、と
くに、薄肉形状の自動車部品に用いるのに好適である。
【0037】
【発明の効果】本発明は、以上説明した方法であるの
で、鋳物製品の靱性を損なわずに疲れ強さを向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 砂型への溶湯の注湯を示す模式図である。
【図2】 ショットブラスト処理の概要を示す説明図で
ある。
【図3】 本発明の実施の形態の鋳物製品に使用する材
料物質の化学組成図である。
【図4】 本発明に係わる鋳物製品の製造工程を示す模
式図である。
【図5】 鋳物のフェライト化熱処理ヒートサイクルの
概要を示すグラフである。
【図6】 本発明に係わる試験片の形状を示す説明図で
あって、(a)は引っ張り試験に用いた試験片の形状を
示す図、(b)は疲労強度試験に用いた試験片の形状を
示す図である。
【図7】 図6(a)に示す試験片の表面粗さと伸び率
との関係を示すグラフである。
【図8】 図6(b)に示す試験片の表面粗さと疲労限
応力との関係を示すグラフである。
【図9】 試験片の表面硬度と最大圧縮残留応力との関
係を示すグラフである。
【図10】 試験片の表面からの深さと圧縮残留応力と
の関係を示すグラフである。
【図11】 試験片の表面からの深さと硬度との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
10 溶湯 11 砂型 12 キャビティ 14 鋳物 16 砂 17、18 粒子媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 正己 東京都港区芝五丁目33番8号三菱自動車工 業株式会社内 (72)発明者 中島 範之 静岡県菊川町堀之内547−1旭テック株式 会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯を砂型のキャビティに注湯する注湯
    工程と、 前記キャビティ内の溶湯を凝固させて鋳物を形成する凝
    固工程と、 前記砂型から取り出された鋳物の表面に粒子媒体により
    衝撃を加えて該鋳物の表面部分に付着した砂を除去する
    ショットブラスト処理工程と、 該ショットブラスト処理により低下した鋳物の靱性を当
    該鋳物が元来有する靱性に回復させるために前記ショッ
    トブラスト処理後に前記鋳物をアニーリングするアニー
    リング処理工程と、 該アニーリング処理により低下した鋳物の疲れ強さを前
    記ショットブラスト処理後の鋳物が有する疲れ強さに戻
    すかそれ以上にするために前記アニーリング処理後の鋳
    物の表面に前記ショットブラスト処理により加えた衝撃
    エネルギー量よりも小さい衝撃エネルギー量を粒子媒体
    により加えるショットピーニング処理工程と、からなる
    ことを特徴とする砂型鋳造による鋳物製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粒子媒体が鋼球であり、前記ショッ
    トピーニング処理工程により前記鋳物に加えられる衝撃
    エネルギー量を前記ショットブラスト処理工程により前
    記鋳物に加えられる衝撃エネルギー量よりも小さくする
    ために、前記ショットピーンニング処理工程で用いる鋼
    球の直径が前記ショットブラスト処理工程で用いる鋼球
    の直径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記
    載の砂型鋳造による鋳物製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粒子媒体が鋼球であり、前記ショッ
    トピーニング処理工程により前記鋳物に加えられる衝撃
    エネルギー量を前記ショットブラスト処理工程により前
    記鋳物に加えられる衝撃エネルギー量よりも小さくする
    ために、前記ショットピーンニング処理工程で用いる鋼
    球の硬さが前記ショットブラスト処理工程で用いる鋼球
    の硬さよりも軟らかくしたことを特徴とする請求項1に
    記載の砂型鋳造による鋳物製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粒子媒体が鋼球であり、前記ショッ
    トピーニング処理工程により前記鋳物に加えられる衝撃
    エネルギー量を前記ショットブラスト処理工程により前
    記鋳物に加えられる衝撃エネルギー量よりも小さくする
    ために、前記ショットピーンニング処理工程で用いる鋼
    球の速度が前記ショットブラスト処理工程で用いる鋼球
    の速度よりも遅いことを特徴とする請求項1に記載の砂
    型鋳造による鋳物製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粒子媒体が鋼球であり、前記ショッ
    トピーニング処理工程により前記鋳物に加えられる衝撃
    エネルギー量を前記ショットブラスト処理工程により前
    記鋳物に加えられる衝撃エネルギー量よりも小さくする
    ために、前記ショットピーンニング処理工程において粒
    子媒体により前記鋳物に衝撃を加える時間が前記ショッ
    トブラスト処理工程において粒子媒体により前記鋳物に
    衝撃を加える時間よりも短くしたことを特徴とする請求
    項1〜請求項4のいずれか1項に記載の砂型鋳造による
    鋳物製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶湯を砂型のキャビティに注湯する注湯
    工程と、 前記キャビティ内の溶湯を凝固させて鋳物を形成する凝
    固工程と、 前記砂型から取り出された鋳物の表面に粒子媒体を衝突
    させてその表面部分に付着した砂を除去することによっ
    て該表面部分に加工硬化が生じて疲れ強さが増加すると
    共に前記鋳物が元来有する靱性が低下するショットブラ
    スト処理工程と、 前記加工硬化により低下した鋳物の靱性を当該鋳物が元
    来有する靱性に回復させるために前記ショットブラスト
    処理後の鋳物をアニーリングすることにより前記表面部
    分の硬度が低下して前記疲れ強さが減少するアニーリン
    グ処理工程と、 前記鋳物が元来有する靱性の低下を回避しつつ前記アニ
    ーリング処理工程により低下した疲れ強さを前記ショッ
    トブラスト処理工程後の疲れ強さに回復させるために前
    記ショットブラスト処理工程による表面部分の硬度より
    も低い硬度が該表面部分に得られるように当該表面部分
    に粒子媒体により衝撃を加えるショットピーニング処理
    工程とからなることを特徴とする砂型鋳造による鋳物製
    品の製造方法。
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