JP2001108595A - 微小領域走査装置 - Google Patents

微小領域走査装置

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JP2001108595A
JP2001108595A JP28344599A JP28344599A JP2001108595A JP 2001108595 A JP2001108595 A JP 2001108595A JP 28344599 A JP28344599 A JP 28344599A JP 28344599 A JP28344599 A JP 28344599A JP 2001108595 A JP2001108595 A JP 2001108595A
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electrode
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cylindrical
piezoelectric elements
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Katsunori Honma
克則 本間
Hiroshi Muramatsu
宏 村松
Akira Egawa
明 江川
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SPMの様々な分野への応用、特にSPMを
生物用倒立顕微鏡に搭載する際に障害とならない円筒型
圧電素子利用の微小領域走査装置を提供すること。 【解決手段】 2本の円筒型圧電素子102と、2本の
円筒型圧電素子102の自由端に連結固定される梁10
7と、から成る構成とした。さらに、2本の円筒型圧電
素子102の中心軸を結ぶ線が、円筒型圧電素子102
の水平面内の走査軸方向に対して45°を成す位置に配置
する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、先鋭化された先端
部を有するプローブによって試料表面を走査することに
よって、試料表面の物理的情報を観察する走査型プロー
ブ顕微鏡(SPM)に利用される微小領域走査装置と、
走査型プローブ顕微鏡(SPM)に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機
械的探針(以下、プローブと呼ぶ)によって試料表面を
走査し、プローブと試料表面との間に働く相互作用を検
出することによって、試料表面の物理量をnm(10-9
m)以下のオーダーで観察する装置である。例えば、走
査型プローブ顕微鏡(SPM)の一つとして代表的な原
子間力顕微鏡(AFM)では、プローブと試料表面の間
に働く原子間力をプローブのたわみ量変化という情報で
検出し、これを利用することによって試料の表面形状を
観察することができる。
【0003】こうした装置において、試料やプローブを
水平方向(以下XY方向と呼ぶ)と高さ方向(以下Z方
向と呼ぶ)に精度良く走査するために必要な機械装置
が、微小領域走査装置である。走査型プローブ顕微鏡
(SPM)に利用される微小領域走査装置には、0.0
1〜0.1nmの高い分解能が要求されるため、一般的
に圧電素子(ピエゾ)が使われる。代表的には、例えば
米国特許第5、306、919(Elingset a
l.)が開示しているような円筒型圧電素子を利用した
微小領域走査装置が挙げられる。この微小領域走査装置
は、圧電素子の横効果を利用し、1本の円筒型圧電素子
によってXY方向およびZ方向に走査することができ
る。この円筒型圧電素子を利用した微小領域走査装置の
原型は、米国特許第4、087、715(Myer e
t al.)が開示しているマイクロポジショナーに見
ることができる。
【0004】この例では、円筒型圧電素子の内側にグラ
ンド電極を作り、側面には4分割の電極を製作し、対向
する2極を1組としている。この2極に極性の異なる電
圧を印加し、1極を伸ばし、1極を縮めれば、円筒型圧
電素子は1方向に傾く。これを2組の電極で行えば、2
方向に円筒型圧電素子を変形させることができる。これ
に加えて、側面円周上に別の電極を形成し電圧を加えれ
ば、円筒型圧電素子の軸方向に円筒型圧電素子を伸縮さ
せることができる。こうすることによって、1本の円筒
型圧電素子によって、XYZ方向に走査をすることがで
きる。
【0005】図9は、円筒型圧電素子を利用した従来の
微小領域走査装置の構成の一例を示す模式図である。図
9において、基盤901上に円筒型圧電素子902が固
定される。円筒型圧電素子902の自由端には、試料台
907が備わり、その上に試料908が搭載される。
【0006】円筒型圧電素子902の内側側面の全域に
はグランド用電極903が形成される。一方、外側側面
の1部には4分割の電極を製作し、それぞれは電気的に
絶縁されている。この4分割のX1電極904(a)と
X2電極904(b)、およびY1電極905(a)と
Y2電極905(b)は、それぞれ2極が対向する位置
関係にある。外側側面の残りの部分にはZ電極906が
形成され、内側のグランド用電極、外側の4分割電極と
は電気的に絶縁される。
【0007】4分割のX1電極904(a)、X2電極
904(b)、Y1電極905(a)、Y2電極905
(b)、もう一つのZ電極906は、それぞれ、グラン
ド用電極903との間で高電圧を掛け、電極の形成され
る部分の圧電材料の分極を行う。この時、対向する電極
の形成される部分の圧電材料は、同じ極性の電圧を印加
された場合に、それぞれ反対の効果、すなわち、「伸
び」「縮み」を起こすように分極される。
【0008】この構成例は、電極の形成される部分の圧
電材料の分極の極性を換えることによって圧電素子伸縮
方向を変化させるものであり、印加電圧の極性によって
伸縮方向を変化させる米国特許第4、087、715と
は異なるものである。次に動作を説明する。円筒型圧電
素子902のX1電極904(a)とX2電極904
(b)に、電圧を印加する。この状態において、X1電
極904(a)の形成された部分の圧電材料に伸びを生
じる。一方、X2電極904(b)の形成された部分の
圧電材料は、収縮する。これによって、円筒型圧電素子
901は、紙面向かって左側、X軸に沿って変形する。
したがって、円筒型圧電素子902の自由端に乗る試料
台907および試料908は、X軸方向に走査される。
同様にして、Y1電極905(a)、Y2電極905
(b)に電圧を印加すればY軸方向に走査させることが
できる。
【0009】同時に、Z電極906とグランド用電極9
03に交番電圧を印加すれば、Z電極906の形成され
た部分の圧電材料は伸縮する。さらにX1電極904
(a)、X2電極904(b)、Y1電極905
(a)、Y2電極905(b)に加える電圧を協調制御
すれば、図9の矢視Aに示すように、試料台906およ
び試料台907をXY方向にラスター走査させることが
出来る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上に示したような従
来の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装置は、他の微
小領域走査装置、例えば積層圧電素子をXYZに組み合
わせたテトラポッド構造の微小領域走査装置に比べ、構
造が簡単で軽く、XYZ方向の共振周波数が高いという
特徴から、SPMのほとんどで利用されてきた。
【0011】走査型プローブ顕微鏡(SPM)の先鞭で
あるSTM、AFMの登場当初は、その観察対象は金属
表面の原子像や単分子膜の分子配列などであり、装置の
用途は試料表面の微細構造観察・研究であった。こうし
た用途においては、SPMの装置構成は微小領域走査装
置と、プローブと、プローブ変位検出装置と、プローブ
を試料に接近させる粗動装置という単純なものであり、
かつ試料が小さく軽いため、微小領域走査装置の配置に
は制約がなかった。具体的には、粗動装置の上に微小領
域走査装置を設置し、微小領域走査装置の上に試料台を
設けて試料を載せる。プローブは試料直上に配置し、プ
ローブの上側にプローブ変位検出装置を配置する。観察
は、試料を走査して行う。従来の円筒型圧電素子利用の
微小領域走査装置では、図9に示した構造で明らかなよ
うに、円筒型圧電素子の円筒軸を試料台中心部に配置す
る。試料研究用SPMの構造においては、従来の円筒型
圧電素子利用の微小領域走査装置のこのような配置は欠
点にはならない。
【0012】しかし、最近では、走査型プローブ顕微鏡
(SPM)の様々な分野への応用が期待され、装置構成
も従来の単純なものでは対応出来ないようになってき
た。たとえば、本発明で特にその応用を期待している生
物分野においては、細胞など観察を行う場合、SPMを
通常の倒立型光学顕微鏡に搭載し、試料表面を光学的に
観察をして、さらにSPM観察を行うことが求められ
る。こうした場合、従来の円筒型圧電素子利用の微小領
域走査装置が設置される試料台直下には顕微鏡の対物レ
ンズが位置し、微小領域走査装置を配置することができ
ない。このため、例えば、3本の円筒圧電素子を顕微鏡
の対物レンズの周辺に配置し、その上に試料台を設置
し、試料台中心部に対物レンズ中心が位置するように構
成するなどの工夫が必要であった。3本配置とする理由
は、試料台をゆがめることなくすべての円筒型圧電素子
の自由端部分に確実に接触固定可能であり、また、すべ
ての円筒型圧電素子を同時にXY方向へラスター走査す
る場合にも、試料台に均等な力を作用させることが出来
るためである。この構成は、剛性が高く、得られる像の
歪みも少ないため、利用頻度の高い手法である。しかし
ながら、この構成を採る場合であっても、レバルバー回
転による対物レンズの交換は、円筒型圧電素子の配置上
不可能となったり、あるいは、レボルバー回転可能であ
っても、使用可能な対物レンズの直径を制限したり、微
小領域走査装置の直径が大きくなってしまう等の不都合
が起きる場合があった。
【0013】そこで、本発明の目的は、従来の円筒圧電
素子利用の微小領域走査装置の持つ上記のような課題を
解決し、SPMの様々な分野への応用、特にSPMを生
物用倒立顕微鏡に搭載する際に障害とならない円筒型圧
電素子利用の微小領域走査装置を提案することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、走査型プローブ顕微鏡(SPM)に利
用される微小領域走査装置であって、その円筒側面が湾
曲することによりXY方向のラスター走査を行い、円筒
軸方向に伸縮運動することによりZ方向の駆動をする円
筒型圧電素子を利用する微小領域走査装置において、2
本の円筒型圧電素子と、2本の円筒型圧電素子の自由端
に連結固定される梁と、から成る構成とした。
【0015】さらに、2本の円筒型圧電素子の中心軸を
結ぶ線が、円筒型圧電素子の水平面内の走査軸方向に対
して45°を成す位置に配置する構成も考案した。こうす
ることにより、円筒型圧電素子を試料台直下に配置する
必要がなく、試料台下に対物レンズを配置することが可
能で、さらに、試料台下に3本配置より大きい空間を確
保する出来、顕微鏡のレボルバー回転を容易とする。さ
らに、梁を円筒型圧電素子の走査軸方向に対して45°を
成すように配置することによって、2本の円筒型圧電素
子をXY方向へ走査する場合に、試料台にXY方向に均
等な力を作用させることが出来る。
【0016】したがって、円筒型圧電素子を3本配置す
るより簡単な構造であり、顕微鏡のレボルバー回転を可
能とする円筒型圧電素子利用の微小領域走査装置を提供
することが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図に基づいて説明する。 (1)第1の実施の形態 図1は、本発明の微小領域走査装置のうち、第1の実施
の形態を示した模式図である。なお、試料に平行な面を
XY方向とし、試料の高さ方向をZ方向とし図示する。
図1において、基盤101に、2本の円筒型圧電素子1
02の一端が固定される。
【0018】円筒型圧電素子102の内側側面の全域に
はグランド用電極103が形成される。一方、外側側面
の1部には4分割の電極を製作し、それぞれは電気的に
絶縁されている。この4分割のX1電極104(a)と
X2電極104(b)、およびY1電極105(a)、
Y2電極105(b)は、それぞれ2極が対向する位置
関係にある。外側側面の残りの部分にはZ電極106が
形成され、内側のグランド用電極、外側の4分割電極と
は電気的に絶縁される。
【0019】4分割のX1電極104(a)、X2電極
104(b)、Y1電極105(a)、Y2電極105
(b)、もう一つのZ電極106は、それぞれ、グラン
ド用電極103との間で高電圧を掛け、電極の形成され
る部分の圧電材料の分極を行う。この時、対向する電極
の形成される部分の圧電材料は、同じ極性の電圧を印加
された場合に、それぞれ反対の効果、すなわち、「伸
び」「縮み」を起こすように分極される。
【0020】この電極配置により、円筒型圧電素子のラ
スター走査方向は決定されるが、2本の円筒型圧電素子
の中心軸を結ぶ線は、この走査軸方向に45°の角度を有
するように設定される。円筒型圧電素子102の2つの
自由端は、梁107に固定される。梁107は、実質的
に剛体として作用するように材質・形状を決定されてい
る。その材質は、樹脂、金属等様々なものが利用可能で
あるが、微小領域走査装置の性質上、剛性が低下しない
範囲で、軽いほど良い。梁107の1部分、円筒型圧電
素子102の自由端に固定される部分の周辺部は、一定
の入力で弾性変形可能な弾性体構造を有する。ここで、
円筒型圧電素子102の自由端に固定される部分を締結
部108、締結部108の周辺の弾性変形部分を変形部
109とする。
【0021】図1においては、梁107、締結部108
および変形部109を同じ材質で構成し、変形部109
を締結部108および梁107より薄くすることにより
弾性を持たせる。ここで留意するべきは、変形部109
は、円筒型圧電素子102の中心軸方向の入力に対して
変形するように構成するということである。言い換えれ
ば、変形部109の円筒型圧電素子102の中心軸方向
のコンプライアンス(柔らかさ)は、変形部109の円
筒型圧電素子102の半径方向のコンプライアンスより
大きくする。したがって、この場合、変形部109の半
径は、変形部109の厚みより充分大きくなければなら
ない。変形部109の構成としては、この他に、変形部
109の材質を梁107、締結部108の材質より弾性
の小さい材質で構成することも可能である。この場合、
例えば、梁107、締結部108をフェノール樹脂、変
形部109をポリアセタールで構成する構成等が挙げら
れる。
【0022】締結部108は締結手段110によって円
筒型圧電素子102の自由端と締結する。この例では、
締結手段としてボルトを利用しているが、リベットや接
着剤でも可能である。梁107の任意の位置には、試料
台111を設ける。理想的には、2本の円筒型圧電素子
の中心軸の中間位置に設置する。試料台111も、梁1
07と同様、実質的に剛体として作用するように材質・
形状を決定されている。
【0023】その材質は、樹脂、金属等様々なものが利
用可能であるが、梁110と同様、剛性の低下しない範
囲で軽いほど良い。試料台111の下に、顕微鏡の対物
レンズ112および顕微鏡筐体113が配置される。対
物レンズ112と顕微鏡筐体113の間にはレボルバー
114が装着されており、これを回転させることにより
対物レンズ112を交換することが出来る。
【0024】図2は、第1の実施の形態の動作を示した
模式図である。まず、2本の円筒型圧電素子102のグ
ランド電極103とX1電極104(a)の間、及びグ
ランド電極103とX2電極104(b)に、電圧を印
加する。円筒型圧電素子102は、いわゆる圧電横効果
を利用するものであり、例えば正電圧印加により、X1
電極104(a)の形成される部分の圧電材料が伸び
る。同時に、X2電極104(b)の形成される部分の
圧電材料は、極性の反対の分極を施されているため、縮
む。これによって、2本の円筒型圧電素子102は、紙
面左側に、X軸に沿って曲がって行く。この変形は締結
部108を介して梁107に伝達され、梁107は左側
に向かって曲がって行く。梁107は剛体であり、変形
部109は弾性体であるため、円筒型圧電素子102の
自由端の傾き偏差は変形部109の弾性変形により吸収
され、梁107は試料台111と一体に平行運動する。
この様子を示したのが図3である。図3は、図2におい
て梁107を水平面のB方向から見た模式図である。
【0025】次に、2本の円筒型圧電素子102のグラ
ンド用電極103とY1電極105(a)の間、及びグ
ランド電極103とY2電極105(b)に、電圧を印
加する。例えば正電圧印加により、Y1電極105
(a)の形成される部分の圧電材料が伸びる。同時に、
Y2電極105(b)の形成される部分の圧電材料は、
極性の反対の分極を施されているため、縮む。これによ
って、2本の円筒型圧電素子102は、紙面向かって手
前側に、Y軸に沿ってに向かって曲がって行く。この変
形は締結部108を介して梁107に伝達され、梁10
7はY軸に沿って曲がって行く。梁107は剛体であ
り、変形部109は弾性体であるため、円筒型圧電素子
102の自由端の傾きは変形部109の弾性変形により
吸収され、梁107は試料台111と一体に平行運動す
る。この様子を示したのが図4である。
【0026】図4は梁107を水平面のC方向から見た
模式図である。X1電極104(a)、X2電極104
(b)、Y1電極105(a)、Y2電極105(b)
に加える電圧を協調して制御すれば、梁107および試
料台部111をXY方向にラスター走査させることが出
来る。さらにZ電極106に電圧を印加することによ
り、円筒型圧電素子Z方向に伸縮させることことが出
来、したがって、梁107および試料台部111をXY
方向にラスター走査させつつ、Z方向に連続的に高さ変
化させることが出来る。 (2)第2の実施の形態 図5は、円筒型圧電素子利用の微小領域走査装置のう
ち、本発明の微小領域走査装置の第2の実施の形態を示
したものである。基盤501に、2本の円筒型圧電素子
502の一端が固定される。2本の円筒型圧電素子50
2の中心軸を結ぶ線は、円筒型圧電素子502の走査軸
方向と平行に、本実施の形態ではX軸上に一致するよう
に設定される。
【0027】円筒型圧電素子502に形成される電極配
置は第1の実施の形態と同様のものである。円筒型圧電
素子502の内側側面の全域にはグランド用電極503
が形成される。一方、外側側面の1部には4分割の電極
を製作し、それぞれは電気的に絶縁されている。この4
分割のX1電極504(a)、X2電極504(b)、
Y1電極505(a)、Y2電極505(b)は、それ
ぞれ2極が対向する位置関係にある。すなわち、X1電
極504(a)とX2電極504(b)、Y1電極50
5(a)とY2電極505(b)は対向位置の関係にあ
る。外側側面の残りの部分には1極のZ電極506が形
成され、内側のグランド用電極、外側の4分割電極とは
電気的に絶縁される。4分割のX1電極504(a)、
X2電極504(b)、Y1電極505(a)、Y2電
極505(b)、もう一つのZ電極506は、それぞ
れ、グランド用電極503との間で高電圧を掛け、電極
の形成される部分の圧電材料の分極を行う。
【0028】この時、対向する電極の形成される部分の
圧電材料は、同じ極性の電圧を印加された場合に、それ
ぞれ反対の効果、すなわち、「伸び」「縮み」を起こす
ように分極される。その他の配置に関しては、第1の実
施の形態と同じである。図6は、第2の実施の形態の動
作を示したものである。今、2本の円筒型圧電素子50
2のグランド電極503とX1電極504(a)の間、
及びグランド電極503とX2電極504(b)に、電
圧を印加する。例えば正電圧印加により、X1電極50
4(a)の形成される部分の圧電材料が伸びる。同時
に、X2電極504(b)の形成される部分の圧電材料
は、極性の反対の分極を施されているため、縮む。これ
によって、2本の円筒型圧電素子502は、紙面向かっ
て左側に、X軸に沿って曲がって行く。この変形は締結
部508を介して梁507に伝達され、梁507も左側
に曲がって行く。第1の実施の形態と同様、梁507は
剛体であり、変形部509は弾性体であるため、円筒型
圧電素子502の自由端の傾きは変形部509の弾性変
形により吸収され、梁507は試料台511と一体に平
行運動する。この様子を示したのが図7である。
【0029】図7は、図6において梁507を水平面の
B方向から見た模式図である。次に、2本の円筒型圧電
素子502のグランド用電極503とY1電極505
(a)の間、及びグランド電極503とY2電極505
(b)に、電圧を印加する。例えば正電圧印加により、
Y1電極505(a)の形成される部分の圧電材料が伸
びる。同時に、Y2電極505(b)の形成される部分
の圧電材料は、極性の反対の分極を施されているため、
縮む。これによって、2本の円筒型圧電素子502は、
紙面向かって手前側に、Y軸に沿って曲がって行く。こ
の変形は締結部508を介して梁507に伝達され、梁
507もY軸に沿って曲がって行く。
【0030】本実施の形態では、第1の実施の形態とは
異なり、2本の円筒型圧電素子501がX軸上に並んで
いるため、梁507が剛体であっても、Y軸方向には何
ら抵抗を受けず、梁507と変形部509は円筒型圧電
素子502の自由端と一体となって、傾きながらY軸方
向へ移動していく。この様子を示したのが図8である。
【0031】図8は梁507を水平面のC方向から見た
模式図である。したがって、第2の実施の形態の場合
は、X軸方向への走査と、Y軸方向への走査では、その
動作が異なり、得られる観察像が含んでいる誤差が、X
Y方向で異なることとなる。すなわち、X軸方向には高
さ成分の誤差が含まれ、Y軸方向には高さ成分と傾き成
分の誤差を含んでいることとなる。この特性は、XYの
ラスター走査時に各軸毎の異なる補正が必要となること
を意味しており、システム構成上複雑になる。
【0032】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、走査
型プローブ顕微鏡(SPM)に利用される微小領域走査
装置であって、その円筒側面が湾曲することによりXY
方向のラスター走査を行い、円筒軸方向に伸縮運動する
ことによりZ方向の駆動をする円筒型圧電素子を利用す
る微小領域走査装置において、2本の円筒型圧電素子
と、2本の円筒型圧電素子の自由端に連結固定される梁
と、から成る構造とした。さらに、2本の円筒型圧電素
子の中心軸を結ぶ線が、円筒型圧電素子の水平面内の走
査軸方向に対して45°を成す位置に配置する構成も考案
した。
【0033】こうすることにより、円筒型圧電素子を、
試料台直下に配置する必要がなく、試料台下に対物レン
ズを配置することが可能で、さらに、試料台下に円筒型
圧電素子を3本配置するより大きい空間を確保する出
来、顕微鏡のレボルバー回転を容易とする。さらに、梁
を円筒型圧電素子の走査軸方向に対して45°を成すよう
に配置することによって、2本の円筒型圧電素子をXY
方向へラスター走査する場合に、試料台にXY方向に均
等な力を作用させることが出来るという効果がある。
【0034】したがって、円筒型圧電素子3本を配置す
るより簡単な構造であって、顕微鏡のレボルバー回転を
可能とする円筒型圧電素子型微小領域走査装置を提供す
ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装
置のうち、第1の実施の形態の構成の一例を示す模式図
である。
【図2】本発明の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装
置のうち、第1の実施の形態の動作の一例を示す模式図
である。
【図3】第1の実施の形態の動作のうち、X軸方向への
動作を水平面のB方向から見た様子を示す模式図であ
る。
【図4】第1の実施の形態の動作のうち、Y軸方向への
動作を水平面のC方向から見た様子を示す模式図であ
る。
【図5】本発明の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装
置のうち、第2の実施の形態の構成の一例を示す模式図
である。
【図6】本発明の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装
置のうち、第2の実施の形態の動作の一例を示す模式図
である。
【図7】第2の実施の形態の動作のうち、X軸方向への
動作を水平面のB方向から見た様子を示す模式図であ
る。
【図8】第2の実施の形態の動作のうち、Y軸方向への
動作を水平面のC方向から見た様子を示す模式図であ
る。
【図9】従来の円筒型圧電素子利用の微小領域走査装置
の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
101 ・・・基盤 102 ・・・円筒型圧電素子 103 ・・・グランド電極 104(a) ・・・X1電極 104(b) ・・・X2電極 105(a) ・・・Y1電極 105(b) ・・・Y2電極 106 ・・・Z電極 107 ・・・梁 108 ・・・締結部 109 ・・・変形部 110 ・・・締結手段 111 ・・・試料台 112 ・・・対物レンズ 113 ・・・顕微鏡筐体 114 ・・・レボルバー 501 ・・・基盤 502 ・・・円筒型圧電素子 503 ・・・グランド電極 504(a) ・・・X1電極 504(b) ・・・X2電極 505(a) ・・・Y1電極 505(b) ・・・Y2電極 506 ・・・Z電極 507 ・・・梁 508 ・・・締結部 509 ・・・変形部 510 ・・・締結手段 511 ・・・試料台 512 ・・・対物レンズ 513 ・・・顕微鏡筐体 514 ・・・レボルバー 901 ・・・基盤 902 ・・・円筒型圧電素子 903 ・・・グランド電極 904(a) ・・・X1電極 904(b) ・・・X2電極 905(a) ・・・Y1電極 905(b) ・・・Y2電極 906 ・・・Z電極 907 ・・・試料台 908 ・・・試料

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先鋭化された先端部を有するプローブに
    よって試料表面を走査することによって、試料表面の物
    理的情報を観察する走査型プローブ顕微鏡(SPM)に
    利用される微小領域走査装置であって、その円筒側面が
    湾曲することによりXY方向のラスター走査を行い、円
    筒軸方向に伸縮運動することによりZ方向の駆動をする
    円筒型圧電素子を利用する微小領域走査装置において、 2本の円筒型圧電素子と、前記2本の円筒型圧電素子の
    自由端に連結固定される梁、から成ることを特徴とする
    微小領域走査装置。
  2. 【請求項2】 前記2本の円筒型圧電素子の中心軸を結
    ぶ線が、前記2本の円筒型圧電素子自由端の水平面内の
    走査軸方向に対して45°を成すように配置されることを
    特徴とする請求項1記載の微小領域走査装置。
  3. 【請求項3】 前記梁と前記2本の円筒型圧電素子の自
    由端に固定される部分の周辺部は弾性変形可能な弾性構
    造を有し、それ以外の前記梁の部分は剛体であることを
    特徴とする請求項2記載の微小領域走査装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性変形可能な弾性構造は、前記2
    本の円筒型圧電素子の半径方向のコンプライアンス(柔
    らかさ)より中心軸方向のコンプライアンスの方がより
    大きいことを特徴とする請求項3記載の微小領域走査装
    置。
  5. 【請求項5】 前記2本の円筒型圧電素子の曲がり変形
    動作による、前記2本の円筒型圧電素子の自由端の傾き
    偏差は、前記弾性変形可能な弾性構造により吸収される
    ことを特徴とする請求項4記載の微小領域走査装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007033934A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Olympus Corp ステージユニット
JP2008508533A (ja) * 2004-08-05 2008-03-21 イェーペーカー インストゥルメンツ アクチエンゲゼルシャフト 検査試料の収容装置
CN105891549A (zh) * 2016-04-08 2016-08-24 西南交通大学 一种基于原子力显微镜的多功能组合探针系统

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