JP2001137595A - 電気洗濯機 - Google Patents

電気洗濯機

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JP2001137595A
JP2001137595A JP32334299A JP32334299A JP2001137595A JP 2001137595 A JP2001137595 A JP 2001137595A JP 32334299 A JP32334299 A JP 32334299A JP 32334299 A JP32334299 A JP 32334299A JP 2001137595 A JP2001137595 A JP 2001137595A
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meshing
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washing machine
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Shunichi Ishikawa
俊一 石川
Tamotsu Shikamori
保 鹿森
Tomoo Hamaguchi
智雄 濱口
Tomohiro Okawa
友弘 大川
Yasushi Shinko
靖 信耕
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気洗濯機の噛み合いクラッチ機構における回
転力伝達面が離接を繰り返すことによって発生する騒音
を低減する。 【解決手段】電動機の回転を洗濯兼脱水槽2に伝達する
噛み合いクラッチ機構47の回転力伝達面に緩衝部材を
介在させることにより、電動機の脈動トルクによる当り
音を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気洗濯機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】所謂全自動電気洗濯機は、外枠内に防振
支持装置によって懸垂支持した外槽内に洗濯兼脱水槽を
回転自在に設置し、更にこの洗濯兼脱水槽内の底部に撹
拌翼を回転自在に設置し、外槽の底の外側に取り付けた
駆動装置によって前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を回転
駆動する構成である。
【0003】駆動装置は、電動機の回転を減速歯車機構
を介して撹拌翼に伝達して該撹拌翼を低速で正逆回転さ
せて洗いおよび濯ぎ工程を実施し、また、クラッチ機構
を介して洗濯兼脱水槽に伝達して該洗濯兼脱水槽を一方
向に高速回転させて脱水工程を実施する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような全自動電気
洗濯機において、駆動装置におけるクラッチ機構は、噛
み合い係合式のクラッチ機構を採用しているために、電
動機の回転速度と洗濯兼脱水槽の回転速度が拮抗した状
態になると、噛み合い係合している回転力伝達面が電動
機の脈動トルクによって離接を繰り返して当り音(騒
音)を発生する。特に、この当り音は、電動機として誘
導電動機を使用し、この誘導電動機への給電電圧の波形
を位相制御することにより回転速度を所定の回転速度に
維持するような制御を行う全自動電気洗濯機において顕
著である。
【0005】本発明の目的は、駆動装置の噛み合いクラ
ッチ機構において、噛み合い係合している回転力伝達面
が離接を繰り返すことによって発生する騒音を低減する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、外槽内に回転
自在に設けた洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の底の
内側に回転自在に設けた撹拌翼と、前記外槽の底の外側
に設置されて前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を駆動する
駆動装置と、制御装置を備え、前記駆動装置は、洗濯兼
脱水槽および撹拌翼の駆動回転軸を中心にして垂直方向
に減速歯車機構とクラッチ機構と可逆回転電動機を直列
に配列した構成とした電気洗濯機において、前記クラッ
チ機構は、噛み合い係合する回転力伝達面に緩衝部材を
介在させたことを特徴とする。
【0007】また、前記可逆回転電動機は、誘導電動機
またはインバータ電動機としたことを特徴とする。
【0008】また、前記クラッチ機構は、電動機の回転
子に設けた噛み合い凹凸と入力軸に摺動可能に係合した
摺動子の噛み合い突起の噛み合い係合による当接面よっ
て回転力を伝達するようにしたことを特徴とする。
【0009】また、前記緩衝部材は、噛み合い凹凸の回
転方向の両側の当接面に介在するように設けたことを特
徴とする。
【0010】また、前記噛み合い凹凸は電動機の回転子
に設けた噛み合い凹凸板によって形成し、摺動子の噛み
合い突起は軸に摺動可能に係合した摺動子を成形する樹
脂により形成したことを特徴とする。
【0011】また、前記噛み合い凹凸板は、非磁性の金
属板または樹脂によって形成したことを特徴とする。
【0012】また、前記制御装置は、電動機への給電を
断続することにより脱水工程における回転速度を所定の
回転速度に維持する制御を行うようにしたことを特徴と
する。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施の形態で
ある全自動電気洗濯機の基本構成の概略を示す縦断側面
図である。
【0014】1は、内部機構を内包する枠体である。2
は、洗濯兼脱水槽であり、その上縁部に流体バランサー
3を備え、底部の内側には回転自在に撹拌翼4を備え
る。5は、前記洗濯兼脱水槽2を回転自在に内包する外
槽であり、底部の外側には駆動装置6を鋼板製の取り付
けベース7によって取り付け、外枠1の上端四隅から防
振支持装置8によって懸垂支持される。駆動装置6の内
部構成については後述する。
【0015】衣類投入開口9aを設けた上面カバー9
は、枠体1の上部開口を覆うように該開口端縁に嵌め込
み、フロントパネル10およびバックパネル11と共に
取り付けねじ(図示省略)によって枠体1に取り付け
る。
【0016】上面カバー9とフロントパネル10の間に
形成されるフロントパネルボックス12には、電源スイ
ッチ13と入力スイッチ群14と表示素子群15と外槽
5内の水位に応じた水位信号を発生する水位センサー1
6とコントロールユニット17を内蔵する。これらは制
御装置を構成する。
【0017】上面カバー9とバックパネル11の間に形
成されるバックパネルボックス18には、入水側を水栓
19に接続し、出水側を注水口20に接続する給水電磁
弁21を内蔵する。注水口20は、洗濯兼脱水槽2の開
口に向けて放水するように形成する。
【0018】上面カバー9に形成した衣類投入開口9a
は、蓋22によって開閉自在に覆うようにする。
【0019】外槽5の底部に形成した排水口5aは、排
水電磁弁23を介して排水ホース24に接続し、エアー
トラップ5bは、エアーチューブ25を介して前記水位
センサー16に接続する。
【0020】枠体1の下端縁には、四隅に脚26を取り
付けた合成樹脂製のベース27を装着する。
【0021】図2は、この全自動洗濯機の具体的な構成
を示す縦断側面図であり、その一部は展開して図示して
いる。この全自動洗濯機は、基本的には、図1に示した
全自動洗濯機と同一の構成であるので、図1に示した全
自動洗濯機の構成部品に相応する構成部品に同一の参照
符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】図3は、前記駆動装置6の内部構成を示す
縦断側面図である。
【0023】この駆動装置6は、洗濯兼脱水槽2および
撹拌翼4の駆動回転軸を軸心にして垂直方向に減速歯車
機構と噛み合いクラッチ機構と可逆回転型誘導電動機を
同心的に直列に配列した構成である。
【0024】減速歯車機構は、結合フランジを合わせて
取り付けねじ31によって取り付けベース7に取り付け
た2つ割りの減速機構外ケース32a,32bの内側に
ボールベアリング33a,33bによって内外2重構造
の駆動回転軸系34を支持する。
【0025】この駆動回転軸系34は、中空の外側回転
軸系とその中空内に配置した内側回転軸系を備える。
【0026】外側回転軸系は、電動機の回転を直に洗濯
兼脱水槽2に伝達して該洗濯兼脱水槽2を駆動する回転
軸系であり、外ケース32aの外側に伸びて外槽5を貫
通した先端部に洗濯兼脱水槽2を結合する外側出力軸部
35aと、外ケース32bの外側に伸びた筒部に噛み合
いクラッチ機構に係合するセレーション35bを形成
し、内側端にフランジ35cを形成した外側入力軸部3
5dと、その中間に位置して遊星歯車減速機構を収容す
る歯車ケース部35eを備える。歯車ケース部35eの
内周には遊星歯車減速機構の一部を構成する環状歯車3
5fを固着する。
【0027】この外側回転軸系の内側に設ける内側回転
軸系は、電動機の回転を減速して撹拌翼4に伝達して該
撹拌翼4を駆動する回転軸系であり、前記外側出力軸部
35a内にシール37とメタル軸受38a,38bとグ
リップ止め輪(プッシュナット)39によって水密およ
び抜け止め状態に設けられ、外側出力軸部35aの先端
から洗濯兼脱水槽2内に突出して撹拌翼4が取り付けら
れる外端部分に取り付けねじ36aが形成され、内端か
ら歯車ケース部35e内に突出して遊星歯車減速機構と
結合する内端部分にセレーション36bが形成された内
側出力軸部36cと、外側入力軸部35dの内側にボー
ルベアリング40a,40bによって支持され、この外
側入力軸部35dの外端から片持ち状態に伸び出た外端
部分に電動機回転子嵌着部36dと止めねじ36eが形
成され、歯車ケース部35e内に伸びた内端側部分に太
陽歯車36fが形成された内側入力軸部36gと、歯車
ケース部35e内において前記内側出力軸部36cのセ
レーション36bに嵌合したキャリア36hに軸支され
て前記歯車35f,36fに噛み合って回動して前記キ
ャリア36hに減速した回転力を伝達する遊星歯車36
iを備える。
【0028】ボールベアリング40a,40bは、電動
機の回転子軸となる内側入力軸部36gを高精度に支持
するために、外側入力軸部35d内に外輪圧入状態に取
り付ける。内側入力軸部36gは、後述するように、誘
導電動機の回転子を片持ち状態に支持するようになるの
で、この内側入力軸部36gを支持する軸受は、損失が
少なく且つ径方向の大きな荷重を支えるのに好適な転が
り軸受の代表的なボールベアリング40a,40bを使
用したが、ローラベアリングに置き換えることもでき
る。
【0029】このような駆動回転軸系34は、その外側
回転軸系の構成部品を亜鉛電気メッキした鋼板を冷間プ
レス加工して形成する。そして、先ず、外側出力軸部3
5a内に内側出力軸部36cを嵌入してメタル軸受38
a,38bで支え、シール37で水密状態にし、グリッ
プ止め輪39により仮押えした出力軸部を構成する。次
に、外側出力軸部35aの内端部に歯車ケース部35e
を嵌着して仮組み立てする。
【0030】このように外側出力軸部35aに歯車ケー
ス部35eを嵌着した仮組み立て物をプレス加工機にセ
ットしたダイスによって包囲するように支持し、ポンチ
104によってグリップ止め輪39を押し込むと共に外
側出力軸部35aの端部を押し広げるように加圧するこ
とによって該外側出力軸部35aと歯車ケース部35e
の嵌合部をメタルフロー結合する。
【0031】一方、入力軸部は、外側入力軸部35d内
にボールベアリング40a,40bによって内側入力軸
部36gを組み付けて構成する。
【0032】そして、外側出力軸部35aと歯車ケース
部35eの嵌合部をメタルフロー結合してプレス加工機
にセットしたによって包囲するように支持した部分組み
立て物の歯車ケース35e内に突出したセレーション3
6bにキャリア36hを嵌着し、このキャリア36hに
遊星歯車36iを支持させ、環状歯車35fを嵌入し、
その上から入力軸部を逆さにして歯車ケース部35eの
開口縁をフランジ35cで覆うように嵌着し、その上か
ら、歯車ケース部35eの開口端を切り裂いて前記フラ
ンジ35cの外周縁を抱き込むように内側に折り曲げる
環状の切り刃を有するポンチを押し込むことにより歯車
ケース部35eに入力軸部を結合する。
【0033】電動機は、外ケース32bの下端面に絶縁
部材41を介在させて取り付けねじ42によって絶縁状
態に取り付けた電動機ハウジング43を下向きに開口さ
せ、開口端から固定子44を嵌入して複数個の切り越し
突起43aと折り曲げ爪43bによって挟持するように
固定した構成である。具体的には、固定子44は、コン
デンサ分相型の可逆回転型誘導電動機を構成するよう
に、固定子鉄心44aに6極構成の固定子巻線44bを
巻装し、固定子鉄心44aの外周面を電動機ハウジング
43に嵌入して固定し、その後に、この電動機ハウジン
グ43を外ケース32bの下端面に取り付ける。この固
定子44に組する回転子45は、内側入力軸部36gに
形成した回転子嵌着部36dに嵌着し、止めねじ36e
に螺着した止めナット46によって固定する。
【0034】回転子45は、先ず、図4に示すように、
回転子鉄心45aとして外側鉄心45a1と内側鉄心4
5a2を積層する。外側鉄心45a1と内側鉄心45a2
は、その間に絶縁樹脂層を形成するための間隙45a3
を発生するような寸法とする。外側鉄心45a1は、そ
の外周縁に籠型2次導体をダイカストするスロット45
4を備え、トルク変動を抑制するためにスキュー状態
に積層する。内側鉄心45a2は、その中心に前記内側
入力軸部36gの端部に形成した回転子嵌着部36dを
嵌入する回転軸嵌合穴45a5と、その周囲に噛み合い
凹凸板(後述する)を嵌着するための4個の凹凸板嵌着
穴45a6と、この各凹凸板嵌着穴45a6の両側に当接
を緩衝する緩衝棒(後述する)を嵌入して装着する緩衝
棒装着穴45a7を備え、ストレート状態に積層する。
【0035】なお、内側鉄心45a2の回転軸嵌合穴4
5a5は、内側鉄心45a2の精度確保と回り止めのため
に、積厚の約80%を真円形状に形成し、残りの約20
%を角穴形状に形成する。また、外側鉄心45a1の内
周面と内側鉄心45a2の外周面は、凹凸面の組み合わ
せとすることにより、間隙45a3に絶縁樹脂層を注入
して結合したときに回り止めとなるようにする。また、
外側鉄心45a1と内側鉄心45a2の積厚は、コア積層
枚数を同一にすることにより寸法差を少なくする。
【0036】噛み合い凹凸板45cは、図5に示すよう
に、円形の非磁性の金属板(この実施の形態では黄銅板
を使用した)の外周に当間隔に4つの切欠き凹部45c
1を形成することにより、この4つの切欠き凹部45c1
の間に放射状に残留する4つの噛み合い凸部45c2
形成し、この4つの噛み合い凸部45c2の両側の当接
面45c3には該当接面45c3から突出するように緩衝
棒を嵌入する緩衝棒嵌入切欠き穴45c4を形成し、更
に、下面には前記内側鉄心45a2の凹凸板嵌着穴45
6に嵌着する嵌着突起45c5を押し出し加工により形
成する。なお、緩衝棒嵌入切欠き穴45c4は、前記緩
衝棒装着穴45a7の径に対して径大に形成する。この
噛み合い凹凸板45cは、非磁性の樹脂によって同様形
状に成形して作ることもできる。
【0037】このようにして構成した回転子鉄心45a
と噛み合い凹凸板45cは、図6に完成図を示すよう
に、先ず、外側鉄心45a1に対してはアルミニウムダ
イカスト45bにより、籠型2次導体45b1と冷却羽
根45b2,45b3を一体的に成形する。
【0038】内側鉄心45a2に対しては、その上面
に、凹凸板嵌着穴45a6に噛み合い凹凸板45cの嵌
着突起45c5を圧入して該噛み合い凹凸板45cを嵌
着する。内側鉄心45a2に噛み合い凹凸板45cを嵌
着した状態では、内側鉄心45a2に形成した緩衝棒装
着穴45a7と噛み合い凹凸板45cに形成した緩衝棒
嵌入切欠き穴45c4が同心状態で連通するようにす
る。
【0039】次いで、絶縁樹脂(PPS)を外側鉄心4
5a1と内側鉄心45a2の間の間隙45a3に注入して
両者を結合する絶縁樹脂層45d1を形成すると共に下
側の端面に伸ばして回転検出センサー用の回転磁石受け
部45d2を形成し、この回転磁石受け部45d2に永久
磁石45eを嵌着する。また、この絶縁樹脂層45d
は、回転子鉄心45aの上側の端面に伸ばして該端面に
嵌着した噛み合い凹凸板45cの4つの噛み合い凸部4
5cの外周を包囲するように形成する。この樹脂成形
において、内側鉄心45a2に形成した緩衝棒装着穴4
5a7と噛み合い凹凸板45cに形成した緩衝棒嵌入切
欠き穴45c4は、空心状態で残るようにする。
【0040】内側鉄心45a2に形成した緩衝棒装着穴
45a7と噛み合い凹凸板45cに形成した緩衝棒嵌入
切欠き穴45c4に嵌入して装着する緩衝棒45fは、
適宜な弾性を有し、耐熱および耐摩耗性に富んだウレタ
ンゴム(熱可塑性ウレタンエラストマー 硬さHS90
±5)の成形部品であり、図7に示すように、内側鉄心
45a2の上面に係止する径大部45f1と緩衝棒装着穴
45a7内を貫通する径小部45f2と下面に係止する径
大部45f3と嵌入操作部45f4とを備える。径大部4
5f1は、緩衝棒嵌入切欠き穴45c4に嵌入するが、緩
衝棒装着穴45a7に対してはその縁に係止する大きさ
とする。径大部45f3は、緩衝棒嵌入切欠き穴45c4
を通過し、緩衝棒装着穴45a7に対しては圧縮されて
小径に変形して通過するが該緩衝棒装着穴45a7を通
過した後には膨張するように復元してその縁に係止する
大きさのテーパ部を形成する。嵌入操作部45f4は、
緩衝棒装着穴45a7を簡単に貫通する太さとし、緩衝
棒45fを緩衝棒装着穴45a7に通して嵌着するため
の引き込み操作に使用することができる長さにする。
【0041】そして、この緩衝棒45fは、その嵌入操
作部45f4を噛み合い凹凸板45cの緩衝棒嵌入切欠
き穴45c4から内側鉄心45a2の緩衝棒装着穴45a
7を貫通させて反対側に露出させ、この露出部分を引っ
張ることにより径大部45f3を圧縮するようにして緩
衝棒装着穴45a7を通過させる。この終盤に径大部4
5f1が緩衝棒嵌入切欠き穴45c4に嵌入し、内側鉄心
45a2の緩衝棒装着穴45a7の上側の縁に係止する。
嵌入操作部45f4を更に引くことにより径小部45f2
が伸びて径大部45f3が緩衝棒装着穴45a7を通過し
て復元することにより該緩衝棒装着穴45a7の下側の
縁に係止する。この状態で嵌入操作部45f4を切除す
ることにより、緩衝棒45fは、径大部45f1の一部
が噛み合い凸部45c2の当接面45c3から突出するよ
うな形態に装着して該当接面45c3に対する当接を緩
衝する。
【0042】このようにして構成した回転子45は、内
側入力軸部36gに形成した電動機回転子嵌着部36d
に嵌着し、止めナット46を締め付けて電動機回転子嵌
着部36dに固着する。
【0043】噛み合いクラッチ機構47は、その一部を
図8〜図10に詳しく示すように、外側回転軸系35を
電動機の回転子45に噛み合い係合によって結合して該
外側回転軸系35に回転子45の回転力を伝達して回転
させ、または噛み合い係合を解いて該外側回転軸系35
を回り止めするように係止する。
【0044】この噛み合いクラッチ機構47は、駆動装
置6の軸方向の全体寸法を小さくするために、環状の電
磁コイル47aを内包する環状の電磁鉄心47bを前記
取り付けねじ42によって電動機ハウジング43の内側
に共締めして取り付け、固定子巻線44bのエンドコイ
ルによつて囲まれた内側空間に外側入力軸部35dを取
り巻くように設置する。外側入力軸部35dに形成した
セレーション35bに軸方向に摺動可能に係合させた絶
縁樹脂製の摺動子47cは、コイルばね47dによって
前記回転子45の噛み合い凹凸板45cに係合するよう
に押し下げ、前記電磁コイル47aの電磁力によってコ
イルばね47dの押し下げ力に逆らって摺動子47cを
引き上げることにより噛み合いを解除して電磁鉄心47
bに吸着して回り止める。
【0045】摺動子47cは、前記電磁鉄心47bによ
って吸引する鉄製の吸着子47eを一体的にPPS樹脂
によりアウトサート成形して設け、前記噛み合い凹凸板
45cの切欠き凹部45c1に回転方向に僅かな間隙を
生ずるように余裕をもって嵌入し、回転トルク伝達時に
は、噛み合い凸部45c2の両側の当接面45c3から突
出した緩衝棒45fの径大部45f1および該径大部4
5f1を圧縮して当接面45c3に当接するように噛み合
わせる噛み合い突起47fを成形樹脂により一体的に形
成する。また、内側には、外側入力軸部35dに形成し
たセレーション35bに軸方向に摺動可能に係合させる
セレーション47gを形成する。
【0046】摺動子47cの吸着子47eを電磁鉄心4
7bに吸着したときに該摺動子47cを係止して回り止
めするために、電磁鉄心47bの吸着面には複数本の放
射状の係止溝47b1を形成し、吸着子47eには前記
係止溝47b1に嵌入する複数本の放射状の係止突条4
7e1を形成する。
【0047】なお、緩衝棒45fは、噛み合いクラッチ
機構における電動機の回転子45の噛み合い凹凸板45
cと摺動子47cの噛み合い凸部45c2の当接を緩衝
する緩衝部材であるので、種々の形態に変形することが
可能であり、また、摺動子47c側に設けるようにする
ことも可能である。
【0048】電動機ハウジング43の下端は、カバー4
8を嵌着して覆う。そして、このカバー48に回転検出
センサーの回転検出素子(感磁素子)49を取り付け、
この回転検出素子49を前記回転子45の永久磁石45
dの回転軌道に対向させて設置する。
【0049】このような駆動装置6は、取り付けベース
7を取り付けねじ50によって外槽5の底の外側に取り
付ける。また、この駆動装置6の外側は、前記取り付け
ねじ50によってこの駆動装置6と一緒に取り付けた外
カバー51によって覆うようにする。
【0050】図11は、この全自動洗濯機の電気的構成
を示すブロック図である。
【0051】コントロールユニット17は、マイクロコ
ンピュータ17aを中心にして構成し、電源回路17b
と、ゼロクロス信号発生回路17cと、リセット回路1
7dと、電源リレー17eと、給水電磁弁21と排水電
磁弁23と噛み合いクラッチ機構の電磁コイル47aと
電動機の固定子巻線44b(44b1,44b2)への給
電を制御する半導体交流スイッチング素子(FLS)群
やダイオード群で構成した駆動回路17fと、クロック
信号を発生する発振回路17gと、ブザー17hとを備
える。
【0052】電源回路17bは、制御回路用の低圧直流
電圧を生成し、ゼロクロス信号発生回路17cは、半導
体スイッチング素子を制御するための基準信号を生成
し、リセット回路17dは、電源投入時にマイクロコン
ピュータ17aを所定の初期状態にリセットするリセッ
ト信号を生成し、発信回路17gは、マイクロコンピュ
ータ17aを動作させるクロック信号を生成する。
【0053】駆動回路17fは、電動機の固定子巻線4
4b1,44b2への給電制御に関しては、可逆回転制御
および逆転電磁制動用の2つの半導体交流スイッチング
素子(FLS)17f1,17f2を備える。FLS17
1は、正回転給電制御用の半導体交流スイッチング素
子、FLS17f2は逆回転給電制御用の半導体交流ス
イッチング素子である。なお、44cは分相コンデンサ
である。また、給水電磁弁21および排水電磁弁23を
制御する弁制御用FLS17f3,17f4を備える。ま
た、電磁コイル47aへの給電制御に関しては、大きな
電磁力を発生するのに適した直流駆動電流を流すための
ダイオードブリッジ17f5と駆動電流の大きさを制御
するための位相制御用FLS17f6を備える。電磁コ
イル駆動電流は、吸着子47eを吸引する初期段階では
大きな電磁力を必要とするために大きな電流とし、吸着
後は電流を小さくして発熱を軽減するように制御する。
【0054】また、マイクロコンピュータ17aは、予
め組み込まれた制御処理プログラムに従って、電源スイ
ッチ13,入力スイッチ群14,水位センサー16およ
び回転検出素子49からの入力信号を取り込み、表示素
子群15と電源リレー17eと駆動回路17fとブザー
17hを制御する。
【0055】コントロールユニット17のマイクロコン
ピュータ17aは、電源スイッチ13が投入されると、
電源リレー17eをオンして待機状態となる。
【0056】そして、入力スイッチ群14から洗濯開始
を指示されると、入力スイッチ群14によって設定され
た洗濯脱水モードを確認し、設定された洗濯脱水モード
の洗濯脱水工程に入る。
【0057】図12は、基本的な洗濯脱水モードにおい
てマイクロコンピュータ17aが実行する制御処理を示
している。
【0058】ステップ101 電磁給水弁21を開いて外槽5内に所定の水位まで給水
する。この所定の水位は、次のステップでの布量検出に
適した水位であり、その水位検出は、水位センサー16
から出力される水位検出信号を監視して行う。
【0059】ステップ102 布量の検出を行う。この布量検出は、従来と同様に、撹
拌翼4を回転させたときの洗濯物の抵抗力の大きさに基
づいて行う。そのために、噛み合いクラッチ機構47の
電磁コイル47aを付勢して吸着子47eを電磁吸引す
ることにより、摺動子47cをコイルばね47dに逆ら
って引き上げて該摺動子47cの噛み合い突起47fを
電動機の回転子45の噛み合い凹凸部45c3から切り
離し、吸着子47eを電磁鉄心47bに吸着し、係止突
条47e1を係止溝47b1に係合するこにより外側回転
軸系35(洗濯兼脱水槽2)の回転を抑制するように係
止する。この状態で、電動機の固定子コイル44bを付
勢して回転子45を回転させ、内側入力軸部36gから
遊星歯車36iを介して減速した後に内側出力軸部36
cに伝達して撹拌翼4を回転させるようにする。そし
て、駆動を停止したときの惰性回転速度を回転検出素子
49からの出力信号に基づいて検出し、その減衰特性に
基づいて布量を検出する。この検出処理は、水位を変え
ながら行うことにより、布質の検出も可能となる。
【0060】ステップ103 布量および布質に応じて洗濯水位を決定し、この洗濯水
位まで給水を実行する。
【0061】ステップ104 布量および布質に応じた洗い工程を実行する。この洗い
工程は、撹拌翼4を正逆回転させて行う洗い方と洗濯兼
脱水槽2を正逆回転させて行う洗い方と洗濯兼脱水槽2
を一方向に連続的に回転させて行う洗い方を選択的に実
行することができる。
【0062】撹拌翼4を正逆回転させて行う洗い方は、
例えば、木綿の下着や靴下などの洗濯物を強く撹拌して
洗濯するのに適している。また、洗濯兼脱水槽2を正逆
回転させて行う洗い方は、例えば、シーツやバスタオル
などの大きい洗濯物を撹拌して絡み合いおよび洗濯むら
を軽減するように洗濯するのに適している。そして、洗
濯兼脱水槽2を一方向に連続的に回転させて行う洗い方
は、例えば、ドライマーク衣料などの洗濯物を型崩れし
ないように洗濯するのに適している。
【0063】撹拌翼4を正逆回転させる洗い方は、噛み
合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを付勢して摺
動子47cを引き上げて該摺動子47cと回転子45の
噛み合い凹凸板45cとの噛み合いを解き、吸着子47
eを電磁鉄心47bに吸着して係止突条47e1を係止
溝47b1に係合させて外側入力軸部35dを回り止め
して洗濯兼脱水槽2を静止状態にし、回転子45を正逆
回転するように固定子コイル44を付勢することによ
り、この回転を内側入力軸部36g,遊星歯車36i,
内側出力軸部36cを介して撹拌翼4に伝達して行う。
【0064】洗濯兼脱水槽2を正逆回転させる洗い方
は、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを消
勢して摺動子47cをコイルばね47dによって押し下
げて該摺動子47cの噛み合い突起47fを回転子45
の噛み合い凹凸板45cの切欠き凹部45c1に嵌入し
て噛み合わせて該回転子45と連結状態にし、電動機の
回転子45を正逆回転するように固定子コイル44bを
付勢することにより、この回転を外側入力軸部35d,
歯車ケース部35e,外側出力軸部35aを介して洗濯
兼脱水槽2に伝達して行う。このときは、遊星歯車機構
は減速機能を失うので、撹拌翼4は、洗濯兼脱水槽2と
同期して一体的に回転する。
【0065】そして、洗濯兼脱水槽2を一方向に連続回
転させて行う洗い方は、水位を低めに設定し、噛み合い
クラッチ機構47を噛み合わせた連結状態において、電
動機を一方向に連続回転させるように固定子コイル44
bを付勢することによって実現する。
【0066】このような3種類の洗い方の選択は、マイ
クロコンピュータ17aが布量や布質あるいは入力スイ
ッチ群14によって設定された洗濯モードに応じて決定
し、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを制
御して該噛み合いクラッチ機構47の断続状態を制御す
ることによって行う。また、必要に応じて、これらを組
み合わせた洗い方にすることもできる。
【0067】ステップ105 濯ぎ工程を実行する。この濯ぎ工程は、シャワー脱水濯
ぎと溜め濯ぎを組み合わせて実行するようにすると良
い。組み合わせ方は、先ず、シャワー脱水濯ぎを行い、
その後に溜め濯ぎを行うようにすると良い。
【0068】シャワー脱水濯ぎは、排水電磁弁23を開
いて排水状態とし、撹拌翼4および洗濯兼脱水槽2を高
速回転させて脱水運転にした状態で給水電磁弁21を開
いて該洗濯兼脱水槽2内に注水するようにして行う。
【0069】このときの洗濯兼脱水槽2の高速回転させ
る脱水では、噛み合いクラッチ機構47は、前述した洗
濯兼脱水槽2を回転させる洗い方のときと同様に、電磁
コイル47aを消勢して摺動子47dを電動機の回転子
45に噛み合わせて連結状態にして該電動機を所定の方
向に高速回転させることにより実現する。
【0070】溜め濯ぎは、撹拌翼4および洗濯兼脱水槽
2を静止状態にして排水電磁弁23を開いて外槽5内の
洗い水を排水し、洗濯兼脱水槽2を高速回転させて脱水
し、次いで、排水電磁弁23を閉じて給水電磁弁21を
開くことによって洗濯兼脱水槽2に注水して外槽5内に
濯ぎ水を溜め、撹拌翼4または洗濯兼脱水槽2を回転さ
せて洗濯物を撹拌する動作を繰り返すように行う。
【0071】ステップ106 脱水工程を実行する。この脱水工程は、前述した濯ぎ工
程における脱水と同様にして行う。
【0072】マイクロコンピュータ17aは、これらの
各ステップにおいて、設定状態および工程進行状態を表
示素子群15を制御して表示し、異常が発生したときや
洗濯終了時には、ブザー17hを鳴動させて報知するよ
うにする。
【0073】濯ぎ工程における脱水および脱水工程にお
いては、洗濯兼脱水槽2を回転させるために、摺動子4
7dと電動機の回転子45を連結状態にする噛み合いク
ラッチ機構47は、摺動子47dの噛み合い突起47f
を電動機の回転子45の噛み合い凹凸板45cの切欠き
凹部45c1に嵌入して噛み合い凸部45c2の両側の当
接面45c3に突出した緩衝棒45fの径大部45f1
よび該径大部45f1を圧縮して当接面45c3に当接す
るように噛み合わせる。この噛み合い状態で電動機を運
転して回転トルクを洗濯兼脱水槽2に伝達する回転状態
において、回転速度が所定の回転速度に到達して拮抗し
た状態になると、電動機の脈動トルクによって噛み合い
による回転トルクの伝達が強弱または断続する。しかし
ながら、この実施の形態においては、電動機の回転子4
5に設けた噛み合い凹凸板45cの当接面45c3には
緩衝棒45fの径大部45f1が突出しているので、こ
のトルク伝達の強弱または断続は、径大部45f1の弾
性変形によって吸収され、噛み合い凹凸板45cの当接
面45c3と摺動子47dの噛み合い突起47fの離接
が緩和されて当り音の発生が抑制される。
【0074】また、この当り音発生の抑制機能は、電動
機を間歇運転する間歇脱水においても有効に作用する。
【0075】また、この噛み合いクラッチ機構47によ
る当り音発生の抑制機能は、電動機としてインバータ電
動機を使用した電気洗濯機にこの噛み合いクラッチ機構
47を適用しても同様に発揮することができる。
【0076】脱水工程にけるこのような当り音の発生の
抑制は、脱水回転速度を所定の回転速度に維持するため
の定速度制御における電動機制御を工夫することによっ
て一層効果的に実現することができる。
【0077】コントロールユニット17におけるマイク
ロコンピュータ17aは、脱水工程における洗濯兼脱水
槽2の回転速度を所定の回転速度(例えば850rp
m)に維持するために、コンデンサ分相型の可逆回転型
誘導電動機の回転子45の回転速度(回転検出素子49
の出力信号)を参照しながら固定子巻線44b1,44
2への給電を断続(ON/OFF)するように駆動回
路17fのFLS17f1を制御する。
【0078】図13は、この脱水工程における電動機の
回転速度特性を示している。この特性は、電動機の回転
速度が所定の回転速度(例えば850rpm)に到達し
たときに給電を停止(OFF)し、所定時間(例えば6
秒間)経過後に給電を開始(ON)することにより回転
速度を所定の回転速度に維持するように給電を断続制御
したときのものである。
【0079】このような電動機への給電の断続制御にお
いて、給電ON時に直ちに全電圧で給電し、給電OFF
時に給電を直ちに完全に遮断すると、回転子45に発生
する回転トルクの変動が急峻になり、クラッチ機構の回
転トルク伝達部における緩衝棒45fの緩衝効果が減少
する。この緩衝効果の減少を軽減するために、この実施
の形態では、給電ON,OFF期間の初期においては給
電電圧波形の位相制御を実施して電動機の回転トルクの
変動を緩和にするようにした。このような効果は、回転
トルク伝達部の緩衝棒45fを省略したクラッチ機構で
も得ることができる。
【0080】図14および図15は、給電ON期間の初
期における給電電圧の位相制御波形とその制御テーブル
を示している。
【0081】図14に示した給電制御は、給電ON期間
の初期に給電電圧波形に対して一定の位相制御(Δt)
を行う電圧波形位相制御運転期間T1を設け、その後に
正弦波電圧運転期間T2を行うようにしたものである。
【0082】電圧波形位相制御期間T1における位相制
御角Δtは、負荷量(布量)や電源周波数や回転速度に
応じて設定するようにし、図15に示すように、負荷量
が多いときには大きくし、また、回転速度が高いときに
は小さくするように設定する。負荷量情報は、布量検出
において検出した値を使用し、回転速度情報は回転検出
素子49からの出力信号に基づいて検出する。そして、
位相制御角Δtは、図15に示したような制御テーブル
を参照して設定し、または、演算処理により求めて設定
する。
【0083】また、この位相制御は、図16に示すよう
に、位相制御角Δtを電圧波形位相制御運転期間T1の
時間経過に伴って次第に小さくするように設定すること
により、回転トルクの急激な変動を一層緩和することが
できる。
【0084】図17および図18は、給電OFF期間の
初期における給電電圧の位相制御波形とその制御テーブ
ルを示している。ここで言う給電OFF期間は、制御周
期としてのOFF期間を意味する。
【0085】図17に示した給電制御は、給電OFF期
間の初期に給電電圧波形に対して一定の位相制御(Δt
1〜Δt3)を行う電圧波形位相制御運転期間T1〜T3
を設け、その後に給電を完全に遮断する期間T4を設け
るようにしたものである。
【0086】電圧波形位相制御期間T1〜T3は、負荷
量(布量)や電源周波数や回転速度に関係なく一定値と
し、位相制御角Δt1〜Δt3は、図18に示すように、
電圧波形位相制御期間T1〜T3の経過に伴って段階的
に大きく設定するようにした。この位相制御角Δt1
Δt3は、タイマーと図18に示したような制御テーブ
ルを参照して設定し、または、演算処理により求めて設
定する。
【0087】また、このような定速度制御における当り
音の軽減は、給電の断続回数を減少させることによって
も実現することができる。コンデンサ分相型の誘導電動
機は、分相コンデンサ44cを切り離した状態で給電し
て運転すると回転トルクが減少して回転速度が低下す
る。しかしながら、その低下速度(低下率)は小さい。
従って、脱水工程におけるコンデンサ分相型の可逆回転
型誘導電動機の運転状態にける所定の回転速度付近にお
いて分相コンデンサ44cを着脱(分相コンデンサ回路
の断続)制御することにより、回転速度を緩やかに昇降
させて所定の回転速度を維持することができる。
【0088】図19は、このような運転制御を行うため
のコンデンサ分相型の可逆回転型誘導電動機と駆動回路
17fの変形例を示している。分相コンデンサ44cに
は、電磁リレー44dの開閉接点44d1を直列に接続
し、この電気リレー44dの電磁コイル44d2を駆動
回路17fに設けたFLS17f7で制御するようにし
ている。勿論、FLS17f7は、マイクロコンピュー
タ17aからの指示によって制御する。
【0089】マイクロコンピュータ17aは、脱水工程
における電動機の運転制御に関して、所定の回転速度
(最高および最低回転速度、例えば、最高回転速度=8
50rpm 最低回転速度=800rpm)を設定して
おき、この脱水工程においては、回転検出素子49から
出力される出力信号に基づいて回転速度を検出し、この
回転速度が起動から最高回転速度に上昇するまでは電磁
リレー44dの開閉接点44d1を閉合してFLS17
1をONに分相コンデンサ44cを接続した形態で運
転し、最高回転速度に到達すると、先ず、FLS17f
1をOFFした後に電磁リレー44dの開閉接点44d1
を開放し、再びFLS17f1をONして分相コンデン
サ44cを切り離した形態での運転に入るように制御す
る。コンデンサ分相型の可逆回転型誘導電動機は、この
運転形態では、回転トルクで減少するので回転速度が低
下する。そして、回転速度が最低回転速度まで低下する
と、先ず、FLS17f1をOFFした後に電磁リレー
44dの開閉接点44d1を閉合し、再びFLS17f1
をONして分相コンデンサ44cを接続した形態での運
転に入るように制御する。この運転形態では、回転トル
クが増加するので、回転速度は上昇する。
【0090】電磁リレー44dの開閉接点44d1の開
閉は、電源電圧波形のゼロクロスタイミングから90度
ずれたタイミング(分相コンデンサに流れる電流がゼロ
になるタイミング)に行うようにすると良い。
【0091】図20は、このような運転制御における回
転速度特性を示している。
【0092】このような脱水工程を終了するときに洗濯
兼脱水槽2の回転を減速する制動は、コンデンサ分相型
の可逆回転型誘導電動機を脱水回転方向に対して逆転方
向に給電することによる逆相電磁制動が有効である。こ
の逆相電磁制動は、洗濯工程において撹拌翼4を逆回転
させるために可逆回転型誘導電動機の固定子巻線44b
1,44b2へ給電制御する逆回転給電制御用のFLS1
7f2を使用して実現することができる。
【0093】誘導電動機の固定子巻線44b1,44b2
に直流電圧を印加して制動力を発生させる直流制動方法
は、制動時に14〜15Aの大きな突入電流が流れるた
めに、電源電圧が40〜50Vにまで低下してコントロ
ールユニット17、特にマイクロコンピュータ17aが
誤動作する恐れがあるが、誘導電動機を逆転方向に給電
する逆相電磁制動では、このような大きな突入電流が流
れることがないために電源電圧の低下による誤動作の恐
れがない。
【0094】この逆相電磁制動では、可逆回転型誘導電
動機は逆回転方向の回転トルクを発生しているために、
回転停止後も逆相電磁制動給電を継続すると、可逆回転
型誘導電動機は逆方向に回転してしまう。しかし、給電
時間が不足すると停止するまで十分に制動することがで
きない。従って、この逆相電磁制動は、給電停止のタイ
ミング管理が重要な制御要素となる。電動機の回転子4
5の回転速度を回転検出素子49からの出力信号から求
めて該回転速度を参照して逆転電磁制動の給電を停止す
る制御方法も考えられるが、超低速回転時には検出誤差
が大きいために正確な制御が困難である。
【0095】この実施の形態では、逆相電磁制動制御に
おいて、より正確に給電を停止するために、負荷量(布
量)に応じて逆相電磁制動給電時間を制御する方法を採
用した。
【0096】脱水工程の逆相電磁制動時における回転速
度の減速率は、負荷量によって変化する。そこで、1つ
の実施の形態では、逆相電磁制動時における所定の回転
速度から所定の回転速度までの減速率(減速時間)を計
測し、この計測値に基づいて停止するまでの逆相電磁制
動停止時間を求めて逆相給電時間を制御するようにし
た。
【0097】また、脱水工程の起動時における回転速度
の上昇率は、負荷量によって変化する。そこで、他の実
施の形態では、起動時における所定の回転速度までの上
昇率(起動時間)を計測し、この計測値に基づいて停止
するまでの逆相電磁制動停止時間を求めて逆相給電時間
を制御するようにした。
【0098】これらの逆相給電時間の制御は、何れも、
マイクロコンピュータ17aによる制御処理に基づいて
実行するようにした。
【0099】図21は、前述した1つの実施の形態にお
ける脱水工程における運転制御特性を示している。脱水
工程において、FLS17f1をON/OFF制御する
ことにより可逆転型誘導電動機の固定子巻線44b1
主巻線とし、固定子巻線44b2を補助巻線とする給電
を行って所定の回転速度で所定時間の脱水運転を実行す
る。その後、FLS17f1をOFFした後にFLS1
7f2をONして固定子巻線44b2を主巻線とし、固定
子巻線44b1を補助巻線とする逆相給電することによ
り逆相電磁制動に入る。そして、回転検出素子49から
の出力信号を参照して回転速度がR1からR2に低下す
るまでの減速率(減速時間)Tを求め、回転速度R2か
ら停止するまでの逆相電磁制動停止時間tを求めて逆相
給電時間を制御するようにしている。
【0100】検出する回転速度R1,R2は、マイクロ
コンピュータ17aが回転検出素子49からの出力信号
を参照して高精度で求めることができる範囲であり、且
つ、回転速度R2は、できる限り低い回転速度に設定す
ることが望ましい。
【0101】図22の(a)は、負荷量と減速時間Tの
関係を示し、(b)は、負荷量と逆相電磁制動停止時間
tを示しており、図23は、その具体的な数値例を示す
制御テーブルである。
【0102】従って、マイクロコンピュータ17aは、
このような関係を利用し、計測した減速時間Tに従っ
て、演算処理により、またはテーブル参照によって逆相
電磁制動停止時間tを求めて逆相給電時間を制御するこ
とができる。
【0103】図24は、前述した他の実施の形態におけ
る脱水工程における運転制御特性を示している。脱水工
程において、FLS17f1をON/OFF制御するこ
とにより可逆転型誘導電動機の固定子巻線44b1を主
巻線とし、固定子巻線44b2を補助巻線とする給電を
行って所定の回転速度で所定時間の脱水運転を実行す
る。このときの起動時に、回転速度が所定の回転速度R
3に上昇するまでの起動時間TAを計測する。そして脱
水終了時には、FLS17f1をOFFした後にFLS
17f2をONして固定子巻線44b2を主巻線とし、固
定子巻線44b1を補助巻線とする逆相給電することに
より逆相電磁制動に入る。そして、前記起動時間TAに
基づいて回転速度R1から停止するまでの逆相電磁制動
停止時間TBを求めて逆相給電時間を制御するようにし
ている。
【0104】図25の(a)は、負荷量と起動時間TA
の関係を示し、(b)は、負荷量と逆相電磁制動停止時
間TBを示しており、図26は、その具体的な数値例を
示す制御テーブルである。
【0105】従って、マイクロコンピュータ17aは、
このような関係を利用し、計測した起動時間TAに従っ
て、演算処理により、またはテーブル参照によって逆相
電磁制動停止時間TBを求めて逆相給電時間を制御する
ことができる。
【0106】
【発明の効果】本発明は、駆動装置の噛み合いクラッチ
機構において、噛み合い係合する回転力伝達面に緩衝部
材を介在させたことにより、噛み合い係合している回転
力伝達面が離接を繰り返すことによって発生する騒音を
低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である全自動電気洗濯機
の基本構成の概略を示す縦断側面図である。
【図2】図1に示した全自動洗濯機の具体的な構成を示
す縦断側面図であり、その一部は展開して図示してい
る。
【図3】図1に示した全自動電気洗濯機における駆動装
置の内部構成を示す縦断側面図である。
【図4】図3に示した駆動装置における誘導電動機の回
転子鉄心を示す平面図(a)と一部縦断側面図(b)で
ある。
【図5】図3に示した駆動装置における噛み合いクラッ
チ機構の噛み合い凹凸板の平面図(a)およびA−A断
面図(b)である。
【図6】図3に示した駆動装置における誘導電動機の回
転子の平面図(a)およびB−B断面図(b)である。
【図7】図3に示した回転子に嵌着する緩衝棒の一実施
の形態を示す側面図である。
【図8】図3に示した駆動装置における噛み合いクラッ
チ機構の動作状態を示す縦断側面図であり、撹拌翼駆動
状態を示している。
【図9】図3に示した駆動装置における噛み合いクラッ
チ機構の動作状態を示す縦断側面図であり、洗濯兼脱水
槽駆動状態を示している。
【図10】図3に示した駆動装置の噛み合いクラッチ機
構における摺動子を示すもので、(a)は平面図、
(b)は縦断側面図、(c)は底面図である。
【図11】図1に示した全自動洗濯機の電気的構成の一
実施の形態を示すブロック図である。
【図12】図11に示した全自動洗濯機におけるマイク
ロコンピュータが実行する制御処理を示している。
【図13】脱水工程における電動機の回転速度特性図で
ある。
【図14】脱水工程の定速度制御における給電ON期間
の初期における給電電圧の位相制御波形図である。
【図15】脱水工程の定速度制御における給電ON期間
の初期の給電電圧の位相制御テーブルである。
【図16】脱水工程の定速度制御における給電ON期間
の初期における給電電圧の位相制御波形図である。
【図17】脱水工程の定速度制御における給電OFF期
間の初期における給電電圧の位相制御波形図である。
【図18】脱水工程の定速度制御における給電OFF期
間の初期における給電電圧の位相制御テーブルである。
【図19】図1に示した全自動洗濯機の駆動装置におけ
るコンデンサ分相型の可逆回転型誘導電動機と駆動回路
の変形例を示すブロック図である。
【図20】図19に示した駆動装置による脱水工程の速
度制御特性図である。
【図21】図1に示した全自動洗濯機の脱水工程におけ
る運転制御特性図である。
【図22】図21に示した脱水工程における負荷量と制
動時の減速時間の関係を示す特性図である。
【図23】図22に示した制動特性に基づく制動制御テ
ーブルである。
【図24】図1に示した全自動洗濯機の脱水工程におけ
る運転制御特性図である。
【図25】図24に示した脱水工程における負荷量と制
動時の減速時間の関係を示す特性図である。
【図26】図25に示した制動特性に基づく制動制御テ
ーブルである。
【符号の説明】
2…洗濯兼脱水槽、4…撹拌翼、5…外槽、6…駆動装
置、17…コントロールユニット 45…回転子、45
c…噛み合い凹凸板、45c3…当接面、45f…緩衝
棒、45f1…径大部、47…噛み合いクラッチ機構、
47c…摺動子、47f…噛み合い突起。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱口 智雄 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立多賀エレクトロニクス内 (72)発明者 大川 友弘 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立多賀エレクトロニクス内 (72)発明者 信耕 靖 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立多賀エレクトロニクス内 Fターム(参考) 3B155 BA03 BA04 CA05 CA16 CB06 HB10 HB11 HB12 HB19 HB28 HB30 HC04 HC05 JB26 KA34 KB11 LA02 LA11 LB16 LB17 LB18 LB22 LC15 LC29 LC32 MA01 MA02 MA05 MA06 MA07 MA09 5H607 AA04 BB01 BB06 CC03 EE02 FF13 KK04 KK07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外槽内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽
    と、この洗濯兼脱水槽の底の内側に回転自在に設けた撹
    拌翼と、前記外槽の底の外側に設置されて前記洗濯兼脱
    水槽および撹拌翼を駆動する駆動装置と、制御装置を備
    え、前記駆動装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼の駆動
    回転軸を中心にして垂直方向に減速歯車機構とクラッチ
    機構と可逆回転電動機を直列に配列した構成とした電気
    洗濯機において、 前記クラッチ機構は、噛み合い係合する回転力伝達面に
    緩衝部材を介在させたことを特徴とする電気洗濯機。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記可逆回転電動機
    は、誘導電動機としたことを特徴とする電気洗濯機。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記可逆回転電動機
    は、インバータ電動機としたことを特徴とする電気洗濯
    機。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記クラッチ機構は、
    電動機の回転子に設けた噛み合い凹凸と入力軸に摺動可
    能に係合した摺動子の噛み合い突起の噛み合い係合によ
    る当接面よって回転力を伝達するようにしたことを特徴
    とする電気洗濯機。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記緩衝部材は、噛み
    合い凹凸の回転方向の両側の当接面に介在するように設
    けたことを特徴とする電気洗濯機。
  6. 【請求項6】請求項4において、前記噛み合い凹凸は電
    動機の回転子に設けた噛み合い凹凸板によって形成し、
    摺動子の噛み合い突起は軸に摺動可能に係合した摺動子
    を成形する樹脂により形成したことを特徴とする電気洗
    濯機。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記噛み合い凹凸板
    は、非磁性の金属板または樹脂によって形成したことを
    特徴とする電気洗濯機。
  8. 【請求項8】請求項1〜7の1項において、前記制御装
    置は、電動機への給電を断続することにより脱水工程に
    おける回転速度を所定の回転速度に維持する制御を行う
    ようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
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