JP2001095919A - 高頻度人工呼吸器 - Google Patents

高頻度人工呼吸器

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JP2001095919A JP28014799A JP28014799A JP2001095919A JP 2001095919 A JP2001095919 A JP 2001095919A JP 28014799 A JP28014799 A JP 28014799A JP 28014799 A JP28014799 A JP 28014799A JP 2001095919 A JP2001095919 A JP 2001095919A
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高頻度人工呼吸時の肺内圧力,換気量検出を
課題とする。 【解決手段】 吸気供給源の吸気導入部62と、吸気に
高頻度の振動空気圧を付勢する振動空気圧付勢部50
と、吸気を患者Xへ導く患者側経路60と、呼気を排出
する排出経路70と、患者側経路60の患者側端部に患
者Xの口元から気管の第一分枝まで挿入する気管内挿入
管81と、患者側経路60又は排出経路70から分岐し
た検出用分岐管84と、これに連通した圧力検出容器8
5と、その内部圧力を検出する対応圧力検出センサ86
とを有し、検出用分岐管84の内径及び長さ並びに圧力
検出容器85の容積を、高頻度人工呼吸時の気管内挿入
管81の先端部圧力と圧力検出容器85の内部圧力とが
一次関数の関係を生ぜしめる値に設定し、一次関数の関
係を記憶し対応圧力検出センサ86の検出圧力から気管
内挿入管81の先端圧力を算出する機能を備えたコント
ローラ40を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高頻度人工呼吸器
に係り、特に、患者の肺内圧力を観測しつつ酸素供給を
行い得る高頻度人工呼吸器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高頻度人工呼吸器200は、図1
8に示すように、酸素供給源201から三方分岐管20
2を介して患者X側と排気側とに分岐する流体回路系を
流れる高濃度酸素を含んだ吸気(通常の流量10〜30[l/m
in],最大60[l/min])に対して高頻度(3〜15[Hz]程
度)の振動空気圧を振動空気圧付勢部203によって付
勢して患者Xの肺内に酸素供給を行う。このとき、患者
Xの肺へかかる平均圧力は、呼気の排出口に設けられた
呼気弁204のゴム弁の閉放面積でコントロールし、通
常の平均圧力は、5〜15[cmH2O]を保つように設定する。
【0003】高頻度人工呼吸器200の酸素供給原理を
説明する。まず、患者に供給される吸気に高頻度振動空
気圧が付勢されると、当該吸気の圧力振幅により、患者
の肺中の二酸化炭素を含んだ吸気(以下、呼気とする)
に対して小容量の換気(対流的なガス交換)が起ると共
に、吸気の振動による拡散運動の効果で、肺内に吸気が
侵入すると共に肺内の呼気が肺の外(患者口元)まで導
き出される。後続の吸気は、上述の換気を行うと共に肺
から導き出された呼気を排気口側に送り出す作用をも有
している。これにより、患者の肺内を常に一定の酸素濃
度に維持することを可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高頻度人工呼吸器で
は、患者の肺に対し、吸気と排気の双方向について3〜1
5[Hz]の早い周期で切り替わるガス換気が行なわれるた
め、このような速い速度で方向性が切り替わるガスの流
れ(またはボリューム)を通常の流量センサで測ること
は困難であった。従って、患者の肺内の換気量を検出す
ることは困難であった。
【0005】例えば、応答性の良い流量センサとして熱
線式のセンサが挙げられる。この熱線式のセンサの流量
検出原理は、通電によりヒートされた熱線が当該熱線を
通過する気体流量に比例して冷却されることに着目し、
熱線温度をある一定に保つ電流量と気体流量とは比例関
係ができるので、かかる電流値から流量の検出を行う、
というものである。
【0006】しかしこの方式は、気体の流れの方向に関
係なく、通過した気体流量が多ければ熱線は冷却されて
しまうため、通過する気体の総量は計測できるが、気体
がどちらの方向に流れているかは計測できない。そのた
め熱線式のセンサは、吸気・呼気の双方向への気体の流
れに対し、センサ位置における瞬間的な分時流量(単位
時間当たりの流量)の大きさは計測できても、実際に肺
に対してどのくらいの量の吸気が流入してるか或いはど
のくらいの量の呼気が排出されているかを知ることはで
きなかった。
【0007】また、気体が流れる管内の途中に設けたオ
リフィスの前後差圧を計測し、ガス量を測定する方法も
ある。この方法であれば、基準圧をオリフィスの前後の
いずれかの圧力に固定すれば、ガスの流れる方向の違い
により、前後差圧ΔPがプラス又はマイナスで求められ
るので、ガスの流れの方向はわかる。
【0008】しかし、この方法は管の途中に差圧を発生
させるオリフィスが通気抵抗になり、吸気供給又は呼気
排出の妨げとなるため、患者のガス交換をする管路中に
設置するのは好ましくなかった。また、通気抵抗を抑え
るべくオリフィス径を大きく設定すると前後差圧は数[c
mH2O]の微圧となり、かかる微圧を高い精度で検出する
圧力センサがほとんどないので、結果として正確なΔP
が得られないという不都合があった。
【0009】また、人工呼吸時における患者の肺内の圧
力変化を検出することができればガス交換量が算出する
ことも可能である。しかし、上記高頻度人工呼吸器では
圧力を検出することができるのはせいぜい患者の口元ま
でが限度であり、患者の肺内圧力は口元圧力と一致しな
いので、肺の換気量を正確に求めることはできなかっ
た。
【0010】以上のような理由で、高頻度換気法で患者
の肺に一回当たりに送り込まれている(または排出され
ている)ガス換気量を計測する方法は、従来確立されて
はいなかった。
【0011】このために高頻度換気法を行なう場合、医
者は患者の人工呼吸の状態を管理するための指標がな
く、正常な換気が行なわれているかどうかは、一回換気
量の大きさにより患者の胸の振れ具合が異なるのを目安
とする目視観察などにより行われ、その精度は全く低い
ものであると共に、高頻度人工呼吸器の扱い自体が医師
に熟練と経験が要求されるものとなっていた。
【0012】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、高頻度人工呼吸時における患者の肺内の換気
量を検出するべく肺内圧力を検出し得る高頻度人工呼吸
器を提供することを、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、患者への酸素を含んだ吸気を供給する吸気導入部
と、吸気に患者の呼吸周期よりも高い周期の振動空気圧
を付勢する振動空気圧付勢部と、振動空気圧が付勢され
た吸気を患者へ案内する患者側経路と、患者から出され
た二酸化炭素を含んだ呼気を大気中に排出する排出経路
とを備えている。
【0014】そして、患者側経路の患者側端部に、患者
の口元から気管の第一分枝近くまで挿入する気管内挿入
管を装備している。
【0015】また、患者側経路から排出経路のいずれか
の途中部位から分岐した検出用分岐管と、この検出用分
岐管を介していずれかの経路と連通した圧力検出容器
と、この圧力検出容器の内部圧力を検出する対応圧力検
出センサとを有している。そして、この検出用分岐管の
内径及び長さ並びに圧力検出容器の容積を、高頻度人工
呼吸時の気管内挿入管の挿入側先端部圧力と圧力検出容
器の内部圧力とが一次関数の関係を生ぜしめる値に設定
している。
【0016】その上、一次関数の関係を記憶すると共に
対応圧力検出センサからの検出圧力に基づいて気管内挿
入管の挿入側先端部の圧力を算出する機能を備えたコン
トローラを備えている。
【0017】上記構成では、まず、気管内挿入管を患者
の口元から気管の第一分枝まで挿入する。かかる状態
で、吸気導入部から一定流量で吸気が供給され、同時に
振動空気圧付勢部で一定の振動周期で駆動する。これに
より、患者側経路及び気管内挿入管を介して患者に吸気
が供給される。かかる吸気には振動空気圧が付勢されて
いるので、振動空気圧の陽圧で吸気が肺に侵入し且つ拡
散し、陰圧で呼気が肺から吸い出される。かかる呼気
は、気管内挿入管を介して排出経路に至り、後続の吸気
と共に大気中に排出される。
【0018】このとき、対応圧力検出センサでは圧力検
出容器内の圧力を検出し、コントローラに出力する。高
頻度人工呼吸器では、高頻度人工呼吸時の気管内挿入管
の挿入側先端部圧力と圧力検出容器の内部圧力とが一次
関数の関係を生ぜしめる検出用分岐管及び圧力検出容器
が選択され装備されているので、コントローラではかか
る一次関数を用いて対応圧力検出センサの出力から気管
内挿入管の先端部の圧力即ち患者の肺内の圧力を算出に
より求める。
【0019】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明と同様の構成を備えると共に、コントローラは、一
次関数を記憶する記憶部と、この一次関数を参照し気管
内挿入管の挿入側先端部圧力の圧力を算出する肺内圧力
算出部とを備えるという構成を採っている。請求項2記
載の発明では、請求項1記載の発明と同様の動作が行わ
れると共に、気管内挿入管の先端部の圧力(肺内圧力)
の算出が肺内圧力算出部にて記憶部を参照しながら行わ
れる。
【0020】請求項3記載の発明では、請求項1又は2
記載の発明と同様の構成を備えると共に、一次関数を外
部から記憶部に入力する操作盤を,コントローラに併設
しするという構成を採っている。請求項3記載の発明で
は、請求項1又は2記載の発明と同様の動作が行われる
と共に、操作盤から予め入力された一次関数に従って気
管内挿入管先端部の圧力(肺内圧力)が算出される。
【0021】請求項4記載の発明では、請求項1,2又
は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、コントロ
ーラが算出した気管内挿入管の挿入側先端部圧力の圧力
を外部に表示する表示部を,コントローラに併設すると
いう構成を採っている。かかる構成では上記各構成と同
様の動作が行われると共に、算出された気管内挿入管先
端部の圧力(肺内圧力)が表示部にて外部に表示され
る。
【0022】請求項5記載の発明では、請求項1,2,
3又は4記載の発明と同様の構成を備えると共に、コン
トローラが、算出した気管内挿入管の挿入側先端部圧力
の圧力に基づいて患者の肺に対する換気量を算出する換
気量算出部を備えるという構成を採っている。この換気
量算出部では、算出された肺内圧力から換気量(現在肺
にどのくらいの吸気が流れ込んでいるか又は呼気が排出
されているか)を求める。
【0023】本発明は、上述した各構成によって前述し
た目的を達成しようとするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】(実施の形態の全体構成)本発明
の一実施形態を図1乃至図11に基づいて説明する。図
1,2は、それぞれ本実施形態たる高頻度人工呼吸器1
2の構成を示すブロック図であって、図1は人工呼吸時
の状態を示し、図2は人工呼吸を行う前の準備作業段階
の状態を示す。
【0025】この高頻度人工呼吸器12は、患者Xへの
酸素を含んだ吸気を供給する吸気導入部62と、吸気に
患者Xの呼吸周期よりも高い周期の振動空気圧を付勢す
る振動空気圧付勢部50と、振動空気圧が付勢された吸
気を患者へ案内する患者側経路60と、患者Xから出さ
れた二酸化炭素を含んだ呼気を大気中に排出する排出経
路70と、上記各部の動作制御を行うコントローラ40
とを備えている。
【0026】以下各部を詳説する。
【0027】(吸気導入部)上記吸気導入部62は、外
気と予め準備された酸素とを吸入し混合するブレンダ6
21と、ブレンダ621から送り出される空気を加湿す
る加湿器622とから構成されている。ブレンダ621
は吸気を加湿器622側に流す図示しない複数の出力バ
ルブが設けられている。各種の出力バルブは、それぞれ
流量が異なるものであり、任意の流量の出力バルブを選
択することにより所定流量の吸気の供給が行われる。な
お、各出力バルブはコントローラ40から動作信号によ
り開閉を切り替えるアクチュエータが併設されている。
【0028】加湿器622には、加湿器622を経た吸
気Aiを患者Xへ供給する吸気管623が接続されてい
る。吸気管623は、その途中で分岐して一端側が後述
するダイヤフラム機構56の被加圧室563に連通され
るとともに、その他端側が後述する三方分岐管170に
接続されている。
【0029】(振動空気圧付勢部)振動空気圧付勢部5
0は、陽圧Ap及び陰圧Anの両方の空気圧を同時に発
生するブロワ52と、ブロワ52で発生した陽圧Ap又
は陰圧Anを交互に選択して所定の振動空気圧Apnに変
換するロータリバルブ機構54と、ロータリバルブ機構
54からの振動空気圧Apnに付勢されて作動し,吸気導
入部62から患者Xに供給される酸素(厳密には空気と
混合された酸素)に振動空気圧を付勢するダイヤフラム
機構56とを含む構成を採っている。
【0030】上述のブロワ52は、その内部に空気を取
り込みまたその空気を送り出すことにより陽圧と陰圧と
を同時に発生させる。その空気取り込み口は、後述する
ロータリーバルブ機構54の陰圧ポート542に接続さ
れ、空気の送り出し口は陽圧ポート541に接続されて
いる。
【0031】ロータリバルブ機構54は、ブロワ52か
ら陽圧が入力される陽圧ポート541と、ブロワ52か
ら陰圧が付勢される陰圧ポート542と、振動空気圧を
出力する出力ポート543と、自らの回転により出力ポ
ート543を陽圧ポート541と陰圧ポート542とに
交互に接続するロータリバルブ544と、ロータリバル
ブ544を回転させる駆動部545とから構成されてい
る。
【0032】駆動部545は、図示しない電動機及び減
速機からなり、ロータリバルブ544を例えば900[rpm]
で回転させる。ロータリバルブ544は、一回転するご
とに、ポート541とポート543とのみを一回連通さ
せ、続いてポート542とポート543とのみを一回連
通させる。これにより、供給される吸気に対して周波数
15[Hz]の振動空気圧Apnを付勢する。ポート543に
は、振動空気圧Apnをダイヤフラム機構56へ伝達する
振動空気圧管546が接続されている。
【0033】ダイヤフラム機構56は、加圧室562及
び被加圧室563と、加圧室562と被加圧室563と
の間を仕切るとともに伸縮自在の膜状部材で形成された
ダイヤフラム561とを備えている。加圧室562は振
動空気圧管546に接続されている。加圧室562はロ
ータリーバルブ54の出力ポート543に接続されてお
り、被加圧室563は吸気管623に接続されている。
かかる構造によりロータリーバルブ54で形成された振
動空気圧はダイヤフラム561を介して吸気管623内
を流動する吸気に付勢される。
【0034】(患者側経路)さらに、高頻度人工呼吸器
12は、吸気管623の下流側に三方分岐管170を備
え、当該三方分岐管170がさらに下流側を患者X側と
排出経路側とに分岐させている。この三方分岐管170
は、患者側管路171(患者側端部),酸素供給源側管
路172及び呼気排出側管路173の三つの管路を備え
ており、これらの管路は全て内部で合流している。そし
て、酸素供給源側管路172が吸気管623と接続さ
れ、患者側管路171が患者Xの肺内に至る気管内挿入
管81と接続されている。この三方分岐管170と吸気
管623とが患者側経路60を構成している。また、患
者側管路171には平均気道内圧を検出する患者側圧力
センサ93が設けられており、検出圧力はコントローラ
40に出力される。
【0035】(排出経路)さらに、三方分岐管170の
呼気排出側管路173は、排出管604の一端部と接続
され、この排出管604の他端部には流量調節バルブ6
07が接続されている。これら排出管604と流量調節
バルブ607とは、患者Xの肺から出された二酸化炭素
を含んだ吸気(呼気)の通り道となり、これらが呼気を
大気中に排出する排出経路70を構成する。
【0036】図3は、排出経路70の周囲を一部切り欠
いて示した拡大図である。この図に示すように、流量調
節バルブ607は、筺体607aと排気ポート607b
と流量制御用の移動弁(制御用シリコンシート)607
cと、この移動弁607cを一定方向に沿って前後進移
動させる往復付勢機構としてのソレノイド607dとを
備えている。
【0037】(モデル肺と気管内挿入管)ところで、図
1と図2とを比較すると分かるように、人工呼吸前の準
備作業段階(図2)においては、三方分岐管170の患
者側管路171には、患者Xの口元から気管の第一分枝
まで挿入可能な気管内挿入管81を介して患者Xの肺に
ほぼ等しいコンプライアンス値に設定されたモデル肺8
2が装備されている。
【0038】上記気管内挿入管81は準備作業段階のみ
ならず人工呼吸時にも使用されるものであって、当該人
工呼吸時には患者Xの口部から気管に挿入される。人間
の気管は、その深部にて左右の肺にそれぞれ向かう二本
の気管支に分岐している。この気管内挿入管81は、チ
ューブ状であって変形性に富み、人工呼吸時において図
1の如く、患者Xの口から上述の各気管支に分岐する分
岐点(第一分枝)まで挿入される。従って、気管内挿入
管81は、患者Xの口から第一分枝まで充分に届く長さ
に設定されており、また当然のことながら気管内に挿入
可能な外径に設定されている。
【0039】なお、この気管内挿入管81は、ある特定
の患者Xのみに応じて各部の寸法設定が成されているも
のではない。即ち、一般の成人であれば気管の内径や長
さに大差はなく、このような平均的な成人を対象とする
寸法設定が成されている。即ち、成人男子の場合、口部
から第一分枝まで22〜26[cm]程度であり、これに三方分
岐管170の患者側管路171から口元までの長さが+
3〜5[cm]あるので、気管内挿入管81は合計して25〜31
[cm]程の長さであれば良く、本実施形態では30[cm]に設
定される。また、通常の成人を対象とした場合、気管内
挿入管81の内径は8[mm]程度のチューブが一般的に使
用されている。
【0040】また、気管内挿入管81の各部の寸法は、
患者Xの年齢に応じたサイズに設定しても良い。図4
は、年齢とそれに応じた気管内挿入管の内径及び挿入長
さを示している。挿入長さは口部から挿入される部分の
長さを示しているので、各気管内挿入管の実際の長さ
は、この数値に3〜5[cm]加えたものとなる。
【0041】さらに、この気管内挿入管81は交換式で
あり、三方分岐管170の患者側管路171に対して着
脱自在となっている。従って、人工呼吸に使用された後
には取り外して廃棄又は除菌洗浄されて再利用される。
【0042】人工呼吸を行う前の準備作業段階におい
て、気管内挿入管81の末端部にはモデル肺82が装備
される。このモデル肺82はその内部が中空であって、
その外形は寸胴な円柱状に形成されている。そして、そ
の上部には気管内挿入管81との接続口が設けられてお
り、モデル肺82の内部は気管内挿入管81に連通して
いる。このモデル肺82は、患者Xの肺のコンプライア
ンス値とほぼ等しくなるように設定されている。ここ
で、コンプライアンスとは、厳密には物体の伸び易さを
示す指標を意味する。しかし、ここでは、コンプライア
ンス(C)とは、一定の圧力変化(ΔP)に対する容器
内への気体の流入又は流出量(ΔV)を示すものとする
(C=ΔV/ΔP;単位[ml/cmH2O])。
【0043】人間の肺のコンプライアンスは肺の伸縮性
と容積により決まる。一方、モデル肺82は、伸縮性の
乏しい硬質の素材にて形成されており、そのコンプライ
アンスはその容積のみを適宜好適な値に設定することに
より、患者Xの肺のコンプライアンスと等しくなるよう
に調節している。というのも、このモデル肺82を肺と
同様の伸縮性を有する素材で形成しコンプライアンスの
調節を図るのは生産性の面からも困難であり、容積設定
のみからコンプライアンスを調節する方が生産が容易と
なるからである。
【0044】なお、本実施形態では、正常な成人の一般
的なコンプライアンス値に基づいてモデル肺82の容積
を40[l]に設定している。また、肺のコンプライアン
スは専用の測定装置により測定可能であるため、予め患
者ごとにコンプライアンスの測定を行い、かかる測定値
に基づいてより厳密にモデル肺82の容積を決定しても
良い。
【0045】さらに、モデル肺82にはその内部の圧力
を検出するモデル肺用圧力センサ83が装備されてい
る。このモデル肺用圧力センサ83は、センサ出力を記
憶し表示する観測装置Bと接続される。この観測装置B
は高頻度人工呼吸器12とは別体の例えばパーソナルコ
ンピュータとディスプレイとから構成される。
【0046】また、このモデル肺82は、気管内挿入管
81に対して着脱自在であり、後述する人工呼吸前の準
備作業を終えると、気管内挿入管81から取り外され
る。
【0047】(圧力検出容器と検出用分岐管)高頻度人
工呼吸器12は、さらに、図1,2に表わされているよ
うに、吸気管623の三方分岐管170側の端部近傍か
ら分岐した検出用分岐管84と、これに接続され吸気管
623と連通した圧力検出容器85とを備えている。こ
の検出用分岐管84は、前述した気管内挿入管81より
も内径を小さく設定し(例えば0.5[mm])、その長さを3
0[cm]に設定したチューブ状のものが使用される。ま
た、この検出用分岐管84は、吸気管623から着脱自
在に装備されている。
【0048】また、圧力検出容器85は、その内部が中
空であって、その外形は寸胴な円柱状に形成されてい
る。そして、その上部には検出用分岐管84との接続口
が設けられており、圧力検出容器85の内部は検出用分
岐管84を介して吸気管623に連通している。この圧
力検出容器85は検出用分岐管84から着脱自在に連結
されている。
【0049】この圧力検出容器85は、モデル肺82の
ように患者Xの肺のコンプライアンス値と等しくなるよ
うな設定はなされていないが、モデル肺82と同様に硬
質の素材にて形成されている。また、圧力検出容器85
の容積は前述したモデル肺82よりも小さい10[ml]に設
定されている。
【0050】そして、上記検出用分岐管84の内径及び
長さ並びに圧力検出容器85の容積の各値は、モデル肺
82を接続した状態で高頻度人工呼吸(吸気供給量,振
動空気圧の振動周期及び振動空気圧付勢部50の一回換
気量(振動空気圧の一周期における換気量)の各値を一
定の値とした条件下で)を行った時の気管内挿入管84
の挿入側先端部に位置するモデル肺82の内部圧力P1
と圧力検出容器85の内部圧力P2とが常に一次関数の
関係を生ぜしめる値に設定されている。
【0051】この一次関数はp1=k・p2+mで表され
(k,mは定数)、k,mの値は気管内挿入管81,モ
デル肺82,検出用分岐管84及び圧力検出容器85の
各部の寸法又は容積に応じて決定される。さらに、検出
用分岐管84の内径及び長さ並びに圧力検出容器85の
容積の各値は、当該各値に変更を加えて、モデル肺82
を気管内挿入管81に接続した状態で繰り返し高頻度人
工呼吸試験を行い、最も一次関数的な変化を示したもの
が採用される。ちなみに、上述した各数値は試験により
求められた値である。
【0052】なお、検出用分岐管84の内径が小さいか
或いは長さが長いときには圧力検出容器85の容積は小
さくなる傾向にある。従って、検出用分岐管84内径及
び長さ並びに圧力検出容器85の容積は、特にこの容積
に限定するものではない。即ち、気管内挿入管81の内
径及び長さ並びにモデル肺82の容積が一定であって
も、検出用分岐管84内径及び長さ並びに圧力検出容器
85の容積の値の組み合わせは無数に存在し、これらの
一つに設定すれば良い。
【0053】さらに、圧力検出容器85にはその内部の
圧力を検出する対応圧力検出センサ86が装備されてい
る。この対応圧力検出センサ86は、高頻度人工呼吸時
には後述するコントローラ40の記憶部41に接続さ
れ、人工呼吸を行う前の準備作業段階においては前述し
た観測装置Bに接続される。
【0054】(コントローラ)次に、コントローラ40
について図1及び図5を参照して説明する。図5は高頻
度人工呼吸器12の制御系を示すブロック図である。こ
のコントローラ40は、CPU,ROM,A/D変換器
を含む演算装置で構成され、後述する高頻度人工呼吸器
12の動作制御を実行するプログラムが入力されてい
る。このコントローラ40は、後述する操作盤43の入
力条件に従い吸気導入部62,振動空気圧付勢部50及
び流量調節バルブ607の動作制御を行う動作制御部4
9と、対応圧力検出センサ86の検出圧力を記憶するセ
ンサ出力メモリ41と、前述した一次関数を記憶する記
憶部42と、当該記憶部42とセンサ出力メモリ41と
を参照し、対応圧力検出センサ86の検出圧力からモデ
ル肺用圧力センサ83で検出されるであろう圧力(演算
により求められた患者Xの肺内圧力)を算出する肺内圧
力算出部47と、肺内圧力算出部47の出力に基づいて
患者Xの肺に対する換気量を算出する換気量算出部48
を備えている。
【0055】また、コントローラ40には、後述する各
操作を入力するための操作盤43と患者側圧力特定部8
7にて特定された圧力を表示する表示部44とが併設さ
れている。
【0056】上述のコントローラ40の動作制御につい
て詳説する。この高頻度人工呼吸器12では、高頻度人
工呼吸時の患者Xの肺内での振動空気圧に基づく吸排気
の換気量の観測を可能とするために、当該高頻度人工呼
吸時の肺内の圧力の観測を可能とすることを目的とす
る。
【0057】かかる目的達成のために、上述した高頻度
人工呼吸器12では、人工呼吸を行う前に準備作業を必
要とする。この準備作業は、高頻度人工呼吸が供給供給
量,振動空気圧の振動周期及び振動空気圧付勢部50に
おける一回換気量が一定の条件下で、モデル肺82と圧
力検出容器85とで検出される各圧力が一次関数で表さ
れる対応関係を生じるように、検出用分岐管84の内径
及び長さ並びに圧力検出容器85の容積を選定するため
に行われる。
【0058】これを順を追って説明すると、まず、患者
Xの気管内に挿入する予定の気管内挿入管81をモデル
肺82と接続し、当該モデル肺82と三方分岐管170
の患者側管路171とを連通させる。また、モデル肺用
圧力センサ83及び対応圧力検出センサ86は観測装置
Bに接続される。
【0059】そして、操作盤43により、吸気流量,振
動空気圧の振動周期及び振動空気圧付勢部の一回換気量
を入力設定する。かかる入力があると動作制御部49に
より、吸気導入部62のブレンダ621に設けられた各
出力バルブの中から適宜なものが選択され、同時に振動
空気圧付勢部50のロータリーバルブ機構54が入力さ
れた振動周期に応じた回転数で駆動し、ブロワ52が入
力された一回換気量に応じた出力で駆動する。これによ
り、モデル肺82及び圧力検出容器85に対して吸気の
供給が行われる。このとき、操作盤43から動作制御部
49を介して流量調節バルブ607の開度調節を行い、
吸気圧力が患者に最適な数値となるようにする。
【0060】このとき観測されるモデル肺用圧力センサ
83と対応圧力検出センサ86の出力に基づく各圧力を
比較し、前述した一次関数の対応関係が生じているかを
検証する。各検出圧力はいずれも振動空気圧と等しい周
期で増減を繰り返しているので、それぞれのセンサ8
3,86の任意の一周期の検出圧力を選択し、等しい位
相での検出圧力を比較する。
【0061】前述した一次関数の対応関係を生じていな
い場合には、検出用分岐管84を内径のサイズが異なる
ものに交換する。或いは容積の異なる圧力検出容器85
と交換する。かかる検出により適宜な検出用分岐管84
及び圧力検出容器85が特定されると、前述した各セン
サ83,86から一次関数の定数k,mを算出する。そ
して、算出された一次関数を操作盤43から入力する。
【0062】次に、患者Xに高頻度人工呼吸を行う場合
について説明する。まず、気管内挿入管81からモデル
肺82を外し、当該気管内挿入管81を患者Xの口元か
ら気管の第一分枝まで挿入する。また、対応圧力検出セ
ンサ86をコントローラ40に接続する。そして、操作
盤43により、患者Xの肺のコンプライアンス値と準備
段階のときと同じ吸気流量,振動空気圧の振動周期及び
一回換気量を入力する。
【0063】これにより、吸気導入部62から選択した
一定流量で吸気が供給され、同時に振動空気圧付勢部5
0のロータリーバルブ機構54が入力された振動周期に
応じた回転数で駆動し、ブロワ52が入力された一回換
気量に応じた出力で駆動する。これにより、準備作業時
と等しい周期で振動空気圧の付勢を行い、患者Xの肺及
び圧力検出容器85に対して振動空気圧を付勢された吸
気の供給が行われる。
【0064】このとき、コントローラ40の肺内圧力算
出部47は、前述した相対関係式p1=k・p2+mに対
応圧力検出センサ86から出力される検出圧力p2を代
入し、モデル肺82が接続されていたならばモデル肺用
圧力センサ83で検出されたであろう圧力を算出する。
モデル肺82のコンプライアンスを患者Xの肺のコンプ
ライアンスと等しく設定したので、肺内圧力算出部47
で算出したモデル肺用圧力センサ83で検出されたであ
ろう圧力は、患者Xの肺内圧力にほぼ等しくなる。従っ
て、この算出圧力を現在の患者の肺内圧力として表示部
44で出力する。
【0065】さらに、換気量算出部48では、ΔV=k
・Δp2・Cの式(ΔV:換気量(大気圧状態の肺に対す
る気体の流入又は流出量),k:相対関係算出部46で
求めた係数,Δp2:圧力変化(大気圧−対応圧力検出
センサの検出圧力p2),C:肺のコンプライアンス
値)から換気量ΔVを算出し、表示部44にて出力す
る。
【0066】以上の構成により、高頻度人工呼吸器12
では、高頻度人工呼吸を行いながら同時に当該高頻度人
工呼吸時における患者Xの肺内圧力及び換気量を検出す
ることを可能としている。
【0067】(本実施形態の原理説明) 〔コンプライアンス〕まず、高頻度人工呼吸(HFO)を
している場合の、「実際の肺」と「モデル肺82」の流
体力学的な相関関係について説明する。「実際の肺」は
非線型の弾性体であり、通常の人工呼吸のように自発呼
吸に近い周期で吸気供給と呼気排出を繰り返す場合には
吸気供給時と呼気排出時とによって「内圧−換気量」の
曲線が異なり、図6に示すヒステリシスがある。
【0068】また「実際の肺」は、図7に示す肺の模型
の図のように、一本の気管から複数回の枝分かれを繰り
返してなる無数の気管支と、最終的に枝分かれした各気
管支の末端に存在する無数の小さな肺胞からなる。
【0069】全部の肺胞にかかる圧力の平均圧力値を患
者の肺内圧の代表値Pとし、肺への吸気の流れ込み難さ
を気道抵抗R(空気抵抗となる代表的なものは気管な
ど)、肺の膨らみやすさをコンプライアンスCと考えた
場合、実際のガス換気量Vにともなう肺内圧の圧力変化
は、医学的に呼吸のメカニックスを研究した様々な論文
から、次式で示されるのが一般的になっている。
【0070】 ΔP=R・(dΔV/dt)+ΔV/C …(1) (ΔP:患者の肺内圧変化[cmH2O],R:肺胞へ流れ込
むまでの気道抵抗[cmH2O/l/sec],C:コンプライアン
ス[ml/cmH2O],ΔV:換気量変化[ml])
【0071】ここで、コンプライアンスCの定義につい
ては前述したように一定の圧力変化(ΔP)に対する容
器内への気体の流入又は流出量(ΔV)を示すものであ
り、C=ΔV/ΔP(単位は[ml/cmH2O])で表される。
また、気道抵抗Rとは気体が気道内を流れるときに気体
分子間或いは気体分子と気道壁面との間に生じる摩擦抵
抗をいい、一定流量で気体を流すために要する圧力をい
う(単位は[cmH2O・s/l])。
【0072】上述した高頻度人工呼吸器12における人
工呼吸時の肺に対する内圧変化の特定の手法は、患者X
の気管と肺とを流動抵抗及びコンプライアンスが等しく
なるようにモデル化し、予めかかるモデル(気管内挿入
管81とモデル肺82)に対して高頻度人工呼吸を行う
ことにより、適宜な値の検出用分岐管84の長さ及び内
径と圧力検出容器85の容積とを求め、さらに相対関係
である一次関数の定数k,mを算出し、コントローラ4
0の記憶部42に入力する。そして、コントローラ40
の肺内圧力算出部47にて上述の相対関係から圧力検出
容器85で観測される内圧変化のみから実際の肺の内圧
変化を特定する、というものである。また、このように
実際の肺の内圧変化を特定することにより、後述する式
(16)に従って、人工呼吸時の肺の換気量も特定する
ことが可能となる。
【0073】ところが、実際の肺は、図6に示したよう
に、吸排気の際にヒステリシスを生じるためコンプライ
アンスCを特定することが困難であることが予想され
る。また、気管から肺胞に至るまで無数の分岐を繰り返
す構造のため流動抵抗を求めることが困難であることが
予想される。従って、実際の肺と気管のモデル化は、困
難であると思われる。
【0074】だが、高頻度人工呼吸の場合、通常の換気
方法と異なる次のような特有の換気方法のため、「モデ
ル肺82」を肺の代用モデルとして利用できる。
【0075】肺に常時平均的に圧力をかけるので(5
〜15[cmH20])、肺が常時ある程度、膨張したままであ
る。そのため肺の動きが少なくなる。
【0076】通常換気の大きくゆっくりとした換気
(一回換気量=500〜700[ml],換気回数=8〜20[回/
分])に比較して、一回換気量が非常に小さく(100[ml]
以下)、換気回数が非常に速い(180[回/分]以上)。そ
のため換気による肺の動きが小さい。
【0077】通常換気の場合、「吸気時」は器械が能
動的に押し込み、「呼気時」は、器械がガスの吐き出し
に関与せず、肺の弾性を利用して自然に吐き出させる流
れのため、肺の弾性力の影響を大きく受ける。そのため
図6「肺の圧−換気曲線」のようにヒステリシスが出
る。しかし、高頻度人工呼吸のガス換気は、「吸気供給
時」,「呼気排出時」とも器械が肺の弾性力とは無関係
に能動的かつ強制的に定量の一回換気を定時間内に行な
う。そのため、肺の動きはヒステリシスが認められなく
なっている。
【0078】,,の理由から、高頻度人工呼吸時
は、通常換気時の肺の動きである「肺の膨張(吸気時)
−肺の収縮(呼気時)」が小さくなる。つまり、呼吸に
よる非線型の弾性体からなる肺の目立った動きがなくな
り、コンプライアンスCは吸気時と排気時の差が微小と
なる。このため、高頻度人工呼吸時のコンプライアンス
Cに等しい肺のモデル化は、弾性の少ない密閉された単
一容積のタンクである「モデル肺82」で近似的に実現
することが可能である。
【0079】また、ヒトの肺の全体のコンプライアンス
は、静的コンプライアンス、動的コンプライアンス、胸
隔コンプライアンスなどがある。通常の換気は、大きな
呼吸動作(吸気一呼気〉があるので、肺のヒステリシス
を考慮した、動的な肺コンプライアンスや胸隔コンプラ
イアンスの影響を考える必要があるが、HFO時では、小
さく浅く速い換気法のため、肺内で起るボリューム(換
気量)変化が、時間的にも容量的にも小さいので、肺の
動的な影響を受ける動的肺のコンプライアンス及び胸隔
コンプライアンスの影響は小さく、無視しても問題な
い。
【0080】高頻度人工呼吸法の場合は、肺の静的コン
プライアンスを肺の全体のコンプライアンスとして問題
ないので、その値を代表値として用いる。医学的に正常
肺の静的コンプライアンスCは、約200[ml/cmH20]であ
る。よって、成人の場合、以下の式(2)に基づくコン
プライアンスCを持つ「モデル肺82」を用いた回路を
基準とすれば良い。
【0081】 ΔP=R・(dΔV/dt)+ΔV/200 …(2)
【0082】〔気道抵抗〕また、気道抵抗Rについて考
える。図8に「気道の分岐構成」を示す。肺は気管から
肺胞まで多数の分枝により構成されている。気管を0次
元として、一回の分岐ごとに次数を加算するものとする
と、最終的な肺胞までの次元は20次元以上となる。
【0083】肺の気道の分岐数が多くなるに準じて気道
径は細くなる。しかし、気道数は逆に増加する。分岐の
次元と各次元ごとの気道断面積の総和との関係を図9に
示す。これによれば、気道断面積の総和(同次元の全て
の気道の断面積の合計)は第10分岐までほとんど変わら
ない。しかし、第10分岐以降は、無数に気道が別れ、気
道断面積が急激に増加する。
【0084】分岐が増すほど気道が細くなり、気道抵抗
Rはポアズイユ(Poiseui11e)の方程式から気道半径の4
乗に反比例して増加するが、逆に気道断面積の総和は急
激に増加するため、実質の気道抵抗Rは小さくなる。ポ
アズイユの方程式を以下に示す。
【0085】R=8nl/πr …(3) (n:ガスの粘性係数(poises),l:長さ[cm],r:半径
[cm])
【0086】図10に分岐の次元と各次元ごとの気管に
よる気道抵抗の関係を示す。これによれば、気道抵抗R
の大部分は、肺の中等大の気管支(第7分岐)までの気
道であり、80%以上の抵抗を生じている。第10分岐まで
考えれば95%以上となる。よって、気道抵抗Rは、ほぼ
0分岐から第10分岐までの抵抗として考えてもよい。
【0087】ここで正常呼吸の場合、0分岐は気管であ
る。しかし、高頻度人工呼吸時の患者の場合、患者の0
分岐は気管内挿入管81が挿入されるため、0分岐の気
道抵抗は、気管内挿入管81の抵抗として考えればよ
い。つまり0分岐の空気抵抗は、気管内挿入管81の内
径をポアズイユの方程式に代入して生じる抵抗とほぼ同
一と考えて良い。
【0088】次に、気管内挿入管81の抵抗Rcと第1
分岐抵抗R1+第2分岐抵抗R2+第3分岐抵抗R3+…
+第10分岐抵抗R10の大きさを比較する。気管内挿入
管81径を8[mm]、チューブ長を30[cm]と仮定すると、
気管内挿入管81抵抗Rcは次式(4)で表される。
【0089】 Rc=(8×n×l)/πr4=(8×n×30)/(π・0.44)=9375n/π =2984n …(4) (n:ガスの粘性係数,r:半径,I:長さ)
【0090】第1分岐抵抗R1+…+第10分岐抵抗R1
0については、次のように考える。図9に示した線図に
よれば、第1〜第10分岐までの各分岐の気道累積面積
(同次元の全ての気道の断面積の合計)は、ほぼ等し
い。患者によって様々であるが、ヒトの第1〜第4分岐ま
での気道累積面積の代表例を図8の値を参考とする。第
1〜第4分岐までの気道累積断面積は、平均で46[cm2]程
度とできる。これが第1〜第10分岐まで、ほぼ等しい累
積面積でいくとすれば、第1〜第10分岐までは、直径3.8
[cm]の一本の管と同等の空気抵抗を持つと仮定してもよ
い。そして、第1〜第10分岐の長さは約20[cm]程度と仮
定すると、肺内の第1分岐〜第10分岐までの気道抵抗の
総和は次式(5)で表すことができる。
【0091】 第1分岐抵抗R1+…+第10分岐抵抗R10 =(8×n×l)/πr4=(8×n×20)/(π・1.44)=41.6n/π=13.3n … (5)
【0092】ガスの粘性係数nは一定であるから、「気
管内挿入管81抵抗Rc」は、「第1分岐抵抗R1+…
+第10分岐抵抗R10」に対して、2984n/13.3n=約22
4倍となる。
【0093】よって、気管内挿入管81抵抗Rc>>第
1分岐抵抗R1+…+第10分岐抵抗R10となるので、
気道抵抗Rは気管内挿入管81抵抗Rcでほとんど生
じ、ほぼ同等と考えてもよい。特に、高頻度人工呼吸の
ように速くて小さな流動を生じる呼吸方法は、空気の流
れが深い分岐まで直接至らないため、実際に空気の流れ
が起っているのは、主に次数の少ない分枝までである。
そのため空気の流れがあるときに考慮すべきRの項は、
「気管内挿入管81抵抗Rc>>第1分岐以降の総分岐
抵抗」の傾向がさらに強くなる。なお、高頻度人工呼吸
法では、直接的な空気の流れにて酸素を行き渡らせるの
ではなく酸素の拡散により換気を行うので、深い分枝ま
で直接的な流れが到達しない場合でも、換気は充分に行
われる。
【0094】このように、高頻度人工呼吸法の換気法を
採用している上では、気道抵抗Rは、使用する「気管内
挿入管81」の空気抵抗によって代表させて問題ない。
【0095】これらの理由により(1)式のΔP=R・
ΔV/dt+ΔV/CのR項を「気管内挿入管81」の空
気抵抗である気道抵抗Rcとし、C項を約200[ml/cmH2
0]の硬質タンクの「モデル肺82」のコンプライアンス
Cとすることで、単純モデル化できる。
【0096】これらモデル化したHFO回路を用いて、
「モデル肺82」に発生している圧力P1の変化と同等
もしくは相似の変化(前述した一時間数に基づく変化)
をする「圧力検出容器85」と「検出用分岐管84」と
を製作すれば、同じ回路構成のHFO呼吸器を患者に用い
た場合、間接的に「実際の肺」の圧力P3の変化が、
「圧力検出容器85」の圧力P2の変化を計測すること
で知ることができる。
【0097】上述のことを式でまとめると次のようにな
る。HFO時の患者の肺内圧変化をΔPとし、肺内に出入
りしたガスの変化量(流量)をΔVとし、HFO時の肺の
気道抵抗をR、肺のコンプライアンスをCとすると前述
した式(1)が成立する。
【0098】このとき、高頻度人工呼吸時では、前述し
たように、Rの項は患者に使用している「気管内挿入管
81」の空気抵抗Rcと近似的に置き換えてもほぼ問題
ない。さらに、コンプライアンスCはモデル肺82のコ
ンプライアンス(=200[ml/cmH2O])とすることができる
ので次式(6)が成立する。
【0099】 ΔP=Rc・(dΔV/dt)+ΔV/200 …(6)
【0100】〔圧力検出容器と検出用分岐管〕ここで、
Rdの空気抵抗を持つ「検出用分岐管84」とC’のコ
ンプライアンスを持つ「圧力検出容器85」を、図1に
示す「モデル肺82と圧力検出容器85の関係」のよう
に同じHFO回路内で使用する。但し、RdはRcと、
C’はCと、後述する相対的な関係にあるものとする。
「圧力検出容器85」で起るボリューム変化をΔV’と
すると次式(7)が成り立つ。
【0101】 ΔP=Rd・(dΔV’/dt)+ΔV’/C’ …(7)
【0102】「モデル肺82」で起る圧変化P1は、前
述した式(6)による圧変化をし、「圧力検出容器8
5」で起る圧変化P2は上式(7)による圧変化をす
る。上式(7)の全ての項は前式(6)と相対的な比例
関係にあるため、P1とP2の関係は、次式になる。
【0103】P1=k×P2+m …(8) (k,mは定数)
【0104】ここで、HFO時の実際の患者の肺の内圧変
化をPalvとすると、HFO特有の換気メカニズムから、実
際の肺は「モデル肺82」として単純モデル化できるた
め、患者の肺の内圧変化Palvは次式(9)で表すこと
ができる。
【0105】Palv≒P1 …(9)
【0106】そこで、実際の患者がつながっている高頻
度人工呼吸器12が図2の状態(人工呼吸モード)で
「圧力検出容器85」の圧力変化P2を求めれば、式
(8)、(9)により患者の肺の内圧変化Palvが求め
られる。
【0107】Palv≒P1=k×P2+m …(10)
【0108】上式(10)で患者の肺内圧変化が間接的
に計測できる。ここで、圧力検出容器85及び検出用分
岐管84の設置位置は、できるだけモデル肺82及び気
管内挿入管81と近接することが望ましいが、他の位置
でも良い。
【0109】以上は、正常な肺モデルの静的コンプライ
アンスC=約200[ml/cmH20]で「モデル肺82」を代表
値として考えたが、病的な肺のコンプライアンスは、正
常肺の静的コンプライアンスCに係数nをかければ表現
できる。病的肺のコンプライアンスをC''とすれば次式
(11)で表すことができる。
【0110】C''=nC …(11) (nは定数)
【0111】よって、病的肺の内圧変化は、式(6)を
変形して次式(12)となる。
【0112】 ΔP=Rc・(dΔV/dt)+ΔV/200n …(12)
【0113】式(12)の第2項は、Cの比例倍の関係
にある項であるため、(10)式は次のようになる。
【0114】Palv≒P1=k'×P2+m …(13) (k'は係数nを考慮したkの比例倍定数)
【0115】kとk'の関係は、病的肺の静的コンプラ
イアンスC''を持つ「モデル肺82’」と正常な肺のコ
ンプライアンスを持つ「モデル肺82」とを用いて比較
すれば、比例関係式が導かれる。よって、実際の臨床に
おいては患者の診療時に、病的肺の静的コンプライアン
スC''をあらかじめ計測し、その値と正常肺との関係を
(11)式により求めれば、どのk'を使用すればよい
かわかる。このk'を用いれば、病的肺においても、P
2から患者の肺内圧変化P1が(13)式より求まる。
【0116】〔一回換気量の算出〕さらに、次のような
計算式から、実際の患者の肺にどれだけの一回換気が出
入りしているかが推定できる。
【0117】基準として、「モデル肺82」に定量のガ
ス100[ml]を瞬間的に押し込んだ時の圧力変化をΔPa
(定数)とする(ΔPa=100/C、例えばC=200[ml/c
mH2O]であればΔPa=0.5[cmH2O])。高頻度人工呼吸
法の換気により「モデル肺82」にΔP1の圧振幅が発
生すれば、ボイルの法則を用いて、次式(14)の関係
が成立する。
【0118】 ΔPa/100=ΔP1/ΔV=1/C …(14)
【0119】また、高頻度人工呼吸時の圧力検出容器の
P2の圧振幅変化ΔP2はΔP1と(10)式の関係が
あるので、次式(15)が成立する。
【0120】 ΔPa/100=ΔP1/ΔV=(k・ΔP2+m)/ΔV=1/C …(15)
【0121】よって、「モデル肺82」のHFO時のボリ
ューム変化であるΔV(換気量)が求まる。
【0122】 ΔV=100×(k・ΔP2+m)/ΔPa=C・(k・ΔP2+m) …(16)
【0123】「モデル肺82」と「実際の肺」は、流体
力学的にほぼ同じであることから、実際の患者の肺の換
気量もほぼΔVとすることができる。つまり、準備作業
段階の測定で係数k,mを求め、高頻度人工呼吸時に圧
変化ΔP2を計測すれば、患者の肺の換気量も式(1
6)を用いて、ほぼ推定できる。
【0124】なお、コンプライアンス値Cは前述した
〜の理由により、高頻度人工呼吸時における圧力検出
に際しては、気道抵抗Rと比較してモデル肺82及び圧
力検出容器85の圧力検出に対する影響は小さく、これ
らの内部圧力の変化の主な特定要素は、気管内挿入管8
1及び検出用分岐管84の気道抵抗に左右されていると
いえる。従って、モデル肺82の容積の設定に際して
は、コンプライアンス値Cに基づいて算出した最も好適
な容積から若干の誤差(±150[%])があっても検出圧力
に大きな誤差は生じない(より精度を高くするためには
最も好適な値に設定することが当然望ましい)。但し、
式(16)から換気量ΔVを算出するときにはコンプラ
イアンスCは正確でなくてはならない。
【0125】
【第1実施例】式(8)の関係を、前述した高頻度人工
呼吸器12のシステムを利用して測定した結果を説明す
る(図2参照)。
【0126】まず、吸気導入部62にて高純度の酸素
(約100%)と空気を混合して医者の設定した値の高濃
度酸素の混合ガスを作り出す。同時に流量を医者が設定
した値(10〜60[l/min])の吸気(フレッシュガス)を
患者回路内に定常流で流す。この定常流に振動空気圧付
勢部50から振動を加え、空気の振動波を作り出す。流
れを伴った空気振動波が、患者Xの肺のガス交換を行な
う。
【0127】また、排出経路70の出口開放面積を流量
調節バルブ607で可変制御させることにより、患者の
肺に負担をかけないように医者が設定した適切な平均圧
力(通常、平均気道内圧という。平均気道内圧Pmean=
5〜15[cmH20])を回路内で保ち、患者の肺にも一定の陽
圧を付加しながら換気をしている。この準備作業段階で
の代表的な「モデル肺82」の圧力波形例を図11に示
す。
【0128】さらに、「モデル肺82」のP1と「圧力
検出容器85」のP2の圧力変化を比較した実際の実験
結果を説明する。実験条件は、成人患者を想定した時の
「モデル肺82」及び「気管内挿入管81」を使う。
「モデル肺82」及び「気管内挿入管81」と相対的な
気道抵抗とコンプライアンスをもつ「圧力検出容器8
5」及び「検出用分岐管84」を試作する。
【0129】実験条件は以下の如く設定した。 「モデル肺82」………………40[l]タンク 「気管内挿入管81」…………内径8[mm]のチューブ81,(長さ30[cm]) 「圧力検出容器85」…………10[ml]容器 「検出用分岐管84」…………内径0.5[mm]のチューブ81,(長さ30[cm]) 上記実験条件のもとに、振動空気圧の周波数を5[Hz]と1
5[Hz]とに設定して実験を行った。5[Hz]の圧力波形デー
タを図12に示し、実験結果を図13に示す。また、15
[Hz]の圧力波形データを図14に示し、実験結果を図1
5に示す。
【0130】P1とP2の関係は、いずれの周期の場合
でも、相対的な関係で安定しており、前式(8)で示す
ことが可能である。
【0131】
【第2実施例】また、医者が、HFO換気を行なっている
患者の肺を計測するために、対応した「モデル肺82+
気管内挿入管81」をどのように選定するかが問題にな
る。
【0132】先に延べたように、患者に対して使用する
「気管内挿入管81」は、患者の年齢により気管内挿入
管81のサイズ(内径)と挿管深さ(チューブの長さ)
が決まる(図4参照)。これは、人工呼吸管理をする際
に利用する、医学的な統計データに基づいた指標値とし
て、一般的に扱われている。
【0133】また、患者の年齢が決まれば、肺のコンプ
ライアンスも医学的な統計データから、ほぼ値が求めら
れている。肺の病状により病的肺のコンプライアンスも
医学的な統計データから、ほぼ値が求められている。ま
た、臨床的に計測できる装置もあるので、簡単に求めら
れる。
【0134】ここで、実験条件を小児患者(3歳程度)
を想定した時の「モデル肺82’」及び「気管内挿入管
81’」にする。「モデル肺82'」及び「気管内挿入
管81’」と相対的な気道抵抗とコンプライアンスをも
つ「圧力検出容器85'」及び「検出用分岐管84'」を
試作する。
【0135】実験条件は以下の如く設定した。 「モデル肺82'」……………20[l]タンク 「気管内挿入管81'」………内径4[mm]気管内挿入管81,(長さ19[cm]) 「圧力検出容器85'」………12[ml]容器 「検出用分岐管84'」………内径0.5[mm]気管内挿入管81,(長さ120[cm]) 上記実験条件のもとに、振動空気圧の周波数を5[Hz]と1
5[Hz]とに設定して実験を行った。5[Hz]の実験結果を図
16に示す。また、15[Hz]の実験結果を図17に示す。
【0136】P1とP2の関係は、いずれの周期の場合
でも、相対的な関係で安定しており、前式(8)と同様
の式(8)’で示すことが可能である。
【0137】P1’=k’×P2’+m’ …(8)’ (k’,m’は定数)
【0138】以上のように実際の実験結果において、ど
のような対象患者の肺に対しても、患者の肺とコンプラ
イアンス値の等しいモデル肺とこれと相似関係にある圧
力検出容器とから、患者の肺内圧変化を相対的に知るこ
とができる。
【0139】また、患者の病状に合わせてP2に乗算する
係数を考慮すれば正確に肺内圧が計測できることも実験
結果よりわかる。
【0140】よって、「気管内挿入管81」の各部の寸
法と「患者の肺コンプライアンス」とは、いずれも患者
の年齢で任意に決まるので、これらの値を年齢別に組み
合わせたセットのデータとして取り扱っても良い。ま
た、それに相対的に合わせた「検出用分岐管84」の長
さ及び内径の寸法と「圧力検出容器85のコンプライア
ンス(或いは圧力検出容器85の容積)」の値も年齢別
に組み合わせたセットのデータとして取り扱っても良
い。
【0141】これにより、医者は、HFOを施す患者に使
用する気管内挿入管81を決めさえすれば、その肺内圧
を測定する「圧力検出容器85」と「検出用分岐管8
4」のセットも、医者が迷うことなく同時に決まってし
まうため、選定が楽であり、扱いが容易となる。また、
患者の年齢に合わせた、「圧力検出容器85」と「検出
用分岐管84」があることで、より正確に患者の肺内圧
を間接的に、かつ正確に計測できることになる。
【0142】また、式(8)の係数kがほぼ1に等しく
なるように圧力検出容器85及び検出用分岐管84を試
作すれば、mの項による単なる圧力値のオフセットしか
生じないので、これにより圧波形のカーブ変化がモデル
肺用圧力センサ出力と対応圧力検出センサ出力とで同じ
になるため、医者が観察し易く、肺内圧力及び換気量の
計算も容易となる。図12、図14の波形データは、係
数kをほぼ1になるように圧力検出容器85及び検出用
分岐管84を設計したため、波形データがほぼ同じであ
る。
【0143】またこの場合の波形の「ピ一クtoピ一ク」
は、「モデル肺82」と「圧力検出容器85」で一致す
るため、前式(16)から、間接的に患者の換気量が簡
単に算出でき、高頻度人工呼吸法の人工呼吸の管理指標
となり、医者としては患者の治療管理が容易になる。
【0144】
【発明の効果】本願発明では、検出用分岐管の内径及び
長さ並びに圧力検出容器の容積を、高頻度人工呼吸時の
気管内挿入管の挿入側先端部圧力と圧力検出容器の内部
圧力とが一次関数の関係を生ぜしめる値に設定されてい
る。そして、コントローラでは、患者に高頻度人工呼吸
を行っている際に、圧力検出容器の内部の検出圧力から
患者の肺内圧力を算出する。
【0145】従って、本願発明により、従来には不可能
であった、高頻度人工呼吸の最中における患者の肺内の
圧力変化及び換気量の測定が可能となり、熟練と経験を
要することなく換気状態の観測が可能となり、また、従
来の如く目視に頼る必要がないので、より正確な状態を
把握することが可能となり、常により好適な高頻度人工
呼吸の維持が可能となった。
【0146】また、上述の一次関数を入力する操作盤を
設けることにより、選定された検出用分岐管及び圧力検
出容器に応じて決定される一次関数を自在に入力するこ
とが可能となる。
【0147】さらに、算出された肺内圧力を表示する表
示部を設けることにより、高頻度人工呼吸時における肺
内圧力を容易且つ迅速に知ることが可能となる。
【0148】また同様にして、換気量算出部を備えるこ
とにより、外部処理装置を不要とし、本願発明の構成の
みにより、換気量の把握が可能となる。
【0149】本発明は以上のように構成され機能するの
で、これによると、従来にない優れた高頻度人工呼吸器
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態たる高頻度人工呼吸器の構成を示す
ブロック図であって、人工呼吸時の状態を示す。
【図2】本実施形態たる高頻度人工呼吸器の構成を示す
ブロック図であって、人工呼吸を行う前の準備作業段階
の状態を示す。
【図3】図1,2で開示した流量調節バルブの詳細を示
す断面図である。
【図4】年齢に応じた気管内挿入管の寸法例を示す図表
である。
【図5】高頻度人工呼吸器の制御系を示すブロック図で
ある。
【図6】吸気供給時と呼気排出時とにおける「内圧−換
気量」の関係を示す線図である。
【図7】人間の肺の模型を示す説明図である。
【図8】「気道の分岐構成」を示す説明図である。
【図9】分岐の次元と各次元ごとの気道断面積の総和と
の関係を示す線図である。
【図10】分岐の次元と各次元ごとの気管による気道抵
抗の関係を示す説明図である。
【図11】本実施形態による高頻度人工呼吸を行った際
の代表的なモデル肺の内部圧力の波形例を示す線図であ
る。
【図12】図1に示す高頻度人工呼吸器にて振動空気圧
を周波数5Hzとしたときの第一及び対応圧力検出センサ
の検出圧力を示す線図である。
【図13】図1に示す高頻度人工呼吸器にて振動空気圧
を周波数5Hzとしたときの試験結果を示す図表である。
【図14】図1に示す高頻度人工呼吸器にて振動空気圧
を周波数15Hzとしたときの第一及び対応圧力検出センサ
の検出圧力を示す線図である。
【図15】図1に示す高頻度人工呼吸器にて振動空気圧
を周波数15Hzとしたときの試験結果を示す図表である。
【図16】図1に示す高頻度人工呼吸器の各チューブ及
び各密閉容器を小児を対象とする設定とした場合であっ
て、振動空気圧を周波数5Hzとしたときの試験結果を示
す図表である。
【図17】図1に示す高頻度人工呼吸器の各チューブ及
び各密閉容器を小児を対象とする設定とした場合であっ
て、振動空気圧を周波数15Hzとしたときの試験結果を示
す図表である。
【図18】従来の高頻度人工呼吸器の構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
12 高頻度人工呼吸器 40 コントローラ 42 記憶部 43 操作盤 44 表示部 47 肺内圧力算出部 48 換気量算出部 50 振動空気圧付勢部 60 患者側経路 62 吸気導入部 70 排出経路 81 気管内挿入管 82 モデル肺 83 モデル肺用圧力センサ 84 検出用分岐管 85 圧力検出容器 86 対応圧力検出センサ X 患者

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者への酸素を含んだ吸気を供給する吸
    気導入部と、吸気に前記患者の呼吸周期よりも高い周期
    の振動空気圧を付勢する振動空気圧付勢部と、前記振動
    空気圧が付勢された吸気を前記患者へ案内する患者側経
    路と、前記患者から出された二酸化炭素を含んだ呼気を
    大気中に排出する排出経路とを備える高頻度人工呼吸器
    において、 前記患者側経路の患者側端部に、前記患者の口元から気
    管の第一分枝近くまで挿入する気管内挿入管を装備し、 前記患者側経路から前記排出経路のいずれかの途中部位
    から分岐した検出用分岐管と、この検出用分岐管を介し
    て前記いずれかの経路と連通した圧力検出容器と、この
    圧力検出容器の内部圧力を検出する対応圧力検出センサ
    とを有し、 前記検出用分岐管の内径及び長さ並びに前記圧力検出容
    器の容積を、高頻度人工呼吸時の前記気管内挿入管の挿
    入側先端部圧力と前記圧力検出容器の内部圧力とが一次
    関数の関係を生ぜしめる値に設定し、 前記一次関数の関係を記憶すると共に前記対応圧力検出
    センサからの検出圧力に基づいて前記気管内挿入管の挿
    入側先端部の圧力を算出する機能を備えたコントローラ
    を備えることを特徴とする高頻度人工呼吸器。
  2. 【請求項2】 前記コントローラは、前記一次関数を記
    憶する記憶部と、この一次関数を参照し前記気管内挿入
    管の挿入側先端部圧力の圧力を算出する肺内圧力算出部
    とを備えることを特徴とする請求項1記載の高頻度人工
    呼吸器。
  3. 【請求項3】 前記一次関数を外部から前記記憶部に入
    力する操作盤を,前記コントローラに併設したことを特
    徴とする請求項1又は2記載の高頻度人工呼吸器。
  4. 【請求項4】 前記コントローラが算出した気管内挿入
    管の挿入側先端部圧力の圧力を外部に表示する表示部
    を,前記コントローラに併設したことを特徴とする請求
    項1,2又は3記載の高頻度人工呼吸器。
  5. 【請求項5】 前記コントローラが、前記算出した気管
    内挿入管の挿入側先端部圧力の圧力に基づいて前記患者
    の肺に対する換気量を算出する換気量算出部を備えるこ
    とを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の高頻度人
    工呼吸器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017148639A1 (de) * 2016-03-01 2017-09-08 Ventinova Technologies B.V. Verfahren und vorrichtung zur beatmung eines patienten
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